頂き物の小説 第15話「それが対潜戦闘!(チートあり)」 あれからあいつらは忽然とディケイドの如く銀色のオーロラに包まれて世界ごと消えていった。 元の世界に帰ったのならいいんだがなぁ。 それは兎も角、あの戦闘でオウミが被った被害報告を纏めるとこうなった。 武装面では左舷パルスレーザー60基の内16基が51cm砲弾の直撃で失われ、41基が小破、その内の22基が修理完了。よって現在は25基が使用可能で例の地点までには35基が使用可能になる。 そして煙突ミサイル消失で代わりに装甲板とパルスレーザーを8基搭載する事で代わりとしている。 防御面は内部の波動防壁のコイルがやられおり、今は真田さんが頑張っている為、波動防壁復帰まで2時間って所らしい。 その他、砲弾の直撃で削られた装甲の交換や主副砲の砲身の交換をMS持ちの連中にやって貰っている。 電子系ではフェイズドアレイレーダー群がやられ、全天球レーダーが使用不可能。 居住関係では左舷の展望室下層の大浴場、今では女子風呂が中身が荒らされて使用不可能。恒星間航行船なので設備はかなり良いのだが、戦闘にはまったく関係ないので後回し。よって女達が悲鳴をあげている可能性あり。 その他は左舷アンカーの断裂って所になる。 幸い機関と対艦兵装に然程異常がないのはありがたいが無視出来るレベルは遥かに超えている。だが朗報もある。 ようやく切り札である波動砲の発射が可能になった。収束型、拡散型、直撃型のどれか1発限定との事だがこれは非常に大きい。 だが1発限りの波動砲となると使い道が相当限られる。 最悪......アレをする羽目になるか。 彼らがやってきたのは霧に支配された世界。だが唯の霧の世界で済むとは限らない。 彼らはあれだこれだと知識を振り絞って己の力を引き出してこの難局を乗り越えられるか。 とある家族の異世界冒険記:コラボ編2 蒼き鋼のアルペジオ編 第15話「それが対潜戦闘!(チートあり)」 「レオス、これまでの戦闘データの整理終わりました」 「ありがとう、セシア」 ダッグアースラの一室で俺達は今までの戦闘データを纏めていた。 この様な状況でも人類の進化への道を探す事は止めるつもりはない。寧ろいい機会でもある。 「レオス?」 「いや、ここに迷い込んでから色々な事を学んだと思ってただけだよ」 「そうですよね。脱出する為に別のデータにダイブしようとしたら異世界でそこで合流した人達とさらに別世界に飛ばされるなんて思いませんでしたよ」 セシアとちょっと前の事を思い出してその記憶に浸かる。 そしてずっと気になっていた事について切り出す。 「なあ、この世界もやっぱり......」 「はい、GAデータにはない世界です」 「となると......俺達はどうなっているんだ?彼らもGAデータの存在ではないんだろ?」 「そこが全く分からないんですよ。仮説としてはダイブした意識が実体化した可能性がありますが......」 ダイブした意識が実体化なんてあり得るのか? それにホロアクターであるセシアも実体化しているのは......まあ触れ合えるから嬉しいけど何がどうなったらそうなるんだ? 「でも迷い込んでから色々な機体に出会った。 VFやライガーゼロといったMS以外の機動兵器にMSやMAのプラモデルであるガンプラ」 「そして宇宙戦艦オウミやダッグアースラに霧の艦隊。そして......」 「「カタルシスガンダム...」」 フリーダムガンダムをベースに全身に武器を積み、GNドライヴ3基によるトリプルドライヴシステムとメビウスドライブシステムによる圧倒的な出力、一度崩壊してからの再生、未知の力を解放して結界を作り出し∀の月光蝶すら食い止める力を持つガンダム。 あの未知の力なしでも俺達のEXA・フェースやイクスのミスティック・フェイズを上回る性能を持っている事は間違いない。 「あの機体は我々の知らない技術も混じっています。でも技術というより......」 「魔法......だな、まるで」 あの氷の翼、遠くの機体を何かしらの力で握り潰す、瞬間転移、結界を張るあの力は魔法としか思えなかった。 