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豪快な奴ら第9巻経過報告:02(サンプルあり)(2019/5/14)
恭文「というわけで、豪快な奴ら第9巻の経過報告です。
現在は……本編二話と三話目が半分以上。
番外編三話と特別書き下ろし二話まで書き上がりました」
古鉄≪まぁ番外編は一話、次回に回すかもしれませんが……とにかく残すは本編という感じに≫
恭文「頑張るぞー。で、今回は書き下ろしをご紹介です」
古鉄≪こんな方々が出てくるわけですが……さて≫
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
ヤバい……ヤバい……何がヤバいかって、胃痛がヤバい。
というか、俺がオーディション担当? 面接官? いつからそんなに偉くなったのかと、自毛自答が続いていく。
確かにこういうのもアメリカ研修で勉強はしていたが、実際にやると……胃痛が……!
(今更だが……責任のある仕事なんだよなぁ)
やる気や素性、人格……まぁいろいろな差はあるが、それでもここに来る子達は人生を賭けているんだ。
俺の言葉で、俺の判断で、それが大きく変わる。その責任がこう、胃をキリキリと締め上げる。
更に言えば、いわゆる不正の疑いも作っちゃ駄目だろ? 特に俺は男だし、色目とかはアウトだ。
(こういうものを、俺達はこれから背負っていくんだな……)
いろいろなものを噛み締めながらも、本日のオーディションも佳境。
それで次は……。
「――では、田中琴葉さん」
「はい!」
明るめの栗色髪。
スレンダーな体型を包むのは、柔らかくもキリッとした女性らしいスーツ。
温和な表情ながら、その瞳には強い意志を感じられた。
田中琴葉――都内の私立校≪黒百合学園≫に通う高校三年生。
誕生日は十月五日だから、もうすぐ一八才だな。
彼女は歌・ダンスの審査も高得点で、問題なく通過。
もしかしたら逸材ではと、面接審査に来てもらったわけだが……。
「最後に自己PRをお願いできますか」
「は、はい! ……改めてまして、田中琴葉と言います!」
◆◆◆◆◆
「仲間と一緒に舞台を創り上げていく作業が、向いていたんだと思います。毎日充実していました」
「それはよかった。でも演劇が好きなら、劇団を受けるという選択肢もあったと思うけど」
「そ、それは……アイドルの方でも……こちらの四条貴音さんや萩原雪歩さんのように、舞台やドラマで活躍している方も多いですし。
それにさっきも少し触れた、ミュージカルで……歌にも興味があって」
「あぁ、それで……」
「ただ舞台に立つだけ……いえ、こう言ったら失礼かもしれないんですけど!
とにかくあんなに……素敵な笑顔で輝けるのが、凄いなと思って……」
最終的には、単純なアイドルへの憧れか。
演技に限らず、舞台全般のパフォーマンス……そのよさを知っている。これは大きな武器だぞ。
とくにうちは、シアターによる生公演を軸にしているからな。
……っと、そうだ。それならもう一つ聞いておかなきゃいけないことがある。
「このオーディションには、自分で応募を?」
「はい。…………あ、でもキッカケは……演劇部の後輩に勧められたことかな。
学園祭がもうすぐあるんですけど、その準備中に……こちらのサイトさんを見かけて。
そうしたらみんなが盛り上がって」
「そこで応募してみれば……とか言われたと」
「そうなんです。それで一人になって改めて考えてみて、応募することを決めました。
それから演劇部の顧問の先生、両親……部を任せるみんなにも話をして。みんな、頑張れと送り出してくれました」
両親はともかく、顧問や部のみんなにも……責任感が強いというか、しっかりした子なんだな。
「だから……みんなががっかりしないように、絶対合格しなくちゃ……」
いや、重すぎるのか? あの……なんか、蒼凪君のことで思い詰めた千早みたいな空気が……!
