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頂き物の小説
第2話『序章〜吹き荒れる蒼碧の疾風、邂逅の時〜』
















・・・よし、幻影のコントロールはオーケー。射撃も・・・対応出来てる。





というか、結構綱渡りな感じがビンビンだけどね。・・・相手は現役のオーバーSを一蹴するような相手だ。油断してたら、一瞬で潰される。

六課時代に何度も模擬戦してるけど、最後の模擬戦はともかく、訓練の中で勝った事・・・一度も無いし。まぁ、ここはいいか。










≪しかしSir、このままではあくまでも互角・・・それだけです≫

「確かにね。このままの状態をあの二人が見過ごすわけが・・・」



瞬間、私は右に大きく飛んだ。寒気がしたから。そう、本当にそんな理由で、私はそれまで行っていた幻影のコントロールを全てやめて、回避行動に移った。

そして、それは正解だった。・・・背中に当てていた壁が、私の居た空間が、白い×の閃光で斬り裂かれたから。



≪Sir!!≫

「大丈夫。・・・逃げるわよっ!!」





私は、目の前のドアを蹴飛ばし、外に出る。・・・ここは、結界内の住宅の一つ。勝手に侵入して、隠れさせてもらってた。

こういうところがアイツの影響を受けてるとかなんとか言われる要因なのかな。ちょっとだけ思った。

だけど、逃げられるわけがなかった。私を覆う影。それを私は地面に映るそれを見て気づいた。



大きく前に跳ぶ。その瞬間、私の居た位置に白い魔力に包まれた槍が突きたてられた。

それを見ながら受身を取り、クロスミラージュの銃口を向け・・・数発発射。誘導弾じゃなくて、スピード重視の弾丸。その影も周りに白い魔力弾が生成されて、発射される。

それらは私と影の間で激突し、爆発した。だけど、私は構わず再び魔力弾を乱射する。



その影は・・・その爆煙の中を、弾丸の中を突っ切って、槍の切っ先を私に向ける。

その白い刃はあっという間に私に迫って・・・突きたてられなかった。





「・・・やっぱ、そう簡単はいかないか。」

「そりゃ・・・そうでしょうよっ!!」



その影・・・サリエルさんの攻撃を防いでいるのは、バルゴラをエッジフォルムに変形させたジン。



すかさず、私はサリエルさんに魔力弾を放つ・・・けれど、その弾丸はジンと距離をとられ、槍を回転させることで弾かれた。





「・・・なるほど、ジン坊がやけにおとなしいと思っていたが・・・万が一接近された場合に備えて、ティアナちゃんの護衛になってた訳か。」




・・・今回の模擬戦のルールは『相手タッグを一人でもノックアウトした方が勝ち』・・・というルールである。もっと言うと、自分のチームの人間のどちらかが倒されたら負け。

この場合・・・ヒロリスさんとサリエルさんから見て倒しやすいと判断されるなら、それは私だと思う。理由は、現在模擬戦を行っている五人の中で1番近接戦闘のスキルが低いと思われるから。



そして、その相手としてはサリエルさんが適任。理由は、サリエルさんは砲撃や誘導弾・・・遠距離攻撃にも長けていて、私の射撃との撃ち合いにも対応出来るから。つまり、距離さえ詰めれば勝てると踏んだ。



だからこそ、あえてジンは攻撃に参加せず、私の側にとどまった。ジンはすべての距離において柔軟に対応出来る・・・本人は器用貧乏なんて言ってるけど、チーム戦においてメンバーの足りない部分を補えるというのはとても重要だ。






・・・・・・でも、アイツの援護にはいけそうにないわね。ここで私を逃がすような真似はするはずがないもの。



なら・・・・・・ここで、サリエルさんを倒すっ!!














◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆






「ナナタロス・・・セットアップ」





青と白のラインの入った金属の鞘は形を変える。より太く・・・分厚い形に。

そして、鞘の側面・・・鯉口近くにナックルガードのような形のカードスロットが出来上がる。これで・・・完成。

ナナタロス・・・アルトの拡張用デバイス。大事な友達が協力してくれて出来上がった僕の力の一つ。



そして、僕はカードスロットを展開。右手から一枚のカードを取り出す。それはトランプサイズで、大剣を掲げる巨人の絵が描かれている。それをそのまま・・・スロットに挿入。それを閉じた。





「アルト・・・行くよ」

≪はい≫

「コード・ドライブ」

≪Z Mode Ignition≫










アルトはナナタロスと共に青い光に包まれた瞬間、姿を変えた。

その光は二つに分かれる。そのうちの一つは黒い大型のホルダーへと姿を変えて、舞い上がるマントの下を潜るように、僕の背中に装着。

そこに、もう一つの青い光は更に6つに分かれ、それらは全て剣へと姿を変えていく。そして、その6降りの剣が収められていく。




二本の片刃の短剣。・・・六鉄に五鉄。

同じく二本の片刃の直剣。・・・四鉄に三鉄。

片刃で、持ち手が刃に埋め込まれている形の直刀。・・・二鉄。




そして、両刃で二股のようになっている剣。四角い唾の部分には大きめの青い宝石が埋め込まれている。・・・一鉄。つーか、アルト本体。





・・・セブンモードっ! 久々に参上っ!!











「・・・また、随分気張るね」

「当然でしょ。これくらいしなきゃ・・・楽しくないですし」

≪では、派手に行きますよ。そしてこのままフィナーレまでクライマックスです≫

「つーわけで、倒すけどいいよね?」



そして、僕はその場でクルリと回り、まだなお背中から生えている翼と少しだけボロくなったマントを靡かせながら、左手でヒロさんを・・・倒すべき障害を指差す。



「・・・答えは聞いてないっ!!」










・・・さぁ、行くよっ!!




















とある魔導師達と仮面の英雄達の物語アフターストーリー





とある栄光の流星と14番目の機人の物語



第2話『序章〜吹き荒れる蒼碧の疾風、邂逅の時〜』
















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆







・・・・・・結果的に言うと、今回の模擬戦はヤスフミとヒロさんのダブルノックダウンによって引き分けになった。


え、俺らとサリさんの方はどうなったのかって?・・・ティアがセブンモードを、俺がグローリーフォームを発動してサリさんといい勝負になってたけど、正直もう少し長引いていたら負けてたと思う。









・・・・・・そして反省会も終わり、食事会も兼ねてカラオケ大会が始まった。


もちろん、小学生がいるのでお酒は無しだ。


そして・・・・・・








◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆





















「え、えっと・・・恭文。ヒロリスさんって・・・あの、なんて言うか」

「あむちゃん、頼む。言わないでやってくれて。さすがに俺も気の毒過ぎて何も言えないんだ」

「僕も右に同じくなの。あむ、お願い」

「・・・わかりました」










気持ちよさそうな本人を見るに、どうやら自覚は本当に無いらしい。ごめん、これ以上のコメントを求めないで?





