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頂き物の小説
ケース04〜烈火の将・シグナムの場合 そのよん〜



















「・・・いやぁ、本当にシグナムさんも来てくれるなんて・・・助かります。」



・・・・・・そんな事を言うのは、IFルート初登場であいかわらずなのはさんとの距離が縮まらないユーノさん。

今回の依頼は、遺跡調査に向かうユーノさんの護衛って事になっている。



「なに、休暇も兼ねているからな・・・しかし、自然が美しい場所だな。」

「本当だよな〜!!」



・・・・・・確かに、自然はきれいだけど・・・・・・はぁ。



≪・・・マスター、なぜため息をついているのだ?そんな事では幸せが逃げていくぞ。≫

「・・・・・・うるせぇよ・・・・・・」

≪マスター、本気で大丈夫か?いつもよりツッコミが冴えきってないが・・・・・・≫






・・・・・・結局、八神家一同の説得によりシグナムさんとアギトが同行することになった。


・・・ヴィータさんに呼び出されて以来、シグナムさんを見るとどうも意識しちまうんだよなぁ・・・

そしてバルゴラ、俺の調子を見るパラメータはツッコミなのか?

・・・いや、気にしてもしょうがないか。






「そういえばユーノさん。遺跡調査って聞きましたけど、それほど重要な遺跡なんですか?」


・・・なにせ、ユーノさんは次元世界一過酷な職場とも噂される無限書庫の司書長だ。

そんな人が直々に出てくるほどの重大ななにかが・・・・・・今から行く遺跡にはあるのだろうか?



「別にそういう訳じゃないよ?次の論文のテーマにしているある民族について調べていたら、今回の遺跡が関連してそうだったからね。休暇も兼ねて調査する事にしたんだ。」



なるほど。

でも、せっかくの休暇ならなのはさんと出かければ・・・・・・すいません。俺が悪かったですからそんなに落ち込まないでください。




「・・・いや、ジン君のせいじゃないし・・・・・・でも、なのはも忙しいしね・・・・・・ハハハハハ・・・・・・」

≪つまり、誘ったのはいいが断られたのだな。≫


お前は追い討ちをかけるなっ!!!ほら、ユーノさんがortな状態になったじゃねぇかっ!?




「・・・・・・まぁ、元気を出せ。」

「・・・こんな調子で大丈夫なのか?」



・・・アギト、俺に聞くなって。









魔法少女リリカルなのはStrikers 外伝


とある魔道師と彼女のありえる繋がりとその先のこと・外典


ケース04〜烈火の将・シグナムの場合 そのよん〜







◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆







「えっと、この文字を解読すると・・・・・・それに、この建造の仕方も確か似たような物が報告されていたはず・・・・・・」



遺跡の中に入ると、ユーノさんは検索魔法を発動しながら遺跡の奥へと進んでいく。


しかし・・・・・・俺達がみてもわからんなこりゃ。



「確かにな・・・・・・ここに刻まれている文字の多くは古代ベルカの物だが、年代が特定できなければ解読も難しいだろう・・・」

「・・・そういや、シグナムさんは古代ベルカの使い手でしたね。ここの文章の意味とか分かるんですか?」

「・・・・・・いや、さっぱりだ。」


そういうと、シグナムさんは横に視線を向ける・・・・・・なんか、遺跡の中に入ってからちょくちょく周りを気にしてるけど・・・なにかあるんだろうか?




「・・・うわぁ、参ったなぁ・・・」



すると、ユーノさんが手を顎に当てて考え込む。そして、壁の文字を見ながら頭を掻き始めた。



「スクライア、何かわかったのか?」

「・・・この遺跡、どうやらロストロギアを封印しているみたいなんです。どんな物が封印されているか予測出来ないので、一旦引き返して管理局に連絡しないと・・・」

「えぇぇぇっっ!?もう戻っちゃうのかよっ!!」


・・・・・・うわぁ、なんかヤスフミみたいな展開だなおい。


≪マスター、それはフラグを立ててしまうぞ?ヤスフミみたいな展開なら、この後ロストロギアが発動する展開に・・・≫


俺に軽口を叩いていたバルゴラの言葉は、途中で止まった。


なぜなら、俺達の目の前には3メートルほどの鎧をつけた巨人が赤い目を光らせてわんさかと現れたんだから。



ア、アハハハハハハハハ・・・・・・



「マジで、すいませんでしたぁぁぁぁっっっっ!!」

≪くっ!!私とした事が地雷を踏んでしまうとはっ!!≫

「そんな事を言ってる場合かっ!!スクライア、この際少々遺跡を破壊してもかまわんなっ!?」

「本当は遠慮してほしいんですけど、仕方ないですよねっ!!」

「こうなったら、アイツばりにクライマックスでいこうぜぇっ!!」






こうして、俺達は逃げながら巨人達と戦う羽目になった。







◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆









フフフ、久しぶりにお客様が来たと思ったら・・・・・・とんでもないお客様ね。


とくに、あのベルカの騎士・・・素晴らしいわ。


今の身体は動きづらいし、そろそろ換え時かもね・・・


さぁってと、準備をしましょうか。新しい器を受け入れる準備をね?











◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆




っ!?

なんだ、今の悪寒は?


「シグナム、ぼさっとすんなってっ!!」

「あぁ、済まない・・・」


アギトに喝を入れられ、私は気を引き締める。


襲い掛かってくる巨人達を蹴散らしつつ、出口を目指す。





「そろそろ出口ですっ!!」


スクライアの声に、私達は正面を見据える。

そこには、外の光が輝いていた。

あともう少し・・・





ダメダメ、あなたはこっちよ?








体に違和感を感じたのは、その時だ。

突然現れた腕のようなものが私の体に纏わりつき、闇の奥へと引きずり込もうとしていた。


「っ!?くそっ!!」

「シグナム!!」



フレイホークが私に手を伸ばしてくるが、私がその手を掴みとる前に・・・私の体は、闇へと沈んでしまった。





◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆




あと少し、あと少しだったのに・・・・・・届かなかったっ!!


