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作者でも分かるとまと同人誌情報コーナー
とある魔導師と閃光の女神のえ〜すな日常/いんふぃにっと 第5巻経過報告:01(サンプルあり)(2016/2/28)
[TOMATO] とある魔導師と閃光の女神のえ〜すな日常/いんふぃにっと シーズンI 第5巻『クールボディに何が必要か』



古鉄≪というわけで、幕間……と思わせていんふぃにっと第五巻です。シーズンIはあと一巻となりますので、最後までお付き合いいただければと思います≫

恭文「タイトルはまぁ特別書き下ろしの方ですが、ついにベルトちゃん三つ目のタイプも登場。まぁ大体の流れは四巻や五巻以降の経過報告で知っておられるでしょうが、改めて」


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


IS学園が再び揺れていた頃、国会議事堂近辺では通り雨が降っていた。すぐに止(や)むような、本当に短い通り雨だ。

だが天気に反比例して、最近は朗報が続いていた……篠ノ之御夫妻の捜索を始めて、ひと月以上。

第一種忍者の御剣家とも協力し、調査を進めてきた。今まではほとんど進展がなかったものの、亡国機業壊滅から状況が一変。


今までの焦(じ)れったさが嘘のように、話が進んでいく。篠ノ之箒君と別れてからの足取り、所在地。

保護プログラムの規定に則(のっと)り変更されていた氏名。その手応えは我々に確信を与えていた。

だが……突然事務所にやってきた御剣くんは、重たい表情である書類を見せてくる。


というか、調査報告書だな。お礼を言いつつ確認した結果、沸き上がるのは怒りだった。


「何だこれはぁ!」


秘書の仲代(なかだい)をビクつかせるほど、鋭い声を出してしまった。だが、許してほしい。

決して御剣君や、その御家族が悪いわけでもない。だが……これは!


「……すまない。だが御剣君、これは間違い」

「ありません。まず調査状況がここにきて進展したのは、当然でした」

「亡国機業……いや、ECHELONによる情報統制がなくなったせい。だからこそ、言い切れるのだね」

「はい。篠ノ之夫妻は残念ながら……保護プログラムなど受けていません。亡国機業によって巧妙に情報封鎖が成された上で、奴らに」

「クソが!」


怒りの余り、テーブルを右拳で殴りつける。ふざけるな……保護プログラムとはなんだ!

国民を守るための、システムの一つなんだぞ! それをアッサリ利用され、犯罪組織に保護すべき方々を誘拐された!?

絶対にあってはならないことだ! 情けない……私は自分が情けない! こんなことが、私がのうのうと生きている間に起こった!


初心すら忘れ、ふんぞり返っている間にだ! 何が国防長官だ! 国を信頼し、身を預けてくれた方々すら守れなかった!

そんな方々を裏切ったんだ! それで国を守れるか! 人を守れずして、信頼に報いることもできず……誰を守れると言うんだ!


「それで残念ながら、現状では二人を捜す手掛かりが……いえ、一つだけあります」

「本当かね! それはなんだ……私も全力を尽くす! 教えてくれ!」

「……実は篠ノ之夫妻同様に、行方不明の夫妻がもうひと組います。こちらは保護プログラムなどは受けていませんが。
篠ノ之夫妻の件が判明してから、独自に調べてみたんです。そうしたら、その二人も情報封鎖を受けた形跡が」

