作者でも分かるとまと同人誌情報コーナー
ゴーカイジャークロス第6巻経過報告:02(サンプルあり)(2017/10/13)
古鉄≪というわけで、豪快な奴ら第六巻は『2017/10/23』販売開始。みなさん、何とぞよろしくお願いします≫
(よろしくお願いします)
古鉄≪こちらでは少し前にお見せした部分以外の、特別書き下ろしをご紹介します≫
恭文「まぁ元ネタはめしばな刑事タチバナなんだけどね。ではさくっとどうぞー」
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
今日はあずささんの誕生日。ただあいにくお仕事……まぁ朝一から十一時頃までなんだけど。
なお今日のお仕事は、レギュラー番組の≪あず散歩≫。あずささんがブラッと都内を歩き回り、すれ違う人々やお店と交流するというもの。
一応立ち寄る先などは予め決められていて、その紹介もするんだけど……訂正、していたんだけど……!
「さっきのモーニング、とーっても美味しかったですよー。あ、そうそう。
モーニングと言えば最近、いわゆる名古屋系列の喫茶店が出すものが勢力を増しているんですよー。
私のプロデューサーさんがとても詳しくてですね、カフェ巡りをしているときにはちょくちょくチェックして……」
あぁ、あずささんがまた道を外れて! でも止めない! もう誰も止めないー! 見ているこっちはハラハラなのに!
「分厚いバタートーストにゆでたまご、ジョッキクラスのワンドリンクでボリューミー。
まだモーニングの時間帯だし、見つけられたら寄っちゃおうかしら」
その前に何かこう、林的な場所にー!
あぁ、木漏れ日がキラキラしてるねー。吹き抜ける風が涼やかで心地いいねー。……じゃなくて!
◆◆◆◆◆
「パンケーキとホットケーキの違い……結局のところ、日本ではホットケーキ、海外ではパンケーキって解釈なんじゃ」
「ところがそうも言い切れないんですよ。というか……結論から言うと、僕にもよく分かりません」
「はい!?」
「恭文さん、それは……」
「そもそも語源から言えば、パンケーキは”フライパンで焼いた粉を練ったもの”と定義されます。
だからホットケーキはパンケーキの一種とも考えられる……られるんですけど」
携帯を弄り、二人にある商品の紹介ページを見せる。森永のホットケーキミックスなんだけどね。
「例えば森永製菓では『ホットケーキミックス』と『パンケーキミックス』という二種類の商品を出しています。
その違いであれば、ホットケーキは砂糖入り。厚めに膨らむ『甘い系』。
対してパンケーキは砂糖不使用で薄目に仕上がる『食事系』と差別化がされています」
「……でも恭文さん、先ほどのお店もそうでしたけど、いわゆる流行のパンケーキは甘いものが中心では」
「うん……まずはホットケーキの歴史から振り返るけど」
携帯を仕舞い、小首を傾げるアイムに右人差し指を立てる。
「アメリカの朝食&軽食ジャンルの定番にして、日本では『薄餅』なんて呼ばれていた未知の食べ物≪パンケーキ≫。
それが大正時代にデパートの食堂で売り出されたとき、ハットケーキって名前がついて、話題を呼んだのよ」
「ハット、ですか?」
「温かいのホットと、当時ハイカラだった帽子に似ていることから引っかけたそうなのよ」
そう言いながら右手で窓の外を指すと、ちょうどハイカラな紳士が通り過ぎていた。
二人はかけられたハットを見て、あんな感じなのかと想像を膨らませる。
◆◆◆◆◆
「……おい、今からパンケーキ、食いに行くぞ」
「Jud.」
「ジャッジじゃないわぁ! 貴様ら、誕生パーティーはどうするつもりだ!」
「ディアーチェちゃんの言う通りだよ! マーベラス……というか、副駅長さんも落ち着いてー!」
「まぁそこはまた明日って感じだね。ただ……」
「ただ? リン、まだ何かあるの?」
「いやね、そんな感じでちょくちょく食べ歩いているパンケーキorホットケーキなんだけど」
椅子の一つに座り、つい……大きくため息を吐いてしまう。
「パンケーキのブームと、曖昧さゆえに影が薄くなっているホットケーキ。
でもホットケーキにファンがいないかと言われると、そうでもなくて……あたしがお店で見る限り、ホットケーキを頼む人達は中高年層が中心だった」
「中高年……あぁ、それは分かるかも。ようはホットケーキがおやつとして定着した世代ってことよね」
「そうそう。しかもね、表情がこう……例えばパフェのときは、喜びが全開なんだよ。でも……ホットケーキを含むパンケーキ系だと」
これは言葉で言っても伝わらないので……唇と眉間を寄せて、むっとした感じの顔をしてみせる。
「大体……こんな顔になるの」
「それ、全然美味しそうに見えないんだけど……」
「いや、待て。そう言えば俺も……そうだ、イビツに言われたぞ! ホットケーキを食べるとき、表情が渋くなるって!」
