[携帯モード] [URL送信]

作者でも分かるとまと同人誌情報コーナー
幕間第二十四巻&リマスターFS第三巻経過報告(サンプルあり)(2014/08/14)



古鉄≪というわけで、リマスター版第三巻が更新完了いたしました。価格も648円とちょっとダウン≫

恭文「戦闘シーン……ほとんど手直し、ちかれたー。それで次は、予告していた通り第一巻のリマスターへ入ります」


(説明しよう。第二巻のリマスターから始めたのは、第一巻の元データが見当たらなくなったためである。
でもリマスターした直後に行方が分かって、順番が前後したのだ)


恭文「パソコン移行したりでゴタゴタしていたしね。しょうがないね」

古鉄≪今回はどの辺りがリマスターか、ちょろっと見せていきましょう。つまりどう絶望が増えたか≫

恭文「……そっちかー」


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


約束通り、ティアナの集束系修得の準備開始です。森林状態な演習場内で、なのはとティアナ、僕の三人で修行を進める。

なのでまず僕が前に出て、脇に置いてある袋からカラフルな水風船を取り出す。

オレンジの下地に蒼い雲模様が描かれたそれを、ティアナの右手に持たせる。ティアナは不思議そうに水風船を揉み揉み。


「え……これ、なに」

「言ったでしょ、あの術を教えるって。修行は三段階に分かれてて、これが一段回目だよ。
ティアナ、あの術を見てなにか気づいた事はない?」

「アンタが股間にぶちまけたの、よね。……とりあえず当たって発動するタイプで、手の平に魔力構築。
でもただの強化魔法じゃなかった。こう、命中した時にぐるぐるしながら吹き飛んでいったし」

「まぁ初見でそれなら一応合格かな。……見てて」


僕も水風船を手に取り、右手で意識集中――すると水風船が中からボコボコと膨れ上がり、パンと割れる。

撒き散らされる水と水風船の破片を見て、ティアナがビクつきながらも目を見開く。


「魔力を手の平で放出し、中の水を回転――その勢いで水風船を割るの。さ、やってみて」

「え、やってみてって」


二人からさっと離れ、ピクニックシートを敷く。その上で持ってきた工具やガンプラの箱を取り出す。


「割れたら教えてね。僕はガンプラ作ってるから」

「ちょ、なに言ってんのよ! これ訓練よね! アンタ先生でしょ!」

「そうだよ! ほら、ちょっと見てようよ! 詳しい説明とか!」

「あのねぇ、修行ってのは自分で試行錯誤しつつ、答えを会得していくのよ」


箱を開けて、ランナーを取り出す。ニッパーで切る箇所を定めながら、慌てる二人をそっとなだめる。


「それに第一段階っつったでしょうが。これすらクリアできないようなら、僕はこれ以上なにも教えられない」

「なによそれ……! ああもう、やってやるわよ! 水をかき回して割ればいいんでしょ!?」

「そう。ただしティアナ、魔法術式は使っちゃ駄目だよ」

「はい!?」

「あと」


スッておいたクロスミラージュを取り出し見せる。ティアナは慌ててホルスターを叩き、ようやくスられた事に気づいた。


「アンタなにしてくれてんのよ!」

「これも必要なのよ。クロスミラージュに頼るのもなし。あくまでも魔力放出とその制御で行うの」

「やってる事は基礎の基礎って事か……了解」


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


古鉄≪そうでした、あなたこれであの技使えるようになったんですよね≫

恭文「苦戦したけどねー」


(なおゴマモンと高木社長(順二朗)も使えます)


恭文「とりあえずこれは追加シーンですね。次に出てくるのもそれです」


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


「思い当たるフシはおありのようで」

「……えぇ」

「環境の問題もあるでしょうね。あなた達は世間的にも認められていて、なおかつ善良だ。
ただ正直疑問ですよ。彼らはあまりに思い入れが強すぎる。客観的、公平的な始点に欠けるんです。
……まるであなた達を神様のように信じている。やる事なす事、全て疑ってはいけないと恐れてすらいる」


