頂き物の小説
第6話『究極の闇、甦る戦士』:1
・・・・・・なぜだ・・・・・・なぜ俺は目覚めた・・・・・・なぜだっ!!
俺は雄たけびをあげると、身体を黒い衣装で包んだ異形に、その奥に居る灰色の異形・・・・・・そして、『戦士の環』を右手に掲げる赤い仮面を纏った騎士・・・壁の方には、若きリントの姿もある・・・
「はあああぁぁぁっっ!!」
その時、若きリントが壁を蹴ると・・・赤い仮面の騎士から、『戦士の環』を奪い取る。
「・・・何ぃっ、まだ動けたというのかっ!?」
赤い仮面の騎士が驚くのをよそに、若きリントは・・・その腰に『戦士の環』を装着する・・・
「・・・貴様・・・まさかっ!?」
「・・・ここは・・・人々の笑顔を護る為に、『究極の闇』をその身に封じ込めた王の眠る場所だったんだ・・・そんな彼の想いを踏みにじるような真似をしたお前達の・・・好きになんかさせるものかっ!!」
・・・・・・・・・若きリントの言葉が遺跡の中に響くと共に、遺跡の中に溢れていた『闇』がリントの腰に巻かれた『アークル』へと吸い込まれていく・・・・・・・・・
・・・・・・その姿に・・・・・・俺と共に戦った、かつての『友』の姿が重なる・・・・・・
「おのれぇぇぇぇっっっっ!!」
すると、赤い仮面の騎士がその手に持つ何かをリントに向けると、リントの胸がなにかによって貫かれる・・・・・・しかし、リントは地面に倒れず・・・その身体を『闇』が覆っていく・・・・・・
・・・・・・『アークル』が反応しただと?
【・・・お前も、あの者と同じく・・・誰かの笑顔の為に己を犠牲にする事の出来る者なのか・・・若きリントよ・・・】
「・・・バカな・・・一体何が起ころうとしているっ!?」
赤き仮面の騎士が驚きの声を上げるが・・・・・・もはや遅い。
「ウオオオオオオオォォォォォォォォォォォォッッッッッッッッッッッッッッ!!」
そして、『闇』の中に稲妻が走り・・・・・・中から異形の存在が現れる。
金色の装飾が施された漆黒の鎧に、『アークル』の中央に埋め込まれ、今は漆黒に輝く霊石『アマダム』・・・・・・そして、鋭く伸びた金色の4本角に・・・輝きを失い黒く染まった瞳・・・・・・
その姿は・・・かつて一度だけ、『友』が『究極の闇』に囚われた時の姿・・・・・・『黒き雷のクウガ』だった。
そして、『黒き雷のクウガ』がゆっくりと掌をかざすと・・・・・・周りを取り囲んでいた黒き異形達が、炎に包まれる。
「バカな・・・・・・くっ!!」
その光景を目の当たりにした赤き仮面の騎士は、灰色の騎士を連れて姿を消す・・・・・・そして、遺跡の中に残されたのは・・・俺と『黒き雷のクウガ』だけとなった。
【・・・・・・若きリントよ・・・・・・助けてもらった事には礼を言おう・・・・・・だが・・・・・・】
そう呟くと、俺は『黒き雷のクウガ』に向けて球状の雷を放つ・・・・・・しかし、『黒き雷のクウガ』の身体には・・・傷一つついていなかった。
【それ以上その力を使えば、お前は元に戻れなくなる・・・・・・お前の帰りを待つ者の為にも・・・・・・倒させてもらうぞっ!!】
俺の言葉から敵と判断したのか、『黒き雷のクウガ』は腰を落として構える・・・・・・俺は空中に飛び上がると、『黒き雷のクウガ』めがけて飛び掛った。
そしてその時・・・・・・俺と『黒き雷のクウガ』は、銀色の光を突き抜けていた。
―――――――――少女が手にした力、ディケイド。英雄の魂を感じとり、その瞳は何を見る―――――――――
『とある魔導師と機動六課の日常・外典』×『仮面ライダーディケイド』 クロス小説
とある魔導師達と仮面の英雄達の物語
第6話『究極の闇、甦る戦士』
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「はぁっ!?スカリエッティの投獄されていた拘置所が何者かに襲撃されたっ!?」
・・・・・・2月17日。2月も中盤に入ったその日・・・・・・突然招集をかけられた僕達の耳に入ったのは、はやてから告げられた最悪なニュースだった。
「せや・・・被害は甚大、おまけにスカリエッティは行方不明・・・うちでなくても頭抱えるっちゅうねん。」
「でも・・・いったい誰がそんな事を?」
「とりあえず、最後に残っていた映像はこれや・・・」
はやての言葉と共にモニターに映し出されたのは、三日月の角をつけた兜をつけた男と、黒装束の男達が進む姿・・・・・・そして、兜の男が振るった鞭があたる瞬間でその映像は途切れる・・・・・・こりゃ、決まりだね。
「つまり・・・拘置所を襲ったのは大ショッカーで、その狙いは恐らく・・・・・・」
「スカリエッティ・・・やろな。ただ、気になる点が2つあるんや。」
・・・・・・気になる点?
