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作者でも分かるとまと同人誌情報コーナー
幕間第40巻経過報告:02(サンプルあり)(2016/1/31)
[TOMATO] とある魔導師と機動六課の日常・幕間 第40巻『愛を語る』



古鉄≪というわけで、二か月ぶりに幕間最新刊が販売開始です。みなさん、なにとぞよろしくお願いします≫

恭文「よろしくお願いします。今回でいんふぃにっとパイロット版は終了……というわけでてんこ盛りです」

古鉄≪ただ今回はそちらではなく、書き下ろしや幕間が中心です。ではどうぞー≫


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


前回のあらすじ――ついに始まった、事務所対抗バトルトーナメント。エキシビションマッチとして、恭文とタツヤが激突。

G-3ガンダム対ザクアメイジングという、ある意味因縁の対決は、お互いコアファイターとブースターを持ちだすほどの激戦となった。

その後で組み合わせも決まり、いよいよ初戦。ダークホースフラグを立てまくったシャーリーと、桜井夢子という初見同士の戦闘。


解説役となった千早とタツヤすらも、情報をほとんど持っていないという笑えない中、バトルは開始。

初っぱなから玄人向けとしか思えない流れだが、未(いま)だシャーリーの正体は見えていない。

果たしてシャーリーはこのまま、ニュータイプの資質を持つ桜井夢子にやられてしまうのか……と言ったところで。


「もぐもぐ」


私用の携帯【たまフォン】で軽くメモをしながら、ミートボールを頂く。うむ……これは美味(おい)しい。

さすがは美奈子、いい味を出している……特にナンコツがいいな、ナンコツが。


◆◆◆◆◆


危な……! 嫌な予感がして回避行動を取ったら、直撃コースで突き抜けてきたし。

とにかく射線から攻撃位置を特定。そのまま急降下するけど、敵の影はない。

なお普通に飛んでいても、的になるだけと判断。できる限り遮蔽物の多い場所を狙い、相手の攻撃位置を限定。


しかも今回、バトルフィールドは砂地。恐らく移動時の影響はかき消せないだろうから、そこも注意すれば察知は可能。

そういう意味でも地上戦が適切だった。マックナイフも基本、近距離戦闘用だし。


「レーダー、反応なし。光学センサーにも違和感はない……ステルス、また面倒な」


でもトーナメントではいい武装だわ。手札も見せず、一撃で仕留め続けるわけでしょ?

でもね、ヒントならあったわ。さっき、千早さんやユウキ・タツヤの解説にもあったじゃない。

手札は全く見せず、予選会を勝ち上がったって。手札は……って辺りが問題点。普通に予備のガンプラとかで戦ったなら、そんな言い方はしない。


この場合、答えは隠匿にある。ようは覆い隠している、自分の正体を……だからこそのステルス。

とにかく、敵は射撃武器も……そこで嫌な予感がして、急停止。同時に手足を広げるだけの変形も解除。

身を翻し、砂地を踏み締め、滑りながら停止。すると音もなく、眼前を何かが通り過ぎた。


いや、今のは見えた。これは……矢だ。それもクリアパーツでできた矢。


◆◆◆◆◆


「ところで春香、シャーリーって『現役時代』、二つ名があったんだけど」

「え、それって閃光の女神とか」

「仲間内でのジョークだけどね。一つ目は『本局の二代目信楽(しがらき)焼』」

「何ですかそれ! というか初代は誰!」

「はやてだよ。これも『狸(たぬき)』って意味でね」


それも狸(たぬき)仲間って意味合いでもある。もちろん揉(も)み魔という意味も込みだけど。春香や美希達も、
その意味合いは理解したらしい。

そして信楽(しがらき)焼は『狸(たぬき)』の焼き物がある。もちろん普通のツボもあるけどさ。そしてもう一つは。


「そしてもう一つは――魔術師(マジシャン)」

「魔術師? 魔導師じゃなくて」

「フェイトがあんまりに無能なのに、それを影ながら一流まで押し上げていた。その姿は奇術に等しい」

「……奇術っていうか、それは奇跡ってレベルじゃ」

「むしろゴッドと呼ぶべきなの。だってフェイトさん、執務官になったのもズルした結果だよね」

「リンディさんが手を回したらしいしねぇ。本人が十年近く知らなかったのは、唯一の救いと言うか」


如何(いか)にフェイトが周りに支えられ、執務官未満の能力で仕事をしていたか。それがよく分かるエピソードだよ。だからこそ期待はするわけで。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


