作者でも分かるとまと同人誌情報コーナー
幕間第34巻経過報告:02(サンプルあり)(2015/7/2)
古鉄≪というわけで幕間第34巻、販売開始しております。ご購入いただいたみなさん、本当にありがとうございました≫
恭文「ありがとうございました。というわけでここからは書き下ろし分のサンプル版になります。まぁサクッといきましょう。……まずは」
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先日の会見で、とりあえず蒼凪君絡みのトラブルは終息……したのだろうか。まぁ目立った騒動は起きていないので、一応安心だ。
それで黒井社長がぶっ飛ばしたので、うちの事務所にも相応のダメージが入った。特に……訴訟はなぁ。
年端もいかない子どもに大迷惑をかけておいて、訴訟だなんて。実は彼のご両親からも海外から大抗議を受けた。というか。
「はい……はい! それについては先日ご説明した通り、私の勉強不足でして! ……いえ、決して言い訳ではありません!
そのような事はもう考えていませんので! いえ、考えなければ問題なしと言っているわけではなくてですね!」
現在も抗議の真っ最中だ。というか、社長の携帯に直接かかってきた。ここ、一応961プロ内なんだが。
今日はえっと……J&Fブラッカーズのメンバー初顔合わせなんだが。美希と貴音もそれはもう、勢いを殺された様子で。
「……訴える!? いや、待ってください! いや、本人への謝罪が未だにないのは、ご子息が留守にされているという事でしたので!
それにですね、そもそもネット配信に関してはご子息のアイディアでして、私の関するところでは……いえ、言い訳ではありません!
本当に違うんです! なのでどうか冷静に……もしもし! もしもしぃ!?」
電話は終わったらしい。まぁ、そうだよな。ご両親からしても、一人残した息子さんがこんな事になったら……それはなぁ。
社長は更なる責め苦を想像し、会議室の中突っ伏してしまう。
◆◆◆◆◆
「ブレイブデュエル――グランツ研究所総責任者である、グランツ・フローリアン博士が作り上げた体感型シミュレーションゲーム。
概要については……冬馬、勉強するように言ってあったな。答えてみろ」
「3Dアバターを作り、そのアバターを感覚的に動かして戦う……だったな。確かスキルなんかは魔法とされて、いろいろな種類がある。
だがおっさん、マジでこんな遊びを俺達にやれってのかよ。アイドル活動はどうすんだ」
「馬鹿者。その考えはお前がこき下ろした駄目プロデューサーと同じだぞ。
というわけでまずこれを見てもらおう。ブレイブデュエルとは関係ないが」
次に映しだされたのは、どこかのスタジアム内だった。観客達は熱狂しているが、その中心にあるのは……パソコンとゲーム画面だった。
その光景には驚くものがあった。観客達は並び立つプレイヤー、そのプレイングをまるで、プロスポーツ選手の活躍みたいに見ているんだ。
「黒井社長、これはもしや」
「そう、去年アメリカで開催された『Dota2』というゲームの大会だ。Dota2の大会はeスポーツの中でも大規模なものでな。
この観客達全て、トッププレイヤー同士の戦いを見にきているわけだ。……聞いているか? 無能高木と秋月プロデューサー」
「く、黒井ー!」
いちいち叩いていくスタイルですか、そうですかー! ……でもこれは凄い。いや、一応あの一件以来動画やネットニュースで勉強はしてたんだ。
でもこうして改めて見ていくと、本当に凄いなと……確かにこれは、ブレイブデュエルのeスポーツ化を夢見てもおかしくない。
「ちなみにこの大会、賞金総額は約十億円」
「じゅ……十億円だと! おいおい、テレビゲームの大会なんだよな! なんでそんな金が動くんだよ!」
「冬馬くん、遅れてるー。クロちゃんもちょっと触れてたじゃん。eスポーツは今や世界的大流行で」
「なん、だよなぁ。というか黒井社長、eスポーツから離れるけど、ゲームでプロ化って流れは別におかしくないんだよな。
自分もちょっと勉強したけど、マジック・ザ・ギャザリングとか」
「その通りだ。プロというところからも離れると、あの遊戯王も毎年世界大会が開かれるレベル。
……ブレイブデュエルはそんなゲームの中では画期的で、しっかり育てていけば確実に世界規模のコンテンツとなるだろう。
関係者もそこを見据えているのは間違いないからな。今のうちから参入すれば」
