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頂き物の小説
第1話『序章〜未だ交わらない二つの道〜』:1




















・・・・・・・俺の目の前では、とある研究施設が炎に包まれて焼け落ちていく・・・・・・




「・・・カトラス、首尾はどうだ?」

「・・・姉さん。施設の破壊は完了した。」

「そうか・・・『ライダーシステム』も調子はいいようだな・・・では、いこうか。」







「・・・ま、待て・・・お前達はスカリエッティと関わりがあるはずだ・・・なぜ、我々を・・・」









・・・すると、そんな声が聞こえてくる・・・そこには、ボロボロになった・・・研究員が居た。

・・・・・・まだ意識を保っていた奴がいたのか。失敗したな・・・・・・



「・・・・・・ただの実践テストだ。それには、お前達のような非合法な組織の方が便利だからな・・・・・・後は、管理局が来るまで寝てろ。」

「ぐふっ!?」



・・・俺は一瞬で魔導師に近寄ると、その腹部に拳をつきたてる・・・・・・上手く気絶してくれたようだ。





「・・・カトラス。」

「あぁ、分かっている。」



・・・そして俺達は炎に包まれた施設を後にして、闇の中へと消える・・・
















・・・・・・俺の力は、こんな事の為に振るうべきなのか?・・・・・・






・・・・・・俺は、何の為にこの世界に生み出された?






・・・・・・まだ、答えは見えない・・・・・・







・・・・・・今はただ、それを求める為に戦うしかない・・・・・・










とある魔導師達と仮面の英雄達の物語アフターストーリー





とある栄光の流星と14番目の機人の物語



第1話『序章〜未だ交わらない二つの道〜』







◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆









・・・・・・大ショッカーとの戦いから、1年が経過した。


最初の頃は混乱を見せていた世間も6月を越える頃には落ち着きを取り戻し、なにげない日常がまた始まった。



・・・ただ、変化も起きた。




ちょうど六課が解散した頃から世間に広がった噂・・・・・・『仮面ライダー』の都市伝説。


まぁ、なんだかんだで俺達が変身して戦っていた時に目撃者は多かったはずだ・・・それに、本人達もいたし。


そして、管理局内では・・・機動六課の名は、伝説になろうとしていた。


JS事件を解決に導き、大ショッカーの襲来で管理局という組織の機能が麻痺していたにも関わらず、人々を護る為に行動した伝説の部隊。




・・・・・・こんな感じで、噂に尾ひれがどんどんついていた・・・・・・


ただ、はやてさんの結婚を機になのはさんとユーノさんの婚約、フェイトさんもヤスフミとの交際が大々的に広まった為、彼女らのファンだった局員は荒れた。


・・・・・・もちろん、悪名高い『古き鉄』や管理局の調査に欠かせない『無限書庫』の司書長というある意味ビッグネームな2人に対抗しようとした者がいるはずもなく(正しくは、対抗しようとした者は容赦なくヤスフミとガミオさんに潰されたのだが)、3人のファンクラブはそれぞれの恋路を応援する立場に変わった。









そして、俺が何をしているのかというと・・・・・・







◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆









「・・・・・・レイオさん、ちょっといいですか?」

「おう、なんだ坊主っ!!」

「・・・いい加減、自分で書くべき書類を俺に回すのやめてくれませんかっ!?いくら俺が補佐官のような立場にいるからって、仕事押し付けすぎですよねっ!?」



俺は今、戦技教導隊の一員であるレイオさんに雇われて、補佐官のような仕事をしている。


・・・・・・というか、ここ1年で入った仕事の7割が教導隊の補佐ってどういうことだっ!?いや、報酬は多いからいいんだがっ!!


おかげで、対して魔力量は変わらないのに修復魔法なんかは効率よく行使できるようになったさ・・・あれ、サリさんみたいになってる?



「・・・いやぁ、高町の嬢ちゃんがやけにお前の事推薦してくるからどんなものかと思っていたら・・・なかなか筋がいいじゃねぇか。局員からの評判もいいしな・・・そのまま教導隊に来ないか?」


すると、レイオさんはそんな事を言い出す・・・つまりあれか、やけに教導隊からの依頼が多いのはなのはさんが原因か。


「・・・でも、評判いいってのは初めて聞きましたよ?」

≪むしろ年長の方々には不評をうけていたと思っていたのだが・・・≫



・・・いや、なのはさんはおいといて・・・俺みたいな奴の意見なんて参考にならんと思っていたが。



「・・・まぁ、ここ最近でいろいろあったからなぁ・・・局員の中でも、少しずつ意識が変わっているらしい・・・あとこれはオフレコだが、坊主は顔もいいだろ?女性局員の中では人気が高くなっているんだよ。」