「・・・バルゴラッ!!シグナムさんの反応はどこだっ!?」

≪少し待て・・・・・・どうやら、この遺跡の最深部に跳ばされたようだ。≫

「よしっ!!」


俺はバルゴラを構えると、遺跡の中へと向かおうとする。


「落ち着いてジン君っ!!1人で行かせるわけにはいかないよっ!!」


けれど、いつの間にか元の姿に戻ったユーノさんが俺の肩を掴む。


「けれどっ!!」

「いい加減にしろこの馬鹿っ!!」

≪マスター、少し焦りすぎだ。シグナム殿を助けたいのは皆一緒だぞ?≫


・・・その言葉に、血が上っていた頭が急速に冷える・・・駄目駄目だな俺。


「・・・すいません。」

「まぁ、その気持ちは分かるよ・・・それじゃ、シグナムさんを助けに行こうか。」


ユーノさんの言葉に頷くと、俺達は気を引き締めて再び遺跡の中へと向かおうとする。

・・・・・・っと、その前に・・・




「バルゴラ、スラッシュフォルムだ。」

≪・・・確かに、あの巨人共にはそちらの方が有利だな・・・了解した。≫


すると、バルゴラが光に包まれてその姿を変える。



・・・それは、紺色の片刃剣。

少々無骨なデザインで、グリップガードには十字架状の装飾がついており、その中心に紫色の宝玉。

分かりにくければ、NEW電王のマチェーテディを想像してもらえるとありがたい。


これが、ヒロさんやサリさんが俺にくれた新しいバルゴラの力。

あえて近接戦闘に特化させ、レオーの加速力とその重さで敵を斬るというシンプルな武器。

さらに、メイルのISから得られた威力増加の特殊ギミックがライラの手によって搭載されており、破壊力だけならバルゴラの形態の中でもトップクラスだ。

反面、今までの形態では使用できた魔法が殆ど使用できないことが欠点になる。


だが・・・いろんな人の想いが、これにはこもっている。



≪それではマスター、行くとしようか?≫

「あぁ。」


俺はバルゴラの刃を右肩に、左肩にフェレットに変わったユーノさんを乗せると遺跡の奥へと走り出す。アギトもまた、俺の後を追ってくる。



・・・・・・待っててください、シグナムさん。



◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆







・・・・・・くっ、油断した。ここはいったい?



闇に包まれた私が目を開くと、そこには禍々しい気配を充満させた、神殿のような場所。

背後には天井付近まで広がる扉が備えられており、その反対側には・・・・・・巨大な玉座に腰掛けた鎧が飾られている。



・・・なんだ、ここは?














「はぁ〜いっ♪ようこそいらっしゃいましたぁ♪歓迎するわよぉ?」


すると、拍手と共に鎧が腰掛ける玉座の後ろから一人の女性が現れる。





漆黒の長髪に赤く輝く瞳。

服装は、リインフォースを彷彿とさせる。

だが、その禍々しい気配はその女性から放たれており・・・・・・おもわず、私はレヴァンテインを構えた。



「・・・・・・貴様、何者だっ!?」

「さぁ?ずいぶん長いことここに封印されているから忘れちゃったわ。」


・・・・・・封印、だと?

つまり、コイツがロストロギアの正体かっ!?


「ただ、目的は覚えているわ♪強き力を持つ騎士の体を乗っ取り、その力を手に入れ・・・・・・世界に混沌を撒き散らすこと。それが、私の使命であり楽しみ。」


ソイツは笑顔を浮かべながらクルクルと廻る。



・・・・・・私の勘が告げている。コイツは、今ここで倒さなくてはならない。

コイツが解き放たれれば・・・・・・いずれ、世界に災厄をもたらす。



「でもねぇ?そこに座っているおバカさんのせいで、私はここに閉じ込められているの。け・れ・ど、あなたの体を奪ったら私はまた外で好きなだけ遊べるわ♪だから・・・・・・」




本当に私の器にふさわしいか、確かめてア・ゲ・ル♪





・・・・・・そして、ヤツは黒い闇となって鎧の中へと入る。

すると、くすんだ銀色と緑色だった鎧が立ち上がったかと思うと禍々しい黒と紫に染まり、その手には鎖の巻き付いたロングソードが現れる。

融合騎・・・だとっ!?



「・・・レヴァンテイン、非殺傷設定を解除しろ。」

≪Ja≫


リミッターが掛かっている中でどれほどの事ができるかわからんが・・・・・・




「・・・ヴォルケンリッターが烈火の将、シグナム・・・参るっ!!」

【アハハハッッ♪あなたはどれくらい私を楽しませてくれるのかなぁっ!?】



そして、私と闇に囚われた鎧の騎士は・・・空中で激突する。




「おおおおぉぉぉぉぉっっっっっっっっ!!」



漆黒と白銀の剣閃がぶつかり合い、空気を振動させる。


互いの攻撃が、互いの急所を狙う一撃。


青凪やフレイホークとの模擬戦でも感じられない、『強者』との邂逅。

本来ならば心が躍るほどだが・・・ただ、哀しみしかない。

相手の剣から感じられるのは、狂気に包まれた歓喜・・・これは、あの融合騎の物。





そして・・・・・・激しい怒りと哀しみ。


それが何を意味しているのかは分からない。だが・・・あの融合騎を倒せなかった無念が伝わる。



「・・・名も分からぬ騎士よ、あなたの想いはわかった。その魂、我が刃が解き放つっ!!」

【アハハハッ♪あなたに出来るのかしら?まったく今の世の中はおかしいわねぇ?わざわざ自分に枷を強いるなんて・・・そんな事で、この私を倒せるとでも思ったのかしらっ!!】

「もういい。貴様は・・・喋るなっ!!」




レヴァンテインに灯すのは、怒りの炎。

我が一撃・・・防げるものなら、防いでみろっ!!



「紫電・・・一閃っ!!」




煌めく炎の斬撃が、騎士を斬り裂いた。

すると、騎士の体から闇が溢れ出し・・・・・・鎧が音を立てて地面に転がり落ち、騎士の剣が突き刺さる。




・・・・・・おかしい。手応えはあったが、なぜあの一撃を避けなかった?


地面に転がった鎧を眺めながら、私は警戒を緩めずに周囲を見渡す。




どごぉぉぉんっ!!




すると、背後から轟音が響く。なんだっ!?



「・・・ケホッ、ちょっと無茶すぎたか?」

「さすがに、あれほど分厚い壁を壊すとは僕も思わなかったよ。」

≪フハハハハハハ・・・さすがは私だっ!!あれほどの威力にも関わらず、まったく影響がないとはっ!!≫

「シグナム、無事かっ!?」



・・・・・・土煙の中から現れたフレイホーク達に、思わず私は気を緩めてしまった。




◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆




「邪魔だお前らぁぁぁっっっっ!!!!」

≪今の私達は、一味違うぞっ!!≫



剣を振り下ろしてきた巨人の懐に入り込むと、俺はバルゴラを横に振りぬく。

レオーによって加速されたスピードと、魔力を纏わせた刃。

そして、巨人の装甲に接触した瞬間炸裂した魔力により、明らかに刃よりも幅のある巨人の装甲を一刀両断する。


そして、俺達は遺跡の奥へと突き進んでいく。


「ユーノさんっ!!シグナムさんの反応はっ!?」

「もう少し先・・・その扉の向こうだよっ!!」

「ってジンッ!!よそ見すんなっ!!」



すると、俺に向かって放たれた弾丸をアギトが炎で焼き尽くす。


「サンキュー、助かったっ!!」

「いいってことよっ!!」

「でも、あの壁をどうするのさっ!?」



・・・・・・俺達の目の前に広がるのは、どこぞの真理の門だといいたいくらいの巨大な扉。

多分、そう簡単には開きそうにない・・・というか、石で出来ているので人の手では絶対に無理。





だったら・・・・・・ぶっ壊す。



「バルゴラ、カートリッジロードッ!!」

≪任せろっ!!≫


持ち手の部分・・・ちょうど、マチェーテディでテディの顔があった部分にあるカバーが開き、空薬莢が排出される。

そして、バルゴラの刃を紺色の光が包み込む。




・・・ヤスフミの斬撃が薄く研ぐように包むのならば、こっちは単純に魔力を集め、固める。



「ギガ・・・」



レオーのアシストをつけて地面を蹴り、扉の中央付近まで飛び上がった俺は身体をひねりつつバルゴラを振りかぶる。

・・・メイルの能力ちからと、ライラの技術わざが合わさった新しい魔法・・・ありがたく、使わせてもらうぜっ!!



