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とある魔導師と閃光の女神のえ〜すな日常/いんふぃにっとII 第8巻経過報告:02(サンプルあり)(2018/3/15)
古鉄≪というわけで、いんふぃにっとII第8巻は明後日(2018/03/17)発売開始です。みなさん、何とぞよろしくお願いします≫
(よろしくお願いします)
恭文「今回は本編七話・特別書き下ろし四話となっています。
そして本編部分の書き下ろしも……そこそこ増えたはずなのにぃ!」
古鉄≪次巻に回した部分がありますしね。まぁそちらは次のお楽しみということで≫
(いよいよ決着です)
古鉄≪それで今回は書き下ろしのご紹介です。さっそく見ていきましょう≫
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
彼女は、息を切らせながらウェイトトレーニングに勤(いそ)しんでいた。
バーベルを重そうに……いら立ちも感じさせる表情で、一回一回かみ締めるように上げていく。
それが終わったらランニングマシン。小柄ながら整った顔立ちで他の人の目を引きがちですが、彼女はそれに構わず、ひたすらに走り抜ける。
「何をしていますの」
その様子にわたくしの方がいら立ちながら、隣のマシンを借りて走る。……つけていたわけではない。ただ、鉢合わせしただけで。
「こんなところにいないで、とっとと治療を受ければよろしいのに」
「そうもいかない。今止まっていたら、何もできなくなるからな」
「今のあなたにできることなんて、せいぜい病院の天井を見上げて、染みを数える程度ですわ。何より病人もどきがいられても迷惑です」
「自分の尻は自分で拭う」
だから、そういう姿がいら立つというのに……!
◆◆◆◆◆
「はい! というわけで、今日の献立は先日から続いて中華です」
家庭科の授業で、西野先生が電子黒板を右手で差す。そうして現れたワードは――。
――トマトと卵のいため物――
「トマトと卵のいため物は、中国人が最初に覚える家庭料理と言われています。それに栄養もバッチリで簡単ですから…………あれ」
すると西野先生が、軽く小首を傾(かし)げた。
「八神くん、どうしました?」
「どうしたとは」
「だって、いつもなら中華料理実習のときは……凄(すご)いテンションで」
「先生、聞くまでもありませんよ。ヤスフミはトマトが苦手なんだよねー」
『あぁ……』
そうでした。恭文さんはトマトが苦手なんです。トマトソースや加熱したものはOKですけど、生トマトが駄目らしくて。
なんでも青臭い感じが辛(つら)いとか。だから……テンションがそんな、駄々(だだ)下がりなのですね。
「いや、そんなことないよ? こういうのはアレだよ……鶏(とり)ガラとオイスター、砂糖たっぷりで更にマヨネーズとウスターソースをぶちまければ軽い軽い」
「調味料の入れっぷりが全く軽くないんだけど! それは全く別の料理になっているよね!」
◆◆◆◆◆
『家で朝食を取っている人間が、どうやって犯行に及ぶんですか』
『だから、その”家にいた”というのが……』
『献立の内容から、食事中に見たテレビ番組までお伝えしていますし、妻との証言とも一致しているんでしょう?』
『飽くまでも”身内”の証言です。先日もお話しましたが、第三者の客観的証言が必要なんです』
『では、私の行動に何か不審な点が?』
『いえ……』
そう言われると弱いらしく、西園寺さんは引き下がるしかない。そう……実に巧妙だった。
犯行現場での目撃者もなく、この紳士が嘘をついていると証明もできない。
……だからこそ、僕と楯無が引っ張り出されたわけで。
「むしろ今は」
取調室のドアを開き、楯無と一緒にこの場に乱入。左手でスーパーの袋を持っているため、その袋が擦れる音も小さく響く。
「不自然なくらいが自然な場合もあるかもしれません」
「八神さん……更識さんも、お疲れ様です」
「お疲れ様です」
「あの、彼は……」
「初めまして、第二種忍者の八神恭文です」
「第一種忍者の更識楯無です。本件の調査を聖夜市警察から頼まれまして」
≪ベルトちゃんだよー≫
そんなわけで、早速謎解きといこう。でも、楯無がとても不安げに僕の手を掴(つか)む。
「恭文くん、大丈夫なのよね……!? 私、何も聞かされてないんだけど!」
