[携帯モード] [URL送信]

頂き物の小説
第一話  幽霊船 ―ゴーストシップ―











全ては、たった一つの報告から始まった。

現地時間、午前5時。クラナガンの沿岸70kmの地点に、原因不明の濃霧が発生。

至急、調査に向かった航空魔導師部隊が、霧の中で一隻の船を発見した。

それは25年前、処女航海に出航した後に消息を絶った豪華客船『セント・モーリアン』号だった。



そしてこの船には、危険なロストロギアが運び込まれている可能性がある事が分かり、船内の調査及びロストロギアの確保、封印の命令が機動六課に下りた。


午前6時。機動六課前線メンバーが出撃。











それから一時間後。

何者かとの交戦状態に入ったという報告を最後に、一切の連絡が途絶える。


事態の重大性を憂慮した機動六課部隊長、八神はやてはある人物に緊急の連絡を取った。













    とある魔導師と古き鉄の物語 異伝


 ――― とある魔導師と竜魔の忍の共闘 ――――


    第一話  幽霊船 ―ゴーストシップ―













「どうしてだよッ!!」

バンッ!!と、強い音が部隊長室に響いた。


はやての眼前にいる少年――蒼凪恭文が、彼女のデスクを思いっきり叩いたのだ。
怒り心頭といった面持ちで、今にも爆発しそうである。

「どうしてすぐに助けに行かないのさ!!」
「……助けに行こうにも、何処にそんな戦力がるんや?隊長、副隊長陣、フォワードメンバー総攫い、喰らっとるんやで?リィンとも通信途絶。この状況で何が出来るん?」
「…………だったら、僕一人でも行くよ。待機命令聞いて、大事なもの失くすなんてバカみたいだからね」

彼――恭文は嘱託魔導師であり、現在は機動六課に出向という形で所属している。
当然、部隊長の命令を聞く義務があり、それに背く権限を彼は持ってはいない。


だが、彼にとっては命令や規則を破る事や、そのデメリットなど大した意味はない。



守りたいものを守り、壊したいものを壊す。



錆び付いた古い鉄の如き考え。
ヘイハチ一門といわれる弟子達の一人である彼の、それが絶対の正義であった。


今、正に友人が、師匠と呼ぶ人が、大切なパートナーが、そして彼の愛する人が窮地に陥っているかもしれない。
そんな状況を見過ごす事など出来る筈も無かった。


「行くよ、アルト。あの船をぶった斬ってでも、皆を助け出すんだ……!!」
《そうですね。あのむかつく船をド派手に真っ二つにしてしまいましょう。いや〜、久々に本気で暴れられますよ》
「そうだね。船の分際でフェイト達を攫うなんて……沈めて魚の住処にしてやる!!」


「だ〜か〜ら〜、ちょい待ちって言うとるやろ!!」
息巻いて隊長室を後にしようとする恭文と、彼の相棒アルトアイゼンをはやてが止めた。
「――何?こっちは急いでるんだ。くだらない話なら、本気で怒るよ?」
《残念ながら、本場関西のジョークですら、今のマスターには通用しませんし、私も止めませんから》
既に本気――修羅モードに入り掛けている恭文に、はやてはゾッとした。

が、誤解はちゃんと解いておかなければならない。


「あんなぁ……私は『待機しとれ』とは言うたけど、『助けに行くな』とは言うてないやろ?」
「同じ事でしょ?」
《待機していたら戦力が整うとでも?言っておきますが、六課のメンバーは今や地上部隊でも屈指の実力を持っています》
「そんなん分かっとるわ」
《でしたら、あれに匹敵する戦力が集まる事は、ほぼ無い事も分かりますでしょうね?》


機動六課の戦力は異常の一言である。

隊長、副隊長はリミッターが掛けられているとは言え、オーバーS、ニアSランク。


所属したばかりの頃はBクラス、Cクラスだったフォワード陣も、今はAクラス以上の力を持っている。


これだけの戦力が一斉に連絡を絶つという事態は、これもまた異常である。


何が起きたのかは不明だが、少なくとも調査にはこれに匹敵する戦力が必要であると言える。




アルトの言葉は確かに適格だった。それが、イコール自分達だけで行く事にはならないが。


しかし、はやては首を振った。
「集まる、と言うたら…待ってくれるか?」
「…っ!?本気で言ってるの?」
「こういう状況で、冗談は言わんよ」
《ですが、無闇に人数を集めても意味を持ちませんよ?烏合の衆と言う言葉もありますから》
「大丈夫。来るのは……二人や」
「たった二人!?」
「されど二人や。この二人は……メチャメチャに強いよ〜?」
《……………もしかして、あの人達ですか?》
はやての意味深な言葉に、アルトが何かを察した。

「それは、来てからのお楽しみや」












それから2時間後。
フード付きのコートを着た二人の人物が、機動六課の入り口にやって来ていた。

一人は180cm近い身長の男で、細身の体型。しかし発する気配は、彼が只者ではない事を思わせる。
もう一人も160cmを超えており、その体型から女性だと分かる。


「ここが機動六課か……」
「結構大きいわね〜。それに中々綺麗そう」
「ま、俺達には関係ないことではあるがな」
「まぁね〜」
「さっさと行くぞ」
男の方が早速、中に向かって歩き出す。
「あぁ、ちょっと待ってってば〜っ!!」
慌てて女の方も走り出した。
その際、湾岸部特有の海風が吹き、女のフードが煽られて外れてしまった。

