[携帯モード] [URL送信]

作者でも分かるとまと同人誌情報コーナー
とある魔導師と彼女の鮮烈な日常SS第1巻 経過報告:02(サンプルあり)(2016/5/31)
[TOMATO] とある魔導師と彼女の鮮烈な日常 Second Season01『紅の彗星』




古鉄≪はい、というわけで誤字修正&書き下ろし追加版をUpした関係で、発売後一か月ですが経過報告です≫

あむ「それは意味が分からない!」


(書き下ろし紹介文です。あと前回は出せなかったところも、ちょろっと)


恭文「一話……なんだけど、挿し絵もついて二話です。いや、内容的には一話なんだけど」

古鉄≪というわけで、掲載されたのはどんな話か……こちらをどうぞー≫


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


ゴールデンウィークも終わり、フィアッセさんとお買い物デート中のこと……。


「おーい、坊主ー」


銀座(ぎんざ)の一角――頭頂部の寂しいおじいさんに呼び止められた。

シートを敷いて、仲間内とのん気に酒盛り中。


その格好は所々くたびれてもいて、人目を引きつけてもいた。


「おぉ、辰(たつ)さん! こんなところで酒盛りですか」

「あぁ! ささ、嬢ちゃんとしゅごキャラちゃん達もどうぞ」

「「「「お邪魔しまーす」」」」


フィアッセさん、まだ紹介も何もしてませんけど……まぁいいかー。

とにかく僕達もシートに座り、フィアッセさんにも紹介する。


「じゃあえっと、辰さん」

「おう!」


この頭頂部の寂しいおじいさんは、辰さん――もう十年近く前に知り合った、ホームレス。

その周囲の方々も同じくで、檀家(だんか)の一角となっている。


「恭文くんの檀家(だんか)さんだったんですね」

「銀座(ぎんざ)界わいを根城にしている方で、他の方々も同じく」

「しかしあの荒っぽい坊主が、すっかり立派になっちまって」


コップを渡され、更にお酒を注(そそ)がれる。


「あ、どうも」


なので透明なそれ一口……ん!? これは。


「泡盛……それも、かなり良いものじゃないですか!」

「沖縄(おきなわ)土産さ。冬の間は海に出ててさ」

「沖縄(おきなわ)? でも銀座(ぎんざ)界わいを根城にしてるって」

「ホームレスと言っても、辰さん達は出稼ぎにも出てるんですよ」

「冬は南、夏は北ってね。だからほれ、まだ日焼けの後が」


辰さんが古びたシャツを捲(まく)ると、確かに日焼けの跡だった。


◆◆◆◆◆


最近の銀座(ぎんざ)――引いては都内の情報をもらっていたところ、武内さんから連絡。

そうしてびっくりしながらも、辰さんに頼んで問題人物(信さん)を確保。


近くの公園に移動し、改めて事情聴取と相成った。さて、キリキリ吐いてもらおうか。


「じゃあ辰さんは知らなかったんだ」

「初耳だよ! 大阪(おおさか)出身ってのは、なまりで分かったんだが……信」

「ほんま、女房にはすまんことをした……心配をかけてもうて」

「すまない!? そんなレベルじゃないよね! どういうことなの!」

「ホントだよ。赤ん坊を放り出して失踪だなんて」

「本田さん、渋谷さん」


武内さんに制され、未央達が渋々引き下がる。

……若い身分からすれば、到底許せる行為じゃないからなぁ。

しかも信さん、何やら諦めきった様子だもの。


それが状況を放置しているように見えて、余計いら立つんでしょ。


「信、話してくれや。こうやって知り合ったのも、何かの縁じゃねぇか。
……俺はただの浮浪者で何の力もないが、坊主はさっき説明した通り第一種忍者だ。済まないが」

「もちろん、できる限り力は貸しますよ。スパゲッティの礼もしたいし」

「おおきに。……私の店は、元々女房の父親が経営してました。私はその父親に雇われとったんです」


◆◆◆◆◆


……現時点でアウトの匂いしかしない。現に、凛や未央の顔を見てみてよ。

凛は信さんを睨(にら)んでるし――。

未央も頬を引きつらせ、冷や汗だらだら。


フィアッセさんも小首を傾(かし)げるけど、まだだ……まだ慌てるような時間じゃない。


「吉村さん、なぜ……パスタ専門店にしたのですか」


武内さん、ナイス! 一旦切り替えないと、爆発するしね!


