作者でも分かるとまと同人誌情報コーナー
幕間第43巻経過報告:02(サンプルあり)(2016/5/22)
古鉄≪というわけで、サンプルの続きです。こちらはISクロスSeasonIIを中心として紹介します≫
恭文「全六巻でお届けしたSeasonIでは、『ISとは何か』についてお話を進めてきました。
SeasonIIではそもそもの話『なぜ織斑一夏はISを動かせるのか』というところが主題となっています」
古鉄≪同時に八神のあなたもですね。そして『織斑夫妻はどこへ消えたのか』というのももう一つの主題です。
若干ネタバレも入っていますので、ご注意ください≫
恭文「問題ないという方だけ……ではどうぞー」
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
織斑一夏は既に死亡している――衝撃の情報に、箒が飛び出しかける。すぐセシリアとラウラに押さえられるけど。
まず説明されたのは、その情報源が織斑マドカだと言うこと。どうも密(ひそ)かに接触したそうで。
つまりこれは織斑夫妻からの直接情報でもある。……射手座の星鎧こそ、夫妻が見つけたSAコア。
それを死亡した織斑一夏に埋め込み、蘇生(そせい)を試みた。星鎧はISみたいに、操縦者の体調保護機能があったらしいのよ。
夫妻はそれに賭けた。その結果織斑一夏は蘇生(そせい)し、コアはその肉体に吸収された。でもその代わりに記憶を失った。
……そこで片付けば問題なかったけど、ここでペインメーカーの存在が出てくる。
「考えられるコースは二つ。一つは蘇生(そせい)した織斑一夏は、攫(さら)われた直後に殺されている」
「な……!」
「箒、落ち着いて。……ようは星鎧の能力だけを利用したんだね。これまでの奴みたいに、何らかの形で支配をして」
「それと同時に、彼女にとって【一番マシ】なコースだ」
「……ちょっと、それどういう意味かな。正体不明なくせに、それは」
「潤乃も黙ってて。テッキイッセンマンの言う通りでしょ」
「恭文くん!?」
「そう、それは一番マシだ。殺された……そうして星鎧だけが利用された」
それだけなら、まだマシだった。答えはもう揃っている……だから分かるよ。
「問題は二つ目。奴が蘇生(そせい)した織斑一夏本人である場合」
「ふざけるな……それがなぜ、死んだ方より悪くなる! 一体何が問題だと言うのだ!」
「その場合彼は、ペインメーカーによる洗脳と生体改造を受けている」
「生体改造だと!」
「そういうことか……! そうだ、確かに恭文くん達の言う通りだ」
楯無は気づいたか。むしろ死んでいた方が楽だと……その方が、まだ幸せだと。後者だった場合、箒は心を削られ続けるんだから。
「会長」
「先輩、落ち着いて考えてください。……彼はこれまで、何度か生命の危機に陥っている。例えば三年前、デジモンに襲われたとき。
そして中学時代、亡国機業のエージェントに誘拐されかけたとき。でもそのどちらも、星鎧の影・形はなかった」
「……星鎧が常に覚醒状態で、織斑くんを守っているなら、そのときに助けが入るはず?」
「でもそうはならなかった。それは星鎧が休眠状態だったせいで、起こしたのがペインメーカーよ。
なら再生能力が……違うか。そっちは状況的に、星鎧の固有能力っぽいし」
「君と妹がやられた、あの発火能力だ。あのとき発生した異能の出元は、SAではなく彼自身になる」
◆◆◆◆◆
≪そう、射手座と太陽、両方の力を持つ存在……だからこそダブルブレイヴが可能なのかもしれません。
そしてISがブレイヴの亜種と捉えるなら、十分能力の対象内かと≫
「えっと、恭文くん」
「ブレイヴはね、本来一体のスピリットに、一つしか装備できないの。僕達が二つのISを同時装着できないように」
「だがサジット・アポロドラゴンは、二つのブレイヴを同時装着できる。
もちろんそれぞれのブレイヴ時効果も併用可能だ。もし射手座ブレイヴも同じなら」
「本物の織斑くんが、ISを使える理由にもなる。ISは亜種であり子孫だから……待ってよ! それじゃああっちの彼が、零落白夜を使ったのは!」
「そう……こちらの彼が白式という、もう一つのブレイヴを装備していたせいだ」
二人の肉体はリンクしている。それも主導権はあちら……うん、主導権はあちらだよ。だって織斑一夏、射手座の能力を使えないもの。