ただあの、ちょっと……気になったので、二つほどツッコもう。
「えっと、待ってくれ。
今君がここにいるのは、みんなへの責任感からなのか?」
「え……いえ、私がここにいるのは、オーディションに合格を…………する…………ため…………」
そう言いかけて、彼女は深呼吸。気持ちを切り替えて前のめりになる。
「いえ……私は、私の意志でここにいます。
私自身が、あの舞台に立ちたいから……アイドルになりたいから、ここにいます!」
……この目を見れば、嘘じゃないのは分かる。
向上心もあるし、責任感もある。
なら……答えは……。
◆◆◆◆◆
私が所属する演劇部は……というか、黒百合学園全体が学園祭の準備で大忙し。
明るくも騒がしく、そしてどこか切なさも感じる空気の中、私達演劇部も走り抜けていく。
というか、文化系は講堂のステージを使うから……実は練習時間なども潤沢とは言えない。各々の部活ごとにきっちり割り当てられるの。
ようは短期決戦で、密度濃く進めていく。問題点の洗い出しや、その解決……やることは山積みだから。
「――照明、ちょっとタイミング遅いかも! 気持ち一〜二秒早めに赤を入れて!」
「了解しました! 気持ち一〜二秒……赤!」
「部長……もとい、元部長! ジュリエッタの衣装、準備できました!」
「ありがと! なら他の出演者も含めて、一気にやっちゃおうか!
光を当てていくから、みんなもちゃんと見ていてね!」
『はい!』
……今年の学園祭は、特に思い入れが強かった。
私も演劇部から引退するし、最後の公演にもなる。
同時に今後のことも考えて、あらかたのことは二年生組に任せ、舞台出演も脇を押さえる形にした。
一応私が部長だし、主役公演って感じだったの。
でもそれより、今後……みんなが部を動かしていくんだから、そのための経験を積ませていきたくて。
……三年間の集大成としては地味かもしれないけど、それでも頑張って…………ただ、うん。
それにしては私、ちょっとでしゃばり過ぎかも……!
「……やっぱり部長が主役、やった方がいいんじゃ」
そう言いながらちょこんと脇に立ってくるのは、これからの看板女優。
女の子の私から見ても愛らしい表情で、均等の取れたスタイルで軽く伸び。
今年入部したばかりの、姫川早輝さん……そのままアイドルって感じの愛らしさで、我が部のみならず学内でも人気者だった。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
琴葉「そう……これは私と恭文先輩との出会い。思えばとても印象的でした」
恭文「違うよね! 赤羽根さんだよね! というか、先輩呼びじゃないよね!」
琴葉「マシュさんが先輩呼びしているから、なんだか引かれてしまって……」
マシュ「恭文先輩、もうすぐ六月……梅雨の時期ですし、今のうちから除湿対策をしっかりしておきましょう」
恭文「おのれの仕業か!」
(なお、琴葉のCVは種田梨沙さんです)
マタ・ハリ(Fate)「なら私も先輩呼び、しちゃおうかしら」
恭文「マタ・ハリも違うからね!? と、とにかく……こんな感じでちょっとずつ、ミリシタキャラも描写を増やしていく予定です」
古鉄≪スタートでまたいろいろあるんですね、分かります≫
恭文「殺人事件か……」
琴葉「物騒なことは言わないでくれますか!? 大体、事件なんて早々起きるはずが」
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
体育館のステージを使い、レディースコンテストのリハーサルが行われる。
早輝ちゃんが演劇部の看板を背負って出てくれるのもあって、私も見学させてもらうことにした。
幸い今日は演劇部、講堂での練習はなし……というか、小道具や衣装の最終チェックが中心。
先日のライティングも結果がよかったから、あとは微調整……そちらも美琴ちゃん達が頑張ってくれている。
だから、ちょっと申し訳ない気持ちもあるけど、部長としてこちらを見ておきたくて。
「――それでは三番、舞川あけびさん……どうぞ!」
「はーい!」
実際に音楽やライトもかけて、袖から出てくる女子生徒。
まぁ制服姿ではあるんだけど、それでもどこか自信ありげで……私、ああいうのできるかなぁ。
(もし、アイドルになって……求められたらどうしよう)
私、スタイルには余り自信がないし。
765プロの中だと……三浦あずささんとか、四条貴音さんとか、星井美希さんとか、ティアナ・ランスターさんとか、ギンガ・ナカジマさんとか凄いよね。
特にギンガ・ナカジマさんなんて……バスト、九十五とか六だよ? Hカップだよ? もう異次元だよ。
そう言えばギンガ・ナカジマさん、世間的には四条さんレベルの超大食いアイドルだったよね。
(やっぱりたくさん食べると、大きくなるのかな)
つい……自分の薄い胸部装甲を、両手でさわさわ……私もそこそこ食べる方ではあるのに、なんと頼りないことか。
