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頂き物の小説
第10話「破壊天使覚醒-終幕の地獄の幕開け-」

「だ、誰?」

「私は八神龍也だ。一言で言えば君達を助けに来た」


扉を吹き飛ばしてあたし、千鳥かなめと隣にいるテレサ・テスタロッサの前に現れたのは剣と銃を持った隻眼の大人と2本の剣を持った小さい子供。

体格的には親子と言っても違和感がない。本当に親子?


そう思った瞬間、あたしは何かをおでこに受けて倒れる。


「誰が50円玉の穴に入る大きさだって!?」

「誰がんな事言ったぁ!!」


それをやった犯人、ワイヤーの先についている突起であたしを攻撃した子にすかさず突っ込む。

というか何言ってんの!?そんなオーバーに捉える必要ないじゃない!


「僕はこれでも二十歳超えているんですけど!」


ちっちゃい子は自分は二十歳だと逆ギレする。

ま、またまた。いくらコンプレックスでもそんな嘘なんて...って何で八神さんは少し悲しそうな顔をするのよ。


「...事実だからだ」

「...え?」

「恭文は既に成人だ」


嘘...てかそれ詐称じゃないの...?


「全く...僕はどう見ても180以上あるでしょうが。言わせるな、恥ずかしい」


何処をどう見ても絶対違うわよね!騙されないわよ、あたしは!


「貴方方はどうして私達を助けるのですか?少なくとも貴方方が私達を助けるメリットはあるとは思えませんが」


そんな決意を固めていると、私の前に立ったテッサが怪しむ様に問いかける。

そっか、まだ味方だと決まったわけじゃないんだよね。


《そう思うのは分かるの。でもこの船がこの世界で出会った仲間の因縁絡みで、それの撃破のついでに貴方達を助ける事になったの。感謝するの》


テッサの疑問に答えたのは男二人じゃなくて女の声だった。


え?もしかしてちっちゃい子のガントレットが喋った?

それにこの世界で出会ったってまさか私達と同じ!?


その時、一段と大きい振動と共に周囲が光に包まれる。


「何これ!?」

「クソッ、龍也さん!脱出するよ!」

「分かっている!」


龍也さんはちっちゃい子の言葉に答えながら蒼い光の砲撃を銃から放った。

その光は壁を撃ち抜いてあたし達が降り立った滑走路までの道を作り出す。


そんな光景に言葉を失った私達を二人は強引に引っ張る。


何が...何がどうなってんのよぉぉぉぉぉぉぉぉ!!??



無数の勇者が集いし時、1つの真実が明かされる。


異界を切り裂け、エースの翼。


とある家族の異世界冒険記:コラボ編2

Another Century's Episode R編

第10話「破壊天使覚醒-終幕の地獄の幕開け-」



無事に捕虜である千鳥かなめとテレサ・テスタロッサの救助に成功した。成功はしたんだがもう一つの目的である資源確保には大失敗。

アイガイオンは粒子化して代わりにセンチュリオ軍団が出現、それと交戦しているのだが...


《トリエ、逃げろ!奴らの狙いはお前だ!》

《...ッ!》


トリエのセンチュリオに群がるかの様に追いすがり、手に持ったランチャー・ジェミナスから実体弾ビーム混合の射撃の雨を浴びせるセンチュリオ達。


奴らの任務は間違いなくトリエの追撃だ。上手くトリエを逃がせば奴らも撤退する筈。

同じく客人を乗せた恭文と龍也を狙わなかった事から間違いない。


《トリエ、ここは逃げるんや!援護は任せておき!》

《トリエさん、ここは任せて早く!》


いつの間にかこっちに紛れていたウイングゼロルシファーとゼクス・ベルグバウ、ゼクス・シュナーベルが離脱するトリエを援護する。

...まさか勝手にこっちに来たのか?通信自体は通っていたから龍也の危機に居ても立ってもいられなくなったからか?

