頂き物の小説
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・・・雲が空を覆い、辺りを薄暗く染める。そして、そんなアンニュイな天気の中・・・倉庫の一角。
その中で、20人程度の男達に囲まれている。お仕事を一緒にしている二人と共に。
「・・・けけけ、どうだ? この装置の威力は。魔法が全然使えないだろ」
男の一人がやたらとデカイ装置に手を当てる。
「AMF・・・まぁ、ご高名なハラオウン執務官ならご存知か? お前ら魔導師を丸裸にする装置だ」
確かに、男達の言うようにさっきから魔力が全然結合しない。後ろの二人も同じくらしい。
AMFだね。・・・魔導師殺しの装置、やっぱりこういう使い方してくるか。
うん、分かってた。
「・・・僕が道を切り開く。後は・・・耐えて」
「また言ってくれるわね。これくらい、なんとかするわよ」
「同じくだよ」
だから、僕はアルトを鞘に収める。バリアジャケットも解除して、青い皆様お馴染みなインナースーツ姿になる。男達がそれを見てせせら笑う。
降参の合図だと思ったんでしょ。だから、とても気色の悪い目で僕達を見る。
特に・・・僕に背を預けてくれてる後ろの二人を。
「もの分かりが良くて助かるぜ。まぁ、当然だよな。正義の味方の管理局が、人質取られた上で抵抗したら、大問題だしな」
装置の近くの男がそう面白そうに話す。・・・そう、人質が居る。こいつらにさらわれて、どこかへと売られそうになっている人達が。なお、最近だと局員もやられた。
「いやぁ、俺は広報誌って奴で見てからそこの巨乳の姉ちゃんとちょっと遊びたかったんだよ。まさかこんなところでそんなチャンスが巡ってくるとは・・・犯罪者にはなっておくべきだな」
「そこのオレンジ髪の姉ちゃんと・・・あぁ、刀持ってるぺちゃぱいも同じくだ。俺達が三人揃って可愛がってやるから安心し」
僕の目の前に居た男達の言葉が止まった。そりゃそうだ。だって・・・自分の両目に、金属製の刃が刺さってるんだから。なお、袖に仕込んだ飛針です。
その間に僕は近づき、両目が潰れてわめき声を上げる二人に連続で袈裟からの一撃を入れてぶった斬ってる。それで、男達は血を上げながら倒れた。デカイ装置は僕の前方にある。・・・おあつらえ向きだ。
「な・・・!!」
「な、なにしてやがるっ! 撃てっ!! 撃てっ!!」
目の前の男達がそんな事を言っている間に僕は・・・いや、僕達は次の行動に出てる。オレンジ髪のガンナーはそのうちの一角に近づき、両手に持った四角い長方形の形状の銃身で、男の顎を下から打ち上げるようにぶん殴って、倒す。
金色の長い髪をツインテールにしているセンターガードも同じく。両手に持った戦斧を袈裟から打ち下ろし、自分に近寄っていた男の左鎖骨をへし折る。それを見て発砲しようとした連中の右横に一気に踏み込む。
「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
そこから、右から一閃、また袈裟に戦斧を打ち込み、男達を黙らせる。かく言う僕は・・・目の前の数人がマシンガンを乱射してきたので、上に跳んで、そこから飛針を数本投擲。男達の手や肩に突き刺さる。
そのまま後ろに着地。右手に持った刃を右から一閃。それで男達の背中を斬り裂き、沈める。
振り返り、装置へと走る。・・・スイッチを入れる。視界はモノクロへと染まり、この中で僕だけが神速の領域へと突入する。刃を鞘に収め、装置へと一気に近づく。
魔法に頼らないバリア装置を搭載していたのか、バリアが展開されようとしている。・・・でも、それだけ。モノクロな世界の中でそれは、ゆっくりと・・・本当にゆっくりとした速度でしか展開しない。これなら、いける。