その言葉で更に思い出されるのは、ティアナの一件。まさか、本当にあれも間違いだと言うのか。

主の言う事ではあるが、今回ばかりは間違いだと思った。実際にそう反論し、私は胸を張った。


あの時ティアナを殴った事に間違いはない。奴はなんの益にもならない無茶で、全員を振り回していたんだ。

本来ならあの説明とて必要なかった。自分で気付き、省みて当然の事だ。……ふざけないでくれ。

部隊は幼稚園じゃないんだぞ。エリオとキャロならともかく、アイツらは経験もある。


そんな奴らにいちいち全てを説明しろと? なにも言わず、察してついていくのが部下のはずだろう。

現に私はそうしてきた。それは主達とて同じだ。駄目だ、認めたくない。認めてしまっては全てが崩れる。

予言の事とてそうだ。蒼凪が言う嘘には該当しない。我々は局員として、部下として当然の事をした。


そう信じたいのに……なにもできず、崩れていく現状がそれを許さない。なぜだ、なぜこうなったんだ。


「シグナム副隊長」

「いえ……大丈夫です」

「すみません、お気に障ったのでしたら」

「いえ、そうではありません。むしろ、感謝しなければとも思っています」


そう口にする事しかできない。ここで二人の二の舞いになるのは怖い。怖さでもう、なにもできない。



◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


恭文「自業自得です」

古鉄≪そうとしか言えませんよね、あれ≫


(今は遠い昔の話)


恭文「続いては書き直した戦闘シーン……書き直しすぎて、前後が繋がらなくなりかけたのは内緒」

古鉄≪その辺りも出すのに時間がかかった理由ですね≫


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


しばらくにらみ合いを続けてたけど、美由希さんが一気に踏み込んできた。まずは右小太刀で左薙一閃。

下がるも回避しきれず、木刀を盾に防御。木と木が朝の空気を斬り裂き、音を響かせ衝突する。

そのまま美由希さんと交差。すぐに振り返り……いや、間に合わない。木刀を背後へ回し、左小太刀での右薙一閃を受け止め……前のめり。


斬撃を木刀上で滑らせやり過ごし、一気に下がって美由希さんともう一度交差。すぐさま袈裟・逆袈裟と連撃。

全て小太刀で防御されるも、四撃目で刺突。でも切っ先は虚空をすり抜け、懐に気配。

反時計回りに回転し、美由希さんの突撃を左へ回避。足への踏みつけも避けつつ、後頭部へ右薙一閃。


飛天御剣流・龍巻閃――でも斬撃が触れるか触れないかという瞬間、美由希さんの姿がかき消える。

かと思うとまた肉薄。続く無数の連撃を木刀でなんとか防御……でもそのまま押し込まれ、壁際が近くなる。

右小太刀での右薙一閃を受け止めてから、強引に押し込み距離を取る。すぐさま背を向け、壁へ走り一気に駆け上がる。


美由希さんの追撃刺突を飛び越え、壁を蹴って空中で一回転。木刀を投てきし、美由希さんに防御させる。

その間に着地し、跳ね返ってきた木刀を右手でキャッチ。すぐさま踏み込んで右薙一閃。

壁すれすれに打ち込まれた斬撃を、美由希さんは右へ回避。刃が振り切るより速く射程外へ逃げ、跳躍混じりの疾駆。


僕の前で右小太刀での袈裟一閃。それからすぐに跳ね、右へ回り込みながら両の刃で刺突。

その場で跳び、刺突から遠ざかりながらまた木刀投てき。美由希さんは身を捻り左へ避け、着地する僕へ疾駆。

……手元を捻り、向かい側の壁へ突き刺さりそうな木刀を引き寄せる。はい、鋼糸を巻きつけていました。


木刀は時計回りに空間を薙ぎ、迫る美由希さんへ刃を叩きつける。美由希さんが咄嗟に防御し、動きが止まったところで右腕を引く。

木刀を再度キャッチし、一気に肉薄。唐竹一閃で美由希さんとつばぜり合い。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


