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頂き物の小説
サイト20万ヒット記念小説『If: Certain wizard's after story When you become 20, still am I alive?』
















If: Certain wizard's after story



When you become 20, still am I alive?




































































































20歳──それは大人と認められ社会的立場と責任が個人に与えられる年齢──


































「って言ってももう何年も前から働いてるからねぇ……」







「アハハ……あんまり実感湧かないよね。私もそうだったもん。」







「そもそもミッドには20歳で成人っていう概念が無いからね。長いことコッチに住んでたら分かんなくなるのも仕方ないよ。」







《貴方達は成人の10年以上前から局で働いてるようなモノですしね。》







「そう考えたらアンタって大先輩なのよね、私達の。」







「全然そんな感じしないけどねー」







「ソコっ、うっさいよ!? そういうのは思ってても言うな!!」







「でも確かにあんまり先輩って感じはしないかも。」







「うん、仲のいいちょっと年上の子……みたいな。」







「さり気に酷いね、二人共!?」







《自業自得じゃないですか? 主に背とか、背とか、背とか。》







「三回も言った!? そんな重要な事!? そして背の事は言うなぁあぁあ!!」







































































































ここはクラナガンにあるレストラン兼居酒屋の「姫星」(梅干しみたいとか言わない)

そして今日は僕、蒼凪恭文の誕生日兼成人式兼元六課の年に一、二回ほどの宴会の日だ。

ちなみに僕の友人兼執務官のティアナの成人式でもある。

……なんでこんなになんでもかんでも兼ねるのか、僕には分からない。大は小を兼ねるっていったって限度があるでしょう、限度が!!

そしてなんでいきなり弄られてるの、僕!?(どれが誰のセリフかは個人の想像にお任せします)










《つまんない事にツッコミ入れてないで早くお酌して下さい、私を待たせるなんていったいどういう了見ですか、ぶっ放しますよ?》







僕の相棒兼ウサギのぬいぐるみが生意気言いやがる。つか、お前ぬいぐるみなんだから飲めないでしょうが!!










《いちいち細かいトコに……ちっさい男ですね……》







「ちっさい言うなぁ!! なんなんだいきなり! 酔っ払ってんのか!!」







「まぁまぁ二人とも……」







《「魔王は黙ってて!!(下さい!!)」》







「ひ、酷っ!! 魔王じゃないもん!!」










魔王兼冥王が僕達を止めに入ったが一蹴してやった。なんか言ってた気がするが気のせいだろう。言ってたとしても知ったこっちゃない。










「ほら、恭文もアルトアイゼンもその辺にして。今日はせっかくお祝いの日なんだから。」










今度は僕の大好きな人兼こ、恋人のフェイトが割って入ってきた。ま、まぁフェイトが言うなら仕方ない。フェイトに感謝するんだね、アルト。










《それはこっちのセリフですよ。だいたいなんですか、「こ、恋人」って。なに今さら照れてんですか、気持ち悪いですよ。》










まったく口の減らないデバイス兼ウサギのぬいぐるみだ。いっそフォーマットしてやろうか。

……でも今日はフェイトの言う通り、お祝いの席だ。仕方ないから見逃してやろう。

何よりアルトだって僕を祝ってくれる気持ちはあるはずだ。それを無下にするのは良くない。










《まったく……成人とは思えない幼稚さですね。これから先が心配です。》










前言撤回。後でぜってーフォーマットしてやる。










「でも本当、アンタ変わんないわね。相変わらず無茶してるんでしょ?」










ティアナが若干呆れたような口調で言う。何を失礼な。フェイトの目が届くようになってからはあんまりしてない、はず。してない……よね?










「…………」










フェイトは無言で首を横に振った。シット!

会場内も「やっぱりか……」みたいな空気になった。

だ、だってしょうがないでしょうが!! そういう状況といっぱい出会すんだよ、以前にも増して!!