「うわっと……!」
急いで被り直すが、不幸にもそれを人に見られていた。

「「………」」
「…………」

女の視線の先にはスレンダーな体型をした、比較的小柄な女性局員二人。
二人は最初、呆然としたようにつっ立っていたが、やがて震えだし、大きな瞳に涙を溜めだした。


「じゃ、先に行ってるからな?」
男は確実に面倒事になると踏み、さっさと隊舎の中に行ってしまった。
「えぇっ!?ちょっと待ってよ!!ひぃっ!?」


隊舎に入った男の背に、局員の泣き叫ぶ声が届いた。
「………あぁ、やっぱりこうなったか……」
この事態を避ける為に被ったフードだったのだが、油断した彼女が悪いと、男はさっさと行ってしまった。




――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――







待ち人が来た事を知り、はやてはロビーに向かった。
その後ろに恭文を初めとした数人の六課局員が続く。

その中の一人、ヒロリス・クロスフォードが恭文に尋ねる。
「八神部隊長が呼んだ奴らってのは、そんなに腕が立つの?」
「僕もアルトの予想を聞いただけから……でも、そうなら凄い腕は立つ」
《少なくとも、今のマスターでは……十中八九、勝ち目が無いですね》
代わって答えたアルトアイゼンの言葉に、ヒロリスと、共だって歩くサリエル・エグザが驚きの表情を浮かべた。
「うぇ!?それ本気で言ってんのか?」
《本気ですよ。我々とは、とことん相性が悪い相手です》
「そんなに強いの…!?でも、そんなに腕が立つなら、噂ぐらい聞きそうだけど……」
《それはそうでしょう。その方は局員ではありませんから》
「って事は民間人!?良いの、それ?」
「大丈夫かどうかは知らないけど、頼れる人だから、間違いは無いよ」



そんな事を話していると、ロビーに着いた。
そこのソファーに、コートを着た人物がこちらに背を向けて座っている。

「遠路はるばる、呼びつけてごめんな〜?」
「―――別に構わない。こっちに用があったしな」
ソファーから腰を上げ、振り返る。



「「「…………………」」」



振り返った男の顔を見て、はやてと恭文を除く全員が言葉を失った。
切れ長の瞳。光の加減で濃い紫に艶めく髪。スラリとしたシルエット。

モデルだと言えば、何の疑いも無く信じてしまいそうな美男子。

恰好良いと言うよりも綺麗な顔立ちに、全員が唖然としている。



「久しぶり、連音君」
「あぁ、何年ぶりかな……と、恭文もな?」
連音は首を伸ばして、はやての後ろにいる恭文にも声を掛けた。

「お久しぶりです、連音さん」
「久しぶりだな恭文。少し、背が伸びたか…?」
「そうですかね?だと、嬉しいですけど」
懐かしそうな、嬉しそうな笑顔で連音と話す恭文の姿に、これまた彼を知る皆が呆然とした。

「ちょっ、やっさん!?悪いもんでも食った!?」
「やばいって!敬語なんて使ってるし、すぐに病院に!!」
「どういう意味だぁああああああああああああああッ!!」
《自分の普段の行いに原因があるんでしょう?》
「………アルト、後で話そうか。主に魔王式で」
《丁重にお断りします。仕方ありません、この方とマスターの関係を説明しましょう》
珍しく殊勝なアルトアイゼンに、恭文は一抹の不安を覚える。

《この方は、辰守連音さんといいまして……うちのマスターにフラグを立てた凄い方です》

「何言ってんだお前はぁあああああああああああああああああっ!!」
《まったく、IFだとかハーレムだとか色々と言われているのに、今度は昨今流行のBLですか?
こんな事フェイトさんに知られたら、きっと人知れず何処かに旅立ってしまいますよ?》
「事実捏造して何、その言い草!?てか、ハーレムって何!?つーか、BL言うな!連音さんに迷惑だろ!?」
《本編読んだ方々が、もの凄くリクエストしてるものですよ。まったく……そんなんだから、現地妻とかフラグメイカーとか色々起きるんですよ?
それに、BL疑惑に関しては、もうしょうがないですって。過去のあれやこれやを見たら、絶対にそうとしか見えませんから》
「やまかしいわぁああああああああっ!僕はフェイト一筋に今までもこれからも頑張ってるんだ!!」
《「ごめんなさい。その気持ちは嬉しいけれど、私は答えてあげられない」って、ふられたのにですか?》

アルトの言葉に恭文にピシッ、と亀裂が入った。そしてガラガラと崩れ落ちていく。

「………いいもん。ちゃんと男の子としてふられたんだから………まだ頑張れるもん……」
《部屋の隅で、のの字書きながら言っても説得力ないですよ?》

「どうやら、どっちも変わらず元気そうだな。安心したよ」
《まぁ、元気とノリを取ったら、骨ぐらいしか残りませんから。うちのマスターは》
「うるさいよ!もっと色々残るわ!!」
とりあえず恭文も復活したので、話を戻す。

と、その前にはやてがキョロキョロと辺りを見回す。
「あれ、連音君一人なん?てっきり彼女と一緒に来てくれると思っとったんやけど……」
「いや、来てるぞ?」
「せやったら、何で一人なん?」
はやての疑問に、連音はちょっとだけ目線を外した。
「いや、ここの局員らしいのに顔見られて掴まったから………」
「から…?」
「―――置いてき「アホかぁああああッ!!!」」

スパーン!!

