頂き物の小説
第1話『序章〜未だ交わらない二つの道〜』:2
「・・・実は、私とサリがここに来たのはね、シャーリーちゃんに相談されたのがきっかけなのよ」
「シャーリーさんから・・・ですか?」
そうか、この状況はシャーリーが引き金か。・・・後で覚えてろよ。
「そうだよ。この子達・・・しゅごキャラ・・・だっけ? そういうのが見えなくて、とても苦労しているって聞いてね。
魔導師組の実質戦力がやっさんややっさんとユニゾン出来るリインちゃんや咲耶だけらしいし」
「で、最初の段階でやっさんがこっちの世界の退魔師・・・オカルト関係の人に相談したってのを聞いて、もしかしたら俺やヒロなら見えるんじゃないかと思って、来てみたんだよ」
とにかく、ヒロさんとサリさんがどうしてここに来たのかと言う話をしてくれた。僕達があんまりに混乱しているから、落ち着かせる意味合いも含めて・・・である。
というか、その見えるんじゃないかという自信はどこから沸いてくるのかを聞きたいんですけど。
「・・・やっさんには何回か話したよな。俺とヒロがヘイハチ先生との修行時代に散々バカやらかしてるっての」
「あぁ、言ってましたね」
「その時に・・・こう、妙な体験・・・ぶっちゃけると、霊的な体験をしたことってのが何回かあってな。その結果・・・こう、見ようと思えば見えるようになったんだよ。霊的なアレが」
そ・・・そこは知らなかった。というか、先生はマジでなにしてる? 色々おかしいでしょうが。
「そう言えば・・・冴木のぶ子も見えてたよな」
「見えてたな。やっぱりそういう霊感とか関係してるんだろうな」
「なんというか、失礼な話でち。ペペ達は幽霊なんかじゃないでちゅよ?」
「まぁ、普通は見えないんだから、ある意味同じではあるんだよ。・・・でも、ナカジマさんや高町さんはどうして見えるんでしょう?」
唯世が疑問顔でそう言うけど・・・それに関しては理由が思いつく。
それは、リインやティアナ、ヒロさんとサリさんも同じくらしい。顔を見れば分かる。
「多分、二人は『なりたい自分』をしっかり持ってるからだね。もしかしたら、みんなや他の子ども達みたいにこころのたまごを持ってる可能性もあるかも・・・」
「そのおかげ・・・なんですね。でも・・・あぁ、みんな可愛いなー♪ 私やヴィヴィオの中にたまごがあるなら、みんなみたいな子が生まれてきたりするのかな?」
「どうかしら、しゅごキャラは極まれにしか生まれてこないみたいだし」
「あーん、ティアの意地悪ー!!」
まぁ、なんか楽しく遊び始めた二人は放っておこう。でも・・・とりあえず見えるのは確定として、どうするつもりなんだろ。
だって、普通にやったらしゅごキャラのみんなはレーダーでの探知も出来ないんだから。
「そこなんだよな。一応見れば何か思いつくんじゃなかろうかとも考えていたんだけど・・・さっぱりだ。ただな、やっさん」
「はい?」
「お前の魔法、×キャラの浄化と封印が出来るんだよな」
その言葉に僕はうなづく。・・・どういうわけかは知らないけど、僕の魔法は通用する。おかげでいつも通り戦えるのは、ちょっとありがたい。
「それに関してだが、思い当たる節がある」
「エグザさん、それは本当ですか?」
「本当だ。・・・まぁ、これはヘイハチ先生との修行時代の話からの推測に過ぎないんだが、霊的なもの・・・人に憑く守護霊って言うのは、本人のあずかり知らぬ所で色々動いてたりするんだ。
憑いている人が悪い道に進もうとしているのを、必死に防いだり、物事がいい方向に動くように配慮したり・・・とな。最近のスピリチュアルなんたらなんて、その最も足る例だ」
・・・あぁ、なんかやってるなぁ。オーラのなんたらとか、冴木のぶ子とか。
「で、俺やヒロが思うに・・・お前の中にもこころのたまごがあるんじゃないのか? それも、あむちゃんやガーディアンのみんなと同じように、強い力を持ったしゅごキャラが」
「僕に・・・ですか?」
サリさんが僕の言葉にうなづく。・・・思いっきり推測が混じった話にはなるけど、そう考えれば・・・あれ、いい感じなのかな。
今までどこかでつっかえてた小骨が取れた感じがした。一つの推論ではあるけど、それでも・・・一つの答え。
「・・・なるほど、恭文君の魔法が×たまの浄化や封印が可能なのは、恭文君のしゅごキャラが恭文君本人の知らないところで力を貸してくれているおかげ・・・というわけですね?」
「まぁ、さっきも言った通り推測に過ぎないけどな。それだったら普通に出てくればいいんだろうけど、やっさんがいろんな意味で大人の階段上ってるせいでたまごという形で出られないんじゃないのか?
だから・・・やっさんの中から、魔法と言う力を通して力を貸してくれてると考えれば、一応の理屈はつく。やっさんの魔法が通用する理由もそうだし、やっさんにしゅごキャラが見える理由もだ」
「そっか、フェイトさんとラブラブだから、たまごが生まれないんですね」
「ややちゃん、正解だ。・・・全く、だから糖分過多なラブラブっぷりはやめろと言ってるだろうが」
そこ関係ないですよねっ!? 一体なんの話してるんですかっ!!