「まぁ、お前がそうだってのは分かってるけどよ。あんまフェイトに心配かけんじゃねーぞ。」










師匠にも釘を刺されてしまった。

ま、それでも止まれない時は止まれないけども。










「まぁ、それがお前の強さでもあるがな。」










シグナムさんが静かに言った。

無言ではあったけどザフィーラさんも頷いてくれた。

うん、やっぱりやらなきゃいけない時は迷いたくないし、こうやって背中を押してくれる人達もいる。

こういう機会にそれが再確認出来るなら六課に来たのも間違いじゃなかったんだろう。

まぁ、最初はだいぶ渋ったけども……今ではいい思い出だ……たぶん。










「でも、あれからもう三年なんだね……早いねー」










なにやら感慨深気に豆柴兼友人のスバルが……










「ちょ、ちょっと待って恭文! なんでティアの時は友人の方が先なのに私だと豆柴の方が先なの!?」







「だって豆柴だし。」










爽やかな笑顔で言ってやったらあろう事か厨房から料理を運んで来たギンガさんに泣き付いた。










「ギン姉〜 恭文がいじめる〜」







「なぎ君、あんまりウチの妹を苛めないであげて。」










おのれ、僕がギンガさんには若干弱いとこを知っての狼藉か!

だって豆柴は豆柴でしょうが。










「……まぁ、そうなんだけどね…………」







「ギン姉まで〜」










姉公認。良かったね、スバル。










「良くない〜!!」










ちなみにギンガさんは今日は有給使ってまで朝から料理の準備を手伝っていた。




この宴会は毎年この姫星を貸し切ってやっているんだけど年々規模が大きくなってしまってココの店長が










「人手を貸してくれ」










って言うもんだからギンガさんが










「私は六課には途中参加だから」










なんて言って今年からお手伝いさん兼ウエイトレスになっていた。ちなみにはやてとシャマルさんもお手伝い中だ。










……言いたい事は分かるけどシャマルさんはココの店長に弟子入りしてからとっても料理が上手くなったと一応言っておく。

はやては店長の指導の手腕に驚嘆していたということも付け加えておく。




他の八神家の方はこっちのフロアにいる。

リインは……初っぱなにジュースと間違えて芋焼酎「魔王」をがぶ飲みしてしまい現在潰れている、御愁傷様。










「なんでリインと私を交互に見るの!? その目はなに!?」










またなんか魔王が言ってるが華麗にスルーした。きっとそれが世界にとっても正しい選択だ。










「でも、確かに早いって感じるわね。それだけ充実してるって事なのかしら。」










まぁ、スバルやティアナの言うことも分かる。楽しい時間は早く過ぎるって言うしね。




それに……










「僕には何よりこの二人の成長ぶりが時間の経過を感じさせるよ。」










言いつつ僕は今や僕の背に追いつきつつあるエリオとキャロの二人を見た。










「なぎさん……その視線じゃ『見た』じゃなくて「睨んだ」だよ……」







「言葉は穏やかだけど目付きが修羅モードだよ、恭文……」










アハハ、キノセイダヨ。










「「いや、気のせいじゃないから!! 片言だし!!」」










だって……だってしょうがないじゃんか! 羨ましいんだよ、怨めしいんだよ! エリオにならまだしも、キャロにまで抜かれたら僕はもう……!










《男としてオシマイですね。》







「言うなぁあぁあ!」










クソ、今日は本当に僕の誕生日なのか!? いや、みんなにプレゼントとか貰ったけど……

ヒロさんとサリさんは凄かったなぁ……今日は忙しくて参加出来ないって言いつつプレゼントは用意してあったし。

しかもそれがなんと……デンライナーだもんなぁ……や、流石に本物と同じじゃないけど……次元航行くらいなら出来るってどういう事さ。

んなもん貰っても使いようがないんですけど……










《次は本物と同じの作るって言ってましたしね。》










あの二人なら作っちゃいそうだから怖い……
















閑話休題
















「しっかし、もう本当に20歳なんだねぇ……」







《そうですね。これからは酒もタバコもクスリも女もやりたい放題ですよ。あ、女は昔からでしたか。》










ちょ、何を口走ってやがりますかこのドグサレデバイスは!! クスリはアウトでしょ、jk。

っていうか、そんなことここで言ったら……










「ヤスフミ……それ、どういう事……?」










ああ、ヤン・バレンタイン・デー……アナグラムにしたうえに略してヤンデレ状態のフェイトそん降臨ですね、分かります。分かりたくもないけどね!!










