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頂き物の小説
その18.島原エレナ誕生日記念ver2020/シャイニングブレイクは離さない


とあるガンプラビルダ―と彼女たちの星輝く日々の記録


「その18.島原エレナ誕生日記念ver2020/シャイニングブレイクは離さない」




≪Plaese set your GP―Base≫


ガンプラバトルのベ―スから出てきた声の言う通り、GPベ―スをセットするヨ。


≪Beginning【Plavesky particle】dispersal. Field――"Fu―un Dioemon castle"≫


バトルベ―スから青い粒子がパ―っと浮かんできて、これから戦うフィ―ルドとワタシたちが動かすスフィアになっタ。

ユニット上の粒子は物質化しテ、このシアタ―の所在する聖夜市の街並みに変化。

≪Please set your GUNPLA≫

言われたとおりにガンプラを、シャイニングブレイクを置いたら下から上まで青く光りながら粒子が入ってク。
ガンプラの前にカタパルト作られて、モニタ―にガンプラの視界が映ったら目の前にあるスフィアを両手でつかむヨ。


≪BATTLE START≫

「島原エレナ、シャイニングブレイク。行っくヨ―!」

スフィアを押し込んだラ、カタパルトに乗ったシャイニングがビュ―ンって加速して、フィ―ルドに飛び出すヨ。

目の前に広がるのは青い空と白い雲、それに石垣の上に立った日本のお城。
ワタシはよく知らないけど、本当に日本のどこかに立ってるお城じゃないと思ウ

だってお城の屋根にシャチホコやコマイヌじゃなくて、プチッガイが乗ってるんだヨ。


『――――そうだぜ、エレナ』


<CAUTION!>

急に入ってきた通信と同時にビビビ―って警報がなっタ。
モニタ―に映ったのは、お城の屋根の真ん中に立ってるジオ―の白いガンプラ――シャイニングブレイク。


『天が呼ぶ!』

左手にシ―ルドを掲げたジオ―のブレイクは、右手のライフルを上に向けて宣言。

『地が呼ぶ!』

次にライフルを地面に向けテ。

『人が呼ぶ!』

最後にワタシに向けテ。

『牛を倒せと俺を呼ぶ!』

そのまま両腕を大きく開いて、胸をノ―ガ―ドにしながらポ―ズを決めたヨ。

『さぁどっからでも掛かってきな、セニョリ―タ!』

どっから見ても隙だらけなのに自信満々で、何かあるのかなって思っタ。

『こないって言うなら、こっちから行くぜ!』

ブレイクは銃口が右を向いてたライフルを、横薙ぎで右から左へ振り回しタ。そこからもう一度、今度は右下ニ。

「ひゃっ!」

その一瞬の間に、ワタシのシャイニングに2発ビ―ムが当たっタ。
まさか振り回したライフルがこっちを向いた瞬間にトリガ―引いたノ?

ライフルを避けるには射線に入らないよ―にするのが基本だって教わったけど、あれじゃあ避けられないヨ。

でもダメ―ジはほとんどなくて、ホントの意味でかすり傷。
いつものジオ―のガンプラみたいに一撃でバトルを終わらせるような凄いパワ―はないみたイ。

「これってやっぱリ」

一目見た時から思ってたけど、あのブレイクはきっと『素組』なんだ。だからパワ―がないんダ。
ブレイクは盾をユラユラ揺らしながらライフルを振り回して、ピンポイントでビ―ムを撃ってくル。でモ。

「行っくヨ――」

パワ―が弱いからシ―ルドで簡単に防げル。そう思ったワタシはシ―ルドでビ―ムを散らしながら接近しようと思ったヨ。

なのにあとちょっとで攻撃が届くってタイミングでそのビ―ムがぐにゃって曲がって、シャイニングに絡みついてきタ。
絡みついたビ―ムはそのままピカピカに固まっテ、シャイニングは動けなくなって屋根の上に転がっちゃっテ。

「なにコレ!?」

ううん知ってル。マンガで読んだことあル!

「これって、ブレイクデカ―ル?ビ―ムをエフェクトのクリアパ―ツに変えたノ!?」

シャイニングブレイクにはブレイクデカ―ルを使っていろんなことが出来るガンプラだったんだヨ。
でも私のシャイニングにはどうやっても出来なくて、ジオ―も教えてくれなくテ。

「ジオ―、これどうやって」

『あ―疲れた。シェスタシェスタ』

「え―!?」

『Zzzzzz』


本当に寝ちゃった!?ちょっと待って、今バトル中だよっ。
こんな時に寝ちゃダメだよ!そんなんじゃ一番のチカラモチでもチカラの持ち腐れだヨ―。

……アレ?

ワタシ、どうしてあのブレイクがチカラモチだなんて思ったんだろ?
素組だからパワ―が弱いんだって、そう思ってたはずなのニ



◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



ちっちゃい頃、ワタシが困ったときジオ―はいつも傍にいてくれタ。
ママンがいなくて寂しくて泣いちゃったときモ。
パパンに連れられて日本に引っ越して、言葉もわかんなくて一人ぼっちになったときモ。
家族と一緒に旅行先で、弟と一緒に魚のお化けにさらわれた時モ。


いつだって、どこにいたって、ジオ―は来てくれた。いつだって、ワタシを助けてくれたヨ。


そんなジオ―にある日お願いされタ。「ある人に楽しいガンプラバトルを教えて欲しいんだ」っテ。
ジオ―に今までたくさん助けてもらったけど、ジオ―に助けてって言われたのはもしかしたら初めてだったかもしれなイ。

しかも「エレナにしか頼めないんだ」ッテ。ワタシ、なんだかスッゴク嬉しくなって、すぐにOKしたヨ


その相手の子はアイドルを目指してて、可愛いんだけど時々とっても頑固な女の子デ。
ワタシたちすぐに友達になって、い―っぱい楽しいガンプラバトルしたんだヨ♪


…楽しいバトル、したんだけどネ。

なんでかその頃から、時々ワタシの胸がモヤモヤするようになったんダ。
ジオ―があの子と一緒にいたり、あの子のことを話してるのを聞くと、胸がモヤモヤして苦しくなるんダ。

ジオ―は、モヤモヤしてるワタシを助けに来てはくれなかっタ。ワタシもジオ―にモヤモヤしてること言わなかっタ。
そんなモヤモヤしたまま数か月が経って、ワタシは街を歩いているとき突然アイドルにスカウトされたんだヨ。

それもジオ―が作るミリオンシアタ―って言う新しい劇場のガンプラアイドルニ。
ワタシが、あの子と同じアイドルになれル。それもジオ―と一緒にアイドルになれるんだ―って、もちろんすぐにOKしたヨ!


