作者でも分かるとまと同人誌情報コーナー とある魔導師と彼女の鮮烈な日常TS第2巻 経過報告:02(サンプルあり)(2017/1/22) 恭文「というわけで、サンプルの続きです。ここでは……作者が制作スケジュールガン無視で書き込んだところを」 (そ、その分……次の巻で、ストックができたから……) 古鉄≪そうして毎回ストックを作るでしょ、あなた。ではいきましょうか≫ 恭文「うん」 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 「で……何だよ、話って」 「実は兄さんにお願いごとがあるんです。明日なんですけど、何か予定は」 「明日……明日は忙しいよ」 「何か入ってます?」 「老人ホームの慰問」 「……兄さん」 「お前と違って、細かい仕事が大事なんだよ」 そう、細かい仕事――兄さんはそうして、下積みに苦労し続けていた。 「何時から」 「五時だ」 「その前は」 「お前の独演会、みんなで見に行く予定だろうが」 「その前……昼の十一時から一時間」 「空(あ)いてるよ」 「よかったぁ」 それには安堵(あんど)……急だったから、駄目ならどうしようかと思っていた。 「稽古があるんです」 「独演会の前に稽古?」 「師匠に言って、特別にお願いしたんです。精神集中するのには、師匠の噺(はなし)を聞くのが一番だと思って」 「……お前らしくもないな。あれほど師匠の噺(はなし)を馬鹿にしてたのに」 「そこからが僕らしいです。……やめようと思うんですよ。考えたらそれどころじゃないし、準備もあるし」 「なるほど、お前らし……おい、まさか」 あぁ、兄さんはやっぱり頭がいい。こういうとき、すぐ察してくれる。 「それで、兄さんを男と見込んでお願いしたいんですけど……代わりに出てもらえません?」 「馬鹿言うなよ……!」 つい小声になる僕と、それに合わせてくれる兄さん。やっぱりいい人だ。 ◆◆◆◆◆ 二〇一二年八月――二十二才になった直後。 辺りがすっかり暗くなった中、またまた事件に巻き込まれました。 ≪……やっぱり夏は鬼門ですねぇ≫ 「言わないで……!」 ノーネクタイスーツに身を包み、聖夜市内の古びたアパートへ到着……なんだけど。 「でよぉ、恭文」 「何かな」 「なんでお前……コインランドリーに陣取ってんだよ!」 「仕方ないでしょうが! ヒカリがまたモザイクを吐きかけて!」 「だよなー!」 「だって”これ”、気にならない?」 そう、僕は現場近くのコインランドリーで、あるものを見つけ……つい集中していた。 なお直接の理由は、ヒカリが現場の血だまりを見て、モザイクを吐きかけたから。 さすがにそれで証拠品が流れるのとか、絶対に嫌だし。 なお、当人は――。 「確かに気になるな……クマは美味(おい)しいのか? そう言えばまだ食べたことが」 「お姉様、全国のクマ好き少女が泣くのでやめてください」 「美味(おい)しいよ。臭み抜きが大事だけど」 「お兄様も答えないでください」 「……仕方ないでしょうが。ここで調子を取り戻さないと、また」 「また、また……うげぇぇぇぇぇぇぇ!」 あぁ、またモザイクが……しゅごキャラからモザイクが吐き出されてる! ◆◆◆◆◆ 「そういえば雅楽さん、昨日……煮干しで何か思い出さないかと聞いたとき、ないと答えられましたよね」 「あぁ」 「では、干物ではどうでしょう」 「……ないなぁ」 「そうですか……お、準備完了ですね」 ……するとそこには、何と言うことでしょう。 「彼は」 「初めまして。三条海里と申します」 「僕の友人で、古典落語も大好きなんですよ。あ、もちろん雅楽師匠のファンでもあって」 「正確には、先代からのファンです! 先代の『子別れ』、最高でした!」 「ありがとう」 着物姿で、眼鏡をかけていない海里がいた。しかもきちんと場も作られ、そこで正座待機――。 「それで、その」 「それで海里、隠し芸として落語も嗜(たしな)んでいまして、今回はちょっと協力をお願いしたんです。