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頂き物の小説
第8話「釣り師のプライド」



「ウラタロス!?」



 イマジンに操られて、ボクらに襲いかかってきたエリオくん。

 そのエリオくんを止めるって言って――ウラタロスがエリオくんの中に入っていった。

 とたん、エリオくんの赤い髪に青いメッシュが入って、瞳も青く染まる。



 これで、エリオくんは止まってくれる……?



「………………」



 ……って、あれ……?

 ウラタロスの入ったエリオくんがその場に崩れ落ちる――ちょっ、エリオくん!? ウラタロス!?



「……フンッ、まぁ、これだけ使えれば十分か」



 ――っ!? イマジンがこっちに……っ!?

 あぁやって直接出てくるってことは、エリオくんを操れなくなったっていうのは確かみたいだけど……



 とにかく、ボクはウラタロスが離れた拍子に手放していたデンガッシャーを拾う。

 イマジンの能力の影響か、ウラタロスはエリオくんの身体をコントロールできていない。この場は、ボクがなんとかしないと……



「たぁっ!」

「そんなへっぴり腰でっ!」



 デンガッシャーで打ちかかるけど……ダメだ。あっさりと弾き返される。

 今までの戦いで、ひとりでもそこそこは戦えるようにはなってたけど……それでもプラットフォームじゃパワーが足りない。

 モモタロスを呼ぶか、ケータロスで……







「みぃっ!」

「ぴぃっ!」

「ぴぴーっ!」



「ぐわぁっ!?」







 と、イマジンが突然吹っ飛ばされた――って、ヴェル!? カイに、ウミまで!?

 聖王教会から直行してきたから、ついてくる形になっていたヴェル達だ……一斉に体当たりして、イマジンを吹っ飛ばしたんだ。



「なっ、何だ、こいつら!?
 ――いててっ! つっつくな! かみつくなっ!」



 さらに、ヴェル達は一斉にイマジンに襲いかかって、たまらず後退するイマジンを遠慮なく追いかけ回す。



「くっ、これはたまらんっ!」



 とうとうイマジンが逃げ出した。ヴェル達を振り切ると、契約者の身体を抱えてビルの屋上から飛び降りてしまった。



「待て!」



 あわててその後を追いかけようとするけど、



「みーっ! みーっ!」

「ぴぃぴぃっ!」

「ぴーっ!」



 っと、そうだね。

 それよりも、エリオくんとつかさちゃんを、みんなのところへ連れていかないと……











 ――時の列車、デンライナー。次の停車駅は、過去か未来か――











『とある魔導師と古き鉄と時の電車の彼らの時間』・『とまコン』バージョン



とある魔導師と守護者と時の電車と仮面の戦士達



第8話「釣り師のプライド」







◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「なるほど……
 あの時、つかさとの通信がいきなり途絶えたのは、そういうことだったのね……」



 とりあえず、エリオくん達はちょうど停車時間になったデンライナーに運び込んだ。六課まで連れて帰るより、そっちの方が近いからね。

 そして、合流してきた恭文くん達に事情を説明――ちょうど今、話を一通り聞いたかがみちゃんが納得してうなずいたところ。

 商店街にあふれ返っていたネズミ達は、イマジンがいなくなるのに合わせていなくなったらしい。



「それで、被害の方は?」

「えっと……それに関係してるんですけど……イマジン狙い、というか、契約内容にだいたいの見当がつきました」



 え?

 恭文くん……それ、本当?



「はい。
 まず、被害の方なんですけど……そんなには。
 もちろん、衛生上食材は全部廃棄になりますけど……食べものをかじられた、とかいう報告は、今のところはゼロです」

「そうなんだ……」

「ただ……そんな中でひとつだけ、あのネズミ達にひとつ残らず、根こそぎ持っていかれたものがあったんです」



 なるほど、それが契約内容の手がかりか……



「それで……何なの?」











「チョコレートです」











 …………へ?