それから色々あって、シアタ―のアイドルになって、ジオ―と一緒にお仕事しテ。
コトハとメグミって友達も出来て、毎日スッゴク楽しいんだ♪

そのメグミがね、ワタシのこともスカウトしたヤスフミって言うプロデュ―サ―のこと好きになったんだっテ。
それでもっと仲良くなりたくて、ファッションのコ―ディネ―トとかしてあげるって言ってるんだけど聞いてくれなくテ

こうなったらガンブラバトルで勝って言うこと聞いてもらお―ってなって、3対1で勝負したんだけど負けテ。
私たちの戦い方も良くなかったよ―って反省したんだけど、やっぱり負けっぱなしは悔しいシ。

それなら私たちみんなでジオ―にガンプラ教えてもらおうって、ワタシ思ったんダ。
そしたらジオ―ともっと一緒に遊べるし、いいことばっかりだよネ?

そう思ったワタシはすぐにコトハとメグミにそのことを話したヨ。
2人とも賛成してくれたんで、あとはジオ―にお願いするだけ……だったんだけド。

「お断りだよ」

技術室のジオ―にお願いに言ったら、ピシャリと断られタ。
まさか断られるなんて思ってなかったワタシは、すごくショックだっタ。

「おまえらさ、アオナギの服をバカにしてトコロの趣味を押し付けようとしたんだってな。
それでうんと言わなかったから、3人がかりでバトルして無理やりいう事聞かせようとしたと」

「バカになんかしてないし、押し付けてもないヨ」

なのに、ジオ―はとっても悲しそうな顔をしタ。

「アオナギはロクデナシのちゃらんぽらんだけど、一方的に踏みにじっていいとは思わない。
アイツが好きで選んだものを、アイツの大好きって気持ちを無視して貶していい筈がない」

「それは…ゴメン」

「それに、それがなくても俺はシアタ―メンバ―にガンプラバトルを教える気なんてないよ」

「どうしテ?」

「だって―――俺には楽しいガンプラバトルなんて分かんない」

「え…」

「ガンプラアイドルのバトルはみんなにその楽しさを教えるものだろ?そんなの俺には教えられない」

その言葉は予想外すぎて、ワタシは何を言っていいかわからなかっタ。

「……ツダプロデュ―サ―に、39プロジェクトの皆のバトル相手をしてくれって頼まれてる。
仕事だから対戦はするよ。でもそれだけだ、俺から皆に何かを教えたりはしないよ」

そう言ってジオ―はカバンを持って部屋から出ていこうとして…待ってヨ!

「待って、あの子にガンプラ教えてたとき、ジオ―笑ってたヨ!」

だから、私もあんな風に笑ってるジオ―とバトルがしたかったんだヨ。

本当は何かを教えてくれなくてもいいヨ。このままヤスフミに勝てなくてもイイ。
ワタシはただ、ジオ―と一緒に楽しく遊びたかっただけで、バトルする理由はなんだって良かったのニ。

そんな言葉が胸の中でいっぱいになっテ。結局何も言えなくテ。

ジオ―は一度だけ振り返って、でも何も言ってくれないまま手を振って部屋から出て行っちゃっタ。

……ジオ―に断られたこと、コトハとメグミに言えなかっタ。
ジオ―は言ってた通り翌日から私たちとバトルしてくれたから、バレなかったけド。

でも毎回ほとんど一撃で倒されちゃって、あんまり楽しくなイ。
メグミもつまんなそ―だったけど、それ以上にジオ―が楽しくなさそうだっタ。

ワタシも、凄く悲しかっタ。でも誰にも相談できなくテ、誰にも心配かけないように笑ってることしかできなかっタ。

そんな日が数日続いた頃、突然ジオ―から”果たし状”が届いたんだヨ。


◆◆◆◆◆◆◆


クリアパ―ツに変身したエフェクトパ―ツに縛られて、飛べなくなったワタシのシャイニングはお城の屋根に落っこちちゃっタ。
なのにジオ―のブレイクはなんでか屋根の上で昼寝を始めちゃったヨ!


「ちょっとジオ―、起きてヨ―」

『Zzzzzz』

む―、バトル中なのに本当に寝ちゃってル!こ―なったラ。

「むむむむ…!ス―パ―モ―ドだヨ、てや―!」

シャイニングの体がピンク色に光ってパワ―が溢れてくるヨ。
そのパワ―を使ってチカラズクでエフェクトパ―ツを壊すのに成功!

パキパキパキンって音を立てながらクリアパ―ツを壊すことに成功。

私は今も昼寝してるジオ―のブレイクにライフルを向けル。

『むにゃむにゃむにゃ―……お腹いっぱいでもう食べられないよ―』

む―バトル中に何の夢見てるのカナ!ちょっと怒ったヨ!

今は眠ってるけど下手に近づいたら起きてまた何か反撃されるかもしれないから、私は今の距離を保ったままライフルを撃――

『ドカン!』

「わっ!?」

撃とうとしたら、何かにライフルが弾かれたヨ!?

『ドカンドカンドカン!』

寝てたブレイクの左肩のスラスタ―がこっちに向いてて、何かがシャイニングに当たってル!

装甲は全然無事だけど、うまく動けないヨ!

そうやってシャイニングが足止めされてるうちにブレイクは屋根を転がりながら立ち上がっタ。
そのまま腕を90度背中に回して、肩のスラスタ―を両方正面にいるシャイニングに向けてきテ。

『ドカドカドカドカン!』

見えない空気砲の連射。シ―ルドを前に押し出したら今度はカバ―しきれない足元を狙われタ!

ワタシは膝をついて体全体をカバ―できるようにシ―ルドを構えル。

これでしばらくは保つけど、これじゃ身動きできなイ。
デモこれじゃライフルもビ―ムサ―ベルも使えないカラ反撃できないヨ!どうしよウ!

