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作者でも分かるとまと同人誌情報コーナー
幕間第36巻経過報告:01(サンプルあり)(2015/8/4)



古鉄≪というわけで幕間第三十六巻……というか、ISクロスパイロット版サンプルです≫

あむ「あー、うん。そっちも今集中してるんだっけ」

古鉄≪今回は原作一巻終盤が範囲です。もう分かりますね、あのお話です≫

恭文「そしてやっぱり戦闘シーン関連はほぼ書き直し……ドラゴンハングェー!」


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


あれは二月の真ん中――冬の寒さに震えながら、受験会場に向かっていた。それも、四駅離れた試験会場にだ。

志望校は自宅から一番近く、学力そこそこ、学園祭も毎年ある私立藍越(あいえつ)学園。

だがその日は猛烈に寒かった。てーか一番近い学校なのに、四駅離れてってのがもう、あり得なかった。


だが音を上げるわけにはいかない……藍越学園は私立なのに学費も格段に安いという、姉弟二人家族には優しい学校。

しかも藍越学園の卒業生、その九割が学園法人の関連企業に就職する。卒業後の進路まできっちりフォローしてくれるのはありがたい。

その上どれもこれも優良企業で、地域密着型。いきなり僻地に飛ばされる心配もない……あぁ、それがオレの道筋だった。


「いつまでも……千冬姉の世話になるわけにも、いかないしなぁ」


両親はいない家庭だ。その分千冬姉がオレを育てて、学校にも通わせてくれた。

それもISの普及やら、デジモンの出現やらで大変な中だ。

それで千冬姉は現在どんな仕事をしているかもさっぱりだが、稼ぎはかなりのもの。貧乏というわけでもない。


だけど心苦しさはあった。オレはなにもできないガキで、なんの力もない子どもで……早く大人になりたかった。

だから本当は中学を出て、すぐに就職するつもりだった。だがそれは千冬姉の鉄拳制裁で止められる。


だが私立藍越学園ならば、就職までのエスカレーターに乗るも同然。

千冬姉に楽をさせてあげる事だってできる。なにもできない、なんの力もない、無力な子どもではなくなるんだ。


◆◆◆◆◆


「……ここ、どこだ」


多目的ホールなせいか、無駄に広い。そして無駄に作りが分かりにくい。地図もないような薄暗い廊下へ入り込み、焦りが募る。

大丈夫、時間はまだ大丈夫なんだ。あとは会場にさえつけば……紫色の照明で目がチカチカしながらも、緩みそうな思考を首振りで整える。

というか、照明が紫色って。ムーディーとか必要な場じゃないだろ。軽くいら立ちながらも曲がり角を左へ。


すると【テスト会場】と書かれた立て札を発見。おぉおぉ、ここだここ。ホッとして、ムーディーな照明も気にならないうちに部屋へ入る。

……するとオレが想像していたような会場じゃなかった。机や黒板などはなく、試験官もいない。
薄暗い部屋の中央には、ISが置いてあった。名前は分からない……ただ、ISという事だけは分かる。

とにかく中へ入り、人を探す。だがやっぱり人の気配はなくて……そこでまた、目がチカチカし出す。


寒暖差で体調でも悪くなっているのか? 右手を目をこするが、自然と……本当に自然と、なにかに押されるが如くISへ手を伸ばし、触れた。

そう、触れただけだ。オレは男……ISなんて動かせない。なのに【それ】は、甲高い金属音を放つ。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


恭文「というわけでまずはHP版との変更点。原作再起動版を参考に、HP版だと口での説明だけに留まったISとの出会いシーンを追加です」

あむ「……恭文、この就職話ってアニメだと」

恭文「出てないね。尺の犠牲者だよ」


(尺は大事です)


恭文「そう、尺は大事だ。HP版とはいろいろ変わったおかげで、この辺りもサクサク進みます」


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


「お前達、なぜ私と一夏の邪魔をする!」


ISに乗った箒は、自分の横にいるISスーツ姿の八神とセシリアを不愉快そうに見る。

あぁ、邪魔したな。いつものように斬り合い殴り合いをしていると、いきなり乱入してきたし。


「当たり前でしょうが、タコが。てーか……あれはなに!? あの『ズバーンとやれ』とか『ザシュっと引け』とか!」

「本当ですわ! あんな教え方は初めて見ました! 擬音だらけでさっぱりではありませんか!
先日織斑さんの言っている事が微妙だと思っていたら、こういう事でしたのね!」

「うるさい! 私と一夏はあれでいいんだ! 現に一夏は私の言いたい事をちゃんと分かってくれている!」


箒が髪を揺らし、『そうだろう』とこちらを見る。ただオレはその……ごめん、目を逸らした。


「目を逸らすな!」


いや、だってアレはさっぱり過ぎて……!


