作者でも分かるとまと同人誌情報コーナー
幕間第44巻経過報告:01(サンプルあり)(2016/6/28)
古鉄≪というわけで2016年6月30日、とまと幕間第44巻が販売開始です。
みなさま、なにとぞよろしくお願いします。……こちらにはおまけとして、先日お話ししたディケイドクロスのボツ戦闘シーン一つが収録されております≫
恭文「とりあえず、作者はこのときテンションがおかしかったとだけ」
(だって、大当たりだったから)
恭文「何が大当たりかは、本編を読んで頂ければと思います。
さて……346プロでのバトルトーナメントもいよいよ大詰め。今回のお話で残り二戦というところまでこぎ着けました」
古鉄≪トーナメントが大変だという境地にたどり着いているわけです。つまり、二人は脱落≫
恭文「というわけでサンプルです、どうぞー」
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
あのまままともに戦っても、間違いなく勝てない。だから退避して、作戦を立てる。
――普通なら、そう思うよね。
でも作戦ならもう立てている。ドームに逃げたのは、律子さんに『そう思わせる』ため。
こちらに手がない……できることがないと、そう思わせるため。
完璧な連携……各々の特性や動きも加味した、再現度の高いシルエット。
でもそれはダンスや歌だからこそ、欠点のないものに見える。
……動かしているのは律子さん自身――だからこそのシルエット。だからこそ、突破口がある。
ある程度のバリエーションはあるけど、三体と律子さんの立ち位置と動きは基本変わらず。
連携に入れば、一人で操作している特性上どうしても反応が遅れる。
それを綿密に作った『選択肢』で補っているようだけど……さぁ、答え合わせかな。
……でも、そう考えて指先が鈍る。
ほんの一瞬でも止まれば、向こうにペースを握られ続けるのに。
怖い……怖がってる? 負けるのが……ここで止まるのが。
みんなの期待を裏切るから? ううん、違う……それだけじゃない。
今心の中に浮かぶビジョン――あのときの、尾崎さんの姿。
それを思い出しながら深呼吸。
そうして改めて知る。新しい一歩を踏み出すのは……いつも怖いんだって。
◆◆◆◆◆
……元々私は、『Ellie』というハンドルネームでネットアイドルをしていた。
ちょうど……そうだ、五年とか六年前だ。
その頃だとニコニコ動画やYouTubeも最盛期で、初音(はつね)ミクブームも到来していた。
そんな中、歌い手や踊り手と呼ばれる人達も生まれて……私も、一応そんな一人。
ただ自分で言うのもアレだけど、凝り性ゆえに……どんどん本格化していって。
元々強かったパソコン関係……自作マシンも作成できるし、プログラミングもお手の物。
それを生かしたPC編集、作曲まで手がけている間に、いつの間にかこう……人気者?
それはガンプラバトルにも生かされてしまった。……元々配電盤の修理やらもお手の物だったから。
そうしてクイーンなんて呼ばれて……ネットアイドル友達のサイネリアと出会ったのも、ちょうどその頃。
……尾崎さんはそんなPVを見て、私をスカウトしてくれた。もちろん最初は断った。
飽くまでも趣味だし、そこまでって感じでは。
それに……スリーサイズも盛っていたので。ちなみに数値は以下の通り。
バスト:トップ八十二のEカップ。
ウェスト:五十三。
ヒップ:七十六。
……全部大うそです、本当にごめんなさい。本当はもっとやせ形です。
それは今(二〇一二年現在)の数値なんです。私、嘘(うそ)つきなんです。
そんなふうに断ったのに、尾崎さんは全く納得してくれなかった。
◆◆◆◆◆
尾崎さんは頭をかきながら、改めて私を……そして部屋を見やる。
「あなたにとって、これは遊び……趣味の一つ。でもね、水谷さん」
「何かな」
「プロ用の機材をしっかり揃(そろ)えているなら、それは遊びの領域を超えてるのよ……!」
そうして見やるのは、私が揃(そろ)えた機材。
プロも使う音響や照明、さらにはソフト関係もバッチリ。
「あなた、中学生よね! お金はどこから!? お小遣いとか!」
「ヤフオクで配線ケーブルを売ってるから……ひと束五十メートル一万円を、一メートルずつ切り分け、加工……それが一つ二千円」
「詐欺じゃないわよね、それ!」
「スキルを生かした商売と言って。……でも、一つ悩みが」
まぁ真似(まね)する輩(やから)も増えて、そろそろうまみが少なくなってきたなーと言うのが一つ……それともう一つ。
