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作者でも分かるとまと同人誌情報コーナー
幕間第39巻経過報告:02(サンプルあり)(2015/11/29)



とある魔導師と機動六課の日常・幕間 第39巻 『お城の武闘会』



古鉄≪というわけで、サンプルの続きです。こちらは書き下ろしを中心に……まぁ古畑話はパイロット版として出しているので、こちらは例によって例のごとく≫

恭文「めしばなだね。そして、今回はこの話でもちょいちょい取り上げていた、こんな食べ物が題材です」


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


「まずはこれよね」


瑞樹さんが出したのは、『日清 汁なし担々麺 大盛り』。三五〇グラムという大盛りで、花椒入り唐辛子が小袋としてついている。


「それで次はこれ」


楓さんが出したのは、僕が現在進行形でハマっている日清具多(ぐーた)の辣椒担々麺(ラージャオタンタンメン)です。

いろいろと騒がしいうちだけど、みんな今日は珍しくそれぞれに仕事・学校の予習中。

まぁ僕達が戻るまでに、ティアナとシャーリーの本戦出場祝いで楽しんでいたからね。そのせいもある。


フェイトとフィアッセさん、ちょっとおねむなアイリ達だけという静かな感じで進んでいます。

そしてシオン達は、そんなアイリ達の脇でぐっすり。焼き肉食べまくったせいみたい。

それはそうと……思えば辣椒(ラージャオ)担々麺とも長い付き合いだよ。


「あ、これってヤスフミが大好きなのだよね!」

「うちにはいつも常備してるよねー。恭文くんなら、担々麺も自作できるのに」

「これらはまた別格なんですよ。最初は汁なし担々麺をつまみ、平麺とひき肉、ナッツなどの食感を楽しむ」

「その後は辣椒(ラージャオ)担々麺で、スープも楽しみつつ、よね。……担々麺、意外とお酒に合うのよー」

「というわけで、紹興酒を用意しちゃいましたー♪」


瑞樹さんに乗っかり、楓さんが紹興酒の瓶を取り出す。その様子にフェイトはわたわたし、フィアッセさんは興味深そうに目を輝かせる。


◆◆◆◆◆


「冷凍食品と言えば、テーブルマーク『ごっつ旨(うま)い』シリーズのお好み焼きで、いか&エビが入っているお好み焼きか、後発の豚玉でよく迷うんですよ」

「恭文くんは私なの? でもそうよね、王道なお好み焼きも素敵だけど、豚玉はついているマヨネーズがからしマヨなのよ。
……でも、それを抜いても豚玉かしら。表面の豚バラとは別に、生地の中にも細かく豚肉が入っているから」

「あぁ、そうですよね。私もヤスフミと一緒に食べたとき、凄(すご)いなって」


フェイトは汁なし担々麺をつまみ、するすると食べて汗だくになる。そう言えば辛(つら)いの、それほど強くないっけ。


「でもかつお節が……粉っぽいやつで。ヤスフミ、お好み焼きは」

「豚玉よりはちゃんとしてるかな。ただなぁ、魚でパウター系は魚粉とかもあるでしょ?
いわゆる踊るかつお節を重視しない限りは、あれでも十分とは思うんだよ」

「うーん、でも私は踊る方が嬉(うれ)しいなぁ。いや、それなら別途かつお節を用意するって選択肢もあるし、そこまで決定的じゃ」

「……待って」


フィアッセさんも乗っかり、盛り上がっていたところで、瑞樹さんが困惑した表情で挙手。


「盛り上がっている中、口を挟むのは野暮(やぼ)だと思うの。それは百も承知だけど……でもみんな」

『はい』

「幾ら何でも、お好み焼きで冷凍はないでしょ……!」

「「えぇ!」」

「お好み焼きは焼きたてが一番なのよ!」

「……あぁ、そっか。瑞樹さん、大阪(おおさか)出身ですしね」


ヒートアップしている瑞樹さん。その熱を高めるがごとく、担々麺に箸をつける。


「言っておくけど、食わず嫌いじゃないの。前に固くていまいちな冷凍お好み焼きを食べて、がっかりしたから言っているの」

「そうですか。では食べてみましょう」

「はい!?」

「ちょうど一枚、豚玉がありますから」


というわけで、レンジでチン……その間に担々麺を食べきり、ほどよく酔ったところでお好み焼き登場です。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


恭文「はい、今回は冷凍食品。作者もよくお世話になるアレです」

古鉄≪安くて美味しく、更に量もある……しかも掘り下げるとこれが楽しい。
このお話ではちょくちょく、辣椒(ラージャオ)担々麺について語っていましたが≫

恭文「セブンイレブン……う、頭が」


(周囲の環境次第と言っておこう)