それで・・・あの、えっと・・・。










『『手と手の温もりがー♪ 僕をー強くするー♪ 積み重ねた想いー♪ 空をー駆け抜けてー♪』』

「・・・ちょっとちょっと、奥さん聞きました? まぁ、最近の若い子は大胆やなぁ〜」

「そうだねぇ。というかさ、なんかラブラブ過ぎて直視できないよね。なんだろ、アレ。若さゆえの過ちかな?」





歌いながら・・・というか、人が歌ってる姿を見ながら、そんなアホな事を言ってくる狸と姉弟子をぶん殴ってやりたくなる。



というかみんながニヤニヤしてる。だけど・・・歌うことは止められない。





『『きっとー終わりは始まりの歌ー♪ 羽ばたいたー鳥の歌ー♪』』

「わぁ・・・フェイトさんも恭文もラブラブだぁっ! というか、手を繋げー!! 繋いでしまえー!!」

「いいぞー! もっとやれー!!」

「ゆ、結木さんに相馬君も落ち着いて。二人の邪魔になっちゃうから」

「いや、むしろチューやなっ! チューしてまえー!! なんで自分ら、チューしながら歌わないんやー!!」





出来るかぁぁぁぁぁぁぁぁっ! 出来るわけが無いだろうがぁぁぁぁぁぁぁぁっ!! 論理的にも物理的にも僕達の心情的にも無理なんだよっ!!





「八神さんもどうしてそこ乗っちゃうんですかっ!? そして、それはダメだと思うんですけどっ!!」

「あぁ、私は別に問題ないわよ? 娘夫婦が仲良くしてくれるなら、それに越した事は」

「リンディさんも乗らないでくださいっ! あぁ・・・恭文君もフェイトちゃんも赤くならなくていいからねっ!? そんなことしなくていいからっ!!」










僕とフェイトでデュエットして・・・って、ここはいいか。





とにかく、なんで冷やかされながら歌わなきゃいけないんだよっ! めちゃくちゃ恥ずかしかったしっ!!





なお、単独でも歌った。他の人とも歌った。当然歌った。だけど・・・おかしい。僕だけがおかしい。










「・・・やっさん、次はワイルドアームズ2のディスク2のOPね」

「いや、僕はけいおんのED歌おうと」

「うっさい、私の分かる曲歌え。つーか、私はTo LOVEる以外の萌えアニメは見ない主義なんだよ」

「なにその横暴っ!?」





と、ヒロさんに曲を入れられて。





「なぎ君、久々にデュエット行くよ。種の2番目のOP」

「え、あの・・・僕はHOWLING歌おうかと」

「却下」

「だからなんだよっ! その横暴はっ!!」





シャーリーとデュエットして、浮気だ浮気だとみんなに罵られたり。





「ねね、恭文。この曲分かる? 歌唄ちゃんの曲なんだけど」

「・・・あ、分かる分かる。この間CD買って聴いてるから」

「なら歌ってー! ややの見立てでは、恭文なら合うと思うんだよねー!!」





ややに曲を入れられて。





「恭文君、やっぱり男の子は演歌だと思うの。拳を利かせつつ歌うのが魅力だと思うわ」

「とか言いつつなに人からリモコン奪って、番号ボタンに指をかけてるっ!? おかしいでしょうがっ! そろそろ僕にHOWLINGとかDon't say “lazy”を歌わせろー!!」

「あ、この曲なら分かるから、アタシも歌っていいかー? これでも演歌は得意だ」

「えぇ、是非アギトさんも歌ってください。楽しみにしてますね」

「お願いだから僕を無視しないでー!!」





なでしこに曲を入れられて、アギトと演歌デュエットしたり。なお、浮気だ浮気だ・・・と、また罵られた。





「バカ弟子、キバのOPを歌え。師匠命令だ」

「いや、だから僕に歌う曲を選ばせ・・・はい、歌います。歌わせてください。お願いします」





師匠に曲を入れられて。





「やっぱりな、ここは愛の告白やろ。ぶっちぎりで君が好きだと叫んでしまうべきやろ」

「ごめん、それなら『絶対に誰も・・・』とか歌いたい」

「却下や、うちが面白くない。で、フェイトちゃんは『あなただけ見つめてる』な」

「はやてっ!? というか・・・あの、その曲分からないよっ! 分からないから歌えないよっ!!」





はやてに曲を入れられて・・・またフェイトと二人赤面したり。なお、フェイトが歌ってる時にみんなから『最低』とか『鬼畜』とか罵られた。

・・・僕がね。なお、理由は歌を聴いてください。そうすれば分かると思います。





≪というわけで、次は私達とですよ≫

「一緒にダブルアクション、歌うですよー♪」

「いや、あの・・・そろそろ僕も自分で曲を・・・あぁ、はい。歌おうね。歌おうか。うん、楽しく歌おうね」










・・・結局、僕が自分の意思で曲を入れるタイミングはずっとこなかった。おかしい、こいつら・・・揃いも揃って僕の人権をさりげなく否定してやがる。





とにかく、それでも楽しく宴の時間は過ぎ・・・お開きとなった。部屋だけは少し多めなので、全員バラけて寝る。





僕の部屋には・・・唯世とサリさん。あと、空海にジン。・・・いや、男連中が一挙に集まっただけなんだけどさ。

というか、ジンは少しでも場所を開けるためか壁にもたれかかってもう寝てるし・・・・・・そんなに疲れてたの?








「・・・楽しかったね」

「だな。つーかよ、こんなに夜更かししたの久しぶりだよな」

「そうだね。まぁ、明日は学校が休みだからいいんだけど。・・・でも、蒼凪君」



床に敷いた布団に転がりながら、唯世がこちらを向く。・・・なに?



「みんないい人達だね。あ、もちろんエグザさんにフレイホークさんも」

「・・・いや、分かってるからそんな付け加えなくていいぞ? まぁ、それは同意見だな。なんだかんだでお前は人に恵まれてるよ」

「僕も、そう思います」



ここは感謝しないといけないね。もう・・・10年近く経って、それぞれ立場も固まってきてる。そして、みんな忙しい。

でも、こうして集まったり出来る。すごく素敵な事だと思う。



「なんか、こう・・・少し考えたんだ」

「なに?」

「僕達も・・・こうして繋がれたらいいなって。蒼凪君やフェイトさん、高町さん達みたいに、10年経っても変わらなくて・・・変えられなくて」



どこか憧れているような感情を瞳に宿しつつ、唯世がそう口にする。それになんというか・・・僕も、空海も、サリさんも何も言えなかった。

なんだか、ただ憧れているのとはまた違う感じがしたから。どこか寂しげで・・・一度壊れてしまった何かを見ているような感じがした。



「・・・唯世、お前は何を言っている」



だけど、発言する人間が居た。それは・・・キセキだ。

唯世が傍らから置いていたたまごから抜け出し、宙に浮いて唯世を見る。僕達も見る。



「キセキ?」

「ずっと繋がれたらいい? そんなこと、出来るわけがないだろう。・・・お前自信が手を伸ばして、繋がりたいと思わなければ、誰も付いてなど来ないぞ。
繋がっていられるのではない。互いに繋がろうとするんだ。だから、絆と言うものは長い時間を経ても変わらず・・・いや、よき方向に進化するんだ。だから、まずは庶民達にお前の意思を見せろ。全てはそこからだ」



そんな、たしなめるようにも聞こえた言葉に、唯世は・・・優しくキセキに微笑んだ。



「・・・そうだね、ありがと。キセキ」

「・・・ふん」

「まぁ、アレだよ。唯世君」



サリさんがコホンと咳払いをしてから、そのまま唯世に対して言葉を続ける。



「はい」

「空海君もだけど、もしよければ、その中にやっさんも入れてやってくれ」



にゃにゃっ!? なんですか、いきなりっ!!