「インパクトッ!!」



振り下ろされた刃が接触すると刃に集まっていた魔力が炸裂し、扉を盛大に破壊する。

そして瓦礫や土煙と共に、俺は向こう側の地面に着地した。



「・・・ケホッ、ちょっと無茶すぎたか?」


だって、むちゃくちゃ手が痛いし。メイルのやつ、よく使ってられるなぁ・・・



「さすがに、あれほど分厚い壁を壊すとは僕も思わなかったよ。」


ユーノさん、いつの間に変身魔法解いたんですか。俺はびっくりなんですけど?


≪フハハハハハハ・・・さすがは私だっ!!あれほどの威力にも関わらず、まったく影響がないとはっ!!≫


バルゴラ、すごいのはお前じゃなくてヒロさん達だ。



「シグナム、無事かっ!?」


アギトの声に俺が前を向くと、そこにはシグナムさんがレヴァンテインを構えて立っていた。

よかった・・・・・・なんとか無事だったみたいだ。




「・・・あぁ、なんとかな。アギト、さっそくで悪いがユニゾンするぞ。フレイホークやスクライアも気を抜くな。」

「・・・・・・どういう事です?」


すると、一瞬だけやわらかい雰囲気になったシグナムさんが再び気を引き締めてこちらに駆け寄ってくる。

よくみれば、先ほどまでシグナムさんが居た場所付近には古びた剣が突き刺さっており、その周りには脱ぎ捨てられた鎧が転がっていた。


・・・・・・いったい、何があったんだ?


「・・・ここに封印されているというロストロギアと遭遇した。簡潔にいうと、故意に融合事故を起こしてロードの身体を奪い、自らの思うがままに操るという融合騎だ・・・あれは、封印などという生ぬるいものではなく今この場で破壊するべきだ。」

「なんだってっ!?」

「そ、そんなものが封印されていたなんて・・・」


・・・ヤバイってレベルじゃないでしょそれ。


≪・・・ちなみに、性格はどうなのだ?といっても、なんとなく想像はつくが・・・≫

「最悪だな。いや、壊れているといったほうが正しいか・・・」





「あらあら、ずいぶんな言い分ねぇ?私は、あなたの事をとぉっても気に入っているのに。」



すると、禍々しい気配と共に黒髪の女性が玉座の上に現れる。その女性は妖艶な笑みを浮かべ、その真紅の瞳でシグナムさんを捉えていた。



・・・実際に相対すると、そのヤバさがはっきりと伝わってくる。

それは、ここにいるすべての皆が同じ意見のようだ。



「・・・貴様に気に入られるとは、吐き気がするな。」

「それに、シグナムは私のロードだっ!!お前なんかが入る余地はねぇっ!!」

「ロード?・・・フフフ・・・アハハハハハハッッッッ!!ばっかじゃないのぉ〜?私にロードなんていらないわよ。必要なのは、私の力を最大限に発揮できる器だけ。そして・・・・・・新たな器は、目の前にある

「「「「なっ!?」」」」



その言葉と共に、女性の背後から現れた闇が触手のようになってシグナムさんを捉えると、宙に浮かんだ女性の元へと運ぶ。





「さぁ・・・私を、受け入れなさい?」

「止めろ・・・止めろぉぉぉぉぉぉぉっっっっっっ!!!!!」




俺はバルゴラを構えて突撃するが、闇で出来た触手が俺の体を縛り付けて地面に叩きつける。

顔を動かせば、アギトやユーノさんも同じ状態になっていた。



「あ・・・ああああああああああああああああああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっっっっっっっっっっっっ!?!?!?」




・・・・・・そして、シグナムさんを闇が包み込む。

そのバリアジャケットは禍々しい黒と紫に染まり、長かった桃色の髪は暗黒のような黒に。

レヴァンテインも禍々しく鋭さを増し、そして・・・光を失った瞳は、赤く輝いていた。











「・・・・・・アハハハハハハハハハハハハッッッッッッッッッッ!!なんて、なんてすばらしい体なのかしらっ!!これほどの逸材が現れるなんて、まさに運命だわっ!!」

「・・・グローリーシステム、起動っ!!」

≪おい、マスターッ!?≫


背中にディスキャリバーを背負った俺は地面を蹴ると、シグナムさんの体を乗っ取った融合機へと迫りバルゴラを振るう。

だが、その刃はいとも簡単に受け止められてしまった。





「あら、何のようかしら?」

「ふざけるなっ!!シグナムさんの体は・・・返してもらうっ!!」

「嫌よ。せっかくの新しい体なのに・・・・・・でも、良い事思いついた。」


そして、ソイツはシグナムさんの顔で嘲笑う・・・・・・止めろ、お前がその顔で喋るな。



「どうやら、この体にとってあなたは少なからず大切な存在みたいね?・・・ちょうどいい。自らの手で大切な存在を滅ぼす絶望を・・・味あわせてあげるわ。」

「っ!?」




襲いかかってくるのは、的確に急所を狙ってくる黒い斬撃の嵐。俺はそれを、受け止める事しかできない。


リミッターは掛かっているはずなのに・・・いつもより斬撃が重いっ!!



「どうしたの、この体を返してほしいんでしょう?」

「・・・なめんじゃねえぇぇぇっっっ!!」



グローリーシステムで過剰供給した魔力を自己ブーストとバルゴラに回し、俺はヤツの攻撃を退けてその腹部に斬撃を叩き込むっ!!