 ネズミが……チョコレート?



「はい。
 あのネズミ、普通の食べものには目もくれないで、チョコレートだけをみんな持って行っちゃったんです」



 どうやら、聞き間違いではなかったらしい。



 けど……チョコレートか。うん、なんとなくわかった。



「バレンタインデー、近いもんね……」

《はい。
 おそらく、バレンタインチョコを山ほどほしい、とか、バレンタインデーをぶち壊しにしてやりたい、とか、そういう類の願いだったんでしょう》



 あー、やっぱりアルトアイゼンもそう思う?







「……んー……」







「あぁっ! つかさ!」



 そうこうしている間につかさちゃんが目を覚ましたみたいだ。かがみちゃんがあわててソファに横たえられられていたつかさちゃんのところへと駆けつけて――











「……ムニャムニャ……あと5分……」



「寝直すなぁぁぁぁぁっ!」











 また寝てしまおうとしたつかさちゃんに、かがみちゃんがゲンコツを落とす――ぅわ、ゴチンッ、ってすごい音がしたよ。



「ふぇえっ!?
 いったぁい……! 何があったの……?」



 けど、おかげでつかさちゃんはすっかり目が覚めたらしい――涙目だけど。



「とりあえず、つかさはこれでよし、だね……
 あとはエリオくんとウラタロスさんか……」

「うん……そうだね」



 こなたちゃんの言葉にうなずいて、となりの座席で眠ったままの、ウラタロスがついたままのエリオくんに視線を向ける。

 エリオくんはともかく、ウラタロスまで……どうしてこんなことに……?







「おそらくは……あのイマジンの能力と関係しているのでしょう」







 デカ長……?



「エリオくんを操ったイマジンのコントロールからエリオくんを取り戻すために、ウラタロスくんはエリオくんの身体に入りました。
 しかし、そうして相手のイマジンと身体の支配権を争った結果、どちらもエリオくんの身体のコントロールから外れてしまったのでしょう。
 結果、今エリオくんの身体は元々コントロールを奪われていたエリオくん本人を含めて誰のコントロールも受けていない。だから、目を覚まさない……」

「そんな……
 エリオは、エリオは大丈夫なんですか!?」

「えぇ、大丈夫です。
 エリオくんもウラタロスくんも、命に関わるような状態ではありません。
 強いて問題を挙げるとするなら、ウラタロスくんがエリオくんの身体に閉じ込められてしまう形になってしまっていることと……このままではエリオくんが目を覚まさず、眠っている間にすっかりお腹をすかせてしまうこと、くらいでしょうか」



 声を上げるフェイトちゃんに、デカ長が答える。

 安心させようとジョークまじりにデカ長は話してくれるけど……フェイトちゃんはそれでも不安そう。エリオくんのこと、そんなに心配なんだね。



「落ちつけ、テスタロッサ。
 デカ長が『大丈夫』と言うのなら、本当に大丈夫なのだろう」

「だね。
 僕らは、イマジン対策の方に集中しよう」

「イクトさん、ヤスフミ……」

〈ボクもそう思う。
 アイゼンアンカーのダメージも軽いし、すぐに復帰できそう……ボク達が今するべきなのは、エリオとウラタロスさんが安心して目を覚ませるように、事件にきっちり対応することでしょう?〉

「ジャックプライム……
 ……うん、そうだね。その通りだ」



 イクトさんや恭文くん、ジャックプライムの言葉に、フェイトちゃんもようやく落ちついたみたい。



「とはいえ、人を操る能力か……
 前にも同類の相手をしたことあるけど、厄介なんだよなー、このテの能力って」

「こちらも操られてしまっては元も子もないからな。
 まぁ、前に戦った相手はそういうことを考えないヤツだったからよかったが……」



 改めて話はイマジン対策に……けど、これは本当に厄介だ。ジュンイチさんとイクトさんがつぶやいて、ボクらはみんな考え込んでしまう。



「……野上良太郎」



 そんな中、口を開いたのはマスターコンボイ……えっと、何?