そこを考えると、結構ヤバい状況だよ、これ。織斑一夏も状況を察したらしく、顔が青ざめた。
「だがそれなら嫁も、射手座の力が使えるはずだ」
「……それで理解した。彼らは『二人の人間』ではないのだよ。いや、厳密に言えば本物・偽物という定義すら過ち」
「どういうことだ」
「二つの体に二人の人格……ではなく、【一つの体】に」
テッキイッセンマンは右指を二本立て、そのうち一本をすぐに収める。
「二つの人格が宿っている――正しき定義は二重人格だ。しかしそこに主導権がある場合、存在しない方は危険」
「……人格的にも、イチカはあっちに殺されるってこと!?」
「そうして今ここにある器のみが残され、停止する。織斑一夏は再び一人となる」
二重人格だからこそ、肉体定義としては同じ人間だからこそ、二つの体によるダブルブレイヴが成り立つ。
こっちの織斑一夏は偽物というより、【織斑一夏】の中で生まれたもう一つの人格。
それを偽物と言うのは簡単だけど、全く別の人格とするなら……それもまた誤解と差別で。
◆◆◆◆◆
「……では彼は、なぜ過去の歴史や偉人について知っているのか。それも付け焼き刃ではないレベルで」
テッキイッセンマンが右手を鳴らし、戸惑う織斑一夏を指差し。
「えぇ……それはわたくし達が証明できます。ですが、それほど大きな問題なのですか?」
「そこは魔術師でもある八神恭文、タマモの二人が専門家か」
「まぁね」
専門家と言われたら、解説しないわけにはいかない。軽くせき払いをしてから、早速説明開始。
「魔術でも、死者を蘇生(そせい)する研究はされているんだ。でもとても難しい……前提として、魂をどう呼び戻すか」
「肉体は問題ないんです、ようは器ですから。でも中身の降霊にはかなり繊細な技術が必要です。
ぶっちゃけ成功例なんてとんと聞かないレベルで。……でも失敗例ならどっさりです。
例えば肉体と魂が適合せず、壊れてしまった。例えば……別人の魂を呼び出してしまった」
「別人の? あれ……恭文くん、タマモ」
「潤乃は分かったみたいだね」
とても嫌そうな顔をしながら、潤乃が頷(うなず)く。ではひも解きましょう……魂の真実を。
「魂のコピーはできない。魂が持つ情報も含めて、元の肉体に下ろして『生き返り』なのよ。
では拉致当日、死亡した織斑一夏は……本当に『生き返ることができた』のか」
僕はこう言っている。二人は本当に、織斑一夏を蘇(よみがえ)らせたのか。死んだ息子を救うことができたのか。
「もし違うなら……そういうことだよね、テッキイッセンマン」
「……その通りだ」
織斑一夏という器――その中に生まれた二つの人格。しかし、そこには大事なものが欠けている。
失われた破片(ミッシングピース)……それ故に、奴は名乗り続けるのだろう。
――織斑一夏と。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
恭文「星鎧、織斑一夏……その定義は二重人格。
しかもそれは……こうしてライアーは暴走していくわけで」
古鉄≪ある意味HP版よりキツい展開に≫
(ライアーが死んでも、代わりはいるもの)
恭文「そして、キツい展開はまだあるわけで……続いてはこちらです」
古鉄≪同じころ、東京でも事件は起きていました≫
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「響は昨日……聞いている子もいるだろうが、動物番組のMCを勤めることになった。その初収録直前、山中で遭難した」
『遭難!?』
社長の制止は振り切り、話を進める。それが普通の遭難なら、まだ問題なかった。不注意も反省しつつ、再発を防げばいい。……が。
「あの、響は無事よ。現場のスタッフとプロデューサーが、響がいないのに気づいて救出したから。
雨に打たれた上、坂から落ちて足をくじいてね。……病院で安静を取っているわ」
「何が問題なの、律子……というか、アンタかしら」
「一つ……響が怪我(けが)で動けなくなったから、MCの話が白紙になった」
「そ、そんなぁ! 響ちゃん、すっごく嬉(うれ)しそうだったのにぃ」
「だが響が自分から迷ったなら、こちらの落ち度だ。俺も最初はそう思っていたんだが」
だから昨日は焦ったよ。でもよく考えたらおかしかった、そこから気づくべきだったんだ。