恭文「修行シーンも修正……三年ほどで、表現も大分変わった」

古鉄≪もっと戦闘シーンは頑張りましょうか。というわけでリマスターのサンプルは以上です。
続いてはお待たせしました、幕間第二十四巻のサンプルその2です≫

(その1はこの一つ前に掲載しておりますので、御覧ください)


恭文「それも外しつつだから、わりと短めですがお付き合いください。
とりあえず聖杯問答なども盛り込みつつ、乱立していく某うっかりの死亡フラグ」


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「通信販売とやらを試してみたのだ」

「お前、二階から出るなって言っただろ!」

「家主も外出中、貴様も使い魔にかまけているとなれば、余が出るしかなかろう」

「仕方ないだろ、こう着状態の間に情報収集しておかないと」

「まぁいいではないか。昨夜のセイバーを見てな、余も閃いたのだ。
当代風の衣装を着れば、実体化したまま街を出歩いたって文句はあるまい」


嬉しそうに笑いながら、ライダーは僕の脇を抜け廊下へ。おい……おいおいおいおい!

慌てて追いかけると、躊躇いもなく玄関へ出ていこうとする。


「待て待て待て待て待てえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」


不満そうに振り向くライダーの『股間』へ、左手で指差し。不満をぶちまける前にツッコむ。


「外へ出る前にパンツとズボンくらい穿けぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」

「あ……おぉ、脚半の事か」


ライダーはやってしまったという顔で、右拳を額に叩きつける……下半身はモザイクかかってるのにな!

てーかなんだよ、その大蛇みたいなのは! なんか腹立つんだよ、モザイク越しに見ても怒りしか浮かばんわ!


「そう言えばこの国では皆が穿いておったな、ありゃ必要か」

「必要不可欠だ! 先に言っておくが、僕はお前のために街まで出向いて特大ズボンとパンツを買ってきたりしないからな!」

「なんだと! 坊主、貴様……余の覇道に異を歌えると申すか!」

「覇道とお前のズボンとは、一切合切関係ないだろうが!
外で遊ぶ算段を立てる前に、敵のサーヴァントでも討ち取ってみろ!」

「ほう……では余が見事敵を討ち取ったら、ズボンを穿かすと誓うか」

「ズボンに本気出しすぎだろうが! お前なにしに現界してんだよ!」

「たわけ! 騎士王の奴がやっておったのだ! 余も王として後れを取るわけにはいかん!」


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


古鉄≪これ別のうっかりじゃないですか。アニメだとスパッツになってたやつじゃないですか≫

恭文「そうだったそうだった。でもまぁ……やっぱライダー組、主人公だよね」

古鉄≪否定はしません≫


(ある種の清涼感)


恭文「そんな仲良しライダー組とは逆に、策謀張り巡らせまくりなのが某うっかり」


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


「……よりにもよって、酒盛りとはな」

『我が師、アーチャーは放置しておいて構わないのでしょうか』

「仕方あるまい。王の中の王にあらせられては、突きつけられた問答に背を向けるわけにもいかんだろうからな。
剣を抜く展開にならなければ、アーチャーも『王の財宝』を晒はすまい。
それよりもライダーのおかげで、アサシンが城に潜入できた事こそ行幸だ。
ところで綺礼、ライダーとアーチャーの戦力差、君はどう考える」