そして、装置が眼前へと迫ると・・・一気に抜き放つ。下から斬り上げるように一閃。右袈裟で一閃。そして、左から右へと真一文字に一閃。抜き放たれた刃は、確実に装置を斬り裂いた。
・・・スイッチが切れて、世界が色を取り戻す。その瞬間、装置は・・・ようやく展開されたバリアの中で、爆発を起こした。
「瞬・神速之極(またたき・しんそくのきわみ)」
≪・・・若干ネーミングが厨二っぽくありませんか?≫
「僕もそう思う。とにかく・・・フェイトっ! ティアナっ!!」
などと叫んだけど・・・無駄だった。だって、二人とも、魔法発動して残りの一蹴してるんだから。倉庫内に雷撃とオレンジ色の魔力弾が大量発生して、男達を一気に蹂躙する。
そうして、場は・・・静寂の時を迎えた。つまり、僕達の勝ち。
「な・・・なんで・・・。こんな・・・ひ、人質がどうなってもいいってのかっ!?」
あ、一人残ってたか。スクラップと化した装置の近くで腰抜かしてる。偉そうにさっき脅迫してくれた奴だ。
「悪いね。後ろの二人はともかく、僕は正義の味方でもなんでもないの。だから、顔も知らない方々のために自分の大事な仲間の貞操を奪われるわけにはいかない。
優先順位、きっちり決めてるんだ。まぁ・・・お前だけ残して後はこれだし、結果オーライ?」
「お、お前ら・・・! いいさ、そう言った事を後悔させてやる」
そう言って、男が右手で懐からスイッチらしきものを取り出した。そして、にやりと笑う。
「いいか、これを俺が押せば、商品どもは毒ガスでおじゃんだ」
≪Stinger Rey≫
青い光が男の右頬をかする。男がその現実を認識できずに呆けた表情を見せるけど、僕は構わず・・・男に飛針を投擲して、右の肘と手首の間を貫く。そうしてすぐに近づき、男が痛みに耐えかねて離したスイッチを左手で確保。
そんな事をしている間に、僕の相棒には魔力が宿る。・・・魔法を使えるなら、こっちの方がいい。つーわけで、斬る。
「鉄輝・・・!」
男を袈裟から、青い閃光が襲い・・・斬り裂いた。
「一閃っ!!」
そうして、男は静かに倒れる。それで・・・本当に終わり。
僕は、辺りを一度、改めて警戒してから小さく息を吐く。
「お、お前・・・思い出した。まさか・・・古き、鉄・・・か?」
僕に背中を斬られた男の一人が、指一本動かす事も出来ずそんなことを言う。
だから・・・肯定してやった。
「・・・ご名答。よく分かったね」
≪ですが、少し遅かったですね。・・・私達を蹂躙しようなど、100万年早いですよ≫
「あぁ、これだけは言っておく。報復しようなんて考えない方がいいよ? もしそんなことしたら・・・お前ら全員、どこへ逃げようと、生まれてきた事を後悔させてやるから」
殺気と共にそう言い放つと、気を失わずに倒れていた連中が震え始め、なんか汚いものを漏らして・・・気を失った。
とにかく、連絡だね。これで一件落着っと。
「・・・いや、アンタそれは・・・ぶっちぎりで悪役のセリフじゃないのよ」
「そうだよ、ヤスフミ。さすがにそれは・・・」
「気にしないで」
≪というか、謝ってくださいよ。主に私に≫
「いや、どうしてっ!?」
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「はぁっ・・・はぁっ・・・なんなんだよアイツは・・・ホントに局員なのかっ!?」
俺は必死に路地裏を走りながら、あの化け物から逃げる・・・・・・最近、ここら辺を牛耳っていた奴らが次々潰されてるってのは聞いてたが・・・あれは反則だろっ!?
