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作者でも分かるとまと同人誌情報コーナー
幕間第42巻経過報告:03(サンプルあり)(2016/4/23)
[TOMATO] とある魔導師と機動六課の日常・幕間 第42巻『豪腕の決着』



恭文(A's・Remix)「というわけで、ここからはいんふぃにっとのターン。
フォーミュラEの決勝を見ながら、いんふぃにっとSIIのパイロット版をお見せしたいと思います」

古鉄(A's・Remix)≪初めて見るのでドキドキですね。しかも決勝はちょうどフランス・パリですし≫


(説明しよう。今回の掲載分も、全てフランスロケである)


恭文(A's・Remix)「フランスと言えば……幕の内弁当!」

セシリア「どうしてですの!?」

古鉄(A's・Remix)≪それもこちらをご覧頂ければ≫


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


私が、奴隷? 私が……私は、自分の意志を貫いていた、つもりだった。だが『そう思わされていた』、だと。

嘘だ、そんなのは嘘だ。誰か、嘘だと言ってくれ。もしそうなら、私は。


――別段不思議なことはあるまい。オルコットはデジモンのパートナーだ。奴と同室だと、デジモンと暮らすことになる――

――それの何が駄目なんだ――

――駄目だ。奴らはいきなり我々の世界に現れた異物だぞ。しかも世界中を荒らし回った。
お前とて六年前と三年前の大騒動、覚えているだろう。私は連中のことが好かん。
その上あれだけの力を持った存在が、平然と街中を歩いて人間と同じように暮らしているのだぞ? そんなこと許されるわけがなかろう――


憎んでいた、恐れていた。私は理解していると、そう思っていた。真の強さと正義を。


――勘違いを成されているようですわね。わたくしは織斑さんを見くびってなどいません――

――嘘(うそ)をつけ! それならば全力の勝負をするはずだ! 手がけんなどしない!
いいから全力の勝負をしろ! 一夏はそれすら払いのけ、必ず勝利する!
八神恭文とは違う……一夏にはそれだけの価値がある! それこそが日本(にほん)男子だ!――


だがそう思わされていたのなら、駆逐されるべき悪の思わく通りなら……それは、本当に正義なのか?


――ははは……ははははははは! はははははははははは!――

――……篠ノ之さん、何がおかしいんですの――

――そうだ、猛獣(お前達)はこの世界に必要ない! 一夏……お前だけがいればいい! それだけでいいんだ!――

――落ち着けよ! それで本当に駄目だったらどうするんだ! とにかく、火力についてはこっちもサポートして、それで――

――そんなはずはない! なぜだ、なぜ私のことが信じられない! 私は……私は、お前を信じているんだぞ! お前の強さを……お前という男を!


ずっと信じ続けてきた、一夏というヒーローの存在を。私を救ってくれる、救世主の輝きを。

その輝きは、侵略者どもを駆逐してくれる。そうして私の望みも叶(かな)えてくれる、そう信じていた。


――……やられればいいのに。そうだ、そのままやられてしまえ――! 観客もろとも死んでしまえ!――


そう思わされて……! いいや、言い訳だ。こんなのは言い訳だ。私が選んだ、私が振るった……言葉と悪意の暴力を。

――剣道部を追い出された後のことを、思い出す。陰口を叩(たた)く奴らがいても、ひと睨(にら)みするだけで黙る。

たとえそれで不満を持ったとしても、たたき伏せればいい。そう、思っていた。そうして私は一人になっていく。


醜い私を見て、恐れて離れる。もう手遅れだと、哀れみながら離れる。頭から手を離し、汚れた両手を見つめる。

この手で怯(おび)え、戦う気力すらなくした上級生を、徹底的に痛めつけた。後頭部を掴(つか)み、壁に叩(たた)きつける。

呻(うめ)いたところで左ボディブローを何度も、何度も、何度も、何度も打ち込む。ガードなどは許さない、そうして八つ当たりをしていた。


◆◆◆◆◆


『今度は科学サイドから提案を。皆さんと同じように、我々も福音事件での戦闘データを解析したのですが』

『既存ISでも、SAの破壊を可能とする件ですね。もっと言えば異能を必要としない、対策を打ち立てた』

『え……本当ですか!』


地尾殿が驚く中、クラリッサと専務達が頷(うなず)く。


『今この場で戦闘映像をお見せして、その上で説明するのが分かりやすいのですが』

「それはやめておけ。福音の件は束が預かったと言っても、重要機密だ。回線に流すものじゃない」

『なので口頭での説明のみに留(とど)めます。……隊長やフランスのデュノア嬢達は、【零距離での打突】によりSAを複数撃破しています。
ようはシールドや絶対防御に防がれないよう、零距離から破砕するのです』

『シャルロットちゃんはパイルバンカー、ラウラちゃんはレールカノンの零距離発射でそれを成した。
更識会長ならシールドすら切りさくほど高圧縮された、ウォーターカッター。恭文君なら剣術の技能』


嘘だろ、おい。それは宝具の力も大きいだろうと、ちょっとツッコみたくなった。……まぁ内緒にするべきことだがな!


