作者でも分かるとまと同人誌情報コーナー 幕間第二十五巻経過報告:03(サンプルあり)(2014/09/10) 古鉄≪というわけで幕間第二十五巻、経過報告です。ただいまミッション話最終二話のリマスター中。 ただ……今回、戦闘シーンに関しては手直しなしかもしれませんが≫ 恭文「若干変えてる感じだね。なのでメインはやっぱり追加シーン。まずはこちらからー」 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 「サリさん」 「やるのか。だがやっさん、本当にいいんだな」 「当たり前でしょ。シグナムさん、そこの二人しっかり確保しといてください。僕はアイツぶっ潰しに行くんで」 「待て、それなら私も」 「来るな」 固い声でそう言って、僕に近づこうとするシグナムさんを止める。 「アンタがいても足手まといだ。分かってるでしょうが、アンタ達じゃ『僕達』の領域には到達できない」 「自惚れるな、蒼凪。……貴様が思っているほど、皆は無力ではないのだ。なぜもっと信じてやらない。 お前の自惚れと暴走で、テスタロッサ達の気持ちをどれほど傷つけているのかそろそろ理解しろ。 お前は今から機動六課ライトニング分隊の隊員、私の部下だ。私の部下として、フォン・レイメイの逮捕に協力しろ」 「おいアンタ、勝手な事言うな。アンタの上がなに考えてるか」 「そうです! シグナム、ここでそんな真似したら、機動六課は本当に」 「そのような事は関係ない、何者か知らんが部外者は黙っていろ。リインも同じだ。 ……もう一度言う、我々は貴様が思っているほど無力ではない。貴様は自惚れがすぎている。 自分を改め、我々を信じ、正しい行動を取るんだ。皆のために、自身のために」 「自惚れてんのはてめぇだろ、嘘つき」 術式を発動。シグナムさんの足に、地面が変化した縄を絡ませる。それでシグナムさんは驚きながら僕から視線を外す。 その間に右手で鋼糸を投てき。シグナムさんの首に巻きつけ……更に術式発動。蒼い電撃がシグナムさんを遠慮なく焼く。 「ががががががががががががががが!?」 「みんなを守れる。みんなを助けていける――そう自惚れて、こんな事にたくさんの人間を巻き込んだ。 お前らこそ、その自惚れと暴走でどれほどの人が傷ついたか分かってないだろ。……遅かれ早かれお前らはこうなる」 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 電撃で焼かれる中、蒼凪が奴を指差す。物言わぬ死体となった者達を……なぜだ。 「そしてお前の言う事を聞いたら、僕もこうなる。……ある人から託された願いだ。お前の愚行は責任を持って止めてあげる」 なぜ、言う事を聞いてくれない。奴を捕まえれば、六課の手柄とすれば……それで救われる人間が増えるんだぞ! 頼むから……声を上げようとしても、電撃で阻まれうめき声しか出ない。 私は間違っていない。騎士として、皆を守ろうとしていただけ。予言の事とて同じだ。 そうする事で局に認められ、去年のような愚行を止める力となる。ならば従うのが当然だろう。 なにも知らない部下達とて同じだ。知らない事でなんの問題がある。それでも上司を信じ、自らの仕事を通す。 それこそが組織というものだ。それができないのなら、それは組織にいる資格がない。 そうだ、私は自惚れてなどいない。主達も間違ってなどいない。間違っているのは……なぜ、通じないんだ。 涙を零しながら、それすら電撃に焼き払われながら、意識を手放す。 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 恭文「……もう遅いっつーのに」 古鉄≪そうですよ。チャンスを尽くのがしてるんですから≫ (『なぜだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!』) 恭文「それははやてに言ってほしい。いや、わりと本気で」 (『ごめん、なさい』) 恭文「そしてどうあがいても絶望……自分達が作った蟻地獄にどんどん突撃する機動六課」 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 「下手をすれば」 「機動六課全体の責任問題に……いや、最高評議会との癒着問題に発展する」 実際問題、リンディ提督は最高評議会とそれなりの繋がりを持ってた。 最高評議会も六課隊長陣と提督を、自分達の後継者にと考えていた。 あとはその繋がりの濃さだ。単純に上の人間と下の人間って形で繋がっていたならいい。 だがもしもその繋がり方が、レジアス中将やオーリス三佐に近いものだったら? あぁそうだ。だからこそ疑うんだ。