海里、お願い」 「はい」 座布団に正座した海里は、静かにお辞儀。 「えー、道楽とは道を楽しむと書くそうでございます。中には、道に落ちると書く『道落』と言うものもありまして――」 その上で続く語りは、海里の凛とした雰囲気も相まって、とても美しい。 男性でもね、色気ってのはあるんだよ。海里の語りは、人の目を引くのに十分だった。 ◆◆◆◆◆ 「なんつうか、悪かったねぇ。ブラックの野郎もだが、常務さんも信勝に肩入れしちまって」 「いいですよ。言った通り、邪魔するのなら潰すだけだ」 「容赦ないねぇ。だが一つ聞かせろ、それでもし苦楽が”クロ”だったら」 「受け入れます」 「……本当に、容赦ねぇなぁ」 師匠も察して、お茶を静かに飲む。多分、ぬるま湯状態にまで冷めたお茶を。 「いや、礼を言うべきか……苦楽は陰気で頑固と陰口を叩(たた)かれる男だったが、強盗犯に貶(おとし)められるのはやり過ぎだ」 「えぇ。師匠、一つ質問が……なぜ苦楽さんは、作家への転身を拒んでいたんですか」 「気になるかい」 「八笑師匠や末吉さんも、相当勧めていたようで」 気楽家苦楽……陰気で、偏屈とも言える人柄だったらしい。でも芸にはいつだって全力投球。 さっきの話で引っかかるところもあるし、一応聞いてみたんだけど。 「……一度は考えていたんだよ。ただ……世界同時行動不能事件、あったろう」 「……えぇ」 「そのとき、落語家を目指したときの気持ち、思い出したそうでな。それで再スタートだ」 僕達にとっては、いろいろな意味で衝撃だった。 「……!」 ショウタロスが息を飲み、やり切れない様子でソフト帽を深く被る。 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 恭文「というわけでドキたま/すたんぷ第五巻で登場した、末吉さんやブラックさんも絡んだ事件。 まぁ末吉さんについては、名前だけ登場という感じですが」 古鉄≪そしていよいよ346プロとの初戦――楽しんでいきましょうか≫ 恭文「だね」 (いずれはこうなる運命(さだめ)だった) 恭文「楽しいねー。ワクワクするねー。たっぷり遊べるかなー」 フェイト「や、やっぱり容赦なしなんだ!」 恭文「当たり前でしょ」 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ ……蒼凪くんがやってくれたらしい。 我が部門で……美城常務が勧めている、雅楽氏とのコラボ企画。 それを阻むように、事件調査へ乗り出しているそうだ。 美城常務は雅楽氏の弁護準備に忙しいため、私が765プロへの抗議を任された。 こういうとき、自分が飾り物の部長だと思い知る。 しかも……高木社長に取り次いでもらった結果、どうにも雲行きが怪しく。 「――というわけで、そちらで蒼凪くんを止めていただけませんか。雅楽氏にはアリバイもあり、証人もいるのですから」 『それはできませんな』 「高木社長、お願いします。美城常務は訴訟も含めて準備しているんです。これ以上は」 『彼は我が社のプロデューサーとしてではなく、警察から依頼を受け、第一種忍者として動いています。 こうなると我々でも手出しは難しい……下手をすれば捜査妨害になりますからなぁ』 「ですから、そこを何とか」 『無理ですよ。彼は……いや、彼らは止まらない』 彼には家族もいる。それで346プロと訴訟問題などを起こせば……なのに、社長は納得してくれない。 『既に砕くべき嘘と、救うべき真実を見据えている』 「それが間違っています! このままでは本当に、346プロを敵に回しかねませんぞ!」 『それも承知しているはずですが』 「本当に勝てるとお思いか! あんな、二十歳そこそこの若造に!」 『彼らは346プロなど足下にも及ばない、巨悪の数々と戦ってきましたから』 346プロなど、恐れるに足らない……本当に、心の底から言い切られて唖然(あぜん)とする。 