『つまり、力ずくで潰せってことですね』

『原始的だなぁ! いや、でもそれなら確かに、僕の案よりは手っ取り早い』


バリアで防がれるなら、バリアごと壊す……又はバリアが張れない内側から潰す。確かに原始的だが、だからこそ分かりやすい。

ちらりと束を見たが、同意見らしく何度も頷(うなず)いていた。それも、とても楽しげにだ。


『それならば、こちらのデータが役に立つかもしれません』


そこで我々の前に、新しいデータが提示。……なんだ、この柄の長い……ハンマー?

いや、普通のハンマーではない。歪(いびつ)な左右非対称の、巨大な鉄塊が先にくっついていた。


『これは』

『隊長の撃破データを基に試作した、追加武装の草案です。名付けて外殻突破武装【アナトーミッシェ・タベレン】』

「解体新書か」


解体新書はドイツ人医師クルムスが記した、解剖学書のオランダ語訳だ。俗称はターヘル・アナトミア。

アナトーミッシェ・タベレンは、ドイツ語による原書名でな、オランダ語なら『オントレートクンディヘ・ターフェレン』となる。

だから皮肉というか、言い得て妙というか。この『鈍器』は、奴らを解体する必殺兵器なわけだ。


それを草案とはいえ、惜しげもなく他国へと渡すか。その意図を図りかね、アメリア担当官も戸惑い気味。


◆◆◆◆◆


「ヤスフミー!」


駆け寄って、全力でハグ……ハグ、ハグ、ハグ! うぅ、不安だったよぉ……二時間程度のお別れだったのに、ついすりすり。

それで……ただいまのキスと、お帰りなさいのキス。異世界でも、ラブラブは継続中……だよ?


「ただいま、フェイト」

「お帰り、ヤスフミ」

「あ、フランス土産食べる? 幕の内弁当だけど」


その言葉が信じられず、お帰りのキスもすっ飛ばしてしまう。慌ててヤスフミから離れると……あー! 本当に幕の内弁当がー!


「ど、どうして! フランスじゃないよね! 日本(にほん)だよね!」

「フランスだよ。……リヨン駅ってところがあってね。期間限定でやってたのよ。なおスポンサーは、JR東日本(ひがしにほん)のグループ会社」

「えぇ!」

≪地元じゃ人気らしいですよ。ほら、和食とかって海外でも注目度が高いですから≫


あ、なるほど。日本(にほん)暮らしの人が対象じゃなくて、地元の人向けなんだ。又は別の外国旅行者?

……他にも買い込んだらしい、荷物の数々を起きながらも、近くの椅子に座ってお昼。


「「頂きます」」


ヤスフミと一緒に弁当箱を開けると。


「わぁ……本当に幕の内弁当だ!」

「でしょ?」

「しかも豪華!」


お弁当箱は正方形で、中に九つの小鉢が入っている形だった。まず炊き込みご飯は三種。

空豆ご飯と、鶏飯、きのこご飯。それにひじき、天ぷら、かまぼこ、煮染(し)め、卵焼き……どれも美味(おい)しそう。

いわゆる駅弁だよね。でもこんなにきっちり作っているのは、初めて見たかも。……なのでまず空豆ご飯からぱくり。


お米はもっちりとしていて、ニンジンやシイタケとの相性もバッチリ。空豆の食感と香りもほどよく、つい頬が緩む。


「そして美味(おい)しい――!」


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


セシリア「あ、それで幕の内弁当と」

恭文(A's・Remix)「そうそう」


(作者もビックリでした)


恭文(A's・Remix)「そしてHP版とは違う形での星鎧対策……うん、オルフェンズだね」

古鉄(A's・Remix)≪追加装備だけなら考えるの、楽でもありますしね。そしてとっつきが活躍≫


(『つまりデュノア社の時代だ!』
『……父さん、さすがに操縦者の安全は確保しようね? いや、今回はいいけど』)


