頂き物の小説
第2話 『受け取ったもの、その重み』
・・・それは、マリーちゃんに呼ばれた時の話。
私らが入ったところはデバイス用のラボで、マリーちゃんが必死に端末と向き合ってデバイス整備をしてた。
それは・・・見たところオーダーメイドのガントレット型。スバルちゃんのリボルバーナックルから手首のギアをなくした感じのデザインだけど・・・どっかで見たことのある癖があるね。
「よ、マリーちゃん。ご無沙汰」
「あぁ、ヒロさんにサリさん。ご無沙汰してます。すみません、突然お呼び立てしちゃって・・・メイルちゃんも元気にしてた?」
「うんっ!!」
「いいよいいよ。で、用件はなに?」
「はい。実は・・・」
マリーちゃんが視線を移す。そこに居たのは・・・一人の女の子。年のころはスバルちゃんくらいかな。
赤みがかった茶髪を肩まで伸ばしていて、瞳は青と赤のオッドアイ。体型は・・・まぁ、歳相応といったところだね。
とにかく、それだけで私は分かった。マリーちゃんが私らを呼んだのは、今は静かに近くの椅子に座っているあの子が原因だと。
「ねぇヒロ、あのお姉ちゃんとお話してきていい?」
「・・・そうだね、いっといで。」
「うんっ!!」
「・・・・・・それで、あの子がどうしたの?」
メイルがその女の子の所へ行くと、サリが小声で話す。今はメイルと話をしているから心配は無いが、あの子に聞かれないように慎重にだ。マリーちゃんも同じようにその疑問に答える。
「実は、昨日の夜に突然ヘイハチさんとゼフィウスさんがここにやってきて、あの子をある人達に預けて欲しいって言ってきたんです。
私が返事する前に、あそこのロッカーの中に入って、そのまま消えちゃって・・・」
そう言ってマリーちゃんが指を指したのは、本当に何の変哲も無いロッカー。あそこに入ったら、どこにもいけないはずなのに、入った本人は消えたらしい。
てゆうか・・・ヘイハチ先生とゼフィウスのジジィっ!? しかもロッカーの中って・・・あぁ、そっか、デンライナーのチケット使って、また乗り込んだんだっ! あのジジイ達は・・・!!
「ごめん、マリーちゃん。うちの師匠は・・・こう、アレで」
「もう慣れました。」
そう言って苦笑するマリーちゃんに真面目に頭を下げる。そうしているだけで、本当にごめんなさいと思う気持ちと、涙まで浮かんでくるから不思議だ。
・・・・・・ついでに説明しておくと、ゼフィウスという人は先生の古い友人で、今はフリーのデバイスマイスターをしている。
・・・昔は局で働いていたこともあったけど、先生が局を辞めるのと同時期に引退した先輩でもあるね。私とサリにとっちゃ先生の友人で強面の口うるさいジジィって印象しかないけど。
「で、突然あの子を押し付けられた可哀想なある人達ってのは誰?」
「・・・ヒロさんとサリさんです」
あのジジイ達はぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ! なんでいきなりこれっ!? つーか、子どもいきなり預けてくるっておかしいでしょうがっ!!
「ただ、二人に預けるのはあくまで一時的というか・・・ゼフィウスさんが言うには、二人にあの子をある人物に会わせてほしいそうなんです。」
「はぁ?なんとも面倒くさいね・・・・・・で、その合わせたい人物って誰よ?」
「・・・ジン・フレイホーク君・・・お二人は、知っていますよね?あの子、彼の『妹』らしいんです。」
その言葉に、私とサリも固まった。だって、それは知っている名前だったから。というか、今まさに六課にいるし。
それに・・・・・・ジン坊の家族って既に亡くなっているはずじゃっ!?
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第2話 『受け取ったもの、その重み』
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
時刻は午後の5時半。とにかく隊長陣は全員揃って、ヒロリスさんとサリエルさんの二人から事情を聞くことになった。どうしてこういう事態になったのかを。
場所は会議室。あの子は悪いとは思ったけどジン君に面倒を見てもらってる。とりあえず、あの子がジン君の知り合いっぽいから。
「で、俺らもそこで話を詳しく聞いて、さっき言ったような感じになったというわけ」
「簡単に言えばねぇ・・・・・・あの子、先生が拾ってきた子なのよ・・・クローン研究をしていた違法な研究所から。」
「なら、あの子は・・・人造魔導師!?」
フェイトちゃんが驚きの声を上げると、ヒロリスさんとサリエルさんがうなづいた。・・・二人の話を簡潔に言うと、こうだ。
あの子は人造魔導師。それも、フェイトちゃんやエリオと同じ・・・プロジェクトFの一環で生み出された。
そして、あの子の場合、その元になっているのは・・・ジン君の妹。
「あの、それは本当に間違いないんですか?」
「あぁ、マリーちゃんが念のために、自分で検査したそうだから間違いない。俺もデータ見せてもらったしな。・・・どうもヘイハチ先生がどっかの違法な研究施設ぶっ潰した時に、助け出した子らしいんだよ。
で、それが2年位前。自分はぶらぶらするから、信用の出来るところ・・・ゼフィウスって爺さんに預かってもらってたんだとよ。だけど・・・」
「だけど?」
「・・・あの子、微妙に記憶が残っているらしくてなぁ・・・とりあえず自分自身にケリをつける為にも、ジン坊に会いたいって駄々こねたらしい。」
・・・・・・なんというか・・・・・・強い子だね。
「・・・それにゼフィウスの爺さんとしては、アリスに預けるよりも私らに預けた方がいいって判断したらしいのよ。それが、私らに預けようと思った理由の一つ。」
「ちょ、ちょっと待ってよヒロ姉っ!?なんでそこで私が出てくるかなっ!?」
・・・・・・すると、一緒に話を聞いていたアリスさんが声を上げる。そりゃそうだよね、たまたまジン君に会いに来たかと思ったら、自分の話が出て来るんだもん。
「・・・・・・アリス、それマジで言ってる?」
「そもそもあの子が俺達に預けられたのはなぁ・・・お前が放浪生活を続けてて連絡が取れなかったってのがあるんだが?」
≪・・・・・・マスター、これはマイスターに怒られるね。≫
「あわわわわわ・・・・・・ヤバイ、非常にヤバイ・・・・・・」
・・・・・・え〜と、なんでアリスさんは頭を抱えてがたがたと震えているんですか?
