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作者でも分かるとまと同人誌情報コーナー
幕間リローデッド第14巻経過報告:03(サンプルあり)(2018/2/25)
[TOMATO] とまと幕間リローデッド 第14巻『Kの精神』




古鉄≪というわけで、こちらでは書き下ろしやISクロスをご紹介します。
……ほら、しっかりしてくださいよ。現実に戻ってくださいよ≫

恭文「ぐす……星梨花ぁ……」

フェイト「ヤスフミィ……」


(蒼い古き鉄、完全に父親の気分)


恭文「それでは、えっと……かき、書き下ろしを……」

フェイト「ヤスフミ、しゃきしゃきして! ほら、頑張って!」

古鉄≪そうですよ。あなたの大好きなことですよ?≫


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


その男は、港区(みなとく)の雑居ビルで王様を気取っていた。呑天会……窓ガラスに張られているテープがこう、泣かせるなー。


事務所を訪れてみると、がっしりとした体格に白斑眼鏡&口ひげ。高そうに見えて微妙に安っぽい着物姿で、その男は出迎えてくれた。

二人でソファーに座り、アーミージャケット装備の男達がいる中、二階堂からサクッと話を切り出す。


「もうね、僕はあの学校に愛想が尽きたんですよ。給料は外観とは想像もできないほど安いし、定時なんて存在しないブラック企業だし。
その上千川さんに訴えられる始末でしょう? もう情けなくて情けなくて……」