「コイツは思考・行動・言動・・・どれを取っても無茶苦茶な上に何考えてるか分からないところがあるし、その上バカだ」

「バ・・・バカっすか」

「あぁ、バカだ。結局突っ込むことしか出来ない時代遅れもいいところのバカだ」



ちょっとっ!?



「だが、そこがいいところでもある。俺やヒロ・・・いや、フェイトちゃん達も、そこが気に入っているから今キセキが言ったように、繋がっていきたいと思っている。
・・・まぁ、兄弟子から見てからの発言だから、二人が聞くと若干贔屓目かも知れないけどな」

「・・・いえ、そんなことありません。僕も・・・そこが蒼凪君のいい所だと思いますから」

「俺もっすよ。いや、俺はコイツみたいな面白い奴とつるめて、小学校卒業するのが惜しくなって来ましたから。もうちょい早く会えたらとも思ってるんっすよ」



・・・唯世、空海。な、なんというか・・・あの、ありがとうしか言えないよ。僕、色々やらかしてるのに、こう言ってもらえるんだから、ありがたい。



「でもよ、空海。中等部の校舎は敷地内の上に今までの校舎の裏手だから、来ようと思えば来れたりするんだよな。てゆうか、俺だけでも行ったりも出来るし」

「あはは・・・ダイチ、お前の言う通りだな。ま、ちょくちょく来るから、二人ともよろしくな」



・・・そう考えると卒業してもしんみりモードになりにくいなぁ。なんですか、この上級生は。



「・・・エグザさん、そういうわけなので・・・大丈夫です。蒼凪君も、あとリインさんやランスターさんも、もう僕達ガーディアンの一員ですから」

「・・・そっか、ありがとな」

「唯世・・・あの、空海もありがと」

「ううん。・・・あ、そうだ。蒼凪君、相馬君。ちょっとだけ話があるんだ」



そう言うと、空海の瞳が変わった。多分・・・ガーディアンのKとしての瞳になってる。



「実は・・・藤咲さんの事なんだ」

「藤咲の?」

「うん。・・・実はね、藤咲さん・・・もうすぐ居なくなっちゃうんだ」



・・・え?



「僕も今日、本人からここに来る前に話を聞いて知ったんだけど、終業式前に藤咲さん、留学しちゃうんだって」

「留学・・・?」

「うん。藤咲さんの家って、踊り・・・日本舞踊の家元なんだ」



・・・あ、なんか分かった。ここでなでしこの家の話が出てくるということは・・・もしかして留学目的って、踊りの修行?



「うん」

「・・・そうか。まぁ、そういうことなら仕方ねぇよな」

「それでね、これは藤咲さん本人から頼まれてるんだけど・・・出発までそれほど無いんだけど、それまで日奈森さんには黙ってて欲しいんだって。
あと、見送りや歓迎会みたいなものも大丈夫だからって」



その言葉に、僕と空海は表情を苦くする。だって、黙ってる理由が分からないから。あと、見送りもって・・・。



「・・・いや、俺は分かるぞ」

「サリエルさん?」

「多分、お別れモードになって、もう会えない・・・みたいな感じになるのが嫌なんだろうな」

≪それはありえますね。あなた方も別れが辛いのであれば、藤咲女史も辛いのは当然ですから。特に・・・藤咲女史は日奈森女史と仲が良いように見えます≫



金剛の言うことは合っている。なんでも、去年の春に同じクラスになってから、あむとなでしこは意気投合して親友同士になったそうだ。・・・あ、そっか。



≪はい、だから・・・というわけです≫

「藤咲の奴、意外とそういうのは苦手そうだしな。仕方ねぇっつったら、仕方ねぇんだろうな」



うん、なんか僕にも分かってきた。僕もそういう湿っぽいのは、やっぱり苦手だしね。だから・・・僕達も最後の最後で模擬戦したわけだし。

・・・終わった後に、吹き飛びへし折れ散りまくった桜の木達に皆揃ってごめんなさいと謝り倒したけど。だから桜の木は消してから模擬戦やろうと言ったのに、あのバカ魔王がこれで行きたいって強行するもんだから。



「・・・まぁ、そういうことならわかった。恭文」

「うん。・・・僕達も黙ってるよ。で、出発っていつなの?」

「それが・・・来週の火曜日」



・・・はいっ!? え、来週の火曜日って・・・ありえないでしょうがそれっ!!



「待て待てっ! もう今日が金曜・・・てか、土曜日だから・・・1週間どころか5日切ってるじゃねぇかっ!!」



つーか、またなんでそんな急に? 留学って事を考えると、やっぱり前もって決まってそうなのに。



「僕も二人と同じ事を言ったよ。でも・・・色々言い出しにくかったんだって。1年後には帰ってくる予定だけど、それでも・・・寂しいからって。
出る直前まで普通にして、またすぐに帰ってくるような感じで・・・出たかったんだって」

「そっか・・・。まぁ、まだ3日あるし・・・いつも通り行こうか。あむに悟られないようにね」

「・・・だな。まったく、藤咲には後でアイスでも奢ってもらわないと割りが合わねぇぞ」

「あはは・・・。そうだね」










・・・春、いろんなことが変化する季節。





どうやら・・・現在、小学生を演じている僕にも、その変化の波は襲ってくるらしい。天井を見つめながら・・・そう思った。





















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆




「・・・恭文」



声がした。そちらを見ると、ミキが居た。真剣な顔で、僕を見ている。



「あむちゃん達が苦戦してる。ボクと、キャラなりして。あれなら一気に行けるはずだから」

「・・・でも、それは」

「出来るよ。出来ないのは、恭文に迷いがあるから」



僕に・・・迷い?



