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ゴーカイジャークロス第5巻経過報告:04(サンプルあり)(2017/7/8)
古鉄≪というわけで、ここではもう一つの書き下ろし……及び本編の衝撃シーンをお送りしたいと思います≫
恭文「あ、あの話はやめない? あの……うん」
古鉄≪あなたが困っているので、やるのが正解だと分かりました≫
恭文「おのれはぁぁぁぁぁぁぁ!」
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
二〇一二年七月――765プロに最上静香という新メンバーが入って、すぐのこと。
「――えー、今回ゲロゲロキッチンと生すか、そして『 I Love Jupiter!!』の三番組によるコラボ企画ですが」
TBSに集まったのは、春香・あずささん・美奈子と付き添いな僕。
Jupiterと黒井社長……そしてゲロゲロキッチン側のプロデューサー。
更に百キロ近い巨漢にあごひげ、一纏めにした黒髪という出で立ちのおっちゃん。
「こちらのラーメン評論家『有栖涼』さんに、勝負課題の提案と解説、審査を受けていただくことになりました」
「Jupiterのみなさん、黒井社長、初めまして。ご紹介に与った有栖涼です」
『初めまして!』
「初めまして」
「有栖さん、今回はよろしくお願いします」
「えぇ。こちらこそ」
僕達も改めて一礼――すると天ヶ瀬冬馬達が不思議そうな顔をする。
◆◆◆◆◆
「ではお題の方ですが」
有栖さんはにこやかに笑いながらも、ピンと背筋を正す。それに猛烈な……嫌な予感が走って。
「よく言われることですが、ラーメンという料理には一切の決まり事も、セオリーもありません。
常に変化し、進化し続けていた結果が現在進行形のブームです。……という観点に立って、課題を決めました。
二組にはこの勝負を通し、ラーメンの進化形を模索してもらいたいんです。その課題は」
その課題は――笑顔とともに出されたものは、常識を撃ち砕くには十分なものだった。
「ラーメン及びスープの定番である煮干し、昆布、かつお節、豚骨などの豚素材、鶏ガラなどの鳥素材――。
それらを一切使わないラーメンを、みなさんに作っていただきたいんです」
『な……!』
ちょっとちょっと……それは。
「ふむ……面白いではないか。それはアイドルにも通ずるところだ」
げ、黒井社長が乗り気だ! しかもそう言われたら、こっちはもう乗っかるしかない!
◆◆◆◆◆
翌日――佐竹飯店に新人組が集まり、試食会と相成った。なお静香も参加です。
……春香とあずささんは昨日泊まり込んで、いろいろ試作していたそうで。
みんなは出されたスープを一口ずつ飲んでいく。
「ん……この香りは……羊さんですか?」
「はい、星梨花ちゃんは正解ー。……羊のスープは中国やモンゴル、中近東では日常的なものでね。
そこに魚介のうま味も加えたかったから、鯉の身で取ったダシもミックスしてるんだ」
「あぁ、これは鯉なんですね。……でも、せっかく作ってもらったのに……なんというか、クセがありますよね」
「それに泥臭い感じも……鯉かしら」
可奈、静香と続く否定的意見。でも美奈子達も否定できず、困り気味に首肯。
「五大食材以外で使えそうなものを、とりあえず継ぎ接ぎしてみましたって感じかなぁ。仕上がりとしては雑だと思うよ」
「……だよねぇ。野性味溢れる感じになるかなーって思ったんだけど、行き過ぎちゃってる」
「ん……でも、もう一つの方は美味しい。杏奈、こっちの方が好き」
「あ、そっちは牛骨なんだ! それで自信作!」
「動物系は牛骨で補って、魚介系は大地魚干しがベースなのよ」
「大地魚?」
「カレイやヒラメの干物だよ。中華食材なんだけど、向こうではポピュラーなんだ」
佐竹飯店は中華食堂だし、日常的に扱う食材の一つだった。
だから組み合わせたんだろうけど……うん、この味わいは正解だ。
「じゃあこれで決まりか!? 私もこの牛骨はえぇと思うし!」
「いや、一旦保留かな」
「駄目なんか!?」
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
恭文「というわけで、こちらはラーメン発見伝から……Jupiterとの対決です」
古鉄≪なお I Love Jupiterがどういう番組か……今は亡きスマスマと似たものと思ってください≫
(コントもやります)
恭文「なぜアイドルがラーメンを作れるか? それは……アイドルだからだ!」
古鉄≪力技で解決しないでください。まさかそれで本編紹介が飛ばせると?≫
恭文「だ、駄目でしょうかー!」
古鉄≪駄目です≫
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「……待ってください、お兄様」
……そこでシオンとヒカリ、ショウタロス達が険しい表情で前に出てくる。
「嫌な感じがします」
「嫌な感じ……あ」
そうだ、僕も感じる。なんだ……この、×たまが出たときみたいなのは。でも少し違う気配だ。
「あぁ……なんだこいつは!」
「おい見ろ! あれを!」
ショウタロスが指差したのは、花嫁さん……それも苦しげに崩れ落ちているところだった。
問題はその身体から、ピンク……紫? それらしい力が溢れて、抜けて、どこかへ吸い込まれていくこと。
その根元を辿っていくと――。
「幸せエナジー、頂きます! あがっとございまーす!」
『ザンギャック!』
黄金色の巻き貝みたいなボディ。
しかし右半身はメカニカルで、パイプラインがむき出し。
腹部には巻き貝型のダイヤル? ベルトのバックルだろうか。
とにかくどう見ても……行動隊長だ、これ!