それとも作者の無計画...ゲフンゲフン。


でもラッキーではある。

あっちは量産機の癖に巫山戯た戦闘力を持った機体だ。数がいて困ることはそうはない。

とか考えていると真上から侵入したセンチュリオがトリエに肉薄していた。

その重力と加速力が合わさったスピードにトリエの反応が間に合うかはかなり微妙。やるしかないか!


咄嗟に変形させて突貫、ビームサーベルを先端と備え付けの2本を展開してトリエに取り付く直前のセンチュリオを奴から見て左から強引に突き刺す。

そのまま距離を取り変形、シールドに突き刺さったセンチュリオは脱力したかの様に落ちて行き爆発した。


だが代償もそれなりにあった。

まず機首兼シールドが壊れた。先端が捻じ曲がった結果、センサー系も何個か破損。


そして左主翼が根刮ぎ切り飛ばされた。最後の抵抗なのだろうがこれはかなり不味い。

こいつの主翼はファンネルを装備した主推進機関だ。

つまり機動力と攻撃力が激減する事になる。


この乱戦で機動力の損失はでかい。

ただでさえ俺の反応速度についてこれていないυだ。機体に合わせた戦い方で如何にかしているけどこれだと間違いなく喰われる。

焦って自分の反応速度の通りに動かすと即座に関節が火を噴くのは確定。


どうするか考えている時、俺達の元に緊急の通信がかかった。


《こちらオウミだ!各機聞こえるか!?》

《何があった?》


憲一の焦った声に雄介が答えた。

爆発音がかなり聞こえる。まさか別働隊の奇襲か!?


《バジュラだ!バジュラの奇襲を受けて現在交戦中!ダブルオークアンタとエクストリームは直ちに撤退、対話を試みろ!》

《なんでバジュラが!?》


憲一の言葉に驚いたのはかなめだった。

あー...そういえばバジュラ知ってるもんな、あんたら。


《でも対話とは...》

《バジュラの今回私達の所に来たのは間違いなくただフォールドクォーツと呼ばれる鉱石を集めているだけ。それに対話は原作の両方で成功しているの》


テッサの疑問に答えるのはマイクロミサイルの雨を降らせて援護に徹する憐だった。

まあ機体がVFだから当然といえば当然知っているか。


《ちょっと待ちなさいよ!バジュラと対話!?それに原作って何!?》


...そうだ、こいつらは既にバジュラと遭遇して戦闘していた。

バジュラという生物の説明は受けている筈だが確か転移した時はそこまで詳しくは分かっていなかったしフロンティア側からすれば一方的に襲われているから印象も良いわけがない。

どんな存在かは知る余地もないか。原作を知る存在が居過ぎてすっかり忘れてたな。


「話は後だ!刹那、レオス。早く行け!」

《ああ。レオス、退却するぞ。ついて来い!》

《了解だ。セシアも準備を頼む!》

《分かりました、レオス!》


ダブルオークアンタはソードビットを円状に展開してエクストリームと共に円の中に突入してワープ。

これでバジュラは敵にはならない...筈。上手く行けば味方になるかもしれない。

そう考えた俺に、俺達に更なる凶報が飛び込んだ。


《おい、皆聞こえるか!?》

《...何があったんですか?》


ルビーが一夏の通信に冷や汗を垂らしながら問う。

その冷や汗はきっと俺達の分を代弁しているのか、漫画やアニメの如く垂れ流しだった。


《ミスラ・グニスが奇襲してきやがった!そっちから高火力の機体回せるか!?》


そっちもかい!クソッタレ、何事も上手くいかないもんだな、おい!

つーかユニコーン2機いるだろうに。声似てるんだからどうにかしろよ。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



《俺だけのクソ女ァァァァァァ!!!!》

《何でこいつが居るのよ!?》

《分からない...でもやるしかないだろ!》


両肩に機動ウイングを装備していてアックスを持ったアクエリオンサイズの機体、ミスラ・グニスは僕らの援護射撃を物ともせずにアクエリオンに突進する。

アクエリオンは躱しきれずに両肩を掴まれて押し込まれ、後ろの巨大な岩を破壊する。


「何だよ、あのデカ物!?」

「ミスラ・グニス。アマタさん達の世界の機動兵器だよ」


レイジの質問に答えながら心の中で舌打ちしてしまう。

僕らの中で一番知識があるのは間違いなく終夜さん達以外が二次創作やアニメとして存在する僕らの世界から来た僕。


終夜さん達の世界からアイガイオンが来たのなら予想出来たのに...!