「・・・・・・ティアナにバレたら怖いな。」

≪・・・そうだな。なんだかんだでティアナも独占欲が強いほうだし・・・≫



・・・最初にメイルと会ったときとか、六課解散直前にライラやアリス姉が訊ねてきた時は本当に怖かったからなぁ・・・


・・・特に、あのひぐ○しモードは・・・あ、思い出したら身体が・・・




「まぁ心配すんなっ!!彼女持ちってのも広まっているし、あくまで教導としての人気だからなっ!!」


・・・・・・それはそれでどうなんだろうか?第一、フォローになってる気がしない。


「・・・でだ。坊主の持つ戦闘技術やデバイスレオーのデータも、教導隊としては欲しい部分もある。やっぱ、まだAMF下での戦闘に関するスキルは十分じゃないしな・・・」

「・・・その点については同意しますけど・・・」



・・・レオーは瞬発力の強化のみに特化したデバイスだが、ギミックの発動に魔力を送り込むだけでいいっていうのが利点だ。

つまり、レオーの構造を解析して他のデバイスに応用すれば・・・AMFに阻害されない機構を織り込むことができる。

使用する魔力量さえちゃんとすれば、低ランクの魔導師を多く抱える地上部隊などには非常に心強いものになるだろう。



・・・・・・でも、そういった技術が進歩すれば悪用する者がいるのも事実だ。だからこそ、不用意にデータが流出する事は避けたい。

・・・まぁ、ゼフィウスさんはそんな事気にしないと思うし、ヒロさんやサリさんにはデータ渡しているしなぁ・・・そこが悩むところだ。



「・・・まぁ、そっちはついでだな。坊主の場合、才能じゃなくて努力を重ねて得た強さだ。資質が低い奴からすれば目標になるし、そうじゃない奴でもお前さんの戦い方は参考になる。なにより・・・人に教えているときのお前の顔は、輝いてみえるよ。」

「・・・・・・そう、ですか?」


・・・知らなかった。俺、そんな顔してたんだ・・・


「・・・今すぐ入れとはいわない・・・ただ、将来的に進む道として・・・頭の片隅にでも入れてくれていたらいい。」










・・・そういえば、将来のことなんて考えていなかったなぁ・・・









◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

























「・・・という訳でギンガさん、おもいっきり食べましょう。食べ放題のバイキングですし、お金はフレイホークさん持ちですから。」

「えっと・・・ジン君・・・ありがとう。」

「ジン坊、ごっそさんっ!!」

「おっしゃ、今日は思いっきり飲んで食べるぞ〜っ!!」

「いや〜、悪いな奢ってもらって!!」

「本当に・・・ごめんなさいね?」




・・・・・・・・・・・・さて、俺のツッコミタイムを始めようか。





「・・・・・・何でこんな状況になってるんですかっ!?そして、ヒロさんとサリさんはどこから出てきたっ!!あと、レイオさんはなんで俺より早くココに来ているんだっ!!仕事はどうした仕事はっ!?」

「はっはっは。気にしたら負けだぞ坊主?」

「この状況で誰が気にしないんですかっ!?」



・・・・・・仕事が終わったので帰ろうとしたら、突如現れたシオンに引きずられて最近オープンしたバイキングレストランへと連れてこられた。


そしてそこには、申し訳なさそうな顔をしている常識人な方々ギンガさんにドゥーエさんと、宴会モードの大人ヒロさんサリさん、レイオさんが居た。



・・・一番の驚きどころは、支払いが俺になっているところだ。訳わかんねぇよっ!?



「・・・しかし、本当にいい店ですね。味も店の雰囲気もいいですし・・・」

「そうだね・・・パクパクムシャムシャ・・・」


ギ、ギンガさん・・・なんですかその皿の数はっ!?しかも、次々と料理が平らげられていくっ!?



「いや〜、でもレイオと飲みに来るのは久しぶりだね。」

「そうだな・・・ここんところお互い休みがかち合わなかったしな・・・・・・それでどうだヒロ?ちっとは教導を見てほしいんだが・・・」

「あ〜、それはパス。ロートルの私らよりジン坊を鍛えなよ。けっこう教導官の素質あるんじゃない?」

「それもそうだなっ!!」



「・・・そこの酒飲んでる大人ぁっ!!なんであんたらまで俺が奢らなくちゃいけないんだっ!?ヒロさんにはメイルの養育費出してもらってるからまだいいとして、野郎2人サリさんとレイオさんは金持ってるだろうがっ!!」

「気にすんなジン坊。」

「そうだぞ坊主。あんまり騒いでると飯にありつけないぞ?」




・・・この駄目大人達めっ!!完全にたかる気かよ!?











「・・・・・・心配しなくていいわフレイホーク君。大人わたしたちの分はサリの財布からだすから。」







・・・すると、ドゥーエさんがそんな事を言い出す・・・おぉ、ドゥーエさんが女神に見える・・・・・・




「・・・・・・はぁっ!?お、おいドゥーエ・・・」

「あら不満?大の大人が年下の男の子に奢らせて、あまつさえ調子にのってどんどん飲み食いするなんて・・・男のプライドってものがないのかしら?