黒井社長は拳を握り、たかだかと掲げてガッツポーズ。あまりの勢いと覇気に、全員が押されてしまう。
「我々はありとあらゆるデュエリストの先導者となるだろう!」
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恭文「だったらヴァンガードをやるべきだと……あ、黒井社長はもうやってるか」
古鉄≪ジェネレーションですね、分かります≫
あむ「一つたりとも分からないんだけど!」
恭文「え、どうして!? あのG-セルフのパイロット、ベルリ君もマスク大尉を見習ってヴァンガードにはまってるのに!」
あむ「中の人の話を持ち出すなぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
(らららーらららららーららららー♪)
恭文「そうだ、(高石)タケルもヴァンガードをやってたっけ。声変わりしたから」
あむ「ちょくちょく声変わりの話を持ち出すの、マジやめない!? ……でも、ついにJ&Fブラッカーズが」
恭文「きっと冬馬は無限パンチを撃ってくると思うな。それで翔太は二刀流で、北斗はヴァンガード」
あむ「別ゲームを持ち出すってあり得ないじゃん!」
(貴音はデビル化ですね、分かります)
あむ「何一つ分からない!」
恭文「そして二か月かけて書きためたローソン編です」
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「でもフライド系、凄いですよね。ホットドッグやコロッケならともかく、まさか」
百合子の視線が可奈へ向き、可奈はさっと顔を背けた。……食べていたんだね、よく分かったよ。
「ゲ、ゲンコツメンチが美味しくて……特にその、最近数量限定で出た」
「チーズゲンコツメンチでしょ」
「それです!」
「これはゲンコツメンチのバリエーションなんだけど、中にとろりチーズが入っている。
まぁトリュフソースってのもあるけど、それ以上に素晴らしいのが……やっぱりチーズだよ」
「あぁ、それは……分かります」
あ、志保も食べた事があるのか。さすがは実家の下にローソンがあるアイドル。しかもちょっとうっとりだし。
「最初は高めかなって思ってたんです。でも衣はさくさく、お肉はもちろんがっつりと食べごたえがある。
でもそれ以上に……やっぱりチーズが。最初ドロドロに溶けてるか、固形的なのを想像していたんです」
「無理はないと思うよ。実際僕もそうだった」
「でもトロリ……なんですよね。溶けているわけでもなく、固いわけでもない。
ちょうどいいねっとり具合が口の中でお肉と絡みついて、それがもう支配的に美味しい。一個でご飯、二杯いっちゃいました」
「分かるよ、あれはおかず力が強すぎる。僕はフェイト達とおつまみで食べたんだけど、結局余ってたご飯と一緒に食べちゃったもの」
「うんうん。メンチ……というかハンバーグみたいなひき肉類にチーズって、割とよくある構成なんだよね。でもあれはバランスがとてもよくて」
ひき肉との調和も考えられた、ほどよい柔らかさのチーズ……数量限定が惜しいくらいのレベルだ。よし、また明日買ってこよう。
あと可奈が食べてそうなもの……フライドスナックと考え、一つ思い当たった。そうだ、今ならあれもカウンターに置いてるじゃないのさ。
「じゃあ可奈、カレードーナツとかは食べた? 最近ホットスナックの横に、棚が陳列していたりするけど」
「あ、はい! それも食べました! 美味しかったなぁ……は!」
「……恭文さん、私は可奈を探している時、ローソンを一件だけ見つけました。十分圏内です」
「うん、分かった。分かったけど……志保、おのれもちょっと落ち着け。幾らなんでも情緒不安定すぎだから」
「美奈子さんより冷静だと自負があります」
「そのままどっこいどっこいへ落ちそうだから言ってるのよ! この馬鹿!」
◆◆◆◆◆◆
「お二人とも、大事な事を忘れていませんか」
「志保さんが飛び込んできました! やっぱり一階がローソンだからこだわるんですね!」
「……分かっているよ、志保。具材も大事だけど、最近のコンビニおにぎりにはまた違う風潮が生まれている」
「セブンイレブンでもこだわりにこだわり抜き、既に定番好評商品となった」
そうして僕達は、揃って真っ白なおにぎりを出す。貴音もやはり、これを買ってきていたか。
「「新潟コシヒカリ塩おにぎり!」」
「その通りです! おにぎりってなんですか!? 具材も、塩も、ノリだって結局は、ご飯を美味しく食べるためのものです!