「すまん……擬音が多過ぎて、なにを言いたいか分からないんだよ!」

「……そうだな。お前はまだまだ未熟だ。しかし少しずつ積み重ねれば」

「篠ノ之さん、あれは織斑さんの白痴とは関係なく……分かりにくいですわ」

「え?」

「分かりにくい、ですわ」


セシリアが頬を引きつらせつつ断言すると、箒は顔が真っ青。そして震えながら、両手と両膝を地面についた。


「馬鹿な……普通、分かるだろ! ザシュっとか、バシューンで!」

「分かりませんわ! ちゃんと角度から細かく指示しないでどうしますの!
先ほどのターンなら急制動時のPICバランスは三二〇程度が適切で、更に腕を横三十四度ほどに広げ」

「セシリア、おのれは逆に細かすぎる」

「え?」

「細かすぎて、分かりにくい」


今度は……セシリアかよ! 八神のツッコミが相当ショックだったのか、箒と同じようにヘコんだ。


「そん、な。理路整然としているのに……どうして」

「まぁあれだよ……セシリアはまず、知識・経験量から織斑一夏がついていけない。軍隊式の細かい教導は無理だって」

「ぐ、軍隊ってのはそんな細かく指示するのか……!」

「人によりけりですけど、わたくしはこちらの方が分かりやすかったので」

「ただ挨拶関係はこういうノリでやられるそうだよ? そりゃあもうお辞儀の角度から足の揃え方までびっちり」

「すんませんっしたぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」


◆◆◆◆◆


「失礼するよー。てーかおのれらうるさい。廊下の外まで聴こえてるし」


そう言いながら全員でぞろぞろと入っていくと、中にはこの部屋の住人二人とリンがいた。


「あ、八神悪……ヒメラモン達まで連れてどうしたんだよ」

「セシリアにお茶に誘われてな。で……リン、どうしたんだ」

「ヒメラモンも心配そうにしなくていいから。てゆうかごめんね、みんな。
もうお茶は行っちゃっていいから。すぐに篠ノ之さんが部屋を替わってくれるし」


やたらとは明るいリンと篠ノ之箒を見ただけで、これがどういう事態なのかを理解した。

てーか介入しなきゃ良かったって思った。でもリン……あぁ、そうだよね。そういう反応になるよね。

でもね……おのれは中国の代表候補生でしょうが! ハニトラ問題も絡む中、部屋を替われなんて大問題だよ!


「誰が替わるか! これは私と一夏の問題だ! というか貴様……そうか、一夏を色仕掛けで取り込むつもりだな! そうなのだろう!」

「いやいや、そんな事しないし。……ただ、篠ノ之さんが苦労しているの、見てられなくて」


そしてリンは大嘘憑きだ。ハニトラが絡まなくても、織斑一夏にアピールするつもりでしょうが。

それでもリンは涙ながらにハンカチを取り出し、目元を拭いながら嘯く。


「つまりこれはあれなの……同じ幼なじみなあたしも混じれば、篠ノ之さんへのダメージが少しでも少なくなるんじゃないかって」

「余計なお世話だぁ! というか泣くな! ツッコみ辛いだろうが! 現状が悲しみでいっぱいだろうが! 一夏ぁ!」

「オレに振るなよ」

「……せんせー、この男最低ですー。修羅場なのに男として何一つしようとしませんー」

「八神!? おい、やめてくれよ! オレは悪くないと思うぞ! わりとマジで!」


そんなはずはないので鼻で笑うと、織斑一夏はタジタジ。さぁさぁ、苦しむといい……僕はわりと多いよ!? こういう状況!

今頭上にいるタマモとかがもう、ヤキモチやきだしさ! 毎日コミュニケーションじゃ足りないって事なのかな!