「大丈夫大丈夫ー。いざとなったら楯無が責任を取ってくれるし」
「ちょっと!?」
◆◆◆◆◆
「バターロールはどうやって食べましたか?」
「バターを塗りましたよ? それも普通でしょう」
「本当に?」
「えぇ」
「間違いなく?」
「えぇ。というより……なんですか。この質問は」
右指を鳴らし、山岸さんを鋭く指差す。
「はい、ダウト」
「……なんですって」
「八神さん、それはどういう」
「実はあなたの御自宅で、奥さんともお話をさせていただきました。ただ……キッチンの光景と調書の内容に、ちょっとしたズレを感じまして」
「ズレ、ですって……!」
「確かにあなたの証言も、キッチンの様子も極めて一般的な光景です。でも、バターロールに、バターを塗ったんですよね」
その、嘘をつく必要がないような流れを再度持ちだされて、山岸さんの表情が不愉快さで歪(ゆが)む。
「えぇ……!」
「一回だけ?」
「えぇ!」
「間違いありませんね」
「何度同じことを言わせれば気が済むんですか! こんなことに何の意味があると!?」
「意味ならあるんですよ。……その普通のディテールが、不要になっているケースがありますから」
持っていたスーパーの袋から、バターロールの詰まった小袋を取り出して机に置く。ただし、それは普通のバターロールではなくて。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
フェイト「トマトと卵の炒め物でたっぷり味付け……ヤスフミィ……」
恭文「な、なによ! 別にいいでしょ!?」
(本編でも同じらしいです)
恭文「というわけで一つは、どうにも微妙なセシリアとマドカのお話。もう一つはめしばな刑事タチバナですね」
古鉄≪あなたも本編で楯無さんと仲良くなれるといいですね。以前も拍手で来ていましたし≫
恭文「なんの話!? というか仲良くしている描写じゃないー!」
(そう、今回も事件です)
恭文「と、とにかく次……それじゃあ次にいってみようー」
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
『――本日の学科試験合格者は、受験番号001』
「よっし!」
これである意味最大の難関をクリア……! ついガッツポーズをしながら、午後に備える。
まずは免許証に使う写真を撮影し、それから原付き講習。講習手数料が四二〇〇円と結構高いのに驚きつつ、申込用紙にさらさらと記入。
それで原付きの乗り方や安全運転の知識を教わるんだが……なんか、すげー個性的なメンバー。
「うぅ、仕方ないとはいえこの格好は……!」
半袖・半ズボン・サンダル・ハイヒールなどが禁止のため、ジャージ着用を嘆いているギャルとか。
「ち……あの白バイ野郎。地獄へ落ちろよ……」
何やらぶつぶつ言ってるおじいさんとか。
いや、だが油断はするな。これは試験ではないけど、大事な話だ。
なにせ……原付きはいきなり公道デビューだからな! ここできっちり練習しないと!
ただ、問題があるとすれば――。
「はい、というわけで初めまして。本日の原付き講習を担当する八神恭文です」
≪ベルトちゃんだよー≫
なんでか、講習担当が満面の笑みを浮かべた八神だった……! というかベルトちゃんまでいるし!
おい、どういうことだよ! お前が所用で休むってのは聞いていたが……こういうことか!?
◆◆◆◆◆
「教官は夏休み、北海道(ほっかいどう)の忍者さん一族で修行をさせてもらいまして。頑張って習得しました」
「マジで分身なの!? あれ!? チャクラとか魔法とか……感激かも!」
「あ、余り広めないでくださいね。秘密の技なんで」
「はーい!」
八神教官、それはアリなんでしょうか。現時点でかなり非常識なんですが! というか秘密の技なら使うなよぉ!
「そんな分身を使って、まずは最初に見てほしいものがあります」
「ち……いいから速くしろよ! こっちは忙しいんだよ!」
「まぁまぁ、そう焦らずに」
分身は用意していたスクーターに乗り、アクセル全開で走らせる。そうして用意されていた小さめのコースを一周する。
……かと思ったら八神の本体は、そこにオレくらいはある人形を取り出し、ゴール付近に立たせる。
それにとてつもなく嫌な予感が走る。
というか、よく見るとスクーターもこう、あっちこっちに金属製のバーが装備されているような……!
