[携帯モード] [URL送信]

頂き物の小説
第14話「混沌の刑部邸」



「ハルナとキリシマ、刑部蒔絵はどうした!?」

《大丈夫です。マヤに乗り込むのを確認しました》


取り敢えず安心か。下手に傷つかれても困る。それで暴走なんてオチはシャレにならん。

そういう意味ではローレンスこと刑部藤十郎らしき人物が確認出来なかったのは救いか。


「総員に告ぐ。これより我々は突如現れた勢力である地球連合軍、ドルシア軍、超兵器の迎撃を開始する」

《待ってくれ。残念だが敵はまだいる。ネクロだ》


流石にこれは巻き込まれるのが確定な以上、積極的自衛権的なのを使わせて貰おうと思い、攻撃指令を出したが龍也に止められた。

...待て、今なんて言った?


《ネクロだと?》

《そうだ、あのライオンの顔を胸につけたロボットからネクロ独特の魔力を確認した。まず間違い無いだろう》


じゃああれか?あれはネクロガオガイガーとでも言えばいいのか?

また面倒な状況に...。出来れば介入したくないんだが、これでは介入せざるを得ない。


「ドルシア軍、こちら側のヴァルヴレイヴに攻撃を開始しました!
さらにデストロイ、無差別攻撃開始!それによりミネルバ及びアークエンジェル、戦闘開始!
ノーチラス、イ401とマヤに攻撃開始!各個に反撃を開始しました!超播磨とグロース・シュトラール、ヴィルベルヴィントは依然接近中!」


そんな事をのんびり考える暇もなく、各戦場で各軍が一斉に戦闘開始。こちらも巻き込まれ始めた。

示し合わせたのかお前らは、と突っ込みたくなるが、恐らくデストロイに触発された形だろう。


「やむを得んか。反撃しろ!
さらにあちら側のヴァルヴレイヴとミネルバ、アークエンジェル、ガオファイガー、イ401、ハルナ、キリシマ、マヤに打電!我、これより貴軍を援護す。ただし、邪魔は無用に願いたい、だ!急げ!」



彼らがやってきたのは霧に支配された世界。だが唯の霧の世界で済むとは限らない。

彼らはあれだこれだと知識を振り絞って己の力を引き出してこの難局を乗り越えられるか。


とある家族の異世界冒険記:コラボ編2

蒼き鋼のアルペジオ編

第14話「混沌の刑部邸」



確実に介入する必要があるのはこちらに攻撃したドルシア軍と地球連合軍にネクロ、そして俺達の因縁の相手とも言える超兵器の4つ。

離脱は上空が実質封鎖されている今は不可能。それに放置するわけにもいかないので迎え撃つしかないわけだ。


一刻の猶予もないので、咄嗟に組んだ編成を公表する。


「あむとリイン、ヒロ達を除いた魔導師組とアクエリオンはガオファイガーと共にネクロガオガイガーの撃破」


つまり恭文、恭太郎、龍也、はやて、シャルナ、アイギナ、クレア、リーエ、アマタ、ゼシカ、ミコノがガオファイガーと共にネクロガオガイガーと対峙する形になる。

まあ、ネクロに対応出来るメンバーとスーパーロボット枠をぶつけてさっさと終わらせて欲しいが故の編成だ。


「ヴァルヴレイヴとライガーゼロ、フルアーマーナイトガンダム、アサルト隊はあちら側のヴァルヴレイヴと共に博物館から発進するシャトルの援護」


そしてヴァルヴレイヴサイドはダーグ、アリア、飛燕、ブロントさん、達哉、雄介、雄大、憐が対応する。

巻き込まれているならいっそ徹底的に引っ掻き回す魂胆で実質地上専用戦力を全て回し、空をアサルトに抑えさせる。


「その他はデストロイを中核とした地球連合の撃破を担当しろ。
超兵器はオウミとベアッガイで食い止める!」


終夜、トリエ、刹那、レオス、セシア、セイ、レイジ、リイン、一夏、ヒロ、ヴィヴィオ、アラタ、シン、ルビー、キラ、リト、言葉、ヒナギク、白黒をぶつける。

何という皮肉としか言いようがない面子だがまあいいだろう。

策で言えばデストロイにサイコガンダムをぶつけつつ、どーせ行われるであろうステラ救出作戦の為にフリーダムの足止め要員を配置。

こういう事を予測して適切な戦力配置を行うのも俺の仕事だ。


そしてオウミはかつて一度海の底に沈めた超播磨とヴィルベルヴィント、グロースシュトラールを相手にする。

唯一の水中戦力であるあむにはイ401とマヤとの共同でノーチラス攻撃を頼んだ。


さて、後は各々がやるべき事をやって全員生き残るのを祈るだけだ。

まあ、味方を命令1つで死地に送り込んでいる奴の台詞ではないがな。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「護!答えろ、護!」

「邪魔をしないで凱兄ちゃん!時間がないのに!ブロウクン・マグナム!」


俺はパスキューマシンを奪ってさらにガオガイガーにファイナルフュージョンした護と対峙している。


クソ、何でこうなる...!


だが俺のそんな考えはこの後に起きる出来事で吹き飛ばされた。


《鉄輝...一閃!》


見た事がない蒼いロボットが蒼く輝く日本刀でブロウクン・マグナムを叩き切った。

さらにガオガイガーを上回る大きさのロボットや白と青と赤のトリコロールのロボットなど、色々なロボットが俺と護の間に入ってくる。


何だ?まさかGGGが把握していない秘密組織の機動兵器か?


「お前達は!?」

《手伝いするよ、獅子王凱!》


子供だと!?それも女の子か!