「前に、お母さん達に『生活費も多少入れる』って言ったら、なぜか泣かれて」
「それは、将来に取っておきなさい」
「でも引きこもりだし」
「だったら外に出なさいよ! アイドルじゃなくていいから!」
「あ、いいの? じゃあ……もう会うこともないと思いますが、お元気で」
「そうきたかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
なのでしっかりお辞儀をしても、尾崎さんは帰ろうとしない。うーん、これはやっぱり。
「警察もやめて!」
「でも、キャッチセールスは相談しないと」
「売りつけないから! 何も売らないから! というか、売ってるのはあなたでしょ!」
◆◆◆◆◆
「マイクロウェーブ……きて!」
月から舞い降りる輝き――それに合わせて加速する、F91パピヨン。
でも動かない……たとえライフルを向けられても、軽い操作だけに留(とど)まる。
そうして放たれるビーム……それは音を超え、こちらへと迫る。
『……!』
でも大丈夫……本当にギリギリで、マイクロウェーブがフェイタリーに届いた。
……そうして変換される粒子エネルギーを、放出することなく機体内部に浸透。
アンテナの先からつま先まで、月の光に満たされながら、フェイタリーは輝く。
その輝きがライフルビームの粒子を跳ね返し、霧散させる。
『これは』
「奥の手なら、まだあるわよ」
恭文君が用意してくれた、フェイタリーの切り札。
――マイクロウェーブを変換した粒子エネルギーによる、機体の能力ブースト。
フェイタリーに余計な武装を詰め込んでいないのは、この能力を最大限使うためです――
――いざとなれば、その出力で殴りつける?――
――もちろんビームサーベルなども強化されますけど。ただ調整は律子さん自身の手で――
――分かったわ。まぁ世界大会まで使うこともないだろうし、大丈夫よ――
ごめん、フラグを踏んだ……! フラグ管理、御主人様を見習って頑張るわ!
その前にバトルだけどね!
「限界突破<ブラスター>システム――アンロック!」
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
恭文「……え、過去話? 大丈夫、戦闘中の回想は、状況次第で勝ちフラグだから」
(そう思わせておいて、負けフラグかもしれません)
恭文「そしてフェイタリーも本領発揮。さぁ絵理よ、倒せるものなら倒してみせろー!」
古鉄≪基本設計はあなただから、めっちゃ肩入れしてますね≫
(本編はここまで頑張っていない、蒼い古き鉄でした)
恭文「もちろんこの決着のあとは……またまた登場する殺し屋歌唄」
古鉄≪が、そこでちょっとしたハプニングが≫
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
残り、三試合……心臓が高鳴り続けていた。
どの人も、今の私では届かない。それぞれの楽しさを、全力で詰め込むビルドファイター達。
その姿を思い出しながら、休憩所でマカロンを頂く。うぅ、この甘さが心を癒やしますー。
「でもかな子ちゃん、めいっぱいお菓子作って……あの、みくやっぱり、お金払うよ」
「あ、それなら私もです! いっぱいご馳走(ちそう)になりましたし!」
「ううん、大丈夫だよー! 初めましての挨拶も込みだったし」
「……なら、何か別のことで返すよ。じゃないと悪いにゃ」
「ありがと、みくちゃん」
私もそうしよう……というわけで、さっとメモ。かな子ちゃんにお礼……っと。
「しかし歌唄ちゃん、大胆なのです。もうすぐ試合なのに」
「この状況でとんかつって……お昼休憩、終わってたよな」
「だからこそよ。ガッツリ食べて、気合いを入れましょ」
でも……その声で、ペンを動かす手が止まる。
左脇から休憩所の前を横切る、スレンダーな女の子。
その両脇には天使と悪魔のしゅごキャラ二人。
微塵(みじん)も揺らがない、強気な瞳を見て……嫌な動悸(どうき)が走る。
「ん……おい、歌唄!」
悪魔コスのしゅごキャラがこっちに気づくと、その子が足を止めて振り向く。
ライトパープルの瞳はこちらを……私を一番に見つけて、自嘲の笑みを浮かべる。
「あー! ほしな歌唄ちゃんだー!」
「わぁ……奇麗ー」
みりあちゃん達がテンションを上げる中、ただ苦しさに苛(さいな)まれていた。
……分かってるのに……分かっていたのに、感情がこみ上げてくる。私、やっぱりまだ……!