「・・・・・・鬼ごっこは、お終いですよ?」
≪観念してください。今ならまだボコボコにされずに済みますよ?≫
・・・・・・すると、目の前に1人の女が現れる・・・・・・
袖なしのインナーの上から、鈍い銀色で赤いラインのベストを羽織り、前掛けのついた長いロングスカートのようなバリアジャケット・・・両手両足には女にはごつすぎる印象を与える装甲。
そして、その右手に握られた大型拳銃のようなデバイスの銃口はまっすぐこちらを狙っている。
出やがった・・・・・・ここ数ヶ月の間に、裏でも有名になった局員・・・・・・聖王教会のシスターでもあるはずのそいつに付けられた二つ名は・・・・・・
「・・・・・・『翡翠の災厄』・・・・・・」
「・・・その二つ名はあまり好きじゃありませんの。私は愛に生き、愛に殉じる情熱的な女・・・シスター・シオンですわっ♪」
≪・・・・・・ちなみに、シスターはどちらの意味でもいいですよ?≫
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「・・・・・・・・・ふっざけんなぁぁぁぁっっっっ!?!?」
「・・・あらあら、いけませんよ?殿方がそんな簡単に怒ったりしては・・・素敵なレディは、いつも男を振り回すものですのに。」
「うっせぇっ!!お前のどこがレディだっつうんだっ!?とっとと死ねやぁっ!!」
私の目の前にいる犯罪者・・・この近辺を新たに牛耳ろうとした魔導師崩れの銀行強盗は、その手に持った両刃剣のデバイスを握り締めて襲い掛かってくる・・・・・・
≪・・・シオン。≫
「分かっていますわゲシュペンスト。」
私は右手に持つ拳銃型のデバイス・・・『ゲシュペンスト』を軽く上に放り投げると、襲い掛かってきた刃を左手の甲を使って弾き、その腹部へ蹴りを入れる。
「ぐおっ!?」
「・・・まったく、大人しく捕まっていた方が楽だというのに・・・こうなった以上、一般人にも危険が及ぶ可能性があるので・・・徹底的に潰します。」
回転しながら落ちてきたゲシュペンストの銃身と一体化した持ち手を握ると、グリップの下部についていた刃が展開されハンドアックスのようになる。
「鉄輝・・・」
・・・・・・そして、青い魔力光に包まれた刃を携え、体勢を立て直した男に向かってゲシュペンストを振り下ろす。
「ちぃっ!!」
男はとっさに剣でゲシュペンストの刃を受け止めようとしますが・・・・・・甘いですね。
「蒼光断。」
魔力刃が輝きを増したかと思うと、男の剣は真っ二つに切り裂かれた・・・・・・お兄様から教えてもらった斬撃魔法・・・・・・そんななまくらデバイスで受け止めれる訳がありません。
「くそぉっっ!!」
「遅いです。ゲシュペンスト、ダガーモード。」
≪分かりました。≫
男は距離をとって逃げようとしますが、私は男の胸倉を掴み壁にたたきつけると、銃身が残りクナイのようになったゲシュペンストの魔力刃をその首元に当てる。
「さぁ、チェックメイトです。」
≪ちなみに、ここでNoなら生まれてきた事を後悔するくらいひどい目にあいますが・・・・・・そもそも犯罪を犯しているくらいですし構いませんよね?≫
・・・・・・私の最終勧告にも関わらず、男の口元には嘲笑うような笑みが浮かんでいる・・・何がおかしいんです?
「・・・俺達が、どんな手口で銀行強盗をしたのか・・・あんた知らねぇのか?」
失礼な、それくらい調べていますよ。確か、地面から穴を掘って・・・って、この何かを削るような音は・・・・・・まさかっ!?
私がとっさに男から離れると、地面から巨大なドリルが現れる・・・・・・そして周囲の建造物を破壊しながら現れたのは、頭部にコクピットを、両腕にドリルを装備した・・・・・・ロボットとしか言いようが無いものだった。
『アニキィ、無事かぁっ!?』
「大丈夫だ弟よっ!!さぁっ、翡翠の災厄』でもこいつ相手はどうだろうなぁっ!!」
「・・・だから、その二つ名は好きじゃないと・・・・・・くっ!!」
ロボットの肩に乗った男の高笑いが聞こえますが、私はロボットの豪腕と共に迫るドリルを紙一重で回避する・・・・・・厄介ですねこれ。
“シオン、無事っ!?”
“・・・・・・ギンガさん、そっちの担当だったロボットがこっちにいるんですが。”
“ゴメンッ!!民間人が巻き添えになりそうだったからそっちを優先したら逃げられちゃって・・・”
・・・・・・なら仕方ありませんね。というか、民間人を巻き込んだんですか。同じドリル持ちのロボットに乗る天元突破な方々とは文字通り天と地の差がありますね。
“・・・ギンガさん、ロボットに危険な事はありますか?”