「・・・あぁ、確かにラブラブだよな。俺、普通にびっくりしたしよ」
「なに、やっさんとフェイトちゃんはみんなの前でもラブラブなの?」
「ラブラブっすよ。もうすごい勢いで」
「だから空海もヒロさんもなんの話してるっ!? 普通だからっ! 恋人同士って考えれば普通だからっ!!」
僕が必死に反論をすると・・・全員あさっての方向向いて無視しやがったっ! おのれらどんだけっ!? つーか、いいじゃんっ! ラブラブしたってさっ!!
「むー、みんなリインの事をお忘れなくですっ! リインだって、恭文さんとラブラブなんですよっ!?」
「そういう話じゃないからっ! つーか、リインも落ち着いてっ!!」
「・・・とにかく、やっさん」
「はい?」
サリさんの方に視線を戻す。・・・ちょっとだけ、姿勢を正した。
サリさんもヒロさんも、表情が真剣だったから。
「フェイトちゃんやティアナちゃん達が×たまに手出し出来ない以上、お前が魔導師組にとって、今回の一件のキーになることは間違いない。ただ・・・何時までも今のまま行けるとは考えない方がいいな」
「へ?」
「サリが今話したのは、ぶっちぎりで推測ってこと。つまり・・・どうしてアンタの魔法が×たまに通用するのか、全く分かっていないのは変わらないんだよ」
ヒロさんが言った事の意味を、頭をフル回転させて・・・考える。
つまり・・・あれですか? 僕の魔法が×たま達に・・・何時通用しなくなってもおかしくないと。
「そういうことだね。まぁ、私らの方でもデータはもらってるから、ちょっと調べてあげるよ。どこまで力になれるかは分からないけどさ。・・・あぁ、それと」
「・・・あ、あの・・・なんで二人とも怖い目で僕を見るんですか?」
「アンタ、どこの誰とも知らない猫男相手にして、倒すどころか取り逃がしたんだって? それも二度も。
それだけじゃなくて、人質取られて即時鎮圧もしなかったとか」
「まぁ、後者は色々事情込みらしいから仕方ないとして、お前・・・最近弛んでるんじゃないのか? 俺もヒロも耳を疑ったぞ」
な、なんか余計な事まで伝わってるっ!? シャーリー・・・マジでなに話したっ!!
「つーわけで、私もサリも今日は泊まりだし・・・アンタ、覚悟しときな? この1年でどんだけ腕上げたか、改めて見てあげるよ」
「あー、あとティアナちゃんもだな。つーか、やっさんとタッグで来てもらうから・・・・・・いや、ジン坊も入れてトリオでだね。」
「私もですかっ!?」
「・・・って、俺もっ!?」
「あぁ。聞くところによると、最近不覚を取ったそうだな?」
サリさんが鋭い瞳を向けてそう言うと、ティアナが固まった。
・・・まぁ、不覚と言えば不覚か。敵の戦力増加に加担した部分もあるわけだし。もちろん、ティアナ本人の意思じゃないけど。
「あと・・・セブンガンモード、どこまで使いこなせてるか見させてもらうぞ?」
「一応データ取りお願いしてる身としては、そういうのも確認しておかないといけないしね・・・そしてジン坊はアレだよ。愛しの彼女が戦うってのに、黙ってみている訳?」
そうニコニコしながらヒロさんが言って来た。というか、あの・・・ほ、本気の二人とやるの?
僕とティアナは顔を見合わせる。そして・・・腹を決めた。
「分かりました。・・・アンタ達、こうなったらやるわよっ!!」
「当然っ! 僕が弛んでるかどうか、見てもらって判断してもらいましょっ!!」
「・・・・・・拒否権は・・・・・・ないよな?」
「「当然」」
逃げる選択はない。ならば、撃ち貫くのみである。今この瞬間、僕とティアナの気持ちは一つになった。ジンは項垂れているけど気にしない。
「よし、いい返事だ。二人とも、これで簡単に潰されたら・・・ひどいよ?」
「・・・あ、あの・・・よろしいでしょうか」
そう声がかかった。そちらを見ると・・・置いてけぼりなガーディアンのみんなとリインとスバルとヴィヴィオがちょっとうらめしそうな顔で見ていた。
あ、あははは・・・。なんというか、ごめんなさい。マジでごめんなさい。
「あー、ごめんね皆。ちょっと忘れてたわ」
「いえ、はっきりと宣言されても・・・。あの、今の会話って・・・ようするに訓練ということですね」
「そうだね、分かりやすく言えば模擬戦闘・・・実戦形式で私とサリ、やっさんとティアナちゃんのチームに分かれて、戦うのよ」
「なるほど・・・。あの、それ・・・僕も見させてもらうわけにはいきませんか?」
「・・・え?」
見るってことは・・・唯世が僕達の模擬戦を見学? え、なんのためにですか、それは。
「僕、実は魔法の事とかについてはそれほど知識があるわけじゃないんです。
ただ、蒼凪君やリインさん、ランスターさんとこれからも行動を共にする以上、そういうわけにはいかない気がして・・・」
「あ、もしかしてそれで勉強してみようってこと?」
「はい」
「・・・うーん、夜結構遅い時間からの予定なんだけど、お家の方とかは大丈夫? 私らの方は見る分には構わないから、あとは君の都合によるけど」
唯世はそのヒロさんの言葉にうなづく。家の人には、泊まると言う形にすれば問題ないと。
そして、その言葉に乗っかってきた人たちが居た。それは・・・当然のように、ガーディアンのみんな。
「それだったら・・・俺達も行かねぇか?」
「あ、いいわね。ガーディアンの合宿も兼ねてということで」
「そのままお泊り会も楽しそうだよねー」
「・・・そうだね、あたしもちょっと興味あるし・・・行ってみようかな」
全員、なんか乗ってきたっ!? えっと・・・あの、マジですか、あなたがたっ!!
