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頂き物の小説
第1話 「始まりはいつも突然 って、ほんとに突然だな by氷室楓」



       


とある魔導師と機動六課とガイアセイバーズの日常


第1話 「始まりはいつも突然 って、ほんとに突然だな by氷室楓」



Side 蒼凪恭文





皆さん、こんにちは。

いきなりですが、自己紹介します。



僕の名前は蒼凪恭文、18歳。

管理局で働くフリーの魔導師でランクは空戦魔導師A+ですよ。


彼女はいません、8年間片思いしてま〜す♪



《マスター、いきなり妙な独り言を言って、どうしたんですか?》

「いや、いろいろとあるんだよ。 そういえば、六課にはフェイト達だけじゃなくて、良太郎さんや楓達もいるんだよね?」



そう、JS事件に絡んでいたトライバル・エンドとかいう奴を追って、良太郎さん達、ガイアセイバーズの皆さんがこの世界に来たらしい。



「リンディさんはトライバル・エンド達からフェイト達を守るために僕を六課に出向させたんだよね、やっぱり」

《でしょうね。 そうでなければ、わざわざ私達を機動六課に行かせようなんて考えないでしょうから》


リンディさんの話ではスカリエッティに協力していたトライバル・エンドは数々の怪物達を配下にしているらしい。

そこに、スカリエッティの技術が加われば・・・

考えただけで恐ろしくなるね。



《ガイアセイバーズの皆さんもいますし、そんなに不安がることはないと思いますよ》

「だよね。 じゃあ、機動六課に向かいますか」



僕達はのんびり歩きながら六課に向かうことにした。





Side スバル・ナカジマ





なのはさん達から新しい部隊員の人が来ることを聞いたあたし達はアースラの食堂でその人達について話しながらお昼ご飯を食べてる最中だったりします。



「それにしても、なのはさんの友人で優秀なフリーの魔導師って言ってたけど、この時期に来るなんて変よね」

「そうかなぁ・・・ でも、あたしは早く会ってみたいなぁ!」


あたしが少し興奮気味に話してると楓兄が食堂に来てた。



「楓兄、どうしたの?」

「いや、くつろぎに来たんだが・・・」



そう言うと、楓兄は手に持っていたコップをテーブルの上に置いた。



「そういえば、楓兄は恭文って人のこと、知ってる?」

「あぁ、知ってるぜ。 何度か仕事で会ってるしな」

《そうだなぁ。 あいつはいろいろと面白い奴だぜ。 それだけは保障しとくぜ》



楓兄とトライデントもギン姉やなのはさんと同じようなこと言ってるや。

ほんとに早く会いたいよ!!



Side 八神はやて





ついに、六課の隊舎が復旧した。

せやけど、まだ完治しとらん人もおるし、ガイアセイバーズの皆さんにもかなり無理させてもうたからなぁ・・・



「だから、蒼凪を呼んだんだろう?」

「せやね・・・ けど、天道くんかていろんな人を呼んどるやん」



うちの言葉に天道くんはクスリと笑っていた。

その表情を見て、うちもつられて笑いそうになってもた。



「そういえば、天道くん。 天道くんが呼んだ人らは全員来てるん?」

「まだだ。 梅盛源太が遅れているらしい」



梅盛源太さん、シンケンジャー6人目の侍で普段はゴールド寿司というお寿司の屋台を経営している。

まぁ、お寿司の味はともかく、自分で折神を作ったり、専用の変身ツールであるスシチェンジャーとスシディスクを開発したりできる職人気質のある人でもあるんやけどな・・・



「とりあえず、フェイトに迎えに行かせたから復旧後初の朝礼には間に合うだろう」

「せやね。 それはそうと、トライバル・エンドの次の動きは読めそうなん?」

「いや、まだだ。 どうせ、奴のことだ。 すぐにでも、何かを仕掛けてくるだろうさ」



天道くんがそう言うと安心できるから不思議やわ・・・

そんなこんなで、うちと天道くんの秘密の話しは続いていく。




Side 梅盛源太





ここがミッドチルダって場所かぁ・・・

丈ちゃんが言ってた通り、でっかい街だなぁ・・・


「って、俺・・・ 思いっきり迷子になっちまった!!」

「どうしたんですか?」



迷って困っていた俺の前に小さい子供がやってきた。

って、何か睨んでるし!?


