はろー!シンビジューム
1
もしも私が2人いたら、私は絶対仲良くなれない自信がある。
だってこんな男勝りで可愛いくない性格な人となんて、上手くいくはずがない!
「体育委員やる人ー」
ざわつくクラスの中、委員長の声が微かに聞こえる。
後期からの役員決めで、誰も話なんか聞かないしやる気もない。
楽そうな委員はもう既に決まっていて、残るは体育委員という七面倒くさい役回りだけが残った。
体育委員と言えば、体育の度に必要な道具を出し、授業が終わったら後片付けと掃除をするという嫌な委員。
極めつけに、みんなの前で体操をしなくてはいけない。
そんな最悪な委員だけが残ってしまい、なかなか話が進まなかった。
クラスの誰も部外者だと言うように話を聞いていないし、委員長も苛つきだしている。
(……あー、もう!)
「あの、わた「俺やるわ」
望(ノゾミ)は挙げた手をそのままに、声の方を見た。
クラスでもキレたら怖いと評判の紺野が、少し眉間に皺を寄せながらなんと手を挙げていた。
きっとなかなか決まらないこの状況に、委員長同様苛ついていたのだろう。
望は寸でのタイミングで体育委員になるのを免れた。
「おお!紺野ありがとな!……と、木ノ下もか!本当ありがとう!」
……はずだったのだが、男女1人ずつだったらしくて結局は体育委員になってしまった。
人の話を聞いていないのは私も一緒だと、望は反省した。
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