「ではその夫妻の名前は」


つまり奴らは……腹立たしさは一旦収め、冷静に問いかける。すると冷静な御剣君に似合わず、困り気味に視線を泳がせ始めた。


「御剣君、どうしたんだね。何なら場所を移すが」

「いえ、大丈夫です。……その夫妻の名は」


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


「……道場破りってことか。いや、学園破り?」

『そんなところだ』

「理由は。もうお前の家は潰れただろ」

『貴様という偽物を、姉さんから引きはがす』


偽物? オレが……どういうことだよ。てーか姉さんって誰だよ、シャルやラウラに妹はいなかったはずだが。

だが単純に殺す気はない。それならもう、とっくにやられているはずだ。


『……かと思ったが、少々事情が変わったようだ。だが確かめさせてもらう、貴様が『また』偽物かどうか』

「……頼むから、オレに分かる言葉で話してくれ。電波はラウラだけで十分だ」

『知らない方がいい』


今まで威圧的だった奴の言葉が、急に優しくなった。厳しさは変わらない、表面上はほぼ同じだ。でも……その中に気づかうものがあった。


『何も、知らない方がいい。お前が本物であるなら……私は』


それで足が止まった瞬間、ラウラとシャルロットが踏み込む。ISを瞬間展開しつつ、シャルロットがヴェントでけん制射撃。

その間にラウラは瞬間加速。一気に奴の背後へ回り込み、右手をかざしてAIC展開。

弾幕によって回避先を潰され、その上での拘束処理だった。うーん、さすがラウラ達だ。


あえて離れたのも、オレへ注意を引きつけるため。これでチェックメイト、と思ったが。


『……遅い』


展開したAICには、何も捉えていなかった。


◆◆◆◆◆


≪……恭文くん、本気……出してるよね≫

「一応ね」


確かに殺す戦いはしていない。攻撃は逮捕術の範ちゅうに留(とど)めているけど、僕に直撃を取ってくるんだ。

コイツ、実力的にはかなりのもの……代表候補生程度じゃあ相手にならない。

実戦を知り、命のやり取りを知り、その上で踏み込める奴じゃないと。なので。


「簪、近づいちゃ駄目だよ」


救援に出かけた簪は、しっかり止める。さすがに分かるらしく、その足はすぐ止まった。


「でも」

「近づかれる方が邪魔」

『やはり貴様は別格か。できればどいてほしいが』

「そこまで知っているなら、白式がないのも知ってるでしょ。お前相手は命の危険もある」


でも戦わなきゃ見極められないの? 偽物とやらは……又は見極める手段がほとんどない、とか。

ならここまでのことを……そうしなきゃいけないほど、コイツは追い詰められているのか。やっぱり話を聞いておきたい。


≪それ以前にあなたは誰!? 亡国機業の残党なのは分かったけど!≫

『……織斑、マドカ』

≪織斑ぁ!?≫

「なん、だと……!」


ちらっと後ろの織斑一夏を見やるけど、必死に首を振ってきた。そうだよね、親戚なら、もうちょっと反応があるよね!

……そこで奴は右手を開き、粒子変換した武装を出してくる。それは紫の刃を持つ、ハルバートだった。

右に走り、簪や織斑一夏から距離を取る。奴も誘いに乗りながら、腰だめにハルバートを構え……突撃。


それに合わせ、右肩の疾風無限刃を取り出し投てき。小型化こそしているけど、レーザーブレードは常備しています。

それを払ってから打ち込まれた刺突は、併走を止めて回避。更に刺突・刺突・唐竹(からたけ)と打ち込まれるので、スウェーと両掌底で何とか捌(さば)く。

こちらも古風刃・壱を取り出し、右薙に抜刀。奴も……織斑マドカもそれに合わせ、重い一閃を放つ。


そして刃は衝突し、断ち切られたのは古風刃の方だった。嘘……!


≪えぇぇぇぇぇぇ!≫


慌てて後ろに飛びのきながら、スピンミキサーからコンクリ弾連射。しかしハルバートの切っ先から閃光(せんこう)が幾つも生まれ、それが連射される。

コンクリ弾を撃ち抜きつつ迫るのは、合計十発の光条。それを余った刃で何とか切り払う。

が、それだけで古風刃の刃はぼろぼろ。ちょっとちょっと……! 最新型だって聞いてたんですけど!


一応ハルバートやゼフィルスはサーチするけど、全く意味がなかった。出てきた反応は『解析不能』。

と言うか、メリクリウス達に近い感覚がしているから、もう確定だ。


◆◆◆◆◆


ぼく、シャルロット・デュノア……ボーデヴィッヒさんと同室になりました。まぁ前にも言った通りね。

ボーデヴィッヒさん、元々一人部屋だったしね。女性だと公表した結果、そこに宛(あて)がわれる形に。

いろいろあったけど、同じ男性に思いを寄せる者同士、そこは意気投合しちゃう感じで。


ただ泡風呂だけは止めた……それは、違うと止めた。だってヤスフミが教えてくれて……うぎゃあぁぁぁぁぁぁぁぁ!