《誰がチビだって!?というか女だってぇぇぇぇ!!??》

《やれやれ...よく聞け。あれにはネクロと呼ばれる悪しき魂が乗り移っている》

「ネクロだと!?じゃあ護は...!」

《乗っ取られている...と考えたほうがいいですね。最も、本物とは限りませんが》


保護者らしき男の言葉で浮かんできた俺の考えは当たってしまった。

一体何があったかは気になるが...それも護ではない何かの腹の底から出る笑い声で断ち切られる。


「...やはり貴様は滅ぼさねばならない、守護者よ!」

《やっぱりネクロやったか。小さい子供の体に乗り移るとは...下衆が!》


その笑い声と共にガオガイガーが蒼いロボットに斬られた右腕が生えた。

こいつ、ガオガイガーまで侵食して自分のものにしたのか!?だが...!


「ネクロ!お前が何者かは知らないが護を返してもらうぞ!」

「偽物相手に何を言うか...まあいい。貴様らは今日、この場で死ぬ!この破壊神の力によってなぁ!」



◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「ねえねえ、ハルナ。これからどうするの?」

「取り敢えずあの兵器達を倒すしかないな。オウミとやらと401と手を組んで...だが」


マヤに答えながら内心溜息をつく。

何でこんな事になった。あからさまに人間や我ら霧の兵器じゃないロボットが沢山いるが、何処から来た?


その内、巨大潜水艦はこちらに問答無用で攻撃してくる始末だ。最近記録した言葉では頭が痛いというらしい。


「だがあれは我らと同じ霧じゃないぞ?そんなまどろっこしい手を使わなくてもいいんじゃないか?」

「あれを見てもか?」


霧島の言葉に返しながら私が指差した先にはビームや砲弾、ミサイルを撃ち合い、それを高速で回避したりバリアで弾き返している奴らの戦う様だ。

あれは我ら霧となんら変わりのない戦い方だぞ?


「すっげぇい...」

「...すまん、あいつら普通じゃないな」

「そういう事だ、マヤ。蒔絵がいるから火力支援だけだが...」

「りょーかーい!カーニバルだよ!」


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


何だよ...なんなんだよこれ...!何でステラがいるんだよ!

俺は紫のウィンダムに乗るネオの話した言葉に呆然としていた。


《あれに乗っているのは、ステラだぞ!》


その言葉に頭を殴られて呆然としていたけど、コクピットに鳴り響く警告で現実に帰る。

ステラが乗っているMAに色とりどりのビームやミサイルが叩き込まれていた。


ステラは腕のバリアで防いでいたけど、さらに大きさや色がバラバラなMSが突然現れた屋敷の方から次々とこっちに流れ込んでくる。

その中のステラの乗るMAと簡単にした姿の黒いMAが取っ組み合いに入った。


不味い、早くステラを助けないと!

その時、羽を4枚生やしたMSが緑に輝くビームサーベルを振りかぶってきた。

慌ててビームライフルを左手にもたせて、バックパックのビームサーベルを右手で抜き取って斬り結ぶ。問答無用ってわけかよ!


その時、男の声が聞こえた。


《答えろ》


通信画面に甲冑が映り、こっちに呼びかけてきた。

パイロットスーツじゃなくて甲冑!?ふざけているのか!?


「何だよ、お前!?」

《いいから答えろ。お前はどうしたい?知り合いが乗っていると知った以上、ただでは済まない筈だ。
ただ、こちらにはお前を援護する用意があるとだけ言わせてもらう》

「あ...おい、待て!」


あいつは言いたい事だけ言って、そのまま翼を翻してカオスに斬りかかって行った。

俺の...やりたい事...か。


《シン、聞こえる?》

「艦長!?」


そんな感じで考えていると、グラディス艦長から通信が入り、つい驚いてしまった。


《驚かなくてもいいでしょう?彼らと協力して巨大MSを止めなさい。これは命令よ》

「何で!?あいつら信用できるんですか!?」

《この状況だと手を組むしかないわ。フリーダムとアークエンジェルも原則無視、いいわね!》

「りょ、了解!」


あいつらどころかフリーダムすら無視かよ。

確かに周りが滅茶苦茶で訳分からないけど...!


「くそっ!やってやる、やってやるよ!」



◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


俺に感づいたカインが差し向けたバッフェをトンネルの中に入って中のトラックを爆破する事で1機葬る事は出来た。

だがそれも限界だ。川沿いの開けた場所俺はバイクを操りながら銃撃を交わすが何時までも耐えられるとは思っていない。


どうするか思案したその時、俺を撃っていたバッフェが火を噴いて落ちた。整備不良での故障か?そんな無様な真似をするとは思えんが...。

その時、俺の横の川をホバー移動する手と足が生えた戦闘機が現れてこっちに呼びかけてきた。


《手伝ってやる。あの跳ね橋を降ろすんだろ?》

「何者だ。何のために手伝う?」


俺の問いに何者かは少し間をおいてこう答えた。


《強いて言えばこの状況の打破って所だ。こっちもドルシアに攻撃されて交戦中だからな》


現状打破か。奴らもドルシアと交戦している以上、博物館への被害は減る可能性は高い。

背に腹は抱えられんか...やむを得ん。


「...いいだろう。跳ね橋までの援護を頼む」

《了解だ。任せろ》


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


「敵超兵器、確認!超播磨を先頭に単縦陣!」

「もう退艦は間に合わないか...。対空対水上砲雷撃戦用意!
...まあ、貴方がこちらに来てからの本格的な対艦戦闘だが...いいな?」

「はい、見学させていただきます。ご自慢の宇宙戦艦の力を」


これはまたキツい事を。完全な信用はまだ早いか。

そんな事を考えていると、早速敵に動きがあった。


「超播磨及びグロース・シュトラール、主砲発砲!」

「よし、こっちもやるぞ!主砲砲戦、撃ち方始め!」


超播磨が軸線上の100cm3連装砲2基からの6発の砲弾、グロース・シュトラールが同じく艦橋前部の100cm連装砲から2発の砲弾をそれぞれ発射。

対してこっちは艦首側3基の61cm4連装砲からショックカノンをグロース・シュトラールに向けて発射。


ビームであるショックカノンの方が当然弾速が速いので、着弾はこっちが先だが...