魔法自体は龍也や恭文達が使っていたし、終夜達の世界には魔術や超能力、次元力といった力があるって話だ。 「でも一応の推測は出来ています。あれは文字通り全身に採用されているサイコフレームの影響ではないでしょうか」 「サイコフレーム?」 サイコフレームの概要は聞いた。 確かサイコミュを金属粒子単位で鋳りこんだ装甲材でこれを用いる事でサイコミュの小型化に成功したとか。 それをユニコーンガンダムは全身のフレームの一部に、カタルシスは全身のフレームそのものがサイコフレームとして作られていた筈だ。 だがサイコフレームはそんなに凄いのか? 「許可を得てオウミのデータベースにアクセス、調べたのですがサイコフレームにはニュータイプの脳波と感応して未知の力を引き出す事があるらしいのです」 「その未知の力がカタルシスを変貌させた......のか?」 そう考えると一応納得はする。凄いご都合な面もあるけど。 でもあのスライド展開という形から元からああなる様にはなっていたんだと思う。 現に一夏とリトが操るユニコーンガンダムにはサイコフレームを露出させたデストロイモードがある。 あの機構はサイコフレームの力を活かすように作られていたのか? だったら何故暴走なんて事が?暴走する機械を作る様な人達じゃない筈なのに.....。 「それに関しては、恐らく魔術や超能力の存在により、サイコフレームが私達の知らない力を発揮した、と考えるべきだと思います」 「製作者すら把握出来ない未知の現象という事か。また一つ学ばせてもらったよ」 全く......規格外過ぎる。あれが終夜の手にあるだけマシだな。 あんなのが悪い奴の手に渡って制御されたら世界は、GAデータが一瞬で滅びてもおかしくない......か。 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ オウミの艦内に設置されている士官室でイ401艦長の千早群像、イ401のメンタルモデルのイオナ、霧の大戦艦のハルナとキリシマ、霧の重巡洋艦マヤ、スカリエッティの計6名とこれからの事を話し合う事になった。 刑部蒔絵は早苗さんに預けた。子供相手だったからか喜んで引き受けてくれた。 「取り敢えず魚雷とミサイルの規格は大丈夫か?」 「ああ、補給に感謝する。こんな所で補給出来るとは思ってもいなかったからな」 まあ、霧の場合は余程規格から外れていなければ自分達で調整出来るからいいのか。 「今までは横須賀での補給以外では粗悪品だらけだったけど、今回の補給物資はこの世界の技術力を超えた物ばかり。あなた達は一体何者?」 おおう、イオナが意外と鋭い。 というより核心をついてきた形か。他の皆さんも興味津々そうだ。 だがな、その前に1つある。 「こっちの身分は話すつもりだがその前に1つ。 ハルナ、キリシマ、マヤ。お前達はこれからどうするつもりだ?」 これだけは譲れない。流石に味方じゃない者にこっちの身の上は話せない。 少し時間が経ち、紅茶の入ったカップを置いたハルナが答えた。 「......正直、お前達が我々を助けた理由を知りたい。お前達を観察する事でな」 「私は旗艦の命令に従うだけ〜。アドミラリティ・コードからは反するけどそれも面白そう!」 「そうか、キリシマは?」 「わ、私はこいつらの見張りだ!1人はしっかり者がいなければ駄目だからな!うん!」 この辺はアニメ展開って所か。 にしても面白そうと来たか。マヤがアニメどころか漫画ともまた違うが...まあこれはこれでいいのか。 これで艦隊編成はオウミ、ダッグアースラ、マヤ、イ401の四隻体制だ。特にマヤには色々と助けられるだろう。 「んで俺達の正体だな。一言で言えば異世界の存在だよ」 その言葉から身の上を話す。 一通り話し切って、あちら側の反応を伺う。 「......信じ難いが、オウミやロボットが証明になるか」 「信じるしかないだろうな。にわかに信じられないが一番納得する事情ではある」 「キリシマ......熱でもあるのか?らしくないぞ」 「何でそうなる!?」 一部打って響いているが、納得はしてくれたらしい。 これなら大丈夫そうだ。