そして両手には巻き貝型の杖を装備。それにエネルギーが吸い込まれ、貯蓄されているようだった。
◆◆◆◆◆
「げ……宇宙海賊どもぉ!」
放たれる弾丸に溜まらず下がり、奴は身を固めて防御……でもこれでいい。
「さぁ、こっちです!」
「みんな、早く!」
「マキ……しっかりしてくれ、マキィ!」
みんなの避難誘導は相当に素早く進められるから。その隙さえ作ってあげれば、あとはこっちのペースだ……!
ただ急な増援が入るかもしれないし、そこは注意しておかないと……あとは。
「お前のせいで、人生の中で十本の指に入る悪夢を思い出した……死んであの世で詫び続けろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」
「重たいわぁ! なんでありますかコイツ……一人だけ憎悪全開でありますが! 自分のこと、災厄の悪魔みたいに睨んでくるであります!」
「何というか、タイミングと狙いが悪かったわね」
「諦めて地獄へ落ちろ。俺達もこれは止められん」
「嫌でありますー! こうなったら……ダイヤル大で」
でも奴はそこで、メカニカルな右手でダイヤルを左に回す。中心部の巻き貝が、右側にあるポイントを指した。
ポイントは三つ……左の青、中心部の黄色、そして右の赤。
中心部の黄色から赤に矢印が移ったことで、嫌な予感が増大する。
奴の身体は赤い光に包まれて倍加……いいや、二乗化! 一気に五十メートル台に巨大化した!
『巨大化ぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!』
「いきなり!? そんなのアリですかー!」
『ありぃー!』
◆◆◆◆◆
マーベラスさん達が必殺技で動きを止め、オレが豪獣神でまた……と思っていると、奴の姿がかき消えた。
「あれぇ!? アイツ、どこに」
逃げた? いや、違う……なんか、引っかかってる。
アイツはとても近くにいる。でもその違和感が上手く言えないでいると、ゴーカイセルラーが鳴り響いた。
慌てて電話を取ると。
『鎧、聞こえる!?』
「はいー! というか恭文さん、なんでムゲンオーを出さないんですか!」
『奴は豪獣神に入り込んでる!』
「え」
……そこで違和感の正体に気づく。
なら、どうして豪獣神に入り込んでいると思った?
いや、簡単だ。小さくなって直接……操縦者を襲うつもりなんだ。でもゴーカイオーは複数人。
つまりこの状況で一番襲われやすいのは――!
「頂きぃ!」
気づいたときにはもう遅かった。頭部をあの杖で殴打され、壁へと叩きつけられていた。
地面にずり落ち、意識朦朧としながら見るのは……。
「油断大敵……それぇ!」
豪獣神の舵を握って、ゴーカイオーに斬りつける……あの、行動隊長の姿だった。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
恭文「というわけで……やっぱり普通に続く、ザンギャックの作戦。アイツら、全く自重しねぇ……!」
古鉄≪全てバスコや暴走した奴らに押しつける所存ですからねぇ≫
(王子様、威厳なし)
恭文「その結果僕は、また結婚式のアレを思い出して……!」
古鉄≪ハーレムしてるんだから、そろそろ克服しましょうよ。九年目ですよ?≫
(それでも胃を痛める蒼い古き鉄であった)
古鉄≪さて、ここまでなら普通ですが……本領発揮は次からですよ≫
恭文「や、やっぱり待ってー!」
古鉄≪だから駄目ですって≫
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「絶対許せないにゃあ! 幸せな花嫁さんを、あんなふうにしちゃうなんて!」
「全然ロックじゃないよね、アイツら。……とはいえ、私らアイドルにできることはなく……」
「噂の海賊も、正直そこまでってレベルだしねー」
そこで知らない人の声が響く。左側を見ると、呆れた様子の女性がいた。
白スーツにウェーブが買った黒髪を揺らし、黒スーツの男性と一緒に歩いていた。
それで二人の両肩には、ティラノサウルスとトリケラトプスっぽい……恐竜のロボットが乗っかっていて。
「というか、せっかくアバレンジャーの大いなる力≪豪獣神≫が出てきたから期待したのにー」
「カルカルー」
「カスカス?」
「カルー」
「……可愛い」
あ、美嘉さんがお姉ちゃんモードに入りかけて……! そうですよね!