『ライダーにあのチャリオット――『神威の車輪(ゴルディアス・ホイール)』を超える切り札があるか否か、そこに尽きると思われますが』

「……うむ」


二匹の牛が引っ張るチャリオットだが、あれはゴルディアスの結び目に関連するものだ。

あの神獣立ちは『飛蹄雷牛(ゴッド・ブル)』。元々はゴルディアスと呼ばれる王が、オリンポスの主神ゼウスに捧げた供物。

それを征服王が繋いであった紐を断ち切り、自らのものにしたとされている。


史実ではチャリオットを使う事で、マケドニア征服が可能と予言されていたらしい。ただ……例え牛でも神獣だからな。

サーヴァントのスキルには、生物・非生物を問わない『騎乗スキル』というものがある。

ちなみにセイバーはスキルA。神獣を乗りこなすのに必要な値はA+以上。


このクラスだと現代の乗り物であろうと、ほぼ全てのものを乗りこなす事ができる。

征服王がライダークラスで現界されたのも、この逸話が原因だろう。だが征服王に纏わる逸話はこれだけではない。

仮にも一度、世界全てを征服しかけた人物だ。逸話もそれなりに……そこが不安要素でもある。


「未だ必勝法の糸口を掴めないのがライダーだ。消耗の激しいバーサーカー、陣地作成した形跡もないキャスター。
魔術師でもない子どもに囲われたランサー、そのランサーから負わされた手傷を未だ直しきっていないセイバーは問題ない。
……そう、ライダー以外はアサシンの役目も終えている。この辺りで一つ、仕掛けてみる手もあるかもしれないな」

『切り札を出さざるえない状況へ追い込め、という事でしょうか。なるほど、依存はありません。
全てのアサシンを現地へ集結させるのに、恐らく十分ばかりかかると思われますが』

「よし……アサシン集結後、令呪を用いる。ライダー相手に、生死を厭わず戦えと命ずるのだ。
大ばくちは確かだが幸いな事に、我々が失うものはなにもない」


そう、なにもないのだよ。アサシンの望みは『完全なる人格統合』。そもそも彼らの能力、その根源は多重人格だ。

まだそれが精神病と判定されていない時代、彼らは多種多様な人格を暗殺に役立ててきた。

その逸話が分裂能力として発揮されている。しかし……綺礼の報告によると、どうにも信用しきれないようだ。


まぁ元々アサシンなど、遠坂家のやり方にもふさわしくない低俗な駒。ここらで切り捨てるのが妥当だろう。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


恭文「原作でもあった、あの大突撃の裏側ですね。確かにアニメだと尺の問題で、オリジナルエディションのみ収録だっけ」

古鉄≪聖杯問答も重要なところが削られていますしねぇ。
でももったいないですよ。能力だけなら反則級なのに≫

恭文「僕ならもっと上手に運用できるよ」

古鉄≪あなたはできるでしょうね≫


(聖杯戦争が四日で終わります……キリ)


古鉄≪それ、公式発言じゃないっぽいですけどね。なんかいろいろな解釈や発言が混ざってできたものとか≫

恭文「ていうかそれ、僕がマスターじゃなくて衛宮切嗣さんでしょうが。
その辺りはいろいろな作家さんが考察されているのでよしとして、次いってみよー」


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


「――以上の事を理由に、我々から聖杯戦争の監督役である言峰璃正神父に、幾つかの要求をさせていただきます」

「伺いましょう」

「一つ、サーヴァントを失ったと虚偽申告をした言峰綺礼から、戦争への参加権である
令呪を全て没収。
もちろん遠坂時臣氏へも、同様のペナルティを課させていただきます。
更にその所有令呪とサーヴァント、アサシンとアーチャーを八神恭文へ譲渡。聖杯戦争終了まで冬木市から追放する事」

「二つ目。監督役でありながら、遠坂時臣と言峰綺礼の間を仲介し、援助を行ったおじいちゃんの解任要求。
及びペナルティとして……おじいちゃん、前回までの聖杯戦争で残った令呪を持ってるんだよね」


