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とある魔導師と彼女の鮮烈な日常SS第2巻 経過報告:02(サンプルあり)(2016/5/29)
古鉄≪というわけで、経過報告の続きです。今回は前半が一回戦で≫
恭文「後半はデレマス話――こちらもガッツリやりますよー。どうぞー」
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
※二〇一二年五月二十八日・月曜日――九時五十三分。
事件発生まで、約七十七時間。
昨日のバトル、凄(すご)かったですー。でも……今日CP控え室にきて、気づいた罠。
「……仏滅」
「卯月、知らなかったんだ」
「まぁ蒼凪プロデューサーにとっては、三対一の一回戦で仏滅だったけどさー」
「イオリ君も、最初は仏滅モードだった」
そう、今年の選手権開催日……仏滅だったんです。な、なんというか不吉ですー。
「でも、試合内容については不吉なところもなかったよね」
凛ちゃんはそう言いながら、振り返って美波さん達を見やる。
みんな、昨日の試合で盛り上がっています。いいテンションですー。
「そうそう! それに今日は大安吉日! きっといいことがあるよ!」
「はい」
「ねーねー、卯月ちゃん達は第二ブロック、どうだった
ー?」
そこでみりあちゃんと莉嘉ちゃんが、笑顔で近づいてくる。
「こっちも凄(すご)かったですよー。タツヤさんは相変わらず華麗でしたし、それに」
「ビルドストライク・フルパッケージだね! イオリ・セイ&レイジ組!」
「……ガンプラもそうだけど、操縦技術も半端なかった。多分……蒼凪プロデューサーレベルは」
「やっぱりかー。莉嘉もね、お姉ちゃんと一緒に、家でチェックしたんだ。……イケメンだったよねー、あの赤髪の王子様!」
「「「王子!?」」」
え、なぜアリアンとかいう外国のことを……違う! これは恋する乙女の目だ! アイドルがしちゃいけないやつ!
「え、あの人って王子様なの!? 知らなかった!」
「違うよー。莉嘉の……莉嘉だけの王子さまー♪ というわけで莉嘉、次は第二ブロックに行くから!」
「あ、あはははは……誰か、付き添いを頼まないとですね」
「卯月ちゃんは行かな……あ」
「何を察しました!?」
いや、それだけなんです! 何かを察しただけですけど、とっても気になる引き方をして……莉嘉ちゃん、よからぬことを考えています!
◆◆◆◆◆
「みなさん、おはようございます」
『おはようございますプロデューサー(さん)!』
「諸星さん、昨日の試合、お疲れ様でした。今西部長達も喜んでおられました」
「ありがとー。Pくんやみんなが応援してくれたおかげだにぃー」
「島村さん達も、第二ブロックの方は」
「そっちは問題なしだよ。プロデューサー、我がまま聞いてくれてありがと」
「いえ。みなさんの家からでは、聖夜市の方が若干遠いですし……試合見学もプライベート込みなので、無理はなさらぬように」
プロデューサーさんは物静かだけど、心遣いが細やかだと思います。
それには感謝し、凛ちゃん達としっかりお辞儀。
「ありがとうございます。でも、次の試合は第二ブロックに! 会長も大丈夫そうなので」
「分かりました。……それと取り急ぎになりますが、一つ御報告が……島村卯月さん」
「はい!」
いきなり名前を呼ばれたので、居住まいを正す。
「渋谷凛さん、本田未央さん」
「「はい!」」
「三人でのユニット結成と、そのCDデビューが決定しました」
……確かに今日は、大安吉日かもしれない。また、扉が開いていく。
「それと新田美波さん、アナスタシアさんもお二人でユニットを結成。島村さん達と同時にCDデビューの運びとなります」
「わたし……達が」
「CDデビュー!?」
「はい」
お城のような場所で、私達は……新しい一歩を進む。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
卯月「はい……私、CDデビューします!」
恭文「おめでとー、卯月ー!」
卯月「あ、ありがとうございます!」
(そしてクラッカーが鳴り響く……分身達によって)
卯月「分身を使って演出しないでくださいー! 寂しくなります! 逆に辛いです!」
恭文「卯月は可愛いなぁ」
卯月「話を聞いてますか!?」
古鉄≪しかし、そんな中襲いかかる刺客が≫
恭文「よし、斬ろう」
卯月「暴力は禁止です!」
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
※二〇一二年五月二十九日・火曜日――十五時二十三分。
事件発生まで、約四十八時間。
学校が終わって、すぐにレッスン……デビューが決まった直後なので、気合い十分。
今日は新しいトレーナーさんと顔合わせもあるそうで、プロデューサーさんも同席。
一緒にエレベーターへ乗り込み、レッスン上へ向かっていると。
「「「ライブ!?」」」
「と言っても、規模はこの間ほど広くはありません。サンシャイン60地下の、イベント広場……分かるでしょうか」
「あ、うん。休憩所にもなってるところだよね。出入り口と、トイザらスの中間くらい」
「吹き抜けになっていて、噴水もある場所……ですよね」
「あそこでライブ!? 花の池袋(いけぶくろ)で……あんなキラキラしたところで!」
「ラブライカと一緒に、PRも兼ねたミニライブです。なので本日から、本格的なボーカルレッスンも行います」
池袋(いけぶくろ)……サンシャイン60! ワクワク過ぎて、凛ちゃんまでもが表情をほころばせる。
「池袋(いけぶくろ)……頑張らないと」
「はい! 私も頑張ります!」
気合いを入れてエレベーターから降りると。
「曲は、もうできているんですか?」
「いえ。これから制作なので」
「ちょっと待つにゃー!」
……なぜかみくちゃん、李衣菜ちゃん、みりあちゃんが、仁王立ちで待ち受けていた。
「新入りが先にデビューなんて、納得いかないにゃ! みく達と勝負にゃー!」
「「にゃー!」」
「……前川さん、バックダンサーの件でも申し上げましたが、そういった行為は評価を下げるだけですので」
「Pちゃん、みく達が勝ったら、CDデビューさせてほしいにゃ!」
「莉嘉もー!」
「みりあも、可愛(かわい)いお歌いーっぱい……うたいたい!」
あぁ、話を聞いていません。……仕方ないので……全力ダッシュ! みくちゃん達の脇を抜ける!