「違ったんだよ」
「違う?」
「それが二つ目だ。響はスタッフを名乗る人間の車に乗って、山中へ置き去りにされた」
「はぁ!? ちょっと、それ立派な刑事事件じゃない! 犯人は!」
「不明だ。警察にも相談したんだが、雨のせいでタイヤ痕も消えていて……目撃者もいない。
……そもそも『響が遭難』って辺りからおかしかった。俺達が見つけたのも、山の中腹近くだしさ」
「えぇ、わたくしも違和感がありました。……響は仕事のため、プロデューサーと地方に出ていました。
その上沖縄(おきなわ)育ちで、自然の知識も豊富。少なくとも一人で迂闊(うかつ)に山登りなど、するはずがありません」
「そっか。響ちゃん、合宿でも釣りをしてたものね。恭文と一緒に」
してたなー。仕掛けもささっと自分で作って、大きいのをどーんと……何でもお兄さん達に教わったらしい。
自然の怖さ、大きさ、その恵み……だから海や山、動植物にも詳しく、その知識と経験がMC決定に繋(つな)がったんだが。
◆◆◆◆◆
「――響がMCから下ろされた直後、961プロのJupiterがその代わりに収まったの」
「ちょっと待って。律子、それじゃあ」
「千早も落ち着いて。……断定はできないけど、状況的に疑わしくはある。
それで吉澤さんや、更識生徒会長に相談したの。あの人、忍者資格持ちだから」
「実はその会長から、うちの周囲で不穏な動きがあると警告をもらっていたんだ。それで警戒を始めた矢先……すまん、俺達のミスだ」
そうしたら、吉澤さんから『黒』ときたもんだ。……さすがに許せないぞ。命に関わるレベルだし、響だって凄(すご)く怯(おび)えていたんだ。
「でも善澤さん、本当なんですか? 黒井社長が、汚い手を使ってるって。
その……信じられません。強引なところはあっても、一線は守っていた人だったのに」
「俺だって同じさ。だが今言った通りだ。アイツは汚いやり方でアイドルを売り出している。それも今回だけじゃない。
あっちこっちにゴシップ記者やスタッフを侍(はべ)らせ、業界全体を支配しようという勢いだよ。
……ちなみにそれが、黒井のやり方が表面化しない理由だ。弱みなどを握って、そんな話が出ないようにしている」
「番組スタッフも買収されているのね。弱みでも握られているのかしら」
「かもしれんな」
そのためのゴシップ記者や、子飼いのスタッフということか。社長や音無さんには悪いが、それは本当に支配だな。
つまり俺達は、そんな人達を敵に回すと。……何かのドラマか、これは。
「ならお二人とも、今回961プロが動いているのは」
「私にもサッパリです。そんなの、何かの間違いじゃ」
「俺は思い当たるフシがある。……バトスピの世界大会に絡むんだろう? あとはISのプロモーションだ。
前者はバトルフィールド導入後の、初めて行われる大会だ。そこで活躍すれば、君達の注目度も飛躍的に上がる。
後者も亡国機業ショック、ISの開発路線変更、篠ノ之束博士の帰還と話題満載。そこに絡むのだから、影響力は推して知るべしだ」
「ん……よく分かんないけど、Jupiterって男のユニットだから、ISに乗れなくて嫉妬してるの? 馬鹿らしいの」
「美希、それは違うわよ。もっと複雑な……いや、そういう話も絡んでいるかもだけど」
律子は半分呆(あき)れているが、美希の指摘は正しかった。前者ならまだ何とかなる。だが後者は無理だ。
そもそもISは女性にしか動かせなくて、だからうちも話に食い込めたわけで。八神君達も例外中の例外だから、参考にならない。
いや、そもそも二人とも、それを理由に得られる立場や栄誉には、一切興味がないようだし。
「とにかく美希達……というか、765プロが成功すれば、黒井社長は顔が真っ赤のお怒りなの?」
「だからひびきんを遭難させたの!? ヒドすぎじゃん!」
「りっちゃん、何とかならないの!?」
「だから吉澤さんや、更識会長達も動いてるのよ。ちょっと落ち着きなさい。……プロデューサー殿」
律子がこっちを見て、どうしようと聞いてくる。不安げなみんなの様子も確認し、改めて考えてみた。
正直俺もこう、これで潰し合いなんていうのは馬鹿げていると思う。それじゃあ961プロとやり口が同じだ。
その辺りで迷っていたんだが、善澤さんの言葉で目が覚めた。俺達の仕事はなんだ?
