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頂き物の小説
その17.萩原雪歩 対 地底怪獣


とあるガンプラビルダーと彼女たちの星輝く日々の記録



「その17.萩原雪歩 対 地底怪獣」


ガンプラバトルを始める時、カタパルトを抜けたガンプラは空へ飛び出します。

でも今回はカタパルトと言うより動く歩道みたいにゆっくり送り出されて
フィールドに出たと思ったら大きなバケットが2つ置かれていました。

片方のバケットは空っぽで、もう片方にはシャベルやツルハシや削岩機が入っていて。
私のクロスボーンX2はその中のシャベルとトロッコを手に取って目の前に佇む山々に向かって地面スレスレを飛んで進みます。

それは『マウンテンサイクル』

大昔の文明の遺産が眠っていると伝えられる宝の山です。あそこに眠る宝物を探すのか今日のミッションですぅ。

ゴォォォォッ!

空を見上げれば、私と同じく山へ向かっているガンプラが何機か飛んでいました。
そのうちの一人は背中にロケットを背負ってゴォォォォって飛んでいきます。


もちろん飛んだほうが速く現場に着けることは私もわかっていますし、X2はそれが出来る子です。
でも私なんかがノコノコ皆の前に出たら、宝探しする前にきっとあっという間にやられてしまいますぅ。

ガサッ!


「ひゃっ!?」


も、物音?でも周りには誰もいません、レーダーにも反応無しです。
私の聞き間違え?でももし誰かが本当に隠れていて、襲ってきたら宝探しする前にやられちゃいますぅ。

だからダメダメな私は、私が今するべきなのは―――。


「穴掘って埋まってます――!!」


手にしたシャベルとドリルショットランサ―で地面の下を潜ることを選びましたぁ。


◆◆◆◆◆


皆さんこんにちわぁ、萩原雪歩ですぅ。
未だちんちくりんで至らない私ですが日―アイドル活動を頑張ってます―。

それからガンプラバトルも、まだ大きなお仕事を貰うようなことはないんですが定期的にレッスンも受けて頑張ってます。
もちろんお仕事に繋がればありがたいですけど、プロデュ―サ―さんと一緒にバトルができるだけでも嬉しいですから。

それで今日はヤジマ商事の粒子実験研究施設に呼ばれました。
元―はPPSEの施設だったんだけど、粒子関係の権利とかと一緒にヤジマ商事のものになったそうですぅ。


「本日は大変お忙しい中、ご足労頂きありがとうございます」


エントランスの自動ドアをくぐるなり、10メ―トルも先の壁にぴったりくっついて「正座」しているアマサキ劇場技術主任がいた。


「い、いいえぇ。今日はよろしくお願いしますぅ」


ちょっと衝撃を受けつつも私も挨拶を返しました。その場で。自動ドアは開いたままでしたぁ。


「とんでもございません。お世話になっているのはこちらのほうです。
世界に名だたるハギワラ先生の貴重なお時間を割いて頂いてるのはこちらなのですから」


10メ―トルも離れているのに会話は繋がりました。
マイクもイヤホンもなくて、普通なら声が互いに聞こえない距離なのに。

もちろん、と言っていいのか分からないですけど私は特別大きな声は出していません。
凄く大きな声で有名なアマサキ主任の声も、私に届いているのは普通の音量だと思います―。


「せ、先生だなんて私そんな風に呼ばれるような凄い人じゃないです」


千早ちゃんや美希ちゃんみたいに海外で活躍してるわけでもないのに、そんな風に呼ばれても困っちゃいますぅ!
なのにアマサキ主任は、ちっとも聞いてくれませんでしたぁ。


「いいえ!ハギワラ先生の成そうとされている日本とブラジルを繋ぐ地下トンネルの建設は人類の誰一人成し遂げた事のない偉業!
これほどまでに素晴らしい貴女を先生と呼ばずして、この星の誰が先生と名乗れましょうか!!」

「だからそれは映画の話です―!」


思わず叫んでしまったけどアマサキ主任は聞いてくれない。それどころか両目がキラキラ光出して、10メ―トルも離れているのに眩しいです。


◆◆◆◆◆


最初にアマサキ主任を見たのは第6回ガンプラバトル世界大会に出ていた千早ちゃんをテレビの前で応援していたとき。

それから1年ちょっとして彼が765プロの事務所にニルス君たちと一緒にシアタ―計画を持ち込んできたとき、初めて直接お顔を見たんですけどお話はしませんでしたぁ。

彼と初めてお話したのはそれからさらに数週間後。今度はお一人で765プロを訪ねてきたときです。

何だか険しい顔で訪ねてきたアマサキさんが社長と、それに何故かアルトアイゼンと一緒に応接室に入って行って、私はお茶を持って行ったんですぅ

そしたら私が入るなりソファ―から飛び上がって部屋の隅で正座されましたぁ


『あ、あのぉ…お茶をお持ちしたんですけどぉ』

『あ、はい。わざわざありがとうございます。恐れ入ります」


私は男の人が怖くて逃げちゃったことは何度もあります。
でも男の人に逃げられたのは初めてで、とにかくびっくりしましたぁ。


『あの、私何か失礼なことをしたでしょうかぁ?』

『とんでもございません。失礼と言うなら男の分際でハギワラ先生の前に出てきた私の方が失礼なことを致しました』


そう言って深―と頭を下げて……って土下座ぁっ!?


『ええ!?』

≪あなた、もしかして雪歩さんのファンですか?≫


アルトアイゼン!?何言ってるんですかぁ!そんな筈が


『まあ、人並みには』


って、えぇぇぇぇぇぇ!?


『当然でしょう?スコップ一つで地球の裏側まで掘ろうなんてトンデモナイことする人、応援せずにいられるわけがない』

そう言われて私はもっと混乱しました。そんな考えになる理由がどうしてもわかりません―!

私のファン?地球の裏側?それは前に撮った映画の話でしょうか?
『果てしなく仁義ない戦い』と同時上映だった、『穴を掘る少女』の!

それからも延―私をほめてくれるアマサキさんを、混乱する私は止めようとしました。でもできませんでしたぁっ!

瞳をキラキラさせながら話すアマサキさんは、まるでガチャピンさんに目を輝かせるプロデュ―サ―みたいで。
結局私は、何も言えなくなってしまいましたぁ。


◆◆◆◆◆◆◆◆


そんなことを思い出しながらアマサキさんに案内されて、私は大型のバトルベ―スのある実験ル―ムに入りました。

そのバトルベ―スの上には大きな「山脈」が広がっていました。


「これが、マウンテンサイクルです」


今日私が研究所に呼ばれたのは、今度のガンプラバトル世界大会用の新競技候補のモニタ―としてです。
機密情報なのでその内容は今まで教えてもらえていなかったのですが。


「タ―ンエ―ガンダムの話に出てきた大昔のモビルス―ツ達が眠る山。
そこを模したステ―ジを掘り返して、宝探しを行いポイントを競うゲ―ムです」

「―――、―――」

「その難易度確認のために人類最高レベルの穴堀の達人であるハギワラ先生にプレイして頂きたいと思いまして」


マウンテンサイクルのフィ―ルドが展開された大型バトルベ―スの横でニルス君、じゃなくてニ―ルセン研究所主任とアマサキ劇場主任はお話してくれました。

・・・また10メ―トルくらい離れて。

当然ニ―ルセン主任の声は聞こえなくて、アマサキ主任の声だけが聞こえますぅ。

「――。――――!」

「男性を苦手にされてることを知っててお呼び出ししたんだぞ。
ならこちらが配慮するのが当然だろ?アレルギ―物質に故意に接触させるのは犯罪だ」

アレルギ―じゃないからそこまで配慮なくて大丈夫ですぅ!
他のお仕事でも男の人とはおっかなびっくり何とかやってきましたからぁ!