◆◆◆◆◆


「まぁさ、正直ガチにやり合ったら、勝てるわけないのは分かるの。……絶対勝てない仮想敵の一員でもあるしさ。でも」


リンは十字に背負っている青龍刀の柄を掴み、両手で引き抜いて右に振りかぶる。


「これなら話は別よ。あたしだって生半可な気持ちで、ISに乗ってないんだ。だから譲らない」

「……リン、おのれそうやってまた敗北フラグを積み重ねる」

「うっさい馬鹿!」


僕達はそこで言葉を交わすのを止め、数瞬にらみ合う。そして右から優しい風が吹き抜けた。

その瞬間僕達はそれぞれ加速して、互いに右薙の斬撃を打ち込んで斬り抜ける。そう、斬撃だよ。

僕も古風刃・壱を抜刀し、そのまま打ち込んだ。刃の接触箇所を始点として、火花と衝撃が弾ける。


そんな中振り返ると、早速ドラゴンハングが飛び出してくる。蛇腹型のアームがどこまでも展開し、想定以上の速度で進む。

機械竜の口が開く中、右に飛ぶとドラゴンハングが方向転換。そのまま交代する僕を追い回してくる。

蛇腹の展開距離は十メートル、二十メートルとどんどん長くなり、最終的に五十メートルほど展開。


壁際へ追い詰められ、背にした上で……ドラゴンハングを引きつけつつ疾駆。錐揉み回転しつつハングをすれすれにかわしながら。


「飛天御剣流」


そのまま古風刃・壱で、回転しながらの逆風一閃。


「龍巻閃・旋もどき!」


しかし刃は虚空を切る。アームが一気にたわみ、斬撃をすれすれで回避。ほう……長く展開すれば、操作が甘くなるものだと思ったけど。

そのまま回転しながら方向転換、こちらへ振り返り、ハングから放たれた火炎放射を斬撃で切り払いつつ着地。

すると背後から殺気――リンは蛇腹を引き戻しつつ、こちらへ急降下。左の双天牙月を回転しながら投てき。


それを振り返りつつの斬撃で払うと、リンは急加速。跳ね返ってきた牙月も回収し、二刀を唐竹に打ち込んでくる。

すかさず後ろに飛び、蛇腹の包囲網から退避しつつ宙返り。そう、包囲網だよ。あれで防御したら、一気に蛇腹で縛り付けるつもりでしょ。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


あむ「マジでドラゴンハングだし!」

恭文「はい、ドラゴンハングです。ただ既存の甲龍は崩さないように……ようはあれだよ。
同人版はEW版なんだよ。同人版に出てくるのはアーリーモデルなんだよ。StrikerSでカスタムなんだよ」

あむ「そういう解釈でOK!?」


(じゃないと大胆改革とか無理そうで……そう、目指すはトールギスF)


恭文「もちろんバトルはどんどん盛り上がり……奴らが登場」


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


空を駆ける、二機の専用機。その動きは一年とは思えないほど高レベル……特にあの子、八神恭文は凄いわね。

空中機動、空間把握能力、その全てがIS初心者とは思えない。単純に男というだけでなく、その戦闘技能の高さで見るものを魅了していた。

なんというか、まるで踊っているみたいなのよね。回転動作が若干多い感じだけど、エクストリームマーシャルアーツ?


戦闘中に音楽を鳴らすなんて、非常識な子だからかしら。でも戦う姿が絵になる子でもあると思う。

でも同時にこうも思う。あの子にこの学園は、狭すぎるのではないかとも。実際本人はそう思っているらしい。

それはそれで生徒会長として腹立たしくもあるけど、しょうがない部分もあるとは認識している。


だって……女子校に男二人で放り込まれ、そのうち一人はここがどれだけワールドワイドかも理解しないまま暴走。

実質一人と一人のスクールライフになっているわけで。しかもISが動かせるからと色目を使う者も多数。

まさしく放り込まれた珍獣同然の扱いで、政府もその価値に目が眩んでミスしまくり。


近いうち、本当にあの子は学園から出ていけると思う。まぁ一年が粒ぞろいなのは……約一名を除いて安心したわ。

……初っぱなからゴタゴタしたし、不安ではあったのよ。生徒会長としてはどうしたものかと思ってたから、そこは安心。


◆◆◆◆◆


急停止した上で、跳ねるように後退。リンも僕の声で察したのか、慌てて後ろへと飛び退く。

すると黄色の奔流が突如頭上から降り注ぎ、僕達の激突予定地を撃ち抜く。そして地面を、土を派手に吹き飛ばす爆煙が生まれた。


”な……!”