恭文「そして、当然このまま……楽しく飲むだけでは終わらない。てーかなんで終わらせてくれないの」

古鉄≪やまなし・おちなしだからですよ≫


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


「しょうがない、ゲームをしましょう」

「はぁ!?」

「恭文くんにとって、ベストな冷凍食品ラインナップを教えて。それを私が評価するの。
それで、私より詳しいなら恭文くんの勝ち。負けたら今日は私と添い寝ね」

「あ、なら私とも添い寝よ。楓ちゃんだけはずるいわよ」

「なんでじゃあぁぁぁぁぁぁぁ! それ、僕にはメリットがないんですけど!」

「しょうがないわねー。じゃあ恭文くんが勝ったら、私達が添い寝しながら御褒美を上げるわね」

「同じことだし!」

「え、それなら……ヤスフミ、頑張って。あの、奥さんとして応援するよ」

「いいぞ、やれやれー♪」


フェイトとフィアッセさんが裏切った!? でもフィアッセさんは、追撃と言わんばかりに前のめり……軽く胸を寄せて、僕にアピールしてくる。


「でもローテーションだと、今日の夜は私とだから、私も混ざって三人で……だよ? いっぱい子作りしようね」

「フィアッセさんー!」

「そうですね、それなら私と瑞樹さんがお邪魔する形に」

「そ、そういうのは初めてだけど……それも刺激的かも」

「待てぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」


駄目だ、楓さん……早速酔ってきてる。というか瑞樹さんもー! ホルモン焼き屋に上乗せでこれだから!?

とにかくこういうときの楓さんとフィアッセさんは、何を言っても聞いてくれない。

勝つしかない……それでひとりぼっちで寝かせるしかない。でもフィアッセさんは逃げられないので、頑張ります。


◆◆◆◆◆


「打順方式でいきましょう」

「打順?」

「冷凍庫テトリスに、長年賭けて選(よ)りすぐりの選手達を配置してきました。その名監督ぶりを見せようってわけです」

「それはヤスフミが、あれやこれやと買い込むからだよ! おつまみとか、おやつとか言って−! この間も今川(いまがわ)焼きをいっぱい買ってくるし!」

「それもギンガさんとエリオに食べ尽くされたでしょうが」

「そう、だったね」


そしてフェイトと二人、業務用の冷蔵庫を見る。これ……あと二〜三台くらいないと、うちの食事情に配慮できないんじゃ。


「とにかくよ。出塁率の一番バッターであれば、当然この男」


空間モニターを展開、さっとその恐ろしい袋詰め商品を見せる。


「キャリア四十年超えの大ベテラン! カトキチことテーブルマークの『さぬきうどん』だ! ……初体験は八歳の頃。
高校生三人を再起不能にした帰り、怪我(けが)の具合もあったので、優しい味わいを……と思って買った一品。それ以来延々、猿みたいに食べています」

「相変わらず運のないエピソードが多いわね。でもこれは分かるわ、うちでもレギュラーだもの」

「そうね、悪くはないけど……じゃあ質問。テーブルマークなら肉うどんなどもあるわよね。
そっちなら具もあるし、お汁だってある。基本本当にうどんだけだし、対抗馬も多いわ。さすがに弱いんじゃ」

「確かに。きつねうどんやカレーうどんもありますから、楓さんの理論も間違ってはいません。
肉うどん達も名選手です。……でも冷凍食品の美味(おい)しさそのものを知らしめた感も強い、こちらの方が最強でしょう。
更に手間さえ惜しまなければ、温(おん)・冷・かま玉・醤油(しょうゆ)など、作戦変更可能な俊足感がいいんです」


そう、それはカップラーメンとインスタントラーメンの違いにも通ずる。手を加える楽しさ、手を入れて生まれる喜び。

……飽くまでも素材であり、サポーターという立ち位置。それこそが、さぬきうどんの神髄なのだ。


「でも味わいで最強を言うなら、ちょっと前から出ている」

「丹念仕込みですね」

「あ、知ってたんだ」

「本格的な太めの乱切りで、もちもち感も半端ない……三個一パックで三百円弱ですから、上位バージョンとも言えます。
ただ、まだ出て日が浅い商品ですので、今回は除いたにすぎません。奴との付き合いはこれからですよ」