「ウラタロスは、『自分と柊つかさ達との違いを考えてみろ』と言ったんだな?」

「う、うん……」



 確かに、ウラタロスはあの時そう言っていた……



「何か気づいていた……そういうことか?」

「あぁ。
 だが、その確証までは持てていなかったんだろう……だから、読みが外れていた時のリスクを考慮した結果、自分の仮説を野上良太郎には託すことができず、あえてヒントを出すのみに留めた……」

「なんでだよ?
 確かじゃねぇっつっても、何か思いついてたんなら言えばいいじゃねぇか」

「今言っただろう。
 読みが外れていた時のリスクを考えると、うかつなことは言えなかったんだ――知れば、どうしてもそちらに意識が引っ張られ、外れていた時に取り返しがつかなくなる」



 モモタロスに答えて、マスターコンボイはまた考え込んでしまう。



「ヤツの能力……ウラタロスのヒント……」

「良太郎さんと、エリオとつかさ……この二組の違い、でしょ……?」



 イクトさんやかがみちゃんも首をかしげて――



「……ん? 待てよ……?」



 不意に、そんな声を上げたのはジュンイチくんだった。



「何か気づいたのか?」

「気づいた……うん、気づいた。
 けど、答えじゃなくて新しい疑問に」



 言って、ジュンイチさんはボクをじっと見て……え、ボクがどうかしたの?



「いや……考えてみたらさ……」











「そのイマジン……なんで良太郎を操らなかったんだ?」











 え…………?



「いや、それはホラ、良太郎さんにはウラタロスさんがついてたんだし……」

「だとしても、ウラタロスが抜けた後なら十分に操る余地はあったはずだ」



 答える恭文くんにも、ジュンイチくんは冷静にそう返す。



「特異点って言っても、イマジンの能力の影響はオレ達と同じように受けるんだ。ウラタロスさえ抜けてしまえば、操ることはできたはずだ」

「しかし、それをしなかった……
 柊妹は無力化、エリオもウラタロスに抑えられ、ヤツは手駒を失っていた。
 その場で野上を操ることについて、ためらう理由はなかったはず……
 ヤツが、格下をいたぶって楽しむようなサド趣味でない限り……」

「何か……“操れない理由があった”……?」



 ジュンイチくんの言葉に、イクトさんやフェイトちゃんもつぶやく……そうか、ウラタロスがエリオくんを止めるのに、エリオくんに取りつくって方法をとったのは、それを確かめるためでもあったんだ……