”なにぃ!”


それから三十メートルほど離れ、回転しながら着地。……突如生まれた気配、それも二つ……自然と空を見上げていた。


「リン、聴こえる!? リン!」

『大丈夫、かすりもしてないわ! それより教官、上!』

「分かってる!」


するとアリーナの高度二百五十メートルほどに、青白いガラスらしきものが現れていた。

ただしそれはひび割れ、今にも砕けようとしている。あれはアリーナを守る安全装置(バリア)だよ。

ふだんは不可視状態だけど、ISの能力が半端ないからね。そう、あれは外へ迷惑をかけないための『檻』とも言える。


だから強度だってそれなりなのに、そいつを外からぶち破った。つまり……そして穴から赤青の影が走る。

それは爆煙を払い、アリーナの中央に着地。より巨大な衝撃をもたらし、フィールド全体にひび割れを作る。


”主様、緊急事態なの! 外からの攻撃なの!”

”うん、見れば分かる。てーかあれは”

”というかあれ……そんな、どういう事ですか”


そして奴らは、クレーターから静かに浮かび上がった。長く太い両腕、ゴリラやオランウータンを思わせる風貌。

パイプラインがところどころ走っており、全身装甲は共通。問題はその武装……青は超長なキャノンと円盤型ジェネレーターを背負う。

赤は右手に砲口付きのシールドを、左手にビームガンを持ち、背中には円盤型の防御ユニット【プラネットディフェンサー】。


あの顔を覆うマスク部分、薄紫と緑の長方形ゴーグル……見覚えがありすぎて、寒気がした。


”ヴァイエイトとメリクリウスじゃないのさ! 新機動戦記ガンダムW、中盤で登場したエース機体!”

”それだけじゃありません。今軽くサーチしたら、あれ……人の反応がないんです”

”無人なの! 主様、あれ完全な無人機なの!”

”はぁ!?”


慌てて気配察知、気配……おかしい、本当にガジェットみたいな機械兵器なら、そうだと分かるのに。

でもコイツからはなんでか人の気配を、生命の息吹を感じる。なので疾風古鉄のサーチも試す。

プログラムへの【理解】で、サーチ過程を感覚的に捉える。すると確かに……無人だ。


あのISには、青(ヴァイエイト)と赤(メリクリウス)には、人なんていなかった。


”本当、だねぇ……でも、なんで。生きものの気配がするんだけど”

”あなたの超直感でですか? この場合私達のサーチ結果が間違っているか”

”無人だけど、そういう気配のするなにか……!”
『八神、凰、試合は中止だ! すぐピットに戻れ!』


織斑先生の声を合図に、メリクリウスが跳躍。そしてヴァイエイトが円盤型のジェネレーターを展開し、エネルギーチャージ。

そうしてすぐに先ほどと同じ、高出力砲撃をこちらへ放ちながら回転……やばいと思い、左手で古風刃・弐も取り出す。

リンがメリクリウスと同様に上昇・回避する中、二刀で迫る砲撃に向かってバツの字切り。


接触した瞬間、砲撃の固有振動数も瞬間計測し、力の奔流をなんとか斬り裂く。そして爆発が起きた。

エネルギーの残滓はシールドをかすめながらも飛び散り、後方や左右と様々な方向……客席へと直撃する。

ただ客席にもシールドが展開していたため、残滓は防がれ、観客達へ飛ぶ事もなかった。


それに安堵しながら僕も吹き飛ぶ……くそ、まだ超振動ブレードの扱いに慣れてないって事か! ちゃんと斬れなかった!


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


あむ「……マジでヴァイエイトとメリクリウスだし!」

恭文「結果バトルシーンは以下略な形に」

あむ「だよねー」


(しかし絶対防御のあるISにプラネットディフェンサー……まぁいいかー。
本日のED:新機動戦記ガンダムWのBGM『思春期を殺した少年の翼』)






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