「敵艦、電磁バリアで弾き返しました!」

「やっぱりか。射程に入り次第副砲射撃開始。速度はこっちが上だ、引っ掻き回せ!面舵一杯!」


俺の号令と共にオウミは補助エンジンの出力調整に加えて各部スラスターも使用しての強引な旋回に入る。


「きゃあ!?」

「もっと振られるぞ!」


強引な旋回での急激なGによるテッサの悲鳴を聞きつつ忠告を促す。

にしてもかなめは歯を食いしばって耐えている。意外に根性あるな。


「敵弾、来ます!」


こっちが急加速しつつ素早く回頭した事で、あっちの第1射はこちらを捉える事はなかった。

...下手したら千日手だが、地道に頑張ろうか。出来れば航空戦力がお互い来る前に。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


やっぱり...技術レベルが他と違い過ぎる。

彼ら、神崎技術研究所に属する者達は一体何なのか。

私の心の中にはそんな疑念があった。


そもそもこういった技術には熟成が必要不可欠。

それを彼らは月へ向かう宇宙船どころか、一気に恒星間航行用の宇宙戦艦を作り出した。

彼らは一応、外太陽系航行用の宇宙船は作ったらしいがそれでも異常過ぎる。


それに加えてあの時目にしたカタルシスガンダムの力。あれは私達の科学で説明出来る領域を大幅に超えている。

私達の世界と同じくウィスパードがいるのではないかと考えたが、彼ら曰くいないらしい。


となると純粋な科学技術になるけど...分からない。そこまで隔絶した技術力を持つ事が出来た理由が分からない。

彼らが一握りの天才だから?それとも他の技術者を妨害してきたから?

願わくば前者である事を願いましょう...。



◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


海上で戦いが始まった時、彼らと協力体制を取る事となった我々蒼き鋼は敵巨大潜水艦と対峙していた。


「敵潜水艦ノーチラス、接近中」

「静、例の友軍に通信をかけてくれないか?」

「了解です。...繋がりました」


例の巨大潜水艦と交戦する前に静に共同作戦に参加する仲間と通信をつなげてもらう。

敵潜水艦と友軍機のスペックデータから簡単な作戦は立てたのでそれを伝える為だ。


「こちらイ401。応答されたし」

《はい、ベアッガイのパイロットの日奈森あむです。よろしくお願いします》


此方の呼びかけにもかなり落ち着いている。

思ったより頼りになりそうだな。少なくとも新兵ではないと見た。


「俺はこのイ401艦長の千早群像だ。
スペックは確認させてもらった。君には遊撃を頼みたい。出来るか?」

《はい!任せて下さい!》


こちらの作にすぐ了承してくれたのはありがたい。

変に揉めている時間はない。こちらの知らない物が沢山あるから何時どうなるかは全く分からない。


となると必然的に速攻で決めてなくてはならない。ベアッガイの遊撃もその為の布石だ。


「ベアッガイ、離れていきます。速力120」

「120?推進音は聞こえるか?」

「いえ、推進音が聞こえません。電磁波から電磁推進方法を使用していると思われますが...」


電磁推進...確か超電導電磁石を用いた推進方法だったか。

だがあれは相当なエネルギーを食う筈だ。それで120ノットか...。技術的には此方に劣る事はなさそうだな。


「にしても女の子かよ。見た目が見た目だからそんな感じはするけどな」

「こっちが言えた事ではないがな。イオナ、奴の下方に付いてくれ」

「合点。下げ舵10」


降下する事でまず奴の正面からは逃れた。

これで超音速魚雷とやらの斜線からは逃れた。後はベアッガイ次第になる。


「1番から4番に通常魚雷、5番と6番に音響魚雷、7番8番に重高圧弾頭魚雷を装填だ」

「了解!各種魚雷装填!」


正直な所、侵食魚雷があれば楽なんだが、ハルナとキリシマとの戦いで全て使ってしまった。

そして魚雷やミサイルの残りもそう多くはない。


「マヤの動きはどうだ?」

「動きなし、静観する模様...待ってください。敵艦、ミサイルを発射。数多数」

「ミサイルだと?」

「はい、海面に飛び出ていますから恐らく...」

「ミサイルの狙いはマヤかあの戦艦じゃねぇの?まだ交戦してねぇんだし火力支援にはうってつけだろ」


杏平の言う通りが妥当か?

となると戦闘を急ぐ必要があるな。


「こっちが奴を釘付けにする事は上の支援になる。やるぞ、1番2番誘導魚雷発射!」


魚雷が発射されてノーチラスに向かう様がモニターに図で映し出される。


「ノーチラス、魚雷発射。数4。......こちら側の魚雷、全弾迎撃されました」


迎撃されたか。流石にこれでやられるとは思ってはいない。

だがさっきのミサイルが気になる。多弾頭ミサイルも積んでいるらしいが情報元はあっちだ。上手くやるだr


「海面に着水音多数。航走音あり。これは...対潜ミサイルです!数多数!」

「ダウントリム最大!重高圧弾頭発射!3秒後にパッシブデコイ放出!」


敵の対潜ミサイルと魚雷が降り注ぐ中、急いで指示を出す。

全てこっちだと!?今の霧でこんなやり方する奴はそうそういないぞ!?


