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え〜すな日常/あどべんちゃーSeason2 第1巻経過報告:01(サンプルあり)(2019/4/24)
古鉄≪というわけで、え〜すな日常/あどべんちゃーSeason2がアップ完了。明日(2019/04/25)販売開始です。
みなさん、いろいろずれ込みましたが、何とぞよろしくお願いします≫
(よろしくお願いします。なお今回は……。
本編六話。
番外編三話。
特別書き下ろし一話となっています)
恭文「それで現在僕達は、卯月の誕生会で盛り上がっている真っ最中。
美味しいお菓子もいっぱいだから、ぱんにゃ一家やカルノ達も大盛り上がり」
ぱんにゃ一家『うりゅりゅー♪』
カルノリュータス「カル!」
カスモシールドン「カスカス!」
(ケーキもぐもぐ……もぐもぐ……)
恭文「でも卯月もまた一つ大人になって……今年で二七才だっけ」
卯月「そんなに年を取っていません! というか、私は基本サザエさん時空です!」
古鉄≪それもメタいですよねぇ。……では、そんなメタい卯月さんも出てくる本編の方をどうぞ≫
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
……混濁した意識が定まると、俺は……頬に冷たさを感じる。
いや、頬だけじゃない。右腕や尻、太股も同じ。
やけに重たいまぶたを開けると、そこは……真っ白な床と壁に囲まれた部屋で。
「ようやくお目覚めか」
そんな中、アイツは極々普通に、椅子に座っていた。
脇にテレビを置いて、何か……配線を繋ぎながら。
「チビ……」
アイツを睨み付けて、ようやく気づく。
自分が……服を何一つ纏っていないことに。
後ろ手に縛られ、抵抗できないように……逃げても意味がないように。
「ここは聖夜市じゃない。
ここでは既存の法律は一切通用しない。
ヨルは遠く離れた場所にいる。当然キャラチェンジもできない」
チビは何かを繋いだら、興味なさげに放り出す。
その上で俺を見下してきた……何の迷いもなく。
「そこを踏まえた上で、慎重に言葉を選べ」
「……そんなにガキでいたいのかよ、お前達は」
本当に、呆れ果ててものも言えなかった。
「あむは、大人になろうとしていた。なのに……それを邪魔して……!」
その瞬間だった。
アイツはどこからともなく銃を取り出し、躊躇いなく発砲。
その瞬間、俺の両太股に鋭い熱が走り、打ち震えてしまう。
「が……あぁああぁぁぁあぁあぁあ!」
「慎重に言葉を選べと言ったはずだ」
撃った……撃った、のか……!?
銃を……弾を……俺に……人間にぃ!
◆◆◆◆◆
「たとえば、お前が大晦日に壊したたまご……あの子が将来的に、立派な歌手になれたとしよう。
それは世界平和をもたらす……とまで行かなくても、ファンのみんなに元気を与えることになった。
……それがキッカケで、あるとき自殺に苦しんでいた人が救われるかもしれない。でも、お前のせいで台なしになった」
「ふざけるなよ! そんなこと」
「どうしてあり得ないって分かるのよ。現に歌唄は努力を積み重ね、きちんと歌姫になっているじゃない」
「やめろ……なぁ、こんがらがるなよ! 俺達は本当に、何も悪いことなんてしちゃいないんだ!」
「たとえば、世界を平和にする大発明家になる子がいたかもしれない。
たとえば、お巡りさんやお医者さんになって、たくさんの人を救う子がいたかもしれない。
たとえば、コックになって料理で笑顔を振りまく子がいたかもしれない」
「そんな妄想に縛られるな! 大人になれよ……イースターに逆らうなんて、もうやめろよ!」
「……そういった夢を踏みつけてきたお前らは、生きている価値がない」
俺が、必死に……お前達のためを思って伝えてきたことを。
必死に、目を背けてきたことを。
その全てが俺達を無価値に貶めていると、責め続ける。
「本当に情けない奴。月詠奏子は今でも戦い続けているっていうのに……」
「どういう意味だ!」
「星名専務と再婚なんてしていないんだよ。戸籍上は他人だ」
馬鹿なことをと、鼻で笑おうとした。
「嘘じゃない。ちゃんと調べたもの」
だが次の瞬間出されたのは、戸籍情報。
そこには確かに……月詠、奏子と……!
