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頂き物の小説
第1話  『始まりは突然・・・って自分から飛び込んできたよね?』












――これから語る物語は、古き鉄を受け継ぐ少年の波乱万丈で楽しいお話――



――そこに自分から首を突っ込んで行った小さな少年の物語――


――それは古き鉄を継ぐ少年がとある依頼を受けて戦っているところから始まる――






「アルト、これを今日中に片付くと思う?」

≪無理でしょうね。流石に私が手伝ったところでこの量は終わりませんよ≫

「はぁぁ、やっぱり無理だよね・・・モモたちの最後、見たかったなぁ・・・」

≪仕方が無いですよマスター。それに、あなたは行くと決めたのでしょう?。なら、この書類の海をさっさと片付けましょう≫

「そりゃそうだけどさ…」

時空管理局の嘱託魔導師という立場にあり、とある依頼を受けてしまった僕…蒼凪恭文は相棒のデバイスのアルトアイゼンに自宅でとある相談していた

それはこの書類の海。そう表現しても間違っていないような量の書類の件だ

これを処理するのが問題なのではない。問題なのは…

「・・・さらば○王、見れないのは痛いよね。というか僕に休みが無いのは何で!?本気で死ねるわッ!!」




そんな事を言いながらも書類を整理しているとインターフォンがなった


誰だろ?僕に用があるならあらかじめ通信してくるように言ってあるはずなんだけど…

そう思い、出るべきか考えていたらインターフォンを鳴らした人物は急に鍵がかかっている扉を開けようと頑張り始めた

「アルト・・・」

≪開けてきたらどうですか?勧誘とかなら断ればいいんですし、迷惑なら時空管理局の人間だといえば問題ないでしょう≫



そう、だね


僕は取り敢えず出てみる事にした


するとそこには良く見知った人物が少し機嫌を悪くしながら立っていた


「ヤスフミ、遊ぼう」


「ツヴァイ!?何で来たの?」


「ヤスフミが帰ってきたからだよ」


よし、全く意味がわからないぞ。まあ、ツヴァイが意味わからないのは今に始まった事じゃないんだけど


勇気を振り絞ってもう一度聞く


「何でここに来てるの?」


「ヤスフミが帰ってきてるって聞いたから」


・・・はい?


一体ツヴァイは何を言ってるんだろうと思っているとツヴァイは少々怒りながら話した


「ヤスフミ忘れたの?今度の仕事が終わったら遊んでくれるって言ったのに…」


アルトアイゼンも約束してくれたのに…


そううつ向き気味に言うツヴァイを見ていて思い出させられた


今回の仕事にかかわる前にもちょうどツヴァイが僕の家に来て同じ感じで遊べとねだられたのだ


当然必要書類がたまってて遊ぶことが無理だったから仕事が終わったら遊ぶことを約束したんだった


今回も仕事があるんだし仕方ないけどさすがに今回遊ぶのを断ったらまずいかな?


どう思う、アルト?


≪どう考えたって忘れていたあなたが悪いんですから、素直に事情を話して謝った方がいいのでは?≫


そうだけどさ、そうしたらツヴァイのことだからかなり不機嫌になるんだよ!


≪今更仕方ない事でしょうが。まあ、ツヴァイなら理解してもらえますよ。私のことなら≫


いつおのれの話になった!?まあ、仕方ないよね今回も仕事が入っちゃったわけだし


「あのさツヴァイ」


「どしたのヤスフミ?」


「えっとさ、僕新しい仕事が入ってね。
すぐにこの報告書とかを片づけなきゃいけないからまた遊んであげられなくなっちゃたんだ」


反応はどうだ?これが駄目だったら一体僕はなにをさせられるんだろう…
そう思いツヴァイを見ていると意外なことに案外すっきりした顔をしていて


「そっか・・・今度はどこに行くの?」


そう聞いてきたことを考えればどうやら遊ぶことはあきらめてくれたようだ




うん、これが僕の今回の失敗だったんだと思う


このときに僕の次の仕事場、機動六課のことを教えたのは間違いだったみたいだ


というよりツヴァイ…いったいなにしたのさ












魔法少女リリカルなのはStrikerS  外伝


とある魔導師と機動六課の日常 〜古き鉄と物忘れの鏡〜


第1話  『始まりは突然・・・って自分から飛び込んできたよね?』












◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆







それから時間が過ぎて2週間ほどたったころ


僕は相棒のアルトと二人で機動六課の隊舎へと向かっていた


「ヤスフミ、ヤスフミってば」


あれが新しい僕たちの仕事場なんだ。やっぱりできて1年経ってないし、事件の最中に立て直したらしいからまだ綺麗だね


「ヤスフミ、聞いてる?ヤスフミ」


さて、そろそろ疑問に思ってる事をきいてみるのもいいかもしれない


「ツヴァイ、何でここにいるのさ?」


「?」


「いやいや、首を傾げたって駄目だよ! なんで一緒に付いてくるのさ」


まったく、あきらめたと思ったらこんな日に限ってくるなんて…


「大丈夫だよ。ヤスフミと目的地が一緒なだけだから」


はい? 今何て言った?


「だからヤスフミと目的地が一緒なんだって」


僕の聞き間違いかな?そうだよね。そうだといって!


≪そんなわけ無いじゃないですか。諦めてください、今貴方の依頼主からもメールが来て
『もう一人追加したから仲良くしてあげて』とありますから≫


それがツヴァイってわけ?ははは…笑えないね


「まあ大丈夫だって。僕だって魔導師ランクは最近上がったんだよ」


へぇ、僕がいない間にそんなことしてたんだ


「それでねネコちゃん師匠にお前はもう立派なAランク魔導士だって言ってくれたんだよ」


へえ、ツヴァイの師匠に言われたんだ。ってそれは


「それじゃ駄目だからね?いや、首かしげてもだめだって」


はぁ、ツヴァイと話してると疲れる


これはもう魔王をからかい倒すしかないのかも知れない




◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆




「さて、湿っぽいのはここまでにしましょう。
・・・実は、今日から私たちの新しい仲間として、一緒に仕事をしてくれる方がおります。では、こちらに」




さっきまで挨拶してた八神さんの言葉で僕とヤスフミは壇上に上がる
服装は一応陸士の制服だよ


これあんまり好きじゃないんだよね。特に色が
だってヤスフミが着てる武装隊のアンダーウェアとってもかっこいいよ


とか考えてたら前を歩いてたヤスフミが転んだ。
なにもないところで転んじゃったよ。
まあそのせいで短い時間だけど沈黙が漂っていた。
けれどヤスフミは起き上がって挨拶をしようとして早足で歩く


そして…



ドーンッ!!





あーあ、予想通り、前に行き過ぎて壇上から落ちゃった。・・・この状況でどうしたらいいんだろね僕は?









◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆




あー楽しかった。


すっごく痛々しい空気が流れてたけどヤスフミはあれがないとやっぱり面白くないよね。


そんなことを考えながらあの空気を作った本人は…あ、逃げようとしてる


止めなきゃいけないかな?まあ、必要ないみたいだけど。



「・・・どこへ行くつもりだ。蒼凪」



ヤスフミの後ろになんかかっこいい女の人が立っていた

ピンクの髪をポニーテールにしていて凛々しい顔立ちです。
きっと『くーるあんどびゅーてぃー』っていうのはあの人みたいな人なんだろうね。




「いや、その・・・ちょっとトイレに」

「・・・ここにもトイレはあるぞ?」

「嫌だぁシグナムさん、まるで僕が逃げようとしているみたいな言い方しないでくださいよ」





名前はシグナムって言うらしいねあのかっこいい女の人・・・そういえばこの部隊ってヤスフミの知り合い多かったよね

さてと、ヤスフミはどうするのかな?