「「グ、グゥッ!?」」



・・・・・・あ、2人に特大の矢が突き刺さってるのが見える・・・・・・サリさんレイオさん、同情はしないぜ。



「・・・だから、あなたはあちらのレディ2人をエスコートしなさい?もっとも、すごい量で料理が消えてるけど・・・」



・・・・・・ドゥーエさんの言葉に俺が再び視線を戻すと、ギンガさんとシオンはどんどん料理を食べている・・・あ、デザートまであるや。



「・・・・・・あぁ、そうそうレイオ。3日後に私ら地球行くから、ジン坊も連れてくね。」

「ん、何かあるのか?」

「・・・ちょっと面白い事があるのよ。で、ジン坊も連れて行ったほうが更に面白いかな〜なんてさ?」

「・・・まぁ、そろそろ坊主にも休みを出さなきゃならねぇし・・・分かった。有給はこっちで処理しとく。」

「さんきゅ。」



・・・・・・・あれ、なんか唐突に俺の休日が決定したっ!?


≪・・・・・・マスター、流されまくっているな。≫

≪・・・本当に申し訳ありません。≫

≪姐御達、少しは本人に話せよ・・・≫

≪・・・まぁ、見ていて面白いですけどね。≫

≪・・・ゲシュペンスト、あなたは本当にアルトアイゼンに似てきましたね・・・≫



・・・そこのデバイス達、お前らも少しはツッコめっ!?



≪≪≪≪≪だが断る(断ります)≫≫≫≫≫



なんでそこだけ息ピッタシっ!?というかギンガさんにシオン、少しはペース落としてぇぇぇっっっっ!?!?



◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆





〜3日後〜






“リイン・・・ほら、手挙げなあかんよっ! そうやって目立つんやっ!!”

“・・・はやて、これはそういう話じゃないから。あー、リイン。はやては気にしなくていいからな? 普段どおりやれ”

“はいです、ヴィータちゃん”



うーん、なんだか緊張してるです。父母参観なんてやる日が来るとは思わなかったですから。

でも・・・学校ってやっぱり楽しいです。リイン、もうしばらく通っていたいかもですー♪



“と、とりあえず・・・写真や写真。うし、夜天の書の機能で”

“だから、はやて落ち着けって。つーか、何時の間に夜天の書にそんな機能搭載したんだよ”

“ついさっきやけどなにかっ!?”

“逆ギレするなよっ! そんなにリインが学校通ってる姿を見るのが嬉しいのっ!?”

“・・・なぁ、八神二佐。マジで落ち着こうぜ? 姉御もアタシも困るからさ”










・・・でも、みんな元気そうで良かったです。アギトちゃんまで来てくれるなんて・・・ちょっと感激です。




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



・・・なんだ、今の妙な電波は。あぁ、そんなことはいい。もうどうでもいい。





現在、父母参観日の授業中。そして・・・凄まじく追い詰められております。僕、蒼凪恭文、もしかしたらいろんな意味でピンチかも知れません。

だ、だって・・・あの、なんていうか・・・ねぇ?

つーか、なんで居るんだよっ! 色々とおかしいでしょうがこれっ!!





なお、僕がそう言うのには理由がある。否定したい現実がそこにあるからだ。

翡翠色の長い髪を後ろに一まとめにした女性が居るから。スーツ姿で、近くのお父さん方の視線を集めに集めまくっている。

入ってきた時から目立っていた。そして、その人を見た時からなんか・・・胃が・・・。





あぁ、あと同じ感じで白いセミロングの髪を後ろに流す感じのお下げなツインテールにして、赤い瞳をした女性も居るねぇ。なんでか・・・居るねぇ。凄まじくニヤニヤした表情で僕を見ているのが分かるよ。

で、なぜかその付き添いみたいな感じで黒髪ザンバラ髪の人も居るんだけど・・・気のせいだよね? だって、さっきのツインテールと一緒にニヤニヤしてるし。










「・・・あれぇ? 蒼凪君どうしたのかなぁ」





そう呑気に声をかけてきたのは、見事担任継続が決まった二階堂。そして、思った。こいつは分かっていると。



なぜ僕がなんか胃の辺りを押さえているのかとかそういうのが。





「いえ、なんというか・・・父母参観って事で緊張しまして」

「あはは、そんなに硬くならなくても大丈夫だよ〜。いつも通りかるーいアメリカンジョークを飛ばしながら授業を受けてくれればいいからー」



そんな先生の言葉に教室が笑いに包まれる。・・・あはは、お前ら笑うな。笑うんじゃないよ。

そういう反応をされると、いつも僕がそう言うことしてるみたいでしょっ!? ほら・・・笑うなぁぁぁぁぁぁぁっ!!



「まぁ、そこは冗談ですけど・・・みんなもそうだし、保護者のみなさんもあまり構えず、リラックスして授業を見てくださいね。
こういうのは普段の様子を知るという意味合いもありますから、緊張しては意味がありません。いいですね〜」

『はーい』

「んー? 蒼凪君の返事が聞こえないなぁ、分かったかな?」

「は・・・はーい」



そんな事を言って、授業は再開される。でも、内心穏やかじゃない。もう胃の辺りがキリキリして辛い。非常に辛い。

とりあえず、念話を繋ぐ。当然・・・現在先ほど説明した三人と一緒に居るあの人。



“フェイトォォォォォォォォッ! どういうことだよこれっ!! なんで・・・なんで・・・リンディさんやヒロさんやサリさんが居るのっ!?”