みんながアイドルという夢を、まっすぐ追えるよう後押しすることじゃないか。
そこには当然、妨害に負けないことも加わっているはずだ。なら、どうすればいい。
ただ妨害されても、ヘラヘラ笑っているだけでいいのか? それはきっと、違う。
俺は黒井という人のことをよく知らないが、妙に怖く感じるんだ。……そこもちょっと聞いてみるか。
「社長、一つ質問です。黒井社長と連絡などは」
「もう十年近く取っていない」
「なら方針は変わりません。このまま更識会長達にも協力してもらいましょう。決してなぁなぁで処理はしない」
「プロデューサー、待ちたまえ。それでは」
「俺も善澤さんと同意見です。これじゃあ春香達は、怯(おび)えながら活動することになる。
それはストーカーとかに狙われてるのに、放置するのと同じです。社長はそれでいいんですか」
社長はまだ迷いがあるらしく、俺を見上げて戸惑った顔をする。
そんな社長を見て、善澤さんは渋い表情。ベレー帽を外し、白髪の頭を軽くなで上げた。
「黒井には私から話すよ。そうすれば」
「無駄だな、奴は話を聞かん。というか、お前もそのつもりがないだろう。
……アイツがお前を嫌っているのと同様に、お前も奴を嫌っている。違うか」
「だからこそだ。だからこそこんな汚い真似(まね)はせず、ステージと活動で勝負するべきだと言う。
プロデューサー、君達もそれでいいだろうか。私はすぐに961プロへ向かう。後のことはよろしく頼む」
「すみません社長、それには従えません」
社長が驚いた様子で、俺を見てくる。まぁこんなの、今までなかったしなぁ。
自分でもクビかもしれないと、ちょっとビクビクしていたりする。
「ホントよ。というか社長……アンタ、馬鹿じゃないの!?」
「水瀬くん、私は本気だよ。アイツとてこの業界で長く生きてきた男だ、誠意を持って接すれば」
「それが馬鹿だって言ってるの!」
「伊織ちゃん、さすがにそれは言い過ぎよ。ほら、昔なじみなら、腹を割って話せば」
「あずさまで馬鹿だし! それならなんで、十年近く連絡を取ってないのよ! 嫌っているからじゃない!」
「伊織の言う通りですよ、あずささん。腹を割って話せば、間違いなくこじれます。
それに現時点で遭難事件が、961プロの仕業だと判明していない。これが一番の問題です」
……あぁ、分かってないな、これは。小首を傾(かし)げてるよ、やよいと一緒に。
「ねぇ伊織ちゃん、何が駄目なのー? お話しすれば、きっと分かってもらえるかなーって」
「アンタもどうして分かってないの……! そもそも今回の件、本当に961プロの仕業かどうか分からないのよ!
なのに社長がのこのこ話に行ったら、あらぬ疑いをかけるも同然! 名誉毀損で叩(たた)かれてもおかしくないわよ!」
「話すなら前提として、961プロの不正を証明しなきゃいけない、だよね。
それくらいならぼくもまだ……まぁ犯罪だけどね! 話すというか通報だよ!」
「えっと、そこも……お友達として、腹を割ってやり取りは」
「そもそも友達じゃないですよ、二人は……ですよね、社長」
社長は無言のまま、頷(うなず)きもしない。だがその代わり吉澤さんが、呆れ気味にため息。
……それだけでよく理解できた。相当強い遺恨ができているらしい、音無さんも動揺させるほどに。
◆◆◆◆◆
やすっちと焼き肉を食いながら、気分良く作戦会議だ。腹が減っては戦はできぬ……マジでその通りだ。
しっかり食べ始めたおかげで、頭が回る回る。
……お、カルビが焼けてきたな。一枚とって、タレを付け……全力でほおばる。
そうして襲ってくる柔らかい肉質と、濃厚な風味と肉汁。あぁ、これぞ肉……俺、カルビ教に入る!
「ペインメーカーは亡国機業――スーパー大ショッカーに絡んでいた」
やすっちは今回ホスト役に徹してくれるらしい。肉をタイミング良く、適度に投入し、焼き加減を見てくれる。
それに感謝しつつ、頷(うなず)いておく。
「そして元々潰したがっていたのは、篠ノ之束博士への情報漏洩(ろうえい)で決定……って、ここで答えが出てるだろ」
「奴は亡国機業の裏をあらかじめ知っていて、潰す手段も用意していた。でもそのためには、篠ノ之束という【天災】の力が必要。
博士が失踪していたのは、ECHELONの枠から出る意味もあった。とりあえず中にいる奴らがいきなり行動開始しても、無駄に終わる公算が高い」
「だから博士には」
カルビをしっかり味わったので、次は飯だ。このおっかけ飯が最高なんだよ! 酒もいいが、肉は飯だな、飯!