≪これは・・・無様に負けられませんね≫
「そ、そうだね・・・。よし、頑張ろうっと」
「私も、なんか気合入れないといけない気がしてきたわ」
「恭文もティアもファイトー!!」
「ファイトー♪」
というわけで・・・緊急なイベントはこうして開催の運びとなった。
あれ・・・どうしてこんなことにっ!?
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そして、あたし達ガーディアンは見事全員集合という形でフェイトさんの家に集まった。もちろん、魔法戦闘の見学のため。
・・・な、なんかドキドキしてきた。魔法戦闘・・・というより、魔導師同士の戦闘って見るの初めてだし・・・どうなるんだろ。
というか、怪我とかしなきゃいいんだけど・・・。
「・・・まぁ、初めまして・・・やな。うちが八神はやてです。なんや皆、あのチビスケやリインがめっちゃ世話になってるみたいで・・・ホンマ、ありがとな」
「初めまして、リンディ・ハラオウンです。もう知ってると思うけど、フェイトと恭文君の母親です」
あたし達をフェイトさんと一緒に迎えてくれたのは、栗色の髪をショートカットにしている女性。この人がリインちゃんの保護者・・・なんだよね。
それに、翡翠色の髪の女の人・・・フェイトさんのお母さんかぁ。あ、雰囲気がちょこっと似てるかも。
「あ、いえ。蒼凪君やリインさんにお世話になってるのはこっちの方ですから。初めまして、辺里唯世です。それと・・・」
「藤咲なでしこです」
「結木ややですっ!!」
「日奈森あむです」
「相馬空海ですっ! あの、本日はお日柄もよく」
空海っ!? だからどうしてそんな風になるのかなっ! そんなにお見合いしたいわけっ!!
「おう、よろしくな。それじゃあアタシらも・・・アタシはヴィータだ。いつもいつもバカ弟子が・・・きっと迷惑かけてるんだろうな。
悪いな、アレは悪いやつじゃないんだが、若干おかしい所があってな・・・」
「あ、いえ。さっきも言いましたけど、蒼凪君には本当に助けてもらっていますから」
次に出てきたのは、6,7歳くらいの女の子。赤い髪を三つ編みにして・・・あれ、ヴィータ?
なんか聞き覚えがあるぞ。確かそれって、恭文とヒロリスさんから説明されたような・・・。
あ、そうだ。恭文の魔法戦闘の先生。小さいけど、あたし達より年上だからその辺り気をつけてって言われてたんだっけ。
「高町なのはです、初めまして。・・・お昼はうちのヴィヴィオのお世話してくれたみたいで、ありがとね」
「ありがとうございましたー」
「いいえ、お世話だなんて・・・。主に恭文君と楽しそうにお話していたのを暖かく見守っていただけですから」
「にゃはは・・・そっか」
あー、でも恭文やヒロリスさんから事前情報与えられてなかったらちょっと混乱してたかも知れないよ、これは。
だって、あんまりにも家族構成がばらばらというか、なんというか・・・。
「・・・でも、この人達も魔導師・・・なんだよね。それもすっごく強いんでしょ?」
あたしの隣に浮かぶランがそう言って来た。ちょっとだけ疑問な表情で。
・・・らしいね。その上なのはさんとヴィータさんは、教導官・・・魔導師の先生が出来るくらいにすごい人って聞いてるけど、そうは見えないんだよね。普通になのはさんはお姉さんって感じだし。
「でも、外見だけで判断するのは間違いだと思うな。ほら、恭文だってアレですっごく強いし、リインちゃんとユニゾンしたら更に強いし」
「そうですねぇ〜。恭文さんは、すっごく強いです」
なんだか自分の事のように言うスゥを見て、ちょっと苦笑。・・・あれ以来、スゥの中で恭文の株は急上昇らしい。やたらとガーディアンの会議の時も隣に居るし。
まぁ、シチュ的には恭文はスゥを助けてくれた正義のヒーローみたいな感じだしね。そうなっちゃうのも無理ないのかも。
「というよりミキ? どうしてそんなに気合い入りまくってるんですかぁ」
「いや、この間の『マタタキキワミー』が見れるかなぁ・・・と」
・・・ミキ、その言い方やめない? 恭文じゃないけど、色々台無しな気がするんだよ。うん、すっごくね。
「まぁ、立ち話もなんやから・・・ほら、みんな中にはよ入り? もうそろそろ始まるからな」
「あ、はい。それじゃあ・・・お邪魔します」
そうして、もうお馴染みなリビングに全員が座る。そして、空間モニターって言うのが開かれてて、その中に映っている人達が居る。その数は五人。
もう見慣れたマント姿の恭文と、袖なしの白のベストに赤と黒のインナー、腰に○の中にバツがついたデザインのバックルをつけて、ミニスカートにニーソックスを履いているのは、ティアナさん。・・・あれがティアナさんのバリアジャケットなんだ。
というかおしゃれー! 普通にイケてるしっ!! あれだけ見たらちょっと戦闘服とは思えないけど・・・でも、いい感じっ!!