「それはね、ゼフィウスの爺さんがアリスとジン坊の師匠でもあるフィーネの師匠で、バルゴラとレムレースの製作者だからなのよ。」
「ついでに言うと、技術屋のはずなのに先生とガチバトルできるほどの魔導師でもある。後、怒らせるとかなり怖い。」
≪・・・・・・姐御も、昔おっちゃんを怒らせた事あったよなぁ・・・・・・≫
「アメイジア、それを思い出させないで・・・あの時はマジで死ぬかと思ったわ。」
にゃ、にゃはは・・・・・・そんなにすごい人なんだ。というか、ヘイハチさんとガチバトルできるって・・・・・・
「・・・師匠の事も恐ろしいけど、なにより恐ろしいのは知らぬうちに『叔母さん』になってた事だわ。」
≪あれ、そっちが優先っ!?確かに、メイルについては私も驚きだけどっ!!≫
「あ〜、そういやそうなるね・・・・・・アレだ、メイルは私が育てるから。アンタに預けたらやっさん2号になりかねないし。」
「だからその扱いはひどくないかなっ!?」
「アンタの行動がまんま先生2号だからでしょうがっ!?事実、一時期はジン坊を引き連れて修行三昧だったじゃないのさっ!!」
「・・・・・・さすがに、家事全般を押し付けるのはどうかと思うぞ?むしろ、俺は文句も言わずに引き受けていたジン坊を褒めたい。そんなんだから彼氏ができないんだよ。」
「ぐぅぅぅぅぅっっっ!?」
≪グサグサ特大の矢が刺さってるね、マスターの自業自得だけど。≫
・・・・・・そ、そんな事が・・・・・・ってあれ?話がずれているような・・・・・・
「でも、アタシわかんねーことがあるんですけど、なんでフレイホークの妹がクローンの素体になっているんですか?」
「・・・私らもよくわかんないんだよそこは。ゼフィウスの爺さんはそこまでマリーちゃんに教えなかったらしいし・・・」
・・・・・・つまり、あの子だけじゃなくて・・・・・・ジン君にもなにか関係があるのかな?
「・・・・・・ともかく、あの子はしばらくここで預かる事になるんだけど・・・・・・八神部隊長」
「大丈夫ですよ。ここで放りだすのもなんか後味悪いし・・・・・・それに、家族は大事にせんと。」
「そういえば・・・あの子の名前、なんて言うんです?」
「あぁ、それはもちろんちゃんとある。ライラ。ライラ・フレイホーク。それがあの子の名前だ。」
こうして、日常は再び針を刻み始めた。
でも、これからどうなるのか・・・ちょっとだけ、不安も感じていたりする。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
・・・作戦を立てよう。まずは、そこからだ。
まず、なぎ君とフェイトさんが付き合うようになったのは確定。間違いないらしい。
それを考えるだけで、胸がチクンと痛む。痛んで・・・軋む。
それを頭を振り払って、思考を元に戻す。・・・大丈夫、今はお昼休み。多少変な空気を出しても問題ない。
道はいくつかある。簡単に言えば三つ。まず一つ。このまま諦める。・・・嫌。このままなんて、私は嫌だ。だって、抱えてるだけで、後悔と自分への怒りで沸騰しそうだもの。
二つ目。なぎ君をフェイトさんから奪う。・・・きっと、いけないこと。フェイトさんもなぎ君も傷つける。場合によっては、なぎ君に嫌われる。だめだよ、これは。
三つ目。奪うとか付き合うとかそういうのは抜きで、なぎ君に・・・告白する。好きだと、気持ちを伝える。・・・迷惑、かけるよね。でも、せめて・・・せめてこれだけはしたい。
私、このままじゃ前を向けないから。だから、ちゃんと・・・伝えたい。
私は、あなたの事、好きだったんだよって、伝えたい。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
・・・・・・さて、会話がまったく無い訳だが・・・・・・どうすりゃいいんだ?
≪マスター、それを私に聞くな。≫
とりあえず、俺は目の前の女の子・・・ライラに視線を向ける。
・・・・・・一応本人から説明は受けたが・・・・・・リリィのクローン、か・・・実感ねぇな。
そもそも、俺の思い出に残っているリリィは3歳の頃・・・俺が家族を失った事故までの印象しか残ってない。しかし・・・・・・
「なんですか、じろじろと見て。」
「・・・いや、こんな形で妹の成長した姿を見られるとは思ってなかったからさ・・・なんか、感慨深いものがあるんだよ。」
「・・・・・・あぁ、そういう事ですか。なんなら成長した証として、胸でも触ってみます?あ、さすがにエッチな事は駄目ですよ。倫理上問題が・・・」
「お前は俺を変態にしたいのかっ!?というか、どんなエロゲ展開だっ!?」
それに、そんな事妹が言ってきたら引くわっ!?俺はシスコンじゃないっ!!