「残念ながら、君の行動は予測済みですよ」

「そうそう。きっとなぎ君のことだから・・・」

「『自宅のですが』・・・とか、考えてたでしょ?」



あれ?知らない人だ。メガネの女の人は知ってるけど後は知らないなぁ



「・・・とにかく、帰ることは許さん」

「いや、だから僕はただトイレに行きたいだけで」

「グリフィス、シャーリー、ルキノ。すまないが蒼凪を部隊長室まで連行してくれ」

『はいっ!!』

「無視ってわりとヒドくないですかっ!? そして連行ってなんですかっ!!」

「シャーリー、ルキノ」



・・・気が付いたら、ヤスフミは女の人二人に腕を組まれて捕獲されてた。・・・二人とも結構美人なんだけど、あんまりうらやましくないなぁ



「・・・これで大丈夫かと思われます」

「上出来だ。蒼凪、両手に花で楽しいだろう。そのまま部隊長に挨拶してこい」

「え? ・・・あの、二人ともそんなにガンガン進まないでっ! お願いだから助けてー!!」

「シャーリーっ!!」

「なに?」

「・・・ガンダ○VSガ○ダムの新型PS○同梱版で手を打たない?」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・打たない」

「シャーリーさんっ!? なんで揺らいでるんですかっ!!」

「ルキノさん、元々シャーリーはこういう子だから。仕方ない、そこに年末に発売されるF○の・・・」

「なぎ君も買収しようとしないっ! シャーリーさんも本気で考えて込まないでくださいよっ!!」





あ。ずっと見てたらヤスフミ連れて行かれちゃった
それにしてもシャーリーさんは久しぶりにみたけど変わってなかったなぁ


なんか知らないメガネの男の人が近づいてきた・・・そういえばシャーリーの幼馴染の・・・ぐりふぃす?だっけ


「ヴェルクス君。君も一緒に来てくれるかな?八神部隊長がお呼びなので」



はーい。どっちにしろヤスフミがいなかったら僕もここに居る意味ないしね。







◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆




そして、強制連行されたヤスフミを追いかけてきた僕ははやてさんの目の前に居る



「いやぁ、いきなりやらかしてくれたなぁ〜。やっぱ恭文に来てもらって正解やったわ。これから楽しくなりそうやなぁ」



あ、最初っからヤスフミの傷を抉ってきた。
僕この人の事好きになれるかも。

ヤスフミ悶えてるし・・・あれ?目もつぶってる。何してるんだろう





「でも、それはただの現実逃避や」

「ちくしょぉぉぉぉぉぉぉっ!!」




部隊長室に、ヤスフミの悲痛な声が響いていた

というか、ヤスフミ現実逃避していたんだ




「すみません部隊長。今日はこのまま帰って自宅警備員のバイトに勤しみたいんですがよろしいでしょうか?」




待ってよヤスフミ。ヤスフミがいなかったら僕はここで何すればいいの?・・・って心配はいらないみたいだった





「あかんで♪」

「大丈夫ですよ。ほんの半年程行ってくるだけですから。マグロ漁船よりは短期間ですよ。うぅ・・・」

「あぁもう。別に泣くことないやろ? うちは面白かったし。大丈夫や。あれで自分は愛すべきキャラとして認識されたはずや」

「・・・そう思うなら、お願い。僕と目を合わせて。なんで微妙に合わないの? 僕の髪とか耳とか見てるよね」




目の前で繰り広げられる八神部隊長とヤスフミのお話、僕はは眺めてる・・・やーすーふーみー、僕のこと忘れてなーい?



「相変わらずわがままやなぁ。そんなんやと彼女できへんで?」

「いや、別に欲しくないし。」

「嘘つき。フェイトちゃんにゾッコンLOVEやんか」


そうなんだよね

ヤスフミ、あの有名なフェイトさんに片思いをしているんだよね・・・8年間ずっと。

そこまで思えるのはすごいよね?僕は多分無理。


「待て待て19歳っ! 絶対年齢詐称してるでしょっ!? いつの時代の言い回しだよそれっ!!
なんで平成じゃなくて昭和の匂いがするのっ!? おかしいでしょうがっ!!」

「そないなこと気にしたらあかんよ。つか、それを抜いても前にうちが遊びに行った時に、あんなところにあんな本が・・・」



その時、ヤスフミの身体がビクッと震えた。

・・・やっぱりこの人と一緒にお話しするの楽しそう。
きっとこの人の素はこっちだから時間があったら遊んでもらおう。





「マッテ。その話は止めにしませんか?」

「えぇやんか。恭文かて男の子なわけやし、うちは別に軽蔑したりとかはせぇへんよ?
というか、一緒にその手の同人本読み漁った仲やんか。何を今さら・・・」

「・・・聞こえなかったかな? その話は、止めに、しようって言ってるんだけど」

「・・・なぁ。久しぶりに会ったんやから、そんな怖い目で睨むのはやめてな。うち、これでもか弱い女の子よ?」

「やかましい。僕の中でお前は女性の欄には入ってないのよ。つーかたった今除外した。」

「自分酷いなっ!!」

「酷くないわっ! 事ある事にちくちくからかいやがってっ!! さっきの事で僕がどんだけヒドイ目に遭ったと思ってるんだよっ!?」




・・・なんか、二人の会話がヒートアップしていやがる・・・僕が入れない・・・



「そんなことする暇があったら、あのワーカーホリックな砲撃魔導師を見習って仕事しろ仕事っ! 仕事に溺れろっ!!
もちろん倒れない程度にっ! 倒れられたら僕が困るからっ!!
つか、そんな余計なこと考えるからチビタヌキなんて言われるんだよっ!!」

「そういう事言う・・・? せやったら、出向祝いにフェイトちゃんのドキドキスクリーンショットをプレゼントしようかと思ってたんやけど、やめと」

「嫌だなぁ。ほんの出会い頭の小粋なジョークじゃないですか八神部隊長。私はあなたほど素敵な女性と出会った覚えがありませんよ。
タヌキなんてとんでもないっ! 誰ですかそ んな事言ったの? 信じられませんよそいつの神経を疑いますね〜。
まさにあなたは現代のジャンヌ・ダルクっ! ミロのヴィーナスっ! 小野小町か楊貴妃か、さてはクレオパトラかっ!!
もう、こうして貴方の前で立っているだけで胸の鼓動は切なく高鳴っているんですよ?」




うわぁ・・・今までとは180度は変わってるよ。やっぱり凄いなヤスフミはそこまでして欲しいんだもんねフェイトさんのスクリーンショット




「・・・自分、プライドないな」

「そんなものはとうの昔にシロアリの餌にしましたから」



八神部隊長はため息を吐きつつ、ヤスフミに握られていた手を離す・・・あきれてるねー



「まぁ、ちょっとだけえぇ気分になれたから許したるわ」


あれでなれるんだ


「お望み通り、選りすぐりのをメールで送付しとくわ。楽しみにしとき?」

「・・・恩に着るよ」

「まーそれはそれとして、冗談抜きで自宅警備員はホントにやめたほうがいいと思うで? フェイトちゃんやなのはちゃんが悲しむよ。
二人とも今日はおらへんけど、恭文が六課に出向してくるって聞いて、やっぱり嬉しそうやったもん」

「そなの?・・・・・・そうなんだ、二人がそんなことを。あぁ、なのはは別にいいけど、フェイトが・・・・。」

「・・・相変わらずなのはちゃんに対する扱いがひどいな」

「だって、なのはをからかうの楽しいし」



なのはって、あの「なのは教導官」だよね・・・いいなぁ、ヤスフミの友達は面白そうな友達がいっぱいいて

・・・でも、そろそろ二人だけの世界から帰ってきてくれないかなぁ。このままだと、僕は眠っちゃいそうだよ・・・


「まぁ、あれやで。あんまやりすぎたらあかんよ?
それと・・・多分、なのはちゃんは大事な友達と会えるのが嬉しいんやと思うし」


あ、スルーなんだ・・・もっと自己主張しないとダメなのかな、かな・・・


「あー、そうだよね。あの横馬は予想してた。で、フェイトは・・・。」

「フェイトちゃんは自分の家族が来るのがうれしいってとこやろうな。つか、覚悟しといた方がえぇよ?」

「なんで?」

「『いい機会だから、部隊の仕事を覚えて、局に入る気になってくれればいいな』・・・とか言うてたし」

「・・・・・・マジですか。僕にそんな気は無いのに。」

「マジや。ま、家族としては心配なんよ。アンタの気持ちは分かるけど、少しは理解したり?」

「・・・だね。あー、またゴタゴタするのかな。よし、覚悟はしておこう。」

「まぁ、それはヴィータやシグナム達もそうやし、うちも嬉しかったよ。・・・来てくれてありがとな」



そう言って、いきなり頭を下げるはやてさん

ヤスフミはというと、辛そうな顔をしてる。・・・なんで?