「ダーグが!? あ、でも……そうよそうよ! そんなこと、ナカジマ三佐に言ってましたよね! ギンガさん!」
「私!? 私はそんなこと………………言ってる! あの、前にみんなで食事をしたときだよね!」
「えぇ!」
あ、ゲンヤさんもちょうどその世代か。だからティアナとギンガさんも分かるんだね。……すると、そこでフェイトさんとフィアッセさんもハッとする。
「そう言えば私も……クロノやグレアムさんが、そんな様子だったのを見たことが」
「うん、私もパパがそんな顔をしてたかも……。え、じゃあその世代の人達特有の反応というか」
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
恭文「はい、ホットケーキ話はまだまだ続きます。……ホットケーキはいいよねぇ。心が安らぐよぉ」
りん(アイマス)「でしょでしょ!? じゃあ……はい、あーん」
恭文「あ、あーん……」
(蒼い古き鉄、クリームたっぷりなケーキをあーんされてもぐもぐ……)
恭文「ん、美味しいー。りん、ありがと」
りん(アイマス)「どう致しましてー。でも、ホットケーキだけじゃないよ?
ホットケーキよりもあまーいご奉仕もあるんだから。期待しててね、御主人様」
恭文「は、はい……だからあの、メイド服だったのね」
りん(アイマス)「うんー」
(今日はメイドさんを頑張るようです)
りん(アイマス)「で、次はホットケーキ……じゃないけど粉もの繋がりだよね」
恭文「そうそう。鮮烈な日常Fourth Seasonの合間に起こった戦いです」
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
二〇一二年・八月――無事に夏フェスも終わり、あとは帰宅するだけという状況。
「――嘘でしょ」
帰宅準備を早めに終えたあたしは、瑞樹ちゃんとホテルのロビーで将棋を打っていた。
休憩所の一角で、薄ーい折りたたみ指揮の盤に駒を叩きつける。これはこれで味わいがあるものだ。
「まさか早苗ちゃん、私を動揺させようと」
「本当よ。この前若い子達を見かけたけど、みんなは普通に『アリ』だったもの」
「そんなはずはないわよ……! 『いい食べ方を教えてもらいました』『今後はこれでいきます』って言ってたのよ?」
「瑞樹ちゃん、自覚した方がいいわよ。あなたも、あたしも、新人が礼を尽くすべき”目上の人”だって。
……というかぶっちゃけ……あたしの知る限りよ?」
飛車を持ち上げ……盤面にパチン! うーん、これがプロって感じよねー。
それはさておき、私達が一体何を話しているかというと。
「事務所の若い衆は全員、瑞樹ちゃんや長山専務の目が光っていないところでは、やってないの。その”大阪人マナー”」
「定着してないってこと!? じゃあ、私がちょくちょく……卯月ちゃん達とかにもやってたのは、余計な押しつけ」
「ううん。事務所の大先輩が奢ってくれる”親睦イベント”自体は、みんな大いに感謝してるわよ。
ただそれこそ……人には好みがあるし、時代の流れもあるしねぇ。同じ大阪出身のみくちゃんでさえやってないし」
「……時代の流れ、というと」
「既に……マヨネーズは、お好み焼きの中に組み込まれているのよ」
――はい。ご存じの通り、瑞樹ちゃんはこてこての大阪人。あ、長山専務も一応関西圏出身なのよ。
そこには今までだと、今西部長も加わっていたんだけど……とにかく、ちょいちょい若い子達にお好み焼きを奢っていてね。
そこで、いわゆる独自マナーみたいなものを伝えた結果……今、瑞樹ちゃんは心を痛めているわけで。
というわけで紐解いていきましょう。大阪人のソウルフード≪お好み焼き≫は、今どこへ向かっているのか。
◆◆◆◆◆
「なるほどって、思ったのよ? 私も年代的には、マヨがかかって当然の世代だったし。
キャベツや素材の味がちゃんと分かるとか、本来こういうものって言われると……その味にも納得したのよ」
「じゃあ今はなんで付けているのよ」
「……しばらくは通ぶってマヨ抜きを注文したり、あえて卓上間よに手を付けなかった時期もあるの。でも、いつの間にか戻った。
お好み焼きの上層部に、クリーミーな入荷要素が加わるのよ? 味の掴みにキャッチーなコクが増えるから、プラスはあってもマイナスはないなって」
もう一手打ち込むと、瑞樹ちゃんはすかさずぱちりと返してくる。
「そのプラスが強すぎるのよ。マヨが混ざると、素材やソースの繊細な味が吹き飛ぶじゃない。
今でも昔ながらのお店だと、かけないどころかテーブルに置いていないところだって」
「あたしもそういう店では郷に従うし、それはそれで美味しいと思うのよ。
でも『使う・使わない』で二択が発生したとき、前者を選ぶのは現代人の本能よ」
なのでこちらも言い分をぶつけながら、ぱちり! この飛車はどうだー!