「ほんのジョークです。それに、私のでなくても・・・彼女のティアナさんでしたっけ?2人っきりのときはしっかりとヤっているんでしょう?」
「というかなんでトークがエロい方向に走ってんだっ!?あと、ティアナとの事については黙秘するっ!!」
≪何を言う。ティアナが家に泊まりに来た時は私とクロスミラージュをスリープモードにするくせに・・・・・・ネコ耳+肉球付き手袋+鈴付き首輪+ニーソックス+尻尾付き黒レオタードのティアナは実に可愛らしかったな。≫
「それってスリープモードになってないよなっ!?そして、ティアナにそんな格好をさせた覚えはねぇっ!!」
≪当然だ、マスターにささやかなプレゼントをしようと思って、私のメモリーで画像をコラしたものだからな。もちろん、ティアナの可愛らしさを100%・・・いや、300%まで引き出して見せるぞっ!!≫
「いや、そんな所でがんばらなくていいからっ!?そして、ティアナは普通にしてても可愛いからっ!?」
「・・・・・・意外と面白いですね、なんだか癖になりそうです。」
・・・・・・頼む、その笑顔を止めてくれ。なんだかアレを思い出すから。
「・・・からかうのはこれくらいにして・・・私としては、立場上あなたの妹に当たりますが本来の妹である『リリィ・フレイホーク』とは違う存在として認めてほしいですね。」
「何言ってんだお前?そんなの当たり前だろ。リリィはリリィ、お前はお前、どっちも俺の妹だ。」
・・・・・・おい、なんだそのいかにも驚きましたって顔は。そんなに俺の言った事おかしいか?
「・・・い、いえ。あっさり妹扱いしてくれたのが驚きというか・・・」
「いや、クローンなんていっても・・・実は俺の妹は双子で、片方は生き別れになってましたって考えればすむ事だ。」
≪マスター、その考えは非常に特殊例だという事に気が付いているのか?普通はクローンをその人物と同一視するぞ。≫
「・・・・・・バルゴラ、俺が最後に覚えているリリィは3歳の頃だぜ?同一視しようにも幼い妹の印象しかないから、今のライラをリリィとして見る方が無理がある。それに・・・・・・」
≪「それに?」≫
「家族が増えるのって、やっぱ嬉しいだろ?誰がなんと言おうと・・・・・・ライラは俺の妹だ。」
そして笑いながら、俺はライラの頭を撫でる・・・・・・先生には感謝してるけど、心のどこかで俺は1人なんだって思ってた。
けど・・・・・・そうじゃなかったってのは、なんとなくだけど・・・・・・心が温かくなる。
「・・・・・・・・・・・・・・・お兄ちゃぁぁぁぁぁぁぁっっっっっっっっんっっっっ!!」
「ぐはぁっ!?」
・・・・・・アットホームな感じの雰囲気を、メイルが突撃タックルでぶち壊す。
「お兄ちゃん、メイルだってお兄ちゃんの妹なんだからねっ!!」
「えぇい、分かったから涙目+大声で叫ぶなぁっ!!」
「・・・まったく、何やってるのメイル。ほら、ジンが困ってるから離れなさいって。」
「・・・・・・うん。」
そして、最愛の彼女が微笑ましそうな笑顔でメイルを優しく引き剥がす・・・・・・お前ら、いつから話を聞いてた?
「・・・・・・少なくとも、スリープモード云々の所からは聞いていたわ。それと、バルゴラに『お話』があるから後で貸してね。」
≪・・・ちょっと待てティアナ。私はマスターを喜ばせようとしてだな・・・≫
「うるさい。アンタに言われなくても自分でジンを喜ばせる事ぐらいできるわよ。」
・・・・・・ハ、ハハ・・・・・・お手柔らかにな?
「・・・メイル、心配はないですよ?あなたが兄さんの妹なら、私にとっても妹ですから。」
「ホントッ!?」
「えぇ。と言う訳で、改めてよろしくお願いしますね・・・それにティアナ義姉さんも。」
「・・・ちょっと待ちなさい?なんか字が違う気がするんだけど・・・」
「いえいえ、ティアナ義姉さんには兄さんとゴールインしてほしいだけですから。」
「え、ティアお姉ちゃんお兄ちゃんと結婚するのっ!!」
「ちょ、ちょっとっ!!話が飛躍しすぎてるわよっ!?」
・・・・・・ティアナがそこまで赤くなるの初めてみたな。
「・・・・・・そうだ、先ほどバルゴラが言っていたネコ耳・・・・・・3人でつけませんか?そうしたら、兄さんもさらにメロメロになるかと・・・・・・」
「・・・ネコ耳?」
「な、なななななななななななぁぁぁぁぁぁっっっっっっっっっ!?」
「ティア〜、どうかしたの?」
「さっきの声廊下にまで聞こえていましたよ?」
「・・・ジンさんが何かしたんですか?」
・・・・・・うん、何だこのカオス展開は。あとキャロ、なんで俺が原因みたいな雰囲気にしてんだよ?