◆◆◆◆◆
「三条です」
「入れ」
いいタイミングで三条君が来てくれたので、一応労いの言葉をかけておこう。
「すまないな、忙しいところ呼び出して」
「いえ……それで、お話というのは」
「ブラックダイヤモンド計画だが、規模を縮小する」
そう告げると、彼女は不満そうに眉を顰める。
……だが、私もこれだけは譲れない。視線を厳しくし、それを早計と諫めた。
「世界デビューは取りやめるということだ。ひとまず国内制覇で問題ない」
「ご冗談を……これのキモはご説明したとおり」
「だとしてもリスクが高すぎる」
「……まさか専務まで、気にしておられるのですか?
我々のやっていることが、兵器開発になり得ることだと」
「九十九主任からも確認を取られたくらいだしな。
しかも君の弟……三条海里からの親告もあった」
「専務、今優先すべきはエンブリオ確保のはずです」
そうして彼女は、呆れた様子で眼鏡を正す。
「エンブリオの出現条件が未だ不安定である以上、全力で手を伸ばすべきでしょう。
……何も問題はありません。そんなの、ガーディアンが子どもの屁理屈で騒いでいるだけですし」
「そのガーディアンに、専門家≪八神恭文≫がいるのを忘れたのか」
「それも結局ただの子どもでしょう? 同じことですよ」
「その子どもに散々痛めつけられて、泣きっ面状態だったのはどこの誰だ」
……そこで彼女の視線に、怒りと屈辱が宿る。
「何よりただの子どもが……PSAやバニングス社、月村重工などとパイプを持てるか?」
「専務、ですからそれは」
「答えろ」
「それは、ただ身近に縁があっただけのこと。
あのおチビちゃん自体は、社会のことも分かっていないガキンチョですよ」
(やはりか……)
こうやって子ども子どもだと侮ることで、彼女は自分のプライドを守ろうとしている。
IS台頭から、女性社員などに見受けられる傾向だ。文化的侵略というか、自意識だけは高くなり、他者を見下すことがある。
三条君ほどの才女でもご多分になんとやら。
……となれば、私も譲歩する必要があると腹を決めた。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
恭文「というわけで、まずはイースター側から……というか、さくっと歌唄との決着を付ける感じに」
古鉄≪そうして生まれるのは、数々の課題……これを超えなければ、あむさんはやっぱりヒドイン≫
あむ「ぐ……! 頑張るし! マジであたし、頑張るし!」
恭文「じゃあ二郎の食べ歩きしてこいよー。もちろん全て野菜マシマシなー?」
あむ「貴音さんじゃないじゃん!」
古鉄≪そんな貴音さんも出てくる続きを生きましょう≫
あむ「嘘じゃん! 出てこないじゃん!」
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「失礼します」
宛がわれた取調室に入らせてもらい、怯えた様子の女性に会釈。
「第二種忍者、八神恭文です」
「第二種、忍者……!?」
「結論から言います。月詠奏子さん、我々はイースターの異能犯罪を食い止めるため、あなたの身柄を強制的に保護させていただきます」
「異能犯罪……保護って、ちょっと待って! これは」
「保護です」
一旦席に座らせてもらい、かくかくしかじかで説明――。
大まかな状況と、月詠幾斗と月詠歌唄の状況も知らせた結果。
「なんて、ことなの……!」
奏子さんはゾッとした表情で涙をこぼし、両手で顔を覆う。
「あの、幾斗さん達は」
「我々はこの件で邪魔をする者には、最悪殺害行為を持って対処します」
「待って! 幾斗さん達は、私を守るために……だったら!」
「関係ありません」
そんなことは無意味だと、冷淡に告げる。
「それを伝えてなお現実から逃げるのであれば、配慮する道理がない」
「……幾斗さん達は、逃げていると」
「えぇ。謝って済む……目的が達成できれば問題ないと、人の話を聞こうともしない。
そんなガキの駄々に、世界の安全と平和が取り返しの付かない形で脅かされるんです」
「だったら……私に、幾斗さんの説得をさせて。それで」
「駄目です。あなたは人質でもあるんですから」
その意味は奏子さんにも理解してもらえる。
だから顔色が悪くなると同時に、僕へ冷たい視線を送る。
「私が会えないことで……行方が分からないことで、幾斗さん達を牽制する……」
「そういうことです」
「あなたは、まだ子どもなのよね。なのに……そこまでできるの……!?」
「逆ギレはやめろよ、みっともない」
「逆ギレ!? 自分の子どもが殺されて当然と言われて、怒るなと!?」
「元はと言えば、お前らが親として奴らを教育しなかったせいだろうが」
状況などすっ飛ばし、責任はあると告げると……奏子さんが顔面蒼白になる。
◆◆◆◆◆
……ブラっと都内まで出た……のはいいんだが。
「……」
ヤスフミの奴は疲れ果てた様子で、通りがかった公園に入る。
そうして噴水を見ながら、ぼーっと……ここ最近では珍しく止まっていた。
「……ヤスフミ」
「遅かった」
「……無理もないさ」
デジタルワールドのこと、ガーディアンのこと……いくらコイツでもパンクする。
しかもオファニモンの横やりもあったしなぁ……!