セシリア「あの、わたくしはどうすれば……狙撃武器なのですけど」

恭文(A's・Remix)「ブラスターカートリッジがあるでしょ」

セシリア「あんなのほいほい使えません!」


(火力が凄すぎるしね)


恭文(A's・Remix)「まぁこんな感じで、観光を楽しんでいきます。そう、パリの一日を」


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


夢を、見ていた。夢の中……笑う人達を見ていた。黒髪オールバックの男性と、千冬姉に似た女性だ。

それは赤い……赤い、ISコアに似たものを、研究室で見て笑っていた。でも笑ってみていたのはもう一人いる。

オレと同い年くらいの、今よりも幼い束さんだ。あのセーラー服には覚えがある。あれは、千冬姉と同じ学校のものだ。


オレ達がまだ、平和な家族だった頃。オレの知らなかった、オレの時間……その一端がここにあった。


――ふむふむ! つまりこの子は仲間とネットワークを組んだ端末と! それどころか主を選ぶ性質も存在!?
単なるパソコンのユーザー認証を飛び越えてる! もしかしてこう、とてつもなく大きな端末の一部だったとか!――

――だと思うんだよ! まぁ地層からの時代・文明考証もこれから始めるので、何とも言えないんだが――

――でもね、これは超古代文明の存在を立証するものだと思うの。それも現代を超えた科学力よ。後は……これね――


次に女性が……母さんが取り出したのは、錆(さ)びたボロボロの刀だった。いや、刀というか棒というか。

長期間放置されていたのか、サビの走りが酷(ひど)い。辛うじて刀と分かる程度だった。


――刀?――

――これも……別の発掘区域なんだけど、同じ年代の地層で発見されたものよ。
普通の刀剣かと思ったら、どうもカーボンなどを用いた複合素材で作られていたみたいで――

――へぇ、カーボンねぇ。つまりその時代では絶対再現不可能な武装と――

――その通りだ! それでどうだろう、束ちゃん的には――

――ちょっとごめんね――


束さんは左手でうさみみつきな携帯を取り出し、テーブルに置かれた刀をチェックする。

いや、チェックっていうか……携帯から緑色の光が走り、スキャンしているようだった。束さん、この頃から超技術を。


◆◆◆◆◆


さて、それじゃあ派手にぶっ放そうか。まずは玄関のドアを派手に蹴り破る。

テンション高く飛び込み、S&W M586の銃口で捉えたのは。


「よぉ、クソガキど」


笑うオータムだった。……頭頂部目がけて、触媒弾を連射。展開する異能障壁を突き破り、それは奴の額と右耳、鼻を貫き絶命させる。

頭が半壊しながら倒れる馬鹿は構わず、左手でスモークグレネードを取り出し各所に投てき。

爆発とともに煙が生まれてから、そのまま疾駆――サーチでは引っかからなかったけど、気配は一つじゃない。


≪The song today is ”holLow wORlD”≫


玄関ホールを走る中、二時方向・上四十五度、十一時方向・上三十度の角度に連射。

二階へ続く階段から、平然と出てくる二人、三人目のオータムを撃ち倒し、そのまま真向かいの階段を駆け上がる。

二階に上がってからすぐ振り返り、六時方向に振り向き二発連射。更に左にも一発撃ち込み、四人目・五人目を射殺。


『恭文さん、手順が……って、これはなんですのぉ!』

『なんで量産されてるのよ、オータムが!』


リボルバーを展開、弾を捨てて、新しいのに素早く入れ替え装填。

ドアから次々出てくるオータムを撃ち倒し、吹き抜けの通路を抜ける。

くそ、社長宅ってのはどこもかしいこもこうなの!? 広すぎるでしょ!


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


「ははははははは」


それを織斑さんは、楽しげに笑っていた。見たこともないISを装備して、本当に楽しげに……!