「まさか全て対潜ミサイルとは...。我々は最近の霧に慣れきってしまいましたね」

「そんな事言ってる場合かよ!?」

「ノーチラス、さらに魚雷発射!内8発は高速です!」

「迎撃魚雷発射!ばら撒けるものは全部ばら撒け!出し惜しみするな!急速潜航!」

「きゅーそくせんこー」


俺の指示ですぐにみんなが動き出す。

くそっ、油断した!まさか全部こちらとはやってくれる...!あれに本当に人間が乗っているのか!?


「海面に着水音、魚雷多数!タナトニウム反応あり!」


着水音...まさかマヤからか!?


「どっちを狙っている!?」

「目標は...ノーチラスです!」


その報告の後から断続的に衝撃波を観測し、そして止んだ。

どうなった?


「空間衝撃波動多数検知。さらに船体の圧壊音を確認、ノーチラス撃沈です。それとハルナから通信が...」

「...出してくれ」


展開されたモニターに横須賀沖の時と変わらない姿のハルナが映し出された。


《千早群像、それにイ401。悪いが援護させてもらった。今は敵対している場合じゃないからな》


援護自体は感謝するが何か狙いがあるのか?...いや、余計な事を考えている場合ではないか。


「あ、ああ。感謝する、ハルナ」

「ありがとう、ハルナ、マヤ」

《私は無視か!?》


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


「な、何!?今の!?」


必死に機体を押さえ込みながらつい叫んでしまう。


「あ、あむちゃん。ノーチラス撃沈されてるよ?」

「嘘!?あれだけばら撒いてたのに!?」

「だからこそじゃないのかな?攻撃にリソース振り分け過ぎて対応しきれずに...じゃない?」


私の驚きにミキが冷静に分析して答えた。それに納得しながらこう思ってしまった。


「呆気な...」

「呆気ないですねぇ」

「呆気ないわね」

「呆気ないね...」


まあ...これでよかったんだよね?何かが致命的に無くなった気がするけど...。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


「邪魔だ、どけ!」

《何をするんだ!あれを止めないのか!?》


フリーダムの前に降り立ってGNソードYを突きつけて音声のみで警告。

それに対しての返答が予想通りなのに内心笑いながら、左手のビームライフルを高出力モードに切り替えつつ、ヴァイスリッターの如く手の中で回して構える。


「止めるさ、お前の十八番を使ってな!」


そして膨大な出力を誇るカタルシスから放たれたビームはフリーダムが構えていたシールドを溶かし飛ばした。

フリーダム本体は辛うじて逃れた形だが左肩の関節がスパークしていた。

恐らくビームでシールドを吹き飛ばした負荷に耐えきれなかった結果だろう。


というかフリーダムとカタルシスの性能差は見た目は近いとはいえ、隔絶している。

というか基準があまりにも違い過ぎる。


こっちは前継機の時から恒星間航行用宇宙戦艦に随伴出来るのが前提。流石に光速は叩き出せないが量子ゲートによるワープなど、その点では充分なレベルには昇華している。

その速さに加えて地球を周回している人工衛星にぶつかっても壊れやしない防御力が求められる故にそれだけの防御力も備えている。

そして火力やパワーもこっちが数段上。仮にあっちのキラの操縦技術が俺を上回っていても如何にかなるレベルは超えているってわけだ。


「取り敢えずその辺りで転がってろ!」


というわけでフリーダムにはここら辺で降りてもらう。


お互いの右手のビームサーベルで鍔迫り合いに持ち込んで、こっちの推進力を切る。

それによりフリーダムがつんのめる形になった所で左足での蹴りをコクピットに叩き込んでさらに身体を捻ってその勢いでフリーダムを地面に叩き落す。


さらに地面に叩きつけられたフリーダムに向かって重力を味方につけて突撃。

1回転して体勢を整え、右足を突き出す!


「スーパー...イナズマァ...キィィィィィック!!」


気が向いたのでトップをねらえのあれを再現してみた。


勢いをつけたキックはフリーダムの胸に突き刺さり、地面に叩きつけた時に少し装甲を凹ませた。

そしてフリーダムは動かなくなる。装甲はPS装甲だったが故に無事だと思うけど中身が耐えきれず、ってところか。

というかPS装甲が凹むってどんだけの衝撃になるんだ?しかも核動力のフリーダムだし...即興ながら結構恐ろしい技だな、これ。


あっちはエクストリームとクアンタによる対話が大技と勘違いされて徹底的に妨害されている。

あのエース集団を連携で妨害出来る辺り、連中の平均的な練度は高い様だ。

そっちに気が向いている間にストライクルージュがこっちの隙を突いたかの様にフリーダムを回収した。見逃した様なものだけどな。


そしてデストロイの大暴れである意味乱戦状態。

取り敢えず状況を教えてもらおうとセイに通信をつなげって見ると、何故か飛鳥と話していた。


《ステラちゃん助けるんでしょ?私に任せなさいって》

《危ないですよ!生身で...ってまさかシルファリオン使うんですか?》


セイの言う通りである。何でお前がいるんだよ、アカツキない癖に。原因俺だけどさ。

そんな俺達の疑問を無視して意味深な笑みを浮かべる飛鳥。


あ、これアカンやつだ。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


あれから私は帰還せずに陸路をコソコソと進んでデストロイの足元まで来た。

いや、何か役に立つと思ってね?生身の方が便利な場合って意外に多いし。


取り敢えず今の私に出来る事、ステラちゃん救出に全力を尽くす!ちょっと顔がにやけてるけどお気になさらず。

そうと決まれば私のデバイスであるレイヴを音速の剣・シルファリオンに変化させてその力を発揮!


