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とある魔導師と彼女の鮮烈な日常TS第1巻 経過報告:02(サンプルあり)(2016/12/22)
恭文「というわけで、鮮烈な日常ThirdSeasonがスタート。
明日(2016/12/23)となりますので、みなさんなにとぞよろしくお願いします」
(よろしくお願いします)
恭文「今回は本編七話、書き下ろし一話、番外編二話という編成。……本編の書き下ろし部分が、大変だった」
古鉄≪では、そんな書き下ろし部分をご紹介しましょう≫
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
日本(にほん)の夏は、実に蒸し暑く過ごしにくい……久々に過ごす祖国ではあるし、体調を崩さないよう注意しなくては。
そう思いながら、まずは実家へと戻る。本来であれば、父にもメールで挨拶すれば済むことなのだが。
「――アイドル部門の状況は、そこまで悪くなっているのですか」
「残念ながらな」
父の書斎に入り、改めて渡された資料を確認。
……救いがあるとすれば、CPの素養が高いことだけか。
プロデューサーが完全に無能かと言われると、そうでもない。
実際デビューしたユニットの受けはいいし、それぞれの魅力もよく引き出している。
「これで武内やCPが無能なら、まだ話は分かりやすかったんだが」
「CPの素養は高いレベル。武内氏もアイドルプロデューサーとしては、なかなかの素質を持っている」
「不器用なほど実直……今時珍しいタイプの男だ」
「それゆえに、年頃の少女達とは上手(うま)くコミュニケーションが取れなかった。もちろん適切な教育も与えられず」
「敦実」
父は私の名を呼び、首を振って訂正。
「いや……美城常務、CPと武内プロデューサーにどう評価を下す」
「……彼女達の犯したミス、これは決して見過ごせるものではありません。しかし”被害者”とも言える」
「では加害者は?」
「今西部長」
父も同じ結論らしく、困った様子でため息を吐いた。
◆◆◆◆◆
早速神崎さんと打ち合わせ。自分のオフィスにて、楽曲のラフデータを聞いてもらう。
「まだラフの状態ですが……神崎さんのイメージで、作曲家の方にお願いしました」
「おぉ、魂の波動が! さすがは瞳を持つ者!」
「気に入っていただけたようで、何よりです。今作詞家の方と話を進めていると同時に、もう一つ」
用意していた資料の束を、はしゃぐ神崎さんに手渡す。
「PVの企画を進めています」
「……夜を統べる闇の眷属(けんぞく)――この世に……紅(あか)き血の……惨劇、を」
「神崎さんのイメージに合わせて、ダークな内容でと考えています。できれば本格的なホラーを前面に……神崎さん?」
おかしい。はしゃいでいた神崎さんが、凍り付いていた。
「神崎さん?」
「この詩編に紡がれしは、過去の姿。既に魔力は満ち、闇の眷属(けんぞく)足るときに終わりを告げた。……今こそ!」
神崎さんは立ち上がり、気迫全開で詰め寄ってくる。
「封じられし翼を解き放ち、魂を解放するとき!」
……神崎さん専用の手帳を取り出し、中身をチェック。
神崎さんの言葉は少々難しいので、発言を逐一記録・解析する必要がある。
とりあえず今の言葉は……困った。今までの語録にはない。
◆◆◆◆◆
「へー、らんらんって絵も描くんだぁ!」
「!?」
しまった……ここは、CPの控え室! 私だけかと思っていたら……卯月ちゃん達がぁ!
「わ、私の真結界を破るとはぁ!」
「甘い! しまむーのバスターライフルは、その圧力でプラネットディフェンサーすら破るんだよ!?」
「な……さすがは内なる鬼を宿す天使! その飛翔(ひしょう)は破壊を呼ぶものか!」
「あ、これは分かります! 私がド外道の島村だって……蘭子ちゃぁぁぁぁぁぁぁぁん!」
卯月ちゃんが怒ったー! ほら、それ! それが内なる鬼ー!
「それはそうと……見せて見せてー」
「禁忌に触れ……いや、よかろう」
「え、いいの!?」
ここでしつこくされるよりは……”あっち”なら問題ない!