恭文「というわけで、ちょっとしたオマージュも入れつつ一回戦編です。まぁダイジェストが多めですが」

古鉄≪作者はグラップラー刃牙にはなれなかったわけで。……ところでウルトラマンメビウス、楽しいですね≫

恭文「実は通して見るのは初めて……普通今見ている辺りの話って、最終回に持っていくのに」


(約束の炎近辺ですな)


古鉄≪まぁコメントは差し控えましょうか。見ている人もいるでしょうから≫

恭文「そうだね。さて、続いては書き下ろしです。こちらはパイロット版で出したものと、もう一つ」


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


りんとともみが焼いてくれたマルゲリータを、冷めないうちにひとかじり。


「いや、しかし美味(おい)しいわ。トマトの新鮮な酸味、バジルの香り、チーズのコク……全てが纏(まと)まってて」

「生地もさくさく、でも端の部分はちょっとフワフワ……いいなぁ。これは紛(まぎ)れもないピッツァだよ」

「えへへ、ありがとうございます」

「でも二人とも、どうしてピッツァ?」

もぐもぐしながら、そう聞くフィアッセさん。こう、出会ったころと変わらず可愛(かわい)らしい。


「魔王エンジェルのグルメ取材で、ピッツァ特集をやって」

「夕方の情報番組内だから、出番としては短めだけどね。でもその煽(あお)りで、何か麗華共々盛り上がっちゃって」

「あぁ、それで。確かに美味(おい)しいよね、本格ピッツァ」

「……待って」


でもそこで瑞樹さんが挙手。やや困りながら、左手で持った食べかけのピッツァを見やる。


「ピザ……じゃないの? え、ピッツァって」

「え、何かおかしいですか」

「おかしいというか、その」

「イタリア料理だし、本格的なのはそう呼ぶのでは」

「そう、なのね。あぁ、そう……ともみちゃん達若い子は……そうなんだ」

「「若い子!?」」

「……瑞樹さん」


瑞樹さんに『気持ちは分かる』と声かけすると、やや涙目で残りのピッツァにかじりついた。

しょうがない、りん達も戸惑っているし……お酒も飲みつつ、メシバナといこうか。

……ヒカリがよだれを垂らし始めたので、さっと制しつつ話を進めよう。まずピザとは何か、ピッツァとは何か……だよ。


「まぁ瑞樹さんの動揺も分かるよ。ピザとピッツァ問題は、かなり根深いから」

「根深い!? え、でも」

「実はその辺り、リカルドからもツッコまれたことがあって」

「リカルド・フェリーニ? あ、そっか。あの人はイタリア出身だっけ」


ともみがそう呟(つぶや)き、みんなと一緒に思い出すのは……去年のこと。ガンプラバトルフェスティバルに出場した際、僕と戦った伊達(だて)男だ。

大会が終わったあと、フェイト達とも挨拶してさ。そしてなぜかリカルドは、僕に『責任を取れ』とキレてきた。


◆◆◆◆◆


「……あの、ごめん」


そこでともみが挙手。あれ、何だか嫌な予感が。


「一つ思い出した……というか、恭文さんに聞きたかったんだ」

「あ、そうだ! アレがあった!」

「僕に? 何かな」

「あの、ピザの『ミミ』を残す人、いるよね」


嫌な予感、的中。ピザのミミとは、ナポリピザで言うと……そうそう、りん達のピザみたいに、ちょっと焦げも入っていてさ。

りんが『そうそう』と頷(うなず)く中、全員がフリーズしてしまった。まさか、この問題に触れるときがこようとは……!

そう、これは一つの問題だった。マナー云々(うんぬん)だけでは語れない、食文化の伝道が如何(いか)に難しいかを伝える。


神が与えた試練なのかも、しれない。


「ピザの、ミミを……残す?」

「「はい」」

「何それ、ミュータントかしら」

「「ミュータント!?」」


フィアッセさん、そして瑞樹さんの動揺は分かる。理解できない異星人扱いしたくなる気持ちも、よく分かる。でも……!


「あの、二人とも……それはどこから聞いたの? そんな人がいるわけ」

「いるよ、フェイト」

「ふぇ!?」

「うん、いるんだよ。ただこれは……日本(にほん)のピザシーン全てに跨(また)がる、少々デンジャラスな問題でね。りん、ともみ、おのれらはどこで」

「……取材先、何だ。お店で食べている人の中に、明らかに『食べきれない』のとは違うニュアンスで、ミミだけ残している人がいて」

「実はあたしも、それ以外で……ファミレスとか、それ以外でも似たような感じで。
最初はね、あたしが勘違いしているだけだと思ったの。食べきれないだけかなと。
でもそうじゃない……奴らは何か違うんだよ! まさしくミュータントだよ!」