「本当は忘れていただけじゃないの? 恭文くん、こういうときは理論武装をするし」


そして走る火花……ち、まさか気づかれていたとは。さすがにこの人、鋭いわ。基本は二十五歳児なのに。


◆◆◆◆◆


「では三番」


右人差し指と中指、薬指を立て……そろそろ本命を出していく。


「あけぼのブランドの『サンマーメン』こと、横浜(よこはま)あんかけラーメン!」

「あ、それがあった! 私も大好きだよー! ヤスフミ、それとニッスイのちゃんぽんは常備してるし!」

「僕がこれを食べたのは一九九九年……ほんと、発売当初だよ。地道な人気をキープしているマイルド路線のコイツは、既に偏愛同然な起用率を誇る。
そう、それはまさしく万能型ヒッター。ちゃんぽんと揃(そろ)って、必ず冷蔵庫にキープするのが我が家のローカルマナーだよ。しかも」

≪主様、何かあるの?≫

「サンマーメン自体が、外食ではなかなか見かけないのよ。それゆえにこの存在感は大切にしたい」

「それには同意するしかないかー。でも、新中華街シリーズはどこかで出ると思っていたわ」

「美味(おい)しいものね。私もあら焼き肉しゅうまい、お弁当にはよく入れているから」


まぁメジャーどころだし、読まれたのはしょうがない。……そう割り切ろうとした、割り切れたはずだった。

でも、なぜだろう。楓さんの笑みは、それを勘違いだと突きつける。


「でも……新中華街のあんかけ麺だったら、私は断然『五目あんかけ焼きそば』よ」

「なるほど。同じシリーズでもあんかけの具材が違いますしね、その辺りですが」

「あとは焼きそばの方が美味(おい)しいわ」

「断言したよ! ヤ、ヤスフミー!」

「ですが僕は焼きそばも、海老(えび)と野菜の酸辣湯麺も食べ、一周した上での」


なのでまず、再び楓さんを指さし


「横浜(よこはま)あんかけラーメンです!」

「く……手ごわい。でも……でも私だって、『太麺皿うどん』や『紅(べに)ずわいがにのあんかけ焼きそば』を食べて、一周した上のあんかけ焼きそばよ!」

「僕は『野菜のうまみがスープにとけこむタンメン』を食べて、更にもう一周した上でのあんかけラーメンです!」

「私はその更にもう半周よ!」

「いえいえ、僕はその更に」

「楓ちゃん、恭文くん、その打ち返し……やめなさい? キリがないから」


おっといけない。つい熱くなって、以前のフィアッセさんやサリさん達と同じことを……するとフィアッセさんが膨れていた。

その姿は可愛(かわい)いけど、なぜ? あれですか、それ絡みでお仕置きしたせいですか。


◆◆◆◆◆


でもあんかけ焼きそばには、それよりも大きなメリットが存在しているの」

そんな馬鹿な。味も差が……違う、そうじゃない。楓さんはまた、なまめかしく笑う。僕が真理に気づいていないと、あざ笑ってくる。


「何、だと」

「そちらにはなく、こちらにはあるものよ」


こちらにはなくて、あちらにはあるもの? 具材や味なら、これまでに触れるはず。なくて、あるもの……その真理に気づき、寒気が走る。


「まさか……! だけど、それは」

「大きいわよ、とても。そう……私と瑞樹さんとの差くらい。うぅ、私ももっと大きかったら」


そう言いながら、自分の胸を撫(な)でるのはやめてもらえます!? ていうかアイドルー! 一体どういう教育をしてるの、346プロ!


「あのヤスフミ、どうしたの。何があるのかな、焼きそばは」

「……トレイだよ」

「トレイ?」

「容器がついている。でもそれだけじゃない……あんかけラーメンは美味(おい)しいけど、鍋での調理が必要。
それに対し焼きそばは、あんかけと麺をトレイと一緒くたにして温めるから、コンロも、鍋も使わない」

「あ……! そ、そうだよね! ヤスフミ、あんかけラーメンを食べるときは、いっつも鍋を持ち出してる! というか、それなら洗い物の手間だって!」

「普通なら味には関わらないところだし、どうでもいいんじゃって言うところだけど」


フィアッセさんはそう言いながらも察していた。それがどれほどに深刻なものか……瑞樹さんも思い当たる節があるらしく、両腕で胸を寄せながら唸(うな)る。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



恭文「そう、あんかけ焼きそばはトレイ付き。確かに便利なんだよねー、あれ」


(作者もどちらかと言えば焼きそば派です。なお今更ですが、今回の元ネタはめしばな刑事タチバナとなっております)