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
・・・現在、地獄・・・じゃなかった、時刻は午後10時。なんか雪など降り始めた。
だけど、僕は・・・僕達は動かない。だって、動けないから。
理由は一つ。発売開始まで、あと2時間もある。
「うぅ・・・寒いわぁ。てゆうか、雪振るとか言うてへんかったのに」
「・・・予約、してるのに」
「何言うてんの。アンタ来んかったら、限定フィギュアコンプリート出来んかも知れんやん」
「物がかぶるという可能性もあるけどね」
「人間、チャレンジすることに意義があるんや。そないな無粋な事言うたらあかんよ」
ここは、ミッドの繁華街。その中の行列に僕とはやてはコートにマフラー・・・フェイトからもらった紺色の手袋もつけつつ居た。
仕事が終わってから、僕とはやては速攻でここへ来た。だけど・・・前、沢山居るなぁ。
これ、もしかして買えないとかそういう話じゃ。
「大丈夫、数は仰山用意してるらしいから、なんとかなるで。・・・で、自分は何でプレイする?」
「・・・やっぱ剣士かな。はやては?」
「あー、うちはまだ迷っとるんよ。今度はヒーラーやろうかなぁ。なんやかんやでPT誘われるやん。
でも、単独行動とかソロでのレベル上げとかを考えたら剣士の方がなぁ。ゲームの中まで後衛やりとうないし」
「あー、それはちょっと分かる。サリさんも言ってたから」
この行列は、2月14日の午前0時ぴったりに発売される『ウィザードハンター3』を買うための行列である。
なお、ウィザードハンターとは、自分だけの魔導師キャラを作り、それを使って冒険していくというオンラインRPGである。ミッドでは数年前から大人気で、僕がヒロさんとサリさんと会ったのも、このゲームの攻略サイトのチャットがきっかけだったりする。
今までは引き継ぎだったのだけど、今回から大量の新要素を追加したため、完全な新規となった。そのため、新キャラどうしようかと言う話で盛り上がるのは必然だ。
なお、僕はしっかり予約して明日の夜には届くことになっているのに・・・はやてが付属の限定フィギュア(全2種)が欲しいから保存用に買っておこうと、無理矢理連れ出されたのだ。
「ヤスフミ・・・はやて、もう帰ろうよ。明日も仕事があるし」
・・・訂正。僕ともう一人居た。首に・・・僕がプレゼントしたクリーム色のマフラーを巻きながら、寒さのせいで少し震えているフェイトが。
フェイトは、特に声はかけてないけど無理矢理ついてきた。なお、理由はある。
「いやいや、ゲームまだ買ってへんのに帰ったり出来んよ。
うち、ここ最近のゴタゴタで予約するのすっかり忘れてもうてたし。てゆうか、フェイトちゃんこそもう帰ってえぇから」
「そんなわけにはいかないよっ! だ、だって・・・夜にはやてとヤスフミが二人っきりなんて・・・だめっ!!」
そう、これです。なんか疑われているのだ。僕もさすがに無いと言った・・・いや、言おうとしたけどやめた。
なんか反撃が来そうだと本能が言っていたので、やめたのだ。
「しゃあないな。なら・・・」
そのまま、フェイトの手を取る。フェイトがビックリした顔をするけど、気にしない。
「ヤス・・・フミ?」
「こうすれば、安心出来る?」
「う、うん。あの・・・ありがと」
別にいい。フェイトと手を繋ぐの、嬉しいし。でも・・・やっぱ寒いなぁ。うぅ、早く買いたい。
「いや、自分ら、うちの目の前でいちゃつくっておかしいやろ」
「なら、はやても手を繋ぐ? ただし、私と」
「そこ念押しせんでえぇから。・・・はぁ、まぁえぇわ。全く、フェイトちゃんおったら話出来んと思うてたけど、もうえぇわ」
・・・お話? えっと、なんだろ。
「リインのことや。ほら、あの子アンタの所行きたがってたやろ」
あぁ、なるほど。そのためにこれと。なのにフェイトが乱入してきたと。
「・・・うん、そうだね」
「いやな、あの子の話はもう聞いとるんやけど、よう考えたらアンタの話を聞いてないと思ってなぁ。・・・アンタは、リインのことどうするつもりや?」
一応、考えてはいた。リインが側に・・・って考えて。
「僕・・・は・・・」
どうしよう。それはきっと・・・とても大変で、覚悟が必要で、それで、それで・・・。
その時、手をギュッと握られた。・・・フェイトだった。
そのまま、フェイトは優しく微笑んでくれる。大丈夫だからと、きっと大丈夫だからと、瞳で言ってくれてる。
それに少し・・・ううん、沢山勇気をもらって、僕は、口を開いた。
「リインに、側に・・・」
リインに、側に・・・そうだ、側に・・・。
「居て欲しい」
リインは、やっぱり特別で、大事なパートナーで・・・。
側に居て欲しい。側に居るだけで、強くなれるから。心と心が繋がっていることで、安心出来るから。
「・・・そっか」
「ただ」
「なんや、続きがあるんかい。・・・ただ、なんや?」
「それがリインにとっていい事なのかどうか、考えて・・・迷ってる」
空を見る。降りしきる雪は、まだ止まない。燦々と降り、明日には積もるのではと思ってしまう。
・・・あ、帰り道、足を滑らせないように気をつけよう。
「それはまたなんでや。あの子はアンタの側に居たい。アンタはあの子に側に居て欲しい。それなら、両思いやん」
「でも、リインはまた8歳だ。まだ・・・子どもなんだ」