“・・・ごめん、母さんがどこからか聞きつけて来ちゃって、止めようがなかったの。ヤスフミの精神上良くないとも言ったんだけど、聞いてくれなくて。
それで、私も・・・巻き込まれちゃったの。うぅ、本当にごめん。あのね、私はこっちには来ないって何度も言ったんだよ? でも、母さんに引っ張ってこられて・・・”

“あぁ、そんなに謝らなくていいから。つーか・・・情報流した奴、絶対潰す”



と、とにかく・・・なんとかして学校が終わったら逃げなくては。リンディさんやヒロさんと会話したくないのよ。つーか、今の状況に触れられたくないのよ。

僕がそのための手段をあれこれ頭の中で構築し始めると・・・異変が起きた。



“ちょっとフェイトさんっ! これどういうことですかっ!?”



ティアナからいきなりと言えばいきなりな念話が繋がった。

・・・というかティアナ、なにがあった? 回線が僕のほうまで開いてるし。



“あの、ティア・・・やっぱりまずかった?”

“まずかったどうこうじゃないですよっ! おかしいですよねっ!! すっごくおかしいですよねっ!?”

“・・・待って待って、ティアナ・・・なにがあった?”

“何があったかじゃないわよっ! わ、わ・・・私の保護者と言うか、親戚代表として・・・その”



その?



“なのはさんが来てるのよっ! あと、ついでにヴィヴィオもっ!!”

“・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・はぁっ!?”




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



“あの・・・ごめん。どうも母さん経由でなのはに話が伝わったらしくて・・・”

“らしくて・・・じゃないですからっ!!”





あぁ、最悪っ! マジ最悪っ!! いや、忙しいのにわざわざ来てくれた事には感謝しないといけないんだけどねっ!?



でも・・・どうしようこれ。まさか中学生やってるなんて知られるのなんて想定してないし。い、いや・・・なのはさんはまだいい。だって、大人だもの。

きっと、ちゃんと親戚なり保護者なリ・・・あぁもう、細かい事知らないけど、とにかくちゃんとやってくれているはず。もう違和感なんて無いくらいに、自然な形で見てくれているはず。

とにかく、混乱しまくっている思考に神経を痛めつつも、試しに私は、ちょこっと振り向いてなのはさんの方を見てみる。なのはさんは、私を見ていて・・・すぐに視線を前に戻した。



だ、だって・・・なんか涙ぐんでるのよっ!! 普通に自分の子どもなり親戚の子が『立派になって・・・!!』的な感じで泣いてるのよっ!? もう直視なんて出来ないわよっ!!

な、なんでこんなことにっ!? 私が一体何したってのよっ!! 神様でも冥王様でも魔王様でもなんでもいいから、私に何か問題あるなら早く教えなさいよっ! ほら・・・早くっ!!

というか・・・よくよく考えたら、中学生で授業参観ってありえなくないっ!? どうなってんのよ、この学校はっ!! 理事長でも学長でもいいから、責任者出てきてよっ! 全力全開で文句言ってやるんだからっ!!





「あの、すみませんっ! 遅くなりましたっ!!」

「・・・おい、他の人に迷惑だろうが・・・あ、すいません。気にしないで授業を続けてください。」




教室のドアが開き、元気のいい声とそれをたしなめる声が響いた。そして、それに私は・・・寒気を覚えた。アイツに氷結魔法で凍らされた時よりもずっと冷たい・・・魂まで凍るような絶対零度の冷たき息吹に、私の思考回路は使い物にならなっていく。



首がなんか油の切れた機械みたいな音を出して・・・その声の方向を向く。そこに居たのは、スーツを着た青い髪でショートカットと赤みがかった茶髪の・・・え?

あれ、現実を認識できない。脳内のありとあらゆる物質が『アレら』の存在を絶対に認めるなって言いまくってる。そうだ、あれは私が幻術で作ったんだ。そうだ、そうに違いない。

だけど、無情にも『アレら』は私を認識した。そのまま、声を上げようとして・・・やめた。恐らく場の空気を読んだのだろう。ただ私に向かって手を振るだけだった。



そして、決定打が打たれた。





“・・・ティア、久しぶりっ! 来ちゃったっ!!”

“・・・・・・まぁ、そのなんだ・・・頑張れ。”








・・・・・・いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!





















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆













『・・・それじゃあカトラス、テストを開始するよ。』

「わかった、ドクター。」










ドクターの声と共に、俺の目の前には30体のガジェットが出現する・・・最も本物ではなく、シュミレーションによる模擬機体なのだが・・・外見から判断すると、防御力に特化されているようだ。



≪・・・主。戦闘形態、移行。≫



胸元からの声と共に、腰に銀色のバックルがついたベルトが巻かれる・・・・・・その中央に埋め込まれたクリスタルは、深緑に輝く。






「変身」

≪防護鎧装展開、砲撃形態起動≫




◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆






・・・・・・さて、どういった戦いを見せてくれるのかな?