伝説の武器、覇裏閃を抜刀し、唐竹に振り下ろす。小気味良い音がロビーに響き渡った。
「何しとんねん!!」
「いや、どっちにしたってここに来る事になるんだし、まぁ良いや〜、みたいな」

スパーンッ!!!!

もう一発。今度は横薙ぎに。

「あぁ……やっぱり二人は御似合いだわ……なのに,どうして……!?」
シャマルが二人のやり取りを見て、そっと涙を拭いていた。誰もふれなかったが。

「アホォッ!!さっさと探してこんか!!」
「……いや、もう来たようだし」
叩かれた箇所を摩りながら、連音が指差す。はやてらがそっちを向けば、二人の女性局員が大慌てで走ってくる。
その後ろに、二人に腕を引っ張られてフラフラなコートの女もいる。

「八神部隊長〜〜〜〜〜〜ッ!!!!」
「た、大変です〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッ!!!」
「アルト、ルキノ!?どないしたん?」

二人はゼーゼーと息を切らしながら、その視界にシャマルを見つけ、

「「いたーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!!」」

魂の限り叫んだ。
「えぇっ!?私なの!?」
唐突な事態にシャマルはパニックになる。しかしアルトとルキノはお構い無しに、コートの人物を彼女の前に突き出した。
「っとと……!?」
つんのめりながら、どうにか転ばなかった彼女のフードから、美しい金糸の束が零れ落ちる。

それを見て、はやては二人が慌てている事態を察した。
(あぁ〜、この二人やったんか。確かに知らん人から見たら、こうなるわな〜)

そして女が顔を上げる。
「もう、人を引き摺り回したら、危ないでしょ!?あーっ!!ツラネ!!よくも私を置いてったわね!!」
怒り心頭な勢いで、女はコートを脱ぎ、連音に投げつけた。
それをあっさりとキャッチし、連音は苦笑いを浮かべる。
「すまんすまん。事態が切迫しているようだったんでな、こっちを優先したんだ」
「――その結果、こっちはこの短時間の間に隊舎中を引き回されたわよ!!」
怒り収まらない女を、連音は何とか宥めようとした。

それを見る六課の面々の顔は、一様に驚きと戸惑いに染まっていた。
はやてと恭文、シャマル―――”彼女”を知る人間以外は。

腰まで届く金色の髪。
ルビーをはめ込んだような、紅い瞳。
一度見れば、絶対に見忘れる事が無い程の美しさ。

誰もが一つの名前を浮かべていた。

機動六課ライトニング分隊隊長、執務官フェイト・T・ハラオウン。

「シャマル先生!!フェイトさんがまた、記憶を失くしちゃったみたいなんですーーーーッ!!」
アルトはシャマルに鳴きつきながら叫んでいた。
「しかも今度は、性格が180度反対みたいなんですよーーーーーーーッ!!」
ルキノがシャマルの襟を掴んで、ガックンガックンを振り回す。

「あ、あぁ〜っ!おち〜ついて〜っ!?あぅあ〜〜〜っ!!?」
何かもう、シャマルの目がグルグルになり始めている。

「あ〜、ルキノ?その辺にしといて?話が進まんからな?」
「で、でも……フェイトさんが〜ッ!!」
はやてに文字通り泣き付くルキノに、いや、事情を知らないメンバーに向けて、はやては言った。

《この方は、フェイトさんではありませんよ?》
「ちょ〜っ!?私の台詞を取るなやーッ!!」
良いところを掻っ攫われ、はやてが叫ぶ。が、アルトアイゼンは平然としている。
その怒りのオーラは、自分のマスターがほとんど食らっているからだ。
「僕を盾にするなっ!」
《盾ならもう一寸大きい物を使いたいですよね?マスター、今すぐ10cm程デカくなって下さい》
「出来るかボケェエエエエエエエエエエエエッ!!」
「私を無視すんなやーーーーーッ!!」

《……で、結局このフェイト女史に良く似た方は、何方なのですか?》
事態が進まない事を憂慮し、サリエルのデバイス、金剛が気を利かせる。

デバイスに修正される人間達。何と奇妙な光景であろうか。

コホン、とはやてが咳払い。そして、ジロリと恭文の首にぶら下がるアルトアイゼンを
睨みつける。

―次やったら、闇に沈める―

その瞳はそう語っていた。
《やはりギャグは繰り返しが基本かと》
「お願い止めて。巻き添え食らうの明らかに僕だから」
《そうですね。私も闇に沈む趣味はありませんから》


なのでどうぞ。という意味を込めて、手を差し出す。

「この人は――――――アリシアさんって言うて……」
とそこまで言って、はやては止まった。
(あかん…これはどう説明したら良いんや!?)