後はタカオとヒュウガか。 まあ、ヒュウガはロボット見せればある程度黙るだろうしイオナがこっち側だから問題ないか。 「まあ、そんな身の上だがよろしく頼む」 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 「あ、お帰りなさい」 色んな奴らと戦って、一部を除いてダッグアースラに戻って来た僕達は並べられた料理に驚く。 どれもこれも美味しそうな匂いを漂わせている。 「あ、先輩が突っ込んだ!」 「誰か食い止めろ!どんな手を使っても構わん!食い尽くされるぞ!」 ダーグを食い止めているみんなを他所に、僕の目は野菜炒めに使われているある食材に目が行った。 見た目は一見キャベツのような包皮型の食材だけど発される臭いは他のと段違いな程である。 「もしかして......食王エア!?」 「なんですと!?」 「はい!」 僕の言葉にリインが驚き、偶然聞いていたのか、小松さんが答えてくれた。 マジで食王エアだった!? と言うかおのれらはミッドチルダから来たんだよね!? 「なぜ驚いているんだ?それにあの食材は一体なんだ?」 そんな僕達の驚きが気になったのか刹那さんが話しかけて来る。 「こいつは食王エアって言ってな、小松の世界じゃあ伝説の食材と言われてる代物だ」 「信じられないかも知れないけど、このエアを食べると呼吸で体内に入ってくる酸素量が増大し、血流が良くなり新陳代謝が活発になるんだ。 一呼吸で擦り傷が消え、二呼吸で切り傷が塞がり、三呼吸でナイフの深い刺し傷も治り始め、更に呼吸を重ねると骨折や重い火傷も治るほど自然治癒力が上がる。色々と驚かされる食べ物だよ」 「更にエアを食べた直後なら海に何十時間も潜っていたり、酸素の全くない場所で数日過ごせるようになるんだそうだ。 ちなみに俺達もある時に海に潜った際に変身が解除してしまう事態に備えて万が一を考えて食べて潜ったんだが、仲間が変身解除してしまった時ホントに溺れずに済んだんだよ」 銀さん、シゲル、タケシの説明の通り。 今考えると食べ物なのに凄まじいスペックだよね、これ。 《空気のない場所を数日過ごせるだと!?》 「そんな事が可能なんですか!?」 そんな刹那さんに説明する3人にトリコを知らないメンバーは驚く。 まぁ、普通に考えたらそりゃあ空気ない場所を過ごせると聞いたらそりゃあ、ねぇ 「けれどヒロ君達はミッドチルダから来たんだよね?なんでエアを持ってるの?」 「それに関してはとある時に僕達の世界の食材を新鮮な状態で保存できる保存庫を貰っていた転生者の人から貰ったんです。ちなみに良い子でしたよ」 「はぁ〜そうなのか......」 続けて浮かんだ疑問を問うなのはのに小松さんは答える。 どんな時なのかは気になるけどなんでさ? つーか転生者って本当に便利だな。色々と。 「あの…なんでエアを出したんですか?」 「これからの事を考えてもしも海とか空気のない場所に生身で飛ばされてしまったらと言う時の為にエアを食べて貰った方が良いと思いまして。 後は携帯食糧的な物なので持っててほしいと言うのもあります」 同じ様に疑問に思ったあむの言葉に小松さんは真剣な顔でそう答える。 成る程、確かにエアがあれば万が一に備えられると考えさせられる。 そう考えていると扉が開いた。そして入ってくるのは白衣を着た紫頭が二人。そう、マダマだ。 「何やら美味そうな物が並んでいるじゃないか」 『何だ、マダマか』 「「冷たくないかねぇ、君達!?」」 マダマ達の戯言に誰も耳は貸さなかった。 そして小松さんが無視されて凹んでいるマダマ達に僕達に言った事と同じ説明をする。 「成る程、後で一言言っておこう」 「ありがとうございます!」 説明を聞いている内に、マダマ達は活力を取り戻していた。 マッドな連中はこれだから......。御し易いとも言うけど。 《......意外にタフですねぇ。マダマ達》 《あれは......開き直ったのでは?》 《今度余計な事を言うと口を縫い合わせますよ?》 《なんでですかー!?》 こらー!ヴァイスを苛めるのはやめろー! ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 「本当ならもう1つ、おめざメロンもあれば良かったんですがタイミング悪く入れてなかったんですよね…」 「おめざメロンとは一体なんだ?」 しょげる小松の言葉に私が問いかける。 『おめざメロン』?言葉から察するに小松達の世界に存在してるメロンの様な奴の事か? 「模様が時計の様な感じになっている超希少なメロンで様々な症状や障害などで意識不明や植物状態になっている人にその実を食べさせたり果汁を飲ませると意識を取り戻す凄い食材なんです」 「僕達も半信半疑だったけど、それでこちらのなのはさんやフェイトさんが目覚めたんだよね」 ちょっと待て、そちらのなのはとフェイトは意識不明になった事あるのか!? もしや、前に話していた魔法が使えなくなったという事なのか!? 「本当にあれがあればな…...」 「ま、まぁない物は仕方ねえよ。落ち込むなよ」 落ち込む小松をイビツが励ます。 確かにない物は仕方ないのだ。 人はあるものでやりくりしなければならない存在なのだからな......。 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ あの会談から少し経つ。 ジェイスから持ちかけられた携帯食糧についての話は即決で採用、あちらに優先配布している。 その理由は幾つかあるが、中でも大きいのはこちらはこちらでそれなりの時間の中で培ってきた様々な技術がある為、万が一ベイルアウトしても生存性は高い。 終夜は論外だ。あいつは今までの戦いの中で既に人間から外れてしまっている。それに変身能力とその特性を加味すると生存性はダントツで一番だ。理論上は核の乱打を食らっても生き残るくらいだ。 そんな事を俺は考えながら艦隊は海原を突き進んでいく。 「まもなく例のポイントに到着します」 「よし、次元アクティブソナー用意」 予定のポイント、小笠原諸島近海に予め用意した複数のポイントのうちの一つに差し掛かった艦隊。 オウミではこの予定したポイントで発見される可能性を覚悟して全周囲探査を行う事を通達、艦隊全艦から許可を得ていた。 「用意よし!」 「ソナー、打て」 「打ぇ!」 復唱と同時にコーンと心地よく響く音と共に空間に発せられたエコーが広がる。 そこから得られたデータを解析するのに少し時間が経ち、解析が終わったのかレーダー手が報告してくる。 「次元アクティブソナーに感あり。潜水艦と思しき物体多数接近中。包囲網を敷いている模様」 「全艦に伝達、対潜戦闘用意!データリンク開始!」 いると思ったよ。いなかったらいなかったでいいんだ。困りゃしない。 データを送信して1分くらいであちらから通信が届く。 《データは確認した。待ち伏せされていたようだな》 「霧の連中が静かだと思っていたからな。思い切って次元アクティブソナーを打ってみたが大正解だったよ」 嘘です。場所も大体目星はついていたからそれを元に打っただけです。 感心されているがその実情を考えるとあまり手放しで喜べる状況ではない。 原作ではこいつらに401は降伏しているからだ。手強い相手なのは確定だ。 そう考えていると、ハルナとキリシマが通信に割り込んできた。 《微量だが重力子エネルギーを検出した。恐らく霧の潜水艦だろうな。だが......》 《このエネルギーパターンは初めて見る。我々の知らない所から来た霧の潜水艦という事になるな》 やはりハルナ達はドイツ側の存在を把握はしていないか。 知っているとなるとコンゴウやナガトといった艦隊旗艦クラスかヤマトやムサシといった総旗艦くらいになるのか。 《それは後です。敵艦隊の配置からして戦法は恐らく群狼戦法と思われます》 《群狼戦法。第二次世界大戦中にドイツ海軍潜水艦隊司令のカール・デーニッツ少将が提案した複数のUボートによる包囲網を敷いての波状攻撃......だったな》 《その通りだ。この状況で一番ターゲットになりやすいのは》 「オウミ......だな」 ついていないと言えばついていないんだろうな。 この中でオウミだけあからさまにデカイ。全長約500mだから東京タワーより全長がある。