◆◆◆◆◆
「――恭文ぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!」
とにかく卯月のフォローを……と思っていると、唐突に甘い叫びが響く。
というか、この声……休憩所から軽く出て、廊下を見やると。
「歌唄……ちょ、離れて! 別事務所の中!」
「どうしてよ。私がアンタを愛しているのは、もう周知の事実でしょ?」
「どこへ向けての発信で!?」
私達から離れたはずのほしな歌唄が、蒼凪プロデューサーに抱きついていた。
形良く盛り上がった胸も、腰も擦(こす)りつけ……さっきとは全然違う、甘い笑顔で誘惑し続ける。
「いいからキスして」
「できるかぁ!」
「まだ胸への触り直しもしてくれないし……それであずささん達とは仲良くするし……もう嫌。ちゃんと私も……愛してよ」
そう言いながらほしなさんは目を閉じ、唇を優しく突き出す。
「愛してるわ、恭文……頭がおかしくなるくらい」
「エル、イル、助けてー! やっぱりまともじゃない!」
「アタシ達にそんな能力があると?」
「恭文さん、歌唄ちゃんの心を受け止めるのです! 欲望を解放するのです!」
「「「ファイト!」」」
「シオン達までー! ちょ、やめろ……唇を近づけるなぁ!」
……自然と、休憩所の中に引っ込む私達。
「みんな、いいわね。今のは……何も見なかった。OK?」
『……OK』
そう意見を統一し、頷(うなず)き合う私達……でも、お願い。
これでいいって、許してほしい……だってあんなの、どうツッコめば。
本気でキス、求めてたよ? 無理、処理できない。私……経験ないし!
「ほし……そう、だったんですか」
……でもそこで、地の底から声が響く。びくりとしながら振り返ると。
「恭文さんと、触り直し……あは、あははははは……あはははははははは」
「卯月、落ち着いて!」
「そうだよしまむー! 深呼吸……ひ、ひ、ふー!」
「それ違う!」
ヤバい、経緯があれで、現状がクレイジーだから……処理能力を超えちゃってる!
みんなどん引きになるくらい、怖い笑顔を浮かべちゃってる! というかヤキモチ!? ヤキモチかな、これ!
◆◆◆◆◆
恭文さんが、ほしなさんと……しかも、キス……ハグ……胸まで、触ってる。
正直、信じられない。いや、ハーレムしているそうですから、そのうちの一人……一人?
でもそれなら……もう遠慮はいらないと立ち上がり。
「しまむー!?」
「卯月!」
「……島村さん、どうされましたか」
なぜか現れたプロデューサーさんをさておき、あの二人へと近づく。
「……恭文さん」
そうして声をかけると、恭文さんがびくりと震える。
というか、ヒカリちゃん達も私を見て、身を引き始めた。
「う、うううううううう……卯月ぃ!? どうしたのかな! あ、これ!? これはあれだよ……いつものことで!」
「そうだぞ! 歌唄はアレだ……コイツのストーカーなんだよ!」
「ま、まぁ落ち着け……ウヅキ・デラックス。そうだ、羊かんでも食べ」
「ありがとう。でも私、デラックスじゃないから……!」
笑って答えると、なぜかヒカリちゃんが卒倒。
「きゅう……」
そのまま落下……でもシオンちゃんに担がれる。
「ヒカリィィィィィィィ!」
「お姉様が恐怖で即気絶……相当ですね、今の島村さん」
「なるほど……あのね、アンタ」
「なんでしょう」
「コイツをシェアするのはいいけど、順序を守りなさい」
「何言ってるの! 卯月はよそ様の事務所さんからデビューする、アイドル候補生だから! そういうのはないから!」
そういうのは、ない……私は、駄目……!