「せや。1つは、大ショッカーがあそこを襲撃した理由やな・・・正直、スカリエッティは組織の一員として動くような奴やない・・・その事は、JS事件からでも分かるやろ?」
「・・・そうだね。大ショッカーは管理局について調査している可能性は高い・・・とすると、スカリエッティについても調べているはずか。」
「・・・・・・大ショッカーがあそこを襲ったのは、ワームの能力を利用してスカリエッティの頭脳を手に入れるか、もしくは・・・邪魔になりそうなスカリエッティの排除って所ですか?」
ヒロさんとジンが自分の考察を述べるけど・・・・・・多分、それが大きいね。で、もう1つの気になる点は?
「・・・・・・これは、ロッサからの情報なんやけど・・・・・・別の場所に投獄されていた、捜査協力を拒否したナンバーズ・・・その中でも最古参の、ウーノとトーレが脱獄したらしいんや。しかも、転送魔法なんかやない・・・まったく未知の方法で。」
・・・ちょ、ちょっと待ってはやて、それはいくらなんでもおかしいでしょっ!?あいつらが投獄された拘置所って、そんな簡単に脱獄できるような場所じゃないし・・・・・・未知の方法ってどういうことよ!?
「なんかなぁ、魔力反応が一切でぇへんし・・・わずか一瞬で独房内から姿を消したらしいんよ。でも、問題はそこやなくて・・・脱獄したのが、その2人だけってことや。脱獄する方法があるなら、戦力の補強に残りの2人も連れて行くのが普通やろ?」
・・・・・・つまり、セッテやクアットロは投獄されたままなのか・・・・・・確かに、それはおかしいね。特に、クアットロの頭脳はあのマッドサイエンティストに匹敵する・・・・・・連れて行かないのは確かにおかしい。
「・・・ちゅう訳で、フェイトちゃんとギンガには今からそっちの調査に向かってもらう・・・ええな?」
「・・・うん、分かった。行こうか、ギンガ。」
「はい、フェイトさん。」
フェイトとギンガさんは立ち上がると、会議室を後にした・・・ねぇはやて、僕も一緒に行っちゃ・・・ダメかな?