というか蒼凪くん、どんだけ武勇伝を積み重ねているんだ! 高木社長、まるで見てきたかのように言い切っているぞ! 『というか、素人が安易に口出しをすると……後悔しますぞ』 「それは脅しですか!」 『いえ、実体験です。……うちのアイドルが殺人事件に巻き込まれたとき、彼の捜査を間近で見ているので……うぅ』 高木社長はいきなり、悔恨の呻(うめ)きをあげる。 な、何があったんだ……いや、何となく分かる。 ふりかけのときとか、私の胃袋に直接攻撃してきたからなぁ……! 渋谷くんを連れ戻したときとか、上層部を論破したときとか。 まさか、本当にあのやり口がデフォ!? だ、だがあの……あの……あのー! ◆◆◆◆◆ 追い詰められていく慟哭(どうこく)は続く。そんな中でも、今日の独演会はやってきて。 『――タイタニック沈没事件を題材に、壮大なラブロマンスを描く! いや、そんなのは受けません。 いや、絶対受けますって! 出会った恋人がね、船の舳先(へさき)で……こう立ってね! こう立ってね! そんなことしたら危ないでしょ』 僕の一挙手一投足で。 僕の言葉で。 たくさんの人が笑ってくれる。 そのたびに実感する――僕は正しかった。兄さんを殺したことは、間違っていなかった。 兄さんがいけないんだ。いつまでも現実逃避を続けているから。 罪があるというのなら、兄さんのネタでたくさんの人を笑わせ、幸せにしよう。 そうすれば償っていける。兄さんも死後の世界で理解するだろう。 ……これこそがあるべき姿で、間違っていたのは自分だと。 『――へいラーメン! へい、もやしバター!』 扇子を広げて、企画書を表しながら、ラーメンを受け取る仕草。 『……なんでこの企画、やらないかねぇ。先見の明がない奴らだよぉ』 爆笑を受けながら気づくのは、最前列の影。 志保ちゃん達765プロの候補生メンバー……そして。 あの……悪鬼のように、僕を追い詰めにくる男。 ◆◆◆◆◆ 独演会二日目終了後――気楽家有楽師匠と若旦那、それにブラック氏には、346プロに来ていただいた。 その上で会議室を借り、CPと一部アイドル達を集め、企画会議を執り行う。 「――というわけで、気楽家一門とのコラボ企画は以上となる。これからまだ煮詰めていく要素もあるが」 「失礼します!」 だがそこで突然、今西部長が入ってきた。 「今西部長……お疲れ様です。会議ならまだ始まったばかりなので」 「違います! あの、蒼凪プロデューサーがいきなり乗り込んできて……気楽家雅楽さんに話があると!」 「僕に?」 なるほど、例の件か……ならちょうどいい。 「では、ここで話を聞きましょう」 「常務!?」 「よろしいですね、若旦那」 「……えぇ」 どのような証拠を持ってきたか、この場に晒(さら)す。その上で野良犬の誇りをへし折ろう。 美城に対抗するという愚行を悔い改めさせ、飼い犬として躾(しつ)けてくれる。 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 恭文「ほらー、向こうもやる気だよ」 フェイト「ふぇー!」 恭文「ドンパチだよー、ドンパチだよー」 (蒼い古き鉄、やっぱりドンパチは好きらしい) 恭文「それはそうとフェイト……イオク様って、〇しても罪にならないよね」 フェイト「お、落ち着いて! 今日の鉄血でまた……ね!? 分かるけど!」 (ネタバレ防止のため、詳細は触れない形に……なおイオク様がやらかすのはデフォです) フェイト「えっと、じゃあ……えい」 (閃光の女神、蒼い古き鉄に抱きつきすりすり) 恭文「ん……温かい。それにいつも通りフワフワで、柔らかい」 フェイト「落ち着いた?」 恭文「うん……でも、イオク様は」 フェイト「殺意も捨てて!?」 (落とし前はつけられるだろう……だろう……。 本日のED:『スタンハンセンのテーマ』) [*前へ][次へ#] [戻る] |