そして、両手にはあの人形が持っていたのとほぼ同じデザインの銃。多分、前に見せてくれたクロスミラージュの武器としての形態。
もう一人はティアナさんの恋人であるジンさん。銀色のラインが入った紺色のジャケットとパンツに、青銅色で横に機械がついたゴツいブーツに、大きなライフル・・・なんか、制服みたいだ。
サリエルさんは、緑のアーミーパンツに同じ色の長袖のジャケット。黒のインナーに先が十字になってる槍を持ってる。・・・こっちの方が戦闘服に見えるんだよね。
それから、ヒロリスさん。ヒロリスさんは、白のロングスカートに腰の両側と胸元に装甲。両腕に恭文がつけているような小手。
その腰の装甲には、アルトアイゼンより細身で、真っ直ぐな剣が二振り、鞘に収められる形でくっついてる。
・・・って、あれ? なんかどこかで見たような。
「・・・なぁ、ヒロリスさんのジャケット・・・アレ、なんだ? あんなの使ってたか?」
「あぁ、なんかフェイトのセイバー参考に即席で作ったらしいで? つーか、白ってだけでほぼそのままやなぁ」
フェイト? えっと、つまり・・・フェイトさんの・・・あ、違うな。フェイトさんのジャケットは、もっとこう・・・黒かったもの。
それでスカートも短くて、絶対領域があって、胸もこう・・・大きくて。うぅ、仕方ないけどあれはうらやましい。
「・・・だからアレか?」
「だからあれやな」
「えっと・・・私の?」
「あぁ、ちゃうよ。あのな、『Fate』っちゅうめっちゃ有名なゲームがあるんよ。
その中に出てくるセイバーって言う剣使うキャラクターが居てな、ヒロリスさんの今のジャケット、ほぼそのままなんよ。まぁ、言うたら2Pカラーのコスプレ?」
あれ、ゲームキャラクターのパクリっ!? というかコスプレっ! ど、どういうセンスしてるんですかそれはっ!!
「・・・あの、一ついいですか?」
「なんや、唯世君」
「実は、前から少し気になってたんですけど・・・蒼凪君のバリアジャケットって、前に見せてもらったフェイトさんのジャケットと似てるような気が・・・。
ジャケットのデザインって、どういう所で決めるんですか? というか、コスプレデザインって・・・」
唯世くんの言葉に、全員が顔を見合わせる。そして・・・なんだか、魔導師組はフェイトさんを除いてニヤニヤしだした。
フェイトさんは・・・こう、顔を赤くしてる。どこか恥ずかしそうに、もじもじというか何と言うか。
「じゃあ、その質問は私が答えようかな」
そう優しく声を出してきたのは、なのはさん。あたし達の目を真っ直ぐに見ながら、言葉が続く。
「・・・まずね、ジャケットのデザインは・・・基本自由なんだ」
「そうなんですか?」
「うん。まぁ、この辺りはジャケットが使用者の魔力を元にした特殊防護服と言うのが大きいんだけどね。
どっちかと言えば、外見よりジャケットの性能の方が大事なの。外見は、術者のイメージや性能についてくる感じ?」
・・・性能? 普通に防護服というだけじゃないのかな。
「例えば、恭文君のジャケットは前方へのダッシュ力とそのための出力、あとは防御力を重視した仕様なの。誰よりも速く、鋭く、一瞬で前へ出て、敵を斬り伏せるための服なんだ。簡単に言っちゃえば、過剰な突撃仕様なの。
逆にみんなの見た事のあるフェイトちゃんのジャケットは、装甲を落として・・・あ、バリアジャケットの防御力の事を装甲って言うんだけど、その装甲が薄め・・・つまり、防御力が低めなんだ」
「そうなんですか? というかというか、ややが思うに、防護服なのに防御力低めっておかしいんじゃ」
「でも、これでいいんだよ? フェイトちゃんの売りは縦横無尽に動ける機動性・・・ようするに、速く動く事だから。敵からの攻撃は、フェイトちゃんは全部避けて対処しちゃうの。
私や恭文君でもフェイトちゃんの速さには追いつけないから。・・・あ、恭文君は違うね。直進限定でなら、フェイトちゃんの速さに対抗出来る」
「・・・もしかして、その速さの確保のために防御力を落としてるってことっすか? 装甲が厚いと、動きに限定される部分が出来るから」
空海の言葉に、なんだか嬉しそうになのはさんがうなづく。
「空海君すごいわね。どうして分かったの?」
リンディさんが感心したように言うと、空海が照れたように・・・まぁ、綺麗だしね。ここは仕方ない。
「・・・あぁ、俺サッカーやってるんっすよ。それで、やっぱり体型とか体重とかが動きに関わってくるから、ジャケットでもそうなのかなーと」
「なるほど、納得だわ」
なんだかリンディさんに誉められて、空海が嬉しそう・・・というか、あの・・・なんか装甲とかダッシュ力とか、ロボットアニメに出てきそうな単語がさっきから多いんですけど。
ま、魔法って言うからこう・・・ファンシーな要素があるのかなぁと思ったら、そういうわけじゃないんですね。
もしかして、恭文が自分の魔法は『魔法』じゃないって言ったの、これが原因とか?