「誰がチビでミジンコだって・・・」

「誰もそこまでは言ってねぇだろ。 もしかして、お前が蒼凪恭文か?」



俺がそう言うと目の前にいる恭文は何で自分の名前を知ってるんだって言いたそうな顔をしやがった。



「いや、少し前に丈ちゃんから異世界にも面白い侍がいるもんだって聞いてからよ」

「丈ちゃんって志葉丈瑠さんのことですか?」

「当ったりめぇだろ! 丈ちゃんは丈ちゃんなんだよ」



俺の言葉に恭文は頷いている。

その時、グ〜って腹の虫が鳴いたのが聞こえた。



「恭文、おめぇ、腹減ってんのか?」

「どうやら、そうみたいです・・・ 何か食べさせてくれませんか?」

「よっしゃ! なら、俺のゴールド寿司をごちそうしてやるよ!!」



俺は早速恭文のためにとびきりうめぇ寿司を握ってやった。



「おいしいけど・・・ なんか、名前負けしてるような気がしますね」

「そうかぁ・・・ まだゴールド寿司は完璧じゃなってことか・・・ まぁ、とりあえず、食っとけよ」



恭文は俺の言葉にさらに寿司を食っていく。

もっと研究しねぇと駄目だねぇ・・・




Side 氷室楓





俺と渡は定期的に組み手をしている。

渡がキバに変身して、俺が闇の魔法を発動させた状態の時もあれば、そのままの姿でやる場合もある。

今日は俺と渡、普通の状態のままでの組み手をしている。



「つうか、渡! お前、昔は引きこもりだったって言ってたよな!?」

「うん! 言ったよ!! それがどうかしたの!?」



俺達は相手の顔や腹にお互いの拳や蹴りを叩き込もうとするが、俺も渡も的確に捌き、カウンターを入れようとしている。

渡の奴、スピード上げてきやがったな・・・

だったら、俺も飛ばすぜ!!



「何で、こんなに強いんだよ!?」

「僕は戦いの中で経験を積んだからね!!」



まったく、それが自信たっぷりに言えるんだから凄いぜ。

けど、押されぱなしは悔しいんだよ!

俺は渡の右ストレートを弾き、そのまま右肘を渡の腹に叩き込んだ。



「さすがだね、楓・・・ 今日はここまでかな」

「だな。 あんま無理すっとシャマルが般若に化けるからな」



俺の軽口に渡は苦笑しながらストレッチをしていく。



「そういえば、恭文くんが来るのって今日だっけ?」

「あぁ、そうだったな。 フェイトが嬉しそうに話してたっけな」



恭文、蒼凪恭文って奴のことだが俺の数少ない管理局でのダチでもある。

俺は元々、ミッド式やベルカ式でもない魔法を使うため、管理局員の受けがよくない。

さらには、渡や天道達を管理局の暗部が狙っているのを知り、それに抵抗しているのも原因の一つだろう。

裏側にいる連中は身分が高い奴が多いからな・・・

ところが恭文の奴は俺との初任務の時にそれらのことをぶっちぎって俺のダチになってくれた。

これには、かなり感謝している。



「恭文くん、僕達のことを知って大喜びしてたもんね」

「あぁ、そうだったな・・・」




(楓の回想)


俺と恭文の三度目の任務、それは俺の上司である瀬良隼人からのガイアセイバーズと連携して、ブラッディに協力している管理局員の逮捕および撃墜だった。

俺はガイアセイバーズのことを知らない恭文をガイアセイバーズ本部まで連れていくことにした。



「うわ〜 広いね〜 ここがガイアセイバーズの基地かぁ・・・ けど、どうして楓がこんな組織のことを知ってたの?」

「んなもん、簡単だ。 俺がガイアセイバーズの隊員だからさ」



俺はそう言うと、金色のカード、セイバーズプレートを見せた。

このプレートは一種の身分証明書みたいなもんで、これを見せれば、どんな事件の現場も管轄を無視して入ることができるのである。

また、このプレートを所持していないと入れないエリアもある。



「ねぇ、僕もそれもらえない?」

「お前ならそういうと思って、天道に頼んどいたぜ」

「ちょっと待って? 天道って言わなかった??」



恭文は俺が天道の名前を出すと少し困惑していた。

そりゃ、そうか・・・

ニュースくらいでしか聞いたことのないような名前を俺がさらっと言ったんだからな。



「あのな、恭文。 このガイアセイバーズは天道や野上さん、渡達みたいな奴らがめちゃくちゃいるんだぜ」

「まじで!? ってことは、ガイアセイバーズってもしかしなくてもかなりチートな部隊なんじゃないの?」

「あぁ。 けど、相手もチートな連中が多いからな。 過去の組織の怪人なんかを平気でコピーしてくるしな」



恭文は俺の言葉を理解したのか、ワクワクした顔をしている。

ったく、遠足前のガキかよ・・・



「プレートの作成ですか? 少々お待ちください」



俺達はガイアセイバーズ基地の受付で恭文のセイバーズプレートを作ってもらっている。

天道に話を通したところ、「蒼凪という奴のことはハラオウンから聞いている。 さっさとプレートをもらってミーティングルームまで来い」とかぬかしてきやがった。

丸投げかよ!!