「・・・そういうと思ったわ・・・こっちになんかあったらすぐ戻ってくる事・・・それが条件や。」
「・・・ありがと、はやて。」
はやてが手をひらひらさせるのを見ながら、僕は会議室を後にする・・・そして、フェイトとギンガさんに合流して向かった先は・・・・・・第17無人世界の「ラブソウルム」軌道拘置所・・・・・・ナンバーズの1人、セッテが収監されている拘置所だ。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
・・・・・・ヤスフミ達が軌道拘置所に向かった後、俺達は廃棄都市部に突如出現したオーロラの反応を調査する為にヘリで現地へ向かっていた。
・・・・・・なんだか嫌な予感がするんだが・・・・・・
≪・・・・・・マスターの経験からすると、そういった予感がする場合はたいてい当たるのだがな・・・・・・≫
そうなんだよなぁ・・・一応、警戒だけはしておくか。
「お前ら、そろそろ目的地が・・・・・・って、なんだこりゃあ!?」
ヘリを運転するヴァイスさんが、突然大声を上げる・・・俺達が外に視線を向けると・・・・・・廃棄都市部のビルが崩れ落ちていき、炎に包まれていく。
「いったい・・・何がおきているっていうのよっ!?」
ティアナの声がヘリの内部に響くが、誰もそれに答えられない・・・・・・とにかく、今は状況を確認するのが先だな・・・・・・
「すいません・・・先に行きますっ!!」
「ちょ、ちょっとジン君!?」
なのはさんが止めるのも聞かず、俺はヘリのドアを開けて飛び降りる・・・そして、バリアジャケットを装着すると障壁を展開して、レオーで小刻みにジャンプしながら地面に降りる。
目の前に広がる光景は、もはやゴーストタウンというレベルではなく・・・・・・瓦礫の山、そう表現するのが正しい状態だった。
「しっかし・・・・・・妙だと思わないか、バルゴラ?」
≪・・・確かにな・・・この現象を引き起こしたのが大ショッカーだとすると、なぜ周囲に被害の及ばないここを破壊したのかが分からん。≫
・・・・・・今まで大ショッカーが送り込んできた怪人達は、クラナガン等のなるべく人が多い地域に出現してきた・・・・・・なのに、どうして今回はここなんだ?
≪・・・考えられるのは罠か、もしくは第3勢力か・・・≫
「・・・今の状況だと、前者であってほしいな・・・第3勢力が出てくるとか、ややこしくなりそうだ。」
・・・・・・そう、ただでさえ大ショッカーだけでも大変だってのに、他の組織とかに出てこられると・・・・・・
その時、目の前の瓦礫が吹き飛び、瓦礫の向こうから・・・・・・鋭そうな漆黒の鎧に、金色の4本角、闇に染まった瞳を暗く輝かせる・・・「仮面ライダークウガ・アルティメットフォーム」がゆっくりとこちらに歩いてくるのが見えた。
・・・・・・おいおい・・・・・・冗談だろ!?
「ちょっとジンッ!!何1人で突っ走っているのよ!?」
「そうですよ!!どんな状況下も分からないんですから、もう少し慎重にならないと・・・・・・」
・・・・・・・・・そして、タイミングの悪い事にティアナ達が俺に駆け寄ってくる・・・ティアナ達に反応したのか、クウガはゆっくりと掌をティアナ達に向ける・・・・・・やばいっ!!
「おおおおおおおぉぉぉぉぉぉっっっっっっ!!」
・・・・・・俺はカードを取り出してアギトに変身すると、クウガに向かって拳を振るおうとする。すると、クウガは俺を敵と認識したのか・・・ティアナ達に向けていた掌を、俺のほうへと向ける。
そして、俺の視界は・・・炎に包まれた。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「ジンッ!!」
・・・・・・アギトに変身したジンが突然黒い鎧の怪人に殴りかかったかと思うと、ジンの身体が炎に包まれる・・・・・・私は思わず叫び声をあげてしまう・・・・・・
「・・・・・・おおおおらあああぁぁぁぁぁっっっっっっ!!」
・・・・・・すると、炎の中から・・・・・・全身を赤く染め、金色の瞳を輝かせる・・・「バーニングフォーム」という姿に変化したジンが、黒い鎧の怪人に殴りかかる。よ、よかった・・・無事だったのね・・・
“・・・皆、聞こえるか?”
「皆、大丈夫っ!?」
黒い鎧の怪人と戦いながら、ジンが私達に念話を送ってくると同時に、なのはさんも私達に合流する・・・・・・アンタ、大丈夫なの?
“・・・なんとかな・・・・・・それより、ティアナとキャロはなのはさんと一緒に今すぐ安全な場所に逃げろっ!!スバルにエリオは、変身して俺の援護をしてくれ!!”
・・・・・・ちょっと待ちなさいよっ!!私達が足手まといだって言うの!?
“・・・・・・さっきの俺を見ただろ?こいつは狙った敵を発火させる能力を持っている・・・・・・いくらバリアジャケットをつけていても、お前達が危険なのは変わりないんだっ!!”