「まぁ、そこは気にせんでえぇで? 休みの要求は当然の権利やし。
あと、もううちの事はいつもどおり『はやて』でかまわんで。恭文に八神部隊長なんて言われたら、なにか気持ち悪くてかなわんわ〜」

「どういう意味だよ」

「そういう意味や。まぁ、これからよろしくな恭文」

「こちらこそ、よろしく。はやて」

「・・・ねぇ、ぼーくーはー?」


なにやら握手を始める二人に、僕は声をかける。すると、八神部隊長は笑顔を見せた。


「あ、ごめんな。忘れてたわけではないで?・・・ヴェルクス君、君もよろしくな。」


そういうと、はやてさんは僕に手を差し出してきた。僕はその手を握って、返事を返した。


「こちらこそよろしくねー。はやてさん。」




そしてこの瞬間から、僕の機動六課の生活は始まった。





・・・ヤスフミが何かよからぬことを考えてる?・・・



「違うですっ! なに失礼なナレーションつけてるですかっ!?」

「そうよっ! みんな貴方が来るのを楽しみにしてたのにっ!!」

「蒼凪、相変わらずだな」

「・・・いきなり前フリも無く出てきて、揃いも揃って地の文につっこまないでください」



すると、後ろからちっさい妖精サイズの少女にショートカットの金髪美女、それに青いおっきい狼が現れる。


かっこいいなぁ

後でなでても問題ないかな?


「まあ、かまわん」


やた、本人から許可もらちゃったw



「恭文さんがいけないんですよっ!! せっかく久しぶりに会ったのにいきなりこれですかっ!? ・・・ひどいです」

「頼むからそんな恨めしい目で見ないでよ。僕が悪かったから」

「反省してますか?」

「もちろん、海よりも深く」



はやては、反省してないだろって目で見てるね・・・僕はデフォだけど。



「なら、許してあげるです。気を取り直して・・・恭文さん、久しぶりです〜♪」



そんなことは気にせずに、少女はヤスフミの胸に飛び込み、抱きつく・・・そっかぁ、あの子がヤスフミの言っていた・・・



「うん、久しぶりだね。リイン」



ヤスフミはそういうと彼女を優しく抱きしめる・・・いいなぁ。後で僕もお話したいなぁ



「シャマルさん、ザフィーラさんも久しぶりです」

「お久しぶり、恭文くん」

「元気そうで安心したぞ。」

「それと、ヴェルクス君だよね。はじめまして、シャマルといいます。」

「ザフィーラだ。」

「リインはリインフォースUっていうです。よろしくです〜♪」

「こちらも、よろしくなのですー」



三人はこちらに挨拶をしてくるので、僕も返事をする。・・・ようやく話に入ってこれた気がする。



けれど、ヤスフミはリインさんとずいぶん長くハグしてる・・・いいなぁ


「あら、イヤだ。恭文くんったら、少し会わない間にずいぶん上手になって。
・・・うん、いいわよ。あなたがその気なら、私はいつだって受け止めるわっ!!」



・・・どうしたんだろうシャマルさん?
急によく分からないことを言い出したけど・・・



「ひどーいっ!」

「それはこっちのセリフだよっ! なにしょっぱなから色んなものをぶっちぎってるのっ!? おかしいでしょうがっ!!」

「なに言ってるのっ!? あなたの主治医兼現ち」

「その呼称はお願いだから、今すぐ次元の狭間に捨て去れぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!」




・・・そういえばヤスフミは『ふらぐめいかー』なんだってネコちゃん先生がいってたなぁ・・・ふらぐってなんだろ、旗?

ちらっと狼さんをみるとため息をついている・・・よく分からないけど苦労してるんだなぁ

「蒼凪、気持ちは分かるがあまり言ってやるな。シャマルは、お前のことを相当心配していたのだからな」

「そうよ。私・・・本当に心配で・・・」

「だからといって蒼凪に抱きつこうとするのはやめろ」

「あら、いいじゃ・・・って、なんで恭文くんも逃げるのっ!?」



・・・何で逃げるんだろう? 別に抱きつくのくらい普通の事だと思うんだけどね。


「・・・というかザフィーラさん」

「なんだ?」

「元気そうってのはこっちのセリフですよ。リンディさんからみんなズタボロだって聞いてたんで。」




・・・そういえばリンディさんがそんな事を話していた気がする。僕も一応リンディさんから任務を貰ったんだしね。

どうせ説明を聞いたって、ヤスフミここに出向するから来てるだけだもん。ヤスフミがいなかったら多分ここには来ないよ。

でもはやてさんみたいに面白い人やシグナムさんみたいなカッコイイ人がいるし別にここにいてもいいのかも



「ツヴァイ、何か言った?」



ううん、なにも。


「そうね・・・日常生活には問題ないレベルには、みんな回復してるわ。ただ・・・」

「我やヴィータ、そして高町など一部の人間は戦闘となると、まだ本調子で行けないのが現状だ」

「・・・そうですか」


「・・・せやな。リンディさんから聞いとるとは思うけど、今の六課主要メンバーの・・・言うよりは、隊長陣の大半はこんな感じや」



全員が全員じゃないけどやっぱりサポートが必要なんだ。隊長陣がこうって事は隊員達に負担が大きいって事ってネコちゃん先生は言ってたもん・・・ここに来た以上僕はちゃんと仕事の手伝い位しなきゃね。



「万が一に備えて、恭文とヴェルクス君には休み返上で来てもらっとるし、残り半年近く、何がなんでも何とかしていかないとあかん」

「はいですっ!!」

「恭文くん、ツヴァイ君、あなた方にはそう言う事情で来て貰っているわけだけど、もちろんあなた方に全てを押し付けるような事はしないわ」

「もし何か起こったとき、我らにお前達の力を貸してほしい。頼みたい事はそれだけだ」

「別に構いませんよ。そのためにここに来たわけですしね。
・・・ただしっ! なんにも起こんなかったら、定期的に休みはきちんともらいますからねっ!?」

「こだわるところはそこなんですね」

「本当に変わっていないな・・・」

・・・うん、ぜんぜん変わらないね。初めて会ったときも、ヤスフミはこんな感じだったし・・・あのときだってそうだったもんね。



「僕も大丈夫なのさ。ヤスフミがいて、楽しそうな部隊長がいる部隊だもん。断るわけ無いよ・・・精一杯頑張ります!」


これが、僕の行動理由。六課が自分に関係ないからって、それがこの部隊で頑張らない理由にはならない・・・マスターも言ってた


『自分の思うままに生きていて良い。人間なんだからな。だけど自分が楽しいと思った時間には恩返しをしっかりしろ。どんな形でも良いから自分が一番だと思う方法を実行しろ』


・・・僕が今の僕であって、全てを変えてくれた人・・・なんか久しぶりに思い出したなぁ・・・そんなことを考えてるとはやてさんが口を開いた。



「それはもちろんや。リンディさんからもストライキとか起こされたくなかったら、そこはちゃんとするようにと言われてるしな」

「・・・あの人、僕のことを何だと思っているんだろう・・・」

「可愛い問題児ってところかしら?」

「蒼凪なら実際ありえるしな」

「です・・・」


・・・ゴメンねヤスフミ、それは僕も同意見なんだ。



「まぁ・・・ストライキ起こせるなら起こしたかったけどさ」

『えっ!?』

「・・・さらば電○、見に行けなかった」






実はヤスフミは必死に書類をさばいて、どうにか一日休みを確保出来たらしいんだ・・・。でもクロノさんが追加で書類作成を命じてこなければ・・・「さらば○王」見にいけたんだって・・・。



昨日? 転送ポートの使用許可がとれなかったらしいよ。




「・・・あぁ、自分ら好きやったな」

「ね、提督潰しても罪にならないよね? ジャスティスだよね?」

「お願いやからそれはやめてーなっ! 間違いなく罪になるからなっ!? ジャスティスちゃうからっ!!」

「嘘だッ!!」

「嘘ちゃうからっ! なんでいきなりひぐら○っ!? そしてちょっと涙目はやめてくれんかなっ!!
・・・とにかく、休みは善処していくし、さらば○王もディスクでたらプレゼントするから、元気出してくれへんかな?」



・・・ヤスフミの発言にちょっと同情しながら、僕はヤスフミが頷くのを眺めていた。・・・あれはないよね。
クロノさんはユーノさんと知り合いらしいし・・・あんな感じで資料請求されると大変だろうね・・・



「・・・それはそうと。三人はどないしたん?」

「はいですっ! フフフっ!!」



はやてさんの言葉に、突然リインさんがニヤニヤと笑い出す。あの、少し怖いですよ?