「ぐっ・・・なかなか、やるじゃないっ!!」

「まだまだぁぁぁっっっ!!ギガ、インパクトッ!!」



本日二発目となるその紺色の衝撃は、轟音と共にヤツを壁へと叩きつける。



「ハァッ・・・ハァッ・・・」

≪マスター、大丈夫か?≫

「・・・問題・・・ないっ!!」


地面に降り立った俺は思わず膝をついてしまうが、バルゴラを杖代わりにしてなんとか立ち上がる。


脳裏には、ライラの言葉が思い浮かんだ。






◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆






「・・・兄さん、忠告しておきたいことがあります。」

「ん、なんだ?」


それは、スラッシュフォルムにメイルの能力を再現したギミックを搭載した後の夜だった。


メイルはなぜか俺の膝を枕にして眠っており、ライラが眠気ざましのココアを入れてくれた所だ。


「メイルのISを再現したギミックですが、グローリーシステムとの併用はなるべく止めてくださいね?」

「・・・どうしてだ?」

「威力が高くなりすぎるんです。高密度の魔力を瞬間的に炸裂させる訳ですから、ただでさえ肉体的に負担の大きいグローリーシステムと併用したら・・・分かりますよね?」


・・・・・・確かに、試験的に使った時は腕が吹っ飛ぶかと思ったしな。


「・・・まぁ、どうしても使用しなければならない時があると思います。その場合は仕方ないですが・・・あまり、無茶はしないでください。」




◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆





≪とは言うが、今回は無茶をしなければならない時だな。≫

「あぁ・・・そうだよ。」



ハハッ、帰ったらライラに説教されてメイルが涙目でヒロさん達が鬼のような形相で訓練するんだろうなぁ・・・・・・


でもまずは、シグナムさんを助けてからだ。


「ジン君っ!!」

「おい、大丈夫かっ!?というか、シグナムはっ!?」


・・・・・・おいおい、まだヤツが倒せた訳じゃ・・・・・・



「・・・・・・なかなか、やるじゃない。」




感じられるのは、殺気と怒気。壁に大きく生まれたクレーターの中心には、バリアジャケットが若干破れながらも顕在のヤツがいた。


・・・・・いや、それだけじゃない。


ヤツが構えるレヴァンテインには、黒く禍々しい炎が・・・轟々と燃え盛っていた。


≪・・・ばかな・・・自身だけの魔力で収束魔法に匹敵するほどだとっ!?どれだけ規格外なのだヤツはっ!?≫



バルゴラの叫びを聞いて、嫌な予感は的中する。

ユーノさんを見れば、殺気によって体が硬直しているのが分かる。


・・・・・・ヤバイっ!!



「舞い踊れ、獄炎の隼・・・・・・シュバルツ、ファルケンッ!!」



振り抜かれた刃から、黒い炎に包まれた鳥が俺達に襲いかかる。

全魔力をバルゴラに集めると、俺はユーノさんとアギトの盾になるように前に出て剣を構えた。






「おおおおおおぉぉぉぉぉぉぉっっっっっっっっ!!!!」






そして、俺の視界を・・・・・・黒い炎が包み込んだ。








◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆







・・・・・・目の前で、フレイホーク達が黒い炎に飲み込まれる。


それを見た瞬間、私の中で何かが壊れそうになる。


だが、このいくら拳を叩きつけても、この暗い牢獄からは抜け出せない。



アハハハハハハハッッッッッッ!!どう?目の前で大切な存在が死ぬのは?しかも、殺したのが自分自身だものねぇ?

「黙れぇぇぇぇぇっっっっっっ!!!!」



嘲るような声が、暗闇に響く。それが、私の心を怒りに染め上げる。



まだまだこれからよ?あなたにはたっぷり絶望を味わってもらわなくてはいけないの・・・ほら、これはどう?



暗闇に浮かび上がるのは、主はやてやヴィータ達の幻影。それを、ヤツは笑いながら蹂躙する。



「これ以上、私の大切な者達に手を出してみろっ!!貴様は・・・この手で必ず殺すっ!!」


できるのかしらあなたに?既に、大切な人を失っているあなたが?




そして聞こえてくるのは・・・・・・先程とは違う声。




・・・痛い、痛いよシグナム・・・

・・・どうして・・・僕がこんな目に・・・







・・・・・・それは、アギトとスクライアの声。その声に、私の心が凍り付いていく。



さらに目の前に現れるのは・・・・・・左腕と右足を失い、全身から血を流し、暗い瞳を輝かせるフレイホークの姿。



違う・・・これは幻影だ・・・落ち着け・・・



・・・シグ・・・ナム・・・さん・・・




・・・止めろフレイホーク・・・そんな声で私を呼ぶな・・・





フフフ♪彼らも数奇な運命を辿るわよねぇ?あなたを助けようとして命をかけて、そして死んでいく・・・あなたに関わらなければ、こんなに短い人生を辿らなくてもよかったのに・・・




・・・・・・その言葉が鎖となり、徐々に私の体を縛り付けていく。

否定しようとするが・・・体は、動かない。



そして、気づいていたかしら?彼はあなたの事を少なからず好いていた。

あなたもまた、心の奥では彼の事を好いていた・・・・・・本当にバカよねぇ?いくらあなた達が望んでいた事で、だんだんと人に近くなっているとはいえ・・・・・・






































あなたは『人間』じゃないもの。






彼と結ばれたところで、彼に親になる喜びを与えることもできないし、いずれあなたより先に死んでいく。





その言葉は、刃となって私の心に突き刺さる。




そして、体が闇に呑まれていく・・・・・・体は、指一本すらも動かない。


この闇から抜け出さないといけないはずなのに・・・・・・動かそうとすると、恐怖が心を支配する。




無意識の内では、あなたも気づいていたのでしょう?だからこそ、あなたは彼の気持ちに気づかない振りをした・・・彼にも辛い思いをさせないから。あなたは実に優しいわ・・・・・・

・・・・・・だから安心しなさい?その闇の中で眠れば、あなたを苦しめるものは何もない・・・・・・そう、安らかに眠れるわ・・・・・・






・・・あぁ、このまま闇の中に飲まれるのも・・・いいのかもな・・・



・・・申し訳ありません・・・主、はやて・・・

























































































「いい加減に目を覚ませ、この大馬鹿者がっ!!」











瞳を閉じようとしたその瞬間、吹き荒れる風が闇を吹き飛ばす。







な、なんなのっ!?










そして、黒い羽を撒き散らしながら・・・光に包まれた存在が私の目の前に現れる。


それは、黒い服に銀色の髪。その赤く輝く瞳は、まっすぐにこちらを見つめている。



「・・・無様だな烈火の将。あのような戯言に惑わされるとは。」

「・・・リ・・イン・・・・・・フォース・・・?」





・・・・・・そこには、あの雪の夜に消えたはずの『彼女』が立っていた。





・・・なんなのよあなたはっ!?この空間には、私以外の何者も入れぬはず・・・



「・・・この脆弱な空間がか?私の前には無意味だ。さぁ、心の闇に漬け込み、支配しようとする哀れな融合騎よ・・・・・・ここから立ち去れっ!!」


そして、リインフォースが腕を振り抜くとヤツの気配が消え去り、私の体を縛っていた鎖が砕け散る。



「・・・リインフォース・・・生きて、いたのか?」

「そんな訳がないだろう?ヤツに飲み込まれた魂達が力を貸してくれて、一時的にこれただけにすぎん。役目が終われば、また消えるさ。」

「・・・そう・・・か・・・」


・・・言われてみれば、リインフォースの体は淡く輝いている・・・まぁ、これが夢だろうと・・・私には関係の無い事だ。


「・・・それで?お前の役目とはなんだ?」

「主達には見せれない程の情けない姿を見せたお前を、ひっぱたきにきた。」

「・・・・・・は?」

「まさか、ここまで色恋沙汰に疎かったとはな・・・怒りを通り越して呆れたぞ?だいたい、自分の気持ちに気づいていなかったのが驚きだ。まぁ、見ていて面白かったではあるが・・・主や鉄槌の騎士が苦労する訳だ。主など、あの青年とお前の仲が少しでも進展するようにいろいろ手を尽くしていたというのに・・・」



・・・ちょっと待て、訳がわからないのだがっ!?というか、主はやてはそんな事をしていたのかっ!?そして、お前はなぜそれを知っているっ!?



「・・・あの古き鉄の少年に力を貸してからは、常にお前達を見守っていた。何度かは、我が妹とも夢という形で語りかけていたしな・・・」



・・・・・・そうか、お前は消えてもなお・・・・・・我々を見守ってくれていたのだな。主はやても、きっと喜ぶだろう。

それに・・・・・・私の想い、か。



「・・・だが、この想いも無意味だ・・・いくら操られていたとはいえ、私はこの手で・・・・・・フレイホーク達を・・・・・・」



「・・・・・・はぁ・・・・・・世話のやける。」







すぱぁんっ!!