“・・・・・・ううん。データによると、あれもスカリエッティが作った奴みたいだから・・・質量兵器を搭載している事はおいといて、動力源は至って普通なものだよ。”
・・・あのマッドサイエンティスト、一度脱獄してから方向性がえらく変わりましたね・・・・・・何か心境の変化でもあったんでしょうか?
≪なんというか、ばい○んまんとかロ○ット団とかのノリですよね。趣味に走っているというかなんというか・・・・・・≫
「おしゃべりしている余裕があるのかよっ!!やっちまえ弟よっ!!」
『おう、アニキィッ!!』
・・・・・・・・あぁもう、うっとおしい。
私は一旦距離をとると、ゲシュペンストを頭上に構える・・・・・・さて、一応確認を・・・・・・
“ギンガさん、ロボットは破壊します。犯人達は・・・・・・とりあえず生きていれば文句は無いですよね?”
“で、できれば気絶程度にしてくれるとありがたいんだけど・・・・・・”
“可能な限り努力します。”
・・・・・・許可も下りたので、徹底的にクライマックスといきますか・・・・・・
「ゲシュペンスト、ブレードモード。」
≪・・・・・・了解。≫
ゲシュペンストが光に包まれると、ダガーモードから待機形態である翡翠の宝玉に姿を変える。
そして、再び光に包まれると、私の右手には黒い刀身を持つ片刃の剣が現れる・・・それは、ゲシュペンストの本来の姿・・・詳しいデザインは、頂き物のイラストを見て下さいね♪
「はっ!!そんな細い剣で何が出来るっ!!」
「黙ってください。これ以上あなたの声を聞きたくありません、目障りです。さっさと終わらせて・・・ギンガさんとおいしいデザートでも食べに行くとしましょう。もちろん、割り勘で。」
そして、ゲシュペンストの刀身に青い魔力が集まりだすと、ガントレットからカートリッジが放出される・・・・・・そして、ゲシュペンストを構えると、地面を勢いよく蹴る。
「孤狼・・・・・・」
「な、なにぃっ!?」
『ヤ、ヤベェよアニキィッ!?』
「一閃っ!!」
すれ違いざまの一撃が、ロボットを一刀両断する。動力炉ごと切り裂かれたロボットは爆発を起こし、コクピットに居た男とロボットの肩に乗っていた男は地面に叩きつけられる・・・・・・まだ、これで終わりじゃありませんよ?
「・・・・・・クレイモア。」
私は左掌で作り出していた魔力スフィアを、立ち上がって逃げようとしていた男達に向かって投げつける。
「「ぬぎゃあああぁぁっっ!?」」
男達は魔力の閃光に包まれ、地面に倒れこむ。男達に近づいた私は、意識が無いのを確認するとバインドで男達を拘束する。
「・・・さぁ、これで仕事は終了です。」
≪シオン、お疲れ様でした。≫
「ちょっと待ってぇぇぇぇっっっっ!?!?何過剰攻撃してるのシオン!?」
・・・・・・ギンガさん、いつも以上にお早い到着ですね。まぁ、ちょうどいいですが・・・・・・
「さぁギンガさん。後はゲンヤさんやカルタスさんに任せて、私達はおいしいデザートでも食べに行きましょう、もちろんそれぞれの分は自己負担で。」
「・・・って、なんで背中を押してるの!?それに、自己負担ってなんで!?」
「・・・・・・さすがに、おごりにすると私のお財布が持ちませんので。」
≪ギンガさん、よく食べますからねぇ・・・・・・≫
「ホントですよ。どうしてそれでその体型が維持できるんですか?」
「それは運動しているからとしか・・・・・・って、そうじゃなくてっ!!」
・・・・・・そんなギンガさんを見ながら、私は笑みを浮かべる・・・・・・
ギンガさん、知っていますか?私が護りたいのは・・・あなたがいる、この何気ない日常なんです。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「でも、危ない所だったんだね」