その力は私の移動速度や攻撃速度を上げる力。代わりに一撃は弱いけどね。


「リインちゃん!そういう事だから抑えて!」

《何無茶苦茶やってるんですか!?》


兎も角、その力でデストロイの砲門を避けながら駆け上がってコクピットに取り付く。

なんだかんだいってちゃんと抑えてくれているから登りやすいのなんの。


「ひっ!?」

「はぁ〜い」


コクピットを覗いたら、何か驚かれたけど気にせず挨拶をしてみた。


「あなた…誰?」

「私?私はねぇ…大剣担いだ魔法少女ですっ!キャハッ☆」

《……………………》

「……お願い。割とリアルなドン引き止めて」


もう私の心のLP(ライフポイント)はもう0よ!原因私だけど!魔法少女はあってるでしょ!


《だけど魔法少女は大剣持たねぇだろ》


…レイジ君、心の声にツッコむのは止めよ?ある意味プライバシーの侵害だよ?


「で、本題なんだけど…ぶっちゃけ誘拐に来ました!」


私はとびきりの笑顔でそう言い放った。


「けど…私は…ネオとの約束を…!」

「はいはい。分かりましたっと…」


このままステラちゃんが折れるまで説得しようと思ったけど面倒だから…まずヘルメットを外して…ステラちゃんの顔を両手で固定して…


「な、何を…」

「この…お馬鹿ぁぁぁぁぁっ!!」


ゴスッ!


《えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!?》

《何やってるんですか、飛鳥さん!?》


いったぁぁぁぁ…!そう、何を隠そう私は今、ステラちゃんに頭突きをかましました。全国のステラちゃんファンの皆さん。申し訳ございませんでした。

だけどその甲斐あってかステラちゃんは良い具合に気絶していた。

そして私はステラちゃんを背負ってコクピットハッチの上に立つ。


《お、おい…まさか…》


私がやろうとしている事に気付いた終夜が何かを言おうとするがもう遅い!


「ア〜イ、キャ〜ン…フラァァァァァァァイッ!!」


ステラちゃんを背負った状態で大空へ身を投げ出す。

そして慌てて駆けつけたスタービルドストライクの手のひらに着地する。


「一体何考えてるんですか!?」

「アハハ、ゴメンゴメン。それよりもインパルスの方に行ってもらって良いかな?」


私がやった無茶をセイがコクピットハッチを開けてまで文句を言いくる中、私はセイにインパルスの方に向かってくれるようお願いした。

するとスタービルドストライクはインパルスの方へ向かって行き、インパルスの前にステラちゃんを出した。


「この子を早く!保証は出来ないけど急いだ方が!」

《え...!?》

「早く!」

《あ、ああ!》


私に怒鳴りつけられてシン君は慌ててはステラちゃんをコクピットに収納して離脱、ミネルバに向かった。後はどうにかなれ、でしょ。



インパルスを見送った私は仁王立ちで立ち尽くすデストロイをふと見上げる。


「...これって私でも使えるかな?」

《多分出来ると思いますけど...ってまさか!?》


この先の事を想像すると、自然と顔がにやけてしまう。


実は私には僅かに望んだ事がある。それは当面のアカツキに変わる機体の確保。


流石にあの補給事情で催促するのはあれだから自重していたけどこのカオス事態。奪う機体は選り取り見取りでしょ?

だったら大物を狙うしかない。それもパイロットがいない飛びっきりの!


「リインちゃん!そういう事だから攻撃はやめて!」

《ほ、本当にやる気ですか!?》


勿の論!!

シルファリオンの影響で軽くなっている身体でデストロイの膝にジャンプして、そこからまた登る登る登るぅぅぅぅぅぅぅ!!!!


紫のウィンダムが慌てて乗るのを阻止するべく私にバルカンを浴びせるけど、それは白黒が文字通り横槍を入れて阻止してくれた。

その間にコクピットに辿り着いた私はコクピットに座ってシステムを立ち上げる。


それは上手くいき、全システムオールグリーンの表示が出てくる。

つまり...


「デストロイ、獲ったどぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」


その歓喜も言葉と共にコントロールレバーのスイッチを押すと、全身から私の喜びの如くビームが吹き荒れる。

勿論味方はちゃんと避けている。


嗚呼、何というか...快っ感!!



◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



彼方此方でどんぱちが始まっている中、博物館では熾烈な防衛戦を繰り広げていた。


ヴァルヴレイヴ達は色とりどりの硬質残光で即席の遮蔽物を作り施設を守る。


それを邪魔しようと上空から狙いを定めるバッフェの集団を俺達アサルトが片っ端から叩き落としてすぐに近接航空支援を開始。

地上に展開する戦車師団を一方的に叩き潰す。


そして手をチョキの形にしてビームを撃ちながら4機のキルシュバオムが飛来する。

このタイミングでキルシュバオム8機も投入して来たか。シャトルの発進後じゃないだけマシと考えるべきか?


《...あんな数いたか?》

「いや、絶対にいなかった。テレビでは手抜いてたか?」


そんな雄介との問答は止めにして適当な1機にファイターで素早く肉薄。

慌てて右腕を振るってくるが甘い。足だけ前に降り出して急減速と同時に腕の下に潜り込んでバトロイドへの変形と同時にビームサーベルを抜刀、右腕の付け根から右腕を切り裂いた。


《何だよ!こいつぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!》


...キチった野郎だったか。ある意味一番面倒くさい奴だから正解か?