古鉄≪まぁ普通なら、この人の圧勝で何とかするところでしょう。だってこの人、空気を読みませんし≫

恭文「おいこら待て!」

古鉄≪ただ、今回は空気が違います≫


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


「四番だけど、やっぱり冷凍パスタよね」

「異論はありません。最大の激戦区だし……その上複雑だ」

「そう、複雑よ。フーズと食品の違いは大丈夫かしら」

「楓さんこそ、青・黒・金・ゴールドの区別はついていますか?」


お互い分かっているようで、ついにらみ合う。く、ここまで強敵とは……さすがは346プロのトップアイドル。


「やるわね」

「やりますね」

「ふぇ……ふぇー!」

「恭文くん、解説……お願い。いや、私もちょっとくらいなら分かるけど、青や黒は初めてで」

「フィアッセさんも見覚えがあると思いますよ。じゃあ、まずは二つの日清について」

「ふぇ……二つの?」


そこでフェイトが見やるのは、さっき食べた担々麺の包装紙……などが入ったゴミ箱。まぁあれも日清なので、間違ってはいない。


「冷凍食品ってのは巨大ジャンルだけに、最大手のニチレイがご飯系。テーブルマークは粉もの。
マルハニチロの中華系と言った感じで、メーカーごとの得意ジャンルと何となくの住み分けがある。
ただそんな中、一大カテゴリーとなっている単品冷凍パスタは……現在、それに長じた三社がシェアのほとんどを占めていて」


そう言いつつ、右人差し指と中指を立てる。


「そのうち二社が、日清フーズと日清食品なのよ」


◆◆◆◆◆


「……ふ」


そこで楓さんが笑う。それも冷笑……この程度かと言わんばかりの顔で。


「歴史や味のこだわり、そういう次元の話なのね」

「まぁそうですね」

「でも私は違うわ、もっと先を見つめている……そう、未来を」

「いきなり話を広げてきたわねー。じゃあ楓ちゃん、あなたなら」

「私はもう、ここのところ……冷凍パスタはずっと、オーマイ一択よ」

「何、だと」


馬鹿な、オーマイだと……青の洞窟などにはいかず、オーマイ? しかも会社名……シリーズ名どころか、会社そのものを愛している!


「そうそう、マ・マーの『黒のスペシャリテ』も、その仕様みたいね」

「あ……まさか!」

「そのまさかよ」

「ヤスフミ、どうしたの! 楓さん、商品名も出してないけど!」

「オーマイのだけ、ほとんどのシリーズに『トレイ』がついてくるのよ――!」

『またそこ!?』

「そうは言うけどみんな、そこは冷凍食品の真理よ? 恭文くんなら、分かるはずよ……私はね、時々夢想するの」


それが未来。楓さんは天使の笑みを浮かべ、優しく両手を広げた。


「手のひらに触れるだけで自動的に温まって、外袋ごと美味(おい)しく食べられる……そんな夢(冷凍食品)が、開発される日のことを」


誰が否定できるだろうか。楓さんのかざした未来が、訪れないと……それに近い形は、いずれくるかもしれない。

だから瑞樹さんも驚き、フェイトもおろおろしながら僕を見る。


「そう、人類(私達)が全ての手間から解放される、理想郷(ユートピア)の到来を――!」

「凄(すご)い、お人だ」


崩れ落ち、テーブルの上で何とか這(は)いつくばる。これは、キツい……想像以上の敗北感だ。


「僕には、その概念を否定できない」

≪この人が口げんかで、膝をついた……ですって≫

≪あ、主様ー!≫


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


古鉄≪女性絡み以外の論争で、それも得意分野で膝を突いたマスター。果たして逆転なるか……それは本編で≫

恭文「でも、手間……手間の問題を出されたら、マジでどうしようも」

古鉄≪冷凍食品そのものが、手間を省くものですしねぇ。さぁ、あとはディケイドクロスです。こちらもサクッといきましょう≫

恭文「ISクロスは次だねー」


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


「じゃあワタル王子、流れは分かったけど何でここに。場所は……あ、ユウスケから」

「そうだ。ユウスケからお前達のことも聞いていて……それで」

「……分かりました! 士くんがその悪いファンガイアを倒すんですね! それが私達の、この世界でやるべきこと!」

「違う。お前達に……僕を殺してもらおうと思った」

「はぁ!? あなた、何を言っているんですか! そんなのあり得ません!」

「悪魔なら、悪魔の仲間であるあなた達なら、僕を殺してくれると思った。
僕がまた醜い怪物になってもう戻れなくなる前に、殺してもらおうと思った。
こんな醜い僕は、王になんてなれない。なっちゃいけない」