「なっ!?」



気持ちが沈んでいた私の頭を、リインフォースがハリセンで叩く・・・それはどこから出したっ!?



「秘密だ。それに・・・お前は思い違いをしているぞ?」

「・・・・・・どういう意味だ?」


私が問いかけると・・・・・・リインフォースは、笑みを浮かべた。




「お前が心を許した青年が・・・・・・そう簡単に死ぬと思うか?」



その言葉と共にリインフォースが手をかざすと、その先には・・・・・・温かさを感じさせる、夕暮れのような炎が燃え上がっていた。








◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆









・・・・・・あ、あれ?ぜんぜん熱くない・・・・・・



殺気で体がすくんでしまった僕は、炎に包まれたはずの自分の体が熱くない事に違和感を感じる。






「おおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ、らあああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっっっっっっっっっっっっ!!」



黒い炎をかき消したのは、赤ともオレンジともつかない・・・・・・炎のような光。

それを放っていたのは・・・・・・ジン君、だった。


≪・・・・・・ついに、マスターも人外の仲間入りか。≫

「どういう意味だ、バルゴラ?」

≪高町教導官の収束魔法並の魔力が込められた塊をぶった切るだとっ!?いくら私が超頑丈で優れたデバイスとはいえ、ヘイハチ一門ぐらいしかできない事をするんじゃないっ!!≫

「それ、さりげなくお前の自慢してるよなぁっ!?・・・って、ユーノさんとアギトは大丈夫ですか?」


バルゴラと喧嘩しながら振り向いたジン君の瞳は・・・・・・橙色に染まっていた。


・・・・・・どういう、事?


「お、おいジン・・・お前、魔力光が変わってるぞ?それに、なんだよその瞳っ!?」

「≪・・・・・・なにこれっ!?(なんだこれはっ!?)≫」



え、二人も分からないのっ!?



さらに驚くのはそこからだった。


だいぶ前から地面に突き刺さっていた銀色の剣が突如光を放つと、ジン君の手元に飛び込んでくる。

そして、その光は再び剣となって・・・ジン君の手に収まった。


≪登録完了。≫

「はっ!?」

≪待て待てっ!?何者だ貴様はっ!?≫

≪お初にお目にかかる。我が名はカリバーン・・・よろしく頼むぞ、新たな主よ。≫

「いや、訳が分からんっ!!」

≪単刀直入に言う。あの融合騎を倒すのに力を貸して欲しい・・・我には依代からヤツを引き剥がす魔法が組み込まれているのだが、先代マスターはそれを使う間もなくヤツに取り込まれてしまったのだ。状況は把握している・・・そちらにとっても損のある話ではあるまい?≫



その銀色に輝く剣は、ジン君にそんな事を語りかけてくる・・・・・・確かに、これはチャンスだ。

あのユニゾンデバイスを切り離せるのなら弱体化にもつながるし、なによりシグナムさんを取り返せる。


「・・・・・・って事は、拒否権はないな。わかった、よろしく頼むぜ?」

≪仕方ないな、私の足をひっぱるなよオイボレ。≫

≪貴様こそな、若造・・・・・・それと、そこのちっこい融合騎。≫

「誰がちっこいってっ!?あたしには、アギトっていう立派な名前があるんだっ!!」

≪そんな事はどうでもいい。お前は主と融合しろ。我には、融合騎と主の融合を補助する機能もある・・・お前の力を余らせておくのも馬鹿らしいしな。≫




・・・・・・うん、どんどん話が進んでいくねっ!!そして、僕は役に・・・・・・立たないか。さっきは足がすくんで動けなかったし・・これ以上は、ジン君の邪魔になる。



「・・・・・・ジン君、僕は転送魔法でいったん離脱して管理局に連絡をとるよ・・・足手まといには、なりたくないしね。」

「ユーノさん・・・」

「・・・必ず、シグナムさんを連れて戻ってきてよ?」

「・・・・・・はいっ!!アギト、とにかく行くぞっ!!」

「何がなんだかわかんねぇけど仕方ねぇ・・・・・・おぅっ!!」














「ユニゾン・インっ!!」








その瞬間、ジン君とアギトの身体を赤い魔力の光が包み込む。





そして、アギトはジン君の中へと入り・・・ジン君のバリアジャケットが変化する。

一旦ジャケットと背中の翼のようなデバイスが消えると紺色だったパンツとグローブ、インナーが黒に染まる。


足元のブーツはアンカージャッキがブースターのように変化すると赤銅に色を変え、バルゴラは淡い水色に、カリバーンと名乗ったデバイスは赤みがかった金色に色を変える。

紫がかった青色に、袖口と下の方にオレンジ色のファイアーパターンが入ったコートがジン君の上半身を覆うと、その背中に先程よりも若干巨大化し、真紅に染まった翼型のデバイスが装着される。


そして、ジン君の髪が薄いオレンジに染まり、オレンジ色だった瞳は薄い紫に変わる。





そのまま空中に舞い上がると、背中の翼が勢い良く広がり、炎の翼を作り出す。

その姿はまるで・・・・・・まるでおとぎ話に出てくる、勇者のようだった。




「・・・・・・ちょっと待て、なんで空飛んでるのっ!?というか、なんかレオーが変わってるしっ!?」

【あたしもびっくりした・・・けど、お前大丈夫なのか?どれだけ魔力を体に送り込んでんだよ。そのうち体ぶっ壊れるぞ?】

≪ついでに言っておく、これは私もびっくりだっ!!≫

≪ふむ、うまくいったようだな・・・久しぶりに動かしたから、下手したら失敗するかもしれんと思ったが・・・≫

「≪【何怖いこと言ってるんだお前はっ!?】≫」




そんな様子に少し苦笑しつつ、僕はその場を後にする。

・・・・・・僕は、僕に出来ることをやるだけだ。






◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆









・・・・・・まぁ、いろいろ変化してるのは置いておこう。



「・・・・・・気に入らない、ものすごく気に入らないわ。」



今は、目の前にいるヤツをぶっ潰さなきゃな。



「・・・何が気に入らないって?」

「アンタがよ。だいたい、アンタは知ってるのかしら?アンタが惚れているこの女は人間じゃない・・・たとえ結ばれた所で、子供を生む事もできなければ・・・自分が老いても、相手は変わらぬまま。そんな不幸を味わうより、さっさと逃げ出して・・・


「だったらどうした?そんな事で俺が迷うとでも思ったか?」


・・・っ!?」




・・・・・・馬鹿にすんのも大概にしろ。



「そんなの、俺がシグナムさんを助けない理由にもならなければ、嫌いになる理由にもならない・・・・・・俺は、今のままのシグナムさんが好きなんだっ!!その想いを・・・・・貫き通すっ!!」





【・・・・・・うわぁ、聞いててこそばゆくなっちまったよ。】

≪どこのGガンダムだ?≫

≪・・・クク、今度の主は先代にも勝るとも劣らん馬鹿加減だな。だが、そっちの方が好ましい。≫



やかましいわっ!?今さらながら、俺の方が恥ずかしいんだよっ!!