モニターには、変身を終えたカトラスの姿が映し出される。


・・・その姿は、今までの飛蝗を思わせる紺碧の姿・・・「ゲイルフォーム」とは違い、重厚な深緑の鎧。


目を引くのは、胸部と頭部から伸びる二つの角。

さらに、肩部と脚部を覆いそのシルエットを変化させる装甲と、背中から伸びた2対のキャノン砲。下腕部には装甲の上に取り付けられた三連バルカンの銃口が鈍い光を放つ。



『作戦行動、開始。』

『・・・ショルダーカノン、発射っ!!』



・・・カトラスの声と共に、キャノン砲から青白い閃光が放たれる。ガジェットはとっさに退避行動をとるが、何体かはその光に飲み込まれた。


そして、カトラスは腕部のバルカンを撃ちながら、地面から若干浮かびつつ移動を開始する・・・やはり、機動力は低下しているか・・・まぁ、ホバーで地形に囚われない機動力を見せる事ができるからちょうどいいのだがね。


・・・おっと、予想以上にガジェットが減ってしまった・・・さすがは私の息子。初めて扱う武器もなんなく使いこなすとは・・・


「それじゃあ、これはどう防ぐかな?」


私がモニターを操作すると、ガジェットは更に数を増す。



だが、カトラスは怯んだそぶりも見せず・・・・・・次の行動をとった。


『・・・I0(アイ・オー)、ジェノサイドアタック。』

『了承。装甲展開、広範囲殲滅形態移行。』


・・・サポートAIの声が響くと共に、肩部と脚部の装甲が展開する。そして、展開した装甲から・・・無数の魔力弾が発射された。


その雨あられにさらされたガジェット達は・・・・・・跡形もなく、消え去る。


素晴らしい・・・想像以上の成果だ。



『魔力減少率八割突破。戦闘行動継続困難。戦闘形態強制解除。』



・・・・・・すると、カトラスが青白い光に包まれて・・・元の姿に戻る。



『・・・ドクター、ガイアフォームは改良したほうがいい。魔力の消費が激しすぎるし、バルカンとショルダーカノンだけでも火力としては十分だ。』

「・・・そうかい?」


・・・せっかく、いろいろなものを参考にして作ったんだけどね・・・やっぱり、詰め込みすぎはよくないということか。


「・・・そうですね。最近のドクターは少々趣味に走りすぎです。」

「そうは言うがねウーノ。私なりに努力は・・・」



なにげない会話に違和感を感じて、私はとっさに後ろを向く。そこには・・・・・・笑顔を浮かべたウーノが居た。



「・・・最近妙にラボにこもっていると思ったら・・・こんな事をしていたんですか。」

「・・・・・ウ、ウーノ・・・・・少し落ち着きたまえ、な?」

「・・・夕飯、いらないようですね?」

「申し訳ありませんでした。」


ウーノが本気で怒っているので、私はすかさず「土下座」というものをする。


「・・・ドクター、研究に没頭するのはいいのですが、予算などは考えてください。昔とは違い、今は資源もお金も有限なのですから・・・・・・」


そして、ウーノのお小言を私は「正座」という姿勢で聞く・・・・・・最近、私の立場が低くなってきている気がするが気のせいなのだろうか?



「聞いているのですか、ドクター?」

「はい、もちろんです。」



◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆




「・・・・・・あの2人、前とは雰囲気が変わったな・・・・・・」


ドクターに説教をしているウーノを見て、私はそう呟く・・・なんというか・・・実にピッタリというのも不思議だ。


「そうなのか、トーレ姉さん?」


・・・すると、訓練スペースから戻ってきたカトラスが私に尋ねてくる。


「・・・あぁ。以前は、ウーノ姉様がドクターの行動に口を出す事などなかったのだが・・・」

「だが、ウーノ姉さんもドクターも・・・ずいぶん自然に振舞っているぞ?ドクターなんて、楽しんでいるように見えるが・・・」

「・・・実際楽しいんだろうな。他の妹達の心配もしていたし・・・なんだかんだで、『家族』というものに憧れていた・・・と言う事か。」


・・・いや、それは私達もか・・・・・・本当に、今までは気づかなかったのが不思議だ。


「そうか。トーレ姉さんは・・・・・・どうなんだ?」

「・・・少し心残りがあるからな。それが晴れるまでは・・・楽しむ事などできんよ。」













・・・そして思い返すのは、セッテの事・・・あいつは、変わる事ができたのだろうか?










◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



そうして、お昼の時間。父母の方々は先生も交えて普段の様子などをご飯も食べつつお話する。





つまり、この時間・・・この時間だけは、僕達は自由なのだ。いや、この後もう解散なんだけど。





なので、僕達は当然・・・ここ、ロイヤルガーデンに集まってお昼となる。なぜかティアナも居るけど、気にしてはいけない。










「・・・じゃあ、あの綺麗なお姉さんがフェイトさんのお母さんで、恭文の保護責任者なのっ!? すっごく若く見えたのにっ!!」

「・・・そうなの。というか、なんか・・・まだ胃がシクシクするんですけど。うぅ、ヒロさん達にまで見られるなんて最悪だ。もう広まってる。絶対知り合い連中にこの事が広まってる」

「アンタはまだいいじゃないのよ。こっちはなのはさんとスバル、さらにジンまで居るのよ? つーか、なんなのよこの同窓会」

「な、なんかティアナさんも大変だったんっすね。・・・あの、それで質問なんですけど、そのなのはさんとスバル、ジンって誰なんですか? あと、ヒロさんとかサリさんとか」



空海がお昼のウィンナーをかじりながら聞いてきた。その言葉に僕とティアナは顔を見合わせて・・・うなづく。

恐らく、関わられるのは間違いない。説明は必要でしょ。



「・・・なのはってのはね、高町なのはって言うんだけど、僕とフェイト・・・あと、リインの家族である八神はやての幼馴染なの。
ほら、フェイトが前に僕と同じような経歴で魔導師になった地球出身の人間が居るって言ってたじゃない? なのはとはやてがそれなの。
そして、ジンは僕の友達。一応僕と同じ嘱託魔導師をしているよ。」

「で、スバルってのはスバル・ナカジマ。ミッド出身の魔導師で、私の・・・パートナーだったのよ」

「ランスターさんの?」

「えぇ、元々向こうの世界の魔導師の訓練校で一緒になってね。それからフェイトさんの補佐官になるまで、ずーっとコンビを組んでやってたのよ」



・・・ややが僕のお弁当箱の春巻きを見ていたので、すっと差し出す。



「あ、ありがとー」

「その代わり、このミートボールもらっていい?」

「うん、いいよー。ママの特製ミートボール、すっごく美味しいから。ほっぺた落ちちゃうよ〜」



なんて言ってるので、とりあえずパクリ。・・・あ、確かに美味しい。中に入ってるのはたけのこ・・・かな? この触感の違いがまたなんとも言えず楽しいや。

ややも、表情からそれが分かったのか、なんだか嬉しそうに僕を見る。



≪それで、ヒロさんサリさんというのは・・・マスターの兄弟子に当たる人なんですよ≫

「えっと、あの白い髪の女の人と、その隣に居た男の人だよね。・・・兄弟子ってどういうこと?」

「僕には、剣術を教えてくれた先生にヘイハチ・トウゴウという人が居るの」

「あ、もしかしてその先生の弟子なの? 恭文君よりも前に弟子入りして・・・」

「正解」



でも・・・なんで? なんで二人まで居るの? おかしくないかな?



「でも、あむやなでしこのお母さんも素敵だったね」

≪なでしこさんのお母さんは和服美人。あむさんのお母さんは・・・とても暖かい感じのする人でした≫

「そ、そうかな。あの・・・ありがと。きっとママ喜ぶよ」

「あら、私やあむちゃんのお母様のフラグまで立てるの?」

「そういう意味じゃないわボケっ! あの辛い現状から話を逸らしたかったんだよっ!!」



僕が膨れてそう言うと、なでしこが微笑みながらお弁当箱を差し出した。なので・・・煮物を取る。なお、甘めの味付けの五目煮です。

そして、僕もお弁当箱を差し出して、なでしこに同じようにおかずを渡す。なでしこは・・・ポテトサラダをつまんだ。



「でも、蒼凪君もランスターさんも、来てくれた事は感謝しないと」

「まぁ・・・そこはね? 普通はここまでしてくれるほど暇な人達じゃないもの。
でも・・・なんでアイツまで居るわけっ!? マジで訳分からないんだけどっ!!」

「というか、会いたくないっ! 僕はこれ以上誰とも絶対会いたくないんですけどっ!? この馴染んできた制服姿を見られたらどう思われるか分かったもんじゃ」

「あー、二人ともひどいなぁ。せっかく休暇取って来たのに」



後ろからかかった声に、寒気が走る。その声に魂が凍るような感覚がする。ティアナは・・・完全に青ざめている。



「そうだぞ、ティアナちゃんもやっさんも感謝しろよ。スバルちゃんは良太郎くんに会いに行くよりもこっちを優先したんだから」

「そうそう。しかし・・・またアンタも面白いことしてるねー。どうしてそうなったのか是非聞かせて欲しいよ」

「・・・・・・って、このために俺を連れてきたんですか?」



そして・・・唯世達の驚いたような表情にもう半分諦めつつも、声の方を僕とティアナは見る。

・・・居た。さっきまで話に上がっていた豆芝が。



「恭文、ティア、リインさんも久しぶりー! 会いに来たよー!!」

「同じくヴィヴィオも会いに来たよー! 恭文もリインさんもティアナさんも久しぶりー!!」

「同じく会いに来たよー! しっかし・・・アンタ・・・!!」

「ヒロ、笑っちゃだめだからっ! いや、分かるけどなっ!? すっごい分かるけどなっ!!」

「・・・とりあえず、元気そうだな。」



ヴィヴィオにジン、ヒロさんにサリさんまで・・・! あぁ、どうしてこんなことにっ!? つーか、どうしてここが分かったっ!!