「あの姿は、恭文の『なりたい自分』。恭文の迷いは、それをどこかで無理だって思ってるせい。
でも、そのための力は、もう恭文の中にちゃんとある。迷う必要なんてどこにもないし、絶対に、絶対に無理なことじゃないんだ」



そしてミキは・・・優しく、まるでボクを安心させるように笑う。



「恭文、前にランに言ったんだよね。自分の魔法は、『魔法』じゃないって」

「・・・うん」

「確かにそうかも知れない。だから、ボクが恭文の魔法を『魔法』にする。・・・ううん、ちょっと違うな。
恭文の魔法は、『魔法』だってボクは信じる。誰がなんと言おうと、恭文がどう言おうと、絶対に信じる」



そのまま、その笑顔を浮かべたまま、ミキは言葉を続ける。



「ボク達と会う前の恭文がどうかは知らない。でもボク達と会ってからの恭文はずっと、敵を斬るためじゃなくて、大事なものを守るために、アルトアイゼンやリインと戦ってたんだもん。だから信じられる。
それにね・・・キャラなりした時、感じたんだ。恭文のそういう・・・壊れそうな何かを『守りたい』『助けたい』って思う気持ちを。それを未来に繋げていきたいって思う、強くて優しい想いを」



思い出しながら、だけど・・・なにか確信をしっかりと掴んでいるように、僕に優しく言葉をかけてくれる。



「ボクね、そんな恭文を信じることにしたんだ。色々考えたんだけど、それしか出来なさそうなんだ。
それしか出来ないかも知れないけど、お願い。恭文も信じてくれないかな? ボクのこと、それに・・・誰よりも自分のことを。自分の未来への可能性を」

≪・・・あぁ、それなら大丈夫ですよ。そういうのはこの人の十八番ですから≫



そういきなり口を出してきたのは、アルトだった。そして、その言葉の続きは、僕へと向けられる。



≪あなた、こんな素敵なレディにここまで言わせておいて逃げたりしませんよね?
大丈夫です、私も力を貸します。そして、信じ・・・あぁ、それだと少しつまらないですね≫



胸元で輝く相棒は、どこか優しさも含んだ声で、言葉を続ける。



≪私は、疑いません。誰でもない、あなたの事を。あなたの未来への可能性を。だから、あなたも・・・疑わないでください。迷わないでください≫

「・・・いったいどこのシンケンジャーだよ」

≪でも、私達らしいでしょ? 侍ですし≫

「確かにね。・・・分かってるよ。てゆうかさ、アルト。ここまで言われて『無理です』なんて、言えると思う?」

≪なら、問題ありません≫





僕は見据える。丁度空海くらいの身長になった黒い×キャラを。なんとか動きを止めようとするけど、二人ともやっぱ苦戦してる。



空海のタックルを避け、あむのロッドの投擲攻撃を受け止め、逆に槍のように投げて来ている。なかなかに強い。



まぁ、15人分の負のエネルギーの塊だしね。こりゃしかたない。





「変わらないまま変わっていくって、決めたしね。それは今でも変わってない。変えられるはずもない。
何が何でも通したい事があるなら、その瞬間だけは、『魔法』が使える『魔法使い』になったって、いいでしょ」





取りこぼしたり、失敗もきっとある。間違える事だってある。でも、そうしたい。

目の前に居る女の子の言葉が嬉しかったから。なんか・・・応えなきゃいけないかなと。

なにより、僕の中にはちゃんとあるもの。



壊れそうな何かに対して、手を伸ばせるなら伸ばして、助けたい、守りたいと思う気持ちが。





「そして、素敵な大人になってフェイトとずーっとラブラブするんだっ!!」

「結局そこっ!?」

≪・・・そうですよね、あなたはそういう人ですよね≫



そうですけど何か?



「ミキ、アルト」

「なに?」

「・・・・・・ありがと」



僕がそう言うと、帽子を深く被り、ミキは顔を逸らした。



「べ、別にお礼なんていいよ。これはボクがそうしたいからしてるだけだし」

≪フラグ立ちました?≫

「立ってないからっ! とにかく・・・いくよっ!!」

「うん」





そして、一歩踏み出す。見据えるは黒き脅威。でも、斬るのはそれであってそれじゃない。

僕が斬るのは、壊したいのは、あれの中にある諦め。未来への可能性を奪い、壊すもの。

・・・集中しろ。斬ろうと思って斬れないものなんて、この世界のどこにもない。



今を覆し、未来へと繋ぐ。そうやって時間を守る。それが・・・僕の選んだ、僕だけの道。僕の『なりたい自分』の形。



それに相手が誰かとか、何者かとか、状況がどうとか、そんなの関係ないっ! その道を行く邪魔をするなら、僕の目の前で未来を消そうとするなら・・・ぶった斬るだけだっ!!





「恭文のこころ・・・!」





ミキが両手を動かし、例のポーズを取る。・・・まぁ、少々恥ずかしいけど、ここは合わせるのが流儀かと。





「アンロックっ!!」





青い光が包む。そして、ミキはたまごの中に入り、そのスペードの柄がついたたまごは僕の中に吸い込まれる。

力が溢れてくる。リインとユニゾンした時に感じるものとそれはよく似ていて、心が温かくなる。

それを感じながらも姿は変わる。そう、それは当然・・・あの時の青い剣士の姿に。



こうして、再び切り札は切られた。自分を信じる。そんなありふれた言葉で、扉は開いた。





【「キャラなり・・・ハイセンスブレードっ!!」】





・・・マジで出来た。な、なんというか・・・びっくりなんですけど。





【びっくりなんてする必要ないよ。これは恭文の中で眠っている力なんだから、出来て当然。ボクはそれを引き出すお手伝いをしてるだけ】



肩の上に、半透明のミキの姿が見える。・・・あ、これは面白いかも。



「なるほど。・・・ね、やっぱりスペードフォームとかブルースペードの方がいいんじゃないかな。そっちの方がかっこいいし」

【だからっ! どうしてそっちいっちゃうのっ!? お願いだから素敵な大人になる第一歩として、そのひどすぎるセンスを直そうよっ! そんなんじゃフェイトさんに振られちゃうからっ!!】

「大丈夫っ! フェイトは『そんなヤスフミも素敵だよ』って言ってくれてるからっ!!」

【そうなのっ!?】




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆






・・・・・・まったく、今頃お兄様達は盛り上がっているというのに、どうして私達は仕事なんでしょうね?


「シオン、気持ちはわかるけどお仕事はちゃんとしてね?」

「わかってますよギンガさん・・・えぇ、さっさと悪党を片付けることにしましょうか。」

≪そうですね。≫

≪・・・Sir、本当に大丈夫ですか?≫

「ちょっと不安になってきた・・・」



・・・私達は今、とある筋から流された情報から、質量兵器の密輸を行おうとするマフィア達が潜伏している倉庫に包囲網を敷いていた。

・・・・・・その情報が正確すぎるのでどうも不思議なんですがね。いったいどこから漏れたんでしょうか?



「・・・それじゃ、全員突入しろっ!!」

「シオン、いくよっ!!」


・・・・・・ギンガさん、なぜ真っ先に突入するんですかっ!?


























ともかく、私達が倉庫に突入すると・・・・・・そこには、マフィア達がうめき声をあげながら地面に倒れ伏していた。





けれど、その行為を行った人物らしき影はなく、質量兵器も二度と使い物にならない位に破壊されていた。







・・・・・・これは、いったい?




◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆




とあるミッションを成功させた後、俺は合流地点へと急いでいた。


・・・・・・予想外に、人数が多かったな。だが、いい経験になった。



「えらく手間取ったようだな、カトラス。」

「・・・トーレ姉さん。」


・・・すると、サングラスをかけたトーレ姉さんが突如現れる・・・・・・もう夜中だぞ?