「・・・・・・だったらいいわ。アンタがそれほどこの女の事を思ってるなら・・・殺した時に、絶望が深くなりそうだしね?」


そして、ヤツは目の前から姿を消す。

だが・・・・・・




俺は振り向くと、頭上にバルゴラを構える。すると、バルゴラを構えた所にレヴァンテインの刃が振り下ろされた。


「なっ!?」

「殺気がダダ漏れなんだよ。シグナムさんは・・・返してもらうっ!!」



剣を弾くと、逆手に持ち替えたカリバーンをヤツの腹部に叩き込む。



「・・・がはっ!?」

「まだまだあああぁぁぁぁっっっっっ!!」



体をひねってヤツの顎を蹴り飛ばすと、それを追いかけて十字に剣を振り抜く。バルゴラの方で炸裂した魔力もあいまって、ヤツは天井に叩きつけられた。


・・・・・・だが、俺の体にかかる負担もハンパないようだ。振り下ろした瞬間、右腕からブチィッっていう音が聞こえ、バルゴラを落としてしまう。

地面に降りてバルゴラを拾おうとするが、右腕の肘から下がまったく動かない。



≪マスター!?≫

【お、おいっ!?本当に大丈夫なのかよっ!?】

「・・・・・・わかってる、速攻で決めるぞっ!!」

≪ならば・・・若造っ!!≫

≪・・・なん・・・だと・・・!?≫


カリバーンとバルゴラが宙に浮かんだかと思うと、二本の柄尻が重なり、一つの巨大な剣になる・・・いやいや、どこの種死版エクスカリバーだ?いや、ジオグレイソードの方が形が似てるな。

・・・まぁ、左腕で振るうならこの形が都合がいい。


俺は左手で握り締めると、ゆっくりと天井を見上げる。そこには、先程よりも大きな黒い炎を携えたヤツがいた。




「・・・調子にのるなよ貴様ぁぁぁぁっっっっっっ!!!!シュバルツ、ファルケンッ!!」



そして、先程よりも巨大な黒い鳳凰が俺に襲いかかってくる・・・・・・だが、負ける気がしない。



≪ゆくぞ、主、小僧っ!!≫

≪任せろっ!!≫

「アギト、いけるかっ!!」

【ばっちりだっ!!】




俺はバルゴラ達を構えると、両方の刃に炎が燃え上がる。それは、俺の怒りを現しているかのような・・・紅蓮の炎。


【火竜・・・】

「咆哮っ!!」

【「ブレイズ・・・バァァァァストォォォォォッッッッ!!」】




・・・・・・繰り出した突きと共に、炎が翼を広げた竜のようになって、黒炎の鳳凰とぶつかり合う。



【「おおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっっっっっっ!!」】


「無駄無駄無駄無駄ぁぁぁぁぁぁっっっっっっ!!」





二つの炎が拮抗したのは、わずか一瞬の事だった。

















































「ぎゃあああああぁぁぁぁぁぁぁぁっっっっっっっっっっっ!?!?!?!?」
















打ち勝ったのは、炎の竜。黒い鳳凰を飲み込んだ炎は、そのままヤツを飲み込んで・・・焼き尽くす。






≪・・・・・・!?マスターッ!!≫

「わかってるさっ!!」






・・・炎の中から、何かが落ちてくるのが見えた。俺はとっさにその落下地点へと急ぎ、それを受け止める。

















































それは・・・・・・なぜか裸で落ちてきた、シグナムさんだった。


【・・・おい。】


・・・・・・あ、ヤバイ。


「・・・う・・・フレイ・・・ホーク・・・・・・っ!?・・・この・・・馬鹿者ぉぉぉぉっっっっ!!」

「ぐぶっ!?」

≪なんというラッキースケベ。さすがマスター、歪みないな。≫


目を覚ましたシグナムさんに殴られると、俺は後ろに倒れこむ。今頃になって、右腕が痛んできやがった。

ヤバイ、超痛いんだけどっ!?あと、バルゴラは黙ってろっ!!

痛みに耐えつつ体をなんとか起こすと、顔を真赤にしつつもバリアジャケットを纏ったシグナムさんがこちらを見つめていた。



「・・・ま、まぁ助けてくれた事には礼を言おう・・・」

≪本当に済まなかった。≫

「・・・・・・どういたしまして。」

【シグナム、本当によかったなぁっ!!】

「・・・アギト?なぜお前がフレイホークとユニゾンしているっ!?」

≪・・・まぁ、その話は後にしてくれ。まだ、ヤツを倒した訳ではない。≫




カリバーンの声に頭上を見上げると、そこにはボロボロになりつつも怒りの視線を向けるヤツの姿。


・・・・・・第三ラウンド開始、ですか。




≪ヤツめ、先代の姿をしているとは・・・反吐が出る。≫


カリバーンの怒りはごもっともだが、どうやってアイツを倒すんだよ?俺、もう動けないんだけど。

アギトはユニゾンを解除して、シグナムさんの所にいるし・・・申し訳ないけど、シグナムさんに任せるか?


「・・・・・・ブッ殺ス。貴様らは、絶対にブッ殺スッ!!」



そして、闇の波動とも言うべきものが俺達に襲いかかってきた。
























けど、その闇が俺達に届く事はなかった。


白金の光が俺達の前に現れ、ベルカの魔法陣と共に強固な盾となる。

そして、その光と俺達の間に立っているのは・・・・・・カリバーンと一緒に転がっていたはずの鎧。

その鎧は白金と緑に輝き、どこか神々しさを感じさせる。



「馬鹿な・・・・・・ソイツの肉体は私が奪ったのよっ!?なんで鎧だけで動いているのよっ!?」


どうやら、ヤツにとっても想定外の事らしい。だが、カリバーン・・・どういう事だ?



≪・・・やれやれ、もう別れの時が来たのだな。≫


鎧の騎士は俺の元に近づいて手を差し出す。なんとなくだが、俺は待機状態のカリバーンをその手に乗せる。

すると、カリバーンは剣の状態へと変わると、刃の根元に埋め込まれた宝玉から光が飛び出し、俺の手に乗せられる。



それは、カリバーンと同じ形状のアクセサリー。片方は金色で、もう片方は淡い蒼銀。


≪・・・・・・それらは、先代の友が使っていた物だ。主になら、安心して任せられる・・・・・・では、さらばだ。≫



そして、俺達は光に包まれる・・・・・・それと同時に、俺の意識は遠のいていった。






◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆







・・・・・・これで、よかったのだ。これ以上、主を傷つける訳にもいかん。


自律行動を行っていた鎧に意識を重ねると、情報が流れ込んでくる。



そして伝わってくるのは、先代の主が籠めた想い。

自らの思念を物質に宿し、後世に伝える為の魔法・・・その魔法を、先代は鎧に施しておいたのだ。

万が一自らが敗れた時でも、ヤツを滅ぼす為に。さらに自らの肉体に封印を施し、体を奪われてもヤツがこの地から抜け出せないようにするとは・・・先代も、なかなかの策士だな。