ならそのご飯そのものが美味しければ……具材そのものが邪魔と思えるほどに美味しければ! ……そう、私に突きつけた問題商品がこれです」
「志保ちゃん、相当気に入ってるんだねー。でも不思議だよねー、セブンイレブンので食べて、私も衝撃的だったんだけど」
「実は私もよ、可奈。まぁ食べたのは一階のローソンじゃなくて、レッスン終わり――出かけ先でなんだけど。
だってみんな、考えてみて。基本コンビニのおにぎりってノリと具があって、最近だと梅やシソと混ぜ込んだものとかも多いけど」
あー、ちょうどローソンにある『梅しそごはんおにぎり』とかがそうだね。そんな中であえての純白……塩おにぎりは確かに衝撃的で。
「だから本当に驚きで、でも普通のおにぎりもやや食傷気味で……物は試し、おやつ代わりだったからリスクも高くなかった。
なのに一口食べると、混じりけのないご飯の味が真正面からぶつかってきて……ずるいわよ、あんなの。
シンプルすぎて、批判なんてできないじゃない。ただ美味しく味わうしかないじゃない」
「志保が……敗北している」
◆◆◆◆◆
「そうだ、調理してて思い出した。最近ローソン、店内調理系のコーナーができつつあるんだよ。【まちかど厨房】って言ってね」
取り分けた麺をすすり、大事な事を言っておく。すると志保が悔しげに拳を握った。
「それも、一階のローソンには……!」
「設備も必要だし、まだまだ発展中だしね」
「それ……昨日も言ってた。ミニストップとか」
「そう、ローソンも乗り出したんだよ。現在大型店舗を中心に……こういうものを出している」
さっと出したのは、ポテトサラダを挟んだコッペパン。いきなりのシンプルさにみんなが面食らう。
「あなた様、これは」
「見ての通り、【ポテトサラダドッグ】だよ。まぁ通常の商品より割高なんだけど、その分味は保障されてる。特にその中で人気なのが」
「こちらですね。実は近辺のローソンで買ってきました」
貴音が取り出したのは、厚さ二センチはあろうかというカツ……を挟んだカツサンド。その豪華さに美奈子達が大きく声を漏らす。
「なにこれぇ!」
『ローソンのまちかど厨房イチオシ、厚切りかつサンドです。ささ、皆も一口ずつ』
「こ、これは凄く美味しいんだよ! あの、ありがとうございますー!」
「でも、コンビニの……ですよね。店内調理だからってさすがに」
志保もやや疑わしそうに、みんなとかつサンドを食べる。するとどういう事でしょう。
「……なにこれ! めちゃくちゃ美味しいじゃないですか!」
評価が一変しました。
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恭文「そして作者が最近ハマっているのは、ローソンのおでんです。
店頭で煮こまれているやつじゃなくて、チルド棚に置いてある二百円前後の詰め合わせ」
あむ「いきなりなに!?」
恭文「いや、これがまた美味しくて。大根二個、こんにゃく、ごぼう巻き、昆布と具材豊富で」
(最近、おでんの美味しさに気づいた罠。前は肉を求めていたからなぁ)
恭文「というかやばいの。ファミマ行かなくなってるの。ローソンに通ってるの。
距離的にはさほど変わらないんだけど、最寄り駅の最短コース上にあるのが憎い」
あむ「あぁ、距離だけじゃなく店の場所によっても通うところって変わるからなぁ。それはあたしでも分かる」
(ファミマだとちょっと横道にそれなくてはいけないので)
恭文「では次の書き下ろし……こちらは次巻にも続く感じですが、どうぞー」
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「……さぁさぁ! 本家龍々軒はこちら! 本格手延べ麺が美味しいよー!」
