作者でも分かるとまと同人誌情報コーナー
とある魔導師と彼女達の崩壊 第2巻経過報告:01(サンプルあり)(2015/7/2)
古鉄≪というわけで続けていきます、ティアナさん脱走・六課崩壊ルートです。
崩壊と言いつつわりと原作StSの流れに沿って進んでいきますが≫
恭文「ただ前巻では事件が進まなかったからなぁ。今回はバシバシ進行していくよー。そしてマダマ逮捕だ」
あむ「早すぎじゃん! ていうかその流れはStS・Remixでやったじゃん!」
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
数日後――うちは本局へ。ちょうど停留しとったクラウディアへ乗り込み、転移ポートから降りると。
「よくきたな、はやて」
「はーやて」
クロノ君とロッサが出迎えてくれた。一応許可を取った上やから、そっからすぐきてくれたらしい。
「クロノ君、おじゃまします。……って、なんでロッサが」
「今朝の件、カリムが心配してね。まぁ小間使いってところだよ」
「目的は君と同じという事だ。だがすまない、僕の対処が遅れてしまったから」
「それはえぇよ。その分いろいろ手を回してくれていたようやし……かなり助かったわ、ありがとう」
そうお礼を言いつつ、応接室に通される。それでロッサが持ってきたっていうショートケーキと紅茶を頂く。
ロッサ、お菓子作りが趣味でなぁ。一種のストレス解消らしいんやけど、これがいっつも見事なお味で。
今日のもバッチリやった。いちごの甘酸っぱさと生クリームの濃厚さ、それを中和するが如きスポンジの柔らかな食感。
スポンジもほんのり甘さがついていて、それが二つの味を繋ぐというか、引き立てるというか。
そして紅茶も一緒にいただくと、口の中が甘ったるくならん。……恐ろしいほど完璧や。
「それで、部隊の方は」
「まぁ方針はビシっと打ち出したし、なんとかな。中央本部や本局、マスコミからも問い合わせがきたけど、そっちも同じくや。
あくまでもリンディ提督の勝手な判断で、現場は大迷惑しとる。『問題の部隊員』についても復職できるよう全力を尽くすってな」
「現段階で確定できないのが辛いところだよね。でも新しくきたっていう子達は」
「まぁそっちは……ロッサ」
「大丈夫、通信網は今も監視中。不審な動きはないよ。念のため記録もシャットアウトしてる」
それは安心。クロノ君は承知済みだったらしく、『その通り』と頷いてきた。
「そっちも大丈夫や。ただ……ロッサ、あの子達の身元調査をお願いしたいんやけど」
「やっぱり監視役として疑ってるの?」
「まぁな。頼めるかな」
「いいよ、リンディ提督もいまだ健在だし、ちょっと時間はかかるかもしれないけど」
「ありがと。それでクロノ君、『提督達』は」
「君も知っての通り、あの方達については非公式……この件を問題視してはおられるが、いきなり介入というのは難しい」
やっぱりかー。まぁそうやな、非公式の……方々やし。でも問題視してくれているってのは実にありがたいわ。
◆◆◆◆◆
十一時方向からの斬撃を伏せて避ける。差し込む太陽の光よりも速く、そう感じさせるほどの赤い閃光。
ディードの逆袈裟一閃を回避すると、続けて右刃での右薙一閃。
下がって回避したところで左刃の刺突。それも左スウェーで避け、左右交互に袈裟・刺突・左薙・右切上と襲う斬撃を避けながらバックステップ。
正確だねぇ。でも……それだけじゃ勝てないと、急停止し反時計回りに回転。その直後、ディードが地面を踏み締め疾駆。
刃と同じ色の輝きに包まれ、僕の背後へ回った。でもディードの眼前に僕はいない。
……動きを予測し、既にディードの右サイドを取っている。そのまま右回し蹴りでディードの背中を蹴り飛ばし、木々の合間へと吹き飛ばす。
