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作者でも分かるとまと同人誌情報コーナー
StS・Remix第5巻、2012/12/16から販売開始です&サンプルもあるよ(2012/12/15現在)



古鉄≪はい、というわけでStS・Remixですよ、StS・Remix≫

春香「私の台詞ー! えっと、今回は」

古鉄≪もちろん前回の続きです。なお改行が少々縮まってますが、これはフォントを幕間第9巻から変えた関係です≫

春香「PDF上で見る時は、HPと同じ感じになるんだよね」

古鉄≪そうです。ではまず、こちらからどうぞ≫


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


年末――それは魔が集うパラダイス。その魔に取り入られ地獄を見た人、数知れず。

まぁそんな事は気にせず僕は、フェイトも連れて銀さん達と合流。某飲み屋さんにて。


『かんぱーいっ! 1年間、お疲れ様でしたー!』


一足早い忘年会を楽しんでいた。ちなみにまだまだ一次会――僕達の周囲を考えれば、もっとカオスになると思われる。


「いやー、今年もいろいろ大変でしたけど、なんとか乗り切りましたねっ!」

「だねー。さ、フェイト」

「うん」

「そうアルなー。わたし達もまたアニメ化したし、結構大変アルよ。しかも銀ちゃんはその話が決まる前に失態犯すし」

「……あー、あれがあったよね。そっくりさん事件。でもまぁ、どれもいい思い出。
来年も心機一転、頑張っていきましょうね銀さん」


明るくそう告げた新八へ厳しい視線を送りながら、銀さんはさっと立ち上がり。


「浮かれてんじゃねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!」

『えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!?』


新八を右フックでどつき倒したのだった。


「銀さん、なにしてるんですかっ! 新八君、大丈夫っ!?」

「なに今年はもう終わったってつらしてんだ、アホどもっ!」

「……いや、だって忘年会だし」

「『百里を行く者は九十を半ばとす』ってのを知らねぇのかっ!
……あ、嬢ちゃんは答えなくていいからな? もう分かってるから」

「見捨てられてるっ!? わ、私だって知ってますー! あれですよね、あれっ!」


フェイト、絶対知らないでしょ。涙目で僕をチラチラ見てくるし。助け舟は出さないよ?

でも……読者のみんなには説明しておこう。これは戦国策と呼ばれる書物に収められた言葉。

この書物は遊説の士の言葉や国策、逸話などを国別に編集し、まとめたもの。


その意味を簡潔に言うと、『最後まで気を緩めるな』という戒めなの。

そう言えばこの人、何気に学はあるんだよなぁ。ただなぜ殴ったかは分からないけど。


「再放送混じりと言えどアニメ三期は放映中、しかも来年には劇場版第二弾が控えてんだぞ?
ここで万が一不祥事なんて起こせば、そのどれもがおじゃん。この一歩こそ、慎重に踏み出さなきゃいけないんだよ」

「そうですね。でも銀さん、そっくりさんってとんでも不祥事かましたアンタには、誰も言われたくないよ」

「るせぇよやっさんっ! お前だって三流主人公だろうがっ! とにかくあれだよっ!
不祥事とか気をつけていくんだよっ! 不祥事怖いよっ!?
お泊まりデートがバレて婚約パーだからっ! 仲間と一緒のステージを謝罪会見の場にしちゃうからっ!」


コラァァァァァァァァァァァァァッ! それはやめろっ! 本当に触れちゃいけないとこだろうがっ!

いや、確かにタイムリーだけど、タイムリーすぎるんだよっ! その話する事そのものが不祥事でしょうがっ!


≪それは言えてますね。『しょうもない』とか言っちゃ駄目ですよ、『私、この映画嫌いです』とか言っちゃ駄目ですよ。
かつおだしのおかゆなら、それでいいじゃないですか。おかゆ素敵じゃないですか≫

≪なのなの。プロとして夢を売るという自覚が必要なの。彼氏とか作っちゃ駄目なの。
オーディションでドッキリとか駄目なの。そんな事したら、アニメのタイアップが消えちゃうの≫