「亡国機業に集中してほしかった。数年単位で追っかけてたようだし、そういう意味でも適任だった。
……ここで問題なのは、織斑一夏だ。アイツとしては裏十二宮筆頭も含め、早めに確保したかったはず」
「でもそれをやると、篠ノ之博士の行動が予測できなくなる。でもそのまま残し、星鎧について悟られても面倒。
篠ノ之博士は奴らの情報操作を受けず、両親の勤務先もちゃんと記憶していた。もちろん星鎧の情報を、あの段階で詳しく知っていた人間でもある。
だから偽物を用意し、一見問題がないように振る舞った。まぁ、それは織斑マドカの襲撃で御破算だけど」
「あの段階で篠ノ之博士は、星鎧と織斑一夏の真実に気づいたからなぁ」
やすっちもカルビをご飯にちょんちょんと載せて、幸せそうに食べる。
あぁ、ちょんちょんってして……タレの付いたところがまた美味(うま)いんだ。
「……ねぇダーグ、それだと織斑夫妻は」
「やっぱり、ペインメーカーが直接……じゃないよな。奴は夫妻の再失踪を、『世界と篠ノ之束のせい』に演出したかったはずだ。
それで手を出したとバレてしまったら、洗脳が解除どころか、反逆されかねない」
「同時に八神や蒼凪の僕にした言いぐさを考えれば……行き先は確定……あれ? ねぇダーグ」
「あぁ、俺も気づいた。もしかするとだが」
実は奴らとの最終決戦時、少しおかしいことがあった。その場にいたやすっちとようやく、答えに行き着く。
……どう介入すべきか、答えを知っている奴がいる。今なら……鍵が揃(そろ)った今なら、アイツは秘密の箱を開いてくれるかもしれない。
◆◆◆◆◆
八神の僕や織斑一夏達は、日本(にほん)に戻って最初の夜を越え……日本(にほん)では午前六時くらいだろうか。
僕とアルトは反応を追って、イタリアのローマへ。ここへ来ると、ローマの休日を思い出すんだ。
あの映画、大好きでねー。そして初めて来たとき、マフィアと揉(も)めて大抗争をおっぱじめたのもいい思い出。
そう、僕にとってローマとは、そんな思い出深い国だった。そんな郊外に位置する山岳地帯……とある洞穴を発見。
大きめな通路と思(おぼ)しきそこは、人が出入りした形跡もあった。なので突入……姿を隠しつつ、慎重にスニーキングミッション。
ただその前に、入り口近くのセンサー部を通じ、内部のシステムへハッキング。
そう、各種センサーがタップリ仕掛けられていた。熱源・工学・赤外線……それは様々。
スマホ端末をぽちぽちして、ゲーム感覚な電子探索を続けていく。まずはカメラやセンサーの制御を掌握っと。
あとはリアルタイムのものも含め、内部データを取得……やっぱり。ここも亡国機業が使っていたアジトだ。
中のデータをチェックしつつ、監視カメラの映像を確認。すると中には……おやおやおやおや。
◆◆◆◆◆
ローマの様子は、データ回線を通じてチェック……早速激戦となっているようですね。
しかしゴーレム達は、テッキイッセンマンを止めることすらできない。
刃が一振りされるだけで、十数体が一刀両断。拳を打ち込んでも、霞(かすみ)のようにすり抜けるばかり。
オータムとスコールも登場しましたが、攻撃を当てることすらできない。その様子に笑ってしまう。
「あなたは確かに強い。ですが我々の正義を止めることなど」
空間モニターを操作し、緊急自爆用のスイッチを展開。……もちろん彼女達は知らない。
無意識のうちに作ったシステムですから、覚えているはずがない。
それがおかしくなりながらも、そのスイッチを押す。
「不可能ですよ――!」
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
恭文「というわけで、ペインメーカー一味に対しての方針も決まり、ここからは各所も動きが加速。
でも……ミトラ・ゴレム編が……ミトラ・ゴレム編がまだー!」
古鉄≪面倒ですね、奴らに付き合うのは≫
(準備は抜かせない。いや、抜いたところがあっても、戦闘中の回想で何とかする!)
古鉄≪これも全て、乾巧って奴の仕業なんですよ≫
恭文「何だって、それは本当かい!?」
古鉄≪えぇ≫
(そうして止まらぬ風評被害……なおISクロスは今回の収録分で、第二巻へと突入です。
……でも、ここからどうやって修正しよう。フランス旅行? フランス旅行描写を増やす?
本日のED:Rising Hope『LiSA』)
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