アリシア・テスタロッサ。
既に公式にも事実的にも死亡している彼女が今、ここにいるという事。
その辺りの事情は色々と面倒臭いものだ。

特にこのミッドチルダでは、受け入れられないような話である。

続く言葉を言えないはやてに代わって、アリシア本人が口を開いた。
「私はアリシア・T・辰守。フェイトの……まぁ、お姉ちゃんに当たるのかな?」
「フェイト隊長の……?」
「お姉…さん、ですか?」
「ま、諸々込み入った事情があるので割愛するわね?で、こっちが」
「辰守連音だ」
「……それだけ?もうちょっと何か言おうよ、ツラネ〜」
「他に言う事は無いだろうが……さて、そろそろ本題に入ろうか………俺達が来るまで、遊んでいた訳じゃないんだろ?」
すぐさま真剣な面持ちになった連音に釣られて、全員の顔が変わった。

「もちろん。必要な資料は揃えてあるから、目を通してくれる?」
「あぁ。情報は命綱、だからな……」






―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

恭文side




連音さんとアリシアさんは、はやてと向かい合って座り、現在の状況を事細かく聞いている。
その眼差しは、ついさっきまでふざけていた人とは思えない位に真剣なものだった。

………………何と言うか、物凄く……サマになってる。

資料を読む仕草一つを取ってみても、一々似合っている。

はやてと内容についてする会話する姿も………何と言うか、出来る男の雰囲気が物凄くある。


くそう。やっぱりカッコいいなぁ〜!!いつかはあんな風になりたいなぁ〜!!

《マスター、無い物強請りをしても何の意味もありませんよ?》

うっさい!!良いじゃん、夢ぐらい見せてよ!?

《諦めて下さい。連音さんは、マスターとは明らかにキャラが逆ベクトルですから》

分かってるよ!知ってるよ!!

「ねぇ、やっさん?」
とかやってたら、ヒロさんが声を掛けて来た。

「あの…辰守連音ってのは本当に強いの?いまいち、そうは見えないんだけどな〜?」
「つ《強いですよ。本当に》に……って、かぶってるし!!」
《気にしないで下さい》
「するわボケェえええええッ!!」
「そんなに強いの?」
《はい、それはもう。具体的に言わせていただくと―――》

あれ、二人とも完全無視!?


《そもそも、単純な身体能力だけなら、彼以上の人間はまずいないでしょう。腕力一つでもスバルさんと互角以上でしょうし。
その上、六課の隊長陣も模擬戦の記録は負け越しです。特にヴィータさんは一度も勝った事がありませんから》
「…………マジで?」
《マジです》

アルトの言葉に、ヒロさんを含め、その言葉を聞いた全員が驚きの表情をしている。
まぁ、そうだよね。フェイトやなのは、師匠達の強さは有名だから。
模擬戦勝ち越しって、勝率八割だっけ?確か。

「しかし、どうやったらそんな強くなるんだ?」
《それは…連音さんの一族は代々忍者の家系でして》
「忍者って……シュシュッと参上しちゃう、あの!?本物!?」
《いえ、それよりも『我古来闘者 悪魔不動』な方ですね。あ、本物ですよ》

ちょっと待て!古いよ!!そんな古い作品、誰が知ってるんだよそれ!?

《大丈夫。マスターが知っているなら問題は無いでしょう?》

僕を基準にしないで!?こんな事の責任なんて取りたくないよ!?

《それでですね。グランドマスターが若かりし頃――》

話を続けてる!?……って、先生の若い頃?

《当時から我が道を貫きまくっていたグランドマスターでしたが、唯一人だけそれが出来なかった人物がいます》
「……は?」
何で連音さんの事を言うのに、うちの先生が出てくるんだ?
ヒロさんも訳が分からないって顔してるし。

《些細な事から始まった戦いは三日三晩続き、戦場が草一本生えない荒野に変わり、それでも決着がつかなかった相手。
それこそが管理局の歴史上、最初にして最強のストライカーと呼ばれた人物。名前を辰守宗次郎といいます》

先生と互角!?辰守って……まさか?

《その通り。宗次郎氏は、連音さんの祖父にあたる方です。そんな方の血筋ですから、正に戦いのサラブレッドですね》

あ〜、アルト?僕、初耳なんですけどその辺。

《私も、誰かに言ったのは初めてですから》

「あ〜、先生と互角か………世の中広いな〜。あんな化け物みたいな人がまだいたのか」
「うん、それは否定できない。でも、そっか……そんな人の孫なら、あの強さは納得かな?」
などと連音さんの強さに迫っていると、はやて達の前にモニターが現れた。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

Side Out


はやての前に現れた空間モニターには、陸士隊の制服を着た中年男性が映っていた。酷く慌てているようだ。
「ゲンヤさん!?どないしたんですか!?」
『おう八神!ヤベえ事になった!!上の連中が、魔導砲の用意を始めやがった!どうやら、船を破壊する方向で決まったらしい!』
「なっ!?まだあそこには、うちの部隊の子らがいるんですよ!?」
はやてはモニター越しにゲンヤに食って掛かった。もちろん彼が悪いわけではない事は分かっている。
だがそれ程に、はやてはその決定に憤りを覚えた。

「それ、本当なんですか!?」
それまで邪魔にならないように離れていた恭文も、モニターに顔を見せた。
『あぁ、本当だ……』
ゲンヤはモニターの向こうで、苦虫を噛み潰したような顔をしている。

