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作者でも分かるとまと同人誌情報コーナー
幕間第41巻経過報告:02(サンプルあり)(2016/3/22)
[TOMATO] とある魔導師と機動六課の日常・幕間 第41巻『魔術師』



古鉄≪というわけで、経過報告の続きです。こちらは特別書き下ろしや、ディケイドクロスを中心に。まずは魚肉ソーセージのお話ですが≫

恭文「パイロット版でもお話しした通り、本編はもうちょっと長いお話となっております。その一部をお見せします……もぐもぐ」

古鉄≪今は何を食べていますか≫

恭文「燕の巣……! と、とにかくもう一つの書き下ろしと合わせて、どうぞー」


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


「瑞樹さんー」


あずささんの笑顔と声に呼び止められる。そちらへ近づくと、明らかに様子がおかしい。

瑞樹さんは笑いが引きつり、更に何かを自分の後ろへと隠した。


「あら……サリエルさん! お久しぶりです!」

「おう。瑞樹ちゃん、おめでとう。……あ、紹介するよ。俺の彼女で」

「ドゥーエです、初めまして」

「川島瑞樹です、初めまして」


そっかそっか、何気に初対面だったのか。お辞儀する二人の様子を見つつ。


「瑞樹さん、サリエルさんとは知り合いだったんだ」

「それはもう。恭文くんとも付き合いは長いから……え、えっとお昼?」

「はいー。瑞樹さんもお仕事終わりですか? お疲れ様ですー」

「お疲れ様です。じゃ、じゃあそういうわけで」

「瑞樹さん、今のはなんです?」

「え”」


ちょっとツッコんでみた。すると瑞樹さんの額から、冷や汗がだらりと流れる。


「こっちを見た瞬間、何かを後ろに隠したでしょ」


瑞樹さんは必死に、助けを訴えるかのような目を向けてくる。でもみんなの疑問はそれじゃあ止まらず、ため息交じりにあるものを出してきた。

それは……おぉ、ポールウインナーか! 横並びのウインナー達は、神々しいまでに輝いていた。でも。


「ポールウインナーか。これも味があって美味(うま)いぞ」

「だな。だがよ、ヒカリ」

「ポールウインナー? 何ですこれ」

「あずさは、知らないっぽいぞ……!」

「というか、城ヶ崎さん達もですか」


美嘉とあずささん達は知らないらしく、小首を傾(かし)げていた。


◆◆◆◆◆


「家庭で手軽に牛肉や豚肉が入手しにくかった時代、一九三四年に開発されたんだけど」

「今から約八十年前か!」

「後の伊藤(いとう)ハムが、神戸(こうべ)で売り出してね。画期的だったのは、腸の代わりに使ったセロハンケーシング。
保存期間を延ばし、量産を可能としたのよ。初期はそれこそセロハンウインナーって名称だった」

「そこから、魚肉ソーセージですか?」

「江戸(えど)時代まで続いた肉食タブー習慣ゆえ、進化してきた我が国の水産加工技術があればこそですね。
……大阪(おおさか)だと、ポールウインナーは給食にも組み込まれていてさ。九十年代後半からはやめたんだけど」

「そう、だから日常だったの。子どものころは学校の給食で食べ、家に帰ってお腹(なか)が空(す)けば、おやつ代わりにかじる。
夜になれば、父さん達が酒のつまみにしていてね。どの家の冷蔵庫にもあったわ……まさしく日常の味なの」


瑞樹さんが懐かしむような表情で、ポールウインナーを愛(め)でる。……今言ったように、現在給食には出ていない。

給食絡みなら早苗さん・瑞樹さん世代でギリギリと言える。それでも今なお浸透しているから、その盤石さは決して揺るがない。


「でも何でだ。地域限定じゃあないんだよな」

「一説にはそうやって関西(かんさい)にじっくり定着していく間に、その他の地域では安価な新商品『魚肉ソーセージ』が一気に定着。
素材に違いはあれど、同種商品ということで認知されにくかった。又は畜肉ソーセージなので、魚肉ソーセージより高かった。
……それが関西(かんさい)でのみ大人気という、ガラパゴス化の理由と推測されている」