 ウラタロスがエリオくんについて、フリーになるボクをイマジンが操ろうとするかどうか……操れないとしたら、その理由は何なのか。

 その“理由”が、きっと突破口になる……ウラタロスはその可能性に賭けたんだ。

 ボクらなら、きっとそのことに気づけると信じて……

 でも……



「仮にそうだとして……何なんだ? その“操れない理由”とは」

「そこまでは……まだ、わからないけど……」

「つか、それを今から推理するんじゃないのさ」



 フェイトちゃんと恭文くんがマスターコンボイに答えて、ボクらは再び考え込む。



「エリオとつかさは操れて、良太郎さんは操れない……
 たぶん、ウラタロスさんがヒントで言いたかったのはそこだよね?」

「エリオやつかさと、良太郎の違い、ねぇ……」

「男女の違い……いや、違うな、エリオもやられてるワケだし」

 恭文くんも、ジュンイチくんも考え込んでるけど、それでも答えは出ない。うーん……



 と、その時、







〈フェイトちゃん!〉







 いきなりだった。

 空中に平面のスクリーンが現れて、なのはちゃんが映し出される。

 ……初めて見た時にも思ったけど、せっかく空中に投影するんなら、SF映画みたいに3Dの立体映像とかに行き着きそうなものなんだけど。



「そ、それを私に言われても……
 それよりなのは、何かあったの?」 

〈う、うん……
 また、今度は別の商店街にネズミが!〉

「えぇっ!?」

「わかった。私もすぐに行く」



 驚くボクのとなりで、フェイトちゃんの表情が変わる――エリオくんを心配するお姉さんの顔から、管理局の執務官としての顔に。



「ただ、イマジンを見つけても……」

〈うん、わかってる。
 逆に操られないように、うかつには手を出さない、だね〉

「悔しいだろうけど、そこは徹底させて。
 相手の能力の射程もわからないまま、ヘタに距離を詰めてもリスクが大きすぎるから」



 なのはちゃんに答えて、フェイトちゃんは通信を終えるとボクらへと振り向いて、



「さぁ……行くよっ!」

「おぅよ!
 エリオの弔い合戦じゃ!」

「勝手に殺すなっ!」



 ジュンイチくんがイクトさんに張り倒された。







◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「あぁ、くそっ、うっとうしいっ!」



 手近な、コイツらに中身をひっくり返されて空っぽになった段ボール箱を、足元を駆け回ってやがるネズ公どもに勢いよくかぶせる。

 ちょいと箱がつぶれちまったが、これで……あぁっ、くそっ! 段ボール箱に穴開けて逃げられたっ!



〔モモタロス、落ち着いて!
 もっと硬いのでやってみよう。スーパーの買い物カゴとか!〕

「そのスーパーはどこにあんだよっ!?」

〔…………ごめん〕



 とりあえずカメとカミナリ小僧は六課から戻ってきたハナクソ女とナオミに任せて、オレ達はまたネズミ退治としゃれ込んでいた。



 けど……あぁぁぁぁぁっ! うっとうしいな、本当にっ!



〔それより、イマジンはどう? 臭い、する?〕

「一応はな!
 けど、臭いが弱くて場所まではわかんねぇっ! くそっ!」



 本当にチマチマチマチマ……ムカつくな、コイツら!

 オレはもっとこう、ハデに暴れてぇんだよっ!



「やっぱりイマジン見つけないとキリがないよ、これ!」

「探すって言っても、方法あるの!?
 イマジンって、サーチャーに引っかからないんでしょ!?」



 犬っ子と青娘がネズミを追いかけながら話してる……くそっ、もっとあのイマジンのにおいが強かったら楽なのによ!



「ぜいたく言うな、モモの字!
 今は、オレらにできることをするだけや!」

「るせぇっ、クマ公!
 だいたい、てめぇはネズミ退治もしねぇで今までどこ行ってやがった!?」

「オレはちゃんとジュンの字から頼まれて抜けてた! 問題はない!」



 そう答えて、クマ公が肩に担いできたそれをオレに見せつける……って、何だ、そりゃ!?



〔じゅうたん……?〕

「近くの店から借りてきた!
 ジュンの字! 持ってきたで!」

「サンキュー、キンちゃん!
 後で蜂蜜ごちそうしてやらぁっ!」



 答えて、ジュンイチのヤツはじゅうたんを受け取って上空に飛ぶ――って、じゅうたんが消えた!?

 ジュンイチの腕の中で、アイツが抱えていたじゅうたんが消えた。代わりに何か、アイツの腕の中に現れて……おい、何だそりゃ!?