「なのはさんが居るから、ティアの担任とのお話は大丈夫って言われて、マッハキャリバーに頼んで探してもらったんだ」



だぁぁぁぁぁぁぁっ! 僕のバカっ!! なんで結界張って位置がバレないようにしなかったのっ!? こういうことしてくるって予想は出来てたはずなのにっ!!



「俺とヒロも同じくだな。フェイトちゃんとリンディさん居れば十分だしよ」

「ヴィヴィオはそれについて来たの。でも・・・恭文」



ヴィヴィオ、お願い。言わないで。もう言わないで。分かってる。分かってるから。

僕は、二人を見る視線にそんな言葉を込めた。きっと伝わると・・・そう信じて。



「本当に小学生やってるんだ。ヴィヴィオ、聞いた時は何かの冗談だと思ったのに・・・」

「というかというか、すっごく可愛いよー。うん、似合ってる」

「「わーはははははははっ! 死ぬっ!! マジで死ぬっ!! うちらを笑い殺したいのお前っ!?」」



やっぱり伝わらなかったぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ! ちくしょお、世の中はどうしてこう無情なんだっ!?

そしてそこの姉弟子と兄弟子は笑い過ぎだぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ! マジで怒るよ僕っ!?



「・・・・・・ヤスフミ、ドンマイ。」



・・・そして、友人のジンはというと・・・うん、慰めようとしてくれるのはありがたいよ。でもさ、なんかムカつくっ!!



「でも、やっさんなら・・・もうちょっと着崩した方がいいよ。ほら、そこの子みたいに」

「・・・へ、あたしっ!?」

「うん、そうそう」

「あぁ・・・確かにそうかも。こう、あと一押しでよくなるんだけど。よし、恭文ちょっと立って」



・・・え? いやいや、どうして僕の肩を掴んで・・・というか、なんか立たされたっ!?



「うーん、ネクタイをちょっと緩めにして、ボタンも一つくらい外して・・・袖も腕まくり・・・出来ないか。また武器持ち込んでるし」

「アンタ、やっぱり仕込んでたんかい。・・・でも、袖はともかく他はそれくらいしてもいいね。でさ、シャツも外に出しちゃいなよ」

「そうですよね。あたしもそう思ってたんですよ」



そうして、あむの手によりファッションスタイルのチェンジ作業が・・・って、あれ? なんでこんなことに。



「あの、自己紹介もなしでいきなり息が合うっておかしくありませんっ!? つーか、なんでいきなりやってきて人のファッションにケチつけますかっ!!」

≪ボーイ、諦めろ。姉御は元々こういうキャラだ≫



諦められるかー! いくらなんでもおかしすぎるでしょうがっ!!



≪しかし・・・蒼凪氏、また随分と頑張りましたね。全く違和感が無いのが怖いですが。・・・あぁ、それとアルトアイゼン、久しぶりだな≫

≪ヤッホー、ねーちゃん。元気してたかー?≫

≪古鉄殿、元気そうで何よりだ。≫



普通に僕の意見を無視して挨拶し出したっ!? どうしてそうなるのさっ!!



≪アメイジアも金剛も変わってなさそうですね。少しは進化したらどうですか? 私のように・・・そして我が下僕、久しいな。≫

≪・・・ねーちゃん、いきなりそれかよ≫

≪変わってないのはお前のほうだと思うのだがな≫

≪・・だから、私がいつ古鉄殿の下僕になったのだっ!?≫



だから僕を無視して普通に会話するなぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!



「え、えっと・・・あの、ヒロさんとサリさん、そしてジンさん・・・ですよね」

「あ、そうだよ。・・・自己紹介が遅れたね。私はヒロリス・クロスフォードって言うの」

「で、俺がサリエル・エグザ、こっちがジン・フレイホーク。よろしくな。あと・・・フェイトちゃんから聞いたけど、みんな魔法の事は知ってるんだよな」

「はい。蒼凪君達から話を聞いてますので」

「なら、こっちも紹介が必要だな。・・・コイツらが俺らのパートナーデバイスだ」



そう言って、ヒロさんは両手中指の金色に輝き、丸い紫水晶が付いている指輪を見せる。

サリさんも同じように、胸元の十字槍のアクセサリーを見せる。

ジンも、胸元の黒い十字架を見せた。


≪ヒロリス・クロスフォード・・・姉御のパートナーデバイスのアメイジアだ。よろしくな、ボーイ達≫

≪私はサリエル・エグザ・・・主のパートナーデバイスである金剛です。皆さん、よろしくお願いします≫

≪私はジン・フレイホーク・・・マスターのパートナーデバイスであるバルゴラだ。少年少女達よ、よろしく。≫


「あ、あの・・・よろしく。というか、えっと・・・デバイスということは、こてつちゃんやティアナさんのクロスミラージュと同じように武器になったりするの?」

「あぁ、なるよ。で、俺らの大事な相棒だ。で、ちょい失礼するな」



とか言って、どこかから椅子を取り出して五人はこちらに席について・・・って、なんかおかしくないっ!?