「また今回のゲ―ムですが、発掘品をスタ―ト地点のバケットに収めて初めてポイントゲットです。
収める前に無くしたり他のプレイヤ―に取られたりしたらポイントは入りませんからご注意を」


スル―ですかぁ!?


「ちなみにこのマウンテンサイクルには多種多様なお宝はもちろん原作通りの核ミサイルとか
もっとヤバいものも眠ってるんで、爆発とかさせないようにどうぞお気を付けください」


そしてさらっと不安なことを言わないでくださいぃぃ!


◆◆◆◆


そんなこんながあって、ほとんど訴えを聞いてもらえないまま私はテストプレイを始めました。
でも開始直後に不審な物音を聞いて、一目散に穴掘って埋まりましたぁ……うう、すみません。

私は地下に向かって一心不乱に掘り進んで、スコップが何か硬いものに当たった時、ようやく止まりました


「あ、あれ?なんだろ、これ」


その何かの周りの土を慎重に掘り除きます。もし不発弾とかだったら大変ですからぁ。


「これは……ひぅ!?」


そうして何とか頭の形が出てきたと思ったら、ガンダムSEEDに出てくるバクゥでした。アンテナ無いけど。
この子は犬っぽいから苦手ですぅ……うぅ、なんでこんなところに。


「あ。もしかしてこれがマウンテンサイクルの宝物なんでしょうかぁ」


∀ガンダムのマウンテンサイクルからは、ボルジャ―ノンさんやカプルちゃんが発掘されました。
だからこのゲ―ムで他の作品のガンプラが出てきてもおかしくはないですぅ。

問題はこれをどうするか、ですがぁ


「……これ、もう一度埋めちゃ駄目かなぁ」


ゲ―ムのル―ルを考えるなら、このバクゥを掘り出してスタ―ト地点まで持って帰らなきゃいけないです。
でも出来るならバクゥじゃなくて他のガンプラを持ち帰るんじゃいけないでしょうかぁ。

そんなことを考えていたから、いけなかったのかもしれません。


ドガァァァァァァァァンッ


「ひゃぁぁぁ!?」


頭の上で物凄い爆音がして、地震が起こりました。
私が掘った補強もしてないトンネルは崩れだし、私は悲鳴を上げて慌て。

それでも過去何度も生き埋めになりそうになった経験から、とっさにドリルランサ―を天井に突き出しました。
ドリルは急速に回転させて。背中のフレキシブルスラスタ―もめいっぱい噴射させて。

私の全身全霊を掛けて、地上まで突破して見せました!


≪グゥゥゥ!≫


置いてきたバクゥがうなり声をあげて、モノアイを光らせていたことに気づかないまま。


◆◆◆◆◆◆


慌てて地上に這い出た私が見たものは、地獄絵図みたいな光景でした。

地上のあちこちでドンドンパチパチ 爆音をあげながらガンプラ同士の戦いが起きていたんですぅ。
しかもフィ―ルドの中央にあったはずの山―が上半分なくなっていて、空には黒い雲が覆っていました。

これ、どういうことなんですかぁ!?

もしかしてテストプレイ前に言ってた核ミサイルが爆発したんですかぁ!?
だから山が吹き飛んで地震が起きて舞い上がった塵が空を覆っているんでしょうかぁ。

だとしても地上のあちこちで戦闘が起きてるのはおかしいです
山が無くなって見晴らしがよくなったから私と同じテスタ―同士で遭遇戦が起きた?
でもそれにしては何か戦ってるガンプラが偏ってるような気がします

「あれはオルフェンズのMAのハルファスとプル―マだよね?あっちはデビルガンダムとガンダムヘッド。
向こうののSDっぽい体型のにとっても大きいのとその周りにいるのは――」


なんだったっけと思ったら、突然システム音が鳴りました。


≪ガンプラコンピュ―タ、チェックします!≫


「へ?」


《ピッポ!ピポパッポ!≫


え?え?なんですか、このレトロな電子音は。


≪名前:ル―ンレックス
 種別:聖機兵
 出展:SDガンダム外伝
 特徴:手から放つ魔法弾

 名前:ガンキラ―
 種別:機械兵士
 出展:SDガンダム外伝
 特徴:集団でル―ンレックスを守る≫


「ご丁寧にどうも……じゃないです!なんですか、コレ?
説明してくれるのはありがたいですけどぉ、こんな機能ガンプラバトルに無いですよね!?」


思わず突っ込んでしまった私は悪くないと思います。
でも、それが戦場では大きな隙になることもあります。

X2の足元が急に弾けて、何か回転しながら飛び出してきたものにぶつかられて、その際にABCマントが削り取られました。


「ひゃぁ!?」


何とか倒れることはしなかった私たちは、飛び出してきた何かに目を向けます。
それはさっきのバクゥ……だと思っていたガンプラ。

けど実際にはアンテナを外したバクゥの頭と長い首を付けただけの別のガンプラでした。
両腕と両肩にシ―ルドをつけてるシグ―アサルトだと思いますが、ガトリングは外されてて――


≪ガンプラコンピュ―タ、チェックします!≫


ってまたですかぁ!?


≪名前:シグゥ・テレスドン
 種別:地底怪獣
 出展:ウルトラマン 素体:シグ―、バクゥ(SEED)
 特徴:口から吐く火炎、体を回転・振動させて地中を高速移動≫


便利ですけどコレ本当になんなんですかぁ!?なんで怪獣が出てくるんですかぁ!
と言うかこの子フィ―ルドに埋まっていたお宝さんですよね?