だがそこから戦局が変わった。

こちらを油断ならない相手と悟った奴らはよりにもよってキルシュバオム1機、バッフェ24機ずつで俺達アサルトを叩き落としに来た。


《しつ...こい!》


背後につかれていた飛鳥はVF独特のバレルロールしながら無理矢理の足降り出しでの急減速と同時に駒のように回転しながら急上昇。

そして上からビームを叩き込んでバッフェ数機を落としたが、残りが囲む様に飛鳥を追い込んでいく。


援護に行きたいのは山々だが、こちらも似たり寄ったりなのでそれには時間がかかりそうだ。

無駄に数を集中させられている為に手をこまねいている俺達。

原作ヴァルヴレイヴ勢は既にシャトルの中に入り、ダーグ側のヴァルヴレイヴ勢は残りのキルシュバオムに抑え込まれてこっちに手が回っていない。


《仕方ないか...ライガーブラスターを撃つ!援護頼む!》


見ると、博物館の影でライガーゼロが待機していた。

ライガー...ブラスター?名前からして一種の砲撃か?


《リンカーコア、ハイブリットキャノンに接続!チャージ開始!》


そして俺達にとっては正直な所、忌々しい白いミッドチルダ式の魔法陣がライガーゼロの足元に展開される。

そしてライガーゼロから高エネルギー反応が検出される。


《ターゲットロック、セーフティー解除!》


徐々に強まる強力なエネルギー反応を確認。

このチャージ時間からしてこれは大技の類である事は間違いない。


敵側もこれに気づいて慌てて攻撃しようと反転。だがそれは隙でしかない。


《今!持ってけぇぇぇぇぇ!!》

《仕留める!》


この隙にYF-35がガウォークでターンして持てる火力を一斉射、ADF-02はTLSとADMMの斉射で後ろからバッフェ達が貫かれる。


《喰らえ!ライガアァァァ》

「グォォォォォォォ!」

《ブラスタアアアァァァァァ!!》


そしてライガーゼロの雄叫びと共にライガーブラスターとやらが発射された。


白銀の極太ビームにキルシュバオム達は慌てて回避するが、反応しきれなかった哀れなバッフェ達とキルシュバオム2機が巻き込まれて消し飛んだ。

ついでに別の戦場にいたウィンダムまで吹っ飛んだ。中に紫のウィンダムもいたが...まあいいか、敵だし。


「そして終わらせる!」


2人の一斉射とライガーブラスターにより敵の陣形はズタズタ。


ガンポッドを最大火力であるマクロスキャノンモードに変化させる。勿論エネルギーチャージは完了。

すぐにトリガーを引いて発射。発射された三本のエネルギーの奔流が絡み合いながら敵陣中央を貫通、その後をエネルギーが巻き起こした衝撃波が襲いかかる。

これで大なり小なり損傷を負わせる事に成功した。


そしてシャトルはこの隙を突いて吊り橋を経由し上がっていく。

誰も死なないだろ、ここまでしたら。後は知らんが。


...まあ上手く上は突破してくれ。幸いガランシェールはネェル・アーガマに引っ張られて大気圏離脱したようだし。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


奴と相対する形で我々も対峙して少し経つ。

思ったより隙はない...か。ならばこちらから行かせてもらおう!


「A・M・Fナックル!」

《無限、パァァァァンチ!》

《叩き斬る!》

「甘いわァ!」


私とアマタ、アイギナがほぼ同時にネクロに殴りかかる。

だが奴は剛腕で私のA・M・Fナックルを弾きながらアイギナを背中から発射したブースターで吹き飛ばす。

そしてアマタの無限パンチを掴んであろう事か背負い投げで投げ飛ばしてしまった。


何だ、奴のあの力と俊敏さは?あれがガオガイガーの力だとでも言うのか!?


《格闘戦が駄目ならば!》

《特大の砲撃や!》


シャルナの一斉砲撃とはやての最大出力のトライデント・ランチャーがネクロに襲いかかる...が。


「プロテクト・シェード!」


奴の左腕から展開されたバリアに砲撃は吸収された。

そして


《皆、避けろ!》

「そら、返すぞ!」


砲撃のエネルギーを星型にして撃ち返した。

凱の声にはやて達は慌てて避けるが射線状にあった京都タワーが飲み込まれて倒壊してしまった。


《何て奴だ...!》

《あのロボット、凄く怖い...!》


ミコノが声を震わせながら呟く。

恐らくネクロの負の魔力を感じている。感受性が高いのか?


「そう言えばまだ名前を教えていなかったな。俺はLevel4のモレクだ!貴様を糧とし、俺の力とする!」

《糧だと!?》

《ふざけた事を言ってくれますね》


奴...モレクの言葉にベレンとグラムが即座に反応する。

2人の言う通り、私達を糧にするとは舐めた事を言ってくれる。


《モレク...そういう事か》

《何か分かったのか?恭文》


恭文の言葉にアマタが反応する。

ネクロについての知識は教えたが何か分かったのか?