「ただし、これはグリモワール……我が魂の一部故、閲覧には相応の資格がいる。というわけで」
グリモワール<イメージイラストVer>は仕舞(しま)い、別のスケッチブックを取り出し見せる。
「こっちならOK?」
「うんうん!」
「ありがと! えっと……」
未央ちゃんは一体なんだろうと思いながら、ページを開く……ちょっとドキドキ。
「おぉ……これって、ダブルエックス!?」
「うん!」
「へぇ……蘭子、ガンプラの絵も描いてるんだ」
「内なる翼を解放し、新たな魔力を解き放つ……そのためには、我が欲望を白きキャンパスに叩(たた)きつけることも必要……」
「「えっと」」
あの、手帳を取り出して、解読するのは……はい、私のせいです。ごめんなさい。
「あ、改造プランですね」
でも卯月ちゃんは違った……! 今は鬼じゃなくて、天使に見える!
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
卯月「誰が鬼ですかぁ!」
恭文「むしろ漢という方向性で、どうだろう」
卯月「私は女の子です! そ、そうです……恭文さんには、女の子として見てほしくて」
恭文「そんな春香みたいなことを……」
卯月「どうして呆れるんですかぁ!」
(ぽかぽかぽかー)
古鉄≪というわけで、早速登場した美城常務……ある意味アレの前振りです≫
恭文「いろいろ統合した結果、当初よりまともな感じになった模様」
古鉄≪ただ、それ故に自らの矛盾<ジレンマ>に苦しむ人になる予定です≫
卯月「矛盾? どういうことですか」
恭文「それもまた後々で……では、こちらは特別書き下ろしの方です! どうぞー!」
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
ニュージェネ三人で協力し、バージョンアップを重ねたガンプラ達……私が使うのは、ピンクカラーの初代ガンダム。
なおRevive版なので、可動範囲も広いですよー。ランドセルにハードポイントもありますよー。
……あ、ランドセルのは旧HGUCでもあったっけ。シールドを背負うために……うぅ、忘れちゃいましたー。
とにかく私もチナちゃんに負けないよう……というか、セシリアさんから軽くアドバイスをもらい。
「あと、ちょっと……!」
「そう……あなたの操縦技術を見るに、過剰な火力や大がかりな装備は必要ありません。よくてバスターライフルくらいですわ」
背部に付ける、追加装備を制作中です。ただ、これ自体がビルドブースターみたいになるわけでもなく。
チナちゃんがベアッガイを弄(いじ)っている横で、私も作業……うん、大分形になってきましたー。
両横と中央、下二箇所。
どれも背部へと伸びる、合計四箇所のハードポイント。
そう……デフォのランドセルにくっつける、追加バックパック。
なお下二箇所は粒子反応を起こし、追加スラスターとしても機能するよていです。
「むしろ適正は、タツヤさんととても近いです」
「え……! わ、私がですか!」
「ユウキ会長と、卯月先輩が!?」
「決して器用な方ではなく、むしろ不器用。しかし熱意と頑張りだけは人一倍。
……努力できることも才能と言いますけど、ユウキ・タツヤはそれを体現しています」
「確かに卯月先輩、見ていると熱心というか、頑張り屋というか」
「私が……」
な、何だか恥ずかしくてむずがゆい。会長は私にとっても目標で……まだ遠い、星みたいな人で。
そんな人と近いだなんて……いえ、これからの努力次第ですよね! うん!
◆◆◆◆◆
「んっしょっと……」
イオリくんが大荷物で、熱い中を歩いていた。それが気になって、慌てて近づく。
「イオリくん」
「あ、委員長。買い物?」
「うん……手伝おうか」
「いや、大丈夫だよ。今から346プロだし」
「346プロ?」
あれ、それって卯月先輩達が入っているっていう、事務所さんだよね。
というかイオリくん、すっごく嬉(うれ)しそう。ニコニコしてるの。
「ちょっとお仕事で、アイドルさん達にガンプラ制作を教えることになってー」
「え……で、でも卯月先輩達は」
「先輩達以外だよ。346プロは大手の事務所で、ガンプラをやりたいアイドルさんが多いんだって。ただ教える体勢が……って、急がないと!」
アイドル……イオリくんが、多いアイドルの人達に囲まれて……アイドル……アイドル……!