「だからおのれらも乗るなっ! それは本当に駄目っ! タイムリーすぎるんだよ、全てにおいてっ!」

「どうですよ、アルトアイゼンもジガンも自重してください」


おぉ、シオンは冷静だ。こういう時こそ頼れるシオンは、髪をかき上げ不敵に笑う。


「そんな事では、入札するたびに手数料を取るオークションに騙されてしまいますよ? どこ(ぴー♪)に」

「おのれもかいっ! てーかそれは駄目ぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!」

「でもさすがアル。忘年会でもクールアルな、銀ちゃん」


銀さんは感心した様子の神楽へ不敵に笑い、なぜかラジカセをテーブルの上へ置く。


「ここからは俺がラジカセに入れてきた曲を聴きながら、クールに忘年会だ」


――再生ボタンを押して流れてきたのは、銀さんがラップっぽく『COOL!』って連呼しているだけのもの。

え、なに。この微妙なBGMで盛り上がれと? でもそれは無理じゃないかなぁ。


「そう、ですね。浮かれすぎてましたね、僕。銀さん、すみません」

「分かりゃあいいんだよ」


銀さんは笑いながら烏龍茶の入った陶器を持ち、あるものへと注ぐ。

それは……灰皿。銀さんは灰皿から烏龍茶がこぼれても、一切構わずに注ぎ続ける。


「まぁ飲め、俺のおごりだ」

「おぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ! 今更危なっかしいネタ拾うなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


古鉄≪というわけで、あの酷い話を書き下ろしとしてやります。みなさん、年忘れという事で許してください。
そうそう、改行が……という話をしましたね。すんません、嘘です。
やってみて自分でも見にくかったんで、ポチポチ修正しました。
PDF上やとこんな感じで見えてると、イメージしてヴァンガード呼んでください≫

春香「なにをっ!? どうして関西弁っ!?」

古鉄≪不祥事詰め込みまくりですから≫

春香「いや、分かるけどっ! このサンプルを前に出した時、一気に拍手数が跳ね上がったから分かるけどっ!
……でもこれ、書き下ろしだよね? 本編の方はどうなってるのかな」

古鉄≪もちろんそこも用意しています。まぁ書き下ろしはこれ以上やるとマズいので、次にいきましょう≫


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


「僕のターン、ドロー! メインフェイズ!」


手札六枚をチラリと見て、すぐに作戦構築――まず伏せられたカードは、防御系のものと見ていい。

そうなるとここで全力を出すのは無意味。先を見据えて、準備していくべきだ。でも無駄召喚は抑える形で。


「僕は通常魔法、召喚師のスキルを発動。デッキからレベル5以上の通常モンスターを選択肢、手札に加えます」


今引き当てたばかりのカードには、跪く魔導師の姿……いや、この場合は召喚師か。

召喚師の背後には赤い巨体が存在し、まるでその影に敬意を表しているようにも見える。


「僕が選択するのは疾風の騎士セイント・パラディン」


デッキからすっと出てきたカードを抜き取ると、そそくさとシャッフル……便利だよなぁ。僕、シャッフルちょっと下手だから。

ディスクへ感謝しつつフェイトさんに、手にした軽装で槍持ちの騎士を見せる。

薄い緑色のコートを羽織るその騎士は……まぁその、こういう風になれたらいいなという理想像?


僕が見つけたのは使いたいカードは、やっぱり騎士だった。だからまぁ、今まで出すのもちょっと恥ずかしかったんだけど。


「……デッキ、新しくしたんだ」

「はい。ようやく、使いたいカードを見つけたので」


そこで僕は苦笑しながら、六枚の手札に目を向ける。


「まぁ遅いですけど」


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


春香「あ……そっか。六課はもう」

古鉄≪そういう話ですしね。なお今回、シュンレイ様からアイディアを頂いたオリジナルカテゴリーが続々登場します。
シュンレイ様、アイディアありがとうございました≫


(ありがとうございました)


春香「オリジナルカテゴリーっていうと……えっと」

古鉄≪アニメのオリカみたいなノリを、想像してもらえれば。
ただシュンレイ様がかなり考えてくれたおかげで、どれもこれもとてもバランスのいいカードに仕上がっています≫

春香「じゃあえっと、エリオ君のも」

古鉄≪見せ場はありますよ、当然。さて、それでは次です≫



◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「メインフェイズ1に入るよっ! 私はスターライト・ウォリアーを召喚っ!」