そう聞こえてしまって、胸がずきずきと痛む。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
恭文「そう、宿命の出会いが……って、なんでまた僕が巻き込まれてる!?」
古鉄≪よかったですね、求められて≫
恭文「何かが違う!」
(蒼い古き鉄、ガチンコみたいなのを想像していたようです)
恭文「そして歌唄とまゆの戦いは……どうなる!?」
古鉄≪私に聞かないでくださいよ≫
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
先ほどの休憩もあって、ベアッガイの調整は……何とか終了。
それからシャマルさんの検診を受けて、とても呆(あき)れられました。
「あの、シャマルさん」
「大丈夫、【傷】ももう消えているから。ただ……どう言うべきか」
シャマルさんは大きくため息を吐きながら、まゆの両腕を触診。
振動破砕で……自傷しましたから。実はティアナさん達の試合が終わるまで、ニッパーも持てなかった。
「あれだけ痛めつけられて、なお戦おうとするのに驚くべきか。
それでもなお、シャーリーという化け物に勝てたことを驚くべきか」
「そう、ですね。まゆが一番、驚いています」
「どちらにかしら」
「戦えたことも、勝てたことも……両方」
本当に強かった……でも同時に突きつけられた。まゆにはまだ、知らないことがある。
分からない楽しさがある。それを少しずつでも知っていけたら……嬉(うれ)しいなって。
……とりあえず、柔道の授業は頑張ろう。助けてもらった分、いっぱい好きになろうと思う。
「やっぱりまゆちゃんは、悪い患者さんになりそうね。
無茶苦茶(むちゃくちゃ)するところがなのはちゃんや恭文君そっくり」
◆◆◆◆◆
島村卯月……ただの大人しい子かと思ったら、いい感じじゃない。
そうね、あれくらい噛(か)みついてくれなきゃ、私としても面白くない。
楽しくながらも、しっかりカツカレーを食べて……いよいよきたわ。
『さぁ……このトーナメントも、残すところ三戦! 泣いても笑っても、それだけで優勝者が決まります!』
『準決勝・一回戦目は、三条プロ:ほしな歌唄選手!』
千早さんの声に従い、右のテールをかき上げながら壇上に登場。
そうして相対するは、大人しそうな子……バトルスタイルは泥臭いけど。
『そして346プロ:佐久間まゆ選手!』
「ほしなさん、よろしくお願いします」
「こちらこそ。楽しく……でも全力でやりましょうね」
「はい」
≪――Plaese set your GP-Base≫
ベースから音声が流れたので、手前のスロットにGPベースを設置。ベースにPPSEのロゴが入り、更にパイロットネームと機体名が表示される。
≪Beginning【Plavesky particle】dispersal. Field――Ocean≫
ベースと足元から粒子が立ち上り、フィールドとコクピットを形成。
……へぇ、これはこれは。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
今度は海……ほとんど、海です。陸地や空もありますけど、全体で言えば三割程度。そのほとんどが水中だった。
『今回は海……佐久間選手には有利なフィールドですね』
『えぇ。ベアッガイは元々、水陸両用MS『アッガイ』がベース機体。
丸みを帯びたボディ形状も、水中での潜行能力を考慮してのものだから』
「更に言えば水は、サウンドストライカーの振動をより明確に伝えてくれるだろう。こりゃあ歌唄もキツいか?」
「でも、あの人は……それでも勝つって言いました」
丸裸になるのも覚悟の上で……フィールドの有利不利をすっ飛ばすくらいは、多分やってくる。
実際に話して分かった。そういう人なんだって……でも、負けない……私だって、頑張るんです!
「しまむー、エンジンかかってるなぁ」
「……どういうことにゃ? 恭文ちゃんをずっと探してたって」
「それは、いろいろとね。それより……ほら」
ベアッガイの右方向――迫る機影を発見。青に溶け込む黒い、丸みを帯びたボディは……凄(すご)い速度で突き進んでくる。
え、丸み……丸い? 確かフルアーマーって、連邦系っぽい角張った感じじゃ。
「おい、姉さん……!」
「違う……あれは、フルアーマーじゃありません!」
『えぇ!』
そうだ、フルアーマーじゃなかった。
それはスキー板のようにも見える、巨大なパーツ上に寝そべり、水中を突き進んでいた。
両太もも側面や各部スラスターから推力が生まれる。突き出されるのは、三つに分かれたレールと砲門。
そうして右肩から取り出したビームサーベルを展開。そのまま勢い任せに右薙の切り抜け。
『――!』
ベアッガイは上昇し、斬撃を回避。
でもあの……異形のガンダムは急停止・反転を即座に行う。
追撃してくるガンダムに対し、ベアッガイは急加速。
水中を突き進み、振りほどこうとする。
でも、引き離せない……それどころか、距離が詰められていく!
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
恭文「というわけで、準決勝ということで歌唄も秘密兵器投入。その詳細はやっぱり本編で」
古鉄≪まぁ分かる人には分かるでしょうが。あれ、カッコよかったですよねぇ≫
恭文「あの後ぼこぼこになったけどねー」
(なお文字通り)
恭文「とりあえず、次巻には決着できるよう準備しよう」
古鉄≪それが終われば、語られるわけですね。あなたの澪尽し編が≫
恭文「なぜ!?」
(真・主人公、実写ドラマ版のひぐらしを見て、火がついているらしい。そしてまたまたメイスをフキフキ。
本日のED:機動戦士ガンダム サンダーボルトのサントラより『サンダーボルト・メインテーマ用』)
[*前へ][次へ#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!