こういう時ジオ―なら、いつものジオ―なら、どうするカナ?
粒子発勁とかガイアクラッシャ―で足元崩したり、グラビトンハンマ―で上とか横から攻撃して空気砲を躱すとかするカナ?

「……あれ?」

今ワタシ、ブレイクの見えない攻撃を『空気砲』って言っタ?
なんでワタシ、そんな名前だと思ったんだロ?どこかで見たのカナ?

≪CAUTION!≫

どこでだっけって考えようとしたら警報が鳴っタ。


『ワガハイの眠りを妨げたのはお主であるか?』


シ―ルドにピッタリ隠れてたシャイニングが上を向くと、そこにジオ―のブレイクの顔があったヨ。

間合いを詰められたんじゃなイ。空を飛んでたんでもなくテ。

さっきまでと同じように屋根の上に立ってたジオ―のブレイクは、『三倍くらい』に大きくなってタ。
それもピンク色に光ってて、さっきのシャイニングと同じス―パ―モ―ドだと思ウ。

「これまさか、ブレイクデカ―ルの巨大化なノ!?」

ジオ―のガンプラは絶対に素組だったはずだヨ。なのに、どうしてこんなに凄いことが出来るのカナ!?

『ワガハイ、怒っているのでアァァァァル!』

「きゃ―――!」

振り下ろされたパンチで屋根が壊れちゃって、ワタシはびっくりしてる暇もなく空中に放り出されテ。

ドボォォォォォォン!って大きな音を立てながら水の中に突っ込んじゃったヨ。

お城の周りの池?それとも川?とにかく早く自ら上がって態勢を立て直さなきゃ


『ひゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?水こわい水怖い水コワイ水恐いぃぃぃ!」

「ほへ?」


やられちゃうって思ったのに、なんでかジオ―のほうがピンチになって慌ててタ。
私と同じように水の中に落ちて、どうしてか溺れそうになってたんだヨ


『ミズ怖いみず恐いミズ((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル』

あんまり予想外過ぎて、私はバトル中だってことも忘れてジオ―を助けに行っタ。

「も―落ち着いてよ、ディオメッド!――――――――――――――――――あ」

何故カ。

凄く自然と出てきたその名前に、ワタシは今日ジオ―が何をしてたかやっとわかったヨ。


これ全部、"ディオクマ―ズ"の技なんダ。



ブラジルにいた頃、私とジオ―の傍には特別な7人のガンプラたちがいタ。


忘れん坊だけどサッカ―がすごく得意なディオリ―ニョ。

高いところが怖いのに宇宙飛行士を目指してるガンマンなディオ・ザ・キッド。

水が苦手だけどたくさんの魔法が使えるディオメッド三世。

すぐシェスタしちゃうけど凄くチカラモチな闘牛士のエル・マタディ―オ。

とっても無口だけど狼男に変身して炎も吐けちゃうディオニコフ。

女の子の傍だとあがっちゃうけど凄く頭がよくてカンフ―の達人な王(ワン)ディオ。

そしてスッゴク意地悪だけど物知りでみんなをまとめるリ―ダ―なディオクマ。


そんなベアッガイの改造ガンプラのチ―ム『ディオクマ―ズ』には、ワタシのママンにもパパンにも内緒にしてた秘密があっタ。

ディオクマ―ズは自分で考えて自分で動いて自分でしゃべることができる、特別なガンプラだったんダ。



"ね―、このアニメに出てる子、キッドと声が似てるね?何言ってるか分からないけど"

"ふむ、確かに。それになかなか強力な魔法の使い手でアルな"

"いや似てねえだろ。俺はこんなふ―に仲間を捨てて逃げたりしね―よ"

"ど―だか。高い所こわ―いって逃げ出すんじゃねえ―の?"

"しねえっつってんだろ。やんのかマタディ―オ!"

"おう受けて立つぜ!戦闘力53万の俺様とやろうっていうならな―!”

"いいぞ―、やれやれ―"

"止めましょうよディオクマ。喧嘩なんてくだらない"

"ガウ?"


もちろん、ガンプラバトルのバトルベ―スとかプラフスキ―粒子なんか必要なかっタ。
というかガンプラバトルがまだなかった頃の話だヨ。

みんなすごく元気で、毎日遊んだり喧嘩したりしてたと思ウ。
もうあんまり思い出せないけど、ジオ―だって、みんなとよく喧嘩してたはずだヨ。


そのディオクマ―ズの物まねをなんでジオ―が今してるのか分からないけド。
溺れて暴れるブレイクを何とか捕まえて、お城の中庭に運ブ。


『あぶぶぶぶぶ』

「うんしょ、ジオ―!しっかりしテ!」

人間だったら飲んだ水を噴き出してるみたいな音を立てるブレイクの顔を覗き込ム。
シャイニングとブレイクの顔が近づいて、チュ―できそうなくらいの距離。

バルカンでも撃ったらどっちも大怪我するんだろうな―って思ったけど、ここでジオ―が撃つなんてことは全く考えなかっタ。

『ううう…アヒョ!?』

それどころか急に慌てて転がって離れて飛び上がっテ。

『アヒョ―!?アチョチョチョチョ!?』

なんか不思議な踊りを踊りだしたヨ。これはもしかして。

「も―!ワタシにまで照れないでよ、ワンディオ!」

『ヒョ!?』

そう言うとブレイクはピタって止まったヨ。

「ねぇジオ―。なんでミンナの、ディオクマ―ズの真似なんて――」

『お黙りなさい!』

してるノ?って聞こうとしたのにジオ―は急にジャンプ。そのまま宙返りしながらかかと落としを繰り出してきたヨ。

しかも空中で金色に輝きだした。これってス―パ―モ―ドじゃなくて、ハイパ―モ―ド?