“ジン君、その相手はそんなに危険なの?”
“えぇ・・・正直、俺達でも勝てるかどうか分かりません。”
“分かった・・・・・・スバルとエリオはジン君の援護、私達は後方に下がるよっ!!”
「いくよ、エリオッ!!」
「はいっ!!」
「「変身っ!!」」
≪---COMPLETE---≫
その時、「仮面ライダーファイズ」に変身したスバルと、「仮面ライダー龍騎」に変身したエリオがジンの元に向かう・・・・・・私はと言うと、なのはさんに抱きかかえられて後方へと移動していた・・・・・・なのはさん!?
「・・・・・・ティア・・・・・・今は、皆を信じよう?」
そう私に声をかけたなのはさんの表情は・・・・・・怖い表情をしている・・・・・・みれば、フリードに乗ってなのはさんの後を追うキャロとメイルも、顔を俯かせている・・・・・・
・・・・・・後ろでは、ジン達があの黒い怪人と戦いを繰り広げている・・・・・・それは、私達が入り込めば直ぐにでも命を失ってしまいそうな・・・・・・戦いだった。
そして、そんな戦いに大切な人が居るのに・・・・・・逃げる事しかできない事が、とても悔しかった。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
≪SWORDVENT≫
「「はあああぁぁぁぁぁっっっっっっ!!」」
ファイズに変身したスバルと龍騎に変身したエリオが、俺と戦っていたクウガにとびかかる。しかし、クウガはスバル達の攻撃をひらりと避け、スバルとエリオを吹き飛ばす。
吹き飛ばされたスバルとエリオは、瓦礫の中に埋もれる・・・・・・おい、大丈夫か!?
「・・・大丈夫!!」
「・・・ストラーダ達が、とっさにシールドを張ってくれました・・・」
俺はスバル達に駆け寄ると、スバル達は瓦礫を押しのけて出てくる・・・・・・よかった。あのクウガは、通常のパンチで80tとかいうバカみたいなスペックだからな・・・・・・それに、ティアナ達も安全な場所に移動したみたいだな・・・・・・
そのクウガはというと、吹き飛ばされた時にエリオの手から離れて地面に突き刺さったドラグセイバーを抜き放つ。すると、ドラグセイバーは漆黒で先端が金色の刃に包まれた剣「タイタンソード」へと変化する。
「・・・・・・スバル、エリオ。近距離は俺が引き受ける・・・・・・お前らはその隙に、最大の一撃をアイツに叩き込めっ!!」
俺がベルトに手をかざすと、ベルトから円状になった刃「シャイニングカリバー」を取り出し、槍のように変形させる・・・・・・そして、タイタンソードを構えたクウガへと切りかかった。
・・・・・・くそっ、攻撃が重過ぎる・・・・・・このままじゃ、やられるっ!!
≪---EXCEED-CHARGE---≫
≪FINALVENT≫
「クリムゾン・・・・・・」
「ドラゴンライダー・・・・・・」
「「スマァァァッシュッッ!!(キィィィッッッックッッ!!)」」
その時、赤い円錐状の光に包まれたスバルと、紅の炎に包まれたエリオが空中から落下してくる・・・・・・よしっ!!これなら、少しはダメージが・・・・・・
しかし、スバル達に気づいたクウガはゆっくりと左手を掲げ・・・・・・その掌から、翡翠色の魔方陣が現れてシールドとなり、スバル達のキックを防いだ。
・・・・・・あの色は・・・・・・まさかっ!?
「そんなっ!?」
「くっ!!」
シールドは音を立てて崩れ去るが、スバル達のキックは威力が削がれている・・・・・・そして、クウガはタイタンソードを振り上げ、スバル達を弾き飛ばした。地面を転がるスバルとエリオは変身が解けて、バリアジャケットの姿になる・・・
「スバル、エリオッ!!」
俺は地面を蹴ってクウガに詰め寄るが、クウガの左手に現れた魔方陣から翡翠色の鎖が俺に襲い掛かる・・・・・・今度はチェーンバインドかよっ!?