機械的に正確かつ素早い反応。しかしそれゆえに読みやすい。基礎から応用へ至る先、それを手探りで探しているところか。
自分にも覚えがあり、再び突撃してきたディードに笑いかける。ただしそれは微笑みではなく、敵意むき出しの威嚇行動。
それでもディードは乱撃を放ち、僕はそれを避け続ける。肌すれすれをかすめる刃の圧力、それを楽しみながら更に笑う。
斬撃一つが突き抜けるたび、空気が振るえる。作られた森の風景が歪み、ディードの闘気が風のように世界を染め上げる。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
あむ「ディードさんと戦ってる!? ……ディードさん、そっかぁ」
恭文「こっちだとあの流れだしね。でもディード、かわいいよディード。Vivid編では主役でいいんじゃないかな」
あむ「ヴィヴィオちゃんはどうした!?」
恭文「だって出番が増えるし」
あむ「だからアンタはディードさんを可愛がりすぎだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
(蒼い古き鉄、妹分をとっても大事にしているようです)
恭文「そして今回はあのお話に入ります。そう、休日とか言いながら休日じゃないあのお話に」
あむ「……アンタが言うと皮肉ってレベルじゃないよね。そんな感じの事が積み重なってるじゃん」
恭文「おのれもね」
あむ「あたし!? あたしは……あたし、は」
古鉄≪……×たまやらなぞたまに、休日遭遇して浄化ーってパターンを思い出したようですね。フリーズしてますよ≫
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
今日の休日、エリオとキャロは二人で遊びにいくと決めた。分隊メンバーとして、しっかり交流するんだって。
なので久々に私服となり、まずエリオは白のハーフジャケットとパンツ、赤シャツという姿。
でも着こなしはビシッとしていて、ちょっとカッコいい感じ。……まだ子どものおしゃれだけど、すぐ大人になるんだろうなぁ。
それでああいうホテルに泊まったりして……え、ホテル?
「だ、駄目だよエリオ! エリオにはまだ早いよ! それにキャロも子どもで……まずはその、避妊だよ!」
「なんの話ですか!? フェイトさん、落ち着いてください!」
「ふぇ……! と、とにかくハンカチは持った?」
「はい」
「IDカードとお金は……あ、お金は必要だよね。じゃあ私のクレジットカードを使っていいから。暗証番号は」
「それは大人として駄目じゃありませんか!? フェイトさん、もう一度言いますね!
落ち着いてください……僕、もうお給料はもらってますからー!」
「でも、なにかあったら不安だし」
そこで後頭部に打撃音……というか派手に叩かれた。痛みに呻きながら振り返ると、はやてがハリセンを持って立っていた。
「ふぇ!? は、はやてー!」
「あんた馬鹿やろ! いくら身内やからってクレジットカードを渡すって! ……それに比べてエリオは偉いなぁ。
女の子と遊び行くのに、自分のお金を使おうとするなんて。その純粋な気持ちはちゃんと持っておこうなー」
「は、はい。え、それって普通の事じゃ」
「その普通がちゃんとできる、それも大事って事よ。フェイトちゃん、見習おうか」
「どうして私が駄目って事になってるのー!?」
「駄目やろうが! アンタ、今までの発言を振り替えれ!」
「そうですよフェイトさん……その、クレジットカードはさすがに」
エリオにも呆れられてる!? ど、どうしてー! 私、ドジはしてないのに! 今日はドジなんてしてないのにー!