「じゅうたんを……“作り直した”んだよっ!」



 言って、ジュンイチがそれを空中から放り投げた。その拍子にそれは一面に広がって……じゅうたんから化けた網が、真下のネズミどもをまとめて捕まえる。



「すげぇな、お前……そんなこともできたのかよ!?」

「なるほど、だからじゅうたんか」

「そ。じゅうたんも投網と同じで“広げて使うもの”だからな。
 形や使い方が近い方が、“再構成リメイク”のイメージングはしやすいんだよ」



 まるで漁師のおっちゃんみたいにネズミを捕まえた網を引き上げながら、ジュンイチがイクトに答える……おいコラ、オレの上げた声にはガン無視かよ。

 しかしよぉ、これは……



「これじゃ、いくら駆除してもキリがないなぁ……」

「だね……
 イマジン本体を何とかするしかないんだろうけど、ヘタに近づけば私達も操られちゃうかもしれないし……」



 青坊主や金髪ねーちゃんの言う通りだ。二回目ってことで、どいつもこいつも要領がわかってきたのか、ネズミ退治のスピードは前回よりもずっといいんだけどよ……それ以上にネズミどもがわんさと出てきて、これじゃキリがねぇ。

 くそっ、せめてあのイマジンの本体が出てくりゃあよ……







 ――――――







「……っと!?」

〔モモタロス!?〕



 ウワサをすれば何とやら、か……

 イマジンの臭いが一気に濃くなりやがった……契約者の中から出てきやがったな、あのネズ公イマジン!



「イマジン、出てきたんですか!?」

「あぁ、オレも感じた!」



 オレに聞いてくる青坊主に、空のジュンイチが答える……おいコラ。青坊主はオレに聞いて――



「くそっ、マズイぞ、こいつぁ!」



 …………は?

 マズイって……どういうことだよ? 出てきたんなら、さっと行ってブッ飛ばしてやるだけ……



「バカね。
 今までコソコソ契約者の中に隠れて、こっちの目をかいくぐってたようなヤツなのよ。
 さっきの戦いみたいに、見つかって仕方なく……っていうならともかく、誰にも見つかってないのにわざわざ出てきてるのよ。おかしいじゃない」

「バカってオレのことかよ、ハナクソ女2号!?」

「だ、誰が『ハナクソ女2号』よっ!?
 あたしにはティアナ・ランスターって名前が――」



「――おい、待て!」



 ハナクソ女2号の言葉をあわてて止める。

 今、コイツ……何つった?



 『誰にも見つかっていないのにわざわざ出てきた』……?



 戦うワケでもねぇのに契約者の中から出てきたってことは……まさか……











「契約完了ってことじゃねぇかっ!?」







◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「望み通り、埋もれるほどのバレンタインチョコだ」



 言って、契約者を部屋いっぱいにため込んだチョコレートの海の中に放り込む――長い時間オレに身体を使わせていたせいで意識がもうろうとしているが、まぁいい。

 大事なのは、こいつの記憶が過去とつながること……そして、今、つながった。



「契約……完了だっ!」



 そして、オレは契約者の身体を通って過去へと跳ぶ。



 さぁ……追ってこい、電王!







◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「ここだ!」

「あぁ、間違いねぇっ!」



 ジュンイチさんとモモタロスさんが連れてきてくれたのは、住宅街のとあるアパート一室。ここに契約者とイマジンが……



「いや、イマジンの気配はしないな……」

「くそっ、もう跳ばれた後だ!」

「と、とにかく、契約者の人から話を聞いてみよう!」



 言って、フェイトがドアノブに手をかけて――って!?



「ちょっ、フェイト、ストップ!」

「え…………?」



 もし、契約内容が僕らの考えてる通りだとしたら、この中は今――



「ひゃあぁぁぁぁぁっ!?」

「フェイトーっ!?」



 あぁ、やっぱり……扉を開けるなり中からあふれ出てきたチョコレートの山に足を取られて、フェイトはその中にダイブ。さらに周りのチョコレートの山も崩れてきて生き埋めになってるしっ!



「フェイト、大丈夫!?」

「すぐ掘り出してやる! しっかりしろ!」



 あわててイクトさんと二人でレスキュー。すぐにフェイトをチョコレートの山の中から引っ張り出す。



「し、死ぬかと思った……」

「安心しろ、フェイト。
 人間、チョコに埋もれたくらいじゃそう簡単には死なないし……」











「死んだら死んだで、きっとリンディ提督とかはうらやんでくれるさ」

「ちっともうれしくないうらやまれ方なんですけどっ!?」











 フェイトとジュンイチさんのボケツッコミはとりあえず放置。



 えっと、契約者は……?