いや、それは無いか。アレは多分マジキャラ発言だろうし。
「まぁ、ようするに・・・そういう術者の特性や使用目的に合わせて、ジャケットってのは作られてるってことだ。
デザインは、普通に共用データ使わずに自分で構築する場合、それに基づく使用者のイメージから構築される事がほとんどなんだ」
「ヴィータちゃんの言う通りだよ。・・・というか、美味しいところを持っていかないで欲しいんだけど?」
「うっせぇ、お前がグダグダ話してるからだろうが。大体お前はいつもいつも話が長ぇんだよ。
こいつらが聞きたいのはどうしてバカ弟子とフェイトのジャケットのデザインが似てるのかって所なんだから、そこまで説明する必要ねぇだろうが」
「あぅ、ヴィータちゃんひどいよー!!」
・・・よし、少しずつだけどどんなキャラしてるのかつかめてきたぞ。とりあえず、ヴィータさんはちょっとキツめなツッコミキャラ・・・と。
それで、話は戻るらしい。なのはさんが咳払いを一回してから、もう一回あたし達の方を見る。
「それでね、フェイトのジャケットと恭文君のジャケットが似てるのは・・・」
「ペアルックなんよ」
「・・・まぁ、間違いではねぇよな」
「ふふふ、二人のジャケットはね。恭文とフェイトさんがラブラブな証なんだよ〜」
あぁ、なるほど。ペアルック・・・へ?
ぺ、ペアルックっ!? どういうことですかそれっ!!
「はやてっ! ヴィータもスバルも・・・違うからっ!! そうじゃないからねっ!?」
「あら、いいじゃないの。私も若い頃は」
「母さんっ! どうしてそこ乗っていくのっ!? 違うって知ってるよねっ!!」
フェイトさんが慌てふためき、涙目でリンディさんやなのはさん達を見る。でも、なのはさん達は変わらずニヤニヤ・・・。
「・・・フェイトさん、あの・・・なんて言うか、ややはすごくびっくりなんですけど」
「フェイトさん・・・そこまで恭文君のことが好きなんですか? 今時ペアルックはさすがに・・・」
「そうじゃないからー! ヤスフミの今のジャケットが、私のジャケットをベースにしてるからこうなってるだけなんだよっ!!」
いや、だからそれをペアルック・・・。
「だから違うのー!!」
「・・・まぁ、フェイトちゃんが泣き出さんうちにネタバラシをするとや。恭文が来てるジャケット・・・リーゼフォーム言うんやけどな。あのジャケット、出来てまだ1年ちょいしか経ってへんのよ」
1年? ・・・その言葉にあたしは思い出す。確か、恭文は19歳で、魔導師も10歳の頃からしてて・・・あれ、計算合わなくない? それだったら、それより前はどうしてたのかな。
そんな疑問が顔に出ていたのか、スバルさんが引き継ぐように説明をしてくれた。なぜそうなるのかという疑問について。
「恭文はね、元々着ていたジャケットがあったんだけど、ちょっと新規一転というか、リ・スタートっっていう感じで、新しいジャケットを1年前に作ったんだよ。なお、まだフェイトさんと恭文が付き合う前だね。
それで、その時にさっきなのはさんが言ったような特性に、あらゆる意味での『速さ』・・・機動性をプラスしたのがアレなんだ。でも、こういうのは珍しいことじゃないんだよ? 私やティアのジャケットも、なのはさんの物を参考に作られてるし」
へぇ、そうなんだ。・・・ということは、なのはさんのジャケットってかなり凄いのかな? 具体的にはデザインが。
だって、ティアナさんのジャケットがアレなんだもの。きっと・・・こう、すごいハイセンスでかっこいいと思うんだよね。あ、今度見せてもらおうかな。
「なるほど、そのために同じように速さ重視のフェイトさんのジャケットを参考にしたんですね。なので・・・恭文君のジャケットがフェイトさんのそれとデザインが似てて当然と」
「正解や。うーん、みんな飲み込みの速い子で嬉しいなぁ。話がサクサク進むで。スバル、アンタも見習わなあかんで?」
「はいっ! ・・・って、それはひどくありませんっ!? 私だって飲み込み速いですよー!!」
はやてさんがなんか嬉しそうだけど・・・出来ればそこにあたしは入れないで欲しい。
だ、だって・・・なんか許容量をオーバーしそうで・・・。あたしに分かるのなんて、ティアナさんのジャケットがあたしのセンスにビビっと来てるってことくらいだし。
「まぁ、バカ弟子は作ってる当初からこの事を危惧してたけどな。・・・実は、あのジャケットはアタシ、フェイトにシャーリー。あとこの場には居ないけどリインにヒロリスさんにサリエルさん、うちの家族の一人も作業を手伝って完成させたんだよ。
けど、バカ弟子の奴はリーゼフォームが表に出る前に、何度かデザイン変更を要求してたんだよ。『せめてマントはやめよう、お願いだからマントは外そう、やっぱりマントは必要ないと思う』・・・ってな」
「あぁ、してましたね。まぁ、私達としては当然、却下しましたけど」
却下したんですかっ!? そ、それはまた・・・どうしてっ!!