◆◆◆◆◆
「恭文、アイス美味しいっスねー!」
「……うん、そうだね」
「むー、こんな美人を侍らせておいて、その生返事はないっスよ。浮き名を流しまくってるんっスから、ちゃんとリードほしいっスー」
「いや……おみやげ、ちゃんとしないと怖いなって」
首都クラナガンにて、武井仁三姉妹と一緒にアイスを食べていました。帰ろうとしたら引っ張られて、そのまま。
あぁ、歌唄が……歌唄の頭に角がー。ラブホテルに泊まったりしたのに、全く効果がないってー。
「で、どうなんっスかー? フェイト隊長やシャマル先生、あとスバルのお姉さんともイケイケドンドンっスよねー」
「そうだねぇ……ウェンディもお泊りすれば分かると思うな」
「また大胆っスねー、いきなりお誘いとは」
「あのホテルのカツ丼、毎日食べたくなるくらい美味しいんだ」
「カツ丼ー!? ちょ、そこじゃない! ホテルにお泊まりって別の目的が」
「ない!」
「言い切ったっスよ、この馬鹿!」
馬鹿とは失礼な。いや、ホントに美味しかったのよ。洒落じゃないくらいに美味しくて……やばい、アイスを食べながらついよだれが。
「そうだな、あそこのカツ丼は美味しかった。というわけでまた行こう、恭文」
「……お姉様はあそこを食事処かなにかと勘違いしていませんか?」
「食事処だろ、いろんな意味で。なぁ恭文」
「僕に聞かないで……! いやね、僕も分かってるんだよ。なんか楽しみ方が違うだろうなーって。
でも、みんな……あのカツ丼に魅了されて。なんかね、毎日食べたいって言うの。毎日カツ丼が欲しいって言うの。おかしくない?」
「……ある意味NTRっスね」
「しょうがないんで再現しようと試みて……でもそうすると、僕も通う必要が出てきて」
「とんだ金の無駄遣いっスよ! ていうか恭文まで魅了されてるっスよね! よだれよだれー!」
おっといけない。よだれをさっと拭い、そんな現状だと笑って手を振る。するとウェンディは疲れた様子でため息。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
あむ「……アンタはなにをやってる!」
(げし!)
恭文「ソウルバースト!?」
あむ「ば、ばばば……馬鹿じゃん! カツ丼のためって、馬鹿じゃん! 変態じゃん!」
恭文「あ、あむ……それが、そうでもないのよ。女子会とかで、レジャーホテルを利用する層もいて……ホテルも、対応プランを出していて」
あむ「だからってこれはないじゃん! マジ変態だし! マジあり得ないし!」
(現・魔法少女、怪獣なように見えて実は純真です)
あむ「誰が怪獣だって!?」
恭文「そんな怪獣あむはともかく」
あむ「アンタが言うなぁ! アンタが馬鹿な事ばっかりするからじゃん!」
(げしげし!)
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
フェイトちゃんのアホに説教し、恭文にも一言言ってもらうようお願い。でもおかしいなぁ、これは部隊長の仕事やろうか。
ちょっと悲しくなりながらも、部隊長室でのんびりコーヒーを飲んでいた。すると突然キャロからの全体通信。
『――こちらライトニング04! 緊急事態につき、現場状況を報告します!
サードアベニューF23の路地裏にて、レリックと思しきケースを発見!』
……サードアベニューの路地裏!? しかもその住所やと、繁華街のど真ん中やないか! ついコーヒーを噴き出しかけるもなんとか留まり。
『ケースを持っていたらしい、六歳前後の女の子が一人! 女の子は意識不明です!』
でもキャロの追撃でたまらず噴き出してまう。女の子……慌てて画面を確認すると、確かにエリオがそれらしい子を抱いていた。
「女の子ぉ!?」
『はい! 指示をお願いします!』
「……なのはちゃん!」
『スバル、ウェンディ、ディード、オットー……それに恭文君もごめん! お休みは中断!』
『……え、僕も!? ちょっと、それは困るんだけど!』
いや、アンタは確かに部隊員やないけど……いや、ちょお待ってよ。アイツの画面、なんかおかしくないか?