兎に角ミスラ・グニスの動きを止めるために頭部をターゲットにセットする。そしてそれを他の機体にも転送する。

レイジは僕の合わせた目標にバックパックに直結させて威力を高めたビームを次々と当てる。


確かコクピットは頭の筈。残念だけどビルドガンダムMk-Uじゃビームサーベルじゃないと倒せない。

だからあえてコクピットを狙う。少しでも注意を逸らすために。


《ターゲット表示?ここを狙うのか!?》

「はい!コクピットは頭の筈です!そこをやれば...!」


白黒さんに対しての僕の返事を聞いて、他の人達はありったけ撃ち込む。

ビームや実体弾がミスラ・グニスの頭に降り注ぎ、動きが明らかに鈍った。

よし、妨害は出来てる!


...いや、妨害しか出来ていないと言うべきか。

こっちにはビームマグナムやウイングゼロがいるのに...どれだけ硬いの!?


《ちっさいのがうろちょろ煩いんだよ!逆さまァ!》


その状態にカグラが苛立ったのか、荒々しい声を出しながら手を荒っぽく振りかざす。

するとミスラ・グニスに向かっていたビームや実弾の雨が魔法の様にこっちに向かってくる。


《攻撃を跳ね返した!?》

《魔法か何か!?》


返ってきた砲撃の雨を全員驚きながらも何とか躱す。

だけどこっちはバラけてしまい、さらに迂闊に攻撃出来ない事からさっきみたいに撃ち続けられず、散発的な攻撃が降り注ぐだけになった。


こういった事が起きるスーパー系はこっちにはアクエリオンだけ。

そしてアクエリオンはパイロットであるエレメントの能力を自身に適応出来る。

それによりエレメント能力を持つパイロットを交代させるだけでアクエリオンは様々な状況に対応出来る。


でもこの世界に来たのは第8話の戦闘の直後のアクエリオンEVOL。だから交代パイロットはいない。

さらにミスラ・グニスのパイロット、カグラは任意の物理的事象を現実と逆の状態に変える事が出来る逆さまの力を持つ。

つまりさっきのはビームや銃弾が敵を破壊するのを逆さまにして自分を破壊する、つまり自分に襲いかかる様にした事になる。


「クソッ、巫山戯るんじゃなねぇ!」

《こっちです!》

《邪魔なんだよ!ハエごときがぁ!》


反射されながらも全方位から射撃されているミスラ・グニスは気をこっちに引かれている。

この意味は大きい。だって...


《無限、パァァァァァンチ!!》

《何ィ!?》


ミスラ・グニスが真横からアクエリオンの無限拳を腹に食らって吹っ飛ばされたから。


カグラはアクエリオンから離れずにその場で迎撃した。それがカグラのミスだ。

僕の予想通り、カグラの逆さまはとあるの一方通行とは違い、意識しないと機能しない。

発動条件はインフィニット・ストラトスのラウラのIS、シュヴァルツ・レーゲンのAICに近いのかもしれない。


だからこそ無限拳が直撃する。反応する暇なんてなかったから。


無限拳で吹き飛ばされたカグラはそのまま空へ押し込まれていく。


《《《うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!》》》

《クソがぁぁぁぁぁぁ!!!》


そして、その時だった。


僕らの視界が別の物に変わった。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


俺と刹那はクアンタの量子テレポートで対空迎撃中のオウミとダッグアースラの上空に出る。

オウミとダッグアースラから煙が幾つも上がっている事から少なからず損傷しているのが分かる。


《しつこいのよ!この虫!》

《数が多すぎる!バーニング・ビッグバン!》


その近くには全兵装で全力迎撃するサイコガンダムとスタークジェガンとベアッガイ。そして地上から全身の火器を一斉射する緑のライガーゼロの姿。

その周りにはクリーム色の体色と槍状に尖った頭部が特徴の小型のバジュラと赤い体色と6本脚、そして背中から生えた4枚の翅が特徴の大型バジュラ、そしてカマキリみたいな緑色のバジュラが体から生態ミサイルを放ったりビームを発射したりと大暴れ。