「ねぇ、どういう事なのかな、かな?」










目が据わってる。マズイ……この状態のフェイトは非常にマズイ。

フェイトと、その……恋人になってからというもの、フェイトは随分と嫉妬深くなった。

や、それはそれで嬉しいんだけどこのモードになっちまうようになったのはいただけない。

事ある毎に比喩じゃなくて物理的に雷落とされてちゃ溜まったもんじゃない。










「お、落ち着いて、フェイト。アルトがデタラメ言ってるだけだから。そんな事ないからね。僕、フェイト一筋10年単位だからね。」










今更言うまでもないと思うけどこれは本当だ。正確には9年と2ヵ月18日と16時間34分11.333秒だ。




いや、そんな小数点第三位まで数えちゃいないけども。でもそんくらいだと思う。










《何をブツブツ言ってるんですか

……というか、私を嘘つき扱いするのは止めてもらえませんかね。事実でしょ、貴方が色んな方にフラグを乱立させたのは。》










このクソウサギは火に油どころかガソリンぶっかけた後に酸素と水素のつまったポリ袋を投げ込みやがった。

お陰様で大爆発でいい具合の炭素ハンバーグが出来るまでコンマ3秒前だよコンチクショウ!!










「ふーん、そうなんだ。フーン……ソウナンダ、ヤスフミ。」










ヘイヘイ、フェイトさん? 貴方待機状態のバルディッシュに手を掛けていったいぜんたいどうなさるおつもりで? 待って、話し合おうじゃないか。我々人類には有史以来、いや有史以前から他の生物には無い言葉という文化があるのだよ。今こそその真髄を僕ら二人が試す時じゃないのか?いや、そうに違いない。言葉によって生まれた誤解はやはり言葉によって解決すべきだと思うんだ。それがきっと最も美しい方法であるはずで、更に言うなら暴力では何も解決しないし何も生み出さない。そこには悲しい結末しか待ってないんだ……そう、僕がサンダーフォールでこんがり焼かれた後にザンバーでフルボッコにされるっていう悲しい結末がね!!










「そうだね……私も悲しいよ、ヤスフミ。

大好きなヤスフミをサンダーフォールでこんがり焼いた後にザンバーでフルボッコにして更に真・ソニックで血祭りに上げなきゃいけないなんて……」










増えてるし!! 聞けよ、人の話!! っていうか悲しいって思ってんなら止めてくれ!!

ック、このままでは恋人に殺されるなんていう悲惨過ぎるデッドエンドを迎えかねない。誰か、誰か助けて!!










僕は助けを求めるべく辺りを見渡して……

既に半径10mはこの手の届く距離、今から振り回しますので離れていて下さいってくらいに周りに誰もいない事に気づいた。シット! この薄情者共め!

つーか、おいウサギ!! お前は酒浴びてないでちょっとは僕を弁護して下さいよ!










《…………》










シカトかよ。マスターの生命の危機をスルーすんのかよ!! 元はと言えばお前が言った事だろうが!!

くっ、こうなったら……アイツの助けを借りるのは癪だけど……










--横馬、いや、なのは! 助けて!--










僕の念話が通じたようでなのはは僕を見てニッコリ笑った。










--任せて、恭文君! 私がリリカルマジカル解決してあげるの!!--










おお、なんとも頼もしい! 流石魔……エース・オブ・エース。任せたよ、なのは!










「フェイトちゃん?」







「ナニ、ナノハ?」







「ううんなんでもないごめんねじゃましてごゆっくり」










ラディカルグッドな早口でそう言い残してフラッシュムーブもかくやといったスピードで離脱していく管理局の誇るエース・オブ・エース。

クソッ、使えない奴め! もう一生魔王って言い続けてやる!!










「そ、それは嫌!!」










またもやなんか聞こえた気がしたが例の如く無視だ無視。きっとそれが世界を平和に導く唯一の方法だ。

……今は世界より僕の命を救って欲しいけどね!!










「さぁ、もう観念してヤスフミ……大丈夫、一瞬で終わるから。」







でしょうねぇ!!