「恭文さん、ヴェルクスさん! あなた方を生まれ変わった機動六課隊舎見学ツアーにご招待に来たです〜♪」

「「・・・はい?」」
「なんか楽しそう!」


・・・つい、声が出てしまった・・・仕事場の見学ツアーなんて初めてだ。



「はいですっ! 私、祝福の風・リインフォースUが責任もってガイドするですよっ!!」

「あぁ、つまるところオリエンテーション言うわけやな?」

「ですです♪」





自信満々に胸を張って、そう高らかに宣言するリインさん。




「つかまてまてっ! 見学ツアーって、みんなが仕事してる中を跳梁闊歩するわけですか? それはないって・・・。
といいますか、僕は小学生ですかっ!?」


そんなこと言わないでよヤスフミ、僕は嬉しいよ?よく分からないけどとっても楽しそうだもん



「恭文くん、そう言わないであげて。リインちゃんったら、恭文くん達に早く六課に慣れてもらうんだって言って、昨日までアレコレ考えてたのよ?」

「そうなん? うち全然知らんかったんやけど」

「申し訳ありません主。リインに当日まで秘密にしておくようにと頼まれましたので」



でもはやてさんも急に言われて納得してくれるのかな・・・?



「まぁ、そういうわけなら仕方ないなぁ。恭文にヴェルクス君、部隊長命令や。見学ツアー行っとき」

「ありがとうですっ!」

「納得したっ!? つーか即決だねおいっ!! 部隊長、一応確認。・・・・仕事はいいの?」

「別に今日一日くらいやったら構わんやろ。どっちにしてもオリエンテーションは必要やしな」



・・・やっぱりはやてさんは気が合いそうかも、絶対時間見つけて一緒にお話しよう。



「というわけでリイン、見学ツアーは構わへんけど、二人を連れて改めて主要メンバーに挨拶させてな。さっきはアレやったし、何事も最初が肝心や」

「はいですっ!!」

「あの、少しばかり子ども扱いなのが気になるんです」

「諦めろ。蒼凪」

「そうそう、あなたは女の子の尻にしかれるタイプなんですもの・・・ヴェルクス君はごめんね。」

「ううん、とっても楽しそうだから大丈夫。」

「・・・ツヴァイ、その反応は何か違うんじゃない?」

「そうかな。 ヤスフミは楽しくないの?知らないところを見学しながら歩くのって結構楽しいんだけど・・・」

「そうだったね…ツヴァイはそういう人間だったね。リイン、ガイドよろしくね」

「はいです♪」



・・・そういえば、シャマルさんたちもツアー一緒に行くのかな・・・?



「いいえ、私たちは違うわよ」

「別の用件だ」

「別の?」

リインさんがそこまで言うと、シャマルさんとザフィーラさん朴達にこう切り出した


「恭文くん、ヴェルクス君、機動六課へようこそ。あなたを新しい仲間として歓迎します。そして、来てくれてありがとう」

「まさか休みを返上してまで来てくれるとは思わなかったぞ。
これから色々とあるとは思うが・・・なにかあればいつでも言ってくれ。必ずや我らが力になる」

「・・・こちらこそ、また面倒かけるとは思いますがよろしくおねがいします」

「僕も迷惑掛けるかもしれないけど、よろしくおねがいしますー。」




そうして、まず最初の挨拶が終わった僕とヤスフミはリインさん先導のもと、機動六課隊舎見学+挨拶参りツアーへと向かった。

























「・・・リイン。」

「はいです?」

「これからよろしくね。で、もしなにかあったら・・・がんばろ」

「・・・もちろんです。リイン達が力を合わせれば、どんな理不尽も、きっと覆していけるですよ」

「うん」







・・・また二人きりの空間が出来てる。いいもん、寂しくなんか無いもん…



◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆





「フェイトさんからは『前にも言ったけど、ちょっと変わっているけど、真っ直ぐでいい子だから、仲良くしてあげてね』とは言われてるんですけど・・・」

「確かに、変わってはいるかもね」





あの男については、事前になのはさん達から説明を受けている。

なのはさんの友達で、あっちこっちの現場を渡り歩いている優秀なフリーの魔導師だと。



名前は蒼凪恭文。年は私より一つ上。



とは言うものの、魔導師としての腕前は実際には見てないが正直微妙な感じがする。だって、アレだしね・・・・。





「そんなことないよっ! すっごく強いんだからっ!!」

「・・・アンタ、なんでそんなこと言い切れるのよ。つか、知り合いってわけじゃないんでしょ?」




私の諦めも混じった発言は、胸を張って自身満々なうちの相方にあっさり否定された。・・・また大きくなってる、私なんてまだまだなのに。



「だって、あの人は空戦魔導師のA+ランクなんだよ?」

「・・・空戦Aの+(プラス)ッ!?」

「そうだよ。私達より1.5ランク上」





・・・魔導師には、能力を示すランクというものがある。

陸戦・空戦・総合の三つの分類に、上から『SSS・SS・S・AAA・AA・A・B・C・D』と言った風に分けられる。

あとは、0.5ランクを意味する『+』とか『−』が付いたり。



まぁ、あくまでも目安みたいなものなんだけどね。ちなみに、私とスバル、エリオが陸戦B。キャロがCになる。



で、新入りの空戦A+というのは、うちの隊長陣とまでいかなくても、なかなかに優秀な方になる。

特に空戦・・・飛行技能を持つ魔導師は、先天的なものか、訓練による後天的なものかを問わず、ある一定以上の適正がないとなれないものだから。






「つかスバル、あんたなんでそれを知ってるわけ?」

「ギン姉から聞いたんだよ」



捕捉ね。ギン姉というのは、スバルの姉のギンガ・ナカジマさん。局で捜査官をしている人だ。優秀な陸戦魔導師でもある。

・・・あぁ、そういえば。



「ギンガさんの友達でもあるって言ってたわね」

「それで、事前に情報収集してたんですね」

「そうだよ。実力はギン姉の折り紙付き。性格はちょっと変わっててクセはあるけど、大丈夫だって、自信満々だったよ」



あのギンガさんがそこまで言うんだから・・・実力はそれなりってことか。まぁ、そこは見てからよね。うん。



「でもね、ギン姉・・・『会って仲良くなってからのお楽しみ』って言って、あんまり細かい事は教えてくれなかったの。
あー、でも楽しみだな〜。ギン姉の話を聞いてたら、どんな感じか戦ってみたくなってさ。なのはさんたちに頼んで模擬戦組んでもらわないとっ!!」

「・・・アイツの意思は確認しときなさいよ? 強引に話決めたら迷惑でしょうから」

「うん、もちろんっ!!」




アイツも来た早々大変なことになりそうね。

まぁ、なのはさんやヴィータ副隊長達がそんなにすぐ許可をくれるとは思わないけど。仕事の都合だってあるし。




・・・もう一つ気になるのは、アイツと一緒にいた少年だ。話によると、なぜか急に出向が決定したらしい、詳しいことは分からないし、調べようも無い。




まぁそれはそれとして、今、私たちがどこへ向かっているかと言うと、デバイスルームだ。

一応、訓練の再開前に私達のデバイスの調整と整備をしっかりとしておきたいと言われ、一週間程前にシャーリーさんにパートナー達を預けていた。



そして、部屋の前に到着した。





「マッハキャリバー元気かなぁ〜。なんかドキドキしてきちゃった」

「あんた、いくらなんでも大げさよ」






とか言いながら部屋に入る。





「失礼しまーす」

「失礼するなら帰ってくださ〜い」

「す、すみません! 失礼しました!」










そうして、私たちは全員失礼しないためにデバイスルームから退出し・・・・って、ちょっと待った!!