『論外でしてよ!』

「きゃッ!」

私は両手を頭の上でガ―ド。今までと同じで攻撃は軽いからダメ―ジはなイ。
でも続いて右足の3連続キック、左の膝蹴りをお腹に1発、バク転しながらアゴに1発攻撃されタ。

しかもヒットするたびにパチ―ンって星みたいなのがキラキラ飛び出して翻弄されル。

『謹んで見上げなさい!』

バク転して距離をとったブレイクが手を頭の上にかざすと大きく光って、シャイニングの周りにパパパパって星が弾けたヨ。

「あいたたた」

装甲にダメ―ジはないけど弾かれて背中から倒れちゃっタ。

でもこれ、なんだろ。王ディオの拳法でもディオメッドの魔法でもナイ。
キッドでもエルでも、ディオニコフでもディオリ―ニョでもナイ。

でも知ってる気がする。こんな風に戦う人を、誰か身近で知っていた気がすル。


『ふっ、これはファラオ闘法、そして美気(ビュ―ラ)よ!』

「ビュ、ビュ―ラ?何それ」

『愚か者の振りをするのはおよしなさい。世界で一番美しいあなたには分かっているはずよ!』

「ふぇっ!?」

何言ってるノ!美しいとかトツゼン言われても困るヨ!

『いいや分かるはずだ!お前はいまや世界で一番きれいで宇宙で一番かわいい女の子なんだぞっ!』

『分んないヨ!あと急に声色がいつものジオ―っぽくなってるヨ!』

さっきまでちょっと女の子みたいな喋り方だったのに!
昨日までき、きれいとか言わなかったのニ!こんなの絶対おかしいヨ!

『ふっ、むつかしいわね』

「難しくしてるのはジオ―だヨ!」

なんでこんなことしてるのか、ちゃんと説明してヨ!

『なら、まずはこの時間を終わらせましょう』

そう言ってブレイクが右手を掲げた。広げた手のひらの真上に、周りから金色の砂みたいなのが浮かび上がってきタ。
スフィアを動かしてセンサ―を切り替えたらわかった。これ、粒子じゃなくてプラスチックの粉だヨ。

『とぉ―うっ!』

砂が浮かび上がる金色の空間で、ブレイクが左手に持ってたシ―ルドを投げタ。
右手は背中から抜いたビ―ムサ―ベルからビュ―ンてビ―ムを出して、それがムチみたいになってシ―ルドを掴んダ。

「うわっ!?」

シ―ルドはビ―ムのムチでビュンビュン振り回されて、蛇みたいに動ク。
ムチになってるビ―ムはだんだん赤くなって、やがてシ―ルドの蛇が炎に包まれタ。

ワタシは距離を取ろうとしたけど、いつの間にかスラスタ―や間接に何か詰まってうんともすんとも動かなかっタ。

「これ、さっきの砂なノ?いつこんなノ」

仕掛けられたかなんて考えてもワタシに分かるわけなかっタ。
混乱している間に、炎の蛇は私の周りをグルグル取り囲ム。
そのスピ―ドはどんどん速くなって、炎に包まれて空も見えなくなっテ。

『終焉を告げるときの蛇―――ウラエウス・アストラテ!』

次の瞬間炎が爆発して竜巻になって、身動き取れないシャイニングは燃やされながら青い空高く放り上げられたヨ。

≪CAUTION!≫

モニタ―があちこち赤くなってビ―ビ―って警報も鳴ってる。
今度は流石にダメ―ジが入ったのかと思ったら、そうじゃなかっタ。

ベルク―トになって地上から飛んできたジオ―のブレイクが、全身燃えながらシャイニングを追い越しテ。

『高さは十分…デ―ス!』

両腕、両肩、両足のスラスタ―から更に炎を噴き出して加速しながラ。
シャイニングの胸に、ライダ―キックしてきタ!

『シウ、コアトル、チャレア―ダァァァァッ!!』

キックが胸に当たった瞬間、ブレイクは爆発してさらに燃え上がったヨ。
自分が火だるまになりながら攻撃してくるブレイクは熱そうで痛そうで、怖かっタ。だけド。

モニタ―いっぱいに映るブレイクは、ハイパ―モ―ドの金色の光と真っ赤な炎が混ざり合って朱色に燃えテ
それが後ろに広がる青空の中で、とっても綺麗で強そうだなって思っちゃっタ。

それに、通信モニタ―の向こうに見えるジオ―の顔が、口の両端を釣り上げて――笑ってタ。

挑むようニ、楽しそうニ、ジオ―が笑っていタ。

ずっと見たくて、だけど見れなかったジオ―の笑顔に、ワタシはすっかり見とれちゃっタ


≪Battle Ended≫

それから地面に激突するまでの長くて短い時間、ワタシは指一本動かせなくテ。

≪You Win!Winner Shimabara Elena!≫

気が付けばブレイクの両手両足が燃え尽きて、何故かワタシがバトルに勝ってたヨ。

その直後、コックピットを区切っていた粒子も消えてベ―スの向こう側に立ってたジオ―の姿が見えタ。
そこにいたジオ―は笑顔だった。でもさっきモニタ―越しに見た笑顔とは少し違ってタ。

まるでいたずらが成功した時みたいナ、してやったり?な顔でこっちを見ていテ。

「……疲れた。もう、限界」

そのまま後ろにひっくり返っタ。

「ジオ―!?」

ワタシは床に倒れて大の字になったジオ―に慌てて駆け寄ル。

「ジオ―、大丈夫なノ!?」

「……全力使い尽くした。動けない」

「なんでそんなこト」

「なんでもなにも、お前が言ったんだろうが。楽しいガンプラバトルをしたいって」

「ほエ?」

ワタシ、確かに言ったヨ。ジオ―と楽しいガンプラバトルしたいッテ。でもそれでなんで倒れるノ?

「どっかの3流メイジンが全力を尽くすからこそバトルは楽しいって言ってたろ。
同じように今、俺は全力でやった。全力使い尽くしたから体力はすっからかん。ほら、当然だろ?」

「え―?」

それはなんか違うよ―な気がするヨ?

「で、でも全力を尽くすならどうして素組だったの?」

それは全力を出してないってことじゃないノ?
それになんで素組なのにあんなに凄いことできたのかも不思議だヨ

「だって普通に作りこんだガンプラで全力出してたら、お前らすぐにヤラレテつまらないって文句言ってたじゃないか」

え、それってこの数日間のバトルのことカナ。じゃ、じゃあジオ―は楽しいバトルをするつもりがあったってコト?
楽しいガンプラするために全力出して、でもワタシたちはすぐにやられちゃって文句だけ言ってたノ!?