「気にするな。これでもちゃんと見えているからな・・・それに、目元さえ隠せば案外局員にもバレないものだしな。」


・・・つまり、市街地を散策していたという事か。


「あぁ、頼まれていた食料の買出しも終わってウーノに届けたし、そっちも終わったのだろう?」



トーレ姉さんの言葉に、俺は頷く事で返事をする。




「・・・それでは、帰るとするか。」

「あぁ。」




・・・・・・そして、俺達はドクターの開発した小型転送装置を使ってアジトへと帰還する。






「あぁ、二人ともおかえり!!」

「・・・無事に戻ってきたようですね。」



・・・・・・帰還した俺達を迎えたのは、やけに上機嫌のドクターと相変わらず無表情だがその言葉にほんの少し優しさを感じさせるウーノ姉さんだった。



「・・・ドクター、わざわざ出迎えてくださったのはありがたいのですが・・・何かあったのですか?」

「よくぞ聞いてくれたねトーレ!!実は、皆へのプレゼントがようやく出来上がったのだよっ!!さぁさぁ、こっちへ来たまえっ!!」



スキップしながら先導するドクターに、俺達はため息をつきながらその後を追う。



「・・・ウーノ姉様、なんですかあのドクターのはしゃぎようは?」

「・・・どうも、相当の自信作ができたのだそうよ?二人が帰ってきてから見せるからと、私にも隠しているし・・・」



・・・・・・ドクター、あなたは子供か?


・・・いや、ある意味子供のようなものだろうな。




そして、案内されたのは開発ルーム・・・ご丁寧に、照明は落とされている。




「さぁっ!!それでは・・・・・・お披露目といこうかっ!!」



ドクターの声と共に照明がつくと、開発ルームの一角にスポットライトが当てられ・・・その光に、二つのスーツと一台のバイクがさらされる。




「まずは、ウーノ専用の特殊バリアジャケット、「ブリッツフォーム」から説明しようか。ウーノの持つISを最大限に活かせるように、索敵能力と遠距離からの狙撃に特化させてみた。」

「・・・・・・なるほど。」


ドクターがまず紹介したのは、銀色を基調とした鎧。

鎧の各部にはセンサーらしきものが数多く搭載されており、そのコンセプトがはっきりと分かる。



「次に、トーレ専用の特殊バリアジャケット、「ニクスフォーム」だ。こちらは試作型のスーツを元に、より高機動戦闘を行えるように改良を加えた。もちろん、インパルスブレードも搭載している。だが、高機動に特化させた為に装甲は薄いから・・・気を付けてくれ。」


次に紹介されたのは、淡い水色を基調とした鎧。

目をひくのは肩部と背部に搭載されたブースターで、腕部には一対の実体刃が伸びている。



「・・・・・・それで、そのバイクは・・・・・・」

「あぁ、これはカトラスへのプレゼントだ。名付けて、ヴァンチェイサー!!高出力のエンジンを搭載し、I0からのリモートコントロールも可能、変形により飛行する事が可能、ステルス機能も搭載などなど・・・素晴らしいスペックに仕上がったよっ!!」



俺の問い掛けにドクターは目を輝かせて叫び、意気揚々とその性能を語り始めた・・・・・・これほどのバイク、俺に使いこなせるのか?



「まぁ、詳しいデータはI0に転送しておくよ。」

「・・・しかしドクター。飛行機能をつけるのなら、増加ユニットなどでも良かったのでは?」


トーレ姉さんが実に理にかなった質問をするが、ドクターは首を傾げると呆れたように首を振る。


「何を言ってるんだトーレ・・・仮面ライダーにバイクは必須なのだよっ!!」


・・・トーレ姉さんが困った表情でウーノ姉さんを見るが、ウーノ姉さんは頭を振る・・・・・・諦めろと、いう事か。



「だいたい、仮面ライダーというものは・・・・・・」




そして、ドクターによる仮面ライダー談義が・・・長々と始まった。








◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆





たまごはそのまま消えた。そして、一階からあの不愉快な叫び声。そのまま勢い良く部屋を飛び出し、玄関部分へと戻ると・・・居た。





×キャラと、キャラなりしたりまが。










「・・・変身っ!!」

≪Riese Form≫










纏うのは、白と蒼で構成された騎士甲冑。両手を包むは堅き盾、腰に下げるのは古き鉄。





僕は、そのままリーゼフォームにセットアップ。そこから跳んで・・・アルトを抜いて、上段から×キャラに向かって打ち込む。










「はぁぁぁぁぁぁぁっ!!」





それを、×キャラは避けない。避けずに・・・手に持った筆を振るってきた。





「あぁぁぁぁぁっ! それ、ボクの技っ!!」





そう、ミキのカラフル・キャンバスに似た技だった。ただし、色は黒。

それをアルトの刃で構わず両断しながら、床に着地。衝撃で埃が辺りに舞うけど、気にしてる場合じゃない。



×キャラはその間に後ろに飛び去って、距離を取ってる。





「りま、大丈夫?」

「遅いわよ。今まで一体なにしてたのよ」

「あの子のしゅごキャラから事情を聞いてた。で・・・あれが武って子?」

「・・・しゅごキャラ、居たの?」



×キャラから目を逸らさずに、コクンと頷いた。



「てゆうか、存在をあの子に気づいてもらってなくてさ。この家に置き去りにされてて、消えかけてた」

「・・・・・・マジで、バカじゃない。救いようがないわよ」





りまが何に対してどう言っているのか、今ひとつわからなかった。



そして、その間に変化が起きる。×キャラが両手に持った筆を振るって・・・薄暗い空に、黒い絵の具で絵を描いた。それは、自分。

その自分の絵は、約10前後。それが・・・実体を持った。





『ムリィィィィィッ!!』

『ムリィィィィィィィィィィッ!!』

『ムリィィィィィィィィィィィィィィッ!!』



そのまま、筆を振るい、絵の具を弾丸にして僕達に打ち込んでくる。僕は、りまをかばうようにして、魔法を発動。



≪Round Shield≫



青いベルカ式魔法陣の形をした盾が、黒い弾丸の雨を防ぐ。

その間に、うしろのりまがピンを複数出現させて、両手に持つ。



「とりあえず動きを止める。・・・浄化、任せたわよ」

「了解」





それだけ、本当にそれだけ言葉を交わせば、僕達には十分だった。



りまはそのまま両腕を振るう。





「ジャグリング」





ピンは、その勢いのまま、光の軌跡を描きながら、×キャラへと飛び出した。





「パーティー」





飛び出したピンは、降りしきる弾丸の雨を縫うようにして直進し、×キャラへと命中・・・しない。×キャラ達はそれをひらりと避けて、ピンはその脇をすり抜けた。



軌道を変えて、再び迫って来たピン達を、×キャラは筆を振るって黒い絵の具の盾のように展開して、それを防ぐ。





『もう・・・嫌だ。もう放っておいてくれ』





聞こえてきたのは、多分あの子の声。頭を抱え、全てを拒絶するような暗い声が、かなり広めに作られている玄関部分に響き渡る。





『お願いだから、放っておいてくれ。もう夢なんてみないから。見ても無意味だから。お願いだから、俺を放っておいてくれ』





・・・くそ、つーかうざいしうるさい。どんだけネガティブハートに心囚われてるのさ。





「てゆうか、そんな場合じゃない」

「え?」

「ここにある絵、あの子のおじいちゃんがほとんど描いてるんだって」



そう言えば・・・絵があっちこっちあったな。ココとあった部屋にも、何枚かかざってあったし。というか、あの倒れている子の絵だった。

そして、りまは今、その絵が・・・弾丸によって穴が開いていく所を見ている。どこか、悲痛な表情で。



「なら、速攻で勝負つけないとね」

「え?」

「壊されるの、嫌・・・なんでしょ?」



りまは、振り返った僕の眼を見て・・・コクンと、頷いた。

なら、やりますか。騎士としては、クイーン・・・女王の要望には応えないとね。・・・咲耶、聞こえる?