「う、うん。しかもお店の人も問題ないって感じで……凄(すご)く、怖かった。
どうしてか聞くことすら、危ぶまれるくらいに。麗華もどん引きしてた」


うわぁ、本気で怯(おび)えてたんだ。ちなみに僕達、ミミは奇麗さっぱり食べています。だってそこがまた美味(おい)しいもの。

でも麗華、お嬢様育ちなのに知らないのか。意外と庶民的なのかな、あのイルボイス。


「ふ、二人とも落ち着いて。でもほら、それくらいレアケースってことで……ね、ヤスフミ」


フェイトが笑顔で取り直そうとするので、つい楓さんと二人顔を背けてしまった。

「ヤスフミ!? 楓さんまでどうしたんですか!」

「ま、まさか恭文くん……!」


◆◆◆◆◆


「日本初のピザハウス。そこが五十年代に提供して、人気を博したピザについて、興味深い記述がある。
著者のロバート・ホワイティングはね、イタリア式とは既に別ジャンルだったことを強調するよう、登場毎(ごと)にこう記していた。
アメリカンスタイルのピザ――本物のアメリカン・ピザ――と! アメリカ人にとっても、その区別は重要だったのよ!」

「……でもそうなると、逆に気になるなぁ。アメリカン・ピザはどうやって生まれたのかな」

「パン生地にトマトソースと具を載せた、最初のPIZZA。これがナポリで誕生したのは、二五〇年ほど前と言われている。
一八〇〇年代には、ニューヨークのイタリア人街でも食べられるようになった。それが更に拡大したのは、第二次世界大戦」

「え、戦争で?」

「そこで本場のピザを食べた帰還兵達が、『アレ最高だった!』と盛り上がったののよ。それを機に、アメリカ全土へ爆発的に広まった」


戦争はよろしくないことだ。でもそれをきっかけとして生まれた文化もあるのが、また難しいところ。

まさかアメリカン・ピザの発達がそれとは思わなかったらしく、フェイトやりん達も驚いた顔。


「しかもよっぽどツボに入ったんだろうねぇ。たちまち入手しやすい食材や好みに合わせローカライズ。
そうして『アメリカ料理』としてのピザが完成していくのよ。ちなみにこの辺りの流れは、ラーメンを想像すると分かりやすい」

「あ、そっか。中華料理としての拉麺と、日本(にほん)の国民食となったラーメンはもはや別物だしね」


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


恭文「はい、というわけで今回のめしばなは、ピザです。冷凍・宅配・チルド……もちろん手料理としてのピザ。親しみ深い食べ物ですね」

古鉄≪宅配ピザはお高め……そう思っていた時期が我々にもありました。今だと持ち帰りで半額やら、選べる品数を限定してMサイズ一枚千円なんてコースもあります≫

恭文「あとはナポリスみたいな、ワンコインピザショップとかね。あっちはナポリ系だけど」


(誰しも一枚くらい、語りたいピザがあります。作者のナンバーワンは『ピザ・カリフォルニア』のジャーマンスペシャル)


恭文「そしてこの話だけで挿し絵の大半を使っているという……だってピザ、好きだし」

古鉄≪しょうがありません、ピザですから。さてさて、最後ですがディケイドクロスも……以前出した、番外編が終わるとすぐ本編軸に移動。今度は龍騎の世界です≫


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


「ギンガ・ナカジマさんと、光夏海さんだったわね」

「「はい」」

「でも勇気があるわねー。普通頭を疑われてもおかしくないわよ? 別世界からきたなんて」


砕けた笑いには、今までのこともリピートして、イビツに返すしかなかった。


「でもそれなら、知らないのもしょうがないわね」


そんな彼女が見やるのは、夏海さんが抱いた週刊誌。その表紙には仮面ライダーが載っていたの。

それも十三人だっけ? その中で『一番人気の仮面ライダーは?』とも銘打っていた。


「それで、あの……この世界の仮面ライダーというのは」

「その記事、中は見たのよね」

「は、はい。でも正直信じられなくて。裁判の陪審員がライダーで、その勝敗で結果が変わる」

「あの、これって本当なんですか!? 仮面ライダーって正義の味方ですよね!
それなのに……そもそもそれじゃあ、裁判機能だって働いてないんじゃ!」

「……あなた達の驚きぶり、間違いなく『常識の外』からきたみたいね。この制度が導入されて、かなり経過している」


余りに落ち着き払った態度で、夏海さんと二人面食らってしまう。この人ならたとえ私が……本当にマイクロビキニに着替えても、驚くことなく受け入れそう。


「まぁあなた達の言う通り、これを裁判とするなら……ツッコミどころが多くてね。
うちでもそういう記事を書く一方で、問題提起を続けているの」

「そう、ですよね」

「ただそんな裁判制度があるから、犯罪率の低下に繋(つな)がっている部分もあって……っと、長くなりそうなのでここまで。
とにかく『この世界』では、仮面ライダーは正義の味方とは言えないの。敷いて言うなら、願いの探求者かしら」

「願い?」

「裁判の結果は勝利したライダーのもの。それは判決に限定されたものだけど、『願いを叶(かな)える』とも言えるから」


なぎ君のライダー辞典を思い出す。でもやっぱり、違うよ。そもそも子ども番組で、どうしてそんな駄目な話を出したの?