チンピラ十数人がアイツに襲いかかってきて、返り討ちにあってるんやけど。それもめちゃくちゃボコボコよ。
体のどこかがひしゃげ、痛みに呻く暇もなく急所が潰される。そうしてあっという間に血の海になりそうな屍がゴロゴロと。
『恭文君はなにしてるの!?』
『いや、カツアゲに遭ったので去勢手術を施したら、仲間が襲ってきて。
なので僕、これからコイツらの根城を焼き払わなきゃいけないのよ』
『それは文明人のやる事じゃないー! 焼き払うってなに! 戦国時代と勘違いしてないかな!?』
◆◆◆◆◆
一体どうしてこうなった……! ただレリックが見つかるだけならともかく、町中とは。
はやても困惑しているだろうが、僕達も空いた口が全く塞がらない。まぁ幸いなのは、事故やガジェットが出る前に一つ確保できた事か。
「とにかく今見つかったレリックは、ちゃんと確保できているのよね。事故による爆発や、ガジェットが出る心配もない」
『キャロがちゃーんと封印処理をしてくれたからな。ただ問題はもう一個の方……しかもそれらを、小さな女の子が持っていたってのは。
とにかくガジェットや召喚師なりが出てきたら、市街地付近での戦闘になる。なるべく迅速に片付けなあかん』
「近隣の部隊にはもう」
『市街地と海岸線の部隊には連絡したよ。……奥の手も、出さなアカンかもしれん』
「そうならない事を祈るがな」
『あと』
まだなにかあるらしい。はやてはとても悲しげに、そして疲れ果てた顔で顔を背けた。
『恭文が、最悪ゾーンに入ってもうて』
「「え……!」」
『今、現場保持に協力してもらってるんやけど、なんか黒猫にめっちゃ横切られてるっぽくて。
……はぁ!? 路地裏で看板が落ちてきたやて! え、その後はなぜかラグビーボールが飛んできた!? どうなってんのよ!』
「本当にどうなってるんだ、アイツは……!」
「ど、どうしましょう! クロノ提督!」
最悪ゾーン――ふだんから運が底辺な恭文だが、数か月に一回のペースでより悪くなる時期がある。
それが最悪ゾーンだ。しかも本当に最悪だから、もう見るに耐えない。これで何度オーバーSに絡まれた事か。
◆◆◆◆◆
「スバルェ……やっぱりうるさいわ! もうちょっとサイレントで走れないわけ!?」
「えぇ! で、でもこういうものだし、それにその分全力全開! 目的地まで一直線!」
とか言うので蹴り飛ばして水路に叩き落としておく。おぉ、汚い汚い。
「スバルさんー!?」
「ちょ、恭文さん! 駄目ですよ、八つ当たりするならガジェットじゃないと!」
「キャロもなにか違う! ズレてるからね、それ!」
「あのねぇ、敵方に気づかれるでしょうが! てーか気づかれないよう近づいて、不意打ちとかできるでしょうが!
言っとくけどガジェットの反応どうこうじゃないからね!? そこも想定してないのがおかしいって言ってるの!」
「なるほど……それは一理あるっスね。スバル、その言い方じゃあ間違いなく……あ、近づかないでくださいっス。私、これでも奇麗好きなんで」
「ウ、ウェンディまでヒドいよー! おっぱいを揉み合った仲なのに!」
「それはそれ、これはこれっスよ。……あぁ、でもいいっスよねー。特にフェイト隊長のおっぱいはもう、大きさ柔らかさともに極上で」
なにやってんの、おのれら! てーかフェイトの……なのでウェンディにアイアンクローをかまし、こっちに向かせる。
「ウェンディ、溺れてみる?」
「ここに!? ここにって事っスか! いや、待ってっス! これは女の子同士のコミュニケーションっス! 合意の上っス!」
「嘘をつけぇ! はやてにもやられてた事があるけど、フェイトは一度足りとも合意した事がないんですけど!?」
「……部隊長までなんなんですか」
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
恭文「揉み魔だけどなにか?」
あむ「なん、だよねぇ。最近あたしとか、りまとややにも手を出すように」
(『みんなの成長促進や』)
恭文「奴には一度、同姓にもセクハラが適応されると教えた方がいいね。そして進んでいく事件の中、現れる新キャラ達」
◆◆◆◆◆
なぎ君、また容赦なし……左腕が完全に吹き飛んでるんだけど! というかお腹に大穴ー!
でもこの虫は……あ、資料で見た召喚獣! ホテル・アグスタの駐車場で、なぎ君を襲ったやつだよね!