可愛いものとか、小さい子には庇護欲が出ちゃうんですよね! でも落ち着いてくださいー! 目が輝きすぎです!
「いや……」
でもそこで黒スーツの男性が、小さく呟いた。
「アイツら、もしかして知らないんじゃないのか?」
「「カルカス?」」
「アバレンジャーの大いなる力には、まだ使い方があるってことさ」
「嘘……知らなかった! 私もアバレンジャーなのに!」
「違うだろ」
え、どういうことですか……というか、アバレンジャーって!
◆◆◆◆◆
「それでヤスフミは……」
「え、僕も!?」
「悪いんだけど、手伝って……システム周りも、ドンパチやったときの関係で負荷が……もう、いやだぁ」
「……泣くな泣くな。分かったから」
ハカセを受け止め、よしよし……よしよし……大変だよねー。だって奴ら、壊しはするけど直せないもの。
僕もフェイト絡みで嫌ってほど味わってるよ。だから泣くなー、ボク達の心は一つさー。
「ハカセさん、申し訳ありませんが……それはキャンセルで」
そこでアイムがすっと前に出て、とてもいい笑顔だった。でも、何だろう……とてつもなく嫌な予感がして、ハカセと身を引いてしまう。
「……なぜ身を引くのですか?」
「いや、あの……なんか、猛烈に嫌な予感がして」
「でしたら安心してください、幸運になるよう全力を尽くします」
「ど、どういうことでしょうかー! というかアイム、あの……ホント何があった!? 目がさっきから怖いんだけど!」
「恭文さん」
「無視しないでー!」
「わたくしと――結婚してください」
……………………………………え。
『えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?』
「それでルカさんの背中とお腹に、いっぱい触ってあげてください」
「なんでぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」
「ちょっと、まさかアイム……駄目駄目駄目駄目ぇ! そんな、あの……絶対駄目だから!」
「だからなんでぇ!?」
≪……本当に何があったんですか≫
≪謎すぎるの……≫
◆◆◆◆◆
『とにかく……アイムを世界一幸せにしなさい! 抱っこして、熱ーいキスでもかましちゃうのよ!』
「できるかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ! お前は馬鹿かぁ! 馬鹿なのかぁ!」
『馬鹿はアンタよ! 囮捜査なんでしょ!? デンジャラス蒼凪なんでしょ!? 本気でやらないでどうするのよ!』
「いや、デンジャラスなのは、悪党に対してだけというかー! 悪党が嫌いだからこそデンジャラスビーストっていうかー!
だからそんな、そんな……早すぎる! まずはその、モールス信号から始めて」
『アンタはいつの時代に生まれたのよ! いいから……全力でやりなさい! はい、決定!』
ルカ様は非情にも通信を切り、僕を放置……その間にも、アイムは近づいてくるというのに!
あぁ、でも確かに……逃げ場がない! 本当に来ている可能性だってあるわけで……やるしかない!
アイムは僕の前に来て、優しくほほ笑む。ヴェールを優しく外すと、その笑みが深くなって――。
そうだ、落ち着け。素数を……素数を数えるんだ。
結婚式とは言うけど、二人っきりだし、あまり形式張った感じでもない。ショートカットできるものは多数ある。
誓いのキスとか……誓いのキスとか……誓いのキスとか! さ、さすがに本気で結婚する人でもないのに、そんなことはー!
そうだ、これはお芝居なんだし、アイムだってそれは分かって。
「抱っこしてキスして、ダ〜リン♪」
……分かってなかったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ! めっちゃ甘いのきたぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
古鉄≪はい、というわけでアイムさんが可愛かったあのお話です。なおゴーカイオーはまた壊れました≫
恭文「……ハカセ、がち泣きしてたよね。ようやく修理できたのに」
(『お願い、メカニックの仲間を増やして。というか……ヤスフミー!』)
恭文「泣くな泣くな! また手伝うから! 差し入れするから! それは、そうと……」
フェイト「ヤスフミ、どういうことなの!? アイムちゃんと結婚しきって!」
フィアッセ「そうだよー! 私達が心配しているときにー! というか、お話や紹介もなしでハーレム拡大は駄目ー!」
恭文「あれは違うからー! いろいろ諸事情があってー!」
(蒼い古き鉄、現在閃光の女神や光の歌姫に詰め寄られ、絶賛修羅場中)
古鉄≪あ、りんさんや歌唄さん、シャマルさん達も来るそうです≫
りん(アイマス)「というか、あたしは来てるよ! マジで説明しろー!」
恭文「歌唄はやめてぇぇぇぇぇぇぇぇぇ! ……あぁ、メールが! またメールがー!」
(ハイペースで届くドS歌姫からのメール。それに怯える蒼い古き鉄であった。
本日のED:いとうかなこ『悲しみの向こうへ』)
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