”はい”

”最後の手段、許可する。今すぐにやっちゃって。で、入れたらすぐにやるよ”

”了解しましたわ”



なんて方針を決めていると、再び変化が起きた。



『ムリィィィィィィィィィィィィッ!!』



弾丸を撃っていない×キャラ二人が絵を描く。

それにより、数が30に・・・ってなんつうズルをするのっ!?



『もういいんだ。幸せだったあの頃は・・・もう返ってこないんだ。
どうだっていいっ! もうなにもかもどうだっていいんだっ!!』



てゆうか・・・全員揃って撃ってきたぁぁぁぁぁぁぁっ! 弾丸の雨って言うか壁だよこれっ!!



「・・・バカ、みたい」



再び、りまの周りにピンが生まれる。そのピンは僕の前まで来ると、それがそれぞれに回転して、僕達を守る盾となる。襲ってきた弾丸を、全て弾いた。

×キャラ達・・・いや、元は一体だろうけど。とにかく、それらが驚く。そんな驚いた×キャラを、りまが・・・するどく見据える。



「バカみたい。あなた、本当にバカみたい」



そのまま、僕の後ろから一歩ずつ出てくる。出てきて、声を上げる。

そこに込められていたのは、怒りと、悲しみと、やるせなさ。



「何も変わらないわよ。あなたが夢を捨てたって何も変わらない。あなたの目の前の現実は、なにも変わらない」



それを見て、思った。りまは多分、怒っている。



「変わるわけが・・・ないじゃないのよっ!!」



叫びが響く。初めて聞いた、本気の怒りを込めた声。少し・・・驚いた。



『・・・うるさいっ! 黙れ・・・黙れ黙れ黙れ黙れっ!! お前になにがわかるっ!? 分かるわけないのに、偉そうなこと言うなっ!!』

「黙らねぇよっ! てゆうか、黙るのはそっちだっ!!」



その怒号は僕。てゆうか、頭来た。ネガティブにも程がある。程がありすぎる。



「りまの言う通り、過去なんて、幸せだろうが不幸せだろうが、どんなやつだろうが、絶対に帰って来ない。帰ってくるわけがない。捨てたってなにも変わらないんだ。
だけど、その代わりに今は・・・この瞬間は、変えられるんだ。今を変えて、自分の望んだ未来を進む事が出来るんだ。そうやって、進めばいいんだよ。何も捨てずに、下ろさずに、諦めずに進める道を」

『そんなこと・・・出来ない。出来るわけが』

「出来るよ。てゆうか、捨てたって何も変わらないなら、全部持っていくしかないでしょ。あとは、そんな自分の選択と死ぬまで付き合う覚悟を決めるだけだ」

≪あなたが今を嘆いて、そこで諦めるのは勝手です。本来であれば干渉する義理立てなど0です。どうなろうが私達の知ったことではありません≫



僕達、正義の味方ってわけでもなんでもないし。僕の両手は、手の届く範囲の物を守るので精一杯なのよ。



≪ですが、そのために消える存在があると知った以上、私達はそんな泣き言を認めるわけにはいきません。・・・関わって、しまいましたから≫



そう、関わった。これは、手が届く。だったら・・・壊すだけでしょ。こんなくだらない諦めを。そして、絶望を。

今は変えられると、未来は望んだ形に出来ると、その可能性への道を・・・斬り拓く。



「まぁ、だからって言うだけってのもダメだよね。だから、僕達がお手本を見せてあげるよ。今の変え方ってやつのさ」



その瞬間、轟音が響く。そこから光が差し込む。だから・・・僕はそれに目を向けることなくアルトを鞘に収めてから、右手からパスを取り出す。



≪特別に料金はタダにしてあげます≫



パスを開いて、左手で金色の雷光・・・咲耶のカードを含めた三枚のカードをパスのスロットに挿入。



≪Sound Ride&Attack Ride&Fusion Ride Sakuya Set up≫

「・・・恭文、りまたんっ! 大丈夫っ!?」

「問題無い。・・・咲耶、いいタイミングだよ」

「当然です。空気を読みましたから」



ベルトを腰に巻き、金色のボタンを押す。そして流れるのは、ヒップホップな待機音。



「というわけで、今からスタートだ。ただし、10秒間だけね」

≪目を離せば、すぐに終わりますから・・・しっかり、見ていてくださいよ?≫



そのまま、僕はパスをベルトにセタッチ。



「変身」

≪Axel Form≫










その瞬間、ベルトから金色の光が放たれる。それが僕を包み込み、隣にまで来ていた咲耶が僕の中に入り込む。





その光の中で、僕は姿を変える。マントとジャケットが一瞬で消えて、インナーが金色に赤のラインが入ったチャイナの装飾が入ったものに変わる。

ジガンと具足もそれとはまた色調を少し変えた金色に染まる。

そして最後に、髪は金色。瞳は翠に色を変えた。





次の瞬間、金色の光がはじけた。その光は雷となり、一つの形を取る。それは羽。





雷撃を纏う金色の羽が、部屋の中に舞う。










≪The song today is ”Double-Action Axel Form”≫





鳴り響くのは、音楽。なお、歌っているのは僕と咲耶とアルトの三人。



でもおかしい。やっぱり歌っている覚えないんだけど。うーん・・・。





【・・・あなた、倒してもいいですわよね?】





身体をくるりと反時計回りに回転させ、×キャラ達を右手で指差す。





「答えは聞いてないっ!!」





これは、咲耶とのユニゾン・・・アクセルフォームっ! なお、当然ながら本邦初登場っ!!