つまりこの周囲に……! ダークヒーローもどきはしっかり確保しつつ、周辺を警戒。
「なにこれ……! ねぇ待って! やっぱりこんなの間違ってるよ! どうして普通に魔法を使わないの!?」
「スバル、落ち着いて! 周辺に召喚師がいる! キャロ、反応は!」
「今のところありま……待ってください! 恭文さん!」
……そこでなぎ君が大きく後ろに跳躍。すると突如現れた赤髪の女性が、右手で持ったサーベルを振り下ろしていた。
転送魔法で増援を送ってきた!? でもなぎ君の反応速度は尋常じゃないレベル。あっさりと攻撃範囲外に退避していた。
斬撃は地面を穿ち、それが巨大な破砕を呼び起こす。一瞬で十メートルほどのクレーターが生まれた。
青い礼服っぽい服装に、眼帯……え、待って。あのウェーブ髪で長身な女性、どこかで見覚えが。
「な……!」
≪なんですか……どうして、あなたが≫
≪なのぉ!?≫
「このぉ!」
そこでスバルがなぎ君と入れ替わるように突撃。ウェーブ髪……赤いウェーブ髪……騎士っぽい出で立ちと風格。
ふわりと浮かび上がったその人に対し、スバルはウイングロードを展開。その上を走り、右拳を振りかぶって。
「リボルバー……!」
「馬鹿、やめろ!」
「シュゥゥゥゥゥゥゥト!」
不可視の衝撃波を放つ。でも、おかしいの。衝撃波が放たれる寸前で範囲外すれすれに退避。
そのまま左サイドに回り込もうとした、スバルの眼前に踊り出る。そうしてサーベルでの刺突。
スバルはもちろん、咄嗟に左手をかざしプロテクション展開……そこでまたおかしい事が起こる。
第三者視点で見ていたから気づけた。刃は刺突と言うには湾曲的なコースを描いていて、どう見ても大回り。
刃は発生したプロテクションの脇を掠め、そのままスバルの胸に突き刺さる。スバルは衝撃で吹き飛び、私達の脇に転がった。
「……スバル!」
「「スバルさん!」」
「しっかりするっス!」
ウェンディがボードを構え、スバルの前に出てガード。その上で様子を見てくれる。スバルは信じられない様子で呻き、ゲホゲホと血を吐き出した。
「く……今のはなんっスか!」
「……ディード、気づいてるね」
「えぇ。あの剣士、『防御魔法が展開する前に』その範囲を見抜いていた――!」
そうだ、そうとしか思えない。そうじゃなきゃあんな、防御魔法を避けるような軌道で放つはずもない。
リボルバーシュートを避けた時も、スバルの前に回り込んだ時だってそう。反応速度が速すぎるし、的確すぎる。でもこんなのって……!
◆◆◆◆◆
「くそぉ……卑怯だぞ、お前ら! いきなりバインドかけて、爆炎で焼き払うなんて! そんなの公僕のする事かよ!」
「ほんとヒドいよねぇ。みんな、反省しなよ。僕は止めたじゃないのさ」
『嘘をつくなぁぁぁぁぁぁぁ! というか全部お前(あなた)だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!』
「ゆる、さない……ガリューを、あんなに傷つけて」
「馬鹿だねぇ。撃っていいのは撃たれる覚悟のある奴だけ……正当防衛だよ、犯罪者」
笑って断言すると、なぜか全員ため息。ねぇみんな、それはやめてよ。正当防衛だったよね、紛れもなく正当防衛だったよね。
「ああもういいや。……で、馬鹿弟子はなに低周波治療器なんて取り出してんだ」
「尋問なら電気ショックが必要かと」
「それただの拷問じゃねぇか!」
「だから配慮して低周波治療器に」
「やめてやれよ! 地味ないやがらせ過ぎてツッコめねぇだろうが! えー、とにかくだ。お前達には黙秘権がある。
裁判や取り調べなどでの発言は、全て法廷で証拠として扱われる。嘘をついたってバレると面倒になるから、正直に話そう。で、名前は」
「ジェーン・ドゥ」
「ジェーン・ドゥ……奇麗な名前だな。てーか駄目だぞ、そんな奇麗な名前をつけてくれた、お前の親だって泣くだろうが」
師匠が純粋なので、肩をちょんちょんとツツく。それからさっと補足。
「師匠、違います。ジェーン・ドゥってのは『名無しの権兵衛』ですよ。身元不明な人や死体に、仮につけておく名前なんです」