目立つに決まっている。 その時、レーダー手から続報が入った。 「アクティブソナーの情報から艦型一致。U-XXI型2、U-XXVII型68、XVI型1です。旗艦はこのU-XXI型と推測されます」 間違いない。この潜水艦隊の中で通信量が圧倒的に多いのが少し後方に位置しているU-XXI型という事は敵旗艦はU-2501に間違いないだろう。 本当に旗艦と僚艦なのか、それとも旗艦からのリモートコントロールか...まあ、どっちも使えた筈だが。 《凄いな、そちらのソナーは。こちらではそこまでは捉えられていないぞ?》 「こっちは次元アクティブソナーだからそっちのアクティブソナーと原理が違う。だから変温層にいる奴でも捕捉できるし、艦型も特定出来る」 そう、こればかりは原理が違う。 従来のソナーが水中なのに対して、こっちは空間そのものに働きかけるソナーだ。 今度技術提供でもしたほうがいいか?いや、そんな事は後でいいか。 「取り敢えず今考えた作戦案を提出する」 そう言って他の艦に実は前々から立案していた作戦案のデータを送信、反応を待つ。 《成る程。......いいだろう、こちらは異存はない》 《こちらも問題ない。マヤ、いいな?》 《はいはーい!おっ任せー!》 《だがこの案だと索敵に難があるのではないか?》 群像とハルナからの異論がなかったが、ジェイスが甘い部分を提示する。 ならばあーだ、それならこーだと短い時間で策を弄して作戦は決定。早速準備に入る。 「海底魚雷及び海遊、射出」 両舷の短魚雷発射管から海遊、艦底部VLSから海底魚雷をそれぞれ放出する。 海遊とは自動偵察魚雷で搭載されたレーダーやカメラなどによる偵察を主任務とする。 今回はこれで敵の位置を特定して弾着観測、対潜砲弾や対潜魚雷を叩き込む。 海底魚雷とはある意味機雷の様な物で、敵を捕捉すると自動的に敵に向かっていく魚雷である。 今回に限っては嫌がらせと気を引かせる程度だが充分な効果はある筈だ。 「海遊からのデータ来ました、照準良し!」 「よし。作戦鎌鼬、開始だ。Z砲弾と対潜水中弾の混合射撃、撃てぇ!」 作戦名、鎌鼬始動。 海遊からのデータで敵潜を捕捉、俺の命令で前部主砲と右舷副砲が轟音と共に射撃を開始し、敵のいるポイントにZ型クラスター弾頭と対潜水中砲弾を送り込む。 ここで説明しておこう。 Z型クラスター砲弾は小型で貫通力の高い子爆弾で散布界の敵を破壊し尽くす弾頭。 対艦対地に効果を発揮し、構造物に対しての破壊力が特に高いのだが今回の様に対潜砲弾としての使用も可能でまずはこれで撹乱しながらクラインフィールドを削る。 そして対潜水中弾とは先端がドリル状になっており、回転しながら水中を進み水圧信管と衝撃信管、磁気信管のどれかで起爆、敵潜に致命的なダメージを与える事が出来る誘導砲弾だ。 これがトドメを刺す形になる。 旗艦のU-2501と敵の切り札たるU-2502は無理だろうけどドイツ版甲標的であるゼーフントなら充分だ。 描写的には強制波動装甲があるかは微妙な奴らだからな。魚雷艇相当ならば...... 「ゼーフント、3隻撃破!強制波動装甲確認せず!」 「取り敢えず第1段階がクリアか」 レーダー手からの報告に一安心し一息つく。 これが成功するかしないかは大きい。 これが成功したという事は通常弾頭でも十分効果があるという事だ。 漫画やアニメでは補いきれない部分だったから気がかりだったが、これで特殊弾頭の消費は避けられる。 「マヤ、飽和攻撃開始!」 そしてオウミの後方に位置するマヤはカーニバルの名に恥じない全火器一斉投射を開始。 あの阿保......補給どうする気だよ。こっちは対価ありなんだぞ。 最悪、短時間で多量のナノマテリアルを確保する為にオウミとダッグアースラのオムシスで土をナノマテリアルに変える事で硫黄島が削れる羽目になるか。 多大な戦果と引き換えに削れていく硫黄島......硫黄島が不憫すぎる。 「右舷のゼーフント、S8改の射程に入ります!」 「S8改発射!他も射程に入り次第攻撃しろ!」 