……クソ、この手は使いたくなかったけどしょうがない。背に腹は変えられない。










「だって……フェイトが全然僕を相手にしてくれなかったからじゃないか……僕だって好きでフラグ立ててたわけじゃないよ。

でもフェイトがいつまでたっても僕を見てくれなかったから、他の人が出てきたんだよ……?」







「うっ……」







「僕はフェイトだけが好きだったのに、フェイトはずっと気づいてくれなかったじゃない……」







「ううっ……」










よし、ここまで来ればあと一押しだ。

フェイトが修羅モード(っていうか般若)に入った時はこの一連のセリフが切り札だ。

コレを言う事によってフェイトは過去の至らなかった自分を回顧し、内省する。

フェイトの真面目な面に付け込むやり口なんであんまり好きではないんだけど……

それに、コレを言う事によって僕もフェイトに振り向いてもらえなかった自分を思い出してしまうのでかなり気分的に沈む。まさに諸刃の剣だ。

や、まぁ物理的な剣が突き刺さるよりは遥かにましだけれども。

ちなみに、うつむき加減で声のトーンを低くして言うのがポイントだ。まぁ、フェイトは誰にも渡さないから参考にはならないだろうけど。










「ねぇ、フェイト。僕は今も昔もフェイトのこと大好きだよ。フェイトは違う、の……?」







「も、もちろん私もヤスフミのことは大好きだよ。」







「それでも、僕の言う事……信じられない?」







「う、ううん……ごめんね、ヤスフミ……」










来た、見た、勝った! カエサル万歳!!










「いいよ。僕もフラグが立つような行動してたって事なんだろうし……」










身に覚えが無いのがアレだけども……

でもこういうやりとりが終わる度にフェイトがハグしてくれるからたまには良いのかもし……いや、サンダーフォールザンバーソニックは嫌だけどね……







































































































そうして時間は過ぎて、今は夜中の1時過ぎ。







あの後、ちょっと色々あった。










何故かいきなり大食い大会が始まり、決勝でナカジマ姉妹の一騎討ちが繰り広げられたり、エリオが僕に歌をプレゼントしてくれたり……

ギター、上手かったなぁ……ヴァイスさんにロッサさんもドラムとベースをやってくれたし。(ちなみにもう一人のギターはここの店長だった)







そして……今のこの惨状に繋がるイッキ飲み大会……




はやての完全な悪酔いから始まったコレ。







「部隊長命令や!」







なんて言ってたけど、今機動六課無いからね!

まぁ、悪酔いしたはやてがそんな事聞くわけもなく、更にはその頃には周りも結構出来上がってたから皆悪乗りしちゃって……その結果がこれだよ!!

皆さん床でシエスタ中。つーか誰だよ、エリオとキャロにまで飲ませたの!!