「うん。ヤスフミと一緒に魔法なしでの戦闘の訓練してなかったら、危なかったかも・・・。うぅ、今までの私、やっぱりダメだったんだ」
「まぁまぁ、フェイトちゃん。落ち込まないの。今は違うんだから」
「ごろー」
「ごろごろー」
「ごろごろごろですー」
・・・えっと、そこの三人は何してるのかな? いや、カーペットでゴロゴロしてるのは分かるんだけど。
というか、ヴィヴィオ・・・恭文君の影響をどんどん受けて・・・。いや、リインはもう仕方ないって分かってるんだけど。
「いーじゃん、お休みの時くらいゴロゴロしたってさー。ここ、僕の家なんだし」
「私達の家だよっ! なに勝手に自分が買ったみたいなことにしてるのっ!?」
「嘘だっ!!」
「嘘じゃないよっ!!」
・・・ここは、ミッドの首都の外れにある住宅街にある2階建ての一軒屋(クロスフォード財団・分家管理)。私とフェイトちゃんとヴィヴィオと恭文君とリインが暮らしている家。六課解散後・・・なぜかこういう形になった。
い、いや・・・恭文君の○○ヒロインになったとかじゃないよ? 現地妻でもないから。
ただ、フェイトちゃんと恭文君が留守の間家の管理とか大変だし、私が仕事の時ヴィヴィオを見てくれる人とかがアイナさん以外にも居ると嬉しいし・・・と考えたら、こんな感じに。
エロなこととかもないんだからねっ! 本当だよっ!? 恭文君とは、ちゃーんとお友達になったんだからっ!!それに、ちゃんとユーノ君とは婚約したんだからっ!!ユーノ君も、ほとんどここに居候って形なんだからっ!!
「まぁ、ボケはともかく・・・いやぁ、なのはとヴィヴィオと暮らす事にして正解ではあったよねぇ。家はいつでもピカピカだし、三人だけで元のマンションで暮らすよりは、色々な意味で安心だし」
・・・あぁ、それがあったよね。アレだとこう・・・どうしてもいろんな意味で三人一緒な生活だから。
「あと、ヴィヴィオといつでも遊べるし」
「えへへー♪」
ゴロゴロしながら、ヴィヴィオが恭文君に抱きつく。で、恭文君がギュっとして頭を撫でる。ヴィヴィオが心地よさそうに目を閉じて・・・あれ、なんだろう。なんか危険信号がビービーと・・・。
「あー、ヴィヴィオずるいですー! 恭文さんの腕の中はリインの特等席ですよっ!?」
「リインさんは恭文とずっと一緒ですよね? だから、帰ってきた時くらいは恭文の腕の中はヴィヴィオの特等席ー。
・・・あ、あくまでもお父さんに甘える感じなので、あしからず・・・ユーノパパも、早く帰ってこないかなー」
「・・・そっか、ならいいんだ。私は一応ヴィヴィオのママその2だし、ヤスフミがパパでも」
「フェイトちゃんっ!? なに納得してるのかなっ!!」
「フェイトママ、私のパパその1はユーノパパだよ?」
「ヴィヴィオ、それは分かっているからそうふくれっつらしないの。ね?」
でも、恭文君がパパか・・・。なんだか想像・・・想像・・・出来るね。むしろ今までヴィヴィオが恭文君をパパ呼ばわりしてないのが不思議だよ。ユーノ君はパパ呼ばわりなのに。StrikreSの二次創作の基本なのに。
そういうのを抜きにしても、未だにカレルとリエラはパパ呼ばわりだし、ルーテシアもお父さん呼称は変わってないし。
「でもでも、カレルとリエラはともかく、ルーテシアさんのお父さん呼称はフェイトママ的にはいいの?」
「・・・うん、認めてるよ。ほら、ルーテシアってお父さん居ないでしょ?」
そう言えばそうだ。生まれてすぐに色々あって離婚して、母親のメガーヌさんが引き取る形になって・・・だっけ?