大きくなって、これからどうなるか分からない。それに、僕の側に居るのは、多分今みたいな局員としての扱いは厳しいかも知れない。
だって、僕が局員じゃないんだから。はやてやシグナムさんみたいに出世していて、偉いわけでもなんでもない。
「今の事じゃない。先の事を考えるの。僕と一緒に居て、リインが僕と一緒に居る事以外でやりたいことや通したいこと、出来るのかなって。もしかしたら、僕と居るのは悪手打ちになるんじゃないのかって、考える。
・・・今更ながら、みんなが僕に局員になれ。将来的にやりたいことが見つかった時、すぐにそこに向かえるように、まずちゃんとした居場所を作ろうって言った気持ち、理解出来たよ」
「ようするに、リインの先の事まで含めて、あの子を受け入れる覚悟が・・・まだ出来ん言うことか」
「そうだね。・・・もう少し、本当にもう少しだけリインとちゃんと話してみたいんだ。そうじゃないと、決められない」
修行に向かう前は、先の事はともかく今の気持ちだけでいいかなとか思ってた。・・・イマジンの一件で、リインとアルト、三人で一つの鉄だって再認識したから。
だけど、雫や雫に接する忍さんや恭也さんを見ていて、それだけでいいのかなと、考えた。まだ小さくて、純粋なあの子の未来のことまで、ちゃんと責任を持てるのかなと。
「先の事なんてどうなるかわからへんやろ」
「でも、その事も含めて持ってく覚悟は必要・・・じゃないかな」
「・・・そうやな。うちも、リイン生み出す時に同じ事考えた。ほら、あの子・・・先代リインフォースの事があったからな」
・・・お姉さんのことか。今も、見てくれているのかな。僕達の事。
「うちな、結構悩んだんよ。もしかして、うちのやろうとしてることは間違ってるんやないかって。ただ・・・先代の代わりが欲しくてあの子を生み出そうとしてるんやないかって、何度も・・・何度もや。それで夜眠れんくなったことも、一度や二度やない」
「はやて、そうだったの? でも、私達にはなんにも・・・」
「ごめんな、フェイトちゃん。人に知られたら・・・なんや、余計にごちゃごちゃしてまうようで、言えんかったんや」
どうやら、この一人で抱え込む癖は昔かららしい。ちょっとだけ心の中で苦笑した。
「まぁ、結局は生み出した。あの子は代わりやのうて、うちの末っ子なんや。末っ子やから、目一杯可愛がって、幸せにしたろうってな。・・・せやけど、一度後悔した。その選択は間違ってたんやないかって思うことがあった。
うちはあの子を幸せになんて出来んかった。あの子の心には、一生消えない重石がのっかかったんやから・・・ってな」
「僕の・・・ことだね」
「そうや」
僕とリインが出会うキッカケは、捜査活動中にリインが次元のひずみに落ちた事。それでまず行方不明。
見つかったら見つかったで、リインは狙われていて、それを守るために・・・僕が、人を殺して、リインに背負わせた。自分のために他人に命を奪わせたという事実を。
はやてからしたら、たまったもんじゃなかったと思う。不幸せフラグが立ちまくりだもの。
「まぁ、要するに何が言いたいかと言うとや。選択なんちゅうもんは・・・自分で正しくしていくもんちゃうんかな? 現に、アンタとリイン、アルトアイゼンはそうやってきたやないか。そして、これからもそうする」
「うん」
「それにな、あの子はアンタに出会えてめっちゃ成長した。小さい風は、自分の全部で一人の人間の全部を肯定出来る大きくて優しい・・・祝福の風になったんやから。恭文、うちがアンタにリインを託すのにつける条件は一つだけや。
あの子の幸せ・・・それが、アンタの笑顔と今を守ることっちゅう事を、絶対に忘れんようにして欲しい。それだけや。あとはまぁ、なんとかなるやろ。今小さい言う事は、これから大きくなるまでまだ余裕ある言うことやから」
はやてが、いつものタヌキ顔とは違う真剣な顔で言ってきた。言ってきたので・・・頷いた。
「なんにしても、やっぱりリインとは、もう一回だけ話すよ。でも、それは最終確認かな。僕の気持ちは・・・固まったから」
「そっか」
「はやて」
・・・ちゃんと、言っておこう。きっと必要だから。
「ありがと」
「えぇよ。・・・で、ちなみにこれで三人体制が決定したわけやけど」
シリアスの長持ちしない女である。どうしてニヤニヤした表情になるのかが、僕には理解出来ない。
「いちおう、エロはあの子の身体でも出来るから、問題はないで? ただなぁ、さすがに今はやめて欲しいんよ。年齢が年齢やし」
「はやて、私達本気で怒るよ? いくらなんでも今の子どもなリインを交えてそんなこと出来るわけないじゃない」
「い、嫌やわぁ、フェイトちゃん。うちは可能性の話をしとるだけよ? お願いやからその執務官モードな目はやめて欲しいわぁ」
仮にも家長がそんな話をするなよ。僕は色々とビックリなんですけど?
「ただ、結婚式にはあの子にもウェディングドレスは着せてあげて欲しいんよ。やっぱりそこで着られへんと気にするやろうし」
「だからどうしてそんな話っ!? 少し落ち着けー!!」
「・・・でも、そうした方がいいよね。『ヤスフミ×私+リイン』なわけだから」
「フェイトも納得するなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
あぁ・・・やばいっ! マジでやばいっ!! もしかして選択ミスったっ!? なんか一夫多妻制な匂いがプンプンだしー!!