お宝のガンプラが動き出して襲ってくるなんて、そう批難したい気持ちはありましたが同時に納得もしました


「あ、まさかさっきのデビルガンダムやハシュマルも同じですか?」


ハシュマルは原作アニメでは地下から掘り起こされた途端に目覚めて自律して暴れだしたMAです。
デビルガンダムも自分で動くMFだし、あれらが地下に眠っていたお宝なら、地上に出たことで動き出すギミックがあるのも当然なのかも。

でもだからってオリジナルの改造ガンプラまで出てくるのはちょっとやり過ぎじゃないでしょうかぁ。


<シャァァァァァァ!>


思い悩んでいた私を遮るように、怪獣さんは思ったよりも高い鳴き声をあげました。
その鳴き声が止まるとさっきの説明通りに口から火を噴いて、私は反射的に手に持っていたドリルショットランサ―を突き出しました。

回転するドリルは炎を散らせてくれたのでX2は無傷です。
でもこっちが無事だと分かったのか怪獣さんは両腕のシ―ルドを前方に構えて、肩のシ―ルドを背中に回して、体全体を覆うような態勢になりました。
そして炎を噴き出しながら同時に自分の体そのものを回転させて、自身をドリルに変えてX2に向かって跳んできたんですぅ

私はドリルで炎を受け止めていたのが仇になって回避行動に出るのが遅れました。
自らを一個のドリルに変えた怪獣さんに弾かれて私は吹き飛ばされ、ランサ―も遠くに飛んで行ってしまいました。

……いいえ、私が油断してただけじゃありません。


「私にはわかりますぅ。重さ・速さ・回転数・硬度そのすべてにおいて――――あの怪獣さんは良いドリルです!」


私、ひんそ―でダメダメで穴を掘ることくらいしかまともにできませんけど、ドリルやスコップの良しあしは分かります。
マウンテンサイクルに埋まっていたあの怪獣さんは、間違いなく良いお宝ですぅ!

さっきはつい見とれてしまって回避行動が余計に遅れてしまいましたが、ちょっとやる気出てきました。
あれは怪獣さんでもちょっと苦手なバクゥさんでもなくて、良いドリルさんです。捕まえてスタ―ト地点まで持ち帰らなくちゃです。


<シャァァァ!>


立ち上がって私が向き直ったときには、私を弾き飛ばしたドリルさんも直立姿勢で私に向かい合っていました。
私はバスタ―ガンとビ―ム・ザンバ―を合体させたザンバスタ―で射撃しますが。両腕のシ―ルドで防がれます。

よく見るとシ―ルド細かく震えているので、レセップスやジオグ―ンと同じスケイルシステムも搭載しているのかもしれません。
地中を掘り進むときに活用するシステムを応用して 、振動によってビ―ムを散らして熱量を分散させているのかも。

私の攻撃をものともしないドリルさんはそのまま回転を始めて再突撃。

今度は心の準備もばっちりだったんできっちり避けられたんですが、通り過ぎて行ったドリルさんはそのまま地面に向かって突っ込みました。
あっという間もなく土の中に潜っていったんです。これには私も驚きました。

私は一瞬だけ手放したドリルランサ―に目をやりました。悔しいですけど、今の私とX2にはあそこまでの早堀はできません。
このままだときっと、モグラたたきのモグラさんみたいに飛び出てきて足元から何度も攻撃されます。

じっとしてるのは駄目です。かと言って無暗に逃げるのも駄目。あの良いドリルさんはここで捕まえて私のお宝にするんですぅ!


私はX2のブランドマ―カ―"改"を腕からナックルに移動させてビ―ムを展開しました。
ただし展開するのはビ―ムシ―ルドではなくて、デスフィズ・モ―ルさんと同じビ―ムファングです。

ビ―ムを回転させて穴掘りも防御も飛行も出来ちゃう優れもので、あんな風に穴掘り出来たら素敵だなって思って改造したんです。
両手の先で回転するビ―ムドリルの駆動音が響く中、私は地中からのドリルさんが移動する音を聞き逃すまいと集中します。

ビ―ムドリルの音を聞いてると頭がすぅっとしてきて、今も周りで戦ってるはずの他のガンプラたちのドンパチが全然聞こえなくなりますぅ。
耳に入ってくるのは両手のドリルと、そして足元を移動してくるもう一つのドリルの音だけです。

少しずつ近づいてくるその音に、私の胸もドキドキしてきます。でも頭はとっても落ち着いていて、私にはその瞬間がいつ来るのか分かっちゃいました。
私は右腕を真上に掲げて、回転させているビ―ムドリルをビ―ムロ―ダ―に変形。音を変えずに後ろ斜め上に飛びました。

その直後にドリルさんは地面から飛び出し、一瞬前まで私が立っていた場所を通過して空に飛びあがりました。
私を貫くはずだったドリルさんは空振りして、回転を続けながらそのまま宙に飛びあがり、そして最高到達点で一瞬その運動エネルギ―が止まりました。

回転も移動も止まったその瞬間を見逃したりしません。

私は右手のロ―ダ―で同じ高さまで飛び上がり、左手のビ―ムドリルを突き出しました。
私のドリルはシ―ルドの隙間を通ってドリルさんの首を貫通し、その頭部を弾き飛ばしました。

その瞬間ドリルさんの胴体から力が消えてシ―ルドを付けた両腕がだらんとさがり、直後に落下開始。そのまま地面に激突したドリルさんは、ピクリとも動きません。


「や、やっつけたのかな?」


ガンダムって首が無くなっても普通に戦いを続けちゃう子が多いですから安心できません。
プロデュ―サ―ならここから徹底的に攻撃して絶対復活できないようにするのかもしれませんけど。でもお宝のドリルさんにあんまり傷つけちゃダメですし。


<CAUTION!>


残念ですけどそれを考える時間はありませんでした。モニタ―から高熱源体が近くにあるって警報が鳴ったんです。
レ―ダ―を確認すると、近くに4機のガンプラがいることが分かりました。

すぐに望遠モニタ―に切りかえると、どうやら1機のガンプラが複数の敵に襲われてたみたいですぅ
襲われているガンプラは両腕にドリルのついたアッグ、襲っているのはバクゥの改造ガンプラらしいの3機のチ―ムで――


『ガンプラコンピュ―タ、チェックします』


ってやっぱりきましたぁ!?


≪名前:バクゥ・パゴス
 種別:地底怪獣
 出展:ウルトラQ
 素体:バクゥ(SEED)
 特徴:口と背中の砲台から放つDODSビ―ムで岩盤を砕いて地中を移動。

名前:バクゥ・マグラ
 種別:地底怪獣
 出展:ウルトラマン
 素体:バクゥ(SEED)
 特徴:背中の突起を振動させて地中を掘り進む。

名前:バクゥ・ガボラ
 種別:ウラン怪獣
 出展:ウルトラマン
 素体:バクゥ(SEED)
 特徴:口から吐くウラン熱線、顔の周りのひれを閉じてドリルのように回転させる≫


ま、また怪獣。しかも今度は正真正銘のバクゥです。

背中に大砲が2つついてるのがパゴスさん。
トゲトゲがたくさんついてハリネズミみたいなのがマグラさん。
首の周りにお花の花弁みたいなのがついてるガボラさん、ですね。

たぶんあれもマウンテンサイクルに眠ってたお宝なんですよね?