「おぉそうなのか。つまり……おい! 正直に話そうって言っただろうが!」
「なぎ君、そうなの? 私は聞いた事が」
「ミッドじゃなくて、地球――アメリカで使われているものだしね。ちなみに男性だとジョン・ドゥで、各国にも似た表現はある」
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
あむ「恭文、これって……!」
恭文「謎の剣士、正体が何者かは本編で。そして書き下ろしはStS第四話以降を描いたものとなっています」
あむ「えっと、前巻の書き下ろしから続く感じだよね」
恭文「それでこのお話の第一話に続く感じかな。まだ途中だけど、どうぞー」
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
『隊員呼び出しです。スターズ分隊スバル・ナカジマ二等陸士、同じくティアナ・ランスター二等陸士。
ライトニング分隊エリオ・モンディアル三等陸士、同じくキャロ・ル・ルシエ三等陸士。十分後にロビーへ集合してください』
いきなり呼び出しかぁ。軽くキーボードを叩き、データ保存。空間モニターをぱぱっと閉じる。
なお隣のスバルはもたついているけど、いつもの事なので気にせずさっと立ち上がり……あぁ、キツいキツい。
「呼び出しなんて始めてだねー」
「そうであります」
「はいであります」
そしてちびっ子二人もささっと寄ってくるけど、やっぱり口調が……! 現時点で仲良くなれている感じが全くしない。
「ティア……大丈夫? 筋肉痛だよね」
「あ、うん。なんとか」
「あのランスター二士、よろしければ簡単な治療を」
「ヒーリングできるんだっけ。でも後でいいわ、十分だもの……ありがと」
「恐縮であります」
とにかくオフィスを出て、軽く肩を回す。……やっぱキツいわー。ちゃんと休んではいるつもりなんだけど。
「でも分かるなー。なのはさんの教導、相当ハードだもんねー」
「今までも結構鍛えていたつもりだったけど、あの指導を受けているとまだまだ甘かったんだなと思うわ」
「そうなのでありますか」
「訓練校より厳しいのは当然と考えていたでありますが」
ちびっ子がきょとんとしてる。でもしょうがないか。二人はここが初部隊だから、差が分かるわけもなく。
いや、ある意味救いなのかもしれない。これから先、機動六課よりキツい状況も早々ないだろうから。
「そういうエリオとキャロは平気かな」
「「はい!」」
「そっかそっかー。あ、じゃあエリオ、今度二人で組手やろうよ」
「はい、お願いしますナカジマ二士!」
「……ティアー!」
ひっつきそうになった馬鹿を蹴り飛ばし、みんなを先導して先を急ぐ。分かってるわよ!
やりにくいんでしょ!? なんとかしろって事よね! ああもう、ほんと面倒くさい!
◆◆◆◆◆
「じゃあ本日の早朝訓練、ラスト一本……みんな、まだ頑張れる?」
『はい!』
「シュートイベーションをやるよ。レイジングハート」
≪Accel Shoot≫
そうして展開される魔力弾は、憎らしいほどの数。ほんと、才能の差ってのはこういうところで言うのか。
なのでアンカーガンからワイヤーを射出。物質操作でこっそり忍び寄らせ……なおオプティックハイドで姿を消しています。
「私の攻撃から五分間、被弾なしで逃げ切るか。またはみんなが一発でも直撃させられるか」
「ではギブアップで」
「うんうん、無理な時はそういう判断も大事……ティアナー!? さっきー! ついさっき『はい』って言ったよね!」
「えぇ、言いましたよ。三人は」
「そうきますかー! でもギブアップはなしだよ! それじゃあスタート!」
スタートしたところで瞬間的にワイヤーを動かし、なのはさんの足に絡ませる。そのまま……強引に引き寄せ!
「え……にゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」
地面に引きずり倒してから、二十メートルほどの距離を全力疾走。マウントポジションを素早く取ってタコ殴り。打つべし……打つべし打つべし打つべし!