「ちょっと邪魔するわよっ!!」



再びデバイスルームに突撃する。そして居た。小さい男の子と、何かほんわかとした雰囲気の少年。更に小さい小鬼が。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆




・・・あ〜あ、何やってんだろうヤスフミ。見てよ、リインさんが鬼のようになっている?


「・・・リイン、なんでそんな怖い顔で睨んでるのかな。ほら、可愛い顔が台無しだよ?」

「なに言ってるですかっ!? 怒っててもリインは可愛いんですっ!!」

「自意識過剰に磨きがかかってるねおいっ!!」

「というかっ! どこの世界にあんな事言って追い出す人がいますかっ!?」

「え、吉○新喜劇でやってたよ? というか休みの日にいっしょに見たじゃないのさ」

「・・・お仕置きですーーー!!」

「いや、だって、てっきりシャーリーかと思って、本当にお客様とは思わな・・・って、痛い痛いっ! 髪の毛引っ張るなぁぁぁぁっ!!」




・・・あぁ、またなんか始まっちゃった・・・入ってきた人達も戸惑ってるなぁ・・・




「あ、みんなどうしたの〜」

「あ、シャーリーさん」

「えっと、マッハキャリバーたちを受け取りにきたんですけど」

「あのありさまで・・・」

「なんであの方達がここにいるんですか・・・?」





あ、シャーリーさんが戻ってきた。よかった、あんまり知らない人と話すの得意じゃない僕が話すより、納得のいく説明をしてくれるよね・・・僕もよく分かんないけど。





「・・・あぁ、気にしなくていいよ」

「いや、そう言われましても・・・」

「さっき、ロングアーチに挨拶に来ててね。なぎ君のデバイスもちょっと見たかったし、ここに連れてきたの。私は今少しだけ出てたから」

「そうなんですか」

「まぁ、どうせなぎ君がなにかしたんでしょ。すぐに終わると思うから、入って入って」

「それじゃああの・・・」

「お邪魔します・・・・」




・・・何はともあれ、隊員の子達はデバイスルームに入ってシャーリーさんからデバイスを貰ってた。


・・・仲良くなれるかなぁ・・・




◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆




リインさんのお仕置きが終了した後、僕達は六課のフォワード陣と改めて対面した。



そして、シャーリーさんの先導で、食堂に移動しつつ簡単な自己紹介をする。




「そういえば、シャーリーさんとリイン曹長とは知り合いなんですか?」

「親しいみたいですけど」

「うん。リインは魔導師成り立ての頃からの友達だし、シャーリーはフェイト経由でね。
デバイスの事とかで相談に乗ってもらってるのよ。あと、オタク仲間」


「なるほど、納得しました」

「それで、ヴェルクス君はどうしてここに来たんですか?」

「えっとね・・・ヤスフミの家に遊びに行ったら、遊べないって言われてね。だから遊べるようにここに来たの」

「そ、そうなんですか・・・」

・・・なんか妙に顔が引きつってるけど何か変な事言ったかなぁ?



「うーん、みんなかたいなぁ・・・」

「でも、初めて同士ですから」

「そうですね、これから遠慮が無くなっていきますか。というか、なぎ君相手にそんなことしてたら身が持たないですし」

「です」



なにやらシャーリーさんとリインさんが言っている、まぁいいや。だって、ヤスフミだもん!




◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



すっごーい!

目の前では、すっごくたくさん山盛りパスタにサラダがそれが見る見る間に消えていく。僕とヤスフミは驚いていた。






「・・・・なんだこれ?」





ヤスフミが、思わずそう呟く。そうだよね、すごいよね





「あんまり気にしないほうがいいですよ?」

「スバルもエリオも、いつもこれくらい食べるから」

「この量をいつも完食?」



ポカーンとした表情を浮かべるヤスフミに補足を入れてくれたリインさんとシャーリーさんに、ヤスフミが質問をする。

答えは違う所から帰ってきた。



「当たり前じゃないですかっ!!」

「ご飯は残すのはいけないことだって、フェイトさんから教わりましたからっ!!」


そうだね、ご飯を残すことはいけないもん・・・まあ、これはおなかがすいてるから仕方ないよね



「まてまてっ! あなた方はあれかっ!! 胃袋が七つあるどっかの犬顔の宇宙人っ!?」

「蒼凪・・・だっけ? 気持ちは解るけど、気にしたら負けよ」

「大丈夫です。時がたてば、あなたにもこの光景が普通のものに見えてくるはずですから」

「なんか、あなた方悟ってるね」


すると、ティアさんとキャロさんが疲れた表情でそう口にする。苦労しているんだ・・・

こんな話をしている間にも、どんどん皿の上のパスタ&サラダは質量を減らしていく。



・・・ヤスフミ、もう気にしないほうがいいよ?僕もおなかすいたしさっさとご飯を食べよう。




「そういやリイン、この四人の教導担当って、なのはと師匠って聞いてるんだけど」

「そうです〜。スバル達は、なのはさん達が鍛えて育てている子達なんですよ〜♪」



気持ちを切り替えたらしく、ヤスフミはリインさんに声をかける。その内容は、僕の興味を引いた。



「ということは・・・ゆりかごやらスカリエッティのアジトやらで救出作業を行ったのってこの子達かな?」

「うん、スバル達だよ」

「なるほど・・・それでは、高町教導官達が手塩にかけて育てているストライカーってのは、彼女達のことなんですね。」


これはネコちゃん先生が機動六課の事を話してくれたことの一つ。



ゆりかご内やスカリエッティのアジトに閉じ込められた歴戦のエース達を救出したのは、まだ年端も行かない少年少女達だったと。


話には聞いてたけど、この人たちなんだ・・・僕もゆりかごに行きたかったなぁ




「いえ、そんな」

「私たちなんてまだまだで」



そう口にするのは、一組の男の子と女の子。

桃色のセミロングになりかけな髪の女の子は、さっきのキャロさん。

で、赤髪で堅苦しい印象の男の子の方は、エリオ君。

年のころは10歳前後・・・これでガジェットやら戦闘機人を相手にしたんだ。ネコちゃん先生とどっちが厳しいんだろう・・・?


「なに言ってるですか。恭文さんだって同じくらいの時には魔導師やってたですよ?」



すると、リインさんがヤスフミのことを言う。・・・そういえば、ヤスフミもそうだったね。



「なかなかに面白い子が入ってきたと、当時のリンディ提督やレティ提督は喜んでたって、フェイトさんから聞いたけど?」

「「そうなんですかっ!?」」

「えっと、年は18って言ってたわよね。そうすると、魔導師暦7、8年・・・。私たちよりずっと先輩じゃない」

「あーでも、経験だけあるって話で、なのは達みたいにすごいわけでもなんでもないから。それに、ツヴァイだって結構長く魔道師やってるよ?それにランクも(一応)Aらしいし。」


・・・あれ、急に僕に振るんだ。ちょっとビックリするからやめてほしいな。


「そうなんですか?」

「僕は実戦経験は言うほどないよ。なのはさん達には全然勝てないって。」

「そんなことないと思うけどね〜。だって、なぎ君色々噂立ってるじゃない」

「噂・・・?」



・・・そういえばネコちゃん先生も色々言ってたかも・・・



「そう、あるのっ! ある人曰く・・・なのマ○っ!! あ、なのはさんも寝ているなぎ君は起こさないようにまたいで通る位に強いって意味ね」

『えぇぇぇぇっ!!』

「・・・シャーリー」

「なに?」




ぺシっ!!





「うん、フカシこくのやめようか。あんまり過ぎるとデコピンするよ?」

「い、今したよね? 相変わらず容赦ないなぁ・・・」

「当たり前じゃぼけっ! あれかっ!? 2話目でこの話終わらせる気だったんでしょっ!!
お願いだからその中途半端なパクリはやめてっ! 権利関係は怖くて痛くてそして強いんだよっ!!」


ねぇ、二人して周りを置いてきぼりにしないで〜・・・ところで2話ってなに?