「蒼凪恭文さんですね? プレートの作成が終わりましたよ。 ようこそ、ガイアセイバーズへ」

「あっ、はい。 ありがとうございます」



恭文の笑顔に受付嬢のお姉さんの表情がうっとりしたものに変わっている。

恭文は本命以外にはやたらフラグを立てるからなぁ・・・



「恭文、それに楓も久しぶりだね」

「あぁ、そうだな」

「うん、そうだね。 てか、何でフェイトがここにいるのさ?」



恭文の疑問はもっともなことだ。

何でも、渡から聞いた話ではフェイトは恭文を心配させまいとしてガイアセイバーズに所属していることを隠していたらしい。



「えっとね・・・ 今まで黙ってごめんね・・・ でも、ヤスフミを巻き込みたくなかったの・・・」

「それでね、恭文君。 私やフェイトちゃん、はやてちゃんはガイアセイバーズ設立当初から所属してたんだ」



恭文はなのはの言葉を聞いて、いろいろ混乱しているらしい。

これは、天道や野上さんから聞いた話だが、なのは達3人はガイアセイバーズ設立の年、2007年にとある事件に巻き込まれたことがある。

それは、フェイトにクラスメートがイマジンに憑依され、それに人のいいなのは達が巻き込まれ、そこで、天道や野上さんといったガイアセイバーズのメンバーと出会うことになったのである。



「でも、僕にそれを内緒にしてたのは少しずるいよ」

「ごめんね、ヤスフミ。 でも、これからは力を貸してくれる?」



恭文がそのお願いを聞かないわけもなく、恭文もガイアセイバーズの隊員となり、今回の事件に協力するようになった。


(楓の回想 終了)


こんときの事件についてはまた話していくことにしよう。



「けど、フェイトちゃんも恭文くんが来てくれるって分かってから凄く嬉しそうだもんね」

「まぁな。 でも、フェイトの場合は家族としてだろうけどな」



恭文は俺や渡達が遠目から見ても分かりやすいくらいにフェイトが好きだ。

けど、鈍チンなフェイトは恭文の気持ちに気づいておらず、8年近くスルーされてるらしい。



「そういえば、前に俺がPT事件に関わってたって話したらものすごく殺気を飛ばしてきやがったんだよ」

「へぇ〜 そんなことがあったんだ。 知らなかったよ」



それは当然だ・・・

教えてないからな・・・

あの時の恭文は凄かったなぁ・・・

っていうか、どんだけフェイトとのフラグ立ててぇんだよ!!