《ずっと引っ掛かってたよ。何でネクロがGストーンの力を引き出せるか》


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


「おい、恭文。一体どういう事だ?俺にはさっぱりだ」

「まあ待ってよ、ショウタロス。今説明するから」


僕はネクロガオガイガーと戦いながら、ある事が引っ掛かっていた。それはしょっちゅう額のGストーンが輝いていた事。

Gストーンが輝くという事は生命力でGストーンの力が引き出されているという事になる。

でもネクロは死者故に生命力があるのかは正直疑わしい。


「でもモレクという名前と取り込むという言葉で分かったよ。お前、天海護を取り込んだな?」

《なっ...!?どういう事だ!》

「...」


僕の言葉に凱は驚き、モレクは黙り込んだ。

黙り込むという事はあながち間違っていないと思うから、さらに突きつけてみる。


「モレクって名前に心当たりがあってね。
こっちの世界ではモレクという神は涙の国の君主とか母親の涙と子供達の血に塗れた魔王って呼ばれている」

《何でその様な呼ばれ方を?》

《...あー、なーんか思い出したわ。確かそのモレクっちゅうのには生贄があった筈や。そーゆう事かぁ》


はやての言葉に付け足すと、具体的には小麦粉、雉鳩、牝羊、牝山羊、子牛、牡牛、そして王権を継ぐ者の第1子の7つが生贄として、ブロンズで作られた玉座に座っているモレクの像に捧げられていたという。


ネクロの名前には悪魔の名前が多いと聞いたから、神様系も無関係じゃないとは思うんだけど...


「ククク...面白い伝説があったものだな。
その通りだ!俺は生贄を取り込む事でその力を得る事が出来る!この偽物の力は所詮偽物だがいい糧となった、感謝しているさ」

《偽物...だと!?》

「気づいていなかったのか?俺が取り込んだ奴とこいつは所詮偽物。本物に限りなく近い力を持っているのは分かるがな」

《本物の護じゃないのか...。だが...ならば!》


ネクロの言葉に容赦がなくなったガオファイガーが両腕をクロスして力を入れ始める。これは...来るか!?


《「ヘル・アンド・ヘブン!」》


来た!原作通りのヘルアンドヘブン対決!

というかネクロもヘルアンドヘブンを使える辺り、結構チートな奴だなぁ。


《これは...スパロボな気分ですね》


そうだよね、アルト。

今までこういったスパロボ系の原作シーンは見ていないからあまり実感が湧かなかったけど僕達、スパロボ世界にいるんだ...!


《「ゲム・ギル・ガン・ゴー・グフォ...!」》


そんな懐かしさと興奮を感じながらこのスーパーロボット同士のぶつかり合いを見守る。

下手に介入したら逆に粉砕されるのが目に見えているのがリアルロボット枠の悲しいところなんだよねぇ。


くっそー!こんな事になるならエクシアをスパロボクラスに仕上げればよかったー!


「ウィータ!」

《うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!》


ガオファイガーとお互い組んだ拳をかかげて原作通りぶつかり合う。場所は市街地だけど。

でもここからがスパロボ世界故に違う。


《大人しく...しなさいよ!》


上空に飛び上がったアクエリオンゲパルトが肩に召喚したミサイルランチャーからミサイル、両手に出したガンポッドから銃撃の雨をそれぞれ降らせ、同時にベルリンの方から飛んできたビームの嵐がガオガイガーの背中を穴だらけにした。

何あのビームの雨...。まさかデストロイ...飛鳥!?


「ぬぉぉ!?」

《はぁぁぁぁぁぁ!!!》

「しま...ッ!?」


...何がともあれ、これであっさり均衡が崩れ、ガオファイガーの拳が胸に突き刺さり、そして背中まで打ち抜いた。

あの分だとネクロのコアも打ち砕いたと思う。


「ちっ、ここまでか。
...貴様らに教えておいてやる。この世界は...唯の世界で...はない...!」


そう言い残してネクロはレプリガオガイガーと共に爆散。というかジェネシックのヘルアンドヘブンやってるよ、凱さん...。


にしても唯の世界ではないってそりゃこんな異世界が召喚される様な状況が普通なわけ...いや、待てよ。

こんなクロスのやり方をする存在に一つ覚えがある。でもあれは限定的だし...。

まさか...ね?


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


最初の61cmショックカノンと100cm砲弾の撃ち合いから、お互い円を描く様に距離を詰め、こっちは副砲のショックカノンや各種ミサイルの発射を開始。

あちらは単縦陣を組んで超播磨の51cm3連装砲やヴィルベルヴィントの35.6cm3連装砲、グロース・シュトラールの色とりどりのビーム、そして各艦のミサイル攻撃が開始され、砲戦は砲雷撃戦となり熾烈を極めていた。

双方被弾こそあるものの、戦闘能力は保持し続けている。


そんな時に50.8cm砲やレーザー兵器を積んだ潜水戦艦のノーチラスはイ401、マヤ、ベアッガイで撃沈されたという情報が入った。

そして何故か飛鳥がデストロイを分捕ったという異常事態が起きたが、まあ良しとする。


...策ならある。やるなら今か?


それに気づいたのかテッサがこっちに声をかけてきた。


「...意見具申します。このままではキリがありません。
ならば」

「...いいでしょう。
全主砲に波動カートリッジ弾装填!零距離でケリをつける!
全主砲は左舷に旋回待機!!」


テッサに後押しされて、賭けともいえる零距離砲戦を決断する。


今の状態は波動防壁でビームをはじきつつ、持ち前の速度で距離を保ちながら回避しているという状態だが、これ以上は敵必殺の100cm砲弾が直撃するリスクが高まる。既に何発か至近弾も出ている。

ならば距離を引き離して遠距離からチマチマとやるか、距離を一気に詰めて至近距離で決めるかの2つだ。

本来なら次元潜航して亜空間魚雷で叩く手もあるが、ここでは使えないからな。

因みに単純な潜航は論外。奴らは対潜砲弾を持っているし潜航するとこちらの砲は使えなくなる為、手数で負けてしまう。


「オウミ浮上!大気圏内最大戦速で超兵器の間を突っ切ろ!副砲及びミサイルは牽制射撃開始!」


加速による後ろ向きのGから一気に浮かび上がる感覚に襲われる。

とは言っても慣性制御装置である程度打ち消しているから喋る余裕は結構あったりする。


「大気圏内主翼展開、大気圏内最大戦速!」

「嘘...本当に飛んでる...」

「宇宙戦艦だから飛べなきゃ駄目だろうに。
取り敢えず早くベルトを締めろ」


そうこう言っている間にあっという間に超兵器との距離は縮む。

もうこっちの砲塔は指向出来ないが、敵の砲撃も射角調整が追いついていない。貰った!