けれど、シャーリーさんは感慨深げに呟く。

「なんというか、そのツッコミも久しぶりだなぁ〜。私はなんか嬉しくなってくるよ」

「うん、それはいいんだけど本当にやめてね? いや、お願いだからさ」

「まぁでも、優秀なのは間違いないから。私も色々見てたし。・・・ちょっと変わり者だけどね」

「シャーリー、失礼な事を言うな。僕は世界のスタンダードだよ。」




・・・はぁ、ヤスフミ、フォワード四人が呆気に取られてるって?ただ、フォワードの人・・・これから慣れてくれないと楽しくないのに・・・



「・・・あの、蒼凪さん」


すると、スバルさんがなにやらヤスフミに話しかける。


「はい、なんですかナカジマさん」

「あ、私の事はスバルでいいです。敬語じゃなくても大丈夫ですから」

「そうなの? ・・・なら、僕のことも恭文って呼び捨てでいいよ。敬語も無し」

「いいんですか?」

「いいよいいよ。というか、そうしなかったら返事しないよ♪」




そういうヤスフミの顔は・・・楽しそう。あれは人をからかうときに見せる笑顔だね。しかも僕が見ていて好きなやつ。



「そ、それは困るから・・・恭文って呼ぶね。いい?」

「OKだよ。僕は別に、人から敬語使われたりさん付けで呼ばれるほど立派な人間じゃないし。で、話は何?」






「うんと・・・恭文って、私のこと知らない?」

「・・・はい?」



・・・?なにか変な電波な発言が飛び出した・・・もしかして例の『ふらぐめいかー』のせいなのかな?




「違うからっ! いや、だから、私のこと・・・ギン姉から聞いてない?」

「あぁ、思い出した思い出したっ!! ・・・そっか、ギンガさんの妹なんだね」

「そうだよ、私はスバル・ナカジマ。さっき自己紹介したのに、気付いてくれないんだもん。ひどいよ〜」



なんと、ヤスフミには心当たりがあるようだ。・・・もしかして、ナカジマでお姉さん・・・ときどきヤスフミの話に出てくる、「ギンガさん」かな?

ヤスフミの話で一番多い異性の話はフェイトさんだけどね




「うん、今まで忘れてたけど思い出した。ギンガさんからスバルのことは聞いてるよ」

「恭文、それって結構最近の話だよね? なんで忘れるの・・・・」

「だって、朝からトラブル続きだったし」



忘れるよね・・・僕的には面白かったけどヤスフミにとっては黒歴史にしたい出来事が起きたし・・・


「スバル、なぎ君はこういう子だから気にしないほうがいいよ?」

「です。悪い子ではないんですけど、いい子でもないんです・・・・」



・・・なんか言いたいかもしれないけど・・・ヤスフミ、それは僕もそう思ってるよー。



「でも、ギンガさんの妹か・・・。色々と納得した」

「大食いなとことか?」

「あと、妙に距離感が近いというか、強引というか・・・・そんな感じがひしひしと」



ティアさんの言葉にヤスフミが同意する。・・・そういった発言が出てくるって事は、ティアさんも振り回されているってことなのかな・・・


「それでね、一つ質問があるんだけど・・・」

「なに?」



すると、目をキラキラさせながらスバルさんは身を乗り出してヤスフミに詰め寄ると一気に攻めたてる



「うんとね、恭文は魔法はどんなの使ってるの? 具体的な戦闘スタイルは? デバイスは?」

「だから、顔近いからっ! 離して離してっ!!というかさ、ギンガさんから聞いてないの?」

「ギン姉は、細かいことは教えてくれなかったの。フロントアタッカーということだけしか・・・・」

「なるほど・・・・・・秘密」


スバルさんの質問に、ヤスフミは左手の人差し指を縦にして唇につけ、そう言い切った。フォワードメンバーはなんか転んじゃってるけど、僕は仕方ないかなぁと思う


「えー、なんで? いいじゃん教えてよ〜」

「と言われましても、そんなに一度に聞かれても答えられません」

「じゃあじゃあ、一つずつでいいからさ。ね?」

「・・・上から75」

「へ?」

「55」

「え?」

「76だよ」

「それスリーサイズだよね!? 誰もそんなこと聞いてないしっ! というか、私より細っ!!」

「そなの? ちなみにスバルはいくつかな」

「えっと、上からはちじゅ・・・って、なに言わせるのっ!!」

「だって、僕が答えたんだからスバルだって答えなくちゃ不公平でしょ?」



ヤスフミはスバルさんでからかうの楽しそうだなぁ、まあ戦闘スタイルなんかを答えないのは他にも理由あるんだろうけど・・・



「あ、なるほど・・・・って、なんでそうなるのー! てか、なんでそんなに細いのっ!?」

「知りたい?」

「うんっ!!」





ヤスフミの問いかけに、頭をブンブン振って頷くスバルさん・・・あ、ヤスフミそれ自爆じゃない?





「ヒミツ」

「どうしてっ!?」

「男は秘密というヴェールを纏う事で素敵になるのですよスバルさん。・・・というか、そこは察して。いや、本当にお願いしますから」

「・・・あ・・・うん、その・・・ごめん」


・・・あーあ、ヤスフミ馬鹿やってからかえなくなっちゃてるなぁ・・・そう思っていると、ヤスフミがスバルさんに質問をした。


「スバル、なんでそこまで僕の戦い方に興味があるのよ?」

「ギン姉から色々話を聞いてね。それに、恭文フロントアタッカーなんだよね? 私もそうだし」

「・・・スバル、フロントアタッカーなの?」




ヤスフミの問いかけに頷くスバルさん。それなら僕も共感できる。同じポジションの人の戦い方を見るのは楽しいから。

自分の戦い方と違う部分で生かせる部分なんかを見つけた時が特に楽しいよね。


「でしょ? だから、どんな風なのかなって思ってたんだけど・・・・」

「そんな面白いとこはないよ? 使ってる魔法も近代ベルカ式の比較的単純な物だし。・・・そういや、スバルも近代ベルカだよね」

「そうだよ、シューティングアーツ」

「ギンガさんから教わってたんだよね」

「うんっ!!」



『ベルカ式』っていうのは魔導師が使う術式の一つで、近接戦闘に特化した魔法形態のこと。

これ以外にも、魔力を操作して様々な事象を起こす『ミッド式』ってのがあるよ。


「・・・で、戦闘スタイルも剣術ベースの近接戦だけど、シグナムさんみたいに使えるわけじゃないし。あ、そういうわけだからパートナーデバイスも剣だね」

「でも、さっきのシャーリーさんの話だと・・・」

「そんなの大半はホラだから。つか、みんなの方が凄いでしょ。
だって、ナンバーズやらガジェットやらとやりあってなんだかんだで勝ってるんだし。なの○タなんて比喩とは違うでしょ」



そういうと、ヤスフミはパスタを口に入れる。あ、僕もデザート食べないと。



「あの、剣術ということは、蒼凪さんは騎士なんですか?」



次にヤスフミに食いついたのは、エリオ君。その目はなんか燃えてる。



「いや、僕はベルカ式使うけど、師匠達と違って騎士の称号は取ってないのよ」

「そうなの?」

「うん。なんというか、ガラじゃないしね」


・・・まぁ、ヤスフミは騎士じゃないよね・・・信念は持っているけど、ほかはあまり気にしないから・・・あえて言うなら道化師?



「でも、剣を使うのは変わりないですよね? ・・・なら、今度模擬戦してもらえませんか」

「それは、教導官の許可さえあれば僕の方は問題ないけど。・・・エリオも剣使うの?」

「いえ、僕は槍ですけど」

「恭文、エリオは騎士なんだよ?」


スバルさんの言葉に頷くエリオ君。・・・・・・なんでだろ、よくわかんないや。

「はいっ! まだまだ見習いですけど」

「ひょっとして、シグナムさんやら師匠やらな騎士の先輩に憧れてたりする?」

「はいっ!」

「で、目標に近づくために、もっともっと色んな経験しなきゃいけないし、強くならなきゃいけないとか思ってたりする?」

「はいっ!!」

「・・・うん、なら納得だわ。もちろん教導官達の都合さえよければだけど・・・相手になるよ」



そんなふうにヤスフミが笑顔で返事をすると、エリオ君はまたうれしそうな顔をみせてる・・・そんなにうれしいのかな?