正義の味方が活躍するのが、ヒーロー番組なのに。子どもの頃に見たアニメなどを思い出し、胸が心の痛みで満たされていく。

……ただそれは、テーブルに置かれていたショートケーキと紅茶を見るだけで、急激に緩和される。


天にも昇るほどの、フワフワ触感を思わせるスポンジ、生クリーム、それを引き締めるイチゴ……朝から、何て嬉(うれ)しい不意打ち。


「あ、すみません。ケーキや紅茶まで……私達、手ぶらで」

「いいのいいの。実はもらい物が余っていてね、食べてくれないと困っちゃうのよ」

「「あ、ありがとうございます」」

「いいえ」


だったら食べないのも失礼だと思い、私達はフォークを手に取る。小柄で金色のフォークは、端々に装飾が施されていた。

軽いカーブを描く彫金は、それだけで特別感を連想させる。よく見ると紅茶のカップやお皿も高そう。


「それであなた達は、別の世界からきて……この世界で何を」


突然、編集長の言葉が止まった。不意打ちで録画映像を停止させられたような、不愉快になるほどの断絶。

しかも右手で喉の前を押さえ、手から血を流す。編集長は引かれる直前の猫が如(ごと)く、目を見開き倒れ込む。

柔らかなケーキをスーツで汚し、皿とカップごとずり落ちて制止。さっきまでの余裕溢(あふ)れる女性とは、別人の顔で事切れた。


「……な」

「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」


◆◆◆◆◆


「弁護士を呼んだか?」

「セクシー蒼凪と、だんじりもやしの登場だよー」

「おい待て! だんじりって何だ!」


馬鹿二人は重苦しい手錠を鳴らし、こちらへ振り返りながら歓喜の表情。言うなら僕達は常夜に舞い降りた光の女神。いや、男だけど。


「あの、すみません。関係者以外は」

「門矢士。この凶悪犯の」


もやしは自分を追いだそうとした警官に、弁護士バッジを見せつける。もちろん僕もだよ。


「弁護人だ」

「同じく蒼凪恭文です」

「失礼しました!」

「何ですって!? 士くん、誰が凶悪犯ですか!」


夏みかんが立ち上がって、もやしに両親指を突き出しながら襲いかかってくる。なので遠慮なく腹を蹴り飛ばした。


「な、なぎ君!?」

「あなた、何するんですか!」

「おい恭文、いい加減にしろよ! 幾ら何でも」


とか言うのでユウスケの頭を一発どついて、夏みかん共々脇に引っ張る。その上で、小声で……真剣に威圧。


「おのれら、いい加減にしてよ――! 殺人容疑で拘留されているのに、弁護人に襲いかかるとかあり得ないでしょうが!」

「いや、あれは士が言いすぎたからで……それより夏海ちゃんに謝れよ! あのツッコミはいつものことだろ!」

「それを他の奴らが見たら、どう思うかって話をしてるのよ! 栄次郎さんもだけど、お前らには客観的視点が欠けてるわ!」


身内だけで許しても意味がないので、もう一度バカスケの頭をどついておく。大丈夫、コイツの人権と頭は毛髪レベルで軽い。


「ライダー裁判の概要を忘れたの!? 勝利者には捜査状況……もちろん供述やら、夏みかん達の行動も教えられる! 今のだって十分悪印象だよ!」

「そんな! じゃあ我慢しろってことですか!?」

≪当たり前ですよ。助かりたかったら……本当に、行動には注意してください。じゃないと私達もフォローしきれません≫

「うぅ、分かり……ました」

「だから待てよ! ……いいから夏海ちゃんに謝れ」

「は?」

「理屈じゃない、人として当然の優しさを、送るべき相手に送れって話だ。こんなときくらい、親身になって支えても」


納得していないユウスケは適当に突き飛ばし、夏みかんも改めて座らせる。


「すみません、後ろ手に手錠をかけ直してください。また襲いかかられても面倒だ」

「わ、分かりました!」

「えぇ!」

「恭文!」

「ユウスケ。……分かり、ました。自重ですよね、自重……自重」


そうそう、その通り。悪いけどおのれ、今の調子でやりそうだし、こっちで止めておくわ。……ビバ権力!