「うおおぉぉぉぉぉっっっっ!!バーニング、ライダーパンチッ!!」
俺はチェーンバインドを切り払ってクウガに近づくと、渾身の力を籠めて拳を放つ。しかし、クウガはとっさにタイタンソードを楯にして俺の拳を防ぐ・・・・・・タイタンソードを破壊する事は出来たが、クウガが放ったキックによって、俺はビルの壁に叩きつけられる。
「がはっ!!」
「ジンさんっ!!」
「ジンッ!!」
・・・・・・くそっ、身体が動かねぇ・・・・・・前を向けば、クウガがこちらに掌を向けてくる・・・・・・やばい、避けられない・・・・・・
・・・・・・もう駄目だと思ったその時、クウガの身体を激しく帯電した球体が包み込む・・・・・・いったい・・・・・・何が起きたんだ?
【・・・・・・ふむ・・・・・・近頃のリントは自ら戦う力を得たのか・・・・・・実に面白いな。】
そんな声と共に、俺の前に現れたのは・・・・・・赤い肌に金色の鎧を纏った怪人・・・・・・リントって言ってたけど・・・・・・こいつは・・・・・・グロンギ、なのか?
【・・・・・・若きリントよ、ここは俺が引き受けよう・・・・・・あのリントを、助け出さなくてはならないからな。】
「・・・どういう・・・ことだ・・・」
そのグロンギは俺をビルの壁から引きずり出すと、クウガに向かって襲い掛かる・・・・・・いったい、何がどうなっていやがる?それに・・・もし俺の予想が当たっているなら、あのクウガは・・・・・・
その時、空からレールが伸びてきてデンライナーが現れる。
・・・・・・そこで、俺の意識は途切れた。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「・・・・・・ふむ、六課の介入でどうなることかと思ったが・・・・・・今の状況は、私達にとって有利だな。」
私はビルの上から、クウガと『究極の闇』が戦うのを眺める・・・・・・ユーノ・スクライアが『戦士の環』を身につけた時は焦ったが、むしろ我々の計画を進めてくれるとは・・・・・・
「さて・・・一体どちらが勝つのかな?どちらが勝ったとしても我々に損は無いからな・・・・・・じっくり堪能させてもらうとしよう。」
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「ユーノが・・・行方不明?本当なの、アルフ?」
『そうなんだよっ!!なんでも、ユーノが発掘に行った遺跡が跡形も無くぶっ壊れているのが確認されて・・・・・・でも、ユーノの姿はどこにも無かったんだって!!』
・・・・・・軌道拘置所でセッテと面会した私達に、ユーノが抜けた穴を埋めるために、無限書庫に手伝いに行っていたアルフからの連絡が入る。
・・・・・・セッテの方は、トーレ達の脱走に少なからずショックを受けているみたいだった。今はヤスフミやギンガと話をしているけど・・・・・・
「・・・・・・わかった。こっちでもユーノの事は調べてみるよ。」
『本当かいっ!?それじゃあ、お願いするよ・・・・・・新しい情報が入ったら連絡するから!!』
アルフからの連絡が終わると、私はため息をつく・・・・・・ユーノ、大丈夫かな?
『あ〜、フェイトちゃん・・・ちょっとええか?』
すると、今度ははやてから連絡が入る・・・・・・どうしたの?
『・・・緊急事態や。至急、恭文を連れて戻ってきてほしいんや。』
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
・・・・・・はやてからの連絡で六課に戻ってきた僕達に、今までの状況が説明される・・・・・・ちょっと・・・・・・冗談でしょ?
「残念ながら大マジや。今、廃棄都市部ではアルティメットフォームのクウガと、謎の怪人が大激突しとる・・・・・・陸の方もお手上げらしいで?」
・・・・・・まぁ、単独で街1つ破壊できそうな相手にどう戦えって感じだけど・・・・・・それにしても、状況が悪すぎでしょ。
「それで、スバルちゃん達が目撃した謎の怪人について調べてみたけど・・・・・・どうも、「仮面ライダーディケイド」で新しく設定されたグロンギ・・・「ン・ガミオ・ゼダ」みたいなんだよね。」
そういってヒロさんが、モニターにそのグロンギの姿を映し出す・・・・・・って、ヒロさん。あんまり詳しい事分かってないじゃないですか。
「そういうなよやっさん。これでも、公式やら児童誌の情報をいろいろ集めてようやくできたものなんだぜ?というか、俺はクウガが何でこの世界に居るのかが不思議なんだよ。」
・・・・・・・そう、それも大きな疑問だ。この世界には、仮面ライダーは居ないはずなのに・・・・・・あ、良太郎さん達は別だよ?