だから、ルーテシアは本当のお父さんがどんな感じか知らなくて・・・。
「それでね、ナカジマ三佐やメガーヌさんにヒロさんともお話したんだけど、ルーテシアがヤスフミの事をお父さんって呼ぶのは、ルーテシアがイメージしているお父さんにヤスフミが割り合い近いからなんじゃないかって。
なんだかね、それを考えたらお父さんと呼ぶのはダメとは言えなくなっちゃって・・・。ただ、ルーテシアにはあくまでも愛称で、本当にお父さんになるのは・・・その、私が居るからダメとは言ってるけど」
「・・・恭文君、フェイトちゃんに謝ってよ」
「はい、ごめんなさい。なんというかごめんなさい」
恭文君はヴィヴィオを抱きながら起き上がって、素直にペコリと頭を下げた。
どうやら、自分でもこれはどうなのかと思ってたらしい。表情からそれがよく分かる。
≪そうですよ、謝ってくださいよ。主に私にも≫
「そうそう・・・って、アルトアイゼンには謝らなくていいから、フェイトちゃんにはしっかり謝ってねっ!?」
≪あなた、ヒドイですね。現地妻6号のくせに≫
「だから違うよっ! 恭文君とは本当にお友達なんだからっ!!私はユーノ君の婚約者だからっ!!」
なんて話していると・・・フェイトちゃんがふと時計を見て、立ち上がった。
恭文君も同じ。ヴィヴィオから身体を離して、立ち上がる。
「あ、そろそろ時間?」
「うん。なのは、ヴィヴィオもリインもごめん・・・ちょっと行ってくるね」
≪そうフェイトさんは言ってますけど、きっと朝まで帰らないと思います≫
「「そんなことないからっ! ちゃんと夜には帰ってくるよっ!!」」
なんて言いながら、フェイトちゃんは黒のワンピースにコート。恭文君はいつものジーンズ上下にダッフルコートを羽織って・・・デートに出かけた。
まぁ、所用込みなんだけどね。
「そうだヴィヴィオ、今夜はユーノ君も来るって。皆でご飯行こうか?」
「ホントッ!?」
「・・・リイン、どうするべきですか?」
「にゃはは・・・大丈夫だよ。ユーノ君に話はしてあるから、リインも一緒にね?」
「はいですっ!!」
・・・・・・多分、恭文君とフェイトちゃん遅くなると思うしね。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
・・・・・・まずい、遅刻だわ。あぁもうっ!!なんでこんな時に寝坊するのよっ!?
≪・・・まぁ、仕方ない事かと。久しぶりの休日で、一気に疲れが出たんでしょう。それに、きちんと理由を話せば彼も許してくれると・・・≫
・・・確かにアイツは許してくれると思うけど・・・私が納得しないのよっ!!
・・・・・・そして、私は息を切らせつつ待ち合わせ場所に到着する・・・・・・でも、そこにアイツの姿は・・・・・・
「・・・・・・お、ようやく来たな・・・っていうか、どこまで予想通りの行動してんだお前?」
≪念の為にジュースを買いに行ってよかったな。≫
「・・・ハァッ・・・ハァッ・・・久しぶりに会うから・・・気合入れてきたのよ。」
「・・・まぁ、とりあえずどこかで落ち着こうか。行こうぜ、ティア?」
・・・・・・そして、少し困ったような笑顔を見せながら・・・ジンは、私に手を差し伸べた。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
・・・・・・しかし、あれからもう1年か・・・・・・なんか、ついこの間のような感じがするなぁ。
「・・・そういえば、セレナちゃんの事覚えてる?」
・・・すると、ジュースを飲んで息を落ち着けたティアがそんな事を聞いてくる。
・・・あぁ、大ショッカー事件の時に六課で保護した女の子だろ。どうかしたのか?
「・・・あの子、スバルの所属する特救部隊に配属が決まったらしいわ。しかも、スバルのバディとして。」
「・・・・・・マジ、か?」
「大マジよ。スバルの奴、通信で私に泣きついてきてたわ・・・・・・どうも、あの押せ押せっぷりが苦手みたいなのよね。」
・・・・・・まぁ、スバルの事『お姉様』って呼んでたからなぁ・・・・・・
「・・・それで、メイルとライラの方は?一応、アンタと一緒に住んでるんでしょ?」
・・・・・・あの2人か・・・・・・あの2人は・・・・・・
「・・・いつもの通り、エリオ達の所に長期旅行だよ。多分、2ヶ月ぐらいは帰ってこないんじゃないかな・・・」
≪最近、メイルのアプローチが急激に増えたからな・・・キャロと衝突してなければいいんだが・・・ライラが上手くストッパーになってくれる事を祈るしかないか・・・≫
・・・おかげでほとんど1人暮らしなのはいいんだが、あの2人が帰ってくると仕事入れにくいしな・・・・・・2人の養育費はヒロさんとゼフィウスさんに仕送りしてもらっているし・・・もし仕事が入ったら、サリさんに預かってもらうか。ドゥーエさんにもなついていたし、なんとかなるだろ。
後、帰ってきた時にベッドの中に潜り込んでくるのは止めてほしい。あんな調子で彼氏ができるのか本気で心配になってきた。
・・・・・・ティア、なんだその笑みは?