敵潜が距離を詰めてきたので主副砲から対潜砲弾を発射しながら、右舷の短魚雷発射管からS8改型対潜誘導魚雷を発射する。 これはオウミの主力魚雷であるS8型誘導魚雷の派生型で炸薬を減らす代わりに航続距離や誘導性能を高めた対潜魚雷になる。 燃焼材に水素を使っているので射程範囲は酸素魚雷より長いし、スーパーキャビテーションシステムを積んでいるので雷速200ノットを突破する速度も持っている。 これにうちの家謹製の誘導システムが加わった結果、こっちの世界では潜水艦相手には無双レベルの破壊力を発揮した。 この様な飽和攻撃はある意味で群狼戦術に対する対処法にはなる。 要は敵を近づけなければいいって事だ。 だが......正直なところ、キリがない。 これでは次元アクティブソナーを打ち続けて敵を把握しているこっちに文字通り鮫どもがうろついてくる。 マヤも頑張ってはいるが流石に全弾命中という訳にはいかず、このままだと押し切られる可能性が出てくる。 ......もう一手打つか?だがどうする? 「相談するか。ダッグアースラに通信開け」 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 「もう一手欲しい......か」 《はい。でもこちらでは思いつかずこのような形に》 あちらからの通信内容に僕らは頭を悩ませる。 そりゃ、こちらを頼ってくれる事は嬉しい事ですよ。でもそれと案が思いつくのはまた別の話なんです。 というか...... 「てめぇは何呑気に寝とんじゃぁぁぁぁ!!」 「ブフォァ!?」 隣の席でアイマスク被って寝ていた馬鹿を蹴り飛ばした。 馬鹿は席から吹っ飛んで壁に激突して止まった、と思ったらすぐに起き上がった。頭から血流してるけど。 「何しやがる駄メガネ野郎!?折角いいところだったのにぃ!」 「んな事知るかぁ!寝てる暇あったら何か考えろや!」 周りの皆さんも僕の言葉に頷いてくれた。そう、僕は許されたのだ。 でもそーんな事はどうでもいいとして、何か案があると言われてもそう簡単には思いつかなかった。 だがコブラさんが何か思いついたのか、手を挙げて発言し始めた。 「あれを使ってはどうだろうか?」 「あれってなんだ?」 「大型ナランペットだ」 大型ナランペットってあれ、ただの親父ギャグを言うだけの物じゃないですか。 あれを何に使う気ですか? 「あれは音という観点で考えれば音響兵器だ。それを海の中に撃ち込めば......」 「ソナーを潰せる......!」 コブラの説明とエマさんの言葉がその意味を教えてくれた。 潜水艦は音で周囲を把握する為、こういった類の攻撃は有効らしい。 「安全確保の為に少々離れた海域から最大出力で吹くぞ!」 一度決まれば行動は早い。 僕らは通常空間に出るまでに大型ナランペットを鳴らす準備を急ぐ。 「通常空間に出るぞ!」 その言葉と同時にモニターの幾何学的な空間が海原に早変わり。 「発射準備よし!銀さん!」 「よっしゃぁ!ぶちかませぇぇぇ!布団が吹っ飛んだぁぁぁぁぁ!!!」 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 当初、我々は待ち伏せを行う事でイ401の実力を図る腹づもりだったが、イ401の他に高雄型重巡洋艦のマヤと見慣れない巨大戦艦が随伴していた。 それでもと我々は攻撃を仕掛けようとした。 だがこの有様だ。初めからこちらの位置が分かっていたとでもいうのか......! どうやら、我々が相手にしている巨大戦艦の連中は相当出来る様だ。 その火力でこちらのゼーフント部隊は半壊状態だ。それも射点に着けずにだ。 我々の元々の目的であるイ401は彼らに援護されながら硫黄島方面に離脱していく。 千早群像は離脱を選んだか?だが奴らしくない。 だが選んだというより逃がされた形だな。艦体に異常でもあるのだろうか。 となると、撃沈が任務ではない我々がここにいてもしょうがないか......。 「ゾルダン、変な言葉が流れ始めたわ」 そう言ってフランセットがスピーカーに流したのだが、その言葉に困惑する事になる。 「何を言っている......?」 霧だけにキリがない。