涙目になりつつ召喚したのは、白銀の甲冑を身に着けた戦士。

その右手には細長いランス――カッコいいなぁ、突撃槍。


「スターライト・ウォリアーで、豊穣のアルテミスに攻撃っ!」

「カウンター罠、オープン」

「……ですよねー」


うん、分かってた。普通になにが来るだろうなーと思っていると……攻撃の無力化か。

恭文君の前で三色の渦が生まれ、それがアルテミスを守ってしまう。


「攻撃の無力化。豊穣のアルテミスに対する攻撃を無効化し、バトルフィールドを終了。
そして豊穣のアルテミスの効果発動。カウンター罠が発動したので、デッキから一枚ドロー」


恭文君の手札は一枚に……だから顔が悪いっ! いや、悪い顔だよっ!

どれだけ楽しいのっ!? もう本当に事情すっ飛ばしてるしっ!


「カードを一枚伏せて……ターンエンドだよ」


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


古鉄≪はい、こちらもシュンレイ様からアイディアを頂いた、オリジナルカードです。
スターライトシリーズは高町教導官が使う、魔法使い・戦士族を中心としたカテゴリー≫

春香「おぉ、なんか強そう。それで能力は」

古鉄≪まぁそこは本編のお楽しみという形で。そしてあの人のパーミッションも、こんな形でパワーアップをしました≫


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


「あと……その攻撃、もらったよっ!」

「えっ!?」

「自分が戦闘ダメージを受けた時、このカードを手札から特殊召喚できるっ!」


これはゴーズ……ううん、違う。ゴーズは場が空っぽじゃないと使えないもの。

あくまでも条件が似てるってだけの話。なら一体なにが飛び出るの?

なんにしてもこれは遊戯王の中でも、特殊な召喚条件に入る。絶対ロクなのが……あれ?


な、なにかな。恭文君の周囲に黒い渦みたいなのが。


「混沌の闇――降魔の笛が鳴り響く」


手札の一枚をすっとかざすと、黒い渦がカードへ収束していく。

そうかと思うと渦は闇となって一気に広がり、世界を黒く染め上げた。


「さぁ、絶望を味わえ」


明らかに悪役の召喚セリフだよっ! てゆうか厨二臭いしっ!


「トラゴエディア、守備表示で特殊召喚っ!」


カードを置くと、闇は一つの形を取る。それはムカデのような、薄暗い怪物。

いや、これは悪魔だ。角とか羽根とかもちょろちょろ見えてるし。その全長はどう見ても20メートル以上。

胴回りも5メートル。巨大な体躯は私達の周囲で渦を巻き、ゲートによって生まれた宇宙を覆い隠してしまう。


てゆうかこれ、なにっ! どう見てもまともじゃないっ! 少なくとも天使じゃないっ!


「な、なにっ! そのモンスター!」

「最新号のVジャンでゲットした」


付録っ!? こっちではまだ売ってないよねっ! 一体どうやって入手したのっ! 相変わらず謎なんだけどっ!


「トラゴエディアの攻守は、自分の手札の枚数×600となる。だから今は1800だね」

「どこかで聞いたような」

「キュートだよね、トラゴエディア」

「はぁっ!?」

「僕は今まで、パーミッションを勝つためのデッキとしていた。でも……トラゴエディアを手に入れたっ!」


恭文君、お願いだから現実を見てっ! ほら、周囲を取り囲んでいるこれはなにっ! どう見ても禍々しい存在だよっ!

どう見ても世界を滅ぼすものだよっ! なのにどうしてそんなに清々しい顔ができるのっ!? こんなの絶対おかしいよっ!