「・・・はやてさん・・・・・・大至急、無限書庫に連絡して・・・・・・ユーノさんが調査に向かった遺跡の資料を送ってもらってください。」
すると、会議室のドアが開き・・・・・・あちこちに包帯を巻いたジンが現れる・・・・・・ちょっと待て、なんで怪我人が出歩いているのさっ!?
「うるせぇ。この状況で寝ている訳にも行かないだろ・・・」
「・・・ジン君、どういう事?なんでそこでユーノ君がでてくるのかな?」
「・・・・・・このデータをみてください。」
なのはの問いかけに、ジンが端末を操作してモニターに映像が映し出される。その映像は、ファイズと龍騎が必殺のライダーキックを放って・・・・・・!?これって、ラウンドシールド!?それに、この魔力光は・・・・・・
≪・・・・・・この魔力光、そして防御魔法のデータを私のデータと照合した結果・・・・・・ある人物が該当した。≫
「・・・・・・・・・・・・あのクウガに変身しているのは・・・・・・・・・・・・ほぼ間違いなく、ユーノさんです。」
「・・・・・・うそだ・・・・・・ユーノ君が、あんなことをするはずがないっ!!」
・・・・・・ジンの言葉に、なのはが声を荒げる・・・・・・なのは、気持ちは分かるけど・・・少し落ち着きなって。
「そうやでなのはちゃん・・・・・・しかし、あれがユーノ君だとして、疑問なのはなんで暴れてるのかやけど・・・・・・」
「・・・多分、クウガのベルトが関係しているはずです。あのグロンギ・・・・・・「ン・ガミオ・ゼダ」は、クウガに変身していたリントを救うと言っていました・・・・・・つまり、何らかの事故によって、ユーノさんがベルトを装着する事態になったと思われます。」
「・・・・・・はやて。アルフから、ユーノが調べていた遺跡の資料を大至急送ってもらったよ。今、モニターに移すね。」
そして、モニターにはユーノ先生が調べていた遺跡の資料が映し出されていく・・・・・・ん?
「フェイト、ちょっとストップ・・・12枚目の資料を開いてくれる?」
「うん・・・これだよね。」
フェイトの操作でモニターに映し出されるのは、奇妙な記号が並べられた石版・・・・・・どうやら特殊な文字で書かれているらしく、ユーノ先生が翻訳した文章と一緒に載せられていた。
かつて、この地にリントとグロンギあり。リントは知恵をもちて道具を作り、グロンギは自然の力をその身に宿す。
リントとグロンギ共に歩み、狼王『ガミオ』と戦士『クウガ』によって平和は護られん。
ある日『究極の闇』と共に、邪悪なる者この地に現る。
戦士と狼王、平和を護るため戦い邪悪なる者を打ち倒すが、『究極の闇』に囚われた戦士の聖なる泉は涸れはて、凄まじき『黒き雷の戦士』へ変わる。
狼王、友を救うために戦士と戦い、リントの巫女、聖なる泉を満たす為その涙を流す。
巫女の涙で聖なる泉再び満ち溢れ、狼王、『究極の闇』をその身に封じ込め深き眠りにつく。
戦士、その腰に秘めた『戦士の環』を狼王と共に封じ、友との誓いを胸に平和を築く。
「・・・・・・つまり、あのグロンギが甦ったのは・・・誰かが『究極の闇』の封印を解こうとしたから・・・ちゅう訳やな?」
「そして、ユーノ先生はそれに巻き込まれて・・・・・・クウガになった。その時に、『究極の闇』に呑まれて・・・・・・アルティメットフォームになったと。」
≪・・・・・・まぁ、『究極の闇』の封印を解こうとしたバカなんて容易に想像がつきますけどね・・・・・・≫
・・・・・・アルトの意見には賛成だね。この件には絶対・・・・・・大ショッカーが絡んでいる・・・・・・まったく、ふざけた真似してくれるよねホント。
・・・さて、やる事は決まった。