「ポールウインナーの場合、十本入りで五百円を超えますしね。価格の問題は大きいと思いますよ」

『へぇー』

「ガラパゴス化って言わないでください! あと価格は問題ない! 魚肉ソーセージだって、四本で二百円前後でしょ!?」


まぁ多少割高ってレベルだけど、これがまた大きな差でもあるわけで。

瑞樹さん、それは事実なので、受け入れてください。涙目になるのもやめてください。


◆◆◆◆◆


赤羽根さんの御友人で、畑山(はたけやま)さんという人がいる。……なぜか赤羽根さんに引っ張られ、その人と対面。

古き良き喫茶店でブルーマウンテンを飲みつつ、まずは挨拶。それで何で僕がと思ったら。


「大学の同級生で独身と言うと、もう俺とお前くらいか。……いや、お前のことだからアメリカで」

「ないない。毎日大変だったんだぞ、ほんと」

「だがお前は、相手にされてるだろ? しかもアイドルに……縁遠いと言えば簡単だが、オレの場合は相手にされていないってことだ」

「お前は望みが高いんだよ」


どうも恋愛ごとだったらしい。深いため息を吐く畑山さん……はともかく、赤羽根さんに軽く相談。


(赤羽根さん)

(見ての通りなんだが、誰か……いい人いないかなぁ)

(そんなざっくりな!)

(本当にすまん! ただ畑山、縁談なども持ち上がったんだが、こっぴどく振られたこともあってさ。仲間内でも心配していたんだよ)


あぁ、それでこの落ち込みようと。……しょうがない、それなら。


「畑山さん」

「あ、あぁ。すまない蒼凪君、関係ない話をべらべらと」

「いえ。それでしたら今度の土曜日、遊びにきてください。赤羽根さんと一緒に」

「え……君の?」

「パーティの予定なんです。美味(おい)しいものをご馳走(ちそう)しますから、積もる話もそのときに」


赤羽根さん共々、『それはいいのだろうか』という顔だけど、問題なしと頷(うなず)いておく。……だって。


「というかですね、来てくれると非常に助かるんですよ」

「はい?」

「蒼凪君、それはどういう」

「僕の奥さん――フェイトがまたドジをやらかして、牡蠣(かき)を大量注文しましてね。二百人前ほど」

「「二百人前!?」」

「もうキャンセルできないし、おすそ分けも限界領域でして」

「一桁、間違えたのか」


さすがは赤羽根さん……やはり分かるか。そう、フェイトのアホは一桁間違えた。

それでも二十人前はおかしい? おかしくないよ……エリオが、ギンガさんがいるしね! 今はダーグ達もだし!