子どもは不敵に笑いそう質問してきた。……嫌な予感がしながらも、胸を張り頷く。


「いかにも」

「じゃあそれら全部、達に譲渡して。それと三つ目……ここに保護されているはずの、ロード・エルメロイの安否確認」


なるほど、私が令呪を譲渡すれば、ロード・エルメロイは聖杯戦争に復帰できる。それを防ごうというわけか。

しかし……一つずつ整理していくか。まずアサシンの扱いだが、ここは消滅させる方向で進めよう。

我らがアサシンを失う事は元々決まっていた事。ライダーやセイバーの力を引き出せなかったのは痛いが、損失というほどでもない。


しかしアサシンが他の陣営に渡るのはまずい。こちら側の情報を多く持っている上、なによりマスター殺しを得意としている。

少年やアインツベルンの女はともかく、アインツベルンと繋がっているらしい衛宮切嗣もいる。

未だ姿は見せていないが、なんらかの援護を行う可能性もある。魔術師殺しと暗殺者……余りよろしくない取り合わせだ。


もちろんギルガメッシュを奪われる事も避けなければならない。そうなってしまえば、聖杯戦争はこの子どもに好き勝手されるだけだ。

二つ目、令呪の譲渡も当然ない。ここは比較的簡単に納得させられるだろう。

私の解任はともかく、そこにつけ込んで令呪の要求など筋道が立っていない。


サーヴァントにとっても自分を縛る令呪が多くても、嬉しい事などない。その辺りでなんとか処理できるだろう。

仮にそれが無理な場合、遠坂にも令呪が渡るようにする。ここも難しくはないだろう。

あくまでも綺礼の虚偽申告を問題にする。癒着に関しては確たる証拠も、証言もない。全ては状況証拠にすぎない。


ようは虚偽申告を見抜けなかったペナルティとして、遠坂を含む全員に令呪を譲渡する。

これならば遠坂の不利は軽減できるはずだ。では……早速反撃といこうか。


「話は分かった。しかしこちらにも言い分はあるのだが……よろしいだろうか」

「えぇ、どうぞ」

「まず癒着の件だが、聖堂教会及び聖杯戦争監督役として断言する。そのような事実はどこにもない。
アサシンが生きていたのは、あくまでも綺礼の虚偽申告が原因だ。もちろん私にはそれを見抜けなかった責任も発生するが」

「だから僕達の要求を飲む必要はない?」

「身も蓋もない言い方をすればそうなる。しかし発生した責任についてはきっちり取らせてもらう。
まず遠坂時臣氏だが、繰り返しになるが綺礼の虚偽申告が原因。彼にはなんの落ち度もないと判断する。
しかし言峰綺礼は要求通り、聖杯戦争から離脱。ただしアサシンは消滅させてもらう」


◆◆◆◆◆


「――それは筋が通ってないね、おじいちゃん」

「ほう、では問おう。どう通っていないのだ」

「おじいちゃんはさっき断言した。癒着はなく、言峰綺礼が勝手にやらかした事だと。そうだよね」


子どもの言う事だ、どう足掻いても切り抜けられる。なので自信を持って、胸を張ると。


「だったらアサシンは証言者として絶対に必要でしょ」

「……なんだと」

「マスター権をこちらへ譲渡後、アサシンには知っている事を洗いざらい喋ってもらう。
もちろん共謀したであろう金ぴかにもだ。そうすれば嫌でもはっきりするでしょ」


彼は予想外の攻撃を仕掛けてきた。しかし冷静を保ち、諭すように声をかける。


「意味が、分からないな。今言った通り、我々は」

「じゃあおじいちゃん、癒着はなかったという証拠を出してよ。アサシンの証言以外で。それが出せるならアサシンの消滅は考えるよ」

「だから今説明した通り」

「おじいちゃん、立場を分かってないんじゃない? 今おじいちゃんはズルをしたって疑われているの。
なのにどうして自分から疑いを強めちゃうのかな。これでアサシンを消しちゃったら……それは口封じでしょ」


……痛いところを突かれて、言葉に詰まる。そうだ、私のやろうとしている事は口封じに他ならない。

ならば証拠……どうやって証明するというのだ。癒着していたのならともかく、癒着していなかった証明だぞ。

そんなもの、想定外すぎて準備などしていない。我らの言葉だけでは……少年はともかく、アインツベルンは納得させられん。


もちろん現状我々の手にあるアサシンは、証言者として信用できない。だからさらっとそれ以外の方法を提案している。


「もちろんそこのおじさんがアサシンを自害させても同じ……その場合、アイリさん」

「アインツベルンはあなた達親子と聖堂教会、並びに遠坂時臣氏へ更なる抗議をさせてもらいます。当然聖杯戦争への参加も許さないわ」

「いや、しかし……彼は既にサーヴァントと二人契約している。これ以上の契約は負担が」

「それはこちらで考える事です。もし駄目な場合は私が止めますし、アサシンから話を聞くくらいの余裕はあるはず。ね、ヤスフミ」

「えぇ」


器にすぎんホムンクルスと、魔術師でもなんでもないただの子どもが……!