「・・・別に?なんだかんだでいいお兄ちゃんやってるじゃない。」
「・・・・・・ひょっとしたら、お前も『お義姉ちゃん』になるかもしれないんだけどな。それで、今回は休みどのくらい何だ?」
「・・・それが、もう次の仕事が入っているらしくて・・・・・・多分、1週間はないかも。」
・・・・・・今回は、ティアをゆっくり休ませる事が先だな。
「・・・うっし、なら次の仕事まで家に来いよ。たまにはのんびりするのも悪くないだろ?」
「・・・・・・そうね、お言葉に甘えさせてもらうわ。」
・・・・・・こうして、俺達は家路につく。もちろん・・・・・・帰り道は、2人で手を繋いで。
・・・・・・でも、その時はまだ気付いていなかった。
既に、新しい物語が・・・・・・動き出していた事に。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「「はああぁぁぁぁぁっっっっ!!」」
・・・・・・訓練スペースでは、二つの閃光がぶつかり合っている。ある程度ぶつかり合うと、二つの閃光は地面に降り立つ・・・
・・・片方は、銀色の装甲に黒いバイザーで顔を覆い、身体の各部から紫色のエネルギー刃を展開した女性。
もう一方は・・・・・・深い青緑の装甲に、紅蓮のように赤く輝く複眼、額から伸びる触角、まばゆい青のマフラー・・・・・・
ふむ、ずいぶん熱中しているようだが・・・・・・そろそろお開きにしてもらわないと、私がウーノに叱られてしまう。
『・・・トーレ、カトラス。そろそろ食事の時間だよ?』
・・・私は通信機能を使って、2人に呼びかける。私の声に反応した2人は戦闘を止め、訓練スペースを後にする。
そして、トーレが観戦スペースに入ってきた。
「・・・・・・申し訳ありませんドクター、少々熱が入りまして・・・・・・」
「まぁ、それはいいのだよ・・・それで、『ライダーシステム』の調子はどうだい?」
「・・・プロトタイプでは、もうカトラスとの戦闘にはついていけませんね。かろうじて、私の戦闘経験で互角に持ち込めるといった所です。」
・・・・・・なるほど、トーレがそこまでいうとは・・・ならば、トーレ用のシステムもなるべく早く完成させなくてはいけないな・・・・・・
「・・・・・・そんな事はない。俺はまだ姉さんとの戦闘で学ぶべき事がたくさんある。」
すると、1人の少年が現れる・・・・・・その髪は私と同じ色で、瞳も金色に輝いている・・・・・・・どことなく、顔つきも私に似ている。まぁ、当然なのだがね。
「・・・・・・当然だ、いくらプロトタイプを使っているとはいえ・・・お前の師匠だからな、そう簡単には勝たせんよ。」
「・・・そうだな、トーレ姉さんは俺の目標だ。はるか先を行ってもらわなければこっちが困る。」
・・・・・・まったく、カトラスはずいぶんバトルマニアな性格になってしまったよ。私と同じ遺伝子を使っているはずなのになぜだろうね?