「イタリアでの修行により、本格的なイタリア料理よりパスタが喜ばれるし、奥も深いと考えました」

「でもパスタって、スパゲッティやマカロニのことだよね」

「それだけじゃないよ、未央ちゃん」


そこでグルメな辰さんが、未央の勘違いを軽く訂正。


「パスタは小麦粉を主成分とした、イタリア料理の総称だよ。ラザニア、分かるだろ? あれもパスタだから」

「ラザニアも!? でも板だよ、アレ!」

「それもパスタとなるくらい、幅広く愛されてるってことさ。
パスタはアンティパスタ……つまりメインと組み合わせて、食べるのが基本かな」

「フランス料理で言うところの、オードブルやスープみたいに考えればいいよ」

「そ、そうだったんだ。でもパスタなら、それだけでお腹(なか)いっぱいになりそうだけど」

「そこなんです。日本人の食事量や食文化は、本場イタリアとは大きく違う。
本田さんのような方も多いんです。それに美味(おい)しうて安いし」


確かにパスタという料理のコスパは、庶民にとって有り難いものだった。

例えば冷凍パスタも、百五十円前後で三百グラム以上が基本。乾麺だとそれ以上だよ。


それはお店に出されても同じ。そこまでびっくりするほど、高いわけではない。庶民料理の一つとも言える。


「なのでいわゆる和風系も多く揃(そろ)え、ボリュームも満点。メインディッシュとしてのパスタを追求したんです。
……先駆者も多く、どうなることかと思ったんですが……狙いは当たって、店は繁盛しました」

「五右衛門(ごえもん)とかかな。それなら私も分かるけど……そう言えばアンタ、この手のことには詳しかったよね」


あぁ、武内さん……すっかりめしばなキャラとして認識されているのか。本人は困っているのか、首をかき始めたけど。


「蒼凪プロデューサーもだけど。他には何があるのかな」

「……いわゆる本格パスタからは外れますが、最近はナポリタンなどの炒(いた)めスパゲッティもブームになっています。
それに冷凍食品でも、パスタは一番人気のある商品です。シェアの頂点にいる二社も、そのため社内ブランドを多く打ち出しています」


本当にサラサラ答えが返ってきたので、凛が驚きの表情。二つの日清についても知っているとは……やるな、武内さん。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


恭文「はい、今回は美味しんぼから……後味の悪い話としても有名なアレを」

古鉄≪どっちにしても悪くなりましたね≫

恭文「むしろ悪い中、あの人が男気を……おっと、内緒内緒」


(ネタバレ注意)


恭文「その結果、こんな形になりました」


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


勝負の日はやってきた。765プロからは美奈子さんもきた上で。


「木崎……!」


スタジオで信さんと木崎さんは対峙(たいじ)。木崎さんは返事もせず、信さんが使用するキッチンの隣へ。

アイアンシェフみたいに、二つの陣営に分かれたキッチン――これが今から、戦場となる。


「ではお二人とも、材料、機材は問題ありませんね」

「ない!」

「大丈夫です」

「調理の制限時間は一時間です。それでは――」

「スタート!」


アイツと蒼凪プロデューサーの声で、スタジオ内に銅鑼(どら)の音が響く。そうして揃(そろ)ってキッチンを駆け、鋭く動き出した。


『では、ここからの実況は僕、蒼凪恭文と』

『解説役として連れてこられた、佐竹美奈子でお送りします』

「実況!?」


ちょ……二人とも、解説席っぽいところに陣取ってる! いつの間に! ついさっきまで、私達と同じで客席にいたよね!


「解説って……プ、プロデューサーさん」

「スタジオの運用説明ですので」


実況も含めた説明、いいんだ……! というか私的利用なのに、OKが取れるなんて。

コイツって専用オフィスも持っているし、もしかしなくてもエリートってやつなの?


◆◆◆◆◆


「骨付きかー。これは楽しみですね」

「あぁ! あの手際……五年間の修行は伊達(だて)じゃないね」


なお、フィアッセさんと辰さんもいます。二人とも目をキラキラさせながら、あのお肉を見ていた。


「しかもあの肉、かなりのもんじゃないか。一食一万……いくかね」

『一万!?』

「みんな、タダで食べられるのは本当に凄(すご)いよー。感謝しないと」


そ、そんなレベルのお肉なんだ! うわぁ、これは覚悟していただかないと!


『一方信さんは…… セモリナ粉を持ちだした! パスタ! 手打ちパスタで勝負だぁ!』

「お前はほんま、何も分かっとらんな!」


木崎さんは肉のブロックに、更にナイフを入れる。
それも、目に見えない速度で……!