「まぁ、恭文くんの気持ちは分からないでもないよ・・・ 僕も楓がすずかちゃんにフラグを立ててたらどうなってたか、分からないからね」

「お前も大概だよな、渡・・・ っていうか、今の俺は恋とかには興味ねぇって言ってんのによ・・・」



俺の言葉に渡の表情が少し曇ったように見えた。



Side 高町なのは





私は今、アースラの休憩室でのんびりしてるとこ。


恭文君が六課に来てくれるのは嬉しいけど、きっと魔王とか言われていじめられるんだろうなぁ・・・



「どうした、なのは。 何か悩みでもあるのか?」

「あっ、丈瑠さん。 えと、悩みといいますか何といいますか・・・」



私の様子に丈瑠さんは納得したような表情で頷いていた。



「そうか。 そろそろ恭文が来るんだったな」



丈瑠さんは結構恭文君の考え方や人となりが好きなようです。

数年前の事件の時に恭文君が協力してくれた時から剣の稽古なんかに付き合ってるそうです。



「だが、恭文は見どころのある男だからな」

「でも、すごく子供みたいなところもあるんですよ!!」



丈瑠さんは私の言葉に笑いながら答えてくれた。



「そういうことも含めてだ。 恭文から話を聞いて俺がそう感じたんだ。 あいつは覚悟を決められる男だ・・・ まさに侍と言うことのできる奴だよ」



丈瑠さんはそう言うと休憩室を後にした。



「恭文君が来てくれるのはやっぱり嬉しいよ・・・」



私は誰もいないことを確認してからそっと想いを漏らした。



Side トライバル・エンド




ガイアセイバーズと機動六課の活躍のせいでわたしの計画に少しだけ歪みが生じてしまった・・・

まさか、ゼルセン・アーデントが奴だったとは・・・



「こうなったら、わたしが直接出向いて奴らを叩いてやる・・・」



わたしはイノケンティウスを数体引き連れて、機動六課へ向かった・・・



Side 蒼凪恭文





いよいよ、今日が機動六課の隊舎が復旧する日、すなわち、僕が六課に出向する日でもある。

ちなみに、僕は楓と久しぶりの再会を果たしています。



「久しぶりだな、恭文」

「うん、久しぶりだね、楓。 それで、話って何さ?」



僕の質問に楓は少し辛そうな顔をしてから話し始めた。



「三年前の事、お前に礼を言ってなかったろ。 あの時、俺はブラッディやアイシャのことで頭がいっぱいでギンガのことまで気が回らなかった・・・ 兄貴代わりなんだから、ギンガのこと、守らなきゃいけなかったのによ・・・」

「気にしないでよ、楓。 僕はあいつらがギンガさんにしようとしたことが許せなかっただけだから」



僕がそう言うと楓はホッとしたような顔をした。

よっぽど、気になってのかな・・・



「あっ、そうだ。 恭文にやろうと思ってたデバイスがあるんだった」

《恭文のもう一本の刀だぜ!》



楓はトライデントがそう言うと、ポケットから小さなケースみたいなものを取り出した。

でも、どんなデバイスなんだろ?



《私というものがいながら浮気ですか、マスター》

「違うからね。 けど、どうやって起動するの?」


僕の疑問を理解していたと言わんばかりの表情を浮かべながら説明を始めた。



「このデバイスの名前はカリバー、お前も知っての通り、俺はガイアセイバーズの隊員だ。 当然、怪物相手の戦闘は多くなる。 そこでだ、複数の怪物相手に殴ってるだけじゃきつくなる。 だから、カリバーが生まれたのさ」

「カリバー誕生のきっかけはよーく分かったよ。 でさ、この子の起動方法って何なの?」

「まぁ、焦るなって。 カリバーの起動方法はすっごく簡単で自分が使いたいモードを頭の中で思い描けばいいんだ」



そのモードってのが分かんないんですが・・・



「悪ぃな、忘れてたぜ。 カリバーにはいくつかのモードがある。 俺専用のカリバーには3つのモード、お前用に作ったカリバーには2つのモードを積んでる。 モード1のブレード、刀の形態だと思ってくれていいぜ。 モード1はおまけの機能として双剣状態にできる」

「ふーん・・・ じゃあ、早速試してみようかな。 カリバー、セットアップ!」

《セットアップ モード1・ブレード》



カリバーが変形し、西洋剣のような姿になった。 けど、刀身は日本刀のもののようだ。

僕がカリバーを起動させると楓は安堵の表情を浮かべていた。

ひょっとして、このデバイスってかなり扱いが難しいの?


「まぁな・・・ 元々はミッド式もベルカ式も使えない俺が刀を使えるように調整してあるからな。 けど、恭文の能力を信じて正解だったぜ」

「もしかして、カリバーが局で採用されない理由ってそこにあるの?」



楓は僕の疑問に頷きながら答えてくれた。

一応、なのはやフェイトでも使えるっていうことなんだけど、凄く重いプログラムをつかわなくちゃいけなくなるらしい。

楓とのカリバー起動講座ははやてからの通信で終わることになった。



Side 八神はやて





「・・・・・・やっと、帰ってきました」


ここは、時空管理局所属・機動六課隊舎のロビー。
部隊員は、前線もロングアーチもバックヤードも、みんな並んで整列しとる。
うちはそれを見て、泣きそうになる。でも、今は我慢や。


「あの襲撃事件から二ヶ月が経ちました。今日、私たちはようやく自分たちの居場所に帰ってくる事が出来ました。
この二ヶ月の間、アースラに乗り込んでくれていたクルーを始め、みなさんには本当に苦労をかけました」