「いや、まぁ……魚心あれば水心ありというやつで、聖夜学園がキチンとした誠意を示してくれたら、我々は問題ないのだ」

「誠意と言いますと」

「まぁ、その、なんだ。魚心あれば水心と言うだろう? というか……学園に愛想を尽かすのは分かるが」


千川は葉巻を加え、脇に控える部下に火を付けてもらう。紫煙がくゆる中、匂いなどはフィールド魔法でシャットアウトーっと。


「なぜ、その……生徒をこんな場所に」

「まぁ教師としては余り褒められたものではありませんが、僕はこの蒼凪君とはとても馬が合いまして。年の離れた弟みたいなものなんですよ」

「お兄ちゃんー」

「弟よー」


ついわざとらしくハグ……でもお互いすぐに離れてしまう。……内心ではそっぽを向いて、舌を出してやりたいよ。


◆◆◆◆◆


「恭文くん、どうだった?」

「バッチリ。ここに住んでいたのは、竹井明夫――不動産の社長さん、その人の実家とは知り合いらしくて。しかも銀行員」

「結構なエリートさんってこと?」


フィアッセさんがそう言いながら、部屋を見渡す。ここも海鳴(うみなり)のハラオウン家に負けず劣らず、結構広い家だからなぁ。

こんなところに独身で住めるっていうのは、やっぱり相当稼いでいないと。


「ただ突然仕事を辞めて、ここを引き払ったそうなんですけど……その後に僕達が入ってきた」

「でも、その仕事を辞めた理由もさっぱり?」

「うん。とりあえず実家の連絡先は聞いたから、そこに確認を取って」


ティアナにそんな話をしていると、インターホンが鳴る。


一体誰だろうと思いながら立ち上がり、玄関を開けると……チェックのジャケットとスカートを着た、二十代後半の女性がいた。

調った外見に、肩まで伸びた黒髪。戸惑い気味の女性は、僕の知らない人で……。


「あの、竹井さんは」

「竹井……竹井明夫さんのお知り合いですか?」

「ヤスフミ、どちら様?」


フェイトが珠美ちゃんを抱いて出てくると。


「………………珠美ぃ!」


その人は慌てた様子で……土足のまま駆け上がり、フェイトへと跪(ひざまず)く。


「珠美! 珠美を返してぇ!」

「ふぇ!? ふぇ……ふぇぇぇぇぇぇ!?」


◆◆◆◆◆


「明夫さんの実家は」

「思いあまって電話したのですが、実家にもいないと……」

「そもそも明夫さんって、家ではどういう立ち位置だったんですか」

「嫡男……後継者です」

「……恭文くん、それって」

「二人を引き裂こうとした結果、かもしれませんね」


格式を気にして、結婚相手も自分達が決めた人と……でしょ? そりゃあ当然ながら、裕美さん達は邪魔だよ。

縁を切るためにいないと言い張り、何らかの事情で連れ戻した明夫さんを管理している。そう思える状況だよ、これは。


「じゃあ……」


あのとき置かれていた手紙を取り出し、文面を見せつける。

なお、この手紙に書かれている『恭文』は竹井明夫氏なのであしからず。


――恭文さん。
御結婚、おめでとうございます。
いろいろ考えましたが、やはり珠美(たまみ)は父親であるあなたの元で育てていただいた方が幸せになれると思います。
あなたにそっくりでしょう。かわいがってください。
お願いします。
裕美(ひろみ)――

「その明夫さんが結婚しているってのは、どこから聞いたんですか」

「……珠美が生まれてからもう一度、このマンションに来てみました。すると」


そこで裕美さんが見やるのは、正座状態で呻(うめ)いていたフェイトだった。


「あなたが出てきたのです」

「え、あの……私、が?」


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


恭文「はぁ……元気が出てきた!」

フェイト「ヤスフミ……ふぇー!」


(蒼い古き鉄、復活)


恭文「というわけで、続いてはISクロス……こちらの方、パイロット版から書き下ろし部分が増えた関係で、前巻からまた話数が進んでおります」

フェイト「また!?」


(いやぁ、宵越し編は強敵でしたね)


恭文「でも話的には前回収録した分から直結しているので、ご了承ください」


(というわけで、今回は101話からスタートして……パイロット版は終了です)


フェイト「ふぇ!?」


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


「さて……僕達はこれから敵本拠地へ乗り込み、一連の騒動を起こしていたブレイヴピオーズ一味を制圧。
更に稼動状態にあると思われる宇宙の眼を停止させ、その鍵として情けなく利用されたライアー・サマンワも説教する」