「はい、ありがとうございますっ!」

「よかったね。エリオ君っ!!」

「うん」



・・・やっぱりすごいね。ヤスフミ、試合は真剣に相手してあげてね



「あ。それなら私も模擬戦やりたいんだけど!」

「スバルと? いいよ〜」


スバルさんの言葉に、ヤスフミは軽い感じで答えてる。・・・さっきは色々いじめてたくせに。

「いいの?」

「待って、なぜ確認するの?」

「だって、なんか急に素直に答えたし。さっきは『秘密』ってはぐらかしたのに」

「・・・あぁ、そっか。いやだなぁスバル。いじめて欲しかったならそうだっていってくれ」

「怒るよ?」

「・・・ごめんなさい。ちょっと調子乗りすぎました。

なのでその拳と単色の目は引っ込めてもらえるとありがたいです、はい。特に拳が痛そうだし。」

「恭文さんが普通に相手すれば、スバルさんはそんな事しませんよ?」

「そうだよ〜。・・・で、なんで急に素直になったの?」

「別に〜。エリオはOKしといて、スバルだけダメってのはいくらなんでも意地が悪すぎでしょ。
僕も腕がなまるのは嫌だし、定期的な模擬戦はむしろ歓迎だよ」


それなら僕もやりたい。僕はまだマスターになれないもん・・・こんなところで腕が錆つくのは、絶対に嫌。


「ホントに?」

「ホントだよ」

「そっか。恭文、ありがとっ!!」


・・・なんか、スバルさんって犬みたい・・・尻尾をブンブン振っているのが見えてきてなんかかわいい・・・


「まぁ・・・あれよ。諦めなさい。スバルに興味持たれた時点でこうなるのは決定事項だから」



諦めろの表情を浮かべているのは、ティアさん。・・・・ヤスフミ、何考えてるの?



「飲まないわよ。・・・あと、私もティアナでいいわよ」

「思考を読むのはやめない?」

「あ、私もキャロで大丈夫ですから」

「うん、そんなに僕の考えてることは分かりやすいのかな? ・・・いや、答えなくていい。もう分かったから」

「・・・それと、ヴェルクスだっけ?あんたも私達のこと好きに呼べばいいわよ?私は呼び捨てにするしね。」



・・・別にどう言われたってこのままにするしね。他人に敬語って、あんまり好きじゃないし


それより僕もツヴァイでいいんだけどなぁ



「なら私もそう呼ばせてもらいますねツヴァイさん。後、私のことは呼び捨てでもいいですよ」

「うん!なら改めてよろしくねキャロ。」


そうして、僕はキャロと握手を交わす。・・・なんかとっても仲良くなれそう。


「しかし・・・スバルもシグナムさんと同じ人種だったのか。うん、仲良く出来そう。」



そんな時、ヤスフミがポツリと呟く。それに、スバルさんが反応する。


「どういうこと?」

「だから、戦うのが大好きなバトルマニア」

「違うよー! 私は、戦う事自体は好きでもなんでもないよっ?!」

「嘘だッ! そういうことを本気で思ってる人間はね、初対面の人間と模擬戦やることになったってそこまで嬉しそうな顔はしないんだよっ!!」



・・・これはヤスフミと同意見かな。いくら僕でも、あの嬉しそうな表情はあんまりできないよ・・・



「別に・・・そういう訳じゃないんだけどなぁ」

「じゃあ、どういうわけなの?」

「うんとね、さっきも言ったけど、ギン姉から色々と聞いてて、どんな感じがすっごく気になって、それで・・・・」



・・・ヤスフミは納得したみたいだけど、僕はちょっと無理かな・・・あれはバトルマニアの言動だもん、間違いないよ・・・無自覚って怖いな。



「ね、それでいつする? 私は今日この後すぐでも大丈夫っ!!」

「まてまて、身を乗り出すなっ! ・・・いくらなんでも教導官の許可無しでいきなりやるわけにはいかないでしょ」



・・・ほら。やっぱバトルマニアだよ。


「まずは教導担当のなのはなり、ヴィータ師匠の許可をちゃんと取ってくる事。
許可さえあれば、教導官権限で仕事の方は何とかなると思うし、僕は身体さえ温めれば今日でも動けるから」

「わかった。じゃあ、絶対に許可取ってくるから、そうしたら必ず相手してね」

「いいよ〜。約束するからいつでも来なさい。むしろ待ってるから」

「うんっ!」

「・・・あぁ、それと。」

「なに?」

「もし、師匠達が許可をくれない雰囲気だったら、僕に話してくれるかな?
僕からもスバルと模擬戦やってみたいって言えば、多少はなにか変わるかもしれないから。エリオも同じだよ。
・・・まぁ、やると言った以上は少しは協力しないとね」


それを聞いたスバルさんは、一瞬キョトンとした表情になるけど、すぐに笑顔になった。

それはもう、眩しくて綺麗でとっても素敵な笑顔に。



「うん、ありがと恭文っ!! ・・・秘密とか言わずに、いつもそういう風に優しくしてればいいと思うよ」

「気にしないで」



そうして、ヤスフミとスバルさんは握手を交わした。・・・やっぱりスバルは犬っぽいよね・・・



「私は犬じゃないよっ!!」



なんか、ヤスフミも同じようなことを考えてたみたいだね・・・


食事が終了したので後片付けをすると、デスクワークに向かう4人を見送って隊舎見学兼挨拶回りツアーの続きが始まった。



・・・どうしてかな?ヤスフミがいるからか、なんか嫌な予感がするんだけど、気のせいかな・・・




◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆




時刻は夕方。海上に面している六課所有の広い場所に、僕とヤスフミは立っている。





なんでかって?・・・原因はあの人です。




「恭文、約束通りヴィータ副隊長の許可を取り付けたよっ! 私は全力で行くから、恭文も全力で来てっ!!」




白のシャツに厚手のズボン。訓練用の服装らしいです。そんな格好をして気合充分なスバルと、その隣に立っている色が違うだけで同じ格好のキャロと・・・竜?を見て、ヤスフミは頭を抱えてる。



まぁ、僕とヤスフミも同じ格好なんだけどね。



あの後、六課の駐機場に案内されて、そこにいた人たちに挨拶をしたところまでは普通に楽しくやってた



けど、突然ヤスフミと僕がここに呼び出されたと思ったら、そこには既に着替えていたスバルからヤスフミは予備のトレーニング服を渡された。

僕はというと、隊舎に泊めてもらう気だったからお泊まりセットをいろいろ持っていていたのさ、
それでその中にあった訓練服を着ている。


そしてウォーミングアップを済ませてここに移動すると、広いの場所を一瞬で廃墟の市街地に姿を変え、模擬戦を始めるといわれたの。


嫌な予感的中ーーー!


「・・・悪いスバル。ちょぉぉぉぉっと待ってもらえるかな?」

「なんで?」 

「いや、これなに?」

「え? 模擬戦」



・・・何で聞くの?って顔で言ってるなぁスバルさん・・・、



「・・・なんでいきなり模擬戦?」

「だって、恭文は『教導官の許可さえ得られればいつでも相手になる』って約束したよね。・・・嘘だったの?」


・・・僕じゃ無理だね。スバルさんの相手はヤスフミにお願いするよ・・・だって話し通じなさそう・・・


「・・・キャロ、何で僕とキャロまでここにいるの?」


とりあえず、僕はキャロに確認を取る。すると、キャロもため息をついて答えてくれた。


「・・・えっと、スバルさんが・・・『せっかくだし、ティアナも一緒に模擬戦やろうよっ!!相手はツヴァイ君でっ!!』って言って申請書にティアさんの名前を書こうとしたの・・・」


それならティアさんがここに来るんじゃないの?