あの事件で隊舎が壊滅してから早二ヶ月。
ようやく隊舎は復旧して元通りになってくれたけど、全部が全部元通りゆうわけやなかった。


例えば、前線メンバー。
なのはちゃんとヴィータはゆりかご内部での戦闘が原因でまだ本調子やない。二人とも、相当無茶したしな。
完治するのにも、時間がかかるやろうというのは、シャマルの談や。
ヴァイス君やザフィーラ、ロングアーチやバックヤードのスタッフも負傷して、ほんとやったらここに来るのも厳しい人間も多い。
ガイアセイバーズのみんなも傷の癒えてない人はようさん居る。


でも、みんな来てくれた。
ありがとう。ほんまにありがとうな。


「私のような未熟者にここまでついてきてくれたこと。ただただ感謝するほかありません。
ほんとに・・・今日ここにきてくれてありがとうございます」


そんな訳で、機動六課はまだまだ完全復活には程遠い状況や。

でも、リンディさんのおかげで人を借りる事が出来た。
うちとうちの子達になのはちゃん、それにフェイトちゃんの昔からの友達で、フリーランサーとしてあちこちの現場を渡り歩いてきた優秀な魔導師や。
実力はうちらがよく知っとる。もう8年の付き合いや。あんなことからこんなことまでよう知っとる。
アイツが居てくれたら、うちらは相当に楽になる。長年の友達でやり口や性格は熟知しとるし、うちらと連携も取り易い。あと、気持ち的にもな。

・・・まぁ、事件中はアイツも大変な目に遭ってたわけやし、呼ぶことに躊躇いが無かったわけやない。
ただ、緊急事態やし、どうしても手段を選べなかった。今回の一軒で、アイツはほぼノーダメージやったのも大きい。・・・後処理以外な?

嬉しいのは、うちらの現状を聞いて、休みも返上で準備して来てくれたっちゅうことや。まぁ、返上させられたと言うのが正解かもしれん。
ただ、最期は自分で決断してくれたそうや。アイツは、ホンマに嫌やったら雲隠れしてでも拒否ろうとするやつやから、それは本当に嬉しかった。
自分の後始末かてまだ済んでなかった言うに・・・。ほんまに、ありがとうな。


「さて、湿っぽいのはここまでにしましょう。
・・・実は、今日から私たちの新しい仲間として、一緒に仕事をしてくれる方がおります。では、こちらに」


うちがそう言うと、後ろに控えていた彼は緊張しながら壇上に上がる。

襟の立った陸士制服が映える。アイツは持ってへんかったから、うちがプレゼントしたものや。卸し立てやから綺麗やなぁ〜。
・・・一応、いつも着ているアンダーウェアがいいと言ってたんやけど、当然却下。これからはうちらの同僚なわけやし、そこはちゃんとせなあかん。
まぁ・・・あれや。確かにアンダーウェアの方がかっこいいと思うで? 特にあれや、青色なんてあんまないし。
でもな、『地上部隊の制服・・・ダサいもん』とか言うのはやめとき。いや、ほんまにや。
うちも・・・海とか空とかのと見比べるとたまに思うけど。なんていうか、色合い・・・がな? こう・・・アレやし。

それはさておきや。二ヶ月ぶりくらいに会ったけど、ホンマにアレや。『男子、三日会わざればかつ目して見よ』とはよく言うたもんや。
ほんのちょっと会わん間になかなかにいい男に成長し...とらんなぁ。全く・・・しとらんなぁ。
誰やっ! こんな適当な格言言うたアホはっ!? 三日どころか数年単位でも全く変わってへんでアイツっ!!

結構長い付き合いやけど、昔から全然変わってへん。
主に身長や。髪の長さは普通やけど、体型は小柄な女の子で通るで? 顔立ちもそんな感じやし。あぁ、声も同じやな、3オクターブ出るし。
つかあの身長・・・下手すると、私よりまだ小さいんやないか?


ドタンッ!

・・・あ、コケタ。考えた事伝わったんやろうか?
一瞬の痛い沈黙の後、それでも、なんとかヨロヨロと起き上がって、挨拶しようとする。
あー、そないに早足で前に行こうとしたら危ないで?


ドーンッ!!