ゲンヤ・ナカジマ陸佐は、機動六課フォワード部隊所属のスバル・ナカジマ陸士の父親である。
愛娘が海の藻屑となる事を良しとするなど、出来る筈も無い。


なんて莫迦げた決定だ。誰もがそう思った。

「船を沈める……か。件の物は、徐々にクラナガンに近付いているんですか?」
『……?誰だい、アンタは?』
「今回の件で、はやてに雇われた者です。それで、どうなんですか?」
『……船は、クラナガンに向けてゆっくりとだが、近付いている。船の周囲数kmが、霧に包まれたまま、な』
「それは恐らく、船に積まれていたというロストロギアの影響でしょうね。
破壊を決定した以上、それによる二次災害はないと判断したという事。ロストロギアの正体、判明しているんですか?」
『そいつはまだだ。だが、上の方はそう思っているようだな』
ゲンヤの話を聞き、連音は少し考えるような仕草を見せた。

「今、臨時で地上の指揮を取っているのは……カイツ・ボルドー少将でしたね?」
『あぁ、そうだが……』

カイツ・ボルドー。
地上本部の少将である彼は、地上にあっては珍しい反強行派であり、レジアスとは対立していた人物である。

尤も、彼が本局よりの立場にある訳ではなく、あくまで強行姿勢のレジアスに対する、という意味である。
彼はむしろ、レジアス以上の反本局派である。が、現在、地上が何とか纏まっていられるのは、彼の尽力によるものであると言えた。

その名を聞き、はやては顔をしかめた。
本局所属の機動六課に、反本局派である彼が良い印象を持っているとは思えないからだ。

「じゃ、はやて。ボルドー少将に連絡を取ってくれ。その攻撃を待ってもらうように言ってくれ」
「えぇっ!?いきなり言うても聞いてくれんよ!?」
「それを何とかするのがお前の役目だ。上がちゃんとしないと下は動けない。組織の基本だ」
「うっ……でも、取り合ってもらえるか……分からんよ?」
「それを如何にかするのも、お前の仕事だろうが。甘えるな」
「うぅ……連音君、厳しいわ……でも、正直…攻撃中止は難しいよ?」
「やるだけやれ。俺達は現地に向かう。足はあるんだろうな?」
「うん。ヴァイス陸曹、ヘリの準備は?」

「準備万端。何時でも行けますぜ!」
名を呼ばれたヴァイス・グランセニックが前に出る。
その言葉を聞き、はやてが頷く。
「ほんなら、連音君、アリシアちゃん…それと恭文。三人はすぐに現場に向かって!」
「了解だ」
「オッケー。よろしくね、ヤッちゃん?」
「だから!ヤッちゃんて呼ばないで下さい!!」
「えー?良いじゃん、ヤッちゃんで」
「あ、アリシアさんッ!!」
「ほら急いで行って!やっちゃん!」
「黙れ、豆狸!」
「ヒドッ!!」
「遊んでいないで、行くぞ!」
「あっ、ちょっと待ってよ、ツラネ〜ッ!!」
ヴァイスの案内で、連音はさっさとヘリポートに行ってしまう。その後を二人は慌てて追いかけた。


屋上のヘリポートには最新型のヘリが待機していた。
ヴァイスは操縦席に乗り込むと、ネームタグに似た物を取り出し、差し込んだ。
「頼むぜ、ストームレイダー」

《Start Up》

機械的な音声と共に、エンジンが始動。プロペラが回転を始め、徐々に加速していく。
巻き起こる風と、けたたましいエンジン音に顔を顰めながら、三人は後部ハッチから中に乗り込んだ。

ハッチが閉じられると、多少なり音が小さくなる。防音性能の高さも、最新式ゆえである。
「それじゃあ適当に座って、ベルトを付けて置いてください。結構揺れますから」
《「「はーい」」》
アリシアと恭文とアルとアイゼンが手を上げて(アルトに手はないが)返事をする。その間に、連音は既にベルトを付け終えていた。
「さっさと付けろ」
「もう、ツラネ…なんかノリ悪いよ?」
《そうですね。何時もなら、的確にツッコミを入れてくる所ですのに……》
三人の視線(アルトには略)を受けて、連音は少し頭を捻った。
「流石に、今回はややこしい事になりそうな気がしてな……幾らリミッター付きとはいえ、なのは達が早々やられるとは思えないが、
万が一という可能性もある。流石に考えるさ……。それにもう一つ。魔導砲の事もある」
「魔導砲……フェイト達がいるのにそんなの使おうなんて………!」
「―――だが、選択は間違ってはいない」
「――ッ!?」

ヘリは沿岸部を離れ、海上を飛行している。

「地上部隊の役割は市民を守る事。それが第一にある。九を守るのに一を犠牲にする事はあっても、その逆は在ってはならない。
ましてや、局員の命とクラナガンに暮らす一般市民。天秤に掛ける必要もない」
人を守り、犯罪を取り締まる管理局員。その局員の為に一般市民を危険に晒す事は本末転倒である。
「なのはもフェイトもシグナムもヴィータも、どれだけエースだ何だと呼ばれようとも一局員に過ぎない。
―――――とはいえ、こうして俺達は救出に向かう訳だが……この後の展開は火を見るより明らかだな」
そう言うが早いか、連音の前に空間モニターが現れる。
そこに映っているのは困り顔のはやてだった。
『ゴメン、連音君……何ともならんかった……』
「話は出来たのか?」
『話は………な』
「やっぱりダメだったか……通信はこっちに繋げられるか?」
『………………へ?』
連音の言葉に、はやての目が文字通り点となる。
はやてだけでなく、恭文と操縦中のヴァイスも同じくだった。
「だから、俺が直接話すから、回線を回してくれ」
『いやいや!!話したいな〜。ハイ、どうぞ。ってな訳には行かんのよ!?仮にも少将、地上のトップやで!?』
「多分大丈夫だろう……知り合いだから」
『………………………………は?』
「以前あった事件でちょっとな。ま、とりあえず回してくれ」