「・・・・・・3人とも、いい加減にしてください。料理が冷めてしまいます。」
「おやおや、ウーノがお冠のようだ・・・・・・それでは、急ぐとしようか。」
「そうですね。」
・・・・・・なんだろうね、こんな雰囲気もいいものだ。私が・・・・・・『家族』を得るなんてね。
それに、残りの娘達も元気にしているだろうか・・・・・・そろそろ、更正組は社会に復帰する頃のはずだ。どうやらドゥーエも生きているようだし・・・クアットロは、まぁ拘置所であいかわらずなのだろう。
「・・・ドクター、1つ聞きたい事がある。」
・・・なんだいカトラス?ウーノを怒らせると怖いから手短にしてほしいんだが・・・
「いや、歩きながらでも構わない・・・・・・俺は・・・何と戦えばいい?魔導師か、それとも・・・同じ戦闘機人か?」
・・・・・・なるほど、自分の存在理由を考え始めたか・・・・・・こうでなくては、彼を生み出した意味がない。
「・・・私という『犯罪者』が言うのもなんだがね・・・君には、君が信じる『信念』の為に戦ってほしい。」
「俺の信じる・・・『信念』?」
「そう・・・だが、君はまだ『世界』を知らない。もうしばらくしたら、トーレと一緒に外の世界を見てもらう・・・そこで、君が何を見出すか。それが、今の私を突き動かす『欲望』だよ。」
・・・・・・そう、あの仮面ライダーのような存在に・・・君にはなってほしい。
「・・・これは個人的なお願いだが、君が外の世界を見て回る時に君の『姉』達に出会うかも知れない・・・もし彼女達が危機に陥っていたら、その時は助けてほしい。」
「・・・・・・あぁ、分かった。」
「さて、では急ごうか。そろそろウーノの頭から角が生えそうだ。」
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
・・・・・・ドクターはああ言っていたが・・・・・・俺の『信念』・・・・・・
それに、俺の記憶に記された『姉達』の姿・・・・・・
外の世界に行けば・・・・・・俺の戦う理由が見つかるのだろうか・・・・・・?
To Be Continued...?
あとがき
ジン「っというわけでっ!!ついにフィナーレを迎えました「とある魔導師達と仮面の英雄の物語」っ!!お相手は俺、ジン・フレイホークと・・・」
ティア「私、ティアナ・ランスターでお送りします!!・・・・・・でも、なんだか最後らへんは展開がすごかったわね。」
ジン「いや、俺もびっくりしている。まさか最後の最後まで風呂敷広げまくるとは思わなかった。どこのライブ感満載な展開だよ?」
ティア「地球でディケイドメンバーや昭和ライダー登場に、本局で平成ライダー登場、あげく大首領はキングダークと同化・・・・・・なんとも豪華ね。」
ジン「ちなみに、本当のラストははやてさんの結婚式で終わらせて、そこで士さんが夏海さんやユウスケさんと再会、その後エピローグって予定だったんらしいんだけどな・・・」
ティア「なんでそうしなかったのよ?」
ジン「・・・・・・そこは、想像にお任せしたいんだと。まぁ、冬の劇場版が公開されたらどうなるか知らんが。」
ティア「・・・まさか、冬の劇場版が公開されたらDC版って形で描写追加するんじゃないわよね?」
ジン「あくまで可能性の話だ。地球側にキバーラも登場させたかったけどさすがに自重したらしいし。」
(ため息をつく2人・・・・・・さすがにネタバレなので。)
ティア「・・・それをいったら、この話って夏の劇場版のネタバレになるんじゃないの?そんな要素がいろいろ散りばめられているし。」
ジン「そこはだ・・・・・・ツッコまないでくれると助かる。元々夏の劇場版に触発されて書いたものだし・・・」
ティア「・・・まぁいいわ。で?最後のスカリエッティの描写はどういう事なのよ?」
ジン「あれは、アフターへの伏線だってさ。なんでもしゅごキャラクロスと時期を平行させた物語になる予定らしい・・・主な舞台はミッドだけどな。」
ティア「・・・・・・それって、私ほとんど出番無いじゃないのっ!?」
ジン「いや、ちょうど授業参観のときに俺も地球に行く・・・・・・みたいなんだが・・・・・・」
ティア「・・・・・・へ?・・・・・・・・イ、イヤアァァァァァァァァッッッッッッッッ!?!?!?」
ジン「・・・・・・セカンドシーズンもIFルートもあるのに、どうするんだろうな作者は・・・・・・それでは皆さん、またどこかでっ!!」
(というわけで終了。
本日のED:『Journey through the Decade』)
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