「そっちはオレの担当だな」

≪立ちはだかる障害、その全ては実力を持って排除します。無論生死は問わず……異議は≫

『なし!』

≪よろしいの。敵基地にはサーヴァントもいるけど、相応の対策はみんなのおかげで整えられたの≫

「ラウラ達と楯無、それに今日入部した子達も別途駆けつける」

「入部?」

「……私だ」


そこで追いついてきたのは……というか、恥ずかしげにしているのは、IS学園制服に身を包んだ織斑マドカだった。


「マドカ! アンタ……その格好は何よ!」

「……恩赦絡みだ。IS学園の一員だと示すように……というか、馬鹿なのか? 北極(ほっきょく)だぞ。専用装備も用意しているのに、制服を着ろとは」

「そうは言わないでよ。一応面目ってやつは立てておかないといけないから。……まぁそういうわけなので、マドカも体験入部ってことでよろしく」

「それも問題ないッス」

「あぁ! 改めてよろしくな、マドカ!」

「……こちらこそ、よろしく頼む」


副部長の織斑一夏がしっかりと握手。その様子に安心しながら、懐に手を伸ばして……。


「というわけで織斑一夏、それにレオブレイヴにはこれを」

『私達に?』


そう言って取り出すのは、ルード・ルドナ……織斑一夏は驚きながらもカードを受け取る。


『おい、これは……』


レオブレイヴもどういうことかと、織斑一夏の脇から僕を見上げてきた。


◆◆◆◆◆


そこで、周囲の景色が一変する。展開していた結界が解除され、中からフワフワと無数の機体が出てきた。

中心部に存在するのは、ドクロを模した巨大戦艦。あれが、クライシス帝国の……テレビで見たそのままじゃないですか。


「おいおい……ダブトの恭文、どういうことだ!」

『システムは言った通り、全て掌握しているよ。ブレイヴピオーズの権限で掴(つか)めるところは全て……』

「つまり、それ以外があるんですね。コイツらもそのラインで作られていた」

『そう。みんな、最大火力でドガーンは本当に駄目だからね?』

「分かってるよ。さすがに過剰過ぎる……つーか」


飛び上がった機体達は、揃(そろ)って氷原に足を付け、そのままホバリング……こちらに突撃してきます。その様子を見て、太一さんが苦い表情。


「地に足着けての殴り合いがお望みらしいなぁ……! 例の、パワースポットでの保護は」

『もうやっている……え、臨界点突破!? フィールド展開……くる!』


やはり巨大な力らしく、発動には相応の時間がかかった様子。でも、ここまでの準備は確かに実を結んだ。

……白い雪原は赤・白・緑・紫・黄・青と一色ずつに変化したかと思うと、その全てが虹色に染め上げられる。

その変化は一瞬で終わる。でも、僕達にも分かる……大地がさっきよりもずっと、力強くなったことに。


『お待たせ!』

「おっしゃ! ……で、俺達はデカブツが出てきたときの備えとして……アイツらは」

『当然、わたくし達の領分ですわ』

『そういうことだ』


――そこで、蒼い閃光(せんこう)が空から走る。
超高高度の攻撃でゴーレムの一体が撃ち抜かれ、その機動を乱す。後続の編隊がそれを迂回(うかい)しつつカバーしているところで、空気を斬り裂く音が響く。

無数の砲弾が放物線を描きながら飛び、偏差着弾破砕のパレードを巻き起こす。


でも、それだけでは彼らの進軍は止まらない……数は聖夜市を襲ったほどではないにしても、相当数だった。

……だからこそ、爆炎を突き抜ける敵機達を遮るように、金色の魔法陣が展開。その中から緑色のISが現れる。


いや、それはISと表現していいのか……砲台と言うには余りに無骨で、長すぎる四つの影。

樽(たる)型の弾倉はそれだけでISの全長を大きく超え、背部に背負うザックは更に巨大。

それを支える鉄柱型のサブアーム四本とメイン脚部二本が、表現の大地を割らんばかりに踏み締める。


◆◆◆◆◆


敵の出鼻と大部分を叩(たた)き、脇に回って山田先生達を潰そうとした連中は、別働隊の偏差着弾破砕砲撃によって迎撃される。

それでも……それでもなお回避行動を取って撃ち漏らした少数。この二段構えのすり鉢を抜けてきた者達は、我々の担当です。


「……山嵐!」


簪さんの山嵐で出鼻を挫(くじ)きつつ、ゴーレム達へ踏み込む……ブルー・ティアーズもようやく、追加装備発動です。

それはガンランス……とは、恭文さんの談。青いボディに螺旋(らせん)が刻まれた、巨大な突撃槍。

傘のように広がる鍔(つば)があり、上下左右に砲口が仕込まれている。


≪ストライクガンナー≫に使われた全長二メートルのレーザーライフル≪スターダスト・シューター≫を改良したのがこれ。
レーザーガンランスSDBD≪スターダスト・ブレイクダウン≫……なお、恭文さんは名前を聞いたとき、頭を抱えていました。


その巨大ランスを腰だめに構え、速度全開で突撃――。
ゴーレムから放たれる閃光(せんこう)を連続バレルロールで抜けて、一体のボディを捉える。


SDBDはピンポイントで突くというより、押しつぶすと形容するのがふさわしい太さ。

その衝撃でゴーレムのバリアが粉砕……ゴーレムはこちらに押し込まれながらも、咄嗟(とっさ)にランスをその両手で掴(つか)む。


「無駄ですわ」


すると、ランスの外壁が高速回転――ドリルのように回るランスに両手が弾(はじ)かれ、無防備になった胴体部をその切っ先が押しつぶす。


◆◆◆◆◆


『……やめてくれよ、無駄なことは』


そこで突如響く声……予想通りにライアー・サマンワのものだった。


『地尾さん、八神、楯無師匠……俺に全てを任せてくれ。俺は今、宇宙の眼と一つになりつつある。
もうすぐなんだ、もうすぐ俺は天上人になれる。そうして全ての世界に心の平和をもたらせる』

「言ったはずだけどなぇ……私の弟子はこのふやけたパスタだって。それに君、またまた利用されているのよ?」

【暗黒の種――ミレニアモンにね。君達に埋め込まれた種は、元々同じデジモンの欠片(かけら)でね。それが一つになるということは】

『安心してくれ、俺にはその全てを吹き飛ばせる……そんな力が蓄えられている。……今俺は本当に満たされている。
そうだ、このおかしくなった世界だって救える。全ての人々は死を持って禊(みそ)ぎ、俺の作る新世界で平和に暮らす』