「じゃあ委員長、また今度!」
「あの、待って!」
ついイオリくんを引き留め、右手の荷物をふんだくっていた。……あ、結構重い……!
「や、やっぱり見ていられないから……私も手伝う」
「はい!? いや、いいって! 買い物帰りなら」
「大丈夫だから!」
「あ……はい」
そうだよ、駄目……アイドルさんって、やっぱり美人で可愛(かわい)いんだよね。
わたし、絶対勝てないし……だから、頑張らないと……!
◆◆◆◆◆
「で、何を作るかと言うと」
「これです!」
そこでセイが、どんとパッケージを置く。そう……もうすっかりお馴染(なじ)み、ベアッガイIIを。
「ベアッガイIIでごぜーます!」
「みなさんのリクエストを聞いて、うちの方から持ってきました。あ、もちろんしっかり御購入いただいた上で……ありがとうございます」
「ううん、無理を言っているのはこっちだから」
そこでチナが更に萎縮……はいはい、今更遅いからねー。
「そう、みんなも知っている通り、これはベアッガイII。
元々この機体は、『模型戦士ガンプラビルダーズ』に登場した<ベアッガイ>を、より熊のぬいぐるみチックに近づけたもの」
「しかもこれは最新バージョン! ABSだった関節パーツが、KPS<粘りあるプラ>に変更されています!」
……あ、これアカンやつや。セイの目が……星のように煌(きら)めいて!
「なので関節強度やその順応性も、三割ほどアップ! 塗装派にも安心な設計……正しく、ガンプラの門戸(もんど)を広げた模型戦士!
そうそう、ベアッガイというガンプラが生まれた経緯にも、ドラマがあるんですよー!」
「セイ、その辺りの話はまた」
「元々はC3ディーラーとして参加されていた、『餅ネコ堂』さんのアッガイ改造パーツ<クマッガイ>という作品があったんです!
ガンプラビルダーズの企画者さん達は、メインの女の子キャラが使うガンプラとして、それを最適だと判断した!
もちろん無許可はアウトなので、ちゃんとディーラーさんに連絡して、許可をもらったんです!」
「イ、イオリくんー?」
「直接対面し、相談の結果……餅ネコ堂さんはパッケージ用の完成品を作るという、夢を叶(かな)えることにもなったんです!
ベアッガイは作品世界だけに捕らわれない、ガンプラの自由と楽しさを体現したキットなんですよ!
無論バトルにおいても、初心者向けと言われる要因は多く存在しています! 間接部の改修を除いても」
「セイ君、落ち着いてください! みんな置いてけぼりですー!」
卯月の制止によって、セイがハッとする。それで周囲を見渡し、一気に萎縮。
「ご、ごめんなさい! 僕、また一人で勝手に……」
「い、いえ……その、わたくし達も、よく分かりましたので」
「……とこのように、セイさんはディープかつ筋金入りのガンダム・ガンプラお宅」
セシリアは気を取り直すように、さっとため息。
「下手に話を振ると際限なくまくし立ててくるので。そのときは我が身を呪(のろ)いつつ受け入れましょう」
「セシリアさん!?」
『……はい!』
「みなさんまでー! いや、その……自重します! 落ち着いてお話しますからー!」
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
恭文「というわけで、セイとチナが346プロに……内部設備への驚きは一切描いていませんが」
卯月「え!?」
古鉄≪卯月さん達で、もう散々やりましたしね。こんな感じで進めていきますので、どうぞご期待ください≫
恭文「それはそうと……アルト、あと二十分ほどで」
古鉄≪FGOの最終特異点が解放……なお、メンテで一時間半ほど伸びた模様≫
恭文「まぁ恒例だし、詫び石もつくだろうから問題ないや」
卯月「それでいいんですか?」
恭文・古鉄≪「いいの」≫
(いざ行かん、最終決戦の舞台へ!
本日のED:坂本真綾『色彩』)
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