《相変わらず、交友関係に謎が多い人ですね……》
「だね。この人に比べたらさ、僕ってまだ可愛い方じゃない?」
《ソウデスネ。カワイイデスネ》
「何で抑揚が無いんだよ!?」
「――お前等ちょっと黙れ」
《「はい。ごめんなさい」》
連音に怒られ肩を落とす二人。
と、モニターに件の人物が現れた。

執務室を背景に、灰色の髪をオールバックに纏めた男が鋭い目付きで連音を見据えている。

『――態々、済んだ話をしようというのは君かね、ツラネ・タツガミ……?』
「そういう事です。カイツ・ボルドー少将?」
『壮健で何よりだ。で、君は何をしようと、現場に向かっているのかね?』
「一応、不明となった局員の救助、及びロストロギアの調査と封印、回収……ですかね?」
その言葉を聞き、ボルドーの目が鋭く細まる。
『現在、付近一帯は封鎖されている。民間人の立ち入りは出来ない筈だが?』
「この件に関して、八神はやて陸佐との契約をしました。今の扱いは局員……いや、それ以下と取ってくれて結構です」
『………それで?』
ボルドーの目は厳しいままだ。

「市民を危険から守るなら、魔導砲の使用は正しいでしょう。どれだけ貴重な戦力でも、首都と比べるべくもない。
ですが、正当な理由があろうとも、局員を見捨てたというのは聊か体裁が悪いでしょう?
救えれば本局に貸しを作れます。
そして救出に失敗しても………吹っ飛ぶのが、九人から十二人になるだけ。下の予定通りでしょう?」
『救出任務……成功すると思っているのかね?』
「他の人間なら不可能………でしょうね」
そう答え、連音は不適に笑って見せる。
『………現在、船は結界内に閉じ込めてある。が、じきに破られるだろう。維持できる時間と魔導砲の射程から……』
「………」
『―――二時間後、砲撃で目標を沈める。以上だ』
それを伝え、ボルドーは通信を一方的に終えた。

モニターが消えると、今度ははやてが顔を見せた。
『………な、あかんかったやろ?』
「……そうでもないさ」
「どういう事です?」
連音の言葉の意味が判らないと、恭文は尋ねてきた。
「ボルドー少将は、結界を限界まで持たせる、そしてギリギリまで砲撃を待つ、と言ったんだ。
こっちとしては精々一時間位と思っていたからな。二時間はかなり有り難い・
ま、俺達が救出に成功すれば良いだけの話だ。他は関係ないさ」
連音がそういって口元を緩めるものだから、はやてと恭文は揃って渋い顔をした。

『せやけど二時間て……短すぎやろ?』
「二時間後……間に合わなかったら吹っ飛ばされるんですよね……僕らも」
《私はまだ超電王のDVDを買ってないんですよ!?吹っ飛んだら見れないじゃないですか!後、夏の映画も!!》
「ッ!そうだよ!まだDVDのCMすらしていないのに!!」
《それにせっかく前売り券、十枚つづりで買ってあるんですから。何が何でも無事に帰りましょう!!》
『―――どんだけ見に行く気やねん』
気合を入れる古き鉄に、はやてのツッコミは冷ややかだった。













「さて、『魔樹の果実』は何処にあるの?死にたくないなら言いなさい?」
「彼女は短気ですので……教えるならば、出来るだけ早くお願いします」
ハンドアクスを持った金髪ポニーテールの少女と、2m近い身長の逞しい体躯の男。
そして彼らの後ろには、武装した十数人からなる部隊。


「クッ……!」
「ティア、キャロ、エリオとリイン曹長をお願い!!」
「スバルッ!?」
「スバルさんッ!?」
傷付き、追い詰められるストライカー達。

「へぇ……やる気なんだぁ……お・ね・え・ちゃん?」
少女が獰猛な牙を剥く。膨れ上がる敵意に、思わず後退いそうになってしまう。
「君みたいな子が何で……!?」
「うるさいなぁ……殺すよ?」
「ッ!?ティア、行って!!」
スバルがリボルバーナックルを床に叩きつける。爆風が巻き起こり、視界を一瞬で塞いだ。

「――やられるんじゃないわよ!!」
エリオとキャロを抱え、ティアナが駆け出す。
「分かってる!!」
スバル達の行動に、少女は僅かに驚く。
「あいつら逃げる気!?」
「ふむ……下手に応援を呼ばれても困りますね。ローラさん、追って頂けますか?こちらは私が相手を致しますので」
「ふふ〜ん、拳が疼くのかしら〜?」
「……そうかもしれませんね。では、お願いします」
「オッケー。あんた達、追うわよ!!」
「「「「イェッサーッ!!」」」」
金髪の少女――ローラの号令を受けて、部隊員が動き出す。