だが、鎧に施された魔法が起動する為には大量の魔力が必要となる。いくらこの地に封じられたとはいえ、ヤツは抜け目がない。魔力消費を最小限に押さえ、永い時を生き延びていた。

しかし、主とその想い人によってこの地には魔力が溢れている。主の装備の中に周囲の魔力を取り込んで力とするものがあったのには驚いたが、さっきの一撃で大半は消費したはずだ・・・これならば、起動条件を満たしているはずだ。



・・・・・・掌握完了。これで、ヤツを滅ぼす事ができる。



「・・・なんなのよそれっ!?なんで、肉体もなしに鎧が・・・」

≪貴様が知る必要はない。おろかにも力を求め、自らの本来の役割すらも忘れた融合騎よ・・・・・・貴様の、終焉の時だ。≫

「!?これは・・・貴様、最初からこれが目的かっ!!?」



ヤツが光の鎖に縛られたのを確認すると、我は姿を変える。鎧の右腕と同化し、剣から巨大な刃を伸ばす。


それは、もはや剣ではなく砲。そして、我が最後の一撃を放つ為の切り札。


すでに布石を打ってある・・・・・・もはや、逃げることはできん。




≪さぁ、我と共に虚空の彼方へと消え去るがいいっ!!≫










疾風を司りし、龍帝の咆哮ドラグニティ・ノヴァっ!!




次元をも歪める閃光が、我らとヤツを飲み込んでいく・・・・・・


























主よ、短き間だったが・・・世話になった。















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆










暖かい日差しに目を覚ますと、目の前に広がるのは白い天井。


・・・ここは・・・







「・・・お、気がついたようやな・・・シグナム、大丈夫かぁ?」

「・・・主・・・はやて・・・?」




声の方向に顔を向けると、そこには柔らかい笑みを浮かべた主はやてが座っている。


「・・・・・・主はやてっ!!・・・っ!?」

「あぁほら、そんなに慌てんでえぇって。三日も眠り続けてたんよ?」



三日・・・・・・それほどまでに・・・・・・



「まったく、ユーノ君とアギトから話を聞いた時は驚いたで?・・・でも、無事に帰ってきてくれてよかった。」

「・・・申し訳ありません・・・」

「えぇってえぇって。検査の結果、シグナムの体には異常は見当たらんようや。」




・・・その言葉で、ようやく自分がいる場所を自覚する・・・あぁ、聖王教会の医療施設か。



「・・・主はやて、あれから・・・どうなったのです?それに、フレイホークは・・・」

「・・・ユーノ君が出した救援要請に、たまたま巡航任務を終えて帰還しようとしていたクロノ君の艦隊がキャッチ。現場に向かったんやが・・・・・・シグナム達が訪れたっちゅう遺跡、ユーノ君達の目の前で次元震に飲み込まれた。あ、りんご食べる?」

「えぇ・・・いただきます。」



主はやてはバスケットに入っていたりんごを器用に剥きながら、話を続ける。



「・・・けど、シグナム達はなんらかの転送魔法で遺跡の外に放り出されていたんや。という訳ですぐさまクラウディアの医療室に運び込まれ、今に至るっちゅう訳や・・・そんで、フレイホーク君なんやがな・・・今は、本局の医療施設に居る。」


・・・・・・本局の、医療施設?


「目は覚めとるんやが、全治二ヶ月の重体や。まぁ、話を聞いたら驚くより呆れたけどなぁ・・・グローリーシステムの過剰使用、スラッシュシステムに搭載されたビートインパクトシステム、そしてアギトとのユニゾン・・・体がボロボロになるのは当たり前やっちゅうに。メイルとライラなんか、慌てて来た上に大泣きやで?」



・・・・・・そんな事になっていたのか・・・・・・




それからしばらくは、主はやてがりんごの皮を剥く音だけが響く。

りんごを綺麗に切り分けて皿に盛りつけた後・・・・・・主はやては、口を開いた。



「・・・アギトから聞いたのは他にもある・・・ジン君、盛大に告白したそうやな?それでよく死亡フラグを乗り切れたもんや・・・」


口調は軽いが、その瞳には真剣な眼差しが浮かんでいる・・・やはり、見抜かれてたか。


「・・・・・・迷っています。フレイホークの想いにどう答えていいものか。」

「やっぱりなぁ。シグナムは色恋沙汰に疎かったから、それも仕方ないっちゃあ仕方ないんやが・・・」

「・・・いえ、迷っている理由は違うんです。」






・・・・・・私は話す。あの闇に囚われていた時の事を。そして、リインフォースに出会った事も。

それを、主はやては黙って聞いており・・・・・・一区切りついた所で、ようやく口を開いた。




「・・・リインフォースの言うとおりや。シグナムは本当に馬鹿やなぁ・・・」



ため息をつく主はやてに、私は俯いてしまう。



「なに辛気臭い顔してんねんっ!!」


びしっ!!



「あいたっ!?」



すると、主はやてが手刀を頭に軽く振り下ろす。私は頭を抑えつつも、主はやての顔をみた。



「馬鹿やっちゅうのは、その無駄に悲観的な所や。だいたい、忘れとるん?うちらは家族やけど、みぃぃぃんな血なんて繋がっておらん・・・・・・大事なのは、心のつながりや。」

「・・・心の・・・つながり・・・」

「シグナムの不安は、シグナムだけのものやない。世界を見わたせば、同じような問題を抱えている人なんてたっくさん居る・・・それでも一緒に居たいから、共に歩む人も居るはずや。」


・・・主はやて・・・



「・・・・・・だから、きちんと答えを出してあげるんや。自分の気持ちに正直になって。」












・・・・・・私の、気持ち・・・・・・











◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆





「・・・・・・あ〜、こんなに休めるのは久しぶりかもな・・・・・・」

≪確かに、六課が解散してから今までが嘘のように仕事が入っていたからな・・・≫



俺が本局の医療施設に運ばれて、もう一週間程にもなる。

・・・ここに運び込まれた時には意識が目覚めたのだが、メイルとライラは大泣きし、ヒロさんとサリさんには怒鳴られ、ヤスフミには呆れられと実にさんざんだった。

そして、医者が言うには全治二ヶ月。うん、よくそれだけで済んだものだ。

しかし、リハビリが大変そうだなぁ・・・メイルとライラはヒロさんが預かってるし、しばらくは専念出来そうだけど。






・・・・・・そういえば、あの戦いで起きたあの能力についても、ライラが教えてくれた。

なんでも、母さんの家系の中に複数の魔力光を持つ人達がいたらしく、その能力が偶発的に発現したのではないかとのことだった。

本来ならSランク級の魔力を持っている人しかその能力は現れないのだが、グローリーシステムで魔力を過剰に取り込み、アギトとのユニゾンやカリバーンのシステムなど様々な要因によって俺の場合は発現したとの事だった。

しかし、単に魔力光が変わるだけなので微妙なレアスキルのようだ・・・ライラの場合は、3種類の魔力光に加えて魔力変換資質を『埋め込まれた』らしく、色々規格外だが。

まぁ、ここまでの話は小さな伏線だ。これからの物語にはさほど影響はないだろう。





コンコン


「・・・なんや、思ったよりは元気そうやな。」


すると、病室をノックする音が聞こえ、はやてさんが中に入ってくる。その手には、色とりどりの果物が入ったバスケット。


「・・・仕事はいいんですか?」

「お陰さまで、少しは休んでもええくらいの余裕ならなぁ・・・だいたい、こんな美人が見舞いに来たっちゅうのに顔を赤らめるくらいはしてほしいんやけど。」

「・・・・・・この一週間に俺の見舞いに来た人達は、世間一般的に言うなら『美人』の大集合ですけど?」


顔は美人だけど・・・ねぇ。


「なんか引っかかる言い方やなぁ・・・まぁ、うちはついでに来ただけや。」


・・・ついで?