「・・・全身ほぼ金色って、ダサっ!!」

「やかましいっ! 外野は黙ってろっ!! つーか、気にしてるんだから言うなー!!」

「あ、これは気にしてるんだ」



・・・さすがにね。僕、ここまで成金趣味じゃないし。



「・・・って、そうじゃないっ! 唯世、あむちー、いいんちょ、やや達も」

【必要ありません。というより・・・邪魔なのでそこで見ていてください】



右手でアルトを抜く。そして、見据える。10秒で潰すべき目標を。



「いえ、そういうわけにはいきません。この数を真城さんやあなた達だけに任せるわけには」

【私とおじいさまだけで充分と言っているんです。あなた方では私達の速さにはついていけません。というわけで、おじいさま。ここは意外と広いようですし・・・暴れますよ】





うん・・・行くよ、咲耶。





≪Axel Move≫

【Start up】










そのまま、僕は踏み込んだ。










【・・・10】




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



恭文の姿が消えた。そして、その次の瞬間、×キャラの集団の一角に青色の閃光が打ち込まれて、3体がそのまま爆発した。





そして、その前に、恭文が、空中を踏みしめながらそこに居た。アルトアイゼンの刃が青く染まり、刀身の周りにバチバチと雷撃がまとわり付いている。










【9】





それを見て×キャラ達が散開して、恭文に向かって黒い絵の具を弾丸に変えて撃ってくる。




そうすると、また恭文の姿が消えた。あたしの目には・・・全く見えない。だけど、咲耶さんの声でカウントする声だけは聞こえる。





【8・・・7・・・6・・・】










一つカウントされる度に、同じように青い閃光が生まれ、×キャラが最初とほぼ同じ数だけ斬られていく。

対処しようとして、散開する・・・いや、しようとした途端に、恭文の姿が消えて、その次の瞬間に斬撃が生まれる。

横薙ぎに、袈裟に、上段から一閃・・・という具合に。





というか、あの・・・これなにっ!?




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



【5】





また踏み込むと、普段のそれとは全く違う速さで僕の身体は動き出した。視界に移る全てのものがスローリーに動き、僕達だけがその中で絶対の速さを得ている。

そんな速さに身を任せながら、右からアルトの刃を振るう。

刀身には全てを斬り裂く青き雷撃の刃。・・・雷への魔力変換、一応勉強していたので。



まぁ、チートって言われるのが怖いから、出来れば使いたくないんだけど。





「雷花・・・!」





そのまま、刃は黒い絶望を斬り裂いた。





「一閃っ!!」





空間と共に×キャラは斬られて、また4体ほど爆発する。





【・・・少し面倒ですわ】



だね。今はまだ大丈夫だけど、きっとさっきみたいに数を増やそうとするに決まっている。なにより、絵にこれ以上被害を出したくない。

だったら・・・ここで一気に決めよう。これは、そのための姿なんだから。



「咲耶、必殺技いくよ」

【了解しました】



アルトを鞘に収めて、右手でパスを取り出し、開く。左手でカードをセット。



≪Final Attack Ride Set up≫

「ただし」



そのままパスを閉じ、ベルトにセタッチ。



≪Full Charge≫



パスはそのまま、軽く前の方へ放り投げる。ベルトから電気にも似た金色の光が出る。それが僕の両手両足を包む。



【分かっています。おじいさまの魔力、少し使わせていただきますわ。コントロールは私に任せてください】

「お願い」



かなり広めに作ってある玄関部分の空間を踏みしめつつ、残り14体となった×キャラを見る。見ながら、早速行動を開始。



≪Smash Lancer≫





僕は左手で×キャラを指差し、それに向かって金色のスティンガーに似た光を撃ち込む。

もちろん、数は×キャラのそれと同じだけ。速度も同じくらいなので、×キャラは避けられなかった。というより、避けるのなんてムリ。

だって、こっちの動きの方が、あっちの動きよりずっと速いから。立ち止まってなければ見えてすらいないと思う。



そして、それは×キャラの目前で金色の円錐型のものに変わり、×キャラの全てにセットされた。





≪Axel Smash≫





そのまま踏み込み・・・いや、飛び出し、その円錐の一つに向かって飛び込み、右足で蹴りを放つ。





【「はぁぁぁぁぁぁっ!!」】










円錐型のスフィアは、中央部分を境に後ろは時計回り、前の部分はその逆に高速回転する。まるで、ドリルとなり、×キャラを貫こうとしているように。

そのまま、僕の身体は一瞬消えて、×キャラの後ろに回る。スフィアも消えた。だけど、これでいい。

×キャラの身体に雷のマークが浮かんで、そのまま雷撃を撒き散らしながら爆発したから。





というわけで・・・次っ!!




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



【4・・・3・・・2・・・】





変化は、起きた。恭文の姿がまた消えて、今度は残り14体ほどになった×キャラ全てに、金色の円錐が突き刺さった。



そして、それはまるでドリルのように勢い良く回転し出した。それを受けて・・・×キャラが声を上げる。





『ム・・・ムリィィィィィィィィィィッ!!』





そして、円錐が全て消えると同時に、多分・・・すっごく分かりやすい雷のマークだね。それが×キャラの身体に刻まれた。





【1】





そのまま、×キャラは雷撃を撒き散らしながら爆発した。そして、その内の中ひとつから、白いたまごが出てきた。



・・・あ、そっか。恭文の魔法なら浄化出来るもんね。てゆうか・・・あの、マジで10秒? あたし達、なんにも手出しできなかったし。





【0・・・Complete】





そのまま、恭文が姿を現して地面に降り立つ。降り立った瞬間に、咲耶さんとのユニゾンを解除。元のリーゼフォームに戻った。咲耶さんも、私服姿で姿を現す。



というか、あの・・・なんでそんなちょっとお疲れ顔? なんだか二人揃って汗かいてるし。





「あの形態・・・アクセルフォームは、使ったら相当体力を消耗するんです。まぁ、立てないって程じゃないですけど。
あと、連続使用もダメなんですよね。2時間しないと、咲耶とはユニゾンできないです」

「な・・・なるほど」



なんて話している間に、たまごが割れた。その中から、しゅごキャラが出てくる。

多分、恭文と勝手に中に入ったミキとスゥにキセキが接触したって言うココ。・・・あの倒れている子のしゅごキャラ。



「・・・もう、大丈夫?」

「うん、ありがと。とりあえず、僕は・・・しばらく武君の中に居るよ。
・・・武君。大丈夫、きっとおじいさんみたいな絵描きさんになれるよ」



あの子が、また白いたまごに包まれる。包まれて、ゆっくりと仰向けに倒れているあの子の胸元に吸い込まれる。



「だから、自分の未来を・・・なりたい自分を、信じて、欲しいな」



それだけ・・・本当にそれだけを言って、あの子はあの男の子の中に入っていった。

・・・えっと、これで解決? 結局、幽霊とかじゃなくて、しゅごキャラが原因だったから、オーケーなんだよね。



「あー、悪いけどまだなんだ」

「へ?」

「あむ、出番だよ。スゥとキャラなりして」



いや、それは構わないけど・・・なんで?



「さすがにこれをこのままには出来ないでしょ。お直ししてもらわないと、ガーディアンの評判に関わるよ?」





そうして、辺りを見る。・・・×キャラの攻撃によって砕けたり、穴が開いたりした床や家具に絵。それだけじゃなくて、玄関も咲耶さんのえっと・・・フェイトさんも使うプラズマランサーって魔法で吹き飛ばされてるし。



あははは・・・確かにそうだね。これをこのまま放置はダメだよね。





「スゥ、居るよね」



あたしがそう言うと、上からスゥがゆっくりと降りてきた。少し申し訳なさそうな顔をしているけど、今回は許さない。あとでしっかりお説教しないと。



「勝手に恭文と行った事とかは後にして・・・行くよ。アミュレットクローバーでお直し」

「はい、わかりましたぁ。・・・あ、でもでも」

「なに?」

「せっかくですし、家以外のものもお直ししておきましょうね〜」




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆




春、それは変化が訪れる季節らしい。



そんな訳で、何気ない日常を過ごしていたはずの俺にも変化は突然にやってきた。




「・・・これが、依頼の内容ですか?」

「えぇ。一人でも問題はないのですが・・・少し気になる情報がありましてね。」



・・・・・・本局に呼び出された俺は、レリスさんと仕事の打ち合わせをしていた。


内容は、非合法な研究を行っているとある施設の一斉調査。どうも、内部告発があったらしい。



・・・・・・で、その気になる情報ってのは?