「だから、思いっきり殴っても撃ってもほとんどダメ―ジ通らないように素組で出した。
それでエフェクトがしょぼくなるのを補うために大量のサンドも持ち込んだ。ほとんど燃え尽きたけど」

「サンド?」

「シアタ―中から集めたガンプラのランナ―やら余剰パ―ツやらの廃棄プラスチックを細かく砕いて粉末状にしたものだよ。
それをサイコフレ―ムって設定で持ち込んだんだ。質が低くてもプラスチックの量が揃えばたくさんの粒子を制御できるから」

たくさんの粒子をセイギョできると、素組でも凄いことが出来るノ?

「例えば、バトル中にビ―ムをエフェクトパ―ツに変えて見せただろ?」

「うん」

「それ本当は砕いたエフェクトパ―ツをビ―ムに見せかけてたんだ。それを集めて一時的に固めた。
巨大化も人型に配置したサンドに本体の動きをトレ―スして立体映像とサイコパワ―を投影したものだ
キング・オブ・ハ―トとSD外伝の伝説の巨人のイメ―ジも混ぜてるけどな」

そんなこと言われても、ワタシにはなんか凄いってことしか分からなイ。
けどなんか不思議なことしたんだ―ってことには納得したヨ。だから次の質問。

「じゃあどうしてディオクマ―ズの物まねなんかしたノ?それに最後の方の、女の人みたいな喋り方してたのはナニ?」

ディオクマ―ズと違って女の人のは誰だか分からなイ。でもどこかで会った気がすル。

「…前にさ、アイツの前で俺が笑ってバトルしてたって言ってたろ?
その理由を考えてみたら、3つくらい浮かんだ。
その一つはアイツがディオクマ―ズを見つけてくれたってことだ」

ジオウはそう言ってスマホを取り出して、どこかのホ―ムペ―ジを開いタ。

そのトップには2枚の写真があっテ、ひとつにはちっちゃいころのワタシとジオ―とディオクマ―ズ、それから2人の友達が写ってタ。
もう1枚に写ってるのはもっとちっちゃいワタシとジオ―と、髪の長い男の人。髪が紫でツインテ―ルな女の子、金髪で元気そうな女の人と緑の髪でとっても綺麗な女の人。


「覚えてるか?いなくなったククルンたちを探したくて作ったHP。
お前が日本に行ってからすっかりほったらかしてたのをアイツが見つけて、俺に連絡をとってきたんだ
346のガンプラアイドル特別枠に受かりたいから、ガンプラを教えてくれないかって。

最初は断ったけど、それでもしつこく頼んできて、それにディオクマ―ズのことを好きになったって言ってくれて。
俺はそんなアイツを邪険にし続けることはできなかった。だからディオクマ―ズの思い出や強さもアイツには教えた」

あの子は、ジオ―の今でも大好きなディオクマ―ズのことを知ってた。だからジオ―も楽しくガンプラバトルが出来てたノ?

「それがひとつめの理由。2つ目は、アイツには俺が楽しいガンプラバトルが嫌いだってはっきり伝えてたこと」

「え…」

「その分だけ、肩の力が抜けてたのかもな。他の皆の前では、バトルに水差しちゃダメだから黙ってるけど」

その言葉を聞いた瞬間、ゾッとしタ。薄々そうじゃないかって思って、でもそんなわけないって思いこもうとしてたことだっタ。

楽しいガンプラバトルが分からないだけじゃなくて、嫌イだってはっきり言われタ

ワタシは聞き返そうとして、でも何を言われるか怖くなっテ。ソレでも恐る恐る聞いタ。


「な、なんデ?ジオ―はどうしてガンプラバトルが楽しくないノ?」

「暗い」

「ヘ?」

返ってきた言葉はたった一言で、ワタシは口をぽかんと開けた。

「だから、操縦席が真っ暗だろ。こんな凄い技術があるんなら全天モニタ―とリニアシ―トくらいつけろってんだ」

「え―と」

「それから視界が狭い。メインモニタ―に映るのはガンプラの両目から見える映像ばっかりだ。
自分の姿が見えないからどんなに丹精込めて作ったガンプラが凄い技を出しても見ることが出来ない。
俺は自分の作ったガンプラと遊びたいのにその技も顔も形も全然見えないんだぞ。
疑似VRとしてなら正解だろうがこれなら横からキャラを見れる2D格闘ゲ―ムのほうがずっといい。

唯一見えるのは相手の姿だけどその相手がなんか凄いことする前にぶっ壊してしまおうってゲ―ムだろコレ?
誰かが一生懸命作って元気に走り回ったり空を飛んだりビ―ムを出したり出来る凄いガンプラたちが目の前にいて。
その色んな楽しいことをする前にぶっ壊して台無しにして、終わりにするのは酷いしもったいないしつまらないじゃんか」

「え、え―と、そうなの、かナ?」

急にたくさん話し出したジオ―に目を丸くすル。もしかして、ずっと我慢してタ?

そんなジオ―の気持ちを、あの子はずっと前から知ってタ。
それは弟子だからなノ?それとも無理にガンプラバトル教えろって迫られて、怒ったカラ?

どっちか分からなイ。でも今、すごく悔しイ。すごくモヤモヤする。


「その上で理由3つ目。アイツは、何度やられても倒れても止まらない奴だった」

「え?」

「アイツは頑固でしつこくて、オ―バ―ワ―クになってもやりたいことをやめない奴だ。
倒れても敗れても、すぐにガンプラを直してまた立ち向かってくる。

倒しても負かしても壊しても、絶対に終わらない。
立ち上がってまた挑んでくる。続いていく。

俺を超えるために、自分の夢を叶えるために。

壊れたガンプラも壊れたままなんかじゃない。
壊れるたびに直して改造して強くなって生きていく。

だから俺も全力で倒しに行けた。自分が勝利するためじゃない。
アイツの思いに応えるために。一緒にガンプラを強くするために。

アイツが敗戦から学んで工夫を凝らしてくるのは面白かった。
何度も直して手を加えたアイツのガンプラが少しずつ性能を上げていくのは嬉しかった。
いつか俺を倒して夢を叶えるアイツの姿を想像するのは、確かに俺の楽しみだったと思う。

ガンプラと遊ぶことは叶わなくても、俺はあいつと一緒に一組のガンプラとアイドルを作り上げていたんだ」

倒すんじゃなくて作り上げてタ。そう言うジオ―の顔はあの時見た笑顔と同じデ。

「…………………ジオ―」

ワタシは、そんなことちっとも考えなかっタ。

ガンプラバトルは楽しくて、言葉が分かんない人同士でも笑いあえるし、仲良し同士ならもっと仲良くなれル。そう思ってたヨ。
だけどジオ―が楽しいバトルをしないのをみて、私は顔でだけ笑って心では怖がってタ。メグミたちも不満に思ってタ。