◆◆◆◆◆
『…………姫川さんー、姫川早輝さんー。出番ですよー』
でもそこで、トラブル発生。
MC役の子が呼びかけても、早輝ちゃんが出てこない。
一体どうしたんだろうと、みんながざわつき始めると。
『――――――――いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!』
突然早輝ちゃんの悲鳴が響いた。それも講堂の外から……慌てて八代君と顔を見合わせ、私達は飛び出す。
それは近くにいたコンテスト関係の生徒や、監督役の先生も同じ。数人で講堂から校舎の方に戻る。
ドタバタという足音が響く。
自然とそちらに引きつけられながら、私達は走る。
そうして少し進むと……見つけた。
ジャージ姿の、二つの影。
身長は百七十以上。明らかに男性だった。
顔は……帽子を被っていて、よく分からない。
二人は白いクロスに包まれた……長い何かを、前と後ろという形で抱えていて。
その影が角に入るまでの間に、私達は痛感する。
あれが……あれこそが、早輝ちゃんなのだと。
「先輩……!」
「うん!」
今は全力で……見失わないようにと走って、走って……それでも追いつけなくて、完全に振り切られた。
「――――きゃああああああああああああ!」
今度は別の子の……女の子の悲鳴。
私達は疲れが吹き出す身体を、必死に動かし……今度は体育館の方へ。
すると美琴ちゃんが体育館の入り口で……尻餅を付いて、震えていた。
「美琴ちゃん!」
「三津浦君!」
「ぶ、部長……八代君……」
慌てて美琴ちゃんを抱え起こし…………”それ”に気づく。
「――――!」
声もなく……ううん、誰もが絶句した。
だって、そんなの見れば、誰だってこうなる。
こんなのを現実で見れば……。
血に濡れた彼女が、体育館で倒れている姿を見れば――。
「早輝……ちゃん……」
……それが示す結果に打ち震え、両膝を突く。
「んにゅぅ…………」
……………………かと思っていたら、可愛い寝息を漏らして寝返りを打った。
あれ………………生きてる!? じゃあ、あの……あの……真っ赤なのはなにぃ!
◆◆◆◆◆
「田中さん、犯人の人数は何人と仰っていましたか」
唯世の叱責に近い断言に、琴葉は混乱しながらも……改めて光景を思い出す。
「二人組……身長一七〇から一八〇前後の、男の人」
「彼らは何をしたんですか」
「何をしたって、誘拐」
「もっと細かく……行動を聞いています」
「姫川さんを拉致して、逃走……体育館にぶちまけられた、赤いペンキの上に置き去りにしたわ」
「拉致して、運んだ手段は」
「姫川さんを抱えて」
「どこに、どうやって」
「どこって、それは……」
混乱を更に深めながら、琴葉は立ち上がって、左腕で何かを抱えるモーション。
「こうやって、脇に抱えるようにして」
「速度は? 先制達も追いかけていたんですよね。誰か追いついた人は」
「いえ……その、かなり早くて。誰も追いつけなかったわ」
「そこで一度見失った。
それで今度は体育館から部員≪三津浦美琴≫さんの悲鳴が聞こえて、向かったところ……倒れていた姫川さんを見つけた」
「えぇ」
「三津浦さんは、どうして体育館に?」
「美琴ちゃんもコンテストの様子が気になって、見に行こうとしていたそうなの。
でも途中で例の二人組を見て、なんだろうと思って追いかけたら……」
……唯世がこちらを見るので、間違いないと頷く。
ただまぁ、そこについて触れるのは後だね。今は説明の途中だもの。
「その姫川さんの身長と体重は」
「身長は一五九……体重は、四九キロ」
「実験してみましょう。
僕が同じくらいですから、抱えてください。赤羽根さんと二人がかりで」
「え……」
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
古鉄≪……はい、こちらはとある少女コミックのお話が元ネタです。
まぁとまと的要素もいろいろ入れていますが≫
(小さいころは、割とそういうのを読んでいた……)
恭文「そして琴葉は……あぁ、そっかー! 唯世が出ているものね!
唯世と……そっかー! 応援しているね!」
琴葉「…………そうですね。私、恭文さん好みの体型じゃありませんしね」
恭文「なんでそうなるの!?」
琴葉「視線の熱が、奥様達と全然違うからです……!」
恭文「違ってなにかが問題なの!?」
琴葉「…………………………!」
恭文「だってフェイト達とは結婚して…………ちょ、やめて。
その涙目やめて。恨めしそうな顔をしないで……ね!? ね!?」
(というわけで、とまと同人版の方を何とぞよろしくお願いします。
本日のED:岸田教団&THE明星ロケッツ『Blood and Emotions』)
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