◆◆◆◆◆


夕飯前にやってきたのは、二階堂家が住む団地。当然ここにはBYと海里もいて……何気にBYの登場も久々だなぁ。

すっかり馴染(なじ)んでいるBYは、団地中央の広場を案内しながら、とあるチラシを僕に渡してくる。


『これが資料だ』

「えっと……聖夜団地初夏祭り? あぁ、毎年やってるよね」

『そうだ。親睦を兼ねた祭りで、人気があるのは各棟が出す屋台だろう』

「去年僕達の七号棟はお好み焼きを出して、大人気だったんだよ。売り上げでは各棟一位だっけ?」

『私も海里達と手伝ったが、実に有意義だった』

「あぁ、BYは本当によく働いてくれた。おかげでサボりがちな我が家も、好感度が急上昇だ」

「お好み焼きかぁ。うん、屋台のお好み焼きはいいよね」


熱せられた鉄板、そこで焼かれ、一つとなっていく具材達。かけられるソースとマヨネーズ。

青のりすらも熱せられ、その味わいがひたすらに愛(いと)おしく、強烈で美味(おい)しい。幸せを呼び込む。

しかもそれを、祭りを楽しみながら手軽に食べられる。たこ焼きや焼きそばもそうだけど、屋台のお好み焼きは特別だ。


「ただね、今年は他の棟でもお好み焼きを出すって言うのよ。三号棟は広島(ひろしま)焼き、六号棟は純大阪(おおさか)風お好み焼きですって」

「僕達の棟は去年、浅草(あさくさ)風お好み焼きだったんだけどさぁ。さすがにこのお好み焼き博覧会みたいな状態だと」

「浅草(あさくさ)風もいいじゃないか。博覧会は大いに結構……私も楽しめるしな」

「ヒカリが楽しめても駄目だよ! というわけで蒼凪君、悪いんだけど」

「お願い! 何かいい案がないか、考えて!」

「はぁ!?」


◆◆◆◆◆


「だがお好み焼きって、そこまで種類があったか? 新しいっつってもよぉ」

「種類自体はあるよ」


二人を何とか払い、疑問顔のショウタロスに補足。


「まず去年出していた浅草(あさくさ)風。キャベツは入れず、長ネギの青い部分と桜エビ」

「エビの風味を生かすため、卵や山芋の繋(つな)ぎも入れない。それを薄く焼き、しょう油を付けて食べるんだ」

「あれは絶品だったな、海里。拙者も大好きだ」

「東北(とうほく)地方なら、もんじゃ焼きから発展したどんどん焼き。特に山形(やまがた)のどんどん焼きは、箸に巻き付け食べやすい形にしてある」

『……検索した。他にも製作工程、ソースの質などで、地方ごとに差別化もされている』

「海外に目を向ければ、韓国(かんこく)のチヂミもあるしね。結構幅広いのよ」


ショウタロスも納得するほど、千差万別なお好み焼きワールド。その結果。


「なら浅草(あさくさ)風でよくね? 普通のお好み焼きに比べたら、独自色出まくりだろ」

「だね、じゃあそういうことで」

「それは去年出して、インパクトが弱いって言われちゃったのよー!」


ち、駄目か! てーか棟の役員とかまで僕が説得するの!? 面倒すぎるわボケが!


「お兄様、また面倒をかけられましたね。この夫婦はなんでしょう」

「「お願いします! 蒼凪様ぁ!」」

「は? 駄目駄目、土下座が足りないよ」

『お前、そこで要求を強めるのか』


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


恭文「というわけで、ポールウインナー……なお、作者は今回初めて知りました」


(地元にもありませんでした)


恭文「更にまた二階堂家が、僕達に多大な迷惑を」

古鉄≪二階堂編、ブラックダイヤモンド編のみならず、エンブリオ編でもやらかしてくれたのに≫


(夫婦揃って、縁というより因縁がある関係です)