「そもそも悪魔って話も誤解なんだけど」


……まぁいいかー。正直空気が読めていないし。


「そうですよ! 王子、そもそもあなたが王にならなかったから、こんな事態になったんですよね!」


そして一番空気の読めていない、まだ前のめりな馬鹿がいた。どんだけ役立たずなの、ギンガさん。


「あの、そのファンガイアは私達で何とかします。なぎ君、ブリッツキャリバーの封印を解除して。私も戦うよ」

「は? できるわけないでしょ」

「ファンガイアに対抗する魔法を構築するんだよ。一緒に頑張ればきっとできると思うんだ。
それで王子はその後、仮面ライダーとして……正義の味方として王になってください。あなたは」


分かっていない夏みかんとギンガさんは、ちょっと首根っこを掴(つか)んで引っ張る。


「「ぐぇ!」」

「ワタル王子ー、ちょーっと待っていてくださいねー。師匠、お願いします」

「……心置きなく叱りつけなさい」


そう一言断り、キッチンへ。そのまま解放すると、二人は不満げに詰め寄ってきた……なのでデコピン。


「「いたぁ!」」


◆◆◆◆◆


乗り込んだ城の中……まぁ誰も彼も見事に、新しい王についてくれたよ。コイツらには自主性がないらしい。

次々ファンガイア化して、襲ってきた従者達。女も、男も関係なく……その全てを壁に埋め込む。

そして玉座の間へ続く大階段を上がり、玉座の間を蹴り破る。


中にいたのは、ユウスケや王子から確認した通り……ビートルファンガイアか、テレビでは出ていないね。


「人間一匹……何しに来た」

「お前の掟(おきて)が気に食わないんで、ぶっ潰しにきた。……しかしこの城にいる奴らは情けないねぇ。
つい昨日まで共存だって走り回っていたのに、王が切り替わった途端にコレだ」

≪どうやらあなたを玉座から下ろさないと、どうにもならないようですね≫

「玉座になど興味がない」

「だったら自分から降りてくれない? 正直、今更出てこられると……非常に迷惑だわ」


そんな僕の挑発も軽く流しつつビートルファンガイアは、不敵に仁王立ち。


「そうはいかん。掟(おきて)を忘れさせるためには、玉座が必要だ。……人とファンガイアは、共に生きることなどできない。
城の奴らが情けない? それはファンガイアだからだ。ファンガイアは人の命を奪い、人はファンガイアを恐れる」


ヴァイオリンを仕舞(しま)い、右手をスナップ。……するとビートルファンガイアは、巨体に似合わない俊敏さでこちらに踏み込む。


「そこには殺し合いしかない!」


◆◆◆◆◆


「変身」


そして王はキバットをベルトに装着。銀と赤に彩られた、王の鎧を身にまとう。なので僕も……さっとイクサベルトを取り出し腰に装着。

更にイクサナックルを取り出し、その電気接点【マルチエレクトロターミナル】に左手を当てる。

武器として使用する場合は、瞬間電圧五億ボルトを発生させる……でも、変身時にはちょっと違う。


手の平に当てることで、その適合を瞬時に解析。変身準備を整えてくれる。


≪レ・デ・ィ≫

「――変身!」


イクサナックルをベルトにセット。


≪フ・ィ・ス・ト・オ・ン≫


ベルト左側の赤い宝玉【イクサジェネレーター】が輝き、そこから金色の十時が飛び出す。

回転しながら広がるそれは、一秒も経(た)たずにイクサスーツに変形。そのまま僕の体に重なり、装着される。

……そうして改めて……名護さんが託してくれた意思を、I.X.A.という心を受け継ぐ。


「それは」

「この世界の『掟(おきて)』を信じている人から受け継いだ、心だ。……アンタは、僕が止める」


殺すだけなら、実際のところ楽だった。物質分解で皆殺しにすればいい。

ファンガイアには科学が通用する……もちろん、ブレイクハウトも。でもそれじゃあ意味がない。


「ワタルと、アンタを戦わせない。そんなことをすれば、アイツは引き返せなくなる」

「邪魔をするな」

「……まだ分からないの?」


奴らには悔い改め、罪を償ってもらう。ぶっちゃけAMFも好都合だった。


「アンタのお節介は、アイツの未来を奪うって言ってるんだよ――!」


さぁ、まずはキバットを取り戻そうか。奴と同じタイミングで踏み込み……右拳を振るう。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


古鉄≪というわけで、キバの世界はラスト。ただしこちらは一話だけで、あとの番外編はOOO・Remixとなっております≫

恭文「……校正が大変だった。単語を登録、登録、登録、登録……がぁぁぁぁぁぁぁ!」


(そしてイクサが本領発揮……蒼い古き鉄、こういうアイテム系を使わせると凄く強いです。
本日のED:TETRA-FANG『Individual-System』)




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