「それは無理だ」


織斑一夏は待機状態の白式を撫(な)でてから、ライフカウンターを取り出し。


「白式!」

≪レオブレイヴのおかげで、ブレイヴサジタリアスとのリンク……きっちり掴(つか)みました。今です≫

「――ゲートオープン、開放!」


◆◆◆◆◆


敵が一斉に飛び出し、津波のようにのしかかろうとする。それに対し我々は逆に飛びかかり。


”……無粋な”


いや、飛びかかろうとした。そうしようと踏み込みかけた……だがチフユ側の通路にいた害意が、次々と停止……消失していく。

響く悲鳴と爆発音。それらを払いながら、誰かが近づいてくる。


それに私の方から出てきた怪人達も停止し……だがすぐに踏み込もうとしたところで、風王結界の瞬間開放を放ち、その全てを蹴散らす。


「目の前にいる剣士の力量すら、見計らうことすらできんのか。なんと不出来な物の怪(け)どもよ……」


そう言いながら出てきたのは、日本刀を携えた御老体。その服装は……そうだ、日本(にほん)の侍。

白髪をちょんまげにして、この場には不釣り合いな黒い着物を羽織っていた。そうして血で濡(ぬ)れた刀をすっと払い、すたすたと歩いてくる。


馬鹿な……いや、私を召喚した時点で分かっていたことだ。この男は……!


「……サーヴァントか」

「ほう、よく分かるな」

「お前からはセイバーや他の奴らと同じ匂いがするからな」


その御仁はふっと笑った瞬間……まるで、水が流れるが如(ごと)く自然な足取りで。


「……!」


チフユ目がけて袈裟一閃……返す刃で私にも刺突を放つ。

咄嗟(とっさ)に宝剣(ほうけん)で受けて脇に逸(そ)らすが、その瞬間に御仁は我々から距離を取っていた。


「チフユ!」

「大丈夫だ……」


チフユは冷や汗を流しながらも、抜刀していた乞食清光を正眼(せいがん)に構え直す。


「ほう、今のを防ぐか。ただの人間の身でありながら、よく鍛えている……」


この男は余りに異様だった。

ここは戦地だ。にもかかわらず、ほほ笑む男はどこまでも自然……空気の一部かと思えるほどに。

そう、本当に自然なんだ。今の動きも……初動が全く感じ取れなかった。殺気と言える殺気もなく、極々自然に我々を切り捨てようとした……!


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


恭文「というわけで、HP版からいろいろと変更。IS陣営もここまでの積み重ねを最大限活用し、大暴れです」


(なお、この続きは最終刊(予定)となるいんふぃにっとII第9巻にて)


恭文「そしてセシリアの新装備も登場……はい、ドリルランスです。キマリスヴィダールです。
なお、この装備については単なるオマージュとかではなくて……その辺りもまた劇中で」


(いろいろ考えたけど、これが一番でした)


フェイト「あの、ところで私の出番は……」

恭文「………………フェイト、フェイトは僕が帰る場所になってくれているよ。いつだって……どんなときだって」

フェイト「忘れてたの!? 私、忘れ去られていたの!? 酷いよー!」


(ぽかぽかぽかぽかぽかー)


恭文「落ち着いて落ち着いて! ほら、本物も出張ってラファールに載ってるから! 二人いるとまた大変でしょ!」

フェイト「そ、それは確かに……でも、私も大丈夫だよ。女の子だからラファールにも載れるし」

恭文「確かに……全身装甲で顔はごまかせるか」

束「じゃあやってみる? 束さんが調整するからさー」

フェイト「うん! よし、私もこれでISデビューだよ!」

恭文「頑張ってね、フェイト。……でも、大丈夫だろうか」


(今まで積み重ねた天然に、新たなページを刻むのでは……そう思いながらも、止めるのも違うので温かく見守ることにした蒼い古き鉄であった。
本日のED:BLUE ENCOUNT『Survivor』)




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