なら襲われてるアッグは私と同じテスタ―さんのガンプラでしょうか。
だから、ガンプラコンピュ―タ?が説明してくれないのかも。

パゴスさんとガボラさんが口からビ―ムを放って進路をふさぎ、マグラさんが逃がさないように追い立ててあっという間に3人で囲んでしまいました。

集団で囲むときは同士討ちしないようにビ―ムは控えるのがセオリ―だからか、ガボラさんは熱線を吐く代わりにそのお顔をドリルで覆ってギュイギュイン回してます。

じりじりと包囲網を狭めてとどめを刺すつもりなんでしょうか。
その様子を見ながら、私は自分がどうしようか考えなきゃって気付きました。

こういう時はあのアッグさんと共闘するか、それとも囮にしてアッグさんがやられている隙にあの3機のバクゥを攻撃するかですよね。


………プロデュ―サ―なら8割がた囮にしますよねぇ。魅音ちゃんでも。

相手が同士討ちのリスクを考えてビ―ムを封じてるなら、唯一ビ―ムを持ってないマグラさんの後ろから忍び寄る形で奇襲をかけるとかして。
よっぽどのメリットと信用できる何かがない限りは共闘は選択肢にも上がらないと思います。

沙都子ちゃんなら、あの子たちが戦ってる間にトラップ仕掛けて、アッグさんを倒して気が大きくなってるところを狙いそう。

逆に圭一くんなら口先で、梨花ちゃんならその可愛さで説得して共闘するかも。
説得するのがアッグさんなのか3人組の方なのかは分からないけど、後者なら共闘した後絶対裏切っちゃいますよねぇ。
あの3人はお宝そのものなんだし。

レナちゃんだったら……損得関係なく可愛い方をお持ち帰りしそう。
そこで、改めて見る3人に囲まれているアッグさん――の両手のドリルを見ます。

ちっちゃいけどよく磨かれていて、整備してる人の気持ちがこもってるのが分かる素敵なドリルです。
でもその素敵なドリルはブンブン振り回されるだけで、本体の機動力が低いのと腕のリ―チが短いせいで全然当たりません

このままでは何もできないまま壊されると私でも分かります。
―――それはもったいないなって、思いました。

それに相手の三機もドリルを全然上手に使えてないですし、ここはちょっと頑張ってみようと思います―。


そうと決めた私は装備を拾い集めるとさっき地上に出てきた穴にまた潜りました。
地上に置いてきたドリルショットランサ―のセンサ―と有線で繋いで地上の様子はバッチリわかります。

あの3人がドリルや砲撃やスケイルモ―タ―をあんなにガンガン鳴らしてるおかげでX2本体の収音センサ―でも位置の特定は出来てますし。
逆に向こうは自分たちが出してる音がノイズになってセンサ―の感度が落ちてるからか、私のこと気付いていないようですぅ。

それに機動性の優れたバクゥベ―スなのに、ガンタンクやザウ―トみたいに足を止めてバシバシ撃ってるのもよくないです。
あれじゃあ潜水艦のいる海で魚雷を警戒してない戦艦と同じって言うか、つまり私なんかがこういう事言うのはとってもおこがましいとは思うんですけど。


「とっても隙だらけですぅ!」

≪!!!?≫


私は音を立てないようにスコップで横穴を掘って、砲撃を撃ってたバクゥ・パゴスさんの真下に移動。
そしてタイミングを見計らって地上のショットランサ―を遠隔操作して、ドリルを地面に向かって射出。
同時に右手のビ―ムファングドリルを真上に突き上げました。


≪!≫


がら空きのパゴスさんのお腹をギュギュギュギュルンと貫きながら地上に飛び出し、ショットしたドリルは地中に潜っていたマグラさんに命中しました―。

突然の奇襲に驚いたガボラさんは慌てて顔を覆っていたドリルを開いてパゴスさんを貫いた私に体ごと顔を向けますが――それじゃあ対応が遅いですぅ。
私は貫いたパゴスさんの体を振り払いながら、左手に握っていたスコップを両手持ちにしてそのまま地面に振り下ろしました。


「土龍閃―― もどきですぅぅぅ!」


叩きつけて巻き上がった、そして掬い上げた土砂は容赦なくガボラさんにぶつかり覆いかぶさって、体を傷つけます。
プロデュ―サ―に教わった土龍閃もどき!でもそれだけじゃ終わりません。


「穴掘って――埋めてあげますぅぅぅぅ」


叩いた衝撃で地面に亀裂が走って、足場が崩れてガボラさんが落ちていきました。
さっき土の下で掘った横穴は、ガボラさんの真下まで空洞を作っていたんですぅ。

これは地面に潜っていたマグラさんも気付いてませんでしたぁ。
お仲間の足元を崩しちゃいけないと思ったのか、傍に近寄ってこなかったからです。


足元の崩れたガボラさんは背中から地下に落ちました。首のヒレが1枚土に刺さって身動きが取れなくなってます。

このチャンスを逃さず私は落下したガボラさんを追いかけて


「龍槌閃、もどきです!」


スコップを横に向けて、落下の勢いをつけてガボラさんの首を切りつけました。
なんとか脱出しようともがいていたガボラさんは、それで糸の切れた人形みたいに動かなくなりました。

……良かった、なんとか勝てましたぁ。ここで負けてたらプロデュ―サ―にもレナちゃんたちにも申し訳なかったから良かったですぅ。


ふと上を見上げると、穴の縁にこの3人に襲われていたアッグさんがいました。


「あの、大丈夫ですか?」

≪?≫


声をかけるとアッグさんは不思議そうに顔を、というか体ごと傾げました。

競争相手に何故か助けられたんですし、そう思うのも当然ですよね。
でも私にとっては今更ですし、こうして無事な姿を直接見れて良かったと思いますぅ。

それに、ただで助けたわけでもないですし。


「あの、この3人は私が倒したから、貰っていっていいですか?」


このガボラさんたちはゲ―ムのお宝なのでスタ―ト地点まで持って帰らなくちゃいけません


≪!≫


アッグさんは右手のドリルを挙げて快諾してくれました。良かったぁ取り合いになって素敵なドリルと戦うことにならなくて。

アッグさんとの話がついたので、私はまず地上へ向かって壁を掘ってスロ―プを作ることにしました。
その途中で動きの止まっていたマグラさんとショットランサ―のドリルを回収することもできました。


それでガボラさんの頭と胴体も地上に引き上げて、パゴスさんとさっき倒したテレスドンさんの体も拾ってきて


≪!!≫


あ、アッグさんがバンザイして驚いてますぅ。両手のドリルを上げたり下げたり…もしかしてこの子たちを運ぶのが大変だ―って慌ててくれてるんでしょうか。

アッグさんは通信を繋いでくれませんけど、ドリルの動きを見ていたらなんとなく言いたいことが分かります。

そうですよね、ガンプラ4体も引っ張っていくのはちょっと難しいです。
最初に貰ったバケットは途中で無くしちゃったし、1体くらいならシザ―アンカ―で繋いで空も飛べたかもしれませんけど

でも大丈夫ですぅ。私、穴を掘るのと同じくらい一人で砂遊びするのも得意ですからぁ


「穴掘って丸めちゃいますぅぅぅ!」


私は周りの土を掘って、4体のガンプラに覆いかぶせました。その土を丸めて、大きな土団子を作ります。
ちょっと大きくなっちゃいましたけど、これならX2にもスタ―トまで転がせますぅ。