僕とりん、美奈子は都内で奇妙な状況に遭遇していた。
いや、正確には……困り顔の亜美と真美に連れてこられた。
なお貴音も呼ぶ予定らしかったけど、仕事の絡みで……今日は食べ歩き取材だからなぁ。
「はいどうぞー! こちらでお願いしますー! こちらは元祖の龍々軒! 本格手延べ麺はこっちだよー! はいどうぞー!」
見てもらった通り、同じ名前の店が道を挟んで向かい側に二件。かなり加熱した客引きを行っている最中だった。
◆◆◆◆◆
四条貴音――みなさまご存じ銀髪の大食い女王。そのビジュアル、歌唱力、演技力から幅広い年齢層のファンがいる。
しかしそんな芸能活動の中で、一番力を入れているのは『四条貴音のらぁめん探訪』。
生すか内でやっているミニ番組だけど、それはもう絶大な人気が……最近、食べる様子だけを描いたグルメ漫画とか流行ってるしね。
そういうノリも込みだから余計にって感じだよ。そんな貴音だからこそ、ラーメンマニアさんが目を付けるのも確かだった。
りんが言った通り、ラーメンマニアでコラムを書いているんだよ。その取材や活動にも積極的に協力している。
僕達765プロともその関係から懇意だし、うまく話を通せば乗っかってくれると思う。
なのでますみさん達と別れ、僕達は地下鉄に乗り池袋へ。そのままサンシャイン60内部にある編集部を目指す。
池袋は都内有数のラーメン激戦区。ラーメンマニアという雑誌が編集部を置くのに、これほど適した場所もないってわけよ。
「恭文くん、貴音さん達は」
「連絡したら、もう編集部についてるって。編集長もいるし、このまま話はできそう」
「そっかー。でも三ツ星、かぁ。評価された事で慢心して堕落……ってパターンならともかく、双子で喧嘩別れは初耳かも」
「しかも奥さん達まで双子だしねー。アイリと恭介も気をつけておかないと」
「そうするわ。そう言えば二人とも、黄龍さんと白龍さん……だっけ? お二人とは面識って」
「あるよー。真美達も何回か食べに行ったしー」
「でもでも、アリーナ・ツアーの準備とか、りっちゃんの新プロジェクトで忙しくしている間に……あんな事に」
◆◆◆◆◆
「恭文ぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!」
飛び込んでくるのでアイアンクローで止めておく。コイツはぁ……仕事場だって事を忘れてるでしょ!
「ねぇ、キスしましょう?」
「アイドルー! というかここは仕事場ー!」
「よぉ、お前らー」
「こんなところで絡むとは凄い偶然なのです! ナイスエンゲージなのです!」
「だなぁ。……いつもはヤスフミの家に平然と乗り込んでくるしよ」
「月詠さん、相変わらず全力全開ですしねぇ」
「もう結婚できる年齢だからな……もぐ」
イルとエルも挨拶してる場合じゃない! というかコイツ……ちょ、ズルズル押されてる! やめてよ、怖いでしょうが!
「と、とにかくここの子達は」
「はい、そちらはほしなさんから軽く」
「三条プロダクションの朝比奈りんです! 初めまして!」
「アイドル候補生の佐竹美奈子です! 初めまして!」
「双海亜美(真美)でーす! 初めましてー!」」
「こちらこそ初めまして。ラーメンマニア編集長の平打(ひらうち)と申します。あ、四条さんは今席を外していますが、すぐ戻りますのでこちらに」
編集長に案内され、オフィス奥の談話室へ。そこへ入ると、すぐに貴音も入ってきた。
なお歌唄は僕の右隣を取って、平然と腕組み。
……りんも対抗して左腕に腕組みしてくる。おのれら、アイドルだって自覚を持とうよ……! なんでコイツらは全力で生きられるの!
