はろー!シンビジューム
8
(好きな人……かあ……)
次の日、望は少しだけ気落ちしていた。
『あの隣のクラスの秋本美月って子なんだけど……分かる?』
日も落ちていて、辺りはオレンジ色に包まれていた。
(って、その人は……!)
秋本美月は結構積極的な感じの美人さん。
そう。望がこの間覗き見してしまった、先生とキスしてた人だった。
見た感じ両思いに見えたけど、どうなんだろう。
『秋本美月……知ってるよ。目立ってるもん』
『そう!気が強そうな感じするだろ?だけど、前に優しくされてさ……』
正憲は美月のいい所をここぞとばかり望に吹き込んだ。
(恋ってすごいなあ……)
こんなに人をキラキラにさせて、生きることが楽しくなりそう。
『それでな、これから色々協力してほしーんだけど……いいか?』
『……私で良ければ』
片思いすら経験したことのない望を頼るだなんて、正憲は藁をも掴む勢いで必死なんだと思った。
それでも望の心は、どこか複雑だった。
[←][→]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!