お陰で僕は片付けの手伝いをウサギと一緒にしている。コイツはデバイスだから潰れるとかないんだよなぁ……羨ましい。










「悪いな、手伝ってもらっちゃって。」










ここの店長(僕はヒメさんって呼んでる)が苦笑混じりに言ってきた。










「いいですよ、そんな。毎年毎年こんな使わせてもらってるんですから……」







「楽しい分には大歓迎だから別に構わないけどね。」







「限度がありますよ。流石に、これは……」







《口じゃなくて手を動かして下さい、マスター》










分かってるよ、まったく。皆が潰れたとたん急に殊勝になりやがって。










《そりゃそうですよ。皆で弄った方が楽しいでしょ?》










マジでフォーマットしようかしら……










「ハハ、お前達は本当、面白いな。そういや、今日はやっちゃん全然飲んでなかったけど、調子でも悪いのか?」







「あ、気づきました?」







「アレで隠してたつもりなのか? もしかして不味かった、とか?」










どうやらヒメさんにはバレバレだったらしい。










「ああ、いえ……そうじゃないんです。」










そうじゃないんだけど……










──カランカラン










不意に入り口のドアに付いている鐘が鳴った。

ヒメさんが片付けをしていた手を止めて対応に向かう。







「ああ、すいません。今日は貸し切りなん、で…………なんでいるの?」










なんか変な対応が聞こえてきたので僕もアルトも作業を中断してそっちを向いて……驚いた。







「弟子の成人の日を祝いに来るのがそんなおかしな事かの?」







「先生!?」 《グランドマスター!?》







「久しぶりじゃの、二人共。」










そこにいたのは紛れもなく、間違えようもないヘイハチ先生、その人だった。







































































































「で、貸し切りなんかの?」







「いや、アンタなら話は別だ。でもまぁこの中じゃなんだから……奥の部屋から縁側に出れるからソコを使うといい。」







「すまんの。片付けの最中だったんじゃろう?」







「気にすんな。あの二人が手伝ってくれたから粗方終わってる。後はこっちでどうとでもなるさ。

だが、生憎と酒が殆ど残ってない。八っちの悪酔いのせいでこの有り様だからな。あとは……イェーガーボムくらいしか作れんぞ。」







「それなら心配には及ばん。酒はとびっきりのを用意してあるからの。昔からの約束でな、20歳になったらとびっきりを飲ませてやる、とな。」







「なるほど……だからやっちゃん今日は全然飲まなかったんだな。なんつーか、可愛いとこあるんだな。」







「じゃろう?」










当事者であるはずの僕を完璧に置き去りにして話が進んでいく。

僕はと言えばしばらくアルトと固まっていた。










「ほれ、何をボサッとしておる。行くぞ、恭文、アルト。」







「え、あっ。はっ、ハイ!」







「後でツマミを持っていくよ。」







「うむ、頼むな。」










そうして僕達は縁側へと向かった。




































































































「まずは、20歳の誕生日おめでとうじゃな。」







「あ、ありがとうございます。」







本当に僕の誕生日を祝いに来てくれたんだ……なんかちょっと感動した。










「これからは酒もタバコもクスリも女もやりたい放題じゃな、恭文。」










と思った矢先にコレか! 先生まで同じ事言ってる! っていうかその発言はマジでアウトだから!!










《そう思ってるのは貴方だけですよ。》










うっさいよ! 世間一般から見てもアウトコースまっしぐらだよ、特に後半の2つが!










《気のせいですよ。そう思って下さい。それがきっと世界にとっても正しい選択ですよ。》










それは僕のセリフだからぁぁああ!!










「久しいというのにお前さんもまったく変わっとらんの、アルト。」










《そんなに簡単に変わったりしませんよ。

それに、次会った時に私が変わってたらもう貴方、分かんなくなってるかもしれないじゃないですか。もう年なんですから。》







「外見は可愛らしくなったというのに……本当、相変わらずじゃのう…………

しかしお前さんも随分と恭文とのコンビも板に付いてきたの。今のやりとりとか、他にも色々噂は聞いとるぞ。」







《まぁ、マスターとの付き合いもそれなりに長いですからね……色々と大変なんですよ。ヘタレですからね、この人。》







「ヘタレ言うな!!」










本当に今日はいつにもまして失礼極まりない奴だ。僕、本当にマスターなんだよね? 若干自信無くなってきたよ?










「そうは言うがの、アルト。恭文も一つ成し遂げた事があるじゃろ。」










僕が成し遂げた事? なんだろう? 色々やらかしてる自覚はあるけど何か先生の耳にも届くようなでっかい事成し遂げたっけか?










「フェイトちゃんを遂に射止める事が出来たんじゃろ?」










僕とアルトは盛大にこけた。そりゃもう盛大に。




だってしょうがないじゃないのさ!! どんな真剣な内容かと思ったらフェイトを射止めただなんて……

いや、確かに僕にとっては今世紀最大の事件だけども。っていうかなんで先生が知ってるの!?










「風の噂じゃよ。」










嘘だっ!!










《まぁ……貴方の永きに渡る恋慕の情はあらゆる次元世界で周知の事実なんでしょ。良かったじゃないですか。結婚式は人が大勢来ますよ。》










良くない!! 全っ然良くない!! フェイトとの式は森の小さな教会で二人だけでするんだよ!!