まるで生物兵器だな。でも生命体なのか...。世界は広いな。


その時、セシアが後部座席にテレポートしてくる。そしてすぐにEXAフェースの準備を開始。

にしてもこの世界は一体なんなんだ?セシアはホロアクターなのに俺と触れ合えるのならGAデータなの中なのだろうけどだとしたら彼らの存在が何処から来たのかが分からない。

未知のGAデータなのか?それとも...


「レオス!EXAフェースの準備完了です!」


おっと、考え過ぎてたか。それは後で皆に相談しよう。


「了解だ!エクストリームガンダムType-レオス、フルブーストモード!EXAフェース!」


音声認証によってシステムを解放する。

このコクピットからでは分からないけど今のエクストリームには前から付けていたエクリプスの他にアイオスフェース、ゼノンフェースのパーツが装着されている。

エクストリームガンダムType-レオスの切り札、EXAフェース。これならアイオスフェースの対話能力を極限まで高められる筈だ!

刹那は少し驚いた顔をしていたがすぐに立ち直って声をかけた。


《レオス、始めるぞ!》

「ああ!」

《こっちも準備完了です。いつでもどうぞ》


オウミからも通信が入ってあちらの準備完了も確認。


《クアンタムバースト!》

「跳躍するこの思い(インフィニット・チェイス)!」


アリスファンネルが瞬間移動でバジュラ達を囲み、金色の光を浴びさせる。

そして刹那のクアンタから緑色の高濃度GN粒子が散布される。


その2つの輝きは混じり合いながらこの戦域を包む。


頼む...俺達の声を聞いてくれ、バジュラ達よ!


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


トリエの追撃は諦めて俺達を落とす事を優先したらしい。

その中でも無茶をして一番損傷の大きいυを奴らは集中して狙ってきた。


「終夜!右だ、躱せ!」

《簡単に言う...!》


シールドにIフィールドが搭載されているらしく、ビームは弾いているが実体弾を受けてシールドはもう機首にはならないレベルでボコボコになっている。

バーニアとスラスターもフル稼働で何とか回避している感じだ。


やすっちと龍也達はお客さんがいる関係上撤退中。

その護衛に飛燕とアリアがいる状態だ。


俺も一緒に行きたかったが、こっちでセンチュリオ軍団を抑えている事が結果的にあいつらの助けになる。だからこっちに残って迎撃しているわけだ。


このままなら殲滅は難しいが撤退に追い込むのも時間の問題だ。


だがそれは、今思えば完全にフラグだった。


《きゃあ!?何今の!?》


アリアの悲鳴が通信を通じて聞こえた。

それに肝を冷やしてすぐに怒鳴り半分に問いかける。


「何があった!?」

《ダーグ、今そちらに凄く速いのg》


珍しく焦った声の龍也からの通信が途中で途切れた。ジャミングか!?


その時、目の前を物凄いスピードで通り過ぎた上部に搭載された機銃が目立つ上半分が赤で下半分が白でカメラアイは緑の小型の無人機を辛うじて確認できた。


ゴーストV9だと!?VF-27が撃破された報復か!?

ゴーストV9の機首は損傷しているυに...やばい!


《終夜、逃げろ!今のお前じゃあ無理だ!》

《言われなくても...!?》


V9は鋭角な機動でυに肉薄、右手に持ったビームサーベルの一閃を真下に躱して機銃をコクピットのある腹に突きつける。

直後、υが全身から火を吹いた。

それと同時にゴーストV9から放たれた赤いビームがυの腹を撃ち抜く。


腹を撃ち抜かれて全身から炎を放っているυは力なく落下して岩壁に叩きつけられる。

そしてそれを好機と捉えたセンチュリオの1機が手に持った剣を投げつける。


《終夜!》


誰もが反応はしたものの、間に合わずその剣はυの腹を貫いた。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


《どうにかなったか...》

「ああ。分かり合えて...本当に良かった」


俺達は結論から言えば対話には成功した。

ELSと同じ様に個ではなく群として種族間でネットワークを形成している生物だったが、オウミからのサポートもあり無事に対話が出来た。


バジュラ達はただ集めているだけ。その過程でオウミを襲っていただけだった。

バジュラ達は俺達の声を聞いて、すぐに攻撃をやめて撤退していく。


それに安心するがだが何だ?さっきから感じるこの嫌な予感は...



◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


オウミの第2格納庫に非常警報が鳴り響く。

バジュラの攻撃で破口が出来たわけじゃない。

弾薬や予備のエンジンが誘爆したわけでもない。


その原因は崩壊したカタルシスの残骸が再びカタルシスを構築し始めたからだ。


カタルシスは装甲の継ぎ目と間接部に使われているサイコフレームから溢れ出る虹色のエネルギーと共に復活。緑のカメラアイを輝かせる。

そしてサイコフレームの輝きが限界まで強まった瞬間、その姿を消した。


何が起こっているんだ...。終夜、お前に一体何があった?



◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



ゴーストV9を突破させてしまい、焦って引き返した僕らの目に映ったのは全身から火を噴き出して岩壁に背中を預けているυの姿。

その腹には縫い付けられているように剣が刺さっている。


《あの馬鹿野郎が...。変身とは違うんだぞ》


その光景を見て雄介が呟いた。

終夜を殺った張本人であるゴーストV9は雄介と雄大が挟み込む形で追い込み、追い込んだ先に待ち構えていた憐が落とした。


そして奇妙な沈黙がこの場所を包む。

敵も味方も誰一人動かない。いや、センチュリオはこっちの動きの無さに戸惑っているのかもしれない。


「あいつ...チートじゃなかったのかよ...」

《完全に慢心なの。でも...》

《あまり責める気にもなれませんね...》


終夜は妹を助けた結果こうなったと言っていい。

妹は確かに助かった。でも兄を失った。

そしてそれは遊梨にも言える。兄が大好きでしょうがなかったデュエルチートにも。


あの馬鹿が...!


だがその時だった。

腹を貫かれて沈黙を保っていたυから突如、虹色のエネルギーが溢れ出した。

その異常な光景に敵味方関係なく動きが止まる。


光で炎を掻き消されたυは内側からの膨大なエネルギーに耐え切れていないのか、徐々に装甲や関節からひびの様に光が溢れ出している。


その時、υの上空にυと同じく虹色の輝きを宿した一機のMSが現れる。って!?


「カタルシスだと!?」

「使えないんじゃなかったのか!?」


ショウタロスとヒカリが驚くけどその驚きはこの場にいる全員も同じ。


ちょっと待って。ヒカリの疑問もあるけど、そもそも今、カタルシスに誰が乗っている?

本来のパイロットの終夜はあの惨状。生死すら確認出来ない。

まさか無人?それとも...カタルシスの意思...?いや、もしかして...。


カタルシスは崩壊寸前のυに近づき右手を翳す。

するとυは完全に崩壊、その場に残った光が溢れ出しカタルシスに吸収される。


そしてカタルシスは各部の装甲をスライドさせて虹色に輝いている隠されていたフレームを晒して行く。

その変身はどちらかというとユニコーンというよりカトキVerのνガンダムだ。


...間違いない、これだ。終夜と出会った時に感じた得体の知れない何かは間違いなくこれだ。

今まで感じた事のない力なのは間違いない。でも何だ...?


そこまで考えてふと思い出した。

確かとあるシリーズの学園都市に住んでいて話を聞いた限りでは結構原作に関わっている。

そしてその世界で転生者を転生させていて、終夜達の世界を遊び駒にした神を纏めて叩き潰したらしい。


となると...まさかこれがその力!?