「そう、パーミッションは今使いたいカードを入れた事で、E・HEROに並ぶ進化を遂げたのよっ!」

「パーミッション関係ないぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ!
それはパーミッション関係ないよっ! ……と、とにかくターンエンドだよ」


……とは言ったものの、もしかしたらパーミッション向きなカードなのかもしれない。注意はしておこう。

だけど……とりあえずは大丈夫なはず。だってスターライトの場持ち、結構いいんだから。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


春香「……プロデューサーさん、やっぱりセンスがないっ!」

古鉄≪そうですねぇ。そしてこれがどう絡むかは……みなさん察してください。
さて、今回はデュエルばかりではありません。ちゃんとストーリーも進みます≫


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


「さて、このまま攻撃してもいいんだけど……これはなのはの根性をたたき直すデュエルだしねぇ」

「そんな趣旨だったっ!? いや、もっと相互的な要素があると思ってたんだけどっ!
というか攻撃したら駄目だよねっ! やられちゃうよね、これはっ!」

「いや、だから聖なる太陽でオネスト」

「その必殺コンボはやめてー!」


てゆうかどんだけ好きなの、聖なる太陽っ! 絶対三詰みとかしてるよねっ! もうね、分かったっ!

オネストも聖なる太陽も、絶対制限化するっ! それだけは確定だと思うなっ!


「なんでもいいんだよ、そんな事。……僕に気持ちよくデュエルさせろよっ!」

「時系列ぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅっ! それ違うっ! それ違うキャラっ!」


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


「なのはのデュエルは素晴らしかったっ! デッキ構築も戦略もっ!」

「にゃにゃっ!?」

「だがっ! しかしっ! まるで全然っ! この僕を倒すにはほど遠いんだよねぇっ!」


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


「なのは、僕のファンサービスは気に入ってくれたようだね」

「キャラがおかしいよ、恭文君っ! あと時系列っ! やっぱり時系列っ!」

「人は希望から絶望へとたたき落とされた時、もっとも美しい顔をするっ!
そう、それが僕のファンサービスだっ!」

「だから時系列ぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅっ!」


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


古鉄≪えぇ、意味が分からないでしょう。それも当然です、ネタバレなところは避けていますので≫

春香「……なにも進んでないよっ!? プロデューサーさんが完全にラスボスみたいだしっ!」

古鉄≪進んでいますよ? ネタが≫

春香「なんて意味のない進行っ!」

古鉄≪まぁそれはジョークなので、次行きましょう次≫


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


「……なるほどな、でもゼスト・グランガイツの目的はなんや。
なんややらかしてるとしても、最高評議会の事もあるし」

『復讐だ。ゼスト・グランガイツがこのような状態になったのは、レジアス中将に裏切られたせいとも言える』

「最高評議会と組んでたからですか」


それなら納得はできるのよ。レジアス中将は自分を裏切っていて、結果部隊も全滅したわけだし。例えなにもしてなくても。


『違う。レジアス中将はゼスト隊に、圧力をかけていた』


そんな僕の考えは、その一言で一気に覆された。というか、もっと直で来てたよ。

フェイトやシルビィ達も予想外らしく息を飲み、まさかという顔をする。


『当時の事を調べてようやく分かってな。関係者の口も堅かったので、かなり大変だったよ。
……中将はスカリエッティに、隊の行動をリークしていたと思われる。そこの調査はまだだが』

『ちょっと待った。それは』

『事実です。というか、そこは最高評議会の記録に残ってないんですね』

「僕も目を通しましたけど、全く。どうも奴等にとっては、取るに足らない事だったみたいですね。
……復讐するは我にありですか。そりゃあ最高評議会が捕まっても、戻る理由がない」

『あぁ。レジアス中将と接触する事が目的なら』


局に捕まってしまえば、それは恐らく果たされない。どうしてそうなるかは、みんなの反応を見れば一目瞭然。

万が一の事があれば、あの人だから知っている事実を明らかにできないもの。それは困るのよ。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