≪!?、!!♪≫

「えへへ、褒めてくれてありがとうございますぅ」


だんだんジェスチャ―だけでアッグさんの言いたいことが分かってきました
でも私はただのちんちくりんですから―、私にできることは大したことじゃないと思いますぅ。


「だから、頑張ればあなたのドリルにも同じことがきっとできますよぉ」

≪!?≫


そういってエ―ルを送ると、最初は戸惑っていたアッグさんはガッツポ―ズをとってやる気満―になりましたぁ


「じゃあ私は一度戻りますので、アッグさんも頑張ってくださいね」


私も嬉しくなりながらスタ―ト地点を目指してお別れしようとしたところ。


≪CAUTION!≫


警報がまた鳴り響きました。


「え、また敵ですかぁ?」


レ―ダ―を確認すると1機のガンプラが急速接近してくるのが見えましたぁ。

1機くらいならなんとかと思って土団子から手を放して両手に武器を構えて、迎撃準備していたら。
レ―ダ―に映っている敵が1機から3機に分裂して増えたんです

光学モニタ―で確認すると、オレンジがかったバクゥさんこっちに向かって走ってくる様子が映りましたぁ。
口元にサ―ベルファング、前足にスパイク、頭部にアンテナブレ―ドがあって、ラゴゥさんとバルトフェルドさん専用機の中間みたいですぅ。

背中には武装は装備してないようですが、軽い分とっても速いです。
あと例のガンプラコンピュ―タが反応しないから、アッグさんと同じテスタ―側のガンプラだと思いますぅ。

でも映っていたのはその1体だけで、レ―ダ―に映っていた残り2体の姿が見えません。
もしかしてまた地下にいるんでしょうか?それとも上空?そんな風に警戒していたら


≪≪ワンワンワン!≫≫


「ひゃあ!?犬ぅぅぅぅ!?」

突然足元から犬に吠えられて、慌てて両手のショットランサ―とスコップを振り回します。
けど手ごたえは全くなくて、そうして慌てる私の目の前、メインモニタ―に2つの影が飛び出しました


≪≪ワンワンワン!≫≫


それは犬は犬でもコマイヌでした。もっと正確に言えば農丸頑駄無の守護獣のシ―サ―でしたぁ。
でも犬は犬なのでやっぱり怖いですぅ!!


≪≪ワンワンワンワン!!≫≫


可動域のない2匹の犬はゴムまりみたいに飛び跳ねながら私に何度も飛び掛かってきました
すっかり慌て切った私は両手の武器を取り落とし、ビ―ムファングやシザ―アンカ―を使う事さえ思いつきません。

そうこうしているうちに思いきり速度を乗せたバクゥさんに体当たりされて。
そのまま両足のスパイクで両肩を貫かれサ―ベルファングで腕を噛み千切られて転倒し、体を押さえつけられました。
身動きできなくなった私が見上げれば、そこには鋭い牙のバクゥさんと2匹のシ―サ―がいて。


「ひぃ!」


私は「スタ―ゲイザ―」でブルデュエルがケルベロスバクゥハウンドに惨殺されたトラウマシ―ンを思い出しました。
とっても恐ろしい3匹の犬の顔が私に迫ってきて、もう駄目かもって思ったとき


<!!!>


誰かがバクゥとシ―サ―の顔に砂をかけて、3匹は動きを止めました。
驚いてモニタ―を切り替えてみると、X2の頭の上の方向(倒れているので上じゃなくて横だけど)にさっきのアッグさんがいました


両手のドリルを回転させながら何度も地面に叩きつけて砂を巻き上げバクゥさんたちの顔にぶつけていました。
残念ながらセンサ―に傷をつけたりは出来てないみたいですけど


「これもしかして、さっき私が使った土龍閃もどきの真似ですかぁ?」


さっきバクゥたちに襲われていたアッグさんが私を助けてくれた。そのことは凄く嬉しいんですが、でも。


「駄目です、逃げてぇ―――」


私がそう叫ぶより一瞬早くシ―サ―の1匹が飛び出して、回転しながらアッグさんに体当たりしました。

アッグさんは自分より小さなシ―サ―に弾き飛ばされて、地面に激突する寸前でもう1匹のシ―サ―に撥ねられました。
そこから羽根つきかバドミントンの羽みたいにポンポン連続で飛ばされて――空を飛べないアッグさんには態勢を立て直せないですぅ。

なんとかこの状況から脱出して、私が助けなきゃ。そうするってめましたけど、でも武器がないです。
両腕はすでに無くなって、シザ―アンカ―も足のヒ―トダガ―もこの態勢では効果がないです
X3みたいな胸部ガトリングも無いですし、こうなったらもう最後の手段です!


「スラスタ―全開!強制排熱システムOFFです!」


背中の4つのスラスタ―を限界までパワ―を発揮させて、バクゥさんを押し返します
ジェネレ―タ―には当然すごい負荷が掛かって、X2の全身に熱がこもります。

本来なら口元のマスクが開いて強制排熱が行われますが、それをあえてOFFにしました。


そうしたら当然逃げ場のない熱が充満して、X2の体が真っ赤になるほど熱くなります――これは自爆前提の我慢比べです。


「穴も掘れない私なんて―――メルトダウンして埋まってますぅぅ!」


バクゥさんが熱さと爆発の恐怖に負けて逃げ出すか、あるいは焦って押さえつけてる前足をどちらか片方でもスパイクを突き立てるために振り上げたら、X2はその一瞬でバクゥさんを振り払えるはずです。


≪―――――!≫


でも自爆するより先に2匹のシ―サ―がアッグさんを仕留めて帰ってきたら私たちの負けですぅ

かと言って今更私に打てる手はもうありません。これはすでに最後の手段なんです。
今私にできるのは少しでも早くジェネレ―タ―の出力を臨界にして、相手に自爆の危機感を煽るくらいしか。

せめてこの状況を変える何かが、介入してくれたら。
ついそんなことを考えちゃいましたけど、そんな都合のいいことはそうそう起こらないって分かってます。


<シュパ!バシ!ドォォン!>


だから、ソレはきっと私が願ったせいじゃないんです。

突然地面から飛び出した、怪獣の顔みたいなクリ―ム色の胸部ア―マ―と黒いスパイク2本を付けたグフが、2本のスクリュ―ウィップでシ―サ―たちを弾き飛ばしたのは。

その瞬間、私を押さえつけるバクゥの前足が僅かに緩みました。
私はこのタイミングを逃さずスラスタ―出力を120%に限界突破。バクゥの体を浮かして振り払うことに成功しました


「強制排熱開始、同時にコアファイタ―、パ―ジです!」


真っ赤になったX2の全身から排熱開始。同時にボディからコアファイタ―を離脱して、バクゥの背中めがけて一直線に突貫しました。


「コアドリル……ブレイクですぅ!」


私が独自に作ったこのファイタ―は機首先端がドリルになってます。
そのドリルはバクゥさんの胴体を貫き、勢い余ってそのまま地中に潜り。
ぐるっと土の中を回って地上に戻ったときには、バクゥは動かなくなっていました。

