作者でも分かるとまと同人誌情報コーナー
とある魔導師と閃光の女神のえ〜すな日常/いんふぃにっとII 第5巻経過報告:02(サンプルあり)(2017/11/4)
古鉄≪というわけで、経過報告第二弾です。経過報告:02で言った通り、本編の新規番外編のご紹介となります≫
恭文「通称迂回ルート、引き延ばしとも言う」
古鉄≪あれですね。ドラゴンボールZやBLEACH、NARUTOなどが通ったアレですよ≫
恭文「前巻、前々巻と書き下ろし部分が少なめで、いろいろ悩んだからねぇ。
……なのでここからはサクッと割り切り、BLEACHを見習って『今から番外編やりまーす!』って関係ない話も盛り込む方向で!」
あむ「あほかぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
(がし!)
恭文「メカエリチャン!?」
メカエリチャンU号機「U号機と呼ぶように……そう言ったはずですが?」
(蒼い古き鉄は悩んだ挙げ句、メカエリチャンU号機を連れてきた模様)
あむ「いや、アンタは関係ないから! というか、それは書き下ろしでやればいいじゃん! そんなのただの開き直りじゃん!」
恭文「何を言ってるのよ、おのれ……ジャンプ漫画の伝統芸だよ?」
古鉄≪そうですよ。世界的ヒット作も通った道ですよ? リスペクトですよ≫
あむ「そう言えば何でも済むとか思ってるでしょ! そんなの違うし!」
(それもそうだ)
あむ「……でも番外編って何をするわけ?」
恭文「心温まるハートフルストーリーだよ」
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
……一週間分のバイト代が、たった一枚のTシャツに消える。そのことに心臓がぎゅっと痛んだ。
Tシャツに合わせるとカッコいいと店員に勧められ、おだてられるがままにジーンズ、パーカーも買ってしまった。
足下がいまいちだったので、それに合わせるブーツも……それらを全て身につけているだけで、三十万円近くかかっている。
そんな服から取り出す財布が、酷くみすぼらしいことに気づき、彼女と一緒にディスカウントショップへ赴く。
そうしてまた、ブランドものの革財布を購入……そうなると、くたびれた安物の時計が気になる。僕の陳腐な出自を証明するようだ。
だから、清水から飛び降りるくらいの覚悟で、質屋でブランド物の時計も買った。
彼女といると、僕は二倍……三倍とカッコ良くなれる気がした。生まれ変わった気がして、気分がよかった。
僕はもう、何時も親に怒られてばかりで、友達からもどこか蔑まれている……パットしない●●●じゃない。
若さと自由を資本とし。
可愛い女の子を連れ。
カッコいい服を着て。
移り変わりの激しい東京をすいすいと泳いでいる。
同じ名前の別人だ――そんな自分が大好きだった。
◆◆◆◆◆
「初めまして、あっくんこと芥川です」
あっくんって……! 車の前でにこやかに笑って頭を下げたのは、意外にも四十絡みの男性だった。
紳士然としたこの人は、どう見ても自殺をするように見えない。
「マチこと、真知子です。短いお付き合いだけど、マチって呼んでね」
マチちゃんは、どう見ても十代にしか見えない。奇麗に化粧をしているけど、まだ高校生かも。
肌はつやつやとしていて、ミニスカートからはすらりとした足が伸びる。特にスレた様子もなく、本当にどこにでもいそうな女の子だった。
どうしてこんな子が……!