「ちょ、卯月!?」
「しまむーが逃げた!」
「違います、無視してるんです!」
「卯月ちゃんがヒドいにゃ! いいから勝負!」
「絶対できません! ではー!」
そうしてダッシュ、ダッシュ、ダッシュ……!
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
どうしたものか……昨日の件が引っかかりながらも、今日はイベント関係の打ち合わせ。
アイツの説明を聞きつつ、スケジュール帳にメモ……け、結構拘束時間が長い。
いや、長期間? 私達三人とも未成年だから、一日の拘束時間はそこまで長くない。
アイツや今西部長も、『学業優先』を掲げてくれているから、学校の勉強も……さほど遅れていない。
でも、今までとは違う。仕事として、お給料の入ることをやる。私はこれでお金を稼ぐ。
そう考えると、身が引き締まる思いだった。……少しくらい、家に入れられるかな。
「――以上が、発売イベントのスケジュールです。最後に宿題を」
「宿題!? わ、私……数学は苦手」
「皆さんにとって、重要な宿題です。――ユニット名を考えておいてください」
「わ、私達のですか!?」
「わぁ、めっちゃ重要じゃん! というか、私達が決めていいんだ!」
「はい。覚えやすいものがいいかと……三人らしい名前なら、なんでも」
ざっくりとしてる……! らしいって、何だろう。疑問に思いながらも、それとは別のことを聞いてみた。
「あのさ……どうして、私達三人なの」
「しぶりんー、私達とは嫌ー?」
「そうじゃない。みく達じゃなくて、私達を選んだのは」
「総合的に判断して、です」
「……よく分からないんだけど、昨日の話と関係が」
「……みなさんの『これまで』が、私のみならず周囲の信頼を掴(つか)んでいる。それは間違いありません」
少なくとも仕事を任せても、大丈夫と思う程度には……か。
いや、仕事ならもう請け負っていたんだ。バックダンサーのときにさ。
なのに……今ならほんと、馬鹿だったって分かる。私達は無責任だった。
みくやみんなの気持ちだけで、考えて動いちゃ駄目なんだ。
それを通すなら、仕事も全力でやる。そうしなきゃ誰も納得しない。
それは分かるんだけど……答えになってない! 『どうしてこの三人なのか』って辺りがサッパリ!
◆◆◆◆◆
「ミルクティーってどうですか」
「可愛(かわい)い!」
「けど、私達のユニット名としては」
「ならジンジャーミルクティーだ!」
「美味(おい)しいですー」
「いや、食べ物から離れない?」
ナポリタンとかあるしさぁ。とすると……いや、さすがにあれは……言えない。
「ならフライドチキン!」
「却下!」
「窮地を救っていただいたお肉様に、何たる仕打ち……呪(のろ)われる……呪(のろ)われるぞぉ!」
「誰に呪(のろ)われるの、それ。カーネル・サンダース?」
「凛ちゃんは、どんなグループ名がいいですか」
……そこで二人の視線が集まる。いや、それは当然だ。
こう、私もアイディアを出す必要がある。一応、思いついてはいる。でも……!
「……」
「「うん?」」
「…………」
小さく、恥ずかしさ全開で呟(つぶや)いた結果――未央が腹を抱えて笑い出した。
「はははははははは! プリンセスブルー!?」
「私じゃないし! お父さんが!」
「今さっき聞いたばっかじゃんー!」
「メールだよメール! 文明危機の力を舐(な)めるなぁ!」
「凛ちゃん」
すると卯月が両肩を叩(たた)いて……やめて。
卯月の笑顔は素敵だと思うの、私もアレでデビューを決めたし。
でもね、今それを浮かべるの……やめて。こう、死にたくなる。
「私、勉強したんです……大丈夫! 中二病は誰もが通る道です」
「卯月ぃ!」
誰ー! 卯月にそんな……余計なことを教えて奴は! ちょっと説教してやる!
り、理解した上で励まされるって……いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ! 一年前に戻りたい! 今ならもっとまともに生きられる!
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
古鉄≪……あなた、笑顔でエグいことをやりますね≫
卯月「えぇ!? だ、だってみくちゃんの件、受けるわけにはー!」
恭文「というわけで、今回は卯月が大活躍です。そして卯月は魔法少女リリカルうづきとなり」
卯月「なりませんー!」
(現在のところ、そのような予定は微塵もありません。てーか出しても出すだけで終わる)
恭文「いや、魔法少女とは心意気だ。関節技さえ使えればなんとかなる」
卯月「それは魔法少女じゃなくてグラップラーです! ……ところで事件発生って」
恭文「ジュエルシードを集める冒険に」
卯月「それはなのはさんです!」
(魔法少女グラップラーうづきの活躍にご期待ください。
本日のED:島村卯月(CV:大橋彩花)『気まぐれロマンティック』)
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