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


古鉄≪戦闘力・経験――その全てに置いて圧倒的不利な八神恭文七歳ですが、有利な点はあります≫

恭文「聖杯戦争を人同士のゲームとして捉えるなら、戦わずして勝つのも手の一つ。
交渉・政治的行為で優位を掴んでいく形となっています」


(さすがに単純な力比べで、サーヴァントに勝つとかは無理でした)


恭文「だから戦術も」


これが恭文(A's・Remix)の戦術だ!

・マスター狙い。

・交渉で優位をしっかり確保。サーヴァントも奪えるなら奪っちゃう。

・そしてアサシンで諜報活動しまくり。


恭文「こんな感じになるわけで。改めてアニメや設定なども確認し、不都合あるところは修正をしている感じですけど」

古鉄≪そしてこの人も動き出します≫


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


「えぇ。単刀直入に言います、ソラウ・ヌァザレ・ソフィアリ……ランサーへの魔力供給を断っていただけませんか」


彼女は高圧的……いや、とても冷たい目をしながら、大きくため息。


「理由をお聞かせ願いたいのだけど」

「ロード・エルメロイを破った少年は、ご存じの通り魔術師でもなんでもない子ども。
しかしながら我々聖堂教会としては、そんな人間に聖杯を預ける事は望んでおりません。
そこで魔力供給を断っていただき、八神恭文への負担をかけ……自滅させるのです。
そうしてフリーになったサーヴァントと令呪は、ロード・エルメロイの元へ戻し再起を」

「お断りするわ」

「……なんですと。しかし、このままではあなたも」

「どうして婚約者でもない男のために、そんな事をしなくてはいけないの」


そこで予想外の言葉が、冷たい視線と一緒にぶつけられる。また想定外の状況に驚き、汗が噴き出す。


「婚約者ではない? どういう事ですか、あなたのご実家とアーチボルト家は」

「当然でしょう? たった七歳の、魔導師でもなんでもない子どもに瞬殺されるんだから。
実家の父達も大層腹を立てていて、結果婚約破棄という事に。まぁしょうがありませんね、ロード・エルメロイはもう終わりだもの」


またあっさりとしたものだ。家同士が決めた関係だから、とかだろうか。

にしては彼女の目は冷たすぎるように思うが……いや、そこはいい。どうしてこう上手くいかないのだ。

予定では婚約者のために奮起し、こちらへ引き込めるはずだったのだが。まさか、こうまで冷たい間柄とは。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


恭文「はい、キュアビートです」


(『違うわよ』)


古鉄≪そうですよ、千冬さんでしょ≫


(『だから違うわよ』)


古鉄≪アニゲマスターの頃から知っているから、感慨深いねー。……と高町教導官が言っていました≫

恭文「それは確かに。そしてこんなシーンも」


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


浅い眠りの中で夢を見ていた。アイリと初めて会った、あの日の事だ。

アインツベルンに招かれ、そうして引き合わされたのがアイリ。聖杯の器となるべく生まれた、美しき少女。

外見上は大人だが、生まれてから一年も経っていない。少女というより、もはや幼女だった。


当然僕は疑問に思った。この器は、本当に戦えるのかと。


「では、意味をご説明致します。自立行動・状況判断の機能を付加された器、それが私です」

「僕が器の保護に煩わされる必要はなく、聖杯が勝手に自己判断で自らの安全を確保すると」

「その理解で支障ありません」

「では聞くが、君は本当に戦場で自衛できるだけの能力を備えているのか」

「そのように設計されています」

「少なくとも、外見上そうは思えないんだが」

「外見で判断なさるのですか?」

「……いいだろう」


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


恭文「Blu-rayボックス第一巻の特典CDですね。一部ですが盛り込みました」

古鉄≪本当に一部だけなので、全部知りたい方は……さぁ、Amazonでポチりましょう≫


(でも売ってるかなぁ)