「さぁ、そろそろ来ますよー。三、二……一!」
スクーターは何の躊躇(ためら)いもなく、全開走行で突っ込み――人形をはね飛ばす。
プラスチック製のボディがひしゃげ、関節がへし折れ、跳ねるように虚空に舞い、地面に叩(たた)きつけられる。
そのやたらと重い破裂音と落下音に、オレ達全員が絶句する。何やらいら立っていたおじいさんでさえ、顔面蒼白(そうはく)だった。
そうしている間にスクーターはもう一周して、オレ達の前に停止する。
分身はスクーターのエンジンを切り、サイドスタンドを建てた上で降車。
かと思うと掃除用具を取り出し、そそくさと壊れた人形とその破片をコース場から取り除いていく。
「――はい。じゃあ今の光景をよーく覚えておいてくださいね。みなさんにも後でやってもらいますから」
「「「え?」」」
「いや、今度はみなさんに、人形を跳ねて壊してもらいます」
「「「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」」」
◆◆◆◆◆
「八神くん!? 今までどこにいたんですか!」
「いや、言ったでしょ。知り合いの家がベトナムで新しいお店を開くから、お祝いに行くって」
「えぇ、言われましたね! それも出発直前に! というか……もう戻ってきたんですか! まだ五日目ですよ!?」
「いわゆるとんぼ返りですね。あ、先生にもちゃんと……アオザイ、着てくれますよね?」
「は、はい。あの、ありがとうございます……なら後で試着を」
すかさず山田先生とこのアホには出席簿アタック。色ボケを停止させると、八神は素早く自分の席に座る。
「みんなにもお土産は買ってきたから、あとで配布するよー。といってもお菓子だけどね」
「待ってください! 恭文さん、それはつまり……わたくしにはアオザイなどがないということですか!?」
「うん」
「なぜですか!」
「いや、おのれが遠慮したんでしょうが。断捨離中だからって」
「そうでしたー!」
オルコットは自業自得で後悔して突っ伏す。
「ヤスフミ、そこは察して買ってきてもよかったんじゃ……」
「いや、セシリアのスリーサイズとか分からないし」
「それだと山田先生は知っているってことになるんだけど……!」
「直接教えてもらったからね。アオザイを買うために」
「山田先生!?」
「だって、着てみたかったんです! 現地のアオザイ!」
≪お嬢様、頑張らないと駄目ですよ。このままでは負けヒロインとして名を連ねることに≫
「ブルー・ティアーズ!?」
◆◆◆◆◆
「更に他の最新ネタも仕入れてきた。……近年はアジア各国でカップ麺ジャンルの人気が上がっているんです。
それはベトナムでも実感したんだけど……」
八神は一旦席に戻り、あるものを取り出す。それはカップ麺なんだが、【WAKAME】とパッケージにかかれていた。
「わかめ? え、わかめのラーメン………………ちょ、八神くん!」
「先生、どうしたんですの?」
「エースコックの商品にあるんですよ! わかめラーメン!」
『えぇ!』
「えぇ。一九八三年、逆張り的に観光路線に挑んで大ヒットさせた――王道の異色作『わかめラーメン』のベトナム版!
……調べてみたところ、最近出たばかりの新商品で、ごま・しょう油味とみそ味の二つとも、早速地元では評判がいいらしいです」
「こ、これは実食を」
「しました。そうしたら驚きましたよ……結構、違うんです」
「ならば、すぐに持ってくる」
そう言いながら、教室から出ていく……!
「日本(にほん)のわかめラーメンなら、私の部屋にある!」
「おいこら待て! 授業はどうした! 今更だけどよ!」
「織斑ぁ! そんなものより大事なことがあるだろう!」
「教師として一番言っちゃ駄目なことだよなぁ!」
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
恭文「というわけで、ベトナム即席麺のお話です。ベトナムはいいよー、フォーも美味しいし」
古鉄≪あなた、地元に行ったときはよく食べてましたよねぇ≫
(ずるずるずるー)
恭文「まぁこんな感じで、書き下ろしはゆるーくいきます。そちらもお楽しみに」
古鉄≪なお、次巻についてはあれから書き下ろしが一本仕上がりました。
もっと言えば今回書き下ろした分を回したものが≫
恭文「尺や展開上どうしても組み込む余裕がなかったからなぁ。……でもアルト、もう三月後半だよ」
古鉄≪えぇ。温かくなってきたのと同時に、ビルドダイバーズ本編まであと半月……グリモアレッドベレーも出ますしね≫
恭文「楽しみだよねー。四月からはまた楽しいことがたくさんだ」
(というわけで、いんふぃにっとII第8巻を何とぞよろしくお願いします。
本日のED:KNOCK OUT MONKEY『BREAK』)
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