「行かせない!!」
スバルが立ちはだかろうとする。が、その前に一瞬で影が現れた。
「なッ!?」
スバルが両腕をクロスさせると同時に、凄まじい衝撃が襲い掛かった。
「うわぁああああッ!!?」
そのまま勢い良く、壁に叩きつけられる。
「あなたの相手は私です。あなた達は散開して『魔樹の果実』の捜索に入って下さい」
「「「「「イェッサーッ!」」」」
武装隊員が指示の元、動き出す。

「ではお嬢さん、一つ御相手願いましょうか……」
男はスッと拳を構えた。













やがてヘリは結界の境界面を超え、霧の中へと入る。
窓から見える世界は白一色に染まり、その隙間にかすかに海が見える程度である。
「霧が濃いですね……ヴァイスさん、大丈夫ですか?」
「ストームレイダーのおかげで、何とかな……センサー系にノイズが入り始めてる……そろそろだな」
「目的地が近いんですか?」
「あぁ。隊長達を送った時も、こんな風にセンサーにノイズが入った。もうすぐ見えてくる筈だ」
ヴァイスの言葉に、三人が窓の外を注視する。すると、その言葉通りきりの向こうに巨大な影が現れた。


ミッドチルダの海を渡る豪華客船、セント・モーリアン号
全長670m、高さ88m。総トン数22万t。
その圧倒的なスケールから、『海に浮かぶ城』とも呼ばれたそれは、しかし今は不気味な雰囲気に包まれていた。

しかし、25年もの間行方不明になっていたにも拘らず、その外観はしっかりとしている。
船の塗装は剥げず、錆び落ちてもいない。風雨に晒された汚れが目立つぐらいだ。


「何というか………嫌な感じだね?」
《こう…いかにも【幽霊船です】的な雰囲気でないのが、逆に嫌ですね》
ヘリは大きく旋回し、甲板の真上に着く。
「行くぞ。ハッチを開けてくれ」
「了解」
ヴァイスがコンソールを操作し、ハッチが開けられる。風に雑じって、霧が中に吹き込んできた。
ベルトを外し、三人は縁に立つ。


眼下に広がるのは、既に異界へと変貌した船。



















「―――また、誰か来たみたいだね……でも、ここは僕の城だ……誰も、誰にも手は出せない」
闇の支配する世界に、男の声はとても良く響いた。





















後書き。という名の三次創作











アリシア「どうも、皆様のお耳の恋人、アリシア・テスタロッサです!!」

連音「本編もまだ終わってないのに何をやっているんだろうな……辰守連音です」

アリシア「この度は『とある魔導師と竜魔の忍の共闘』、略して『影とまと』を御読み下さり、ありがとうございます!!
いや〜、まさか本当に始める事になるとは思いもしなかったね〜?」

連音「ほぼ冗談で言った事でも、言い出したのが自分だから、作者も書くしかないよな」


(金色の女神、竜魔の忍、共に深く頷く。色々思う所があるらしい)


連音「で、ここは一体なんなんだ?」

アリシア「いや、せっかく三次創作をするなら徹底的に、という事で後書き風の対談をやるんだって」

連音「確実に自分の首を絞めているな……」

アリシア「まぁまぁ。本編がシリアスだから、こういった物もやりたいのよ。さて、記念すべき第一回?なので、ここでゲストを呼んでみたいと思います!!」

連音「ほう?」


(突如照明が消え、スポットライトが入る。同時に鳴り出すドラムロール)


アリシア「『とまと』といえばこの人!!そう皆様のアイドル!!」


(ドラムロールがクライマックス!!スポットが一箇所に集中される)


古鉄《どうも、私です》


(青いウサギ登場。竜魔の忍、盛大にコケる)


アリシア「という事で、アルトアイゼーン!!」

連音「待て待て待て待て!!第一回で、主人公差し置いてデバイスが来るっておかしいだろ!?」

古鉄《何を仰るウサギさん》

連音「ウサギはお前だ」

古鉄《良いですか?私は『真・主人公』なんですよ!?最早只の主人公には興味ありません!!》


(青いウサギ、ジャキーンとポーズを決める。具体的にはカ○ナ的な)


アリシア「さて、ゲストも来てくれた所で、早速進行したいと思います!!」

連音 古鉄《「普通にスルーした!?」》


アリシア「さて、今回のお話だけど……色々と手探り感が多いよね?」

連音「キャラの喋りは難しいだろうな。恭文とアルトアイゼンは台詞は多いけど、他の二人とデバイスがな」

古鉄《いっそ、全員ござる口調にしてしまえば良かったんでは?》

アリシア「なるほど!!」

連音「なるほどじゃない!!ハイタッチするな!!」



アリシア「ともあれ、次回から出て来るのはこっちのオリジナルキャラなので、少しは楽になるのかな?」

連音「さぁな……だが、苦労するだろうな、俺達が」

アリシア「あぁ〜、そうだね」







アリシア「さて、影とまとは一部時間軸と本編設定とが異なる場所があります。ここでは、その辺りを補足して行きたいと思います」

連音「むしろこっちが本題だな」

古鉄《まず、マスターの問題である現地妻’sですが》

連音「そこ、要らなくないか!?出ないだろ、誰も!!」

古鉄《いや、気になっている方もいるかもしれませんから……で、現地妻は12号ぐらいまでいます》

連音「本編の倍ッ!?」

古鉄《マスターがフェイトさんに振られ、その事を切欠に、他の人の事も一寸だけ見るようになった事が原因です》


(青いウサギ、やれやれと首を振る。恭文クオリティ全開である)