「申し訳ありません。少々廁へ……あなた様、龍々軒の危機とは本当なのですか!」
「おのれいきなりだね! もっと他に言う事はないの!?」
「ありません! なんという悲劇……! あの中華そばがなくなるなど、絶対に許せません!」
「本当よね。私に許可なく潰れるなんて許さないわよ」
「歌唄もそれ、ただの理不尽ー! いいから落ち着け! というか座って! ほらほら、打ち合わせだよ!」
貴音が荒ぶっているので、強引に着席させる。それから改めてプラン説明。正直協力してくれるかどうかは分からなかったけど。
「……というわけで、らぁめん探訪のスペシャル版とコラボという形で、取材などできないでしょうか」
「そういう事でしたら、是非協力させてください」
「ありがとうございます、編集長!」
「いや、龍々軒は素晴らしい取材対象ですし、ラーメンファンとしてもあのお店がなくなるのは忍び難いですから。そこはほしなさん達と同じく」
即答でした。しかも貴音達と同じ理由……まぁそうだよねー。貴音と志が同じだからこそ、仲良く仕事もできるわけで。
でも貴音……というか歌唄も、その通りって胸を張らなくていいんだよ。そんな真似をされても僕は泣きたくなるだけだから。
「それに……蒼凪さんの頼みがなくとも、龍々軒へ取材しようと思っていたところですし」
「と言いますと……って、聞く必要はないですよねー」
「兄ちゃん、どういう事ー? 聞く必要はないーって」
「二人も知っての通り、ラーメンは今や国民食。半世紀以上イノベーションが続き、今なお進化し続けるモンスターだよ。
それを主商品とするラーメン屋にとって大きい存在は口コミ。又はラーメンマニアのような、きちんとしたところからの評価だよ」
「実際ラーメン系のガイドブック、そこそこの売れ行きがあるものね。このラーメンマニアもそうだけど。
例えばラーメンに詳しい事でタレントみたいなった人もいるし、フードコンサルタントをやっている人もいるし。
とにかくラーメンという食文化にとって、『評価』というのはとても重い意味を持つ要素なのよ」
ラーメンは国民食であり文化、ならそれに対して正当な評価を下せる人々は、文化評論家とも言えなくはない。
歌唄が言った事は決して大げさじゃないのよ。それにほら、単純に口コミだけって考えても今は様々な舞台がある。
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恭文「というわけでこちら、美味しんぼのお話です。今回はラーメン屋の立て直し」
あむ「……アンタ、マジで食べ物絡みのトラブルシューターに。でもラーメン関係は語る事が尽きないよね」
恭文「国民食と言ってもいいレベルで、しかも現在進行形で進化を続けているジャンルだしね。
単純にスープだけの話じゃなくて、他ジャンルの料理や麺からインスパイアされて、新しい可能性が生み出されてもいるわけで」
あむ「あー、なんとか粉配合とかそういう感じ?」
恭文「あとはトマトラーメンとか……思いっきり別ジャンルに寄せたものもある」
(でもあれは美味しかったと記憶しています)
恭文「僕も生トマトは駄目だけど、熱せられたものならいけるから……うん、美味しかったぁ」
あむ「恭文、よだれよだれ! 全くもう……お父さんになったのに、相変わらず馬鹿だし」
(とか言いながら現・魔法少女、ティッシュで口元を拭いてあげる)
恭文「いや、自分で拭けるから」
あむ「いいからじっとしてて」
古鉄≪というわけでまたあむさんがマスターといちゃついているところで≫
恭文・あむ「「ちょっと!?」」
古鉄≪続いてはこちらを言ってみましょう。いろいろ突き詰めた結果、地獄へ落ちていくライアーさんのお話です≫
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「でも八神くん、ちょっと凄くない? 基本的な機動もすぐ慣れちゃったし、飛行もバリバリだし」
「いえいえ。先輩や教官の見よう見まねで……実際このリーチやら」
右手を挙げて、金属製の大きな手をニギニギ……なんか、すっごい不思議な感触。それから背部の非接続式ユニットをさわさわ。
「ウイングやらが付いた状態での動きってのはまだ慣れてなくて。もちろんシールドを含めた回避も……それにこのセンサーも」
「うーん、確かに甘いところがあるね。でもISに乗り始めてすぐだし、そのうち慣れるよ。というか、まだ頭がキツい?」
「少し」
「ハイパーセンサーも上手く受け入れられるようにならなきゃいけないねー。多分今の八神くんは自分の感覚をISに押し付けてる」
「押し付けてる? 押し付けてる……確かに、そうかも」
ISは単なる道具ではなく、自律意思もある。アルトやジガン達と同じだ。
ただ二人のセンサーやサポートよりもより感覚へ肉薄しているから、上手く受け入れられてないのかも。
「そこが課題だね。ISの感覚に甘えるんじゃなくて、いいところを重ね合わせるイメージ、持っていこうか」
「はい」
うーん、さすがは先輩……やっぱり三年の人達から教わるのは正解だった。