「そんなん当たり前やろ。あの子は色々言うやろうけど、基本的にはアンタは二人の女を娶るのと同じやで? 頑張らんとあかんよ」
「そうだよ、ヤスフミ。・・・私は大丈夫だよ? リインとヤスフミの絆は認めてるし、リインともそうなったら一緒に頑張ろうねって話もしてるし」
「なんか僕の知らない間に外堀がしっかり埋められてるっ!?」
「もう一度言うけど、そんなん当たり前やろ。・・・あ、そやそや。二人に話が有ったんや」
・・・なに? 改まって。
まさか、結婚式がダメになったとか。
「そんなわけあるかいっ! うちの結婚式は予定通り3月3日に行うんやっ!!」
なんだろう、結婚式までもう3週間とか切ってるのが怖いんですけど。本当に準備出来るの?
「問題あらへん。・・・ほら、戦技披露会の話、してたやん。丁度一ヶ月くらい前に」
「戦技披露会・・・あぁ、3月にやるって言ってたよね」
「そやそや」
なお、話が読めない人は、ファーストシーズン28話のおまけをご覧ください。
「で、日にちが大方決まったから、うちの方にも連絡が来たんよ。三月の中旬やな。あと、今回はなんや嘱託の人間も呼ぶとかって言うてるんよ」
「嘱託の人間? え、でも戦技披露会って・・・」
確か、基本的にはなのはみたいな教導隊所属・・・とか、シグナムさんみたいな武装隊所属・・・とか、武装局員やっている人間限定なんじゃ。
つまり、最低限の条件として正式な局員というのがついてくるのと同じ。非常勤である嘱託を呼ぶとは思えないんだけど。
「ヤスフミの言う通りだよ。なのに、どうして?」
「ようするに、嘱託も局の一員・・・戦力の一部として公的に扱う事で、管理局の戦力の厚さを見せ付けようっちゅうことやろうな。なんにしても、上の連中は威信回復になりふり構っていられんっちゅうことやろ」
「なんちゅうはた迷惑な・・・」
てーか、そんなのに担ぎ出される嘱託が可哀想だよ。局の都合なんて、関係ないってのに。
「でな・・・まず、フェイトちゃん。悪いんやけど出場して欲しいんよ」
「わ・・・私っ!? え、どうしてっ!!」
「何言うてんの。アンタも充分出場資格あるやろ。エース級で、あのジェイル・スカリエッティを捕縛した人間なんやから」
「それは、そうだけど・・・あの一件に関しては、色々反省があって・・・」
フェイトが戦技披露会に出場・・・あ、なんかいいかも。というか、普通に名誉なことじゃないのさ。
「フェイト、いいじゃん。出てみなよ。きっといい経験になるだろうしさ」
「ヤスフミ・・・」
「こらこら、何普通に言うてんの。アンタもそこに関係しとるんやから」
・・・へ?
「ドウイウコトデショウカ」
「なんでいきなり片言になるんや・・・。えっとな、恭文にも打診があったんよ」
・・・・・・へ?
「はやて、あの、それって・・・まさかっ!!」
「そうや。・・・あのヘイハチ・トウゴウのデバイスを受け継ぐ愛弟子で、数々の現場でその不利な状況を相棒と持てる技能で覆し」
驚く僕とフェイトを余所に、はやての言葉は続く。
「JS事件では次元世界でトップ20に入るであろう凶悪犯罪者だったフォン・レイメイの暴走を止め、今年の頭にはあの『エース・オブ・エース』の高町なのは一等空尉を5分弱で退けたちゅうところを、高く評価したようなんよ。
フェイトちゃん、それに恭文。今日の朝・・・局の方から正式に、アンタ達二人に今回の戦技披露会・エースクラスへの出場依頼が来た」
僕とフェイトは、顔見合わせて・・・当然のように、叫んだ。
「「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!?」」
二月の中旬、降りしきる雪の中。僕達は叫んだ。
だって・・・ありえないもの。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
・・・二月の中旬、降りしきる雪の中。私は、震えていた。
何回かインターホンを押すけど、出ない。通信・・・繋がらない。電源、切ってるのかな。
こんな遅い時間に、どこに出かけたんだろ。結構待ってるけど、帰ってくる気配が無い。
ぶつけたかった気持ちも、覚悟も、宙ぶらりんのまま、私の心の中で揺れている。ぶつけどころを失って、どうすればいいのかと泣きたくなる。・・・理不尽だと分かっていても、泣きたくなる。
「・・・なぎ君、どこに・・・居るの?」
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
・・・さて、いろいろあった13日も終わり・・・今日は2月14日、バレンタインである。
一応説明しておくと、女の子・・・・・・というか、大好きな相手や、日ごろお世話になっている人間にチョコなどのプレゼントを渡して、その感謝や気持ちを伝える日。それがバレンタインだ。
この行事は、管理局の認定で言うと第97管理外世界・地球発祥ではあるが、ミッドでも結構有名なイベントだ。この辺りは、ミッドに日本文化が多く取り入れられている事が関係していたりする(俺はヒロさんサリさん経由で知った)。
しかし、今からの話にそれはまったく関係がないのだ。
「お、ジンじゃねぇか。どうした?」
「あ、ヴァイスさん・・・いや、なんかラボに呼ばれたんですよ。バルゴラについて話があるっていうんで・・・」
俺が六課のラボに向かっている途中で、休憩をしているヴァイスさんに会う。
「・・・そういや、お前に忠告しといてやる。今日はなるべく格納庫に近寄らない方がいいぞ。」
「別にそれほど用があるって訳でもないですけど・・・なんでですか?」
「今日が何の日か知らねぇとは言わせねぇぞ?・・・・・・お前、ただでさえ人気の高いティアナを落としたって事で整備員達から睨まれてるからな、不用意に近づくと集団でぼこられかねんぞ。」
「・・・あぁ、なるほど。わざわざご忠告ありがとうございます。」
「おぅ・・・そんじゃ、俺はそろそろ戻るわ。」