「ボーデヴィッヒさん」


そんなボーデヴィッヒさんは、ファンビーモン達が近づくのを躊躇(ためら)うほど張り詰めていた。

それで勉強机に向かって、会議が終わってから何時間も……軽く止めるため、ホットココアを脇へ置く。


「根を詰めると大変だよ」

「今日くらいはやらせてくれ。嫁の強化プランもある」

「強化プラン?」

「会長と相談の上だがな。気合いを入れなくては」


そう言いながらも、ボーデヴィッヒさんは手を止めてくれる。そうしてココアの入ったカップを取り、ホッとした表情。

それにはこっちが安どする。休憩の意志を見せたので、ファンビーモン達も静かに近づいた。


「確かに鍵は一夏だ。……なぜ織斑マドカは教官ではなく、一夏を中心に動いていたか。しかも奴は偽物とまで言った」

「そこ、だよね。仮に彼女がイチカの御両親と親しかったのなら、織斑先生だって……例えばだよ?
御両親はイチカや先生の身柄を引き替えに、亡国機業に協力し続けていた。それで彼女は御両親とも仲良し。
エージェントと人質というよりは、もっと親しい形で。それで二人に同情していたなら、敵意を向けるのは」

「二人揃(そろ)ってだな。つまり奴が向けていたのは、明確な敵意ではない。偽物云々(うんぬん)も、単なる侮辱ではなく」

「何かしらの意味がある」


でもその意味がサッパリなんだよね。イチカとちょっと戦っただけで、分かることなのかな。それほど軽くないようにも思えるし。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


恭文「というわけで、織斑マドカが登場。それに伴ってあんなキャラやこんなキャラも動き出します」

古鉄≪ひーろーずIIからの流れを組み込む形ですね。なのでかなり早い段階で、織斑先生もキツいことになります≫

恭文「そして一夏は……白式やらアレやらが次に持ち越しのため、打鉄で頑張ります」

古鉄≪さすがにメインではありませんが。なにせドライブモードになった、疾風古鉄ですら≫


(バイオライダーなら)


恭文「唐突なてつを推しはやめい。いや、さっきまで生放送の真っ最中だったけど」

古鉄≪ですが話も進みます。原作で言えば第三巻の範囲なので、こういうシーンも≫


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


今日は土曜日でお休み。モノレールに乗って、イチカと二人お出かけです。

さすがに制服は目立つので、ラフだけど私服。梅雨の時期なので、明るいポロシャツとハーフパンツで決めてみた。

窓際で頬杖をつくイチカは、ぼくの隣でため息。せっかくのデートだけど、しょうがないよねぇ。


ボーデヴィッヒさんがまた寝込みを襲ったから。ただこれも訓練の一つ。

今回はイチカも気づいて、即座に対応。が、その成果がばん創こうだらけな顔になるわけで。


「シャルロット……頼む。同室になったんだからこう、何とかしてくれ」

「ざっくばらんすぎない!? ……ごめんね」

「襲撃はいいんだ、オレのためでもあるし。でも服を脱ごうとするんだよ! そこだけはほんと止めてくれ!」

「一応ボーデヴィッヒさんには言ってあるんだけど……あ、でもファンビーモンとロップモンとは、すっごく仲良くなったよ。二人とも可愛(かわい)いんだー」

「ならその調子でラウラとも頼む。オレの身体がこう、串刺しにならないうちに」

「了解」


いや、本当に言っておこう。きっとまた篠ノ之さんが……あの荒(あら)ぶり具合、いつ収まるんだろう。そろそろ原始時代へタイムスリップしそうだよ。


「あとは、クラリッサという人についても……!」

「……ごめん、それは放り投げていいかな」

「どうなってんだよ、ほんと! いや、今なら分かる! 千冬姉が匙(さじ)を投げた理由とか、アイツの電波に対してスルー気味なとことか!」

「なら嬉(うれ)しいよ。でもイチカ、どうしてぼくだけを誘ったの? ボーデヴィッヒさんが一緒でも気にしないけど」

「いや、まぁ……実は八神に改めてアドバイスをもらって」


あははは、嘘がつけないなぁ。上手(うま)い言い訳が見つからなくて、恥ずかしげにせき払いをしたよ。


◆◆◆◆◆



「ごめんね、付き合ってもらって。実家には戻らなくても」

「それは大丈夫だけど」

「よかった。……佐田先輩や、婚約者のみなさんは」

「タマモとヒメラモン達と一緒に、なぜか笑顔で送り出してきた」

「あははは、そっか」


相川清香とお出かけしていた。そうしてまずは、門出町にあるショッピングモールへ。

その中をノンビリ歩きながら、水着ショップに入る。でもなぜ潤乃のことも気にする?