「それがね。書こうとした時にティアさんが気がついてスバルさんを止めたの」


って事はそのあとスバルさんに詰め寄られたって事?


「・・・うん。急だったからどうしていいかわからなくて、ティアさんが止めてくれようとしてくれたんだけど少し遅かったみたいで」


ああ、間に合わなかったんだ。それで気がついたときには模擬戦することになってたんだ


スバルさんは突っ走っちゃったんだね。へんなこと聞いてごめんね。

「あ、大丈夫です・・・部隊長たちも乗り気だし・・・」

そう言ってキャロは隊舎の方に視線を向けたのを見て、僕も同じように隊舎を見る。



あー結構な人数が集まってる。しかも、大型モニターまで立ち上げて・・・


えーと、新入生歓迎会?みたいなことになってるのかな・・・はぁ・・・これじゃ、止める人いないんだろうね・・・


『うし、それじゃあそろそろ始めるぞ。四人とも準備しろ』

「はいっ!」

「師匠・・・」


急に、空間モニターがいきなり発動する。・・・あの人が昔教えてくれたヤスフミの師匠なんだね

ヤスフミ、なんか言ってるけど多分無駄なんじゃないかな?




『バカ弟子、いきなりで悪いが諦めろ。つーかお前が悪い』



やっぱり・・・



「つか、なんでそうなります!? か弱い子羊いじめて、なにが楽しいんですかっ!!」

『うっせぇバカタレっ! つか、お前らはか弱くもなければ子羊でもねーだろっ!!
どーしてもこうなる理由が分からないなら、教えてやるよ。・・・スバルに、アタシやなのはの許可さえあれば、別に今日でも構わないって言ったそうだな?』

「えぇ、言いましたがそれがなにか?」

『アイツ、普段はちっとばかし気が弱いクセして、こうと決めたら異常に押しが強いんだよ。
アタシが何言っても今すぐやりたいって聞きやしなかったぞ?』

「・・・本当ですか?」


なーる、つまりあれ?ヤスフミの一言が原因でスバルさんはここまで準備を整えたって訳なんだ

・・・ヤスフミ、これは完璧にミスしたね。
っていうか、今日初めて会ったスバルさんがここまでやるっていうのを想像するるのも無理だけど。


『そうだ。・・・ったく、こっちは検査帰りだってのに、アイツの相手に模擬戦の準備でむちゃくちゃ疲れたぞ?』


それは大変そう・・・ヤスフミ、やっぱりヤスフミは貧乏くじなんだ。




「・・・と言いますか、師匠。この話聞かされた時から気になってたんですけど。」

『なんだ?』

「・・・どうしてそんな『してやったり』って言わんばかりの悪い顔してるんですか」

『気のせいだ』

「いや、気のせいじゃないでしょっ!? 今、頬が明らかに緩んだしっ!!」

『・・・ま、正直に言うとだ。アタシとしてもお前とスバル達をやらせたかったからな。それに、お前が連れてきた奴の強さも分からんしな・・・ちょうどいいだろ?』



・・・えっと。今回の話はちょうどよかったってこと?・・・ヤスフミは、納得したみたい。


『そういうこった。それに、お前だってこないだまでがしがしやってたろ。
師匠としてはそういうの抜きにしても、その中でどれだけ腕上げたか気になるんだよ
つーわけだから見せてくれよ。期待してるからな?』

「・・・まぁ、師匠の期待に応えられるかどうかは分かりませんけど、スバルとは約束しましたから。それはきっちりとやらせてもらいます。
あ、それと一つ確認です」

『なんだ?』

「いつものノリでいいんですよね?」



そのヤスフミの言葉に、僕は笑みを浮かべる・・・ようやく楽しくなりそうだね。



『かまわねーぞ。ま、簡単にはいかねーとは思うがな』

「それだけ聞ければ充分です。んじゃま・・・行って来ます師匠」

『おう、キバっていけよ』


そして空間モニターが消えたら、ヤスフミは僕に声をかけてくる。


「・・・話は大体分かった?」

「うん・・・ヤスフミ、今度でいいから、ヤスフミ特性フルコースつくってね」

「気が向いたらね・・・」


お互いに軽口を叩きあってから、ヤスフミはスバルに、僕はキャロに向き直る。


「話はもう終わった?」

「うん・・・待たせちゃってゴメンね。」

「そうだよ・・・あんまり女の子は待たせちゃだめだよ」

「うん、分かってるよ。キャロみたいにかわいい女の子なら特にね」

「きゅくるー!」


あのちっちゃい竜もそう思ってるのか返事をしてくれた


・・・だからさ、ねぇ、僕が今変なこと言ったかな?キャロ、顔真っ赤になってるけど。


「・・・///・・・それじゃ、はじめましょう。」


そう言うと、キャロは宝玉に翼のついたアクセサリーのようなものを取り出す。僕も同じように、首に付けた銀色の指輪と黒色の指輪の二つを掲げる。


「マッハキャリバーッ!」

「アルトアイゼンッ!」

「「セットアップッ!!」」


あっちはもう始まったんだ・・・じゃあ、こっちも行こうかっ!



「いくよ僕の剣ッ!」

「ケリュケイオンッ!」

「「セットアップッ!!」」





・・・こうして、僕とヤスフミの機動六課での生活が始まった。

これから、どんな事が始まるんだろう・・・それは、分からない・・・

それに分かったら面白くないからね

とにかく今はただ、この戦いを精一杯やるだけだっ!!





(第2話に続く)








あとがき




ツヴァイ「こんな感じで始まりました!!『とある魔導師と機動六課の日常 〜古き鉄と物忘れの鏡〜』。この物語の主人公をやらせてもらってるツヴァイ・ヴェルクスです。」

???≪・・・マスター、そのテンションはなんですか?何でそこまで元気なんですか≫

ツヴァイ「だって僕のマスターが言ってたもん『お前は楽しくやればそれが一番正解だ』って。」

???≪・・・まあ、そういうことにしておきましょう≫

ツヴァイ「そういえば何でネコのぬいぐるみなの?」

???≪マスターが猫好きでしょう?だからこの格好なんですけど≫

ツヴァイ「ふーん。まあ、どうでもいいや。」

???≪マスター、酷いですよ!?≫

ツヴァイ「とりあえず色々と紹介しておこうか」

???≪そうですね。今回のヒロインは作者がこのサイトで一番好きなキャロ嬢ですね≫

ツヴァイ「そうみたいだね。まあ年齢設定がスバルさんと一緒だからね」

???≪ではここでマスターの紹介でもしておきます≫



名前:ツヴァイ・ヴェルクス

年齢:15歳位(記憶喪失のため正確なのは不明)

性別:男

身長:162cm

体重:身長に見合う程度

体型:普通

髪の色:赤(明るい感じの赤)

髪型:FF[のスコールのような髪型

瞳の色:右目 眼帯
    左目 黒

顔立ち:すこしカッコイイ感じ

職業:時空管理局嘱託魔導士

魔導師ランク:陸戦魔導師ランクAA−

声のイメージ:斎賀み○き(テイ○・クライン 三条 ○里)

性格:本人が記憶がないせいか基本的に物事を引きずらない。 
   
   物事すべてを基本的に楽観視する傾向にあるためデバイスがストッパーとなってくれている。 

   基本的には年齢より幼い言動などが多いが、思考はしっかりとしている
 
   けれど本人が完全に切れた時は周りに強烈なトラウマを残す。 一人称は「僕」


座右の銘:流されず、自分の意思と力で進んでいく



ツヴァイ「うん、こんな感じでいいんじゃないかな。」

???≪まあ、魔法とかレアスキルの設定は物語に登場したら紹介すればいいですよね≫

ツヴァイ「そうだねー。じゃあ次回はデバイスの紹介とかになるわけだね」

???≪次回はキャロ嬢との模擬戦ですね。絶対に勝ちましょうね≫

ツヴァイ「そうだね、できるだけのことはやろうか。じゃあ、今回はここまで。お相手はツヴァイ・ヴェルクスと」

???≪私はまだ言えませんけどね・・・まあ、デバイスでした≫

ツヴァイ「投げやりだね・・・いいけどさ」



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あきゅろす。
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