「だって、そっちの方が面白いじゃない? フェイトさんとなぎ君はともかく、私達的に」
「だな。現に初お披露目の後のみんなの反応は面白かった 訓練の時とかも二人揃ってジャケット装着すると、もうニヤニヤなんだよ」
「ニヤニヤでしたねぇ。だって、隣同士になるとやっぱり似ていて・・・まさしくペアルックなんですよ」
「いや、アタシらはそれで楽しく訓練出来たからよかったよ」
表情からあたしの考えてる事が分かったのか、遠慮なく言い切ったのは、シャーリーさんとヴィータさん。
・・・あ、あはは・・・まぁ面白いと言われたら確かにそうかも・・・現に、今がそれだし。
「・・・私ね、どうしてヤスフミが何度も『マントはやめよう』って言うのか分からなかったの。最初、私のジャケットのデザインが嫌いなのかなとか思ってたんだけど・・・そうじゃなかったんだね。
マントがあると、ペアルックって言われそうだからだったんだね。私、全然気づかなかった」
「お前、マジで気づいてなかったんだよな。アタシ達は手伝っててこりゃそうなるなって思ってたのに」
「気づいてたなら教えてよっ!!」
「・・・いや、フェイトさん。多分それはフェイトさんが悪いですって」
というか、普通は気づくから。マントって言う大きなアイテムが同じだったら、そうなるのは分かりきってると思うし。
「あむさんまで・・・」
いや、だって・・・ねぇ? どうしてもそうなりますって。そんな恨めしそうな顔をされてもそこは変わりませんから。
「とにかく・・・そろそろ時間だね。それじゃあ皆、私はちょっと出てくるから」
「アタシもだな」
「え?」
そう言ってなのはさんとヴィータさんが立ち上がって・・・あの、どうしたんですか?
「今回の模擬戦のシチュは市街地戦・・・ようするに街の中での戦闘なんだ。ただ、本当にそのまま戦うわけにはいかないの」
「だから、アタシらが結界を張って・・・まぁ、ようするに派手にどんぱちしても、街に被害が出ないようにするんだよ。しっかり結界を張って、その中で戦うなら、例え歩道が砕けようが家が吹き飛ぼうが実際には何も壊れない。
一応もう張ってはいるけど、どんぱちが始まったらちゃんと現地で結界のコントロールしないと、簡単に壊れちまうからな」
「・・・あの、あたしはよく分からないんですけど、簡単に壊れるって・・・そういうものなんですか?」
というか、もしそれが壊れたら、普通に街に被害が出るんじゃ・・・。
え、もしかして模擬戦ってそうとう危ないっ!?
「普通はちゃんと結界を張れば、壊れないよ? というより、壊さないように中の魔導師も考えて戦う。訓練は喧嘩でもなんでもないんだから」
そう真剣な顔で言ったのは、なのはさんだった。
そして、表情がすぐに変わる。なんというか・・・諦めが見えるような顔になる。
「ただ・・・今回は恭文君とヒロリスさんが居るから。ヴィータちゃん、二人にはこんな理屈通用しないよね?」
「通用すると思うか?」
ヴィータさんがなのはさんを見上げてそう言うと、なのはさんは首を横に振った。つまり・・・否定。
「サリエルさんとティアナ、ジンの奴はともかく、あの二人は相当激しくやる。つーか、間違いなく結界の事とか忘れて戦うに決まってんだよ。前歴として二人は何回も訓練場やら壊してるしな。」
「ヒロリスさんと恭文君、似たもの同士ですものねぇ。フェイト、最悪の場合あなたが介入しないとだめよ? そうすれば恭文君だけは止められるから」
「うん、もちろんそのつもりだよ。母さん」
あ、あははは・・・・これ、マジでどうなるんだろ? なんか胸の中が不安でいっぱいになってきたんですけど。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
そして、夜の9時・・・街に閉鎖結界を張った上で、僕とティアナ、それにジンはヒロさんとサリさんと対峙していた。
なお、結界スタッフはなのはとヴィータ師匠とリインとアギトと咲耶。五人がかりで厳重にやるとか。・・・これなら、遠慮なく暴れられる。
辺りにはいい感じの緊張感が漂う。そして・・・わくわくしてくる。
「ルール説明しておくね。ガチに相手を一人でもノックアウトした方が勝ち」
つまり・・・片方でも倒されたらその時点で負けと。人数が多い分、こっちの方が不利だね。
「そういうこと。で、やっさんは例のパス持ってるようだけど・・・ユニゾンは禁止ということで、オーケー?」
「「はいっ!!」」
僕とティアナも元気良く返事をする。それにヒロさんはとても満足そうに頷く。
「あー、なのはちゃん。結界の方はオーケー?」
ヒロさんの視線が別のものに向く。それは幾何学的な色をした空に向かって。
その言葉に答える声がある。・・・冥王だ。
『はい、そっちはバッチ・・・って、だから冥王じゃないよっ!! ・・・うぅ、久しぶりに会ったのになんだか意地悪だね』
「だって、なのはは『冥王星計画−星』だから。レイジングハートに次元連結システム搭載してるじゃないのさ」
『さりげなくランクアップさせないでよっ! そして搭載してないからね、そんな機能はっ!!