自分でやってたらまだまだよく分からないとこ、ビシバシ言ってくれるし。
「そういえば山田先生ってああいう人なんですか?」
「というと……あぁ、いろいろやらかしちゃってるところか」
「えぇ。僕としても困り果てているんです、相入れないのは確かなんですけど」
「またはっきり言うなぁ。……でも基本はとってもいい人だよ。
面倒見もいいし、生徒からも人気が高いし……特に胸は目標だし」
先輩、ガッツポーズはいりません。そこはほら、男として返事に困るから。
「ただ元々代表候補生でIS学園初期の生徒でもあったから、学園への愛着が強いんだ」
「代表候補生!? そんな馬鹿な!」
「……ん、言いたい事は分かる。あれでしょ、どこかで聞いたんだよね。自爆したとかかなんとか」
「えぇ。しかも試験で織斑一夏と模擬戦した時」
「うわぁ……!」
うん、ドン引くよね。そんな時にどんがら自爆なんて……しかも。
「この件があるから、セシリアも先生にキツいんですよ。織斑一夏がこの話をした時、あり得ないって顔でしたから」
「それもあったんだ。……山田先生はその事」
「さすがにみんなの前では言えませんでした。話しておいた方が」
「いいと思うなぁ」
◆◆◆◆◆
それはそれとして、三年前からの付き合いなとある人に連絡を取っていた。その人の名前は皆様ご存じ泉光子郎さん。
僕にとっては尊敬すべき先輩で、波長も合う年上なお友達でもある。まぁ、一応の確認事項がありまして。
『ゲンナイさん達とも連絡を取り合い探していますが、やはり成果なしですね』
「まぁ、そうですよね。……やっぱり端末がオフラインなせいかなぁ。すみません、捜索に回れなくて」
『しょうがありませんよ、今君が動くと目立ちすぎますから。そちらは僕と太一さん達に任せてください。
アコさんや衛宮切嗣さんも手伝ってくれていますし。それで……大変だと聞きましたが』
「大変どころか、ここの大人は信用できないと一日目にして証明されましたよ。斬新すぎません?」
『……まぁ、普通は一日でボロなんて出しませんよねぇ。でもそれ、本当にミスなんですか?』
「なのできっちり抗議して、調査してもらいます。正直ここで寝泊まりも怖い段階ですよ」
とにかく話の内容はやっぱり……実は光子郎さんや知り合い数人も巻き込み、とあるものを三年前から捜索している。
別のものも含めてなんだけど、全然見つからなくて。高校に入ってからも手伝う予定だったのに、これだしなー。
『とにかく気をつけてくださいね。初日からそれだと、のんきに学園生活というわけにもいかないでしょうし』
「そのつもりです。まぁ邪魔なら適当に暴れてぶっ潰しますから」
『そう言うと思っていました。じゃあ代表決定戦、頑張ってください』
「ありがとうございます」
電話を終了し、端末を懐に仕舞って大きくため息。……適当なところで自由行動していくか。留年しない程度にさ。
「苦労していると思ったが……楽しそうだな」
背後から声がしたので振り返ると、白いジャージ姿の織斑先生がいた。
「織斑先生、どうしたんですか」
「これでも一年の寮長だからな。見回りに来た。……そうそう、早速三年の先輩とみっちり訓練したそうだな」
「山田先生からですか」
「すまなかったな、部屋の調整絡みで打ち合わせ中だった」
申請した時、織斑先生がいなかったのよ。なので山田先生に書類を預けたら、目をぱちくりさせていたっけ。でもそれだけじゃなく。
「あと、オルコットの事も我々からイギリス政府に説明している」
……そこで『分かっている』と言わんばかりにそう言ってきた。だったら最初からやるなと言いたくなったのは、決して間違いじゃない。
「お前が自分の事より彼女を思いやり、我々教師とIS学園に真正面から怒りをぶつけ、野宿までする誠実な男だともな」
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
あむ「……やっぱり野宿なんだ」
恭文「完全な野宿ってわけじゃないから、まだいいよ。衣食住のサポートはあるわけで」
(それすらなかったらどんだけ無能かと)
あむ「もはや学校ってなんだーって話だよねぇ。そう言えば幕間その132絡みで、書き下ろし分が増えたって」
恭文「ご購入頂いた方は分かると思いますが、最後の方で少々。
なので実は本編版第三話も、八神の僕とセシリア戦は途中までしか描かれなかったり」
(尺の問題で)
恭文「それで第四話分も実はちょっと仕上げていたり……こちらは次巻、幕間第35話の一部になりますが」
あむ「一夏さんとセシリアさんの試合だね」
恭文「次回予告的に、どうぞー」
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「なぁ箒」
「なんだ」
「この一週間、全然ISの事教えてくれてないよな。そういう約束だったのに」
「お前、まだ自覚がなかったんだな」
ビット内で哀れみの視線を……そうだよ、悪いかよ! でもほら、ちょっとは成長したと思うんだよ!