・・・そういうと、ヴァイスさんは手を振りながら去っていく・・・珍しくかっこよく決めたなあの人。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「ジン君、待ってたよ。」
「遅かったですね兄さん。」
・・・・・・シャーリーさん、なんでライラまでいるんですか?いや、昨日ライラはここに泊まっていったんだけど。
「いやぁそれがねぇ・・・ジン君をここに呼んだのって、ライラちゃんが頼んだからなんだ。」
「ライラが?」
「えぇ・・・兄さんは『グローリーシステム』を使用しているそうですね?」
「あぁ、それがどうかしたか?」
「どうかしたかじゃありませんっ!!あのシステムの事をお師匠様から話を聞いたときは驚きましたよっ!?しかも、それを実の兄が使っているなんて!!」
≪・・・ひょっとして、試験の映像を見たのか?しかも、マイスターに弟子入りを?≫
「その質問には両方YESです。お師匠様も、まさか破棄されたはずのシステムが残っているなんて思わなかったそうです。」
・・・・・・まぁ、燃費が悪いからあんまり使いたくないんだけどな。通常使用で30分も持たないし。
「・・・とにかく、お師匠様から兄さんが今使っているグローリーシステムのデータを解析し、一度封印状態にしておけと言われましたので・・・バルゴラを預からせてもらいます。」
「・・・・・・ちょ、ちょっと待て。なんで封印まで!?」
≪私も賛成できないな。マスターはグローリーシステムを一応使いこなせている。封印させる必要はないはずだ。≫
俺とバルゴラの反論に、ライラはため息をつくと指を立てて驚きの言葉を口にした。
「・・・だって、追加デバイスがない状態でシステムだけあっても意味はないでしょう?」
「・・・え?」
「お師匠様からの伝言があります。『まさか、フィーネ以外にアレを使える奴がいるとは思わなかった。気に入ったからお前さんに合わせて改良してやる』との事です。」
・・・・・・・・・・・・なんか、予想の斜め上を突っ走っていくなぁ・・・・・・
(第3話へ続く)
おまけ:二人だけの内緒の会話
「あ〜、ティアナちゃんちょっといいかな?」
「は、はい・・・・・・どうかしました?」
・・・バルゴラときっちり『お話』をした後、私はライラとメイルをヒロリスさんの部屋に送り届けた・・・さすがに妹とはいえ、男1人で生活しているジンの家に連れて行く訳にはいかないしね・・・
すると、談話室に居たアリスさんに呼ばれた・・・いったいなんだろう?
「まぁまぁいいから、こっちに座ってね。あ、お茶でも飲む?」
「は、はぁ・・・」
・・・そして、なんかうやむやの内に席に座らされて一緒にお茶を飲む・・・・・・あ、おいしい。
そして、しばらく談話室を沈黙がつつむ・・・・・・あれ、なんか話があったんじゃ・・・・・・
「・・・ありがとね、あの子の支えになってくれて。」
ふと、アリスさんがそんな事を告げる。どこか、寂しそうな笑顔と共に。
「・・・いえ、むしろ私の方がジンを支えにしているというか・・・・・・告白は、私からでしたし。」
まぁ、私の壮大な自爆だったんだけど。あぁ、思い出すだけでも恥ずかしいわ・・・・・・
「うぅん、ティアナちゃんは確かにあの子の支えになってるよ・・・あの子の笑顔を見たの、久しぶりだったし。」
・・・それは、どういう事なんだろう?
≪・・・フィーネちゃんが亡くなった後、マスターはジンを連れていろいろな所にいったんだ。少しでも、気晴らしになるかと思って。≫
「でも、あの子は『笑う事』はあっても、本当の笑顔を見せなかったんだ・・・・・・なんだかんだで今は『姉貴分』だけど、私は・・・あの子の『家族』にはなれなかった。」
「そんな事はないんじゃ・・・」
≪・・・あの頃のジンにとって、本当に『家族』っていえる人は・・・本来の家族と、フィーネちゃんだけだったんだよ。いくらマスターがフィーネちゃんの妹とはいえ、時々顔を見せるくらいだったから・・・多分、『家族』というより、『知り合いのお姉さん』みたいな位置づけだったんだと思う。≫
「いや、本当にひどかったのよあの頃は。外では明るく振舞っていたけど姉貴の遺品を抱えて眠らずに夜を過ごしていたり・・・・・・見てるこっちがつらくなるほど。だから、無理やり連れまわったんだけどね。」
・・・・・・そんな姿、今のアイツからは想像できない・・・・・・私、まだまだアイツの事を全部知った訳じゃなかったんだ・・・・・・
「・・・まぁ、今は妹キャラに本当の妹もいるけど・・・やっぱり、ティアナちゃんや蒼凪君の影響も大きいと思うな。」
≪ジンが蒼凪君と知り合った時は、よく蒼凪君の事を話していたし・・・・・・ジンがティアナちゃんの事を本当に大切に思っている事は、見てて直ぐ分かったよ。≫
「・・・こんな事私が言うのもおかしいかもしれないけど・・・・・・あの子のこと、よろしくね?」
・・・・・・そういうアリスさんとレムレースさんに、私は頷く事で答えた。
「・・・しっかし、ティアナちゃんって見れば見るほどツンデレ・オブ・ツンデレだよね・・・あの子はどうやって落としたのかしら?」
「アリスさんまでそんな事言うんですかっ!?私はツンデレじゃありませんよっ!!」
≪・・・・・・ティアナちゃん、気にしなくていいから。でもさ、ティアナちゃんってツンデレ以外にもクーデレとか当てはまりそうだよね?ジンにはデレデレなんだろうけど。≫
「あ、レムレースもそう思う?・・・さらに考えると、ジンのいる状況ってエロゲっぽいよね。」
≪それは蒼凪君にもいえると思うんだけど・・・・・・見た限りじゃ蒼凪君、無自覚にフラグを乱立させる達人っぽくない?≫
「その点、ジンはなぜか妹キャラは増えるけどフラグ乱立はしなさそうだから・・・・・・よかったねティアナちゃん。」
「だから、なんでそんな話になるんですかぁぁぁぁぁぁっっっっっっ!?!?」
・・・いや、アイツの場合は否定できないけどっ!!フェイトさん一筋とか言ってる割にはいろいろフラグっぽいのは感じるけどっ!!