というか、普通に冥王って言えばいいでしょっ!? どうしてそういうややこしい言い方するのかなっ!!』
うむぅ・・・なんと言うか、相変わらずいじめ甲斐のある女である。反応がいちいち面白くて面白くて。
『いいもんいいもん。恭文君がそういう風に私に意地悪するなら、私にだって考えがあるよ?』
「ほう、なにさ」
『シャマルさんやお姉ちゃんから、なぜかずっと現地妻ズに入るようにって言われてるんだけど、もう入会しちゃおうかな。それで、私は恭文君の現地妻6号だよ』
お願いだからそれはやめてー!?ユーノさんがかわいそうだし、ガミオさんに僕が殺されるからっ!!つーか、解散してなかったんかい、あのバカ組織っ!!
『なんだか、再結成したんだって。今度はあくまでもファンクラブ的な感じで、暖かく恭文君とフェイトちゃんの交際を見守っていこうとかなんとか』
「だったらまずその名称と会員ナンバーをやめてよっ! 普通に誤解されるでしょうがっ!!というか、なのはは婚約者いるでしょうがっ!?」
くそ・・・決めたぞっ! 今度絶対に叩き潰してやるっ!! 普通に存在しているだけでフェイトのヤンデレ化フラグが成立しそうじゃないのさっ!!
『・・・おじいさま、この頃からなのはさまに対してこれなんですよね』
『まぁ、世界広しと言えど、エースオブエースに対してこんな真似するのはアイツだけだけどよ。
・・・あ、ヒロリスの姉御。結界のほうはアタシに咲耶、リインも協力してそうとう硬いのに仕上げてるから、もう遠慮なくやっちゃっていいぞー』
「お、アギトあんがと。あとで美味しいアイス食べさせてあげるよ。・・・やっさんがね」
「僕かいっ!!」
まぁいいや。この模擬・・・って、やばい。今のは死亡フラグだ。あぶなあぶな。
『つーかよ、アタシとしてはお前が例のパス持ってるようなら、遠慮なくユニゾンしたいんだけどよー。なぁ、久々にブレイズフォームやろうぜー? アタシも暴れたいー』
『あー、アギトちゃん浮気ですー。シグナムに言いつけてやるですよ〜?』
『うっせぇバッテンチビがっ! 浮気じゃないっつーのっ!! つーか、お前は普通に恭文とユニゾン出来るからいいだろうがっ! アタシや咲耶はパスがなきゃ無理なんだからこれくらいでガタガタ言うなっ!!』
『バッテンチビじゃないですっ! なんでまた言い方が戻ってるんですかっ!?』
そう言いながら、空から盛大な口喧嘩が・・・あの、おーい。聞こえてるからね? お願いだから二人とも落ち着けー!!
『あら、ここは当然・・・私とユニゾンしてアクセルフォームに決まっていますわ。愛する人の代わりにその人のおじいさまと身を一つにする。・・・私、悪女ですわ』
「とりあえず咲耶は黙れー! そしてそんなR18要素を持ち込んでユニゾンしてたんかいっ!!」
『いえ、こう言えば恭さまがヤキモチを焼いてくれるかと』
「その当て馬として僕を使うなっ! そして本人どこにも居ないだろうがっ!!」
空に向かって叫ぶ。いや、姿が見えないからこうするしかないんだけどさ。と、というか・・・ガーディアンの皆が見てるんだから、そういう危ない発言はやめて欲しい。
もっと言うと・・・フェイトが怖い。いや、真面目に無いから。確実に無いから、これ。
「んー、じゃあアギトだけ来る? さすがにアクセルフォームは使われたら一瞬で終わりそうだしさ」
『え、いいのっ!?』
「いいよいいよ。燃える女の意地、久々に見せてやりたいだろ? せっかく観客も居るんだし、派手に行こうじゃないのさ」
待て待て、いいんかい。つーか、それでこの模擬戦をやることになった意義とかそういうのは・・・あぁ、無視ですよね。うん、分かってました。すっごく分かってました。
「あー、なのはちゃんにヴィータちゃん、それでいい?」
『・・・ダメです』
「なんでっ!?」
『結界スタッフをこれ以上減らせないからですよっ! 真面目にお願いしますからアギトを連れて行かないでくださいっ!! 私・・・もしこれ以上人が減ったら、恐怖に押しつぶされますっ!!』
・・・ねぇ、なのは。僕は色々気になるんだけど、どうしてかな。
なんか、結界スタッフ減ると被害が出るのが決定みたいな言い方されてるんだけど。というか・・・あの・・・ねぇ?
「・・・・・・じゃあ、俺が結界スタッフに回っていいですか?そしたら、アギトさんとヤスフミでユニゾンできるじゃないですか。」
「「「それは駄目」」」
「即答っ!?そして、なんでティアまでっ!?」
「・・・ジン、お願い。」
「ぐっ・・・・・・わかった。わかったからその上目遣い+涙目コンボは止めろ。」
・・・ジン、いい感じで尻に敷かれてない?というか、ティアナも乙女の武器をフルに使うようになってきたね・・・
「あぁ、分かった分かった。んじゃ・・・このまま始めようか」
「・・・いや、待て待て。お前ら待て待て」
サリさんがいきなり頭を抱えて僕達を見る。それも非常に残念そうな瞳で。・・・なぜだろうか?