「……あそこに生えている足、アレじゃないのか?」



 マスターコンボイが見つけてくれた。指さした先、チョコレートに埋もれた部屋の真ん中には、上下逆さまにチョコの海に身を投じ、天井に向けて両足を突き出した……ぶっちゃけ『犬○家の○族』状態の人の姿がある。

 え? 何? このチョコかき分けて助けに行けって?



「そこなの? 契約者の家って」

「契約者の人、大丈夫やったん?」



 あ、スバルといぶきが追いついてきたか――



「ちょうどいい。
 スバル、いぶき……食い尽くすぞ」

「いきなり何事なの、お兄ちゃんっ!?」

「大歓迎やけど、事情は説明してくれへんかな!?」



「……大歓迎なんだ……」



 うん、それがいぶきなんだよ、フェイト。





















 結局、みんなで普通にチョコを運び出して契約者をレスキュー。

 モモタロスさんの離れた良太郎さんが空白のチケットをその額にあてて、チケットにネズミのイマジンの姿と日付が浮かぶ。

 ……一年前の2月14日。またずいぶん近いね。



「この日付に、覚えはあるか?
 ……いや、日付と行事と契約内容的にだいたい想像はつくが」

「…………………………彼女にフられた」



 イクトさんの問いに、予想通りの答えが返ってきた。



「ずっと彼女イナイ歴=年齢で、バレンタインも連戦連敗で……そんな中、ようやくできた彼女だったんだ。
 それなのに、去年のバレンタインデーで……」

「何か、あったんですか……?」



 フェイトダメーッ! そんな古傷えぐる質問やめてあげてーっ!



「彼女と、ケンカしたんだ……
 アイツ、よりにもよって……」





















「タイ焼きはしっぽから派のオレの目の前で、頭からかぶりつきやがった!」





















 ………………



 …………



 ……



「さて、イマジン追いかけようか」

「一年前ならすぐに追いつける。急ごう」

「うん、そうだね。
 アイツさえ倒せば、エリオとウラタロスさんも目を覚ますかもしれないし」



 あーっ! 心配して損したっ!

 こんなアホに関わってられるか! とにかく今はイマジンだ、イマジン!





◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



 これは……



『人生をおもしろくするのは、千の真実にひとつのウソだよ?』



 ボクは、まるで映画のようにその光景を見ていた。



 これは……



『確かに、ウソは悪いけど……人のためにウソをつけるなら、悪いイマジンじゃないかな、って……』



 ウラタロスさんの、記憶……?



『ボクのウソを安っぽく解釈されるのは許せないよ。
 ボクのウソは、ウソのためのウソなんだから。
 …………でも、ボクが泳げるのはウソじゃない』




 良太郎さんに受け入れてもらえて、一緒に戦うことになって……



『特異点についてれば消えないと思ったけど……しょうがないか。
 ちゃんとウソを教えられなくて、ごめんね、良太郎』




 消えそうになったこともあった。



『お前達には、感謝してんだよね。
 これ以上あっちにいたら、クールでカッコイイボクじゃ、いられなくなりそうだったから』




 みんなを守るために、悪役を演じたこともあった。



『ボク、ウソ泣きしかしたことないし。
 時間を手に入れるのも、善し悪しだよね』




 それでも……みんなと一緒に、戦ってきた。







『今夜は……僕に釣られてみる?』







 ウソはついても裏切りはしない。
 それが……







 そうか。これが、ウラタロスさんなんだ。







◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



 と、いうワケで……やってきました、1年前のクラナガン。

 到着したのは……くそっ、よりにもよって人の多い中央市街!?



「よし、いくよっ!」



 とにかく、あとはイマジンをブッ飛ばすだけだ。みんなに言って、僕は席を立って――



「待て」



 って、イクトさん……?