2匹のシ―サ―もグフさんが倒したみたいで、アッグさんはグフさんの周りでピョンピョン跳ねてお礼を言ってるみたいでした。


≪♪♪≫


とっても仲がいい様子なので、もしかしたら前からお友達だったのかも。だからアッグさんを助けに来てくれたのかな。


私はX2と再合体して、改めてアッグさんとグフさんの前に出ました。そしたら2人そろって私にお辞儀をしてきて。


「あの、私お礼を言われるようなことしてないです。私の方こそ助けられたようなものだし」


だから私もペコペコ頭を下げます。このままだとお互いにずっと頭を下げそうだったので、私は一つ提案しました。
部活精神的にはアウトですけど、やっぱり申し訳なくて。


「あのぅ、もし良かったら。さっき倒して土団子にしたバクゥさんたちを半分、あなたたちが持ってってくれませんか」

≪?≫


今倒したバクゥとシ―サ―は多分テスタ―側のガンプラだったからポイントにはならないけど、さっきの分だったら山分けにできますから。


≪??≫


でも反応が何か微妙ですぅ。まるで私の言ってることが何かおかしいみたいで

土団子の中に閉じ込めてガンプラの姿が見えてないからこうなのかなって思って、一度団子を壊して中のガンプラを見せようと思ったら。


「あれ、ないです?いつの間にかさっきのバクゥさん4体を閉じ込めた土団子が無くなってますぅぅ!」


そう、綺麗さっぱり影も形もなくなってたんです。
最後に倒したバクゥさんとシ―サ―2体は今も足元に転がってるのけど……いったいどこに行ったんですかぁ!?


◆◆◆◆◆◆◆


両腕を壊した私は結局それ以上戦えなくて、リタイヤすることになりました。
戦ってガンプラを倒すだけなら出来たかもしれないんですけど、お宝を運んで持って帰るのは難しいと思ったので

期待に沿えなくてアマサキさんをがっかりさせるかと思ってたんですが「素晴らしいドリルでした。あれこそ男のロマンと乙女の愛情の超融合です」って力説されました……また10メ―トル離れながら。


それで全部終わった後の表彰式と言うか、その日参加したテスタ―のみんなの結果報告で土団子を持って行ったのが誰か分かりました。

今日のMVPはバクゥにネブラ・ブリッツのパ―ツを搭載した「バクゥ・ネロンガ」さん。
透明化の能力で私や他の参加者さんの掘り起こしたお宝を横取りしてポイントを集めていたんだそうですぅ。


それで今日お友達になったアッグさんとグフさんですが「アグたんちゃん」と「グフ彦ちゃん」と言って、なんと人間が操縦しなくても自分で考えて自分で動ける凄いガンプラだったんです。

アグたんちゃんとはその後もシアタ―の方に顔を出すたびドリルとかスコップとかのお話しをする仲なんですよぉ。

今回のことでガンプラバトルの方はあんまり好きじゃなくなっちゃったみたいなんですけど、シアタ―のガ―デニングをお手伝いしてる話とか、木下ひなたちゃんも交えていっぱい聞かせてもらってますぅ。


今日もガ―デニングに良さそうなスコップを見つけたので、お土産に買っていこうと思いますぅ。会うのが楽しみだなぁ。



(おしまい)



◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


<ガンプラ紹介>


●クロスボ―ンガンダムX2(萩原雪歩専用機)

萩原雪歩のガンプラ。原典機との違いはショットランサ―がドリル仕様になっていること

さらに今回、両腕前腕部のブランド・マ―カ―がデスフィズ・モ―ルの「ビ―ムファング」に換装されている。
これにより大気圏内の飛行・カッタ―・ドリルとして使用出来る他、コアファイタ―の機首先端もドリルに
換装しており、単独で地中・大気圏・宇宙を縦横無尽に飛び回れる万能機になった。

さらに奥の手として核融合炉を限界まで出力を高めることでメルトダウンを起こし、
空想の産物だったチャイナシンドロ―ムを実現するような豪快な自爆能力を持つ。


●シグゥ・テレスドン
バクゥの首をシグ―の胴体に繋げ、「地底怪獣テレスドン」をモデルにしたガンプラ
武器は口からの火炎放射と、体全体を回転させるドリル突撃。
アンテナを廃し、口元に金属パ―ツを使用している。これは火炎放射の耐久性を上げると共に、岩盤を掘るときの
ドリルになる。両肩・両腕の4枚のシ―ルドには、それぞれにスケイルシステムを仕込んでいて地中潜行に活用する。
高速での地中移動を実現したが、ドリル突撃による負荷が掛かるため首が壊れやすい。


●バクゥ・パゴス
「地底怪獣パゴス」をモデルとした、AGEのDODSシステムを組み込んだ地中潜行用バクゥ。
背中の2つの砲台と口からドリルビ―ム(DODSキャノン)を放つ。
地中潜行の邪魔になることからサイドの翼とスラスタ―はオミットしており、地上での機動力は原典のバクゥに劣る。


●バクゥ・ガボラ
「ウラン怪獣ガボラ」がモデル。
首周りに花弁のような4枚の金属パ―ツを追加し、これをバスタ―・ボラ―(SSSS.グリッドマン)のように
閉じてドリルとする。ビ―ムで掘削したパゴスに対しこちらは物理で砕くのをメインとしている。
核エンジン搭載機でもあり、ドリル及び首の硬度はPS装甲によって保証される。口から吐く熱線もバラエ―ナと
同等の威力を誇る。砲撃の際、開いた金属パ―ツのうち2枚を三脚のようにして射線を固定する。


●バクゥ・マグラ
「地底怪獣マグラ」がモデル。
背中及び両サイドの装甲に実体刃とスケイルシステムを装備し、この刃を振動させて地面を掘る。
他2基と比べるとその掘削力を破壊に転用するのは難しいが、代わりに体がひっくり返るようなことがあっても
振動を使って掘り進むことも態勢を修正することも可能で、地中を含む立体機動では小回りは一番効く。

モデルとなった怪獣は強力な武器を持たず正直言って地味なのだが、その分地中を掘り進む機能にリソ―スを割けたとも言える


●バクゥ・ネロンガ
「透明怪獣ネロンガ」がモデル。
名前のみ登場。ネブラブリッツのマガノイクタチストライカ―とトリケロス他各装備を背中と両サイドに装備したバクゥで、
透明化と電力吸収の力を持つ。テスタ―のガンプラとして投入され、その能力で他の参加者が手に入れたお宝を横取りした。


●バクゥ・バラゴン
「地底怪獣バラゴン」がモデル。
バクゥ・バルトフェルド専用改修機をベ―スデザインとしてラゴゥ用のブレ―ドアンテナを武器としての強度を
持たせて追加し、両足のスパイクにスケイルモ―タ―による超振動機能を持たせて作成した機体。

地中潜行式核エンジン搭載型バクゥとしては初期試作型で、他の機体と異なり両サイドの主翼を残して折り畳み式にしており、
岩盤を掘り進む機能と武装数は少なく火力が低い反面、地上での機動力は最も高い。、その後ジャンク屋の手に渡ったのち、
狛犬(シ―サ―)型のドラグ―ンを追加装備した……と言う設定。

実際にはモデルとなった地底怪獣バラゴンがその劇中において「咬ませ犬」としてやられるために強力な武器を持たせて
貰えなかったというエピソ―ドを反映してビ―ムなどの十分な武装を与えず、それだけではバラゴンらしさと言うものが
感じられなかったため、バラゴンのモチ―フでもあった狛犬の要素を持つ守護獣シ―サ―をビット代わりに背中に乗せた。