「私はちあき――本当の名前も”千秋”で、HNと一緒なの」
そう行って千秋さんがはにかむ。
二十代後半のおっとりした美人さん。物腰が柔らかで、裕福そうな雰囲気がある。
僕みたいに、にわかで着飾っている人じゃない。白金のマダムと行った様子だ。
「どうも、●●●……僕が●●です」
ついビクビクととしてしまう。……すると。
「そんなにビクビクしなくても大丈夫だよ、●●くん。みんな、初めてなんだ」
芥川さんは、オドオドしている僕を安心させるようにほほ笑む。……怖いと思われたようだ。
実際は怖くない……その実感がないのかもしれない。言うなればこれは、ネットのオフ会。
誰かと一緒に車へと乗り込み、どこかへ行く。それだけのことが……誰かと一緒にいるということが、ただそれだけで嬉しかった。
やがて芥川さんの運転で、目的の村に向かう。
◆◆◆◆◆
「……そろそろだね」
マチちゃんはマスカラを塗り直して、口紅を引く。愛しい人に会いに行く前のような、そんな様子だった。
●●●へ入る前に、一旦車を止めて準備にはいる。ここに至ってもなお……僕には、それらが楽しい共同作業のように思えてならない。
「幽霊……出ないね。死者の村っていうから、ちょっと期待したいのになー。
まぁ、どっちみち家族(みんな)とはすぐに会えるか」
車が●●●へ入ると、マチちゃんが少し悲しげに呟いた。
「家族……死んじゃったんですか?」
「うん……」
マチちゃんの一言から、みんなの身の上話が始まった。
……僕はそれを聞きながら驚いた。
みんな、ここに至るまでの悲壮なエピソードを持っていた。
「卒業旅行から帰国する私を迎えに……きてくれたときにね、対向車線からはみ出してきたトラックと、ごっつんこ。そのままみんな……」
「私は、友人の連帯保証人になったら……裏切られて、しまってね。金が返せないという話では、ないんだ。
ただ信じていた人間に……人が人を、こうも容易く裏切れるのかと、そう思ったら……もうやっていられなくなって」
「私は……夫に、先立たれたの。過労死で……寂しいだけじゃない。それだけなら、まだ耐えられた。夫を慕ってくれている人達もいるし。ただ私は……」
みんな、精一杯に足掻いた上での選択だった。
「僕は……情けない、です」
「●●くん?」
「僕は……自業自得で……!」
情けなかった……自分のうぬぼれに流され、自業自得に重荷を背負って……それを涙ながらに漏らしてしまう自分の弱さも、情けなかった。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
あむ「……オフ会で旅行かぁ。それで友情が結ばれるんだね! うんうん、ハートフルストーリーじゃん!」
(現・魔法少女、ほっと一安心……なおネタバレを避けるため、一部修正を施しております)
あむ「でもこれって……一部伏せ字だし」
恭文「それも話が進むことで分かる感じに仕上げているのよ。まぁわりと早めだけど。
……それでは、今回の番外編で主役となる人物の登場です」
あむ「はい!? え、それってアンタじゃ」
恭文「じゃない。Vivid編などの主軸がヴィヴィオやアインハルト、セイ、卯月達であるのと同じように……」
あむ「アンタもいつも通り暴れてるじゃん! まだ主役を譲ったと言い張りますか!」
恭文「ドラゴンボールでもやってたでしょうが」
あむ「開き直るなぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「でも加納さん、心配してましたよ? 六月の雛見沢に行くなんて正気の沙汰じゃないーって。
しかも荒川さん、何度止めても全然聞かなかったそうだし……どうしてこの時期に?」
「うーん、明確な理由ってのはないけど、どうしても行きたくなったっていうか……雛見沢に呼ばれた?」
「呼ばれた……」
「あぁ。虫の知らせっていうか、記者の勘かな。封鎖も解除されたばかりだし、面白そうなネタが転がっているんじゃないかなーってさ」
それは半分本当だが、もう半分は建前。とはいえ……そこまで説明するのも、反町さんに迷惑だと思って、悪い記者を演じながらそう告げた。
「勘……なるほど、そういうのってありますよねー」
「……あ、実は全然信じてないだろ」
「そんなことないですよー。プロで長年やってきた人なら、当然の判断基準ですよ。私だって今回同行させてもらったのは、勘ってやつですし」
「反町さんも?」
「えぇ。それで、記事の話題になって、書いた人を紹介してほしいって頼んで。
……でも加納さんが荒川さんを凄く気にかけているのは、そういうところなのかもしれませんね」