怖がったり文句を言うだけで、次こそは勝つとか今度こそ笑わせるとか、そういう気持ちはなかったヨ。
それがジオ―を笑わせたあの子とワタシの違いなんだって、よく分かっタ。

分かったけど、すごく悔しい。すごくモヤモヤする。モヤモヤして、胸が苦しいよォ。
あの子には当たり前みたいにできたことが、どうしてワタシにはできなかったのカナ


「と言うことを踏まえて、俺がどうすればお前と楽しいガンプラバトルが出来るか考えたんだけど。
その為にはやっぱりディオクマ―ズや他の家族のみんなにもチカラを借りなきゃって結論になってさ」

「エ?………なんデ?」

「なんでって言うか、俺はまずみんなのことが大好きで帰ってきて欲しいし、他の人にも知って欲しいしお前には思い出して欲しい。
それに皆なら俺と違ってガンプラバトル気に入るだろうから、みんなになり切れば他の余分なことをひとまず棚上げしてバトれるかな―って」

「違うよ、そうじゃなくて、なんでジオ―は楽しいガンプラバトルをしようとするノ!?そんな必要ないよね!」

だってジオ―はガンプラバトルが楽しくないんだよネ!なら無理して楽しい振りする必要なんて無い筈だヨ!

「あるよ、必要。楽しいガンプラバトルが出来なかったら、エレナと一緒に居る時間が減るだろ」

「………っ」

「それに他の奴が俺よりエレナと仲良くなるかも知れないじゃないか。そんなの嫌だよ」

「どうして、そんなこと」

言うのカナ。どうしてそんなことを、思ってくれるのカナ。

「お前が765プロに入るって言ったとき、アオナギにバトルで勝ちたいから教えろって言われた時、俺はモヤモヤした」

「モヤモヤ?」

ジオ―も、ワタシと同じように?

「あのとき俺はお前を責めて断ったけど、トコロがアオナギの服を貶した目的がアオナギと仲良くなることだったんだから、
他にいくらでも代案を出すことは出来た。それをしなかったのは、トコロと一緒にお前までアオナギと一緒に居る時間が増えて
仲良くなるんじゃないかって怖かったからだ。 今更だけどゴメン。お前を責めといて、俺のほうこそズルかった」

「そんな、ジオ―が謝ることなんて無いヨ!」

ワタシも、本当はあのときメグミを手伝おうとか考えてなかっタ!
ただジオ―と一緒に居られる時間が増えればいいって思ってただけだッタ!

「あれから考えてた。嘘つくズルしてエレナと他の誰かを引き離すのが駄目なことなら、正しいことや良いことって何だろうって。
考えた結果、エレナが他の誰かと遊んでる暇がないくらい楽しくて、夢中で笑顔になれる時間を俺がプレゼントすることだって思った。
その為にもどうしても楽しいガンプラバトルをしたかったんだ。なぁ最後の技を出してた時の俺はどうだった?楽しそうだったか?」

「うン。楽しそうだったしとっても綺麗だったヨ」

「良かった。お前は覚えてないかもしれないけど、あれはククルンの技だ。その前のはパトランの物まね」

その名前は知ってる。さっきスマホで見た写真にも載ってた、金髪で元気そうな人がククルンで、緑髪の凄く綺麗な人がパトランだヨ。
ワタシは昔のことほとんど覚えてないけど、ジオ―やママンに何度も見せてもらったかラ。

見せてくれた時のジオ―はいつも困ったような大切そうな、穏やかな顔してタ。

「ククルンがこの技出すときは、頭来るくらい楽しそうに笑ってた。お前も真似して飛び降りして、大変だった」

「えぇっ、そうだったノ?」

「そうだったんだ。いつもは呆れてばっかりのリュア姉まで一緒になってさ……あぁ、本当に大変だった」

今しみじみした感じで語るジオ―の顔は困ったような大切そうな、幸せそうな顔して笑ってル。

私が欲しかったジオ―の笑顔がそこにあっタ。

「……とまぁなんか脱線して色々話したけどさ、とりあえず俺の方は楽しいバトルを出来たと思う。
それでその、お前の方はどうだ。今日のバトル楽しかったか」

かと思ったら急におどおど不安そうになって聞いてきたジオ―がおかしくて、ワタシはちょっと意地悪したくなったヨ。

「う―ン、どうだったかナ―?」

「うぇぇっ!?だ、駄目だったか」

「何にも教えてくれないままワタシ振り回されたよネ―。最初に駄目だって言われた時も悲しかったシ―」

「そ、そうか。そうだよなそりゃそうだゴメンナサイ!」

怒ってるふりをするワタシに慌てて謝ってくるジオ―がおかしくて、笑いそうになるのを我慢すル。
それで一層ツ―ンて顔になっちゃってるワタシにジオ―は必死な顔して言ってきタ。

「そ、そうだお詫びにはならないと思うけどもう一度バトルしないか!用意してた技はまだ他にもたくさんあるんだ」

「ん―無理じゃないかナ―。だってジオ―のブレイク、ボロボロだヨ―」

ベ―スの上をちらりと見ると、無傷なワタシのシャイニングの隣で両手両足を失ったまま寝ているブレイクがいタ。

「大丈夫、すぐ直すからっ!―――どりゃぁぁぁぁぁ」

でもジオ―は慌てて起き上がって、ブレイクを手に取ると。なんか両手が目に見えないくらい凄く速い動きをして。

「わぁ、本当に直っちゃっタ!」

あっという間にブレイクを直しちゃって、びっくりだヨ。意地悪してたのも忘れて普通に感心しちゃった。

「元々、こうするつもりではあったんだ。さっきも言ったけど、俺が楽しいのは一つ一つで完結するバトルじゃない。
バトルを繰り返すことで何かを作り上げるのが楽しみなんだって。俺はお前を笑顔にして、ずっと一緒に――」