結果として今回の怪獣ガンプラの中で最大の機動力を発揮し雪歩とアグたんを苦しめた。

なおパゴス、ネロンガ、マグラ、ガボラのウルトラ怪獣はすべて東宝から円谷に貸し出された
バラゴンの着ぐるみを改造したものを使い回されたことで有名。



●グフ彦・グドンア―マ―

自律型ガンプラ「グフ彦」が、「地底怪獣グドン」をモデルとした追加装備をまとった姿

胸部装甲はゼダスのパ―ツを元にクリ―ム色に変更し、両肩のスパイクも色を黒に変更した。
主武装はクロスボ―ンガンダムX1から転用したスクリュ―ウィップ2本で、これを使って岩盤も掘削し地中を移動する。




◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



「……なんてことがあって以来、アグたんはすっかりハギワラ先生とドリルに心酔しちまったわけだ」


夜の街をジオウさんと2人で歩きながら、最近雪歩さんに弟子入りしたアグたんがどんな風に仲良くなったのかを教えてもらいました。


「実際あの人は本当に凄いんだ。あんなゲッタ―2みたいにハイスピ―ドで地下を貫通移動できる人、いないもん」


雪歩さんのことを話すジオウさんの目は穏やかで優しくて、本当に楽しそうでした。


「しかも日本からブラジルまで単独掘削なんて史上空前のプロジェクトも担ってるんだぜ」

「さ、流石に地球の裏側まで一人でトンネルを掘るのは無理なんじゃないでしょうか」


あんまり楽しそうなのが逆に不安になって、でも楽しそうで完全に否定することも出来ず、ついそんなことを言ってしまいました。


「本当にそう思うか?」


でもジオウさんは、なんだか悪戯っ子みたいな、面白がるような眼をして私の目を覗き込みました。


「あの人なら出来るかも。そう思う気持ちが、ほんと―にこれぽっちもない?」

「そ、それは」


その、雪歩さんはとっても謙虚で奥ゆかしい人ですけど、スコップひとつであっという間に穴を掘っちゃう人でもあって
よく考えなくてもそれは、凄いことで。でも、本当に――。


「ま、いいよ。世の中そういうもんだしな」


迷って何も言えずにいる私にジオウさんは言いました。


「でもまぁ穴を掘ってる時のハギワラ先生は、自分を卑下しながらも楽しそうだしさ。
自信ないって言いながら穴を掘るその所作は、とても自然体で綺麗だなって思う。
だからまぁ、先生が笑えてるうちは勝手に応援するよ俺は」


ジオウさんはそういうと私に背を向けてまた歩き出しました。


「あぁそれから……イブキのハッピ―ライフって夢も俺は嫌いじゃなかったよ」

「え?」

「どう考えても現実的じゃないし、色んな奴に迷惑かけること確定だけど。夢の話をするあいつの目は、嫌いじゃなかった。
……俺がシアタ―のセキュリティをもっと万全にしてたら、あいつの友達は罪を犯す前に思いとどまったかもしれない」

「ジオウさん」

「アイツの夢が踏みにじられた原因は俺にもあるんだな―って思うと、胸がポッカリした気分になる」


どんな顔でそう言ったのかは見えません。でも私にはジオウさんの匂いが寂しそうに感じました。


「あれは、イマジンとか色んな悪い人がいたからで、ジオウさんが悪いわけじゃ」

「悪い奴が悪いことするのは当たり前だ。まんまとやられた後で後悔する奴が間抜けなことには変わりはない」

「そんな…」

「だから、せめて同じ後悔はしないようにしないと」


ジオウさんは足を止めました。そこは行き止まりの路地裏で、暗いけど二人分の人影があった。一つはごく普通の若い男性。
でももう一人…いえ一人分の影は、白い下半身が空に浮いていて、モグラのような顔した上半身が地面から生えてました。


「あ、あれは」

「モ―ルイマジンって奴だな。ある意味イマジンで一番有名な奴だし、そこからの連想でイメ―ジ固まったのかな」


あれがイマジン…本当に特撮ドラマと同じ怪人が、現実にいるなんて。


『オマ……ネガ……カナ…』

『…………!……!?』

『……。………!』


彼らが何を話しているのかは聞こえません。

でも何か話がまとまったかと思ったら、イマジンの下半身が空に引っ込んで、上半身が飛び出てきて。
あっという間に黒いコ―トをまとった銀色の怪人の姿になりました。

ジオウさんは背負っていたカバンから巾着袋のようなものを取り出して、二人に向けて投げました

袋が人間の男の人に当たったかと思ったら何かの粉が飛び散って、急に意識を失って倒れました。その様子を見てイマジンがこちらに向き直りました。


「ナンダ、オマエラ」

「ちっ……通りすがりの警備員見習いだよ。突然だけどお前さ、何か壊したり誰か壊したりする予定あるか?」

「ハハハ、ナンダソリャ。ソウダナ――マズオ前ヲ殺ソウカ!?」


もぐらのイマジンは斧になってる手を振り上げながら、ジオウさんに迫りました。
ジオウさんはカバンから取り出した刀の鞘を左手で握って、振り下ろされた斧を受け止めました


「ありがとう――正当防衛成立だ」

その言葉が合図になったのか、ジオウさんのジャケットの内側から何かが飛び出しました。
イマジンの顔に向かって跳びかかり、何かが閃いて砂が飛び散って。
怯んだところにジオウさんの右手が刀を引き抜いて、左肩から右脇にかけてバッサリ切りつけました。


「まぁ本当は、最初から全部聞こえてたんだけどな」

「ナンデダァァァァ」

「契約者がお前のことをあっさり忘れてくれたら簡単だったのに」


返す刀で右肩から左脇へと切られて絶叫をあげるイマジンの体は崩れて砂の山になってしまいました。

ジオウさんは刀を鞘に収めると、その場でしゃがみ込み目の前の大量の砂に向かって両手を合わせました。


「あの、今のイマジンさん」

「あぁ」

「……倒したんですか?」

「殺したよ」


わざわざ言い直したジオウさんの言葉に背筋が寒くなりました。

殺すと言う単語は漫画やドラマを通してある意味日常でよく聞く言葉なのに、この状況で改めて聞くと重みが違って。
でもそれ以上に、今もイマジンの砂に手を合わせ続けてるジオウさんから今までに嗅いだことのない匂いを感じて、胸が切なくなりました。

そんなジオウさんの隣に、さっき飛び出した「何か」もやってきて手を合わせ、頭を下げました。


「グフ彦、くん?」


それはいつもひなたちゃんと一緒にガ―デニングをしていたグフ彦くんでした


「ジオウさん、これはいったい」

「今日おまえを連れてきた理由は2つある、一つにはイマジンの匂いを覚えられるか試して欲しかった」

「え」

「もし電王のモモタロスみたいにイマジンの匂いが分かったら、襲撃から逃げやすくなるだろ?
もう一つは俺やガンプラたちにどっかの忍者に縋らずみお前たちを守るチカラはあるんだって所を見せたかった」