肉の状態、必要な処置、全てが体にたたき込まれている。
とても自然に、かつ機械的に、そのためだけに手先と神経が動いていた。


「おやっさんが五年間修行してこいって言うたんはな、イタリア料理の真髄を学べっちゅうことや!
それを途中で逃げ出して、店をパスタ料理専門店になんぞしおって!」

『しかし木崎さん、口は悪いが手も鋭い! 美奈子、これは』

『今のは筋を切っているんですけど、的確かつ最小限です。……筋は火を通すことで、収縮します。
しかしそのために刃を通しすぎると、今度は肉汁がうまみと一緒に漏れ出しますから』

『最小限かつ効果的に入れることで、味の流出も防ぐわけですね!』

「パスタは飽くまでも前菜――それだけでイタリア料理の真髄が掴(つか)めるか!」


つまり、叩(たた)きつけるのは五年間の集大成。
木崎さんがイタリアで身につけた、一番の得意料理と言える。


対して信さんは……うん、大丈夫だ。迷いがないのは分かる。

ただ生地でパスタを打つかと思ったら……何、あれ。


生地の入ったボールが三つほど並べられ、そこに別の何かが混ぜ込まれる。


『これは、どういうことだ! 木崎さん、ボールを複数用意!』


その上で水や卵を入れ、さっとかき混ぜていく。そうするだけで、生地はたちまちひとまとまりになって――。

一つの生地を作ったら、手をしっかり……でも手早く洗って、別のボールへ。

本当に、五分程度で複数の生地ができ上がり、その手早さに感動してしまう。


◆◆◆◆◆


『木崎さんは肉に下味をつけ、付け合わせを切り終え』


ニンジンとインゲン、だよね。それが手早く切られ、準備完了と言わんばかりにトレーの中で揃(そろ)えられる。

更に熟したトマトを潰し、裏ごし――次はソース?


『続いてはソースの作成へ!』

『今のを見る限り、塩コショウ・ニンニク、シナモンなどでしょうか。
一時間という短時間での調理ですから、両選手とも仕込み時間が長いものから仕上げていますね』

『……おっと、信さんの方でも動きがありました! アレは』


信さんが取り出したのは、血管が浮いた……何か、糸状のものが絡みついた食材。あれ、何。


『仔牛(こうし)の脳みそ!?』

『えぇ!』

「ちょ、脳みそって……ゲテモノじゃん!」

「みりあ、無理……というか、食べられるの!?」

『え、マジで食べられるの?! やったー!』

『最高だよ、あれ! 色合いから見るに、鮮度は抜群……よく手に入ったなぁ!』


年少組二人や私達がどん引きな中、盛り上がる実況席――その落差についズッコけてしまう。


「み、みーくんが乗り気!? 美奈子ちゃんもー!」

『それでは私から説明しましょう! 動物の脳は世界各地で食用とされています!
日本(にほん)の食材で言うなら、白子(しらこ)に似た味わいですね』

『しかも食材としてはかなりの希少部位だよ。一頭に一つしか取れないし』

『その上少し前に起こった、BSE問題の件があるから。脳の中でも仔牛(こうし)脳は、滅多(めった)にお目にかかれないんだよねー。いや、ありがたやありがたや』

「いや、そりゃそうだろうけど!」


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


恭文「というわけで、料理の鉄人が混じりました」

あむ「なんでそうなった……!」

恭文「作者が世代だから」


(今はもう、心臓が耐えられない)


あむ「どういうこと!? ……ところで恭文」

恭文「なにかな」

あむ「何かなじゃない! あの、角のついた子……!」

酒呑童子「〜♪」


(本日、蒼凪荘にて召喚されたサーヴァント、ドレイク&マタ・ハリ達と酒盛り中)


あむ「あの格好はなに! 痴女じゃん!」

恭文「キャラデザの人に言ってもらえると。あとは開発スタッフ」

あむ「メタで逃げるなぁぁぁぁぁぁぁ! て、ていうかアンタ……恥ずかしくないの!?」

酒呑童子「恥ずかしい? なんでやろ……」

あむ「だって、格好!」

酒呑童子「だって……うちの体で恥ずかしいところなんて、一つもないわぁ」(しゅるしゅる)

あむ「着物まで脱ごうとするなぁぁぁぁぁぁぁ!」

子ギル「なるほど……その気持ち、よく分かります」

あむ「アンタも分かるなぁ!」


(なお茨城童子クエは、ドレイク&沖田(遮那王礼装×2)に、フレ孔明が参加することで安定。
サポートとして最後尾に控える天草さんが、金時礼装で火力を底上げしております。
これで百万までは、ワンターンキルできそうな勢い。
本日のED:中村由真『Dang Dang 気になる』)





[*前へ][次へ#]
[戻る]


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!