「今まで黙って聞いてれば・・・なんだよ、その思いっきり原始人レベルなルールはっ! 出すヒロもヒロだが納得するお前らもおかしいからなっ!? ちったぁ落ち着けよっ!!」
「なに言ってるんだよサリ。人は戦いを前にすると、誰だって原始に帰るんだよ。闘争本能全開になるんだよ」
「そうですよ、今更何を言っているんですか」
「アンタ、そんなんだから彼女に振られるんだよ」
戦いと言うのは心が躍る。心が躍るというのは、本能的なもの。つまり、原始に帰るのですよ。
ほら、素晴らし過ぎて涙が出る理屈じゃないですか。一体なんの問題が・・・。
「なるわけないだろうがっ! そしてお前らが『何言っているんですか』だからなっ!? 普通に平然とふざけた事言ってるんじゃないよっ!!
つーか、そんなに原始に帰りたいならお前とやっさんだけで帰ってくれないかなっ!? 俺やティアナちゃんとジンを巻き込むなっ! そして俺はドゥーエに振られてなんていないんだよっ!!」
「・・・サリ、大丈夫。みんな分かってるから。色々あったんだよね」
「お前もその慰めモード全開で発言するのやめろよっ! 普通に今も仲良くしてるっつーのっ!!そして、つい3日前に一所に飯に行ったばっかだよなっ!?」
どうやら、そこだけは重点的に分かって欲しいらしい。サリさんが見ていてちょっと悲しくなるくらいに・・・必死だ。
「・・・もうなんでもいいから、模擬戦始めましょうよっ!!」
「そうですよサリさん、もう止められませんって。」
「ティアナちゃんとジン、なに平然と受け入れてるのっ!!ちょっとはおかしいとか思おうよっ!!ツッコミキャラなのに俺ばっかりにツッコませるっておかしいからねっ!?」
「「誰がツッコミキャラですか誰がっ!! てゆうか、この二人相手にそれ思ってどうにかなるんですかっ!?」」
「・・・なるわけがないっ! ごめん、俺すっごく分かってたよっ!!そして、息ぴったりだね二人はっ!!」
・・・すっごく馬鹿にされたような気がするんだけど、気のせい?
「そうだよね、ひどいなぁ。やっさんはともかく、私はまともなのに」
「なに言ってるんですか。僕の方がまともですよ」
今更何を言うのだろうか。僕がヘイハチ一門の中で1番まともなのに。
「なんだってっ!? アンタがまともなら私は神になれるよっ!!」
「どういう意味ですかそれはっ!! ヒロさんが神なら僕は神すら生み出す創造主になれますよっ!!」
「ふざけんなっ! アンタが・・・あれだよっ!? 神すら生み出す創造主なら、私はそれすら超越する原種だよ原種っ! 31とかをすべるなんとかマスターだよっ!!」
「ヒロさんが原種なら僕はソレを破壊するジェネシックな」
「あぁもう、お前らも落ち着けっ! つーか、いったいどこの子どもの喧嘩っ!? いや、もう中二病だよ中二病っ!!
しかもなんか途中からガオガイガーっぽい要素が混じってるしよっ! とにかく・・・始めるぞっ!!」
サリさんの宣言が入り、僕達は全員・・・構えた。
こうして、久しぶりに姉弟子、兄弟子達との戦いは始まったのである。
(第2話へ続く)
あとがき
ジン「・・・・・・という訳で始まりました、「とある栄光の流星と14番目の機人の物語」第1話いかがだったでしょうか?お相手は俺、ジン・フレイホークと・・・」
バルゴラ≪いつもの通り私、バルゴラでお送りするぞっ!!≫
ジン「・・・しかし、本当に序章って感じだよな。物語的には全然動いてないし。」
バルゴラ≪確かにな。だが、これくらいのペースでいいのかもしれないぞ?今後の予定はバンバン急展開・・・いや、超展開なのだからな。≫
ジン「・・・・・・それってどういうことだ?」
バルゴラ≪今後の予定を軽く説明するとだ・・・・・・・1.邂逅編(4月〜ブラックダイヤモンド事件頃)2.W編(マジシャンゼロ編頃)3.超・電王編(しゅごキャラクロスとのリンク※かえでポジはヒカリに変更)となるからな・・・≫
ジン「・・・・・・待て。1.と3.は分かる・・・・・・間の2.は何っ!?なんで放送中のWとリンクするのっ!?」
バルゴラ≪あれだ。Wと絡む事で超・電王編につなげやすくするのだよ・・・もう一人の主人公も、どこのディケイドだって言うくらいにあちこちに飛ばされるようだしな。≫
ジン「・・・もう、お祭りどころじゃないな。」
バルゴラ≪そうだな・・・もう一人の主人公については、次回で設定を公開するぞ。≫
ジン「それでは、また次回でっ!!」
(とまぁ、なにやら新たな問題が発生しつつも終了。
今回のED:『W-B-X 〜W-Boiled Extreme〜』)
ドクター「ウーノ、そろそろ説教を止めてほしいのだが・・・」
ウーノ「いいえ、止めません。仮面ライダーと出会ってからのドクターは見ててほほえましいのですが、自分の身体を考えなさすぎです。例えば・・・・・・」
カトラス「・・・トーレ姉さん。いい加減にウーノ姉さんを止めないと・・・今日の夕飯に響くのではないか?」
トーレ「・・・いや、あれは下手に干渉するととばっちりを受けるな・・・よし、今日は私が飯を作ろう。カトラス、手伝え。」
カトラス「・・・わかった。」
ドクター「ふ、2人ともっ!?」
ウーノ「ドクター?」
ドクター「・・・はい、反省しています。だから、そろそろ夕飯の準備を・・・」
(・・・おしまい)
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