い、いや……自意識過剰かなー。戸惑いながらも相川清香の様子をチェック。


身長は僕より少し高いくらいで、目をキラキラさせながら水着達に注目。……普通はやっぱ、女の子と買いに来るよね。

僕とってことは……ツッコむべきか、ツッコまざるべきか。


「でも、もうすぐ臨海学校かぁ」

「そうそう」


そう、臨海学校があります。全学年でやるんだけど、さすがに日程は別々。ただそこはIS学園と言うべきか。

正式には『校外特別実習期間』。ふだんはアリーナや練習場を中心に、IS実習に励んでいる……が、臨海学校では違う。

そう言った限定空間ではなく、実際の自然環境に触れながらの実習となる。期間は二泊三日。


一応自由時間などもあるらしいけど、基本は旅館どころか周辺海域も貸し切り状態。

ISの重要性がなければ通じないような、かなり無茶(むちゃ)な状態で行う。


「梅雨の時期だから、晴れるといいけどね」

「雨でもやるんだよね、確か」

「むしろそれ狙いなところもあるって。潤乃が一年のとき、台風にぶち当たって……大変だったとか」

「うわ……!」

≪ただあんまりに危険で非難続出だったから、翌年からは改めたそうだけど≫


それでも実習、雨天決行らしい。うん、全然改めてないね。でも問題はまだあるわけで。


「じゃあ水着は」


その言葉につい顔を背け、遠いところを見てしまう。そう、果てしなく遠い過去を。


「サイズがほとんど……変わってないから、意味が」

「ご、ごめん……!」

「でも水着、やっぱり種類が多いね」

≪ビキニだけを取っても三角、ホルターネック、チューブトップといろいろだしねー。清香ちゃん、お目当てとかあるのかな≫

「チューブトップがいいかなーと。……オルコットさんとかには勝てないし」


何が勝てないか、それを聞くほど僕達は野暮(やぼ)ではなかった。というかそのつぶやきは、聞こえない方向で処理。

ちなみにチューブトップは、ブラがストラップレスになったタイプ。バストサイズが控えめでも、ひらひらでボリュームが出るらしい。

でもツッコまない、僕は一切ツッコまない。相川清香が恨めしげにこちらを見ているけど、気にしてはいけない。


「や、八神くんって……やっぱり大きい方が好きだよね。ケイシー先輩にプロポーズしたって言うし、山田先生にもアレだし」

「なぜそこで僕の好み!?」

「いいの! ……あ、これ可愛(かわい)いかも!」


相川清香が取ったのは、ストロベリーカラーなビキニだった。しかもお尻のラインも割ときわどくて、パレオ付き。

ただそこで気になったのは、体に当てられた水着ではなく、ついていたタグだった。


「どうかな」

「……それで、いいの?」

「え、似合わないかな」

「いや、価格が」

「価格」


そう、タグにはどういうわけか。


――二〇〇六年ニューモデル \七二〇〇〇――


と書かれていた。わーお、リッチウーマンー。


◆◆◆◆◆


ヒメラモン達とお出かけ。カーショップで洗浄用品を買ってきた。

いやー、自分の車っていいねー。ウキウキしながら戻ってきたら、異変察知。


慌てて現場となっていた剣道場裏に向かったところ、死屍(しし)累々。教師部隊の姿も見られ、血の痕もたっぷり。

適当に拾った竹刀を手元で一回転させ、肩に担ぐ。


「ヤスフミ、これ……アイツがやったってのかよ!」

「他にいないでしょ。さて、何があったのか」

「相当こっぴどく暴れたようですね」

≪……ザッと確認しただけでも、全員病院送りなの。アキレス腱(けん)断絶、鼓膜破裂、網膜剥離、腕部や脚部の骨折、脳しんとう≫

≪重傷パターンの博覧会ですか、ここは≫


こりゃあすぐ病院に連絡しないと。……すると慌てた様子でサファイア先輩がやってきた。


「おい人間」

「その振り方はやめて。嫌な予感しかしない」

「今度は何……お縄につくッス!」


そう言いながらサファイア先輩が僕に指差し。……いやいやいやいや!