鋼を噛んだ、歯がねぇ......一体なんだ?暗号か? 「あ、知ってる。これダジャレって奴だ!」 それは知っている。だが理由が分からん。 少し考えて、一つの仮説が思いつく。 あいつら、強力な音源を叩き込んでソナーを潰しにかかったか......! そこまで考えて気づいた。そもそも千早群像が指揮していると誰が決めた? となるとこの状況は......! 「緊急回避だ!トリムダウン最大!アクティブデコイ散布!」 「後方より魚雷4、至近距離!タナトニウム! さらに上方より対潜ミサイル多数!下からも!?」 「ロアムルド!迎撃だ!」 「ま、間に合わないよ......!」 は、嵌められたか......! ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 「船体圧壊音。敵潜、撃沈しました。残りの艦は迷走しています」 静さんの声で緊張が途切れ、各々楽な姿勢になり一息ついた。 成功......しましたか。 この作戦は簡単に言えばオウミの瞬間物質転送装置でこの401を転送、転送された401は海流に乗って敵旗艦に接近、至近距離でマヤから供与された侵食魚雷を叩き込む作戦でした。 イ401の存在はキリシマが操るダミーを置いて誤魔化します。 これだけだと不足なので追加されたのがオウミから射出された海底魚雷と高高度からのアクエリオンゲパルトとエクストリームガンダム、重量オーバーを覚悟して大型対潜ミサイルを満載したアサルト隊各機からのミサイルによる同時攻撃を敢行。 観測機としてサーチウェアのメシアガンダムと100式偵察機、多数放出した海遊をも投入した大規模立体交錯作戦により、敵旗艦は轟沈。 潜水艦故に恐らく生存者はいないでしょう。その辺りは自分も潜水艦乗りなので分かっています。 「お疲れ様でした、皆さん」 「お疲れ〜。だがワープするなんて初めてだよな、群像」 「ああ、異世界の技術は伊達じゃないのを思い知らされたよ」 私もこんな経験は初めてでした。 でもそれに対応出来る401のクルーの皆さんの技量は並大抵ではありませんね。こんな事じゃなかったら是非スカウトしていましたよ。 そう考えながら楽にしていると、静さんが何かに驚き叫んだ。 「何これ!?」 「どうした!?」 「海上に重力場の異常発生!オウミに向かっています!」 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 「撃沈は確認......。でも地味だな、こんなの」 《そう言わないでくれ。情報は近代戦では必須だからな》 今回の任務に愚痴ってたら、オウミの憲一から通信が入り宥められた。 不満があるとか相応わけじゃないけど......地味だ。 《本艦右舷に重力異常! これは......ブラックホールクラスターです!》 《くそっ!機関全開緊急離脱!各艦にも伝達!バラけさせろ!》 繋ぎっぱなしのオウミのブリッジから悲鳴の様な警告が発せられたすぐ後にこっちでも異常な重力エネルギーがオウミに真っ直ぐ突き進んでいるのが確認出来た。 マヤもこの状況はマズイと判断したのか、取り舵を取っている。 ダッグアースラは次元空間に退避した。 そして急加速で離脱しようとするオウミにブラックホールクラスターとやらが襲いかかる。 それをオウミはバリアで少しの間は防いでいたが、推進ノズル付近で貫通、炸裂した。 「お、オウミが......!」 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 「被害報告!ダメコン急げ!」 「主推進ノズル大破!補助エンジンが異常重力場で機能不全!オウミ、航行不能!」 「慣性航行に切り替えろ!波動エンジンはどうなった!?」 「大丈夫です!波動エンジン本体異常なし!」 くそったれ、波動防壁を打ち抜かれたか! 波動防壁で少し受け流して波動エンジンへの直撃を避けただけマシではあるがオウミは航行不能。唯の巨大なお荷物に成り果ててしまった。 さて、こんな事をしでかした大馬鹿な魔神は何処だ? 「本艦右舷上方8000に機影!グランゾンです!」 