春香「あ、ストーリー進んだ」

古鉄≪前巻とかでもネタ振りしたところですね。これが機動六課最後の案件となります≫

春香「復讐を止める……また難しい話に」

古鉄≪大丈夫ですよ、デュエルをすればなんでも解決です≫

春香「デュエルはどれだけ万能なのっ!?」


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


私は力が欲しかった。10年以上前の地上は、毎日のようにそう思うほどに酷い有様だった。

なんとか平和という体裁を守れるだけの治安維持を、私達は繰り返していた。

予算や戦力は本局に吸い上げられ、いつでもかつかつ。手を伸ばしたいところへ伸ばす――そんな当たり前の事すらできない。


それが苦しくて悲しくて……いや、それすら感じて、感傷に浸る余裕すらなかった。

我々は平和を守る組織ではない。そういう体裁が成り立っていると、世間に思わせる組織だった。

それが守れていると言う奴もいる。そう錯覚をして、我が物顔で歩いている奴もいる。


だが違う……違うんだ、私が望んでいる平和は、そんな形ではなかった。

あの日も……いつの事だったか。中央本部の広間を、私はいら立ち気味で歩いていた。


「くそ……また止められなかったっ! もっと我々に戦力があればっ!」

「落ち着け、レジアス」

「これが落ち着いていられるかっ!」


奴に諌められながら思い出すのは、昨日起こったばかりの事件――密輸によって、ロストロギアが持ち込まれた。

それが派手に爆発して、市街地で大惨事だ。……あんな街中で、取引などするから。

もちろん我々は手を伸ばした。そんな事にならないよう、犯罪者達も道をやり直せるよう、必死にだ。


だが届かなかった。私の手はまた命を、場所を、思い出を取りこぼす。

平和ではなく、体裁を守る事しかできない。そんな自分が腹立たしくて、ひと目も弁えず吠える。


「現場の事は俺にも責任がある。すまなかった」

「いや……すまん、お前を責めているわけでは」

「分かっている。安心しろ、レジアス。……とことん付き合ってやる。
お前が嘆くなら一緒に嘆くし、喜び涙するなら一緒にそうしよう」

「その割には、冷静だな」

「……できれば人目がつかないところでお願いしたいからな」


奴はそう言って、苦笑しながら周囲を見る。……いつの間にか私達は、人目を集めていた。

そこで私はなぜか笑った。笑って涙を零し、また声をあげる。

どうしてだろう、悲しく虚しいのに……この瞬間がとても幸せだった。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


私の目的は、身も蓋もない言い方をすれば権力だ。権力を手にし、地上に置ける問題を解消する。

問題は山積みだ。戦力、資金、部隊編成、設備――それを変えるためには、力がなくてはいけない。

私は魔法能力者ではなく、かのヘイハチ・トウゴウのような英雄ではない。だから出世を望んだ。


そんな私の代わりに前へ出て、戦ってくれるのが同期である親友――ゼスト・グランガイツだ。

私が場を整えるのなら、奴はその場で現状に対応する。そうして二人で、地上をよりよくしていく。

それが私達二人の誓いであり絆。私達はゼストの言葉通り、共に泣き、喜び、嘆き、そうしてまた笑う。


体裁を保つだけの日々が続く中、私達はその絆を深くしていった。喜びも少しずつ生まれていく。

こんな不器用な私にも妻ができ、子が生まれ、次の世代が芽吹き始める。

ただアイツは私以上の不器用だったので、なかなか縁が結べなかったのが悩みの種だったが。


しょうがないのでちょちょくうちに呼んで、家族の温かさというものを教えてやったりもした。

そうしたら娘はゼストの方に懐いて、それはもう大変……そうだな、私は幸せだった。

まだまだ問題は山積みだが、手が届かない事もあったが、体裁は本当の平和になりつつあった。


私達の努力は、長い時間をかけて実を結び始めていた。だが……私はそれでも、それでもと手を伸ばす。

友との約束を、自身の夢を形にするため。……そんな時、私は神の啓示を受けた。

ある日いきなり連絡をもらい、呼び出された私はそこで三つのポッドと出会う。そうして世界の真実を知った。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