「でも、手には届きかけていた」
「……届いただろ。ちゃんと」
「ヨルにも言ったけどさぁ……裏技≪チート≫前提はおかしいわ」
「まぁなぁ」
「では、お兄様はこのまま負けを認めると?」
そこで鞭を振るってきたのは、シオンだった。
「そんなわけないじゃない」
「なら、なぜ俯いているのですか」
「シオン」
「止まっている余裕はありません。もう、私達は走り出しています」
止めようとすると、シオンが押し切って……。
そしてヤスフミは悔しげに、拳を握る。
ただそれだけで……まだ、止まったままだった。
「お兄様……」
「シオン」
それにショックを受けた様子のシオンを脇に引っ張り……らしくもなく窘める。
「お前にしてはらしくないチョイスだな。……そういうことじゃあ、ないんだろ」
「……えぇ」
そういうことじゃあない。
止まるつもりはない。
月詠幾斗達のことだって、厳しく言っているが……それは自省を引き出すため。
これ以上は本当に、”存在してはならない命”として扱う必要があると……必死に叫んでいるだけ。
でも、それでもなお止まってしまっているのは……。
◆◆◆◆◆
「そうだなぁ……イクト君、君は刺身を料理と思うかい?」
「あんなの、適当に魚を切っただけだろ。料理って言えるほど手が込んじゃいねぇ」
「それは勘違いだ。
……その魚を切るという動作一つにも、技術が必要なんだよ」
そう言いながら九十九が、俺の右手を取ってくる。
あむのおかげで、ヴァイオリンをまた弾けるようになった……俺の右手を。
「生物の肉を切断するということは、それを構築する細胞組織を断ち切るということだ。
もしその組織を奇麗に断ち切れない場合、刺身の食感や味わいが大きく損なわれる。
つまり、刺身というのはシンプルなゆえに、料理人の技量と道具の状態が問われる”料理”なんだよ」
「だから、何が」
「君達はその、出来損ないの刺身と同じってことだ」
……そこでようやく気づく。
九十九の目が真剣に……俺を、叱っていることに。
「君も、ヨル君も、自分達の力が強いところを、”どう使えば強くなるか”を考えてこなかった」
そんなことは、分かっている。
「それはつまり、力という道具を使う技術……その意識が全く育っていないということだ」
そんなことは、もう散々突きつけられた。
「対して八神恭文はどうか……これは、もう言うまでもないわね。
八神恭文は第二種忍者でもあるし、この辺りの洞察に手を抜くはずがない」
「だったら……あのクソガキどもは……」
「彼らも同じよ。すぐ身近に、手本となる”先輩”がいる。
だから自然と学んできたんでしょうね……」
そんなことは、本当だと理解している。
「イクト君、まずあなた自身が強くなるしかないの。
自分のキャラなりをどう使いこなせば、一番強くなるか考えながらね」
「そんな時間はねぇ……!」
「時間がなくてもやるんだ。よく言うだろう? 急がば回れって」
「黙れよ……」
「「ひぃ!?」」
「だから、そんなのが問題にならないくらい……デカい武器を作れって言ってんだよ! そんなことも分からないのか!」
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
恭文「というわけで、今まで怠惰に過ごしていたツケを払い始めた猫男。
あっちの唯世達、早めに八神の僕やサリさん達と関わったおかげか、本編より強いからなぁ」
あむ「そうなの!?」
恭文「特に唯世が」
(そういうところも今後は出したい)
恭文「今回はドキたま無印と結構被るところも多いけど、それは許してほしかったり……大変だった」
古鉄≪いろいろ仕込みましたからねぇ。それでも原作の流れには勝てないという……≫
恭文「まぁとにもかくにも、歌唄やダイヤ絡みの闘争はこれで一応決着。
次巻からにはなるけど、本格的にカイザー討伐に乗り出します」
古鉄≪HP版ではやっていない話も盛り込む予定なので、お楽しみに≫
(というわけで、とまと同人版の方を何とぞよろしくお願いします。
本日のED:Labor Day『keep on movin'』)
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