アリシア「しかも地球組は、ほとんど連音の交友関係から広がっているみたいね……どうよ?」

連音「―――俺に責任は無い」


(竜魔の忍、キッパリと言い切る。自業自得と言いたい様だ)


古鉄《で、本命のフェイトさんですが……まだフラグ成立をしていません。審査もまだです。というか、一度完璧に振られていますから》

アリシア「ここはちょっとだけあったね」

古鉄《結果、二人が一夜を過ごしたあのイベントも起きていません。ですが、電王クロスは起きています》

連音「ここも、ちょっとだけ出ていたな」

古鉄《そのおかげで、まだミッドチルダの糖尿病の発生率は低いままです。ついでにマスターを悩ませたあの大問題も起きていません。
…………何と言うか、平和ですね。これはマスターらしからぬ事です!!マスターは不幸で何ぼなのに!!》


(青いウサギ、頭を抱える。不幸で何ぼというのはどうなんだろう……?)


アリシア「まぁ、そのおかげか……IFルートに移行し易い状態なんだよね?」

古鉄《そうですね。第一位はギンガさんルートです》


(突如ファンファーレが鳴り響く。良いよね、ギンガ姉は。ある人のせいで、とっつあんなイメージが付いてるけど)


アリシア「後のIFは、影とまとパッチによる効果で……


(金色の女神、紙の内容を読み上げる)


フェイト リイン なのは はやて シグナム ヴィータ スバル ティアナ キャロ ヴィヴィオ ナンバーズ×12 ルーテシア メガーヌ カリム シャッハ 美由希 すずか 晶 レン フィアッセ ゆうひ アイリーン イリア エリス 那美 久遠 真雪 フィリス リスティ 美緒 知佳 連音 アリシア


…………だって。あー、疲れたぁ」

連音「よし、何故俺の名前があるのかを聞かせてもらおう」

アリシア「私の名前も入ってるね。ヤッちゃん、チャレンジャーね〜」

古鉄《それ以前に、この人数に突っ込まない辺りが流石ですね》

アリシア 連音「「どうせ言うだけならタダだし。後は各人が色々妄想すれば良い事」」


(竜魔の忍、金色の女神、一言一句違わずに答える。青いウサギ驚く。何というシンクロニティ)



連音「というか、シャマルさんが……」

アリシア「私には何も見えないわよ?」
古鉄《私にも何も見えませんよ?》

連音「―――そうだな」


(スタジオの向こうから「ちょっと待ってーーーーッ!!」と声が聞こえる。が、全員外って無視)




アリシア「さて、次回からはバトル全開な感じでいくのかしら?」

古鉄《そのようですね。謎の一団と、更に謎の存在に、私のドラグーンが火を噴きますよ?》


(青いウサギ、ドラグーンをビュンビュン飛ばす。マスターをほっからかして活躍する気満々である)


アリシア「むっ、これは負けていられないわね!よーし私も!!変ッ身ッッ!!」


(金色の女神、何かを取り出し掲げる。眩い光がスタジオを照らす。が、竜魔の忍が頭を叩いた)


連音「ハイ、そこまで。こんな所でネタバレをするな!」

アリシア「痛ぅ〜。ごめんなさ〜い……という事で、アリシアちゃんの変身はまた今度です!」

古鉄《では、次回を楽しみにしておきましょう》



(EDのミュージックが流れる。そろそろシメとなるらしい)


連音「という事で、始まったこの物語。純粋にバトル物としていく予定らしいな」

アリシア「とまとよりもシリアスよりな展開みたいなので、その辺りをどうかご理解下さい。作者はノリとギャグが苦手なタイプなんで」

古鉄《ともあれ、次回をお楽しみに。という事で、こちらでのお相手はゲストの古き鉄・アルトアイゼンと》

アリシア「美しき女神、アリシア・テスタロッサと」

連音「辰守連音でした……って、アルトアイゼンが仕切ってるぞ?」

古鉄《細かい話はどうでも良いんです。ではまた》


古鉄 アリシア「ばいば〜い!!」



(青いウサギと金色の女神、手を振る。その隣で頭を抱える竜魔の忍)






連音「……………良いのか、こんなんで?」







(ED曲は子猫のロックンロール。晶となのちゃんのデュエットのあれ)






次回に続く。











本編おまけ
縁での移動中のお話。


「そういえば、恭文」
「何ですか?」

「シャッハに聞いたんだが……なんでも面白いシスターがいるそうだな?」

「…………ヘェ、ドンナシスターデスカ?」


「シオン・ソノバラとかいう武闘派シスターらしいんだが………どうした?」


「何でもありません。もう許して下さい…………本当にもう、反省してますから……」







「ツラネ、話しか聞いてないのね………」







今度こそ、おしまい。


[次へ#]

1/7ページ

[戻る]


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!