「はい・・・近頃、非合法な事を行っている組織や研究所が軒並み潰されています。さらに、その場所は必ず管理局に通報されている・・・実に怪しいと思いませんか?」


・・・確かに。普通そういった奴らはひっそりとやってるはずだしなぁ・・・


「・・・という訳で、早急にその施設の摘発と、内部告発を行った人物の安全を確保しなければなりません。あまり大人数だと編成に時間がかかりますし、かといってそれなりに腕のたつ人物で信用できるとなると・・・君ぐらいしかいませんからね。君の手が空いていて助かりました。」

「・・・まぁ、もともと受けるつもりでしたけど・・・それで、出発はいつですか?」

「今日、今すぐです。」












・・・・・・いくらなんでも急すぎませんかレリスさん?












◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆










・・・・・・そして、俺達はとある管理世界にある、その非合法な研究を行っている施設の場所へと向かったのだが・・・・・・









「・・・・・・こ、これは・・・・・・」

「・・・マジ・・・かよ?」












・・・・・・・・・向かった先で俺達を待っていたのは、炎に包まれた研究施設。


傍らに視線を向けてみれば、そこには防衛装置代わりと見受けられるガジェットもどきの残骸が転がっている・・・・・・その破壊痕は、明らかに人為的なもの。



・・・・・・でも、いったい誰が?







≪・・・!?マスター、上だっ!!≫



バルゴラの驚いたような声に、俺はとっさに研究施設の上・・・屋上付近を見る。




月明かりに照らされた影は・・・・・・2本の角を持ち、首元にマフラーをなびかせた異形の姿。




「・・・・・・・・・・・・え?」






・・・・・・いや、異形と表現するのはおかしいのかもしれない。

なぜなら、俺はその存在とよく似た存在を知っているのだから。


そして、その影は俺達に気がついたのか・・・ゆっくりと振り向き、俺達を見下ろす。










「・・・・・・・仮面、ライダー?」







そして、炎に照らされて輝きを増しているその赤い瞳はなぜか・・・・・・泣いているように見えた。




(第3話へ続く)





あとがき





ジン「・・・はい、「とある栄光の流星と14番目の機人の物語」第2話いかがだったでしょうか?今回のお相手は俺、ジン・フレイホークと・・・」

カトラス「・・・・・・戦闘機人ナンバー14、カトラスだ。よろしく頼む。」

ジン「・・・しかし、お前の説明入れないといけないのはわかっているけど・・・なんだか変な感じだよな。」

カトラス「そうだな。この時点では俺とお前に接点は・・・今回の話の終わりしかないからな。」

ジン「しかも、俺の方からはお前は変身した姿しか知らないし。」

カトラス「・・・まぁ、これから交流ができるのだろう。例えば、街でたまたま知りあってお前は正体を知らずに俺の事を追うとかな・・・・・・」

ジン「いや、そのものすごくありそうな話はやめて?しかもありがちな話だから。お約束すぎるから。」

カトラス「気にするな、俺は気にしない。」

ジン「そして大真面目な顔でボケをいれるなっ!?それはお前のイメージ声優とは違うだろっ!?」

カトラス「そうなのか?あそこでお前のデバイスとドクターが嬉々とした表情でカンペを出しているのだが・・・・・・」


(そういって指を指す14番。そこには、ディフォルメ蜃気楼と無限の欲望が本当に嬉しそうな表情でカンペを出している。そこに書かれているのは・・・ネタの嵐。)


ジン「お前らの仕業かあぁぁぁぁっっっっ!?!?」

カトラス「・・・あ、ウーノ姉さんとお前の彼女に撃墜されたな。しかも抜群のコンビネーションで。」

ジン「・・・・・・なんであそこまで息ピッタリなんだ?」

カトラス「俺に聞くな。」

ジン「・・・・・・頭いてぇ。それじゃ、お前の紹介をするぞ。」

カトラス「それとIOの紹介もだな。」



名前:カトラス

年齢:17歳相当

性別:男

身長:178cm

体重:身長に見合う程度に

体型:少し痩せ気味。けれど鍛えられている・・・・・・いわゆる細マッチョ。

髪の色:濃い紫

髪型:少しクセッ毛のある、全体的に短いショートカット。

瞳の色:少し暗い赤色(戦闘時は金色)

顔立ち:どことなくスカリエッティに似ている。とりあえず美形の類には入る。

職業:不明(・・・でいいのか?)

魔導師ランク:不明

声のイメージ:宮野○守(死神のノートを使う新世界の神や、「俺がガン○ムだっ!!」の人。最近ではウル○ラマンにも・・・)

性格:基本的に無口。自分の存在理由や力を振るう理由を探して戦っている。





AI搭載式複合強化装甲型アームドデバイス・IO(アイ・オー)

武器としての基本形状:バリアジャケットそのものが基本形状。ベルトのバックルが演算ユニットとなっている。


待機状態:簡素なブレスレット。

形状変換によるモードチェンジ:通常状態の「ゲイルフォーム」、砲撃形態の「ガイアフォーム」が現在判明。

通常モード:徒手空拳を主に戦闘方法し、機動力に優れているゲイルフォーム。



性格:女性人格のAI。喋るというよりは状態をただ羅列するといった状態で、まだAIとしては未成熟。


AIの声のイメージ:Ayahi takagaki




ジン「・・・・・・待機状態はここが初だな。」

カトラス「作者はあまり考えてないようだがな・・・」

ジン「・・・そういえば・・・姿からもう狙っているとしか言いようがないんだけど、お前自身はまだ「仮面ライダー」を名乗ってないよな?」

カトラス「当たり前だ。「仮面ライダー」の名は俺が簡単に名乗っていいような名前じゃない・・・・・・俺にはまだその資格がないと思っている。」

ジン「・・・確かに、作者も邂逅編ではお前に名乗らせる予定はないらしいな・・・・・・というより、W編を本当にやるのかよ作者?」

カトラス「・・・そもそも、ディケイドクロスのアフターなのに作者が素直にWとクロスさせるかどうかは疑問だ。冬の劇場版を見て最後の展開に驚かされたらしいしな・・・・・・」

ジン「そういや、Wの鳴海壮吉はかっこよかったよなぁ・・・・・・ってちょっと待て。まさか・・・」

カトラス「・・・その可能性も、あるという事だ。」



(今後の展開を予測しつつ?終了。今回のED:『Stay the Ride Alive』)





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あきゅろす。
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