とにかく夏みかんが手錠をかけられている中、僕達はテーブルに着席。同席していた男性にもお辞儀で挨拶。


「……あの、弁護士さん?」

「えぇ」


男性は茶髪で、目はくりくりとした可愛(かわい)らしい感じ。青のフード付きのトレーナー、ジーンズというラフスタイルだった。


「それで、失礼ですがあなたは」

「なぎ君、こちらは辰巳(たつみ)シンジさん。……殺された桃井編集長の下で働いてたそうなの」

「あぁ……それは、大変お気の毒なことで。でも……え、面会してOKなんですか。あなたの上司を殺した憎き犯罪者達ですよ?」

「おい恭文、いい加減にしろよ! 夏海ちゃん達は無実に決まってるだろ!」

「ユウスケさん、いいんです」

「よくないだろ! お前、ギンガちゃんに謝れ!」

「いいんです!」


ギンガさんが、詰め寄ろうとしたユウスケに一喝。それにユウスケが面食らうと、ギンガさんは涙を流す。


「……今の辰巳さん達にとっては、それが事実ですから。だから、いいんです」


まるでこの世の終わりと、そう言わんばかりに……あぁ、この涙はあれだ。

いつ以来だろ……そうだ、緊急出動でビッグバン盛りカレーを食べ損ねた、あのときと同じ涙だ。


◆◆◆◆◆


僕達を出迎えたのは、四十代後半の男性。ノーネクタイスーツをビシッと着こなす、副編集長の鎌田(かまた)さん。

白髪交じりの髪を軽く横へ流した紳士で、その人の案内で犯行現場にやってきた。

現状保持も頭に入れつつ、丹念に現場を調べる。しゃがんで床の様子もしっかり確認。


「助手の方はまた、頑張りますね。あらかたのことは警察がやっていたというのに」

「副編、駄目ですよ。この子は小学生くらいに見えますけど、正式な弁護士さんですから」

「それはまた、失礼を。是非うちの雑誌で特集したいですね」


……もやしは口を押さえて笑い、ユウスケは顔を背けた。よし、コイツらは後で殴ろう。


「僕、あらかたのことは自分でやらないと気が済まないので。それで……第一発見者の『羽黒(はぐろ)レン』さん、でしたっけ」

「えぇ」

「その方はどちら様ですか。編集長の部屋に入ってきたってことは、無関係では」


その人が夏みかん達の『犯行現場』を発見して、緊急逮捕したお兄さんらしい。同時にシンジさんは、複雑な感情があるようで。

名前を出すだけで、苦虫を噛(か)みつぶしたような、そんな渋い顔を見せる。


「三年前まで働いていた記者ですよ。突然よそに引きぬかれて、辞めちゃいましたけど」

「元々は辰巳とコンビ扱いでしてね。腕のいい男です」

「よしてください。昔の話です」


なるほど、やっぱり『シンジ』と『レン』だから……まさかとは思うけど。


「じゃあ今日は打ち合わせか何かで」

「いえ、その予定はなかったと。……そう言えば」

「副編、何か」

「彼も確か、ライダーバトルに参加していたような」

「レンさんが、ライダーバトルに?」


やっぱりかー。取りあえず机の下も見てーっと。うーん、やっぱり何もないな。パッと見であるのは、首から流れた血の痕くらいだよ。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


恭文「というわけで、事件捜査です。さくさく解決していこうか」

古鉄≪いろいろ差異があって、書き直し部分が多かったですよね≫

恭文「ギンガさんルートの僕が、クウガの危険性やグロンギとの関係について、最初の段階で説明してるしね。……つまりそれは」

古鉄≪というか、こうすればユウスケさんが劇中で余り変身せず、活躍しなかったのも理由付けができるんですよね≫


(説明シーンがないとアレだけど)


恭文「……アルト、信じられる? もう龍騎が十三年とか前なんだよ」

古鉄≪平成ライダーシリーズも十七作とかですしね。あなたも年を取るわけです≫

恭文「そして今見ているウルトラマンメビウスが、十年前……つい最近だと思っていたのに。あぁ、そう言えばガンダム00も」

古鉄≪でもその頃だとBlu-rayなども出始めた時期ですから、映像だけで『そんなに前かー』とか実感できないんですよね≫

恭文「なんだよねぇ」


(時の流れが怖くなる今日この頃……十年後はどうなっているのか。
本日のED:松本梨香『Alive A life』)




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