「ちょ、ティアー!? 号令ー! 号令前に攻撃仕掛けてる!」
「なに言ってんのよ! こんなボロボロで逃げ切れるわけがないでしょうが!」
「痛い痛いー! ティアナ、張り手はやめてー! ジャケット上からでも痛いから! それ以前にルール違反ー!」
「常在戦場!」
「これは訓練ー!」
◆◆◆◆◆
「じゃあ一旦寮でシャワーを浴びて、ロビーに集合だね」
『はい!』
そこで前方から黒い車が近づいてくる。徐行運転するそれは、黒いスポーツタイプ……結構高いやつじゃない、あれ。
それは私達の脇に止まると、天井部が量子変換されて消失。中からフェイトさんと八神部隊長が出てきた。
『フェイトさん!』
「うん」
「凄いー! これ、フェイト隊長の車だったんですか!」
「そうだよ。地上での移動手段なんだ」
こんな高級車を移動手段……ねぇ。やっぱりエリート執務官ともなると、収入から違うらしい。……ところで。
「……なのはさん、離れすぎてませんか」
「にゃにゃ!?」
なのはさんは車が近づいた途端、私達を置いて離脱。一気に二十メートルほど距離を取った。
更に不思議な踊りっぽい感じで構えまで取っている。でも動きがぎこちなくて、警戒の意図が全く伝わらない。
「あー、なのはちゃんはアレやな。フェイトちゃんが免許取得の時、教習所でやらかしたドジの数々に巻き込まれたから」
『ドジ!?』
「だって、教官が止める暇もないくらいに暴走するからー! S字カーブにもぐらがいるとか、踏切にもぐらのお父さんがいるとか!」
『暴走!? もぐら!?』
ちょ、フェイトさんは本当になにをやったのよ! ガチじゃない! ガチで近づきたくなさそうじゃない!
というか……怖! 私とスバル、エリキャロも揃って同じくらいに距離を取る。
「あ、あの時は練習してたから……待ってー! 大丈夫だよ!? 本当に大丈夫だよ!?
というかエリオとキャロは知ってるよね! 一緒に車、乗ったりしたよね!」
「「ごめんなさい……その、あの、ごめんなさい!」」
「謝らないでー!」
「あははははは……みんな、無事を祈っててな。実はうちもバリア全開なんよ」
「はやてまでー!」
フェイトさんは涙目だけど、やっぱり近づけない。その様子から更に傷つく悪循環……でもごめんなさい、命は惜しいんです。
◆◆◆◆◆
受付もきっちり通し、カリムの執務室に通される。カリムはまた穏やかに、でも忙しく仕事に励んでいた。
「カリムー、久しぶりやー」
「いらっしゃい、はやて」
……かと思うたら窓際のテーブルに着席し、うちらはお茶とお菓子を味わっていた。
なにを言うてるか分からんと思うけど、うちもよう分からん。分かるのはカリムがめっちゃ紅茶党という事だけや。
「というかごめんな。部隊始動してから挨拶もできんで」
「気にしないで。部隊の方が順調ならなによりよ」
「カリムのおかげや」
「ふふ……そういう事にしておくと、いろいろお願いもしやすいわね」
「なんや、今日会って話するんはお願い方面か?」
カリムのお願いならどんとこい……と言いたいところやけど、そうもいかんらしい。
温和やったカリムの顔がお仕事モードに切り替え。なにも言わずに空間モニターを展開した。
そうして遠隔操作でカーテンを閉じ、暗くなった部屋で更にモニター展開。……映ったのはガジェット。
ただし形状はこれまでの俵型おにぎりとちゃう。球体状のと三角形……いや、これはエイやろうか。
形は違うけど、色や顔面に相当する部位のデザインは変わらず。そやからすぐ分かったんやけど。
「これ、ガジェット……か? まさか新型」
「今までのI型以外に、新しいのが二種類。聖王教会の調査部から報告が上がったばかりよ。特にこの、丸いのは」
カリムは丸ガジェットをアップ。なお対比としてうちの写真が利用された。全身を写したものなんやけど、おかげで分かりやすい。
分かりやすいけど、なんやこれ。二メートル……ううん、それ以上はある。そこ思い出したんは、スバルとティアナの試験で出てきた新型スフィアやった。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
あむ「……なんかはっちゃけてる!」
恭文「さすがはティアナ、ウルトラの星を受け継いだだけの事はある」
あむ「それ以前の拍手じゃん!」
(きっとどこかでレオキックが飛びます)
恭文「でもレールウェイ、ティアナ視点だとやる事ないんだよなー。ダイジェストでいいんだよなー」
あむ「……そういやライトニングの二人がクローズアップされて、スバルさん達は目立ってないような」
恭文「うん。それが終わったら個人スキルの話をやって、ドラマCDのアレも……今回で終わるかな」
(なお予定は未定、どうなるかはさっぱりだったりします。
本日のED:結城めぐみ『YOU』)
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