案の定、前に行き過ぎて、壇上から足を踏み外して落ちた。こんな日に、なんつう縁起の悪い落ち方するんや。いや、そういう問題やないか。
みんなそれを見て・・・どうし

たらええんかわからん顔しとる。いや、シャーリーとルキノ・・・グリフィスは笑っとるな。
あー、シグナムは睨んどる。シャマルは・・・そのキラキラ目はやめような、怖いから。ザフィーラはいつも通りやし。
リインはやれやれって顔しとる。まぁ、凄くうれしそうやけど。アイツが来るのを、一番喜んでたしな。
ガイアセイバーズの皆さんも思いっきり笑っとるわ。

千明さんや源太さんなんかもう大爆笑って感じや。

千明さん、恭文のこと、弟分みたいにかわいがってたからなぁ。


なんとも相変わらずやなぁ。変わらんってどういうことや。ま、だからこその古き鉄か。

しばらくシリアス続きやったし、バカ騒ぎのひとつやふたつは期待してるで、恭文。



Side 蒼凪恭文





期待してるでじゃないよこのチビタヌキっ!!
うぅ、みなさんの視線がチクチク痛いんですけど。
もっと言うと、オレンジとピンクの視線が痛い。

話が話だったから、引き受けて出向してきたけど、しょっぱなから大ポカやらかすし・・・。

これから一体どうなるの? すっごく不安だ。


(第2話へ続く)



あとがき



楓「皆さん、どうもです。 作者の代理、氷室楓です」

トライデント《何改まってんだよ、相棒。 気持ち悪いぞ。 あぁ、俺は楓の相棒でもあるトライデントっていうデバイスだ。 よろしくな》


(ゴモラの着ぐるみを着たトライデントがぺこりと一礼)


楓「今回の話はコルタタさんの執筆されている『とある魔導師と機動六課の日常』とひらひらが書いてる『スーパーヒーロー作戦 NEW MISSION IF(リリカルなのはStrikers Another Story)』とのクロス小説です」

トライデント《この話は本家『とまと』とはいくつか変更点があるぜ。 楓の紹介の前にそこんとこを整理してみんぜ》


ミッドチルダに特撮は放送されているが、(KAMENRIDE)なので(一筆奏上)なのである
恭文とガイアセイバーズはすでに何度か面識がある
恭文は良太郎と何度か一緒に戦っているので人となりを理解しており、そのために良太郎を人生の師として見ている部分がある
楓・かえでとは友人関係にある(かえでに関しては若干トラウマあり)etc


楓「何で一番最初だけこんな仕様になってんだ?」

トライデント《そら、あれだよ・・・ ひらひらの奴が本編で種明かしをしたいからだろ。 拍手での回答なんかも待ってるらしいぜ》

楓「けどよ、ひらひらはコルタタさんと違って文才ねぇからスルーされんじゃねぇか」

ひらひら(二人ともさり気なく酷いですよ・・・)

楓「だったら、溜めてる作品を少しでも作れよな」

トライデント《ひらひら、泣いて帰っちまったぜ》


(ゴモラ、尻尾をフリフリしている)


楓「次回は恭文とスバルの模擬戦だな」

トライデント《兄貴としては複雑な心境ってやつか?》

楓「それほどでもねぇよ」


(楓、手を左右に振って、照れ隠しをしている)


楓「じゃあ、そろそろ締めるか」

トライデント《あぁ、そうだな》

楓・トライデント《「次回もぶっぎるぜぇ!!」》



トライデント《まぁ、初めて読む読者もいるだろうから楓の自己紹介だぜ》


氷室楓


身長:165cm

体重:身長とのバランスが取れるくらい

年齢:18歳相当(なのは達より1歳年下)

性別:男

髪の色・瞳の色:水色

顔立ち:少し少年らしさを残す顔

職業:管理局の嘱託魔導師(デルタフォース隊長)

魔導師ランク:空戦魔導師D(管理局が公式と定めた魔法が使えないため 戦闘力ならAAくらい)

声のイメージ:阿部敦 (とある魔術の禁書目録の上条当麻)

性格:基本的に偽悪的(出自や自身の目的、師匠であるエヴァンジェリン・A・K・マクダウェルとエリス・ローレンの影響など)だが面倒見がよい。

   ただし、自分の敵となったものには徹底的に攻撃する。

   兄弟子譲りの考え方をする部分もある。

   また、紅渡に精神的依存をしている部分もある。

   しかし、妹となったスバルやギンガ、本当の妹であり、自身の一部となっている氷室かえでにはめちゃくちゃ甘い。

座右の銘:泥にまみれてでも前に進め(これも師匠譲りの考え方である)



次回予告


『なに言ってるのっ!? あなたの主治医兼現ち』

『・・・お仕置きですーーー!!』

『マッハキャリバーッ!』
『アルトアイゼンッ!』
『「「セットアップッ!!」」』




とある魔導師と機動六課とガイアセイバーズの日常


第2話 「何事も最初が肝心 あたしもそう思うよ by氷室かえで」





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