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小説「Actual Glass 2」
透過した現実

私の父アール様

貴方がこれを拝見している
ということは
私は貴方の復讐計画を
止められなかったのですね

ツァーリボンバは
貴方が寝ている隙に
少しずつ解剖解析していき
外観を残してすべて除去させて
もらいました

命令違反な勝手なことをして
本当にすみません

ですが
貴方には復讐をしてほしくなかったのです

本題に入りますが

率直に言いますと
貴方の息子の渚さんは

生きています

現在大手企業の
下請け会社の会計として
活躍なさっております

というのも

あの事件の真相は

高校生たちが
渚さんを連れ去ったあと
過大な罪悪感にかられ
すぐに公園へ帰してくれていたのです
しかし
高校生が渚さんを殺害したと
勘違いした貴方は
警察に誤った報告をしました
「息子が高校生に殺されどこかに捨てられた」と
そうして
たまたま川に落ちて亡くなった子供を
自分の息子と勘違いして
火葬し実質上渚さんは亡くなったことになりました

そのころ渚さんは
幼かったため帰路がわからず
彷徨しているところを
孤児院のおばあさんに保護され

健康に育てられました

15歳のときに
三田家に養子としてもらわれ
三田康史として育てられ
どんどん渚だった頃の記憶が
薄れていきました

そして現在
31歳の渚さんは
三田康史として
生活しているわけです

ここまでが
私が7年かけて調べて
わかったことです

しかし
このことを貴方に言うのが
とても怖かった

貴方は
復讐を糧にして生きていらっしゃるので
その復讐をする意味が
失われるとどうなってしまうのか
私にはそれが怖くて
今まで言えませんでした

貴方は私の父であり
渚さんの父です

どうか
復讐のない人生を歩んでいってください

私はそれだけを願っています

浅田氷理




そこまで読み終えると

アールの目から
涙があふれ出してきた

「くそっ1度も泣いたことなど
なかったのに、、うっ、、」

アールは再び走り出し
プレハブ小屋の外にでた

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