「イチカ……ううん、君はぼく達の知るイチカじゃない」

「いやいや、俺が織斑一夏だよ」

「じゃあ質問、ゴルディアスの結び目って分かる?」

「なんだそりゃ……あぁ、オレがいない間にやってたドラマか。悪いが見られる環境じゃなくてな」


違う……この人は、織斑さんじゃない。織斑先生はグダグダに巻き込まれたとき、こう言ってました。

織斑さんは御両親の影響で、歴史や過去の偉人について詳しくなったと。その知識があの状況では、みんなの助けとなった。

ゴルディアスの結び目はその中で語られた、征服王イスカンダルにまつわる逸話です。


少なくともあちらの織斑さんは知っていた。なら……この人は偽物です。だからわたくし達は銃口を向けながら、警戒を緩めない。


「シャルロット、安心していい。お母さんへの暗示はもう解けている。人を襲うのもこれっきりさ」

「それでどう安心しろと……!」

「それくらい分かれよ。……世界は変わらなければならない――たとえ痛みを伴っても」


人を意識しないところで襲い、刺したことが痛み。払うべき対価であり、当然のこと……そう言い切り笑うあの人の目は、濁りきっていた。


「ペインメーカーはそう言っていた。だからこれも必要な痛みなんだよ」

「私は……なんて、ことを――!」


それで夫人が更に涙をこぼし、叫び、シャルロットさんも怒りをたぎらせる。それにも気づかず、あの人は笑う。


「オルコット、鳳、夫人を連れて下がれ!」

「ここはぼく達が!」


そう言いながら飛び込んだ瞬間、織斑さんが歩き出す。……二人と静かに交差し、弓を右薙に振るった。


「零落白夜」


そう呟(つぶや)く以外は、とても単純な攻撃。それだけなのに二人は、生まれた炎に切り裂かれる。

ラファール達のバリアがアッサリと消し去られ、横に弾(はじ)け飛び、装甲を砕かれながら壁に衝突。そのまま崩れ落ち、IS装着を解除する。


「な……!」

「なんですの、あのパワーは……! しかも」


慌ててスターライトを構え、即座に連射。しかしあの方が発する炎で、ビームは消滅させられる。そこでサブモニターにサーチ結果が出る。


≪お嬢様、アレは……零落白夜です!≫

「馬鹿な、どうして!」


◆◆◆◆◆


マンタンガンを構えたまま、八十メートル先のアイツへ迫ると……異変に気づく。

慌てて左に走り、奴の視線から外れる。普通ならともかく、縮地なら問題なかった……重力も生かし、その場から消失。

するとその揺らめく赤い瞳が、見据えた箇所に炎を宿す。……魔眼か! しかもこれは、【湾曲】と同じタイプ!


≪主様!≫

「大丈夫」

「よく避けたな、俺の魔眼――太陽の微笑み(サンライズ)を」


うわぁ、すげーネーミング! しかも自分で魔眼って認めちゃったよ! でも、このタイプならもはや慣れっこだ。

今までの流れを見るに、視界に映り、なおかつ『燃やす』と思った対象に発現する異能。

だから視界に映らない……最悪相手に認知されなければ、能力は受けない。あとは速度だ。


発動まで一秒足らずだけど、それでもラグがある。転送と同じく座標指定で、移動に伴うホーミングはしない。

しているのなら、あの炎は多少なりとも僕を追いかけるはずだ。


≪あなた、問題ありませんね≫

「もちろん。花火としては、ちょうどいいくらいだ」


七歳時点でやり合ってるしねー。その後も何だかんだで付き合いが続き……っと。


≪……恭文くん!≫


さっきの部屋から殺気――慌てて足を止め、後ろに飛びのく。すると降り注ぐは衝撃砲。

それが僕達の中間距離で衝突し、地面に大穴を開ける。衝撃で吹き飛びながらも転がり、そちらを横目でチェック。


「教官!」


そう、鈴だ。鈴は泣きそうな顔で僕の前へ滑り込み、牙月を構える。……目がまともじゃない。なるほど……大体分かった。

奴は赤いボディから炎を発し、特殊コンクリを融解――そのままゆっくりと起き上がり、ロングボウを拾いながら楽しげに笑う。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


セシリア「……どこが旅行の風景ですの!? 早速死人が出ています!」

恭文(A's・Remix)「え、違うの!?」

セシリア「恭文さん……大丈夫です。わたくしはずっと、お側にいます」


(そうしてぴと……蒼い古き鉄、ちょっと照れています)


恭文(A's・Remix)「と、とにかくついに【織斑一夏】登場。そんなわけでひーろーずIIやIIIの話も盛り込みつつ進めます」

古鉄(A's・Remix)≪じゃないと説明しきれませんしね、織斑一夏という存在の謎が≫

セシリア「でも、零落白夜まで……この方は一体」

恭文(A's・Remix)「それも本編で。まぁさくさく行こうか」


(鍵はタイプニクスにあり……というわけで皆様、幕間第42巻の方、なにとぞよろしくお願いします。
本日のED:Aimer『holLow wORlD』)





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