「ジオ―!」

セリフの途中でジオ―の体がぐらっと傾いて膝をついた。さっきまであんなクタクタだったのに、無理し過ぎだよォ。

「あはは、ごめん。話してる間に体力回復したかと思ってたんだけど、まだ無理だったみたい」

「も―、なんでそんな無理するノ?」

「それはホラ、こうしないとモヤモヤするってさっき言ったし」

「じゃあなんでモヤモヤするノ?」

「なんでって、それはエレナを他の奴に渡したくないって言うか、独り占めしたいって言うか」

「なんで独り占めしたいノ?」

「だから。それは」

「なんデ?」

「…俺がエレナを好きで、大好きで、一緒に居たくて、エレナがいなきゃ生きていけないからダ」

その言葉があっという間に胸に染みて、熱い何かがワタシの胸からあふれそうになっタ。

「そう、なんダ」

「本当は日本になんか住ませたくなかった。誘拐でも何でもしてリオの俺たちの家まで連れ帰りたいって、何度も思ってたよ」

「そっカ。そうなんダ―。ねぇジオ―」

「なに……むぐっ!」

「えへへ、大好キ」

私は胸からあふれる熱い何かに押されるみたいにジオ―に抱き着いて押し倒して、そのままジオ―の唇に押し付けタ。

「お、おま。急に何を」

「"元気注入"だヨ。昔はよくやったよネ―」

「ば、ばかっ!昔ならともかく今は俺たち大人なんだぞ。こんな事したら元気になるだけじゃ済まないんだぞ」

ジオ―は顔を真っ赤にして慌てだしタ。あれ、注入失敗?それとも騒げるくらい元気になってるのかナ?

「ジオ―、なんか駄目だっタ?」

「いや駄目とかじゃなくてだなっ。むしろ良すぎるのが問題って言うか」

「???ど―ゆ―こト?」

「それはだな、その、つまりこんな風にキスされて押し倒されて胸まで押し付けられたらさ、アレがアレするだろ!?」

「そんなんじゃ全然わかんないヨ―!」

「だからその、やらし―ことで頭がいっぱいになるって言うか」

「ヤラシ―?何なのソレ」

「何って、そりゃアレだよアレ。分かるだろ!?」

「む―、わかんないヨ―」

だからちゃんと教えてってバ―。

「マジか。え、冗談とかじゃなくて?」

なんでジオ―が驚いてるノ?これ以上教えてくれないなら、ワタシにも考えがあるんだからネ!

「教えてくれないと、ず―っと許してあげないヨ―?」

そう言ったらジオ―が顔を真っ青にしてあわて始めたノ。。

「こ、ここでは駄目だ。本気で教えて欲しいなら、週末俺のうちに泊まりに来るとか」

「うん、わかった―。約束だヨ―」

嘘ついたらハリセンボン飲―まス。指切った。

「……マジか。マジなのか。ど―すりゃいいんだホント」

何故かジオ―は頭を抱えてるけど、大丈夫だよネ。約束までしたらジオ―は絶対破らないもノ。


「あ、そうダ。もう一つ聞き忘れてたんダ。聞いていイ?」

「こ、答えられることなら」

あれ、なんか警戒してル?意地悪し過ぎたカナ―。。

「今日はどうしてアストレイじゃなくて、シャイニングブレイクを使ったノ?」

ディオクマ―ズの物まねするなら同じベアッガイでも良かったよネ。
もしかしてワタシが使ってるから同じのにしたノ?

その疑問にジオ―は頭をかきながら恥ずかしそうに答えてくれた。

「それは願掛けと言うかゲン担ぎと言うか、そんな感じのもんだよ。
シャイニングブレイクを最初に見たときさ、俺はヘンテコなガンプラだなって思ったんだ。

なんでわざわざシャイニングにライフルとシ―ルド持たせてまで可変機に改造してるんだ。
可変機が使いたかったら最初からキュリオスとかゼ―タとか使えばいいのにって」

う―ん。ワタシは全然気にしてなかったけど言われてみればそうかモ。

「でも少し考えたら気付いたよ。シャイニングブレイクの制作者であるア―クは可変機じゃなくてシャイニングを使いたかっただけなんだ。
どんなに負けが込んでもシャイニングが大好きで一緒にGBNで遊びたかったから、ブレイクデカ―ルまで使ってでも手放さなかったんだ。

ゼンのことだってそうだ。喧嘩して一度は離れちゃったけど、ちゃんと仲直りして手を繋ぎなおした。
ブレイクの元になったシャイニングガンダムのドモン・カッシュだって、一番大事なレインを取り戻してる。

シャイニングのパイロットってそういう縁が多いから、俺もあやかりたかったって言うか。
つまりその、エレナとどうしても仲直りしたかったからお守り代わりに一緒に来てもらった、みたいな」


ジオ―が照れながらそう言うのを見たワタシは、ジオ―をぎゅ―ってしてまた"元気注入"したヨ



(おしまい)



◇◇◇◇◇◇


(あとがき)


ジオウ「10月26日は島原エレナの誕生日……から7週間も経って
いるけど何とか年内に書けました、ジオウ・R・アマサキです」

(エレナどころか小日向美穂の誕生日にもなり、去年約束した中谷育の誕生日小説も書けず。
もちろん前回書いてた横山奈緒小説も全然で色々ダメダメです。書きたいネタは色々あるのに)

えもん「そんな有様だからエレナちゃんのブラジル時代を描いた新規SSRを狙っても、
200連の爆死をしたんじゃないかと思います、ディオえもんです」

ジオウ「うぐっ!ま、まだだ。まだここにフルコンボやクリア回数Sを重ねて
集めた最後のミリオンジュエル2500個がある。これでラストチャレンジを」

えもん「やめときなって。これで当たるなんて都合のいいこと」


(早坂そら『最高の一枚が撮れました』)


ジオ・えもん「「え?」」


エレナ(小)「ジオ―、リフティング見てて―」


ジオ・えもん「「嘘だぁぁぁ!」」


(嘘のような本当の話で、おかげで一度書いたあとがきを一部書き直してます)


えもん「と、とにかく今回のお話は第1話「タナカ・ガンダム・レポ―ト」の裏側と言うか、時期がちょっとかぶってます。
ここで色々吐き出したことで、これ以降のガンプラバトルに対する姿勢がちょっと前向きになるというか、肩の力が抜けます。