ミッド地上で評価が高かったレジアス中将でもアレだからな。 更に言えば……六課はハラオウン執務官やその被保護者、ギンガちゃんなんかを関わらせてしまった。 今挙げたメンバーは揃いも揃って事件関係者だしな。スカリエッティに恨みを持つ側だ。 この辺りも上の意図を受け取って、復讐に走るメンバーを集めたって話になったらどうだろう。 ようは上と下、両方の目的が一致してるんだ。はっきり言おうか、全員逮捕されてもおかしくない黒さだ。 これで全員、普通に逮捕してればまだよかったんだが……ハラオウン執務官がやらかしちまったしよ。 一応言い訳は立つ。相手は危険なマッドサイエンティストだから、手心を加えて大怪我するのを危惧した。 というか、実際やられてさらわれているのもいるしさ。二次被害を防ぐため、厳しめに注意を促したってなら分かる。 ただその促し方と促した相手がまずい。更に自分も殺すつもりでやらかしてるから、更に言い訳ができない。 てーかほんと、どうなってるんだよ。やっさんが書庫にいた段階で話は通してただろうに……! 「クロノ提督、六課が設立段階から利用されてる可能性は、事件中部隊員には」 「はやてが念入りに」 その言葉に舌打ちしてしまう。それでもこれなのかよ、ほんとどうなってるんだ。 「それに母さん達の行動を受けても、内密に信頼できるメンバーへ通達したそうです。 暗部の圧力がかかっているから、指示は気にせず犯人達を確保しろと」 「……アンタ達への相談は」 「ありません、でした。もし、その時連絡をもらっていれば」 「俺がデータを送った、後だったんだな」 「はい……!」 本当に、なんだこれ。リンディ提督が無茶したせいで、上も信じきれなかった……そんなところだろうか。 だが連絡していれば、信じきれなくても確認していれば、二人の馬鹿は止められたんだ。 データによってマッチポンプは確定。最高評議会の意図に乗ろうとした、リンディ提督達は真っ黒だとその場で確定する。 そうしたら、まだ取り返せたのかもしれないのに。六課全体へ疑いがかかるのだけは避けられたかもしれないのに。 「……そうした結果、本来の意義をすっ飛ばして権力の犬となった六課は潰される。 部隊員達はその責任を取らされる形でクビ。でも原因である提督と執務官はそれだけじゃすまない。 忌むべき悪に加担し、不正を働いた重罪人として……オーリス三佐達のように、ろう屋行きの可能性がある」 「そうなります」 「アンタと部隊長のせいでな。アンタ達がこんがらがってるあの人とちゃんと話せば、なんとかなったかもしれないのに」 「無理です。フェイトは、恭文に拒絶されてからずっと情緒不安定で。恭文が六課にいれば」 「……それを隊長として働かせてたのはお前らだろうが! なんでもかんでもやっさんに押し付けてんじゃねぇよ!」 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 恭文「ほんとだよ。てーかこの状況で六課にいたら、僕まで疑われるでしょうが」 古鉄≪蟻地獄へ落ちていくなら、自分達だけにしてほしいですよね≫ (地獄良いとこ一度はおいで) 恭文「そういうのは別府の地獄めぐりとかで使う言葉だよ」 古鉄≪こっちはめぐりたくないですね≫ ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 事件解決直後、査察部に匿名のメールが届いた。それに同封されていたのは、ある通信記録。 エリオ・モンディアル、キャロ・ル・ルシエ両二士との会話記録だった。最終決戦時、六課に走った命令についてだ。 でもこれは、ひどいなぁ。一緒に聴いてくれている部下が、やや寂しい頭を撫で上げながら震えてるよ。 『――じゃあ、アンタ達は本当にギンガさんを殺していいと思っているの?』 『ティアさん、それは違います。ギンガさんは僕達を裏切った、敵側の戦闘機人なんです』 『フェイトさんがそう決めました。私達は部隊員として、その指示に従わなくてはいけないはずです。 それに……フェイトさんが間違うはずありません。私達はフェイトさんを信じています、フェイトさんは私達を助けてくれたから』 『ティアさんやスバルさんが辛いのは分かります。だから、僕が破壊します。それで……誰も泣かないように』 「なんですか、こりゃ……部長」 部下はデスク上でため息を破棄、再生を停止する。匿名だけど、送ったのが誰かはバレバレって感じだし、そういう呆れもある。 「何回も聞いた上で、今更事実確認か?」 「そうじゃないですよ。十歳やそこらの子どもが……まるで人形みたいじゃないか。執務官は保護児童にどういう教育をしてるんだ」 「これがたまものになるような、立派な教育だな。