恭文「まぁ幕間本体は大ボリュームですが、書き下ろしも負けていません」


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


二〇一一年に入って少しして――今日は響と一緒に、恭文君と待ち合わせ。

先日亜美と真美が主演する、釣り番組始動に恭文君も協力してもらった。そのお礼でお寿司をちょっとねー。

おかげさまであの番組、好スタートを切っている。釣りのマナー関係もちゃんと描写してるから、その辺りでも受けがいい。


……なぜだかあの二人がいるんだけど。駅のロータリーで恭文君を待ちながら、つい横をチラ見。


「サリエル殿、すしろぉというのはどういうお店なのでしょうか」

「スシローはな、寿司屋なんだがフライドポテトの美味い店なんだよ」

「なんと……面妖な」

「いや、本当に面妖ですよ! ていうかどうしてサリエルさんと貴音がいるの!?」

「いや、それは逆に俺達が聞きたいぞ」


あれ、疑問に思われてるの!? おかしい、普通にきてたし……まさか恭文君!?


「俺は貴音ちゃんがスシローに行った事がないっていうから、連れてきただけで」

「回転寿司を語るのであれば、すしろぉというお店は外せないそうなので」

「スシロー!? いや、それ自分達もだぞ! じゃあ全くの偶然なのか! なんだそれー!」


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



恭文「というわけで、今回はスシローです。実際食べに行ったけど美味しかった」

古鉄≪十皿程度で済ませるならいいコスパですよね。……作者は調子に乗って二十皿とか食べましたけど≫


(しゅ、取材のためだったんだ)


恭文「そんな成果が凝縮されています」


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


「うん、やっぱたまごっていいなぁ」

「このタコも美味しいぞー。シャリも……ん、無駄に固くなくて、程よい柔らかさだ」

「えび、えび……もぐもぐ」

「お姉さま、品がなさすぎます」

「もういいじゃねぇか。確かにえび美味いしよぉ」


一皿食べてから、おしぼりでさっと右手を拭く。たまごたまご……あなたはどうしてこんなに幸せな味なのよと。


「律子さん、欲しいものがないならタッチパネルでも注文できますけど」

「あ、違うの。こう……お寿司の一皿目ってどうしても迷っちゃって」

「なるほど、気持ちはよく分かります。いいとこのお寿司屋さんだと、セットを頼む手もありますけど」

「こういう時ってなにがいいのかしら」

「基本は味の薄いものから……ですね」


念のためにサリさんを見やると、腕組みしながら頷いてきた。


「やっさんの言う通りだ。いきなり濃いものから食べると、味が分からなくなるからな」

「あ、それ夏に回転寿司行った時にも言ってたよな」

「ただお茶によるリセットもできるし、そこまで深刻に考えなくてもいいぞ。むしろ最後の方が難しい」

「なるほど……よし、じゃあ」


律子さんが手に取ったのはタコ……ただし生たこだった。さっき響が食べたのはゆでたこだね。

つるつるにな舌触りに、生だからこその歯ごたえ。更にシャリとの間に挟んでいるシソがグッジョブ!

律子さんは醤油を恐る恐るかけ、まずは一貫を口に入れる。どうやら気に入ったらしく、右手でOKサイン。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


恭文「こんな感じで」

古鉄≪でもあなた、責任取りましょうね。キスまでしちゃったんですから≫

恭文「それ拍手のお話だよね!」


(というわけで、幕間第二十四巻お楽しみに。そしてリマスターFS第三巻、好評販売中です)


恭文「一応言っておきますと、以前ご購入された方もメロンブックスDLS様の会員なら無料・無期限の再ダウンロードが可能となっております」

古鉄≪まぁさすがに買い直す方はいらっしゃらないでしょうが、念のため。それではみなさん、よろしくお願いします≫


(よろしくお願いします。さぁ、ミッション話のリマスターを仕上げるぞー。
本日のED:Kalafina『to the beginning』)






[*前へ][次へ#]
[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!