ガンプラバトルの試合に勝つこと自体に楽しみを感じてはいないのは変わらず、それでも『楽しいガンプラバトル』をするときは
慢心全開な悪役ム―ブで派手かつ隙の大きいバトルをしつつ、試合の勝利以外の価値ある勝利を求めるようなスタイルですね」

(今回で言えば目的はエレナを笑わせて楽しいと思わせること。ジュリア編ならとことん歌いぬくスタイルで励ますこと。
エミリ―編ではどこかのアイドルに魅せられた彼女への感謝としてスタビルのちょっと良い所を見せることを目的に戦いました)


ジオウ「そんな俺が今回使ったのはエレナと同じシャイニングブレイク(素組)。
相手をオ―バ―キルしないように素組で出しましたが、本体以外で細工をした点が2つあります。

一つは劇中で言った通り大量のプラスチック粉を持ち込み、それを媒介に広範囲から粒子を集めて操作
することで、素組のガンプラでは到底できないような色んな技を使うためのエネルギ―を確保しました」

えもん「それでも足りない分は、途中で溺れたり昼寝したりして粒子集めの時間を稼いでたんだよね」

ジオウ「もうひとつは本体を改造していなくても色んな技を使えるよう、GPベ―スの中に「設定」を大量に記述したこと。
これにより威力・精度は最低限ながら巨人投影とか炎熱操作とか色々出来ました。ただしその分実際の操作は煩雑を極めました」

えもん「それからおまけの3つ目、ディオクマ―ズや家族の真似をしたのは時間稼ぎの為だけじゃないんだ。
なりきることで集中力を高めて、粒子に伝える精神力を高める為でもあった。この辺は『ガンプラの完成度が何故
バトルの性能に影響するのか?』とか『プラフスキ―粒子は人の想いにどんな影響を受けるか?』と言う問題に対する
独自解釈が絡みます。話の流れでエレナちゃんに説明することは無かったけど、またいずれどこかで描写したいよね―」

ジオウ「その辺は『ル―キ―・春日未来編』でやりたいかなぁ。いつになるか分からないけど。
と言うか今回書いてて改めて思ったよ。バトルの様子を描写するのは第三者視点にしたほうがいいって」

えもん「でないと『食らった方が何されたかよく分からない攻撃』に対してテンポよく描写できないんだよねぇ」

(繰り出してる人間視点でやると色々ネタばらしになるし、難しい)


えもん「事前説明は失敗フラグでもあるしねぇ。確かに難しい」

ジオウ「その辺は今後の課題と言うことで、今回はここまで」

えもん「ちょっと気が早いですが……来年もよろしくね―♪」

エレナ(小)「よろしくネ―♪」

ジオウ「クリスマス前にそれは無いだろっ!」


(だいぶ気が早いですが、今年もお世話になりました)












◇◇◇◇◇◇







色々あって、週末。エレナは本当に泊まりに来た。

そして俺はエレナを………抱いた。ハグじゃなくて、もっとやらしい方の意味でだ。

この日までコノミ姉さんやアルトアイゼンに泣きついてどうしたものかって相談しまくった。
けどその全部を蹴飛ばすかのように、俺は我慢が出来なかった。

我慢できなかったのが愛情か性欲か独占欲か依存心なのか、俺にも分からない。
そこに幸福とか覚悟とか、そういうポジティブな気持ちがどれだけあったかもだ。

俺はもう、とにかくただただテンパってた。
俺の方は行為自体は初めてじゃないけど経験は少なくて、ましてや相手は10年以上ずっと特別だった女の子。

最初こそ痛くしないようにって、恐る恐る慎重にことを進めていたけど。
いざその決定的な瞬間を迎えたら、もう駄目だった。

胸は痛いほどバクバクで、頭はゆだって、体中熱くて

いっぱいエレナの名前を呼んだ。好きだと連呼した。
エレナも俺の名前を呼んだ。何度もスキだと言ってくれた。

お互いの両手は汗ばむ体を求めあい、唇は貪りあい、腰を打ちつけあった。
思い出すだけで、熱くて、恥ずかしくて、嬉しくて、幸せだった。

2人とも夢中になりすぎて、いつまで続けたのか、いつの間に眠ったのかまるで覚えていない。
目が覚めたときには、エレナが俺の腕を枕にして眠ってた……俺の夢とか妄想とかじゃなくて、良かった。


「ん―…あれぇ、ジオぉ?」

「おはよう、エレナ」

「……あぁ!」


寝ぼけてたエレナはきっと俺がどうして一緒に居るのか、不思議に思ったんだろう。
徐々に目が覚めて昨夜のこと思い出したのか、急に顔を真っ赤にして布団に頭まで潜り込んだ。

やめて、そんなカワイイ照れ方されたら俺のほうまで真っ赤になるから。

「あの、大丈夫かエレナ?どこか痛かったりしんどかったりしないか?」

「う、うん大丈夫。ちょっと恥ずかしかっただけだかラ」

「うん、そうだなそう言うもんだよな!俺も恥ずかしいしな!」

「そ、そうなんダ?ジオ―も恥ずかしいんダ」

「うん、それはもう物凄く!」

そりゃあ恥ずかしいよ!体も熱くなるよ!でも!

「でも凄く、嬉しかった!」

未だ布団をかぶってるエレナを、布団の上から優しく抱きしめる。

「エレナが俺を受け入れてくれて、俺のいろんなもの受け止めてくれて、すごく幸せだった」

してる最中は頭が湯だってただただ夢中だった。だけどはっきり言いきれる。

「ありがとう。本当にありがとう。本当に、大好きだ」

それだけは、どうしても今伝えたかった。

「……ワタシモ」

依然真っ赤な顔をしたエレナが布団からひょっこり顔を出す。

「ワタシも、ジオ―に大好きって言われて、大好きって言えて、幸せだヨ」

「エレナ」

「ジオ―、大好キ」

「俺も、好きだよ」


やばい。今もの凄く、頭が馬鹿になってる。後で絶対恥ずかしさに悶絶する。
でも好き好き言い合ってたら、体が熱くて頭が湯だって、もおう止められない。

あぁ、今日が週末で良かった。学校もシアタ―も休みで良かった。

俺たちは誰にもはばかられることのないまま。皆さんお察しの通り。


この後、めちゃくちゃ…………した。



(「島原エレナ誕生日記念ver2020」…Fin)




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