恭文「そしてディケイドクロス編……こちらは三話収録。前巻はミッドの話をやって、一話に留められたしね」

古鉄≪HP版とは流れも同じですが、いろいろ変わっていたりします。例えばこんなシーンも追加されて≫



◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


しかし蒼チビの奴は……まぁいい。いろいろ考えがあるのは分かっている。

今はこの副編か。鎌田が変身したサメライダーは、大胆不敵に、構えもなく立ちふさがる。

会社の裏手か、ここは。日陰の差し込んだ場所で、奴はこちらとの間合いを計っていた。


「私に勝てるライダーはいませんよ」

「あぁ……みんなそう言うな」


ライドブッカーを取り出し、ガンモードに変形。そのまま弾丸を連射すると、鎌田は前転しつつ伏せて、たやすく回避。


≪ソードベント≫


するとどこからともなく、のこぎり状の曲剣を取り出し、右切上・逆袈裟・刺突と連撃。

ライドブッカーを変形させる間もなく斬りつけられ、壁際まで後ずさってしまう。

ベント……そうだった。コイツもカードを使うんだったな。


≪アドベント≫


鎌田は左腕に装着してある、コバンザメ型の小手をスライド変形。中にカードを仕込んで、また能力を発動する。

また武器を取り出される前に射撃……と思っていると、両横から二体の人型モンスターが出現。

ラメグリーンのボディは共通だが、頭や武器が違う。一体はホオジロザメに似た頭部で、サメ歯状の太刀を二振り持っていた。


もう一体はシュモクザメか? 胸元に二門の大砲を備えている。……シュモクザメに右手を押さえられ、ホオジロザメが二刀で袈裟・逆袈裟の連撃。

それを食らいながらも、ホオジロザメを蹴飛ばし、シュモクザメも振り払いもう一匹にぶつける。

その上で距離を取りつつ、ライドブッカーで牽制(けんせい)射撃。が、シュモクザメが転がりながら膝立ち体勢を取り、キャノンで砲弾を放つ。


こちらの弾丸はアッサリかき消され、慌てて左に側転。砲弾を避けながら、ライドブッカーをソードモードに変形。

追撃する砲弾を逆袈裟・袈裟と切り払ったところで、突如右側から水音が響く。


≪ストライクベント≫


鎌田はサメ頭型のナックルを右手に装備し、こちらに向けていた。そこから放たれるのは、巨大な水の奔流。

そう、高圧水流だ。それに吹き飛ばされ、会社の表玄関側へと転がる


◆◆◆◆◆


次は羽黒さんのマンション……でも警察署を出てから数分歩いて、空間が歪(ゆが)み始める。

全ての景色は、僕を一人残して回転。全てが無数の線となり、色つきのそれは再結合。全く別の景色へと変貌していく。


「……これは」

≪転移……いえ、結界?≫

『蒼凪恭文……悪魔の一人。これ以上君に邪魔はさせん』


鳴滝か。まぁ妨害がくるとは思っていたけど……気づくとそこは野球スタジアムの中。

すり鉢状の客席、その中程に佇(たたず)み、辺りを警戒。ゆっくり客席を進むと、二時方向の客席入り口から殺気。

慌てて左に跳ぶと、そこに銃弾が十数発、一気に撃ち込まれる。それは備え付けられた客席の幾つかを蜂の巣にし、又は根っこから打ち砕いて吹き飛ばす。


さぁ誰が出てくるかと思ったら……現れたのは、黄色のフォトンストリームを走らせる戦士。

顔はギリシア文字の『X(カイ)』を模していて、紫のツインアイが特徴。銀色と黒に覆われたスーツに走るのは、黄色の奔流。

あれは流体エネルギー・フォトンブラッドだ。仮面ライダー555に出てくる設定で、黄色は赤よりも高出力。


しかもそれが二本線になっている【ダブルストリーム】なのがミソ。わーお、これまでいるんだ。

右手に持っているのは、X字型の武装【カイザブレイガン】。一見するとトリガーガード付きの銃だけど、内部からソルグラス製の刃を展開。

柄尻から伸びたそれは、フォトンブラッドの照射する高熱を用い、敵を切り裂く。そう、コイツは。


『さぁ、戦うが』


とか言うので抜き撃ちでFN Five-seveNを連射。狙うは腰のカイザギア、そのバックル部にセットされたカイザフォン。

普通なら、銃弾程度じゃ傷は付かないだろう。だからカイザには油断があった。そう、奴は仮面ライダーカイザ。仮面ライダー555に登場する二号ライダーだ。


◆◆◆◆◆


スモークグレネードを来た道へ投げ込み、爆発。白い白煙が周囲に広がっていく。

AMFは今のところ張られていないので、そこから後方にジャンプ……フェンスに背中が当たる寸前、二つの変化が発生。