「ヤツの特殊能力のことを忘れたか?
 ヘタに突っ込んでいって、操られてこちらの敵に回られても面倒だろう」

「あ、そっか……」

「だから……」











「オレが出る」











 ――イクトさん!?



「何言ってるんですか!?
 今『操られて敵に回られても厄介だ』って……そう言ったの、イクトさんですよね!?」

「あぁ。わかっている」



 声を上げるフェイトにも、イクトさんは落ち着いた様子でそう答えた。



「だが……オレの考えている通りなら、おそらくオレは操られない」



 ………………え?



「どういうこと?
 ウチらはあかんくて、イクトさんだけは平気て……」

「オレだけではない。柾木もだ」



 ジュンイチさんも……?



「説明は後でしてやる。とにかく今はイマジンだ」



 言って、イクトさんは食堂車を出ていって……



「ねぇ、フェイト」

「何?」

「うまくいくと思う?」

「う、う〜ん……
 イクトさんだし、ねぇ……」

「イクトさんだしねー……」



 戦うか頭使うか“だけ”なら心配ないけど……“戦いながら頭を使う”とか“頭を使いながら戦う”とかもダメだからなー、あの人。







◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「そこまでだ、イマジン!」



 市街地で暴れ回るネズミのイマジンに対し、オレは立ちふさがりながら言い放つ。



「お前、電王の仲間か!?」

「まぁ、そんなところだ。
 “Bネット”機動部、特別機動部隊“第二の牙セカンドファング”――機動六課暫定所属、炎皇寺往人。
 人呼んで“炎滅のイクト”……いざ、参る!」







 イマジンに対して名乗りを上げ、同時に地を蹴る――反応は許さない。一瞬で間合いを詰め、その顔を思い切り殴りつける。







「く…………っ! コイツっ!」







 うめいて、イマジンが手を振ると、周囲の路地裏やら道路の排水溝やらからワラワラと大量のネズミが姿を現す。

 やはりそう来たか……だがっ!







「それならばっ!」







 オレには通じない。周囲に生み出し、解き放った炎がネズミの群れを焼き尽くす……すまん、ネズミ達。







「こんなネズミ程度で、このオレを止められるとでも思ったのか?
 ザコを引っ張り出して蹴散らされるくらいなら、オレでも操ってみせたらどうだ?」

「く…………っ!」







 オレの言葉に、イマジンが悔しそうにうめく。







「……やはりそうか。
 貴様……」











「“未成年しか操ることはできない”ようだな」







◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



 ……はい?

 イクトさんの言葉に、思わず疑問符が浮かぶ。

 えっと……何その基準? なんで操れる・操れないの区切りが成年・未成年なワケ?



「あ……なるほど……」



 ジュンイチさん……?



「……『ハーメルンの笛吹き男』の話、よく思い返してみろ」



 あの話を……?



「特にラストだよ。
 笛吹きの男は、報酬を払わなかった街の連中に何したっけ?」

「え……?
 そりゃあ、笛吹いて“子供達を”操って……」











 ………………あ。











「そういうこと」



 僕が気づいたってわかったらしい。笑顔でジュンイチさんがうなずく。



「あの話のイメージから、姿と能力を得たから、アイツは人を操るという特殊スキルを得た。
 けど……あの話からイメージから能力を得ている以上、“そのイメージ以上の能力を得ることはできない”。
 だから、アイツはあの話で操ることができていたネズミや子供達しか操ることはできない。
 じゃあ、どこまでを『子供』と定義するか、って話になるんだけど……18歳のつかさが操られて、TVシリーズから2年経って21歳になってる良太郎が操られなかったことから、その間がボーダーラインと考えることができる。
 その中で区切りになるポイントがあるとすれば……成人か否かだ」



 あ……そっか。良太郎さん、TVシリーズ開始時点で19歳、誕生日が12月で、最終3部作で新年を迎えてるから、確実にTVシリーズ中で成人してるんだ。



「だからイクトはお前らを下がらせたんだよ。
 今回来てる戦闘要員で20歳過ぎてんのはイクトとオレ、でもって良太郎だけだからな」

「待て! オレも十分成人だ!」

「その姿は明らかに成人してないだろ……ん?」



 マスターコンボイに答えたジュンイチさんが不意に顔を上げる……どうしたの?