「一説によるとお好み焼きでマヨを断るのは、百人に一人って統計もあるらしいし」
「何でも感でも統計かされて、繊細な味が失われていくなんて……悲しいわね。早苗ちゃん、そういうのには抗う方だと思ってたのに。
……やっぱり関東人ってことかしら……私は関西人やから、将棋も、お好み焼きもデリケートなんよ」
そう言いながらどや顔で反撃するので、そんな瑞樹ちゃんにはつい呆れてため息。
「……何よ、その疲れ切ったため息は」
「……お好み焼きにマヨを考案したのは」
◆◆◆◆◆
「――瑞樹ちゃん、そんな質問はアリなの?」
「分かってないわねぇ。勝負というものは何時如何なるときも非情なのよ。真剣師たる者、攻めて相手を揺さぶってなんぼや!」
「いやいや……あたしの動揺はそもそも、本来攻められる側じゃないのに『なんで引っ繰り返っているのか』ってところよ。
……そのテーマならこっちから攻めてもいいところよ。なんでやらないのかって言われたら、答えは単純」
そう、単純……だから一手を打ちながら、関西人代表に突きつける。
「お好み焼きにご飯は馴染みません! ……お好み焼き愛溢れる、大阪ならではの食文化だとは思うわよ。
でも肥満度との関連性がデータ的にも明らかになって、ついにはホームグラウンドの大阪府にまで『重ね食べは控えめに』って提言してるし。
はしごを外された状態で、上から『なんでみんな付いてこないんだ』って怒っているようなものじゃない」
「……早苗ちゃん、主語がちゃんと伝わっていないようだから、もう一度言うわね」
「え」
「私が言った”あなた達”は関東圏の人達じゃなくて……!
蕎麦屋の丼セット。
おにぎりセット。
いなりセット。
ラーメンライス。
ワンタンメン。
焼きそばパン。
餃子ライス。
力うどん――。
炭水化物&炭水化物の組み合わせを最高と! アイドルなのに日々やかましく主張してくるあなた達よ! 楓ちゃんや彩美ちゃん達も含めて!」
あぁ、そういう……楓ちゃんもギョッとしながら自分を指差しするけど、それでも瑞樹ちゃんの怒りは止まらない。
「健康志向なんて気にするガラでもないのは、その時点で明白じゃない! それなのになんで『お好み焼き定食』だけはスルーなのよ!」
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
りん(アイマス)「え、お好み焼き定食は十分アリだよね! 具だくさんって条件はあれど!」
恭文「りん……!」
(『りん、あとで話だから……全力で、お話だから』
『お膝元の大阪府でさえ控えるようにって言っている中、何をやってるのよ!』)
恭文「いやまぁ、僕も受け入れられる方だけどさぁ。とにかくお題はお好み焼き。
大阪出身な瑞樹さんが面倒な絡み方をしつつ、とんとんと掘り下げていきます」
りん(アイマス)「……恭文、どうしよう」
恭文「うん?」
りん(アイマス)「お好み焼き、食べたくなってきた! それも関西系の豚玉!」
恭文「この時間に!?」
りん(アイマス)「食べにいこう! デートをしよう!」
恭文「甘いご奉仕はどうしたの!?」
りん(アイマス)「もちろん……食べるときも、いっぱいイチャイチャするんだよ?」
(それで何とかなるわけがない……そう思った蒼い古き鉄であった。
本日のED:キュイジーヌ『大阪風お好み焼き』)
[*前へ][次へ#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!