「今だ!左舷アンカー射出!ヴィルベルヴィントを跳ね飛ばして着水体制を取れ!」


通り越す少し前の所でアンカーを射出。目標は海底、つまりミズーリのあれをやるつもりだ。場合によっては横須賀でのイ401の真似になるが。


兎も角無事にヴィルベルヴィントの艦橋を波動防壁を纏わせる事で強引に引き壊して着水体制に入る。

だが着水直前にアンカーが海底に刺さり、アンカーを支点にドリフトに入りつつ叩きつける様に着水する。

だが各部のスラスターで射撃体勢だけは強引に整える。

これだけの近距離、外さん!


「主砲、撃てェ!」


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


オウミが至近距離から放った24発の波動カートリッジ弾。

彼らの切り札たる波動カートリッジ弾は彼らの予想通りの破壊力を遺憾なく発揮した。


超播磨とヴィルベルヴィント、グロース・シュトラールはこの攻撃で見事撃沈。

超播磨の方は5発が中央側の主砲と左舷中央側の副砲2基ずつの弾薬庫で炸裂、さらに煙突付近に1発喰らっていた為、艦中央から真っ二つに分かれる形で轟沈。

結局装甲を展開せず沈むという超播磨とは何だったのかといった所だろう。


ヴィルベルヴィントは超兵器とは言え所詮巡洋戦艦。

波動カートリッジ弾は装甲をあっさり貫通して内側から引き裂く事で高価な漁礁に変えた。


グロース・シュトラールはある意味悲惨だった。

何しろ艦橋に直撃弾を受けて艦橋が消し飛び、さらに超兵器機関に直撃したのか、誘爆で文字通り消し飛んだからだ。


これにより博打自体は成功した...様に思えた。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


「無事か、2人とも!?」

「はい、何とか...。それよりも敵は?」

「沈みました。オウミは左舷アンカーの断裂と超兵器の爆発で横転したと思われます」


テッサの言葉にオペレーターが即座に答える。

損失がアンカーだけならと取り敢えずは安心する。


だがさっきの衝撃はなんだ?横転する前に思いっきり横殴りの衝撃が来たが...。


「艦長、被害報告が纏まりました」

「読め」


そしてアンドロイドから齎された被害報告に俺達は驚愕に包まれる事になる。


「左舷パルスレーザーの約4分の3が使用不能、さらに煙突ミサイルが根刮ぎ吹き飛びました」


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


この被害はなんなのか。


実は超播磨がやられる直前に右舷の4基の砲塔から放たれた50.8cm砲弾の内1発が左舷のパルスレーザー砲塔群に直撃していたのだ。

オウミの特徴とも言える装甲の厚さと強固さにより貫通せずに爆発したものの、パルスレーザーの半数が吹き飛ばされ、残ったパルスレーザーの半分以上が破片や砲身の捩れで射撃不能に陥っていた。


それ以上にヤバいのが実に3発の50.8cm砲弾により煙突ミサイル発射機が根こそぎ吹き飛ばされた事だ。

幸い艦橋に当たらず、装填していたミサイルを放ち尽くした直後で誘爆せずに済んだが、これでオウミは大型ミサイルの発射が困難になるという唯では済まないダメージを負った。


その他にも何発か直撃を受けていたが、オウミの装甲を貫く事は叶わなかった。

しかし超兵器の足掻きとも言える爪痕は確実にオウミを蝕んでいたのである。


後書き
終夜:「えー、遅れてすんませんでした。神崎終夜です」

遊梨:「神崎遊梨です。...遅っ」

終夜:「作者も忙しいという事にしておこう。そうだ、よっぽど忙しいとかじゃないと理由にならん」

遊梨:「それと設定作ってたんでしょ?私達の世界の」

終夜:「それはそうなんだが...日本をインフラから作り直しているという面倒臭い事をしてるしなぁ。んなもん後でやれってんだ」

遊梨:「根幹だからしょうがないんじゃない、と信じたい」

終夜:「それはそうと今期のアニメは作者どハマりな物ばっかだな」

遊梨:「同人誌時代から知っていたそれが声優!、がっこうぐらし!、アクエリオンロゴス、ゲート、うまるちゃん、うーさーと作者的には大喜び状態。
これを可能な限りぶち込もうと画策していた部分もあるしなぁ」

終夜:「少なくともそれが声優やうまるちゃんはこっちの世界に組み込むらしい」

遊梨:「そしてゲートやがっこうぐらしもやる...と」

終夜:「ゲートは銀座に立てればいいだけだし、がっこうぐらしは...異世界ネタ?」

遊梨:「ゲートは兎も角がっこうぐらしは収拾つくの?」

終夜:「作者曰く短編レベルで終わるらしい」

遊梨:「え、嘘でしょ?」


(大マジです。気が向けば作るかも。
今週のED:学園生活部『ふ・れ・ん・ど・し・た・い』)


遊梨:「死体から〜」

飛鳥:「死体なら〜」

はやて:「死体とき〜」

ダーグ:「死体でしょ〜」

皆:「遺書に灰!」

終夜、達哉、恭文、アリア、あむ、新八:『やめんか!』





[*前へ][次へ#]

19/22ページ

[戻る]


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!