「あぁ、ほら動かないで」

「はい」



こっちはこっちでコーディネイトに集中してるし・・・なんですか、これ。



「・・・恭文、袖にこの手裏剣みたいなの仕込むのもう禁止ね。ファッションが制限されるから」

「なんでっ!?」

「当たり前でしょっ!? つーか、魔導師なんだから魔法使いなよっ! どうしてこういうアウトな物持ち歩くのっ!!」

「いやいや、魔法って万能じゃないから、魔法だけで全ての状況を戦うってのは無理なんだよ」



そんな言葉を出したのは・・・サリさんだった。あむが驚いたようにサリさんの方を見る。



「そうなんですか? でもでも、魔法って空飛んだり出来るし、砲撃って言うのも出来るし」

「まぁな。ただ、AMFって言う魔法を使えないようにする技術もあるし、魔法だけに頼るようになるのはあんまり俺としてはお勧めしないな。
ぶっちゃけ、やっさんみたいに魔法無しでも使える武装を常備するくらいのことはしていいと思う」



その言葉に驚いたような顔をするあむ。で、僕を見たので・・・『ほれみたことか』と言うような表情を返してやった。



「ただよ・・・やっさん、お前・・・ここでも暗器常備か?」

「いや、常識でしょ?」

「・・・あぁ、そうだよな。ただな、一つ覚えておけ。それは世界じゃなくてお前の常識だ。
さすがに学校にそれ持ち込むのはマズイだろ。どうせやるなら、もっとバレないようにだな」

「いや、サリエルさん。そこからアドバイスっておかしくないですか?
・・・あ、そう言えば私達も自己紹介してなかったね。ティアと恭文の友達の、スバル・ナカジマです。で、この子が」



スバルが胸元から取り出したのは、六角形の青いクリスタル。それが声を発する。



≪初めまして。マッハキャリバーと言います≫

「私の大切な相棒。あ、マッハキャリバーは武器とかじゃなくて、ローラーブーツになるの」

「えっと、高町ヴィヴィオ・・・7歳です。よろしくお願いします」



と言って、二人がお辞儀をすると、ガーディアンの面々も自己紹介を始めて・・・というか、あの・・・あむさん? 僕は何時までこうしていれば。



「もうちょっと・・・よし、終わった」

「・・・お、いい感じになったじゃないか」

「そうね、ますます素敵になったわよ?」



空海やなでしこがそう言ってくれる・・・のは嬉しいのだけど、ほんとにそうなの?

ただ単にネクタイを緩めて、ボタンを外して、ちょっとシャツが出ただけに見えるんだけど・・・。



「そんなことないからっ! もうさっきとは全然別人だよっ!? ・・・恭文、やっぱり服装とかちょっと無頓着だよ」

「あー、あむちゃんゴメンね? やっさんはちょっとセンス無いのよ。服なんて暗器仕込めればなんだっていいと思ってるのよ」



ヒロさん、何を言うか。さすがにそんなことは考えないから。それは無いから。



「特に・・・あれだよあれ、ネーミングセンスとかももうひどくてひどくて」

「・・・いや、きっとお前が言えた義理じゃないと思うぞ? お前のセンスはやっさんと同レベルもいいとこだろうが」

「なにさっ! 普通に私はハイセンスだよっ!?
・・・ま、そこはともかく、やっさん。あと、あむちゃんや唯世君達もかな」



ヒロさんがなんか表情を真剣なものに変えて僕を見てくる。・・・なんでしょ?



「私らとしては、あむちゃんやみんなの周りに居る小さな子達もちゃんと紹介して欲しいんだけどさ」

「あ、そうですね。どうしてさっきから話してくれないのかなーってちょっと思ってたし」



ヒロさんとスバルがなんかこう・・・膨れたように言ってきた。

というか・・・あの・・・え?



「あ、あの・・・もしかして」

「スゥ達が・・・見えるんですかっ!?」

「あぁ、見えるぞ。ヒロとスバルちゃんだけじゃなくて、俺もな。あと・・・ヴィヴィオちゃんはどうだ?」

「ヴィヴィオも見えます。・・・でも、不思議。あなた達・・・だれ?」





つ、つまり・・・全員見えてる?



そして、四人ともしっかりとうなづいた。





『えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!?』










「・・・・・・え、何の話?状況がいまいちよく分からん。」

「・・・あぁ、アンタは見えてないのね・・・」

「・・・見えてないって何が?・・・それより・・・似合っているっていった方が・・・いいのか?」

「何で疑問系なのよ?」

「・・・いや、さすがに怒るかなぁって・・・」

「・・・アンタからの言葉だったら怒らないわよ。むしろ、嬉しいわ。」

「・・・そっか。じゃあ・・・・・・似合ってるよ、ティア。」

「・・・・・・ありがと。」





















「・・・・・・ティアナさんのあんな顔、初めてみたかも。」

「ねぇねぇ恭文、ジンさんって、ティアナさんとどういう関係?」

「・・・ジンとティアナ?恋人同士だよ。」

「「そっかぁ。恋人同士・・・・・・ええええええぇぇぇぇぇっっっっっっ!?!?」」





・・・・・・二人とも、うるさい。






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あきゅろす。
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