春香「えっと、これは」

古鉄≪HP版にはない描写ですね。こういうシーンも今回は入っています。
ちなみにこのシーンは、描き方こそ全然違いますがテレビアニメの方でも≫

春香「あ、あるんだ」

古鉄≪簡単にですけどね≫


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


フェイトにはしっかりお仕置きをしたので、これで問題解決。


「ヤスフミ、聞いてよっ! はやてが酷いんだよっ!」


……と思ったのに、108の隊舎で朝食を食べていると、平然と絡んできた。


「一体なに。てゆうか、起きてお風呂に入って、ここへ来るまでの間になにがあったのよ」

「カレーだよ、カレー!」

「……はやてー! 一般人じゃ話にならないから、ちょっと来てー!」

「ヤスフミも酷いよー!」


しょうがないでしょうが、『なにがあったのか』と聞いてアンサーが『カレー』って……どんだけイミフなの。

それを察したのかどうかは知らないけど、やや眠たげなはやてがこちらへとたとたとやってくる。


「あー、ごめんなぁ。いやな、ちょうどここへ来るまでに顔合わせたんよ。なのはちゃんとヴィヴィオも一緒にな」

「うん」

「そうしたらヴィヴィオがカレーを食べたいって言い出して……まぁ夕飯とかよ。ほら、六課のカレーもなかなかやったし」


なるほど、カレーと言えば老若男女問わず人気メニューだしなぁ。

しかも六課のカレーは、はやてが言うようにかなりレベルが高い。

目新しいものではないんだけど、相当丁寧に作っていたから僕も好きだった。


ヴィヴィオでも食べられるような深い味わいで……そういや108とは味が違うからなぁ。

こっちはどちらかというとスパイシーな感じだし、ヴィヴィオには少し辛いか。

ヴィヴィオが言ってるのは多分『六課の食堂で出してたカレー』だと思うから、そういうリクエストが出たんだね。


「それでね、私があれは本格インドのカレールー……というかカレー粉?
そういうのを使ってるだろうから、難しいねって言ったら」

「……は?」

「……そうなるやろ?」

「はやてが今みたいに言って、インドにカレー粉はないって言うんだよっ!?
そんな事ないよねっ! カレー粉がないとカレーはできないしっ!」


アホな事を言うフェイトには、左手で軽くデコピン。フェイトが頭を押さえている間に、はやてと相談開始。


「はやて、これはしょうがないよ」

「まぁ確かになぁ。でもどないしようか」

「調理場貸してもらえれば、僕が再現するよ? レシピは想像ついてるし」

「お、そうか。なら三佐には許可取っておくから、お願いできるか?
……ヴィヴィオはこれから大変やし、ちょっと息抜きさせたいんよ」

「了解」


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


カレーに必要なものはなにか――それはスパイス。具材に関しては基本的なものばかりなので、改めて買う必要はない。

ただ108のカレーは六課とそこが違う感じなので、改めて入手する必要がある。

そこについてはお店のアテがあるんだけど……潰れてなきゃいいけどなぁ、暴動とか起きて大変だったし。


心配しつつも僕達は市街地を進み、ついでにカレーに関して軽く講座しておく。


「そう言えばミッドのカレーって」

「地球から入ってきたって聞いてるわ。……マジで地球文化の影響、受けまくりよね」

「日本語のお店も普通ですしね。僕達も日本語話してますし……でも恭文さん」

「エリオの言いたい事は分かってる。インドがカレーの本場なのに、どうしてカレー粉がないか……でしょ?」

「えぇ。まぁルーは一種のレトルトというか、簡易調味料と考えれば納得できるんですけど」

「エリオ、よく分かったねー。それ正解だよ」
 

左手を挙げ、指を鳴らしつつ左へずれる。そうして前からやってきたジョギング中のおじさんを回避。

あれだけの騒ぎがあっても、普通に日常を送る人達はいる。そういう人達が、生活の基盤を支えてるのよ。


「ルーというのは、元々はフランス料理から生まれた。ソースのとろみ付けに使うものなんだ。
小麦粉をサラダオイルやバターなどの食用油脂で炒めて、調理したものなんだ。
今市販されている各種ルーはそれの応用品で、そこにスープや調味料を混ぜ、水分を飛ばし固めたもの」

「本当に簡易調味料なんですね。でもフランスという事は、その……インドという国にルーはない」

「じゃあカレー粉がないってのはどういう事? カレーの材料よね」

「そこについては、カレーの成り立ちから説明だね。それじゃあ簡単に食べ歩きしていこうか」


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


古鉄≪というわけで、カレーについてのお話です。ちなみにサブタイトルはここから来ています。某漫画のインスパイアですね≫

春香「あれっ!? え、でもどうしてカレーにっ!」

古鉄≪最終決戦前に1クッション置きたかったんですよ。いろいろ仕込みもありますし≫

春香「あぁ、その関係で。じゃあえっと」

古鉄≪いよいよあの人達が姿を現します。ここは同人版を見てのお楽しみで。
……というわけで、StS・Remix第5巻をお楽しみに。カレーは美味しいですよ≫

春香「カレーメインの話なのっ!?」





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