照れてる僕を虫達が囃し立てて僕はそっとフェイトに口づけするんだ!! それから……










《ああ、もういいですごちそうさま。って言うか、他の人はともかく私とリインさんは呼ばないといけませんよ。》










ああ、そうだね、忘れてた。










「ワシは呼んでくれんのか?」







「呼んで欲しかったら連絡とれるようにしといて下さいよ。

や、それでもウェディングドレス姿のフェイトにおかしな事されたら困るんで呼びませんけど。」










うん、色々と触られたりしたら困るからもし連絡ついても呼ばないでおこう。










「つれないのぉ……ワシゃあお前さんのことが心配で心配で夜も適度にしか眠れなかったというのに……」










適度に寝てるならいいじゃないか!!










「本当は今日もお前さんがまだフェイトちゃんと恋仲になってなかったら女の子を紹介しようと思っとったんじゃが……

まぁ、要らん節介だったようで一安心じゃよ。」










先生にまでそんな心配をされてるとは…………

ってか紹介されたところで僕にどうしろと!?










「それはほら、一晩を共にしてじゃな……」










やっぱいいです聞きたくないです勘弁して下さい!!










「冗談じゃよ、冗談。」










けっこう目がマジだったんですけど……










「へい、ツマミお待ちー……なんだまだ開けてなかったのか。」










そんな会話をしていたところでヒメさんがツマミを持ってきてくれた。

自家製燻製の盛り合わせだ。中でもニジマスの燻製が特に美味しかったりする。










「お前さんがツマミを持ってきてくれる言うとったからの。待っとったんじゃよ。」







「そうかい、そりゃ悪かったな。まぁ、あんまし数もないけど食べてくれ。」







「すみません、片付けも残ってるのに。」










今日は殆ど厨房に篭りきりだったから疲れてるだろうに。










「だから気にすんなって。誕生日でそういう気を回すんじゃないの。せっかく滅多に出てこないじい様が来てくれたんだ、こっちの事は忘れな。

んじゃ、ごゆっくり。」










そう言い残してヒメさんは戻っていった。










「さて、ツマミも来たことじゃし、始めるかの。」







「あ、はい。」










先生が風呂敷包みを解いて一升瓶を取り出した。










──ぽんっ










小気味いい音を響かせて栓が抜ける。微かに薫る甘く、爽やかな香り。御猪口に注がれる透明な液体の中に月が映る。




切り取られた一瞬に20年の歳月の全てが凝縮された気がした。










「さて、呑もうかの。恭文、誕生日おめでとう。」










幻想的でさえあったその刹那の静寂を先生の声が破った。

御猪口が目線の高さまで上げられている。










「ありがとうございます、先生。」










僕はそれに乾杯をして答えた。




































































































結論から言えばあの酒は最高だった。言葉にすると嘘になるくらいに美味かった。のど越し、後味、香り、甘味と辛味の絶妙なバランス……

どれをとっても今まで飲んだどんなお酒より美味しかった。流石は先生のとっておきだ。







ただ、アルコール量がちょっと高いから呑み慣れてない人にはちょっと勧められないかも。

でもあんまりにも美味しかったんで先生に何処で手に入れたのか訊いてみたんだけど……







「それはほら、企業秘密じゃ。」







なんて言われてしまった。




まぁ、どうせ真っ当な手段で手に入れたんじゃないんだろうけど……










呑みながら僕と先生とアルトは色んな事を話した。




今までの話からお互いの近況。今度の管理局合同戦闘演習への対策、注目の新人漫画家、今ハマっているソフト、今後のゲーム業界、湯川専務の今……。