「・・・・・・はやて、リインを借りるよ。」
「・・・何するつもりや?」
「決まっているでしょ?魔王流の『お話』をするんだよ・・・・・・ユーノ先生相手にね。」
・・・・・・とりあえず、あのクウガをどうにかしないと話は始まらない・・・・・・スバルやジン達は動けないみたいだし、なにより・・・僕自身が、ユーノ先生を助けたい・・・そう思うから。
「・・・・・・まって恭文君・・・・・・私も・・・・・・一緒に行く。」
「・・・自分の言っている事分かってるのなのは?今のクウガはジン達が変身したアギトでも敵わなかったんだ・・・そんな所に、なのはを連れて行くわけにはいかない。」
「・・・・・・私だって・・・・・・私だってユーノ君を助けたいんだよ!!」
「そんな気持ちは痛いほど分かってるんだよっ!!でも、これでなのはが出撃して大怪我したらどうなるのさっ!?前に言ったよね、そうやって無理して無茶してもし墜とされたらどうするのかって・・・・・・本気でバカじゃないの!?」
そして、僕となのはの間に不穏な空気が漂う・・・・・・こんなことしている場合じゃないってのに!!
「・・・・・・いいじゃないですか、別に連れていったって。」
その時、僕に似た声が会議室に響く・・・・・・会議室のドアに視線を向けると、そこには・・・・・・シオンが居た。
つ〜か、もう完璧に六課になじんでるよね・・・・・・で、何しに来たのさ?
「そこに居る、怪我人の癖に病室を抜け出した大馬鹿を探しに来たのです・・・・・・さて。」
そんな事を言うと、シオンはジンに近づいて・・・・・・ジンの腹を思いっきり殴る。そして、ジンは床に沈み込んだ。
「・・・・・・・・・・・・待て待て待て待て待て待て待てぇぇぇぇぇぇっっっっっっっっ!?!?今、自分で怪我人って言った奴に何してんのさ!?」
「・・・・・・肋骨の隙間に手を入れて肺を殴打しただけですが何か?」
「なおの事悪いわっ!!お前はどこの斗○子さんだっ!?というか、下手したらホント死ぬからっ!?常識的に考えて!?ほら、ジンが床の上で苦しんでいるから!!」
「失礼な、私は世界のスタンダードですよ?そんなことはさておき・・・・・・なのはさん、お客さんですよ。」
そういってシオンが会議室のドアに視線を向けると・・・・・・そこには、ヴィヴィオが立っていた・・・待て、どこまで話を聞いていた?
「・・・・・・ユーノ先生がクウガになって、大暴れしている・・・ぐらいの事は聞きました。」
何だよそれ・・・・・・ほとんど全部じゃんっ!!
「・・・・・・なのはママ・・・・・・ユーノ君を、助けたいんだよね?」
ヴィヴィオの言葉に、なのははゆっくりと頷く・・・・・・そして、ヴィヴィオは笑顔を見せる。
「・・・だったら、私も手伝うよ。一緒に・・・ユーノ君を助けよう?」
「ヴィヴィオ・・・・・・ありがとう・・・・・・」
・・・・・・そう言うと、なのははヴィヴィオを抱きしめる・・・・・・あれ?なんかいい光景だ。ヒロさんとかはやてフェイトとか涙ぐんでるし・・・・・・
「・・・上手くいったようですね。それでは、私はこれで・・・・・・」
そんな事を呟き、シオンは人の首根っこを捕まえるとジンを引きずって会議室を出ていく・・・・・・ジン、ご愁傷様。しかし、シオンの奴無茶苦茶するよなぁ・・・どこがシスターだよ。
≪・・・あなたがそれを言いますか。それに、あの人はある意味あなたの「シスター(妹)」ですよ?≫
・・・・・・アルト、それを言わないでよ・・・・・・
[*前へ][次へ#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!