「やっぱりグランゾン......か」 まあ、ブラックホールを打ち込む奴なんてそいつ位しかいないだろう。他はチャージ時間はあるがヒュッケバインになるか。 それにしても実際にお目にかかるとシャレにならない破壊力だ。 こっちの世界にもグランゾンは存在していたんだが、専ら終夜と戦っていたから実際に見るのは初めてだ。 にしても破壊係数に限ればオウミも負けてはいないが機動兵器にこの力は凄まじい。さらに上もあるというのがタチが悪い。 そう考えていると格納庫から通信が入り、モニターに出すと真剣な表情の終夜が映る。 《憲一》 「分かってる。終夜、グランゾンを頼む」 《ああ、グランゾンからあの人と奴を感じる。 あれは俺が相手しなくちゃならない》 あれは未だに引きずっているか......。 無理もないか。あれはあいつの中でも上位に入る負い目だ。1ヶ月やそこらでそう簡単に拭える物じゃない。 「レーダーに感!本艦10時方向より接近する艦影あり!距離96000!数39!重力子反応検出、霧です!」 このタイミングでか!? 「敵艦隊の内訳は!?」 「戦艦5、空母4、巡洋艦6、駆逐艦21、さらに潜水艦15。現在敵艦より艦載機順次発艦中。 敵旗艦識別......」 どれが旗艦かは先ほどもそうだがが、通信量が一つの判断基準になる。 旗艦が指示を発する以上、発光信号を用いらない限り通信量は旗艦が一番大きいからだ。 だが霧が航空戦力を使うとは特異なケースだな。油断出来んぞ、こいつは。 「該当あり!」 「どいつだ!?」 「モニターに写します!」 該当データがモニターに写し出された。 このデータは他の艦にも送られている。 《これは......潜水艦?》 《というより潜水戦艦じゃないのか?》 周りが語り合う中、俺はモニターに映し出されていた1隻の戦艦に言葉を失っていた。 とある世界の超大和型たる超戦艦であり、ある意味で未完成の戦艦。 「日本武尊......!」 日本武尊が旗艦。さらに霧であるという事が示す意味が分かるが故に唸る。 「霧の旭日艦隊......だと......!?」 後書き 終夜:「どうもお待たせいたしました、神崎終夜です」 遊梨:「というわけで15話、どうでしたか?神崎遊梨です」 終夜:「色々とあるが、早いが話、この世界のU-2501は飽和攻撃でゲームオーバー。 アクエリオンゲパルトいてよかった、というかアマタ、ゼシカ、ミコノだからこうなった形だけど」 遊梨:「アマタがアクエリオンを高高度で固定、ミコノの繋ぐ力で強化されたゼシカの衝撃力で威力を上げたミサイルは強力だからねぇ。でもモロイとかだとさらにエゲツない事に......。 兎に角、飽和攻撃に関しては霧に対してはこの手に限る、だそうで」 終夜:「そして対潜戦闘も無双レベルの強さを誇るオウミ。 でもグランゾン相手は流石に分が悪かった」 遊梨:「し、シロガネよりマシですし......!そして......ね?」 終夜:「霧の旭日艦隊......だが旭日艦隊自体が凄まじいチートだからな。それについては旭日の艦隊でYoutubeかニコニコで各々把握して欲しい」 遊梨:「そんな事は兎も角、作者はこれまでの間に私達の世界の日本を徹底的に作り直していました」 終夜:「政治体制や軍備どころか地理すら徹底的に手を入れているしな」 遊梨:「そんな私達の世界、そう遠くはないうちに公表出来ると思うのでお楽しみに。 では神崎遊梨と」 終夜:「神崎終夜でした」 (今週のEDはタイトル繋がり。前に行っていた短編も鋭意制作中。出来たらよろしくお願いします。 今週のED:イヤホンズ(一ノ瀬双葉、萌咲いちご、小花鈴)『あなたのお耳にプラグイン!』) 遊梨:「それが声優!......ねぇ。今アニメやっているしホットなのかな?毎回有名人が本人役で出てるし」 終夜:「なお、作者は同人誌時代からお買い求めになっている模様。今は最新巻以外は単行本として出ているし、4コマ漫画も毎週土曜日にネットでアップされているからよかったら見てくれ」 遊梨:「それが声優!は私達の世界にも関わっているしね」 [*前へ][次へ#] [戻る] |