そして執務官自身も」 「ハラオウン家、狂ってるなぁ。てーかこれだとあれだろ、執務官やあのデンジャラスボーイを引き取ったのも」 「もちろん二人の引き取りを認め、後見人になったのも……証明されたな、こりゃ」 知り合いなヴェロッサには聞かせたくない会話だな。しかも……音声データはまだあるわけで。 ◆◆◆◆◆ 一般局員は基本立ち入りな場所へ入ると、あのおばあさんが険しい表情で待っていた。 「お久しぶりです、ミゼットさん。早速ですけどどついていいですか」 僕の軽いジョークに身構える取り巻き達を、ミゼットさんは左手で制する。 「それはやめとくれ。ここで殴られると、私がよくても周りが許しちゃくれない。 ……単刀直入に言おう。リンディ提督から呼び出しを受けてるね」 「六課や連中の周辺を内偵しろって言うなら、断りますけど。もう面倒くさすぎるわ、アンタ達のおままごとは」 「察しがよくて助かるよ。たださすがにアンタが内偵ってのは問題だろ、例え古き鉄であろうともね」 僕はハラオウン家の方針から思いっきり背いている。でも身内である事は変わらないから……まぁそういう話だよ。 「これはね、逆なんだよ。もし六課や局に入れと頼まれても、絶対に引き受けないでほしいんだ」 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 恭文「でも引き受けちゃったんだよねぇ。内部から暴れるために」 古鉄≪蟻地獄に爆竹でも投げるんですか、やめましょうよ怒られますから≫ (動物や虫の虐待、ほんとよくない) 恭文「そうそう。動物さんには優しくしよう。いやー、しかし朝から胸がスッキリするハートフルエピソードばっかりだね」 古鉄≪えぇ。これで今日の仕事もばっちりですよ≫ あむ「嘘つけぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」 恭文「あれ、あむどうしたの」 あむ「どうしたのじゃないし! 朝から胃もたれする話ばっかじゃん! ヘビーすぎるじゃん!」 恭文「しょうがない、じゃあさわやかな話を見せよう」 あむ「そうそう! もっとこう、朝読むにふさわしいサンプルをさ!」 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 「遺言状を用意した。万が一を考えておくべきだと思ってね。凛に遠坂の家督を譲る旨の署名と、成人するまでの後見人として君を指名しておいた」 「お任せを……ご息女については、責任を持って見届けさせていただきます」 「ありがとう」 次に差し出されたのは、五十センチほどの木箱だった。 「これは」 「君個人に対して、私からの贈り物だ。開けてみたまえ」 言われた通り箱を開けると、入っていたのは両刃の刀剣……というよりおおぶりなダガーだな、これは。 「アゾット剣だ。君が遠坂の魔術を修め、見習いの課程を終えた証明だ」 「……至らぬこの身に数々のご厚情、感謝のしようもありません。我が師よ」 アゾット剣というのは、中世の医者にして錬金術士として有名だったパラケルススが持ち歩いていたとされる剣。 剣の柄にある宝石に、『Azoth』と刻まれている事が名前の由来だ。柄の宝石に悪魔を封じ、使役できたと言われている。 ……とはいえ、あくまでもそういう由来があるというだけ。アゾット剣自体は決して珍しいものではない。 魔術礼装として一般的であり、今のように師匠が一人前となった弟子へ送る事が多いという。 「君にこそ感謝だ、言峰綺礼。これで私は、最後の戦いへ望む事ができる」 遠坂時臣は笑顔で立ち上がり、すたすたと部屋の入り口へ。 「長く引き止めてしまってすまないね。飛行機の時間に間に合えばいいのだが」 アゾット剣の刀身が本物である事を確認し、軽く振るう。いい重さだ……黒鍵よりも丈夫かもしれん。 「いえ、心配無用です」 我が師の後をついていき、口元が歪む。 「我が師よ」 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 恭文「いやー、朝からスッキリするお話だよ。微笑ましいねぇ」 あむ「どこがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!? だからアンタ基準おかしい!」 恭文「おのれよりマシだ」 (ばし!) 恭文「ベルナデッド!?」 あむ「誰それ! ていうか、あたしの前でいちいち女の子の名前出すな!」 古鉄≪ヤキモチですね、分かります≫ あむ「違うし!」 (というわけで、幕間第二十五巻は制作順調……頑張るぞー。 本日のED:DaizyStripper『切望のフリージア』) [*前へ][次へ#] [戻る] |