・・・・・・でも、ジンはそんな事ないのか・・・・・・ちょっと安心かな?
(本当に続く)
あとがき
ティアナ「・・・という訳で、今回のお話はいかがだったでしょうか?今回のお相手は私、ティアナ・ランスターと・・・」
メイル「皆こんにちはっ!!メイル・スノウレイドですっ!!」
ライラ「読者の皆様にははじめまして。ライラ・フレイホークでお届けします。」
ティアナ「・・・で、ジンとバルゴラはどうしたのよ?いつもならあの2人がメインでしょ?」
ライラ「え〜と・・・気分転換だそうです。」
メイル「お兄ちゃん達も、たまには休まないとねっ!!」
ティアナ「気分転換ねぇ・・・さて、今回はとまとSecond season第6話をベースにしつつライラについての説明・・・といったところかしら?」
ライラ「はい。そして、私に兄と姉妹ができた重要な話でもあります。」
メイル「メイルもお姉ちゃんが増えた〜!!」
ティアナ「そうね・・・でも、なんで私の呼び方が『義姉さん』なのかしら?」
ライラ「当然です。既に外典では兄さんと義姉さんが・・・・・・にゃんにゃんする事は決定しているんです。」
????「その通りよおばあちゃんっ!!じゃなきゃ、私が生まれないんだからっ!!」
(どこからか某流星の弾丸を受け継いだ娘の叫びが聞こえる・・・・・・当然、ツンデレ・オブ・ツンデレはスルー。)
ティアナ「・・・ってちょっと待て作者ぁっ!?誰がツンデレ・オブ・ツンデレよっ!!」
メイル「ティアお姉ちゃん落ち着いて。それに大丈夫っ!!お兄ちゃんはティアお姉ちゃんにメロメロだからっ!!」
ティアナ「アンタは何言ってるのよっ!?恥ずかしいからやめなさいっ!!」
ライラ「・・・それでは、ここで私の説明です。」
名前:ライラ・フレイホーク
年齢:14歳(見た目上)
性別:女
身長:157cm
体重:・・・女性に体重を聞くなんて、デリカシーがないんですね。
体型:少々やせ気味
髪の色:赤みがかった茶髪
髪型:肩まで伸ばしたセミロング(某428のカナンのような感じ)、アホ毛が1本あり
瞳の色:右が青、左が赤
顔立ち:将来はクールビューティーと呼ばれそうな感じ(少し幼いシグナムをイメージ)
職業:デバイスマイスター見習い
魔導師ランク:不明
声のイメージ:加藤○美里(らき○たのか○み、○物語の八九○真宵)
性格:クールな一面を見せるが、根はかなりのいたずらっ子。自分とオリジナル(リリィ)が違う事は分かっていたが、ジンに妹として受け入れられたので本質的に持っていたブラコン要素が目覚めつつある。
同じ妹分であるメイルの事は妹としてみており、ティアナの事は義姉として敬って(若干からかっている部分もあるが、本当になったらうれしいと思っている)いる。
ティアナ「・・・・・・ねぇ、性格の欄に書かれている事・・・・・・マジ?」
ライラ「大マジです。」
メイル「私としても、お兄ちゃんとティアお姉ちゃんが結婚するのはOKだなぁ♪」
ティファ「そうよ。おじいちゃんとおばあちゃんのラブラブっぷりをもっと見せてほしいわ。」
ティアナ「ラブラブっぷりって何・・・・・・てぇっ、なんでアンタがここにいるのよっ!?」
ティファ「え?作者の気分で。」
(そんな事をのたまう孫娘に、頭を抱えるツンデレ・オブ・ツンデレ・・・・・・)
ティアナ「だから、私はツンデレじゃないって言ってるでしょうがああぁぁぁぁぁぁっっっっ!?!?」
ライラ「・・・それでは皆さん、次回も楽しみにしてくださいね?」
メイル「じゃあね〜♪」
ティアナ「あんたらも少しはツッコめっ!?」
(というわけで、ぐだぐだになりつつ終了。
本日のED:supercell『君の知らない物語』)
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