「ほら、いつまで恥ずかしがっとるんだよ!!」

「だ、だがっ!!このような格好はしたことが無くてだな・・・」

「いい加減覚悟を決めろってっ!!」






入ってきたのは、ヴィータさんとアギト。そして、二人が引っ張るようにして・・・・・・





淡い水色のワンピースをつけた、シグナムさんが入ってくる。








「・・・だ、だから言ったではないですか主はやてっ!!やはり私にはこんな服は似合わないとっ!!」

「甘いでシグナム!!普段そんな服を着ないからこそ、ギャップ萌えというものが存在するんやっ!!だいたい、シグナムは顔はいいしスタイルも抜群、少し気合入れてオシャレしたらそれこそモデル並やっ!!」

「現に、フレイホークも見惚れていたみたいだしなぁ?」






・・・ヴィータさん、そうニヤニヤしてみないでくださいよ。見惚れていたのは認めますけど。




「ほらなぁ?」

「・・・え・・・あ・・・う・・・」

「大丈夫だってシグナム、ちゃんと似合っているからさっ!!」


顔を真赤にして俯くシグナムさんの肩を、笑顔でアギトが叩く。

・・・・・・なんですかこの可愛らしさは。あの強気なシグナムさんが、ウサギみたいに見えるんですけど?



「という訳で、あとは二人で話すんやな。あ、これも預かっとくわ。」

≪なっ!?後生だ八神殿っ!!こんなからかいがいのある展開を見逃す訳には・・・≫

「「「それじゃっ!!」」」





・・・そして、バルゴラを連れて3人は病室を後にする。残されたのは、顔を真赤にした俺とシグナムさん。



「・・・と、とりあえず席に座ってくださいよ・・・」

「あ、あぁ・・・・・・」















・・・・・・沈黙が、病室を支配する。お互いに、顔をちらっと見ては視線を逸らすといった事を繰り返す。

駄目だ、いろいろ恥ずかしいこと暴露してるしなぁ・・・・・・あぁぁもうっ!!どうすりゃいいんだっ!?














「・・・・・・あれから・・・・・・考えていたんだ。あの戦いで、お前が叫んだ言葉を。」





ポツリと、シグナムさんが言葉を漏らす。

そして、シグナムさんはゆっくりと語り始めた。自分がどのような存在なのか、そしてどんな事をしていたのか。

・・・・・・それは、ここでは省略する。それにはさほど意味はないし、知ったところで俺のシグナムさんに対する気持ちは変わらないから。







「・・・それでだ・・・私は、戸惑っている。自分の中の気持ちにも、お前の言葉に対しても。」

「・・・・・・そう、ですか・・・・・・」






・・・・・・・その言葉に、少しだけ気持ちが沈む。そこから連想される言葉は、俺には一つしか思いつかなかったから。









「・・・だから、私はもう少しこの気持ちと向きあってみたい・・・・・・お前の隣で。」




だからこそ、そのシグナムさんの言葉には驚いた。そして、頭の中が混乱する。






え、その・・・つまり・・・?





「・・・私に、もう一度言わせる気か?いいだろう・・・・・・私は、お前の隣で歩んでいきたい。それが、お前の言葉に対する私の答えだ。」





シグナムさんは、俺にはにかんだ笑顔を見せる。



「・・・・・・あ・・・こちらこそ、よろしくお願いします。」








・・・・・・こうして、俺とシグナムさんは付き合うことになった。










(シグナムルート・・・おしまい)









あとがき




ジン「はい、という訳でようやく一区切りをみせたシグナムルート、いかがだったでしょうか?あとがき内でのティアナとシグナムさんが怖いジン・フレイホークです。」

シグナム「きちんと登場するのは初めてだな。烈火の将、シグナムだ。」

バルゴラ≪そして、私でお送りするぞっ!!≫

ジン「しっかし、ようやく終わったなぁ・・・一話が出来たのが去年の9月だろ?」

バルゴラ≪そして、徐々に書き上げるスピードが遅くなり・・・・・・今に至るという訳だ。≫


(えぇ、本当に大変でした。)


シグナム「そして・・・あ、そのなんだ・・・キスシーンとかは・・・ないのだな・・・」

バルゴラ≪まぁ、最初は入れる予定だったらしいが、今回の話を書き上げる中で変更したらしいな。第一、この話も書き直しているくらいだしな・・・≫

ジン「そうなのか?」

バルゴラ≪本来は闇の書を倒すために作られた魔道書が出てくる予定だったのだが、まぁA's系二次創作の基本みたいな感じでもあるし、もう少し変化球がほしいと思ったそうだ。≫

シグナム「それが、あれなのか・・・」

ジン「でも、地味に影響されてるよなこれ?ぶっちゃけて言うと、某王国心の最新作(※4/14時点です)とか。」

バルゴラ≪確かに、カリバーンとかは影響されているだろうな・・・・・・そして、この後に出てくるメンバーも。≫

ジン「この後?」

バルゴラ≪一応、アフターも各予定だそうだ。ただし、マスター達に焦点を当てたのではなくその後・・・いわば、恭太郎のお話のようになる。≫

シグナム「・・・・・・どういう事だ?我々には、子供はできないはずなのだが・・・・・・」

バルゴラ≪まぁ、そこも見てのお楽しみという事だな。とりあえず、応援を感謝するっ!!今回のお相手は私、バルゴラと・・・≫

ジン「今回はちょっとヒヤヒヤしているジン・フレイホークと・・・」

シグナム「アフターが気になるシグナムでお送りした。それでは・・・また、どこかで。」




(三人で手をカメラに手を振る。その様子をカメラが映しつつフェードアウト。
本日のED:清水香里『無限の旅路〜友へ〜』)














◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
















・・・・・・めのまえにひろがるのは、あかいあかいほのお。




ぼくはそのなかをゆっくりとあるいていく。




とうさんもかあさんもひかりにのみこまれた。

のこっていたのは、ぼくだけ。




・・・・・・なにがおきたのかは、わからない。

でも、とうさんとかあさんがしんだことだけはわかった。






・・・・・・もう、つかれた・・・・・・


このまま、ほのおにやかれたら・・・・・・とうさんとかあさんのところにいけるのかな・・・・・・?



















≪マスターッ!!その少年はまだ生きているぞっ!!≫


「わかってるっ!!おい、大丈夫かっ!?絶対死なせないから・・・もう少し我慢しろっ!!」








・・・・・・そのとき、ほのおとはちがうひかりがぼくをてらす。


そのいろは・・・・・・まるで、たいようのようないろだった。














(おしまい)







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