一つ、十一時方向と、一時方向の煙が揺らめき、そこから走る脅威を映し出す。二つ目……詠唱していた術式が発動し、僕の体は加速。


フェンスをすり抜け、一気にグラウンドへと降り立つ。以前シャッハさんから教わった、物質透過魔法だ。

これを教わった頃は、あの人があんなに馬鹿だとは思わなかったなぁ。まぁゴミどもに殺されていないことを祈ろうか。

でも奴らは、ワーム達は違う。間抜けにもフェンスすれすれでぶつかった、成体ワーム二体。


そいつら目がけて、改めてFN Five-seveNを連射。貫通力の高い5.7x28mm弾はフェンスも貫きつつ、奴らに命中。

二体の成体ワームはボディを膨れあがらせながら、派手に爆発する。


『何だと!』

「そうそう、言い忘れていた」


何が『何だと』なのか。僕がイクサに変身できるからって、AMFでの下地作りもすっ飛ばしやがって。

まぁ、『アレ』を使えば魔法は問題ないけどさ。……実はJS事件中、サリさんとヒロさんと一緒に、対AMF装備を用意してある。

ただこれまでは使うほどの状況もなかった。鳴滝達の正体もはっきりしてないし、ここも魔法なしで切り抜けるか。


いいや、ライダーすらなしで圧倒しよう。接近戦は危険と判断し、全て射撃武装で対処決定。


「僕の前を横切って、生きていた奴はいない」


◆◆◆◆◆


FN Five-seveNを仕舞(しま)い、P90に持ち替えながら周囲を警戒。すると……次はライオトルーパーか。

黒色のスーツ、O型のシルバーゴーグル、銅色のハーフアーマーを装備し、右手には銃&剣に変形するアクセレイガン。


あれは仮面ライダー555に登場する、量産型ファイズとも言うべき……ようは戦闘要員だよ。

チームのベンチ二つからぞろぞろ現れる奴ら。やっぱ戦力は相当かぁ。これ、一味っていうか悪の組織じゃ。


≪The song today is ”IF YOU GOTTA RUN”≫


そこでアルトが突然かけたのは……おぉ、もっとあぶない刑事で使われた挿入歌じゃないのさ。これもかっこいいんだよねー。


「アルト」

≪せっかくですし、派手にいきましょう≫

「だね」


でも戦闘中に音楽かけるの、デフォになりつつあるなぁ。不思議に思いながらも、上がったテンションのままダッシュ。

すかさず双方からアクセレイガンによる掃射が飛んでくるけど、それも置き去りに左ベンチへ接近。

走る予感――奴らの射撃線を予測し、死を告げるライン。それに伴って飛ぶ弾丸が、フェンスに無数の弾痕を刻む。


でもそれだけ。無意味……全てが無意味。奴らは僕の命どころか、影すら捕らえることもできない。

左ベンチから出て、散開する前に奴らは一人、また一人と撃ち抜いて沈める。それでも散開し、十三人が僕を取り囲むように動く。

……右に行くと見せかけフェイント。そのまま左へダッシュしながら、一人、二人、三人と頭を撃ち抜き沈める。


そんな僕の行く手に一人飛び出してきたので、すかさず胴体部を蜂の巣にする。その四人目を蹴り飛ばし、残り九人からの射撃を防ぐ。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


恭文「そしてダブトの僕は大暴れ。鳴滝? 奴は四天王の中でも最弱」

古鉄≪とまとだとそういう扱いになってますよね。生き残っても後が面倒なので≫


(何者なのだろう、奴は)


古鉄≪同じ頃私達は、ギンガさんルートな機動六課に面倒を押しつけられ≫

恭文「あれも大変だったよねー。結局僕達、その件だと脇役だし」


(その頃の本編組では、魔法がないとクロックアップも対処しにくいので)


恭文「龍騎も好きなライダーだから、原典の要素も加えつつ派手にいきます。そう、こんな感じで」


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


お腹(なか)……空(す)いた。お腹(なか)の音、止まらない。追加のお弁当も、当然もらえない。

ただお腹(なか)を鳴らして、畳の上でうつ伏せになるだけ。……ケーキ、食べておけばよかった。


「ライダーバトル……最後の一人になるまで戦う。そんな戦いに士くんが参加したら」


同質の夏海さんが呟(つぶや)き、立ち上がる。でも私は無理、もう立ち上がれない。

というかね、目まいがするの。なんだろ、頭にかかってる髪がうっとお……髪って食べられたかな?