そして粗方語り尽くした後、先生が唐突に言った。










「そうじゃ恭文。お前さん、何か欲しいモンはないかの?」







「欲しい物、ですか……?」







「そうじゃ。今日はお前さんの誕生日じゃろう? 酒は前からの約束じゃったからの。他に欲しいモンがあればプレゼントしてやる。何でも言うてみい。」










プレゼント……プレゼント、か。

先生から貰えるんだったら何だって嬉しいけど、次に会えるのはいつか分からない……なら、僕の答えは、一つしかない…………










「先生……」







「おう、何じゃ。何でも言うてみい。」







「僕と……僕と、勝負して下さい、本気で。」










これが僕の答えだ。

今の自分がどこまで先生に近づけたのか……それが知りたかった。










「……ええじゃろ。加減はせんぞ。」










僕の目が本気だったのを感じとってくれたのか、先生も応えてくれた。










「アルト……」







《分かってますから何も言わなくていいですよ。まぁ、今日は貴方の誕生日ですからね、付き合いますよ。》










アルトも一緒に闘ってくれる。やっぱり二人そろって古き鉄だからね。










「いい顔じゃ。男の横顔になったの、恭文。」










言いつつ先生は包みから木刀を取り出した。










──空気が張りつめる










僕達は縁側はから中庭に降りて一挙手一投足の間合いで対峙する。







僕はアルトを正眼の構えで構える。










先生は木刀を上段に構えた。










──風が緩やかに吹く










先生はその風を剣気で切り裂いていた。










──やっぱり先生は凄い










分かっていた事だけど、凄い。

全然隙なんて無いし、勝てるイメージも全く浮かんでこない。

でも、ダメ元でも打たなきゃ始まらない。










──いけ、いけ、いけ、いけ!!










その言葉に反して身体は全く動かなかった。まるで石になったように固まっていた。










「どうした、恭文。来んのならこっちからいくぞい。」










──じりっ










先生が一歩距離を詰めた。







マズい、来る──!










「恭文さぁん!! 何やってるんですか!!」










その最高潮(クライマックス)な緊張感を見事に突き破る声が一つ、縁側の方からしてきた。










「リイン!?」










そこには復活したリインがいた。

いや、リインこそどうしたの?










「どうしたの? じゃありません!! リインに内緒で闘おうとするとはいったいどういう了見なんですか!!」










怒られてしまった。や、だってリイン寝てたじゃないのさ。










「だったら起こすんですよ!! まったく、ヒメさんが起こしてくれなかったら大変なとこでしたよ!!」










ぷりぷり怒る小さな妖精さん。

でもお陰でリラックス出来た。

そうだ、僕はアルトとリインと三人で古き鉄なんだ。忘れてたよ、ごめんリイン。










「分かればいいんですよ。それじゃ恭文さん、ユニゾンインするですよ!」







うん、いくよ。










「「ユニゾン、イン!!」」










その言葉により、古き鉄はその真の姿を現す。










──大気が凍る







──剣気が研ぎ澄まされる







──思考がクリアになっていく










そうしてここに真の古き鉄が顕現した。




三位一体、切れない絆。それこそが僕等最強の武器。

今なら何だって出来る気がする。先生に勝つ事だって、不可能じゃない!!










「──準備はええかの?」










先生の言葉に応える。

先生相手に小細工は無用だ。一撃で決める!!