「そうなの? ちなみにデスクって、俺のことはなんて」
「……端的に言ってしまえば、変わり者」
はははははは……砂どころか、岩を送ってやろうか。
◆◆◆◆◆
34号文書についても説明が必要か。
今も反町さんが言ったように、五年目の被害者≪鷹野三四≫が残したファイルだ。
ネーミングはネット上のある個人が、便座的に付けたものになっている。
その内容を簡単に言えば……雛見沢には当時の政府中枢も絡むような陰謀があり、連続した祟りもその関係で発生した。
大災害もそれ故に起きた悲劇であり、事実を隠蔽するためにガス災害というカバーストーリーが作られたって感じだ。
その国家的陰謀をイメージさせるネーミングは実にキャッチーで、瞬く間に広がった。
ただネットの匿名性も相まって、その信ぴょう性自体は反町さんが言うように皆無と言っていい。
ここまでなら過去の事件を取り上げて、部外者が好き勝手なコメントをしているだけになるんだが……。
そこで引っかかるのが、大災害前に竜宮礼奈が起こした立てこもり事件……いいや、大量爆殺事件だ。
竜宮礼奈は鷹野三四から『本当に』そのスクラップ帳を預かり、書かれていた内容を信じたらしい。
書いた当人≪鷹野三四≫が五年目の綿流しで殺されたのも、村の暗部に近づき過ぎたせい。そう予測したんだ。
スクラップ帳を預かっていた自分が、今度は殺されるとも……結果、彼女は村内で次々と奇妙な行動を連発。
その結果が友人達ともども自爆という……痛ましい事件の結末だ。
「しかも書かれている内容は、ネットで広まったそれと大して変わらないらしい。というか……鷹野三四自身も地元じゃ有名なオカルトマニアらしくてな。
雛見沢の歴史をいろんな解釈で捉え、近所の子ども達に怪談もどきとして聞かせていたんだよ」
「じゃあ、スクラップ帳の中で大災害が予言されていたっていうのも……」
「そんなでっち上げの一つ。実際当時の興宮警察も、災害後に”不幸な偶然が重なった末に起きた誇大妄想”と結論を出した。
……だが、何にせよ雛見沢には存在していたんだ。その”誇大妄想”が真実だと思わせるだけの要素がな」
◆◆◆◆◆
「いや、よかったー! すみません、呼び止めてしまって!」
身長百五十四センチほどの黒髪・褐色肌の少年は、こちらが謙遜するほどに快活なお辞儀。こんな廃村には似合わない姿だった。
「いきなりで悪いんですけど、お電話……繋がります?」
「え」
「警察に連絡したいんですけど、携帯が通じなくて」
「警察? どういうことだ」
「練炭自殺です」
……………………。
「「は……!?」」
「ドアは開けたんですけど、もう手遅れで……」
慌てて美雪ちゃんともども、あの車に近づく。
「あ、待ってください!」
それでドアから漏れ続ける、生ぬるい空気に顔をしかめながらも中を確認。
身なりのいい老人と女性、それに女子大生くらいの女の子が、血色もいい顔で寝ていた。
だが、全く……ぴくりとも動かない。その足下には、確かに七輪が置いてあって。
美雪ちゃんは首を振りながら車から離れ、改めて正体不明の少年と対峙。
「発見したのは君だけ?」
「えぇ」
「じゃあ、ドアはどうやって開けたのかな。練炭自殺なら」
「鍵がかかってなかったんですよ、助手席だけ」
「は……!? じゃあ、君はどうしてここに」
「ちょっとしたお仕事ですよ。秘密任務というやつです」
「じゃあ……君は、何者?」
「――カーティス」
ソイツは不敵に笑い、サングラスを軽く外す。その瞳は鳶色だが、微妙に焦点が合っていない様子だった。
「カーティス・ロスコ」
「あなた、目が……」
≪蛇の足(セルピエンテ・タコーン)からやって来た幽霊
≪ゴースト≫ですよ、レディ≫
蛇の足だって。おい、そりゃ一体……。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
恭文「というわけで、こちらの荒川さんが番外編の主人公。なぜ雛見沢にきたか……などは、やっぱり本編で」
あむ「……恭文、正座」
恭文「は?」
あむ「バレバレなのが一人いたんだけど! 身長だけ違うパクリキャラが一人いたんだけど!」
恭文「果たして蛇の足とは一体何なのか! 気になるね!」
あむ「無視するなぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
(現・魔法少女、蒼い古き鉄の首根っこを掴んでがしがしがしがし……。
本日のED:奥井雅美『紫音‐sion‐』)
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