「誰かー! 誰かいませんか!? 私、こんなことしてる場合じゃないんです!」

「……夏海さん、静かにしてください。というか、騒いだらまた印象が」

「それはそうですけど、でもやっぱりライダーバトルはマズいです!」

「大丈夫、です。なぎ君なら……ライダー裁判に頼らず、犯人を追い詰められます」

「……お腹(なか)からヒドい音を出しながら言っても、説得力がありません。というか、大丈夫ですか?」

「大丈夫、です。この髪を……食べれば」

「食べられませんよ!? しっかりしてください!」


夏海さんに起こされ、がしがし揺らされる。あぁ……そう言えば夏海さんの、胸に……大きな、大きな。


「夏海さん……その、胸に抱えてる……二つの、大きな肉まんを……私に」

「セクハラじゃないですか! 違いますよ、肉まんじゃなくて肉そのものです! ギンガさんの方がもっと大きく実っていますから!」

「肉……肉……ウェルダン? ううん、やっぱりレアで」


自分の胸に付いている肉を持って、あーん。


「駄目ですー!」


なのに夏海さんが必死に止めてくる。どうして……私、もう限界なのに。


「すみませーん! 誰かいませんか!? さっきとは違う意味で誰かいませんか!? ギンガさんに追加のお弁当を……早くー!」

「……随分、お困りのようだね」


そこで男の声が響く。もうろうとしていた意識が定まり、夏海さんと一緒に周囲を見やる。

すると留置場の一室は、一瞬にして変化。景色が回転し、線となって、それらが入り乱れながら再構築。

一瞬で私達は空の下に出た。木張りの地面……周囲には道行く人々。ここは、都市部の一角?


驚きながら立ち上がっても、人々は私達を見ない。見ているのはたった一人……真正面に佇(たたず)む、眼鏡の男性。

フレンチコートに帽子を着た紳士。でもその風貌には見覚えがあって、夏海さんと警戒し後ずさる。


「光夏海……それに、ギンガ・ナカジマだったね。この世界で、君と会うのは初めてか」

「あなた……!」

「鳴滝! ユウスケにベルトを渡した悪人!」

「それは誤解だ。私は予言者にすぎない」


だったら正解だよね! まさか私達、攫(さら)われた!? なぎ君……!


◆◆◆◆◆


ユウスケは蒼チビの声に応えることもなく、悔しげに床へ突っ伏す。だが事実だ……お前、あれで騙(だま)されるのはあり得ないだろ。

普通疑うぞ。そう思っていたら、電話の音が響く。蒼チビはすぐに立ち上がり、備え付けの黒電話を取った。


「はい、光写真館です。はい……はい……そうですか、ありがとうございます」


電話を切った後、蒼チビは呆(あき)れた様子でお手上げポーズ。どうやら朗報ではないようだ。


「すばらしいニュースだよ。裁判停止申請は棄却された」

「何だって!」

「理由は」

「まず僕が提出した証拠。これは有用であるものの、夏みかん達が実行犯ではないというだけ。
つまりもう一人協力者がいて、そいつらと夏みかん達は結託した」

「まぁ、筋は通っているな。だがそれならそれで、再調査するだろ」

「普通はね」

≪でもここの司法、普通じゃありませんしね≫


今更って話か。とにかく筋は通っているし、夏みかん達のろう屋暮らしは納得した。だがもう一つの方はどうなっている。


「だが随分平然としてるな」

「筋は通っているし、予測はしていたから。それで奴ら、遠慮なく馬脚を現したよ。
仮面ライダーディケイドは、登録済みの参加ライダーだってさ。
今回から採用された新型ライダーとデッキなので、参加は問題ないって」