その時、止まっていたセンチュリオ・アウジリスの1機がブレード・ルミナリウムを振りかざして不気味なまでに動きのないカタルシスに突撃していく。

対してカタルシスは右手を前に出して握り潰す素振りを見せた。

そして何かに掴まれたかの様にセンチュリオの動きが止まり身悶えし始めた。そして爆散する。


『なッ...!?』


やりやがった...。何の躊躇もなく妹とほぼ同じ存在を遠慮なく殺しやがった...。


《魔法使えるんか、あの機体!?》


はやても別の方向で驚いた。

てか魔法はあんたらの機体でも使えるでしょうに。


さらにカタルシスはオレンジ色の半透明の刀身を持った剣を召喚してそれを右手でキャッチして天に翳した。



◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


「な...!?」

《オウミとダッグアースラ!?それに他の機体まで...一体どうなっているのだ!?》


バジュラがフォールドして少し経った時、第1次、第2次攻撃隊が何故かオウミとダッグアースラの間に転移してきた。


そして少し離れた所にミスラ・グニスやセンチュリオも転移する。

何だ?これじゃあまるで邪魔者を一箇所に集めるような転移じゃないか。


というか誰だ?これをやったのは。


「グ...ルルルル...」


その時、ライガーゼロが空を見上げて唸った。いや、怯えているのか?

ライガーゼロの見ている方向を見ると太陽を背に巨大な氷の翼を生やしたカタルシスが浮かんでいた。


《カタルシス!?》

《消えたんじゃなかったの!?》


その姿に俺の隣に着地した飛鳥とヒナヒクが声に出して驚いた。


崩壊したんじゃなかったのか?というか俺はそれを直に見た。

じゃああれか?再生でもしたのか?


《邪魔すんじゃねェェェェェ!!》


それを見て飛びかかったのはミスラ・グニスだった。

そして距離が0になり、ミスラ・グニスは拳を振るうが...


《何ィ!?》

《そんな馬鹿な!?》


カタルシスはサイズ差を感じられないパワーでミスラ・グニスの拳を片手で受け止めて衝撃波を発して吹き飛ばす。


ミスラ・グニスは振るった右腕が至近距離からの衝撃波で崩壊。


咄嗟に後退したミスラ・グニスだがカタルシスの背中の翼になっている氷の翼が射出されて次々とミスラ・グニスに殺到、ミスラ・グニスを串刺しにする。


《ひ、酷い...》


さっきまで襲われていたミコノに酷いと言わせる程、全身が串刺しという悲惨な状態のミスラ・グニスが地面に叩きつけられ...そうになって薔薇の花びらに包まれて消えた。

そういえばそんな脱出方法あったな...。確かミカゲだったか、あれやったの。


氷の翼、何処かで見覚えがある様な気がしたが思い出した。

とある魔術の禁書目録の4巻で神の力(ガブリエル)が使ってた氷翼だ。


この混乱ともいうべき状態を引き起こしたカタルシスは足元に巨大な虹色の魔法陣を展開、それに剣を突き刺す。


すると視界が一瞬真っ暗になり、気づいたら俺達は花畑の中にいた。


《花...畑?》

《綺麗...だけどここはどこ?》


イビツとアリアが呆然と喋った。呆然としているのは俺達も同じ。

だが分かる事はある。これはあいつが何かした事は間違いないという事くらいだ。


そんな俺達の疑問を龍也がある意味で晴らしてくれた。


《兄ちゃん、これって...!》

《ああ...まさか固有結界か!?》


固有結界...まさかFateのあれか!?


《術者の心象を現実に映し出す結界...。これが彼の心...?》

《待て、じゃあ終夜はどこだ?あいつの結界ならあいつがいない筈はない》


そうだ、この結界を作り出した終夜がいない。

固有結界には術者が必ずいる筈だ。


だが何処だ?まさかこの世界そのものなんてオチじゃないだろうな?