その理由には納得が出来た。この前の火事騒ぎ以来、ひなたちゃんや翼ちゃんや他のみんなも、少なからず不安になってた。
だからもう大丈夫って所を見せて安心させたかったっていう理由は分かります。でも


「それなら、なんで私にだけ見せてくれたんですか?」


イマジンの匂いを覚えて欲しいって言うだけなら、私以外のみんなに用事はなかったかもしれません。
でも二つ目の理由ならシアタ―のみんなに見てもらった方がいいんじゃ。


「おまえ、ディオパンと何か話したんだろ?」


指摘されて息をのみます。私は確かに、ディオパンさんからジオウさんを助けて欲しいと頼まれました。

何から、どうやって助ければいいのか尋ねた私に『まずそれをジオウの口から聞いてくれ』と言われて。
ディオパンさんのことは伏せてジオウさんにそれとなく話してみたら、気付いたらこんな状況になっていて。


「俺の希望としては、お前には面倒ごとは全部俺らに任せて、アイドルの仕事と自分の夢の為にチカラを尽くして欲しい」

「そんな。それじゃあジオウさんに負担が増えるばかりじゃ」


それでは何の助けにもならないのではと言う私に、ジオウさんは首を横に振りました


「いいや、むしろカレンやみんなに負担をかけるのは俺の方だ。こんなイマジンみたいな化け物どもが蔓延る世の中で、
どんなに怖くても戦う術を持つな、無防備でいろ、命を全部俺に預けろって、そんな理不尽を押し付けてるに等しいんだから」


本当に申し訳なさそうな顔でジオウさんはそう言ました。

私は、そんな風に考えたことはありませんでした。
ただ、この人があんな匂いをさせながら私たちの為に負担を背負おうとしてるのを嫌だと思っただけで。

そんな考えが顔に出ていたのか、ジオウさんは安心させるように優しい表情を作って笑いかけてくれました。


「これはさ、お前らを気遣って危険を引き受けてるとかじゃなくて、単に役割分担の話なんだ。
お前たちが夢を叶えて、ついでにトップアイドルになってくれたら。それは俺やディオパンの目的にも適うんだ」

「…どういうことですか?ジオウさんの目的って」

「それは――待て」


ジオウさんが言葉を遮り、大通りに通じる方向に視線を向けました。私も釣られて顔を向けると――目を疑いました。
骨だけの怪物が3体、ガシャガシャと音を立てながら現れたんです。本当に骨だけで服もお肉もついてなくて、持ってる剣まで骨でした。


「こ、この骨のお化けもイマジンですかぁ」

「違う、これは竜牙兵だ。竜の牙を材料に魔術で作られた使い魔――おい、どういうつもりだ」


ジオウさんはそのりゅ―がへい?の方に向けて、いいえその向こうに誰かいるみたいに話し出しました。


「お前がここにこれた理由は別にいい。今夜ここにイマジンが現れる可能性が高いって教えたのはお前の所の副長だ。
だがなんで、いつもの騎士団じゃなくてそんな豚骨お化けを引き連れて来た。ここにはカレンもいるんだぞ」

「だから、ですねぇ」

「え…?」


暗がりから聞こえてきた声に、私は混乱しました。だってその声は、私のよく知っている声だったんです。


「どうして、あなたが」

「ジオウさんに振り回される可憐さんを――― 『聖母』として癒してさしあげようと思いまして」


暗がりから現れたその女の子は、私たちと同じシアタ―のアイドルの。


「朋花ちゃん…!?」

「あぁ、あいつは間違いなくミリオンシアタ―所属のテンクウバシ・トモカだ。同時に――『教会』の関係者だ」


(to be continued)



◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



<あとがき>


えもん「皆さんこんにちは。現在サマ―キャンプに参加中で近年稀に見るヒャッハ―ぶりを
見せる小梅ちゃんに振り回されてまだ帰ってこないジオウくんに代わって進行を務めます、ぼくディオえもんです」


(「ゾンビ…サイコ…ドッペルゲンガ―…♪…福ちゃんと、もっと…遊びたい♪」「私も新たなメカクレと会いたい」「落ち着け」)


可憐「み、皆さんこんにちは。アシスタントの篠宮可憐です。どうぞよろしくお願いします」

えもん「はい、お願いします。さて今回は見ての通りドリドリドリルな萩原雪歩ちゃん編。
『主役小説書いていたら雪歩ちゃんのガチャの引きが良くなった』なんて拍手を出してから幾迷走。ようやくお届け出来ました。

可憐「執筆開始前にはまだ始まってなかったウルトラマンZでネロンガやテレスドンが
出てくるのを見て楽しんだり焦ったりしながら、少しずつ書いてたそうです」

えもん「でもまあぶっちゃけ、誰も待ってなかったと思うんだけど」

可憐「い、いえそんな事はないと思います。みなさん楽しんでくれたと思います」

えもん「え―、でも最後とか唐突に『あの子』が出てきて良く分からんって人たくさんいると思うよ?」


(あとがきから読む人に考慮して名前は伏せてます)


えもん「この話、涼宮ハルヒっぽく時系列が進んだり戻ったりしてるから
『どっかで出てたっけ?読み返すのが憂鬱!』って人もいるかもしれないし」

可憐「そ、そんなことはないんじゃないかと…」

えもん「なお白状しておくと『あの子』がこのシリ―ズに出るのは初めてです。ただこの三次小説の設定上では最初から
『シアタ―開始前から魔術や裏の世界に多少関わりのあって、サ―ヴァントとも契約してる』キャラとなっていました」

可憐「サ―ヴァントさんとも、ですか?」

えもん「うん。例えば今日出てきたときに一緒にいた『アレ』はそのサ―ヴァントが用意したものなんだ。

本当はもっと伏線とか立てて、シアタ―の皆が仲良くなってからバラシて『そんなっ、私たちをだましてたの!?』みたいな
ショッキングな展開に持っていきたかったけど、最近どんどん遅筆になってるから出せそうな時に出しとこうって感じで」

可憐「じゃあ次回は『あの子』を掘り下げる話なんですか?

えもん「うんにゃ、次の話のタイトル&モノロ―グは横山奈緒ちゃんが有力かな。
執筆教ガチャで引いてそのままになってるし、先取約束機的にもちゃんと形にしないといけない。

それのCパ―ト的に君やあの子の話をするかは未定だけど、執筆の状況次第では
今年のエレナちゃんの誕生日小説とか先に描くかもしれない。つまり――」

可憐「つまり?」

えもん「8月27日の君の誕生日に記念小説出すのは難しいってことだね」


(エレナについては年1回は過去話するのを目指してます)


可憐「そ、そこは別にどうでもいいのでは。わ、私の為に無理なんかしないでくださいとしか」

えもん「と言うわけでコレ、ジオウ君から預かってた君の誕生日プレゼント」

可憐「え」

えもん「キャンプ行く前に預かってたんだよ。今年は当日までに戻れるかどうかわからないから、
お祝いは戻ってから改めてするけどプレゼントを先に渡しといてくれって」

可憐「あ、ありがとうございます。とっても嬉しいです」

えもん「それはジオウくんに今度言ってあげて」


(来年こそは可憐の記念小説書きたいな)


(おしまい)

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