頼むからやめてくれよ! 一週間じゃ駄目なのか!? オレはそこまで二人に遅れてるのかよ!
「一夏、お前が進んだ分、みんなは同じくらい先に進んでいるんだ。あとは……分かるな」
「そういう事かぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
「まぁセシリア・オルコットは違うだろうがな」
「へ?」
「言っただろうが、代表候補生には事前学習分があると。今の授業範囲などとうに覚えた事。奴にとっては復習同然だ」
「ならその分、オレにも勝機があるって事だな。……十分だ」
すると箒はとても……とても哀れなものを見るような目になった。そうしてオレからちょっとずつ離れていく。
「お、おい……箒さん!? もしもーし!」
「一夏、お前……一夏じゃないだろ。お前は偽者だ」
「ついに存在から疑い始めた!? 待ってくれよ、なにか違うのか!? その分一週間近づいているって事になるだろ! なぁ、そうだろ!」
「あぁそうなんだろうな、偽者であるお前の中では」
「オレは本物だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
◆◆◆◆◆
「試合前に一つ質問ですわ。ファーストシフトは済ませましたか」
「答える必要はないな。さぁ、始めようぜ」
「……しょうがありませんわね」
セシリアはライフルを粒子に変えて、どこかへと消し去る。武装を……捨てた? しかもブルー・ティアーズまでも同じように消えてしまう。
「なんのつもりだ」
「答えていただけないのなら、わたくしはあなたに一切攻撃できません。そうですわね、まずは五分……言った通りハンデを差し上げましょう」
「……ふざけるな。お前達が吹っかけた喧嘩だろうが、なのに全力を出さないつもりか」
「……分かっていませんわね」
するとセシリアがため息を吐き、とても冷たい……見下したような目でオレを見てくる。
まるでオレがなにも分かっていない子どもだと、そう言わんばかりに。
「フィッティングが試合中に行われるというのは、重大事故にも繋がる危険行為でしてよ?」
「分からないな。それに千冬姉達だって一生懸命調整してくれた。その結果をオレは受け入れたんだ」
「馬鹿馬鹿しい、一生懸命で人の命を危険に晒す――それこそ無能の証明ではありませんか」
「……だったらイギリスにとっとと帰れよ。千冬姉も、山田先生も……誰一人無能なんかじゃない」
どうやらオレはコイツとは分かり合えないらしい。なぜ一生懸命やっている人を貶めるんだ。
どうしてそれを認められないんだ。ただ否定し、文句をつけるだけ……こんな奴らに譲る道は一欠片としてない。
「どうして先生達の事をああまで貶められる。どうしてその努力を信じられない、どうして『それなら』と受け入れる事ができない。
……武装しろ、セシリア・オルコット。ファーストシフトとやらは関係ない。今オレは先生達のおかげで、万全の状態でお前に挑んでいる」
「もう一度聞きます、ファーストシフトはしていますの?」
「関係ないと言ったはずだ。それとも怖いのか、オレに負けるのが。ファーストシフトは負けた時の言い訳か」
「そうですか、よく分かりましたわ。あなたには――武装する価値すらない」
……だったらと踏み込み、最大加速で拳を振りかぶる。女を殴りつけるのは正直嫌な気分だが、ISを装備しているなら問題ない。
「いいぜ。お前のひねくれた根性」
そうして渾身の左フック。この一撃で、オレが万全だと証明する。
「この一撃で叩きなおしてやる!」
◆◆◆◆◆
「それがどうした! 人間だぞ、失敗だってする……それのなにがいけない! オレ達は生徒だぞ!」
ブレードを右手で持ち替え、また最大加速で踏み込み右薙一閃。
「先生達を支えるくらい、やったっていいだろ!」
刃が当たったと確信した瞬間、なぜかまた右腕に痛みが走る。そうして頭から地面に激突し、派手に滑っていた。
なんだ、今の……どうして投げ飛ばされたんだ。一体いつ……いや、考えるのは後だ!