「はい。先生、いきます!!」







「うむ。来い、恭文!!」




































































































「……それで、この様か……」







「そう言ってやるな。この子達も頑張ったんじゃからな。」







「だったら少しは加減してやれよ。一撃目で沈めちゃ可哀想だろう。」







「本気で、と言われたのでのう。というか、見とったのか?」







「音で分かるさ。」







「そうか……まぁ、恭文もきちんと成長しとるぞ。ワシに一撃入れおった。」







「その距離でアンタに一撃とは……末恐ろしいな。」







「まだお前さんの方が強いんじゃないのか?」







「馬鹿言うなよ。俺はただのコックさんだぜ? 魔法も満足に使えねえのにどうしろってんだよ。」







「お前さんは魔法なんぞ使わなくとも十分やれるじゃろうに……ん、タバコ変えたのかの?」







「ん、ああ。アレはもう品切れだ。台湾の不味い煙草でね。どこぞの物好きな職人がダンボール一箱分だけ作ったっていう一品なのさ。

過去うちにあった備品の中で二番目に価値のある品物だったんだが……まだ残ってたらやっちゃんにあげてもよかったんだが。」







「恭文にタバコは似合わんじゃろ。」







「それもそうかもな。下手したら補導だろうよ。」







「ハハハ、あり得るのう。」







「んで、もう行っちまうのか?」







「まぁ、の。あんまり一ヶ所に留まるのは性に合わないんじゃよ。」







「アンタももういい加減ロートルなんだから少しは落ち着いたらどうだ?」







「ほっほっ、そんな理由じゃ止まれんの。」







「……まったく……アンタの弟子はアンタそっくりに育っちまってるぜ? 毎度毎度テスタに愚痴を言われる俺の身にもなってくれ。」







「それはすまんかったのう。御詫びと言ってはなんじゃが……飲むかの?」







「止めとくよ。それは今日のやっちゃんのための物だろう? 俺が飲んじゃあマズいでしょう。」







「フハハ、そうかそうか。律儀じゃの。」







「代わりに今度また来いよ。次はちゃんとした美味いもん食わしてやっから。酒はそん時にでも飲ませてくれ。」







「了解じゃ。ではの。」







「おう。






















………………で、行っちまったが……良かったのか、アルトアイゼン。」













《問題無いですよ。今更この程度の離別を惜しむような関係ではありませんから。》







「そりゃ羨ましいね、いいことだ。…………さて、いつまでもこんなとこで寝かしとくわけにもいかない。運ぶの手伝ってくれるか?」







《了解です。》







































































































次の日。僕が目を醒ますと先生は既に発った後だった。

結局負けてしまった。ヒメさんはずいぶん強くなったと言ってくれたが、それでもやっぱり少し悔しかった。










「ねぇ、アルト……」







《何ですか?》







「僕、もっと強くなりたい。」










もっともっと。大事な物を全部護れるように。何一つ溢してしまわないように。そのために……










「これからも、僕と一緒にいてくれる?」







《今更何を言ってるんですか。嫌がったって着いていきますよ。》










そんなアルトの言葉がどこまでも頼もしかった。










「リインも、着いていくですよー。」










「うん、これからもよろしくね、リイン。」







「はいです!」










僕等は三人で一緒に……いや、僕の周りの大切な人達、護りたい人達と一緒に強くなっていくんだ。










《そうですね。そのためにはまず…………》










うん、そのためにはまず、この二日酔いで喘いでる連中を叩き起こすことから始めないとね。




































































































If:Certain wizard's after story  



   When you become 20, still am I alive?




                is alive.




So he chase up him, and he'll rise litlle by little.







































































































あとがき
















やってしもうた…………










どうも、光速ベスパと申します。




コルタタさん、アルト姐さん、ついでに恭文君。20万hitおめでとうございます!!

え、遅い? しょうがないじゃないか!! これ書き始めたの19万hit超えてからなんですから!!

10万の時は何も出来なかったんで、20万hitの時は何かやろうと思っていたところ投稿小説の欄が出来ていたのでついついやってしまいました。

あ、許可はちゃんと取りましたよ。




しかし何分、時間が押しまくりだったものですからろくにプロットも立てず書き始めました。




まぁ、直ぐに先生と恭文の話を書こうと決めたのですが。













他にあった話の候補としては













彼女にもっと出番を、すずかとのデート話







やはりラブラブ路線でしょ、フェイトとの結婚式







元祖ヒロインを忘れちゃいけません、リインとのほのぼの日常







血が、血が足りねぇんだよぉぉおお、六課皆殺しバッドエンドを迎えた後の恭文君の話







やはりここは大好きな貴女でしょう、アルト姐さんのアレコレ話



















こんな感じでした。リインとフェイトの要素は若干入ってますが。




……フェイトとのラブラブ話はとまと原作より先にやってしまって良かったんだろうか…………




まぁ、本編はせっかくの20万hit記念なんで20という数字とかけてみて20歳になった恭文君のとある日常を書いてみたり……







しかし今回書いてて分かった事なんですが、コルタタさんね様な書き方……仮にコルタタ風味としましょう。

そのコルタタ風味で書くのってすげぇ難しいですね。とまと原作の様にテンポよく書けたか不安です。




























さて、長々書きましたが私の小説、If:Certain wizard's after story When you become 20, still am I alive? はこれにて終了です。




ここまで読んでいただきありがとうございました。




重ねて、コルタタさん、アルト姐さん、恭文君、20万hitおめでとうございます。これからも頑張って下さい。
















ではでは。
























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あきゅろす。
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