「違う違う! 僕じゃないですから!」

「そうだぞ。恭文はオレ達と買い物に出ていて」

「プレイボーイなのは知っていたッスけど、これはさすがに……女を落とすのに暴力って」

「だから違いますって!」

「信用されてないな、お前」


ヘイアグモンのツッコミが突き刺さる。……まぁそんな要素はないけどさ! 未(いま)だに疑われているし!


「滑空砲で虜(とりこ)にする方がまだマシッスよ! ダリルとメグノ先輩が泣くッスよ!?」

「それも同じことだぁぁぁぁぁぁぁ! あとダリル先輩は省いてください! そこはお願いします!」

「……本当に遠慮してくれるッスか」


えぇえぇ、遠慮します! 同性・異性は関係なく……やっぱりね!? ほら、相手方がいる人ですから! というかあなたがその相手ー!


◆◆◆◆◆


臨海学校も近づく中、織斑&デュノア、ボーデヴィッヒ&篠ノ之を相談室に呼びつけた。

先日荒れたにも関わらず、山田先生はとても楽しげに笑っていた。ここまで問題があり、ゴタゴタした学期もなかった。

それゆえに先生の心はぼろぼろだ。そしてまた、ぼろぼろになるだろう。先生もそこは分かっている。


だが、それでも笑うんだ。教師として諦めは見せず、明るく胸を張る。変わろうと……強くなろうと、山田先生も踏ん張っていた。

……織斑の隣をデュノア、ボーデヴィッヒが占領し、篠ノ之は不満げに離れた席へ座る。


「急に呼び出して済まなかったな。トーナメントやり直しの件について、内密の連絡があった。なのでこの件は口外禁止だ、いいな」

「いきなり口止めって……もう、嫌な予感しかしないんだが」


一夏の不安は的確だった。もう内密な話をするたび、面倒事が噴きだしているからな。なのでその心配はないと、軽く笑ってやる。


「そう言うな。それほどシリアスな問題ではない」

「ほ、本当ですか」

「本当だ。なのでデュノア達も安心しろ」

「「はい」」

「……はい」


篠ノ之の反応が鈍いものの、そこは気にしない。恐らくこれから、いつものように荒(すさ)ぶってくれる。


「お前達の試合は本来やらなくていい……のだが、学園上層部や来賓の方々と協議した結果、再試合が決定した」

「さ、再試合!?」

「あ、別に試合に疑わしいところがあったとか、織斑くん達の勝利に不満があった……とかではないんです。それは絶対に」


山田先生、そのフォローはいらないぞ。庇(かば)えば怪しくなるだけだ。


「ただみなさんの試合が、来賓の方々からとても好印象だと評価されまして」


嘘をつけ。好印象だったのは確かだが、試合ではなく『篠ノ之以外の全て』だろ。


「みなさんの試合を最初に執り行う、エキシビションマッチとしたいそうです!」

「エキシビションマッチ……え、ぼくとイチカが、ですか! というかぼくもいいんですか!?」

「はい! デュノアさんも事情が難しいところはありましたが、第二世代型での流麗な戦いぶりには、目を見張るところがありました!」

「ですが、私は無様に負けました。ギブアップまでした身ですが」

「ならば雪辱を果たせ……そういう話だ」


このまま辞退しかねないので、ボーデヴィッヒと篠ノ之にはそう釘(くぎ)を刺す。

それで篠ノ之の口元が歪(ゆが)んだ……それも、とてもイビツな笑みで。


「ボーデヴィッヒ、お前の戦いぶりはかなりのものだった。強いて言うなら……いや、あえて言うまい。
敗因はもう分かっているだろう。無様に負けたままで終わりたくなければ、歯を食いしばって……戦い抜け。今までのようにな」

「教官……お気遣い、感謝します」

「先生だ、馬鹿が」


いや、今のは教官だったな。一礼するボーデヴィッヒには自嘲を送ると、山田先生は篠ノ之へ向き直り、ガッツポーズを送る。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


恭文「そう、また異変です。みんな大好きだよね」

古鉄≪でもあれですね。フォーゼ式に、学内の生徒が暴れるとかしないと。やっぱり襲撃だけだとワンパターンに≫


(そう考えるとフォーゼは凄いよね。それで一年頑張ったもの)


古鉄≪根っこの設定やボスキャラの位置づけ、全てが上手く機能した結果ですよね≫

恭文「作者も見習おう。というわけで、まだまだ続くよー」


(続くったら続くのだ。特別書き下ろし分もあるし。
本日のED:『あぶない刑事のOPテーマ』)




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