「……許されない失敗はありましてよ。身内びいき云々は、やはりあなたや篠ノ之さんにふさわしい言葉かしら」
「なん、だと」
「というか、言葉は正しく使いましょうか。先生達ではなく、『無能なお姉さん』でしょう?」
箒の事まで……もう一度立ち上がって飛び込み、両手で剣を持って面。箒が鍛えてくれたおかげで、剣道の感覚は思い出せる……これならいける。
「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
そうして刃はセシリアの脳天を、バリアを捉えた……と思ったら、まだ両腕が捻られる。
いや、剣だ。打ち込んだはずの剣が、オレの意思に反して一回転。手元から離れ、セシリアの右手に収まった。
……そこで股間に衝撃。剣を奪われた驚きを上書きされ、更にバリア越しから嫌な痛みを感じ、苛まれる。
しかも股間を打ち上げられると同時に、顎に刺突。そう、刺突だ……剣を逆手に持ち替え、その柄尻で思いっきり叩かれた。
「甘いですわ」
そのまま殴りつけるような逆袈裟一閃を食らい、また地面を滑りながら倒れる。なんだ、これ……今、なにをやられて。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
あむ「……股間を蹴りあげながら顎に攻撃ってなに!? ていうか格闘戦じゃん!」
恭文「とまとでは全くしていない素手での殴り合いだね。
ちなみにセシリアがやった技、イギリスに縁深いとある軍用格闘術になります。
フェアバーン・システム――デイフェンドゥーなんだけど」
あむ「フェアバーン・システム?」
恭文「全ての軍用格闘術、その源流とも言われるものだよ。
フェアバーンって人が開発したから、その名前がつけられている。
詳しくはヤフるなりググるなりしていただければ。なお今の描写、実はかなり加減しています」
あむ「はい!?」
恭文「資料映像を見た時はもっとエグかったから。まぁ全部寸止めだったけど」
(全てが必殺とされる、軍用格闘術の源流ですから)
恭文「フェアバーン・システムは日本柔術や中国武術、更に射撃術も絡めたものだから、それはねぇ」
あむ「……一夏さん、もう絶対勝てないんじゃ」
恭文「でも代表候補生って、軍で訓練を受けたりしてるんでしょ?」
あむ「そういう事ですかー!」
(幾ら接近戦が不得手だからって、一般人に負けたら問題すぎると気づいた罠)
恭文「なおフェアバーン・システム、更にエグい技がありますのでお楽しみに」
あむ「それを楽しみっておかしいじゃん!」
(『セシリア、しょせん貴様の近接格闘術など流れ星――儚く消えていく運命よ!』
『誰ですの、それ! というか恭文さんがまたよく分からない声帯模写を!』
『ようはこれから先、素手で戦闘など出番がないというkとだな、分かるぞ』
『ラウラさんまでなんですのー! いえ、確かにわたくしはガンナーですけど!』)
恭文「そんなわけで幕間第34巻、なにとぞよろしくお願いします。
……そしてこのまま続けて、ティアナ脱走ルート第二巻の経過報告ー!」
あむ「続くの!?」
(そちらも現在第8〜10話の途中まで。そして特別書き下ろしなStrikerS序盤編の途中まで書き上がっています。
本日のED:中村由真『Dang Dang 気になる』)
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