「カードを使うからってか? ……んなわけないだろ。今朝この世界に来たばかりだぞ」

≪だから確定なんですよ≫


奴らはこの世界の司法に、遠慮なく食い込んでいる。それで俺達に、ライダーバトルをやれと。

いや、その中で始末を付けるつもりなんだろうな。


◆◆◆◆◆


状況は最悪。なので急いで都内を走り回って……捕まえちゃった♪

……一台の車は国会議事堂へ向かう途中だった。黒塗りのキャデラック……ターゲットを見つけ、ダブトエクステンダーを走らせる。

結界を展開し、人払いをした上で前に出た。急停止すると、車も衝突を避けるためブレーキ。


ブレーキディスクとパッドが摩擦し、悲鳴を上げながら車も停止。なので静かにエクステンダーから下り。


「おい、何だお前は!」


FN Five-seveNを取り出し、出てきた運転手とSP達に五連射。回避すらも許さない早撃ちにより、奴らは額を撃ち抜かれ倒れる。

……なおスタン弾のため、気絶しただけになっています。さすがに殺しはしない。

そのままキャデラックの左側に回り込むと、怯(おび)えた様子の『総理大臣』がこちらをガン見。


FN Five-seveNの銃口を向けたまま、手招きして車から下りてもらう。


「な、何だね君は! こんなことをして、ただで済むと」


とか言うので、足下に二発打ち込み黙らせる。その上で静かに告げた。


「動くなベイビー。口とケツの穴をもう一つ増やされたいの?」


必死に首を振る総理大臣は、しっかりホールドアップ。その上で、幾つか質問をさせてもらい……拘束させてもらう。


◆◆◆◆◆


こんな調子で関係者を次々拘束し、徹底尋問。その結果分かった、ライダーバトル関連の施設へ。

ミラーワールドの維持やら、各ライダーの動向、全てを一括で管理している施設。

続いては都内外れにある地下に作られ、政府でもトップシークレット。知っている人間も僅かしかいない。


……既に瞬間詠唱・処理能力により、ネットワークにはアクセスしている。

まぁ不正アクセスだけどねー。だから施設内の誰も、侵入には気づかない。警報も一切響かない。

そんな異常事態の中、邪魔する警備員や作業員達をなぎ倒し、奥へと進む。


「な、なんだ君は……ふご!」


ある奴は左ストレートで殴り。


「動くな! それ以上近づけば撃」


とか言うので、立ちふさがる十人前後をFN Five-seveNで撃ち抜き沈める。なお毎度おなじみスタン弾です。

バリケードを張られ、そこから一斉射撃を食らっても、横道に隠れて回避。更に奴らの頭上からスプリンクラーが吹き出す。

水に濡(ぬ)れたところで、マジックカードを取り出し投てき。それが地面を滑り、水たまりに触れた瞬間術式発動。


青い雷撃が十数人を焼き払い、その意識を一瞬にして奪う。その上でスプリンクラーを止め、バリケードも切り崩し推し通る。

なお施設内から脱出も不可。完全に密室と化した中、大暴れを続けてついに最深部へ。

そこに置かれたのは、最新鋭サーバー……のはずだった。でも違う、これは……やっぱり、こうきたか。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


古鉄≪というわけで、ついに総理大臣を誘拐したダブトのあなた≫

恭文「無茶苦茶なのは素敵だねー」

古鉄≪どの口が言いますか。なぜこうなったのかは、やっぱり本編をチェックしていただきましょう≫

恭文「よろしくお願いします……もぐもぐもぐもぐ」



(そして蒼い古き鉄は、満漢全席をもぐもぐ
本日のED:佐竹美奈子(CV:大関英里)『SUPER SIZE LOVE!!』)





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