だが通信機から聞こえた怯えた声でそんな考えは止まってしまった。


《ヒッ......!》

《トリエ!?クソッ、行くぞ!》


声を出した張本人、トリエの声に慌てて全員で駆けつける。

幸いレーダーやその他諸々は問題ない。位置もすぐに特定した。


到着すると、そこには一つの巨大な泉とそれを覗き込む姿勢のセンチュリオ。


俺達も覗いて...息を呑んだ。

その泉の中で繰り広げられていたのは...まさしく地獄だった。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


あの泉からの光景は一言で言えば煉獄地獄だ。

そしてそこで行われている戦闘はあまりにも一方的だった。


質はもとより、分身でもしたのか数でさえ圧倒的に上回る終夜のカタルシスがセンチュリオを問答無用で駆逐していく。

あるカタルシスはセンチュリオの両腕を引きちぎり、ちぎった腕で殴りつけてマグマの中に叩き落とした。

別のカタルシスは左手のストレートでコクピットを貫通して撃破。

また別のカタルシスは踏みつけて上半身と下半身を引きちぎった。


そうして残ったのは四肢を切断されて全身がボロボロな7枚の翼を持っていたセンチュリオだけ。

再生はしているがまるで間に合っていない。文字通りのフルボッコだ。

1機に戻ったカタルシスはそんな状態のセンチュリオを容赦無く岸壁に叩きつけて頭を踏み抜く。


《この戦い方...見覚えがある》

《はい...あの子...完全にキレてます》


終夜の両親が言っている通り、この容赦なく敵を粉砕していくスタイルは終夜が完全にキレた時のスタイルだ。

だが状況を考えろ!今お前は自分の妹の姉妹を虐殺しているんだぞ!そのくらい気づくだろうに!


《どうにか出来ないの!?》

『......』


ヴィヴィオの悲痛な問いかけに俺達は答えようがなかった。


何しろこんなのは始めてで...いや、待てよ。

これはあいつが作り出したフィールド。そしてあいつの心そのもの。ならば...!

俺は隣についていた雄大と目を合わせてアイコンタクト。

エアインテークを閉めてスロットルを前に叩き込んでアフターバーナー全開で一気に湖に突っ込む。


《何しているんですか!?》

《黙って見てろ!これを食い止められる可能性だ!》


ルビーの疑問を雄大が怒鳴りつけて黙らせた。

水深70mくらいまで潜ると水面から出るようにあっちに出る事が出来た。


やっぱり...こっちに移動出来たか。もしここじゃなかったら死んでたな。

あっちに通信は...届かないか。


《まああっちも突入してくるだろ》

「それもそうか。あいつを止めるぞ。これ以上は許せない」


今のあいつは...守る為に大事なものすら放り捨てている状況だ。

これでも家族な関係上、無視はできない。


こっちの武装はミサイルは使い切ったのでパルスレーザーのみ。

まあ上手くやってみるか。ピクシーや蝶使いとの戦いよりずっと厳しい気はするがな。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


《黙って見てろ!これを食い止められる可能性だ!》


2機の戦闘機が泉に突入した。

慌てて覗いて少し経つと、泉の映像の中に2機が映っていた。


これ、まさか繋がってんのか!?


《くそっ、あの人なら絶対こうするはずなのになんで気づかなかった...!》

《え?何か分かったの!?》


優がコンソールを拳で叩いて喋った言葉にあむが驚きながらも問いかけた。


《あいつならこういう時、必ずこっちに選択の余地は残す。ただ待つか、自分についてくるという地獄に踏み込むかのな》


それに真田さんが腕を組んで冷静に答える。

因みにもう整備士だし、オウミが宇宙戦艦ヤマトっぽいから皆、真田さんと呼んでいる。声も似てるし。


少しの沈黙の後、隣にいるじいちゃんに通信を入れる。


「じいちゃん」

《当然、行くに決まってる。あの馬鹿をぶっ飛ばす》


じいちゃんは俺の通信目的をすぐに把握してくれた。

その声から相当怒っているのが分かる。


《やすっちの言う通りだ。流石に無視出来ねぇ》

《恭文さんの行くところにリインありです!そして...キャー!》

《リイン何言ってるの!?》


ダーグの宣言を皮切りに次々と自分も自分もと声が上がる。

所々変な声もあるけど取り敢えず満場一致。さぁ、あの馬鹿をぶっ飛ばすか!




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あきゅろす。
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