「いや……今、食堂車の乗り入り口の開閉ランプがついてたような……?」







◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「ぐわぁっ!?」







 オレの蹴りをまともにくらい、ネズミのイマジンが吹っ飛ぶ――戦いは完全にオレのペースだ。







「観念しろ。
 貴様のような特殊能力特化型は、その能力に戦闘力の大半を依存しているが故に、能力を封じられるときわめてもろい。
 自慢の洗脳能力を封じられた貴様に、勝ち目はない」

「バカにするなよ……
 オレがこの程度で終わると思ってもらっちゃ困るんだよ!」







 降伏を勧めるオレに言い返して、イマジンが立ち上がる――まぁ、予想していた反応だがな。







「……仕方ない。
 投降してくれれば、情報が得られると期待したが……」







 イマジンに対して“終わり”を宣告しつつ、オレは右手に炎を生み出し――











「確かに、その程度で終わってもらっちゃ困るよね」











「――――――っ!?」







 この声は……まさか!?

 振り向くと、そこにいたのは……











「まだ、ボクらを釣ってくれたお返しをしてないからね」











 アイゼンアンカーを連れた……エリオについたままの、ウラタロスだった。







◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「エリオ!?」

「ウラタロス!?」

「よかったぁ……エリオくん達、目が覚めたんだ……」



 デンライナーの客室で休ませていたはずのエリオとウラタロスさんがここに来ていきなりの参戦。驚く僕やマスターコンボイのとなりで、つかさが胸をなで下ろす。



「……おい、良太郎」

「何? モモタロス」

「さっさと行って、カメ公にパス渡してこい」

「え? いいの?」



 意外だ。モモタロスさんの性格からして、ここは自分が出たがると思ったのに。



「さすがのオレだって、ここで出ていくほど野暮じゃねぇよ。
 ここは……あのネズ公に一杯食わされたカメ公が借りを返す場面だろうが」

「……うん、わかった」

「待て。
 そういうことならオレが行く。生身のままの貴様では危なっかしすぎる」



 良太郎さんに言って、マスターコンボイはパスを受け取って食堂車を出ていく……うん、今回はみんな、何かと空気読んでるね。



「あぁ、そうだな。
 モモタロスも、マスターコンボイも、出ていくべきところと退がってるべきところをちゃんとわきまえてる。空気を読めてる証拠だ」







「って、恭文もお兄ちゃんも、どうしてそこであたしを見るのかなっ!?」







 いやいや、他意はないよ、スバル。うん、ありませんともさ。







◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「てめぇ……今さらしゃしゃり出て、何えらそうにぬかしてやがる!」







 言って、イマジンがボクらに向けて突っ込んでくるけど……







「そっちこそ、そこまでボロボロにされて、今さらカッコつけられてもね!」







 そんなヘロヘロパンチに当たってやるつもりなんかない。あっさりかわして、エリオくんの槍でカウンターをお見舞いする。

 そこへ――







「おい、ウラタロス!
 こいつを受け取れ!」







 声と共に放られたパスを振り向きざまに受け取る――マスターコンボイ、お届けお疲れさま。

 それに伴って、ボクがついてるエリオくんの腰にベルトが巻かれる。さっそく青いボタンを押して――







「いくよ、エリオくん」

〔はいっ!〕







「〔変身〕」



《Rod Form》







 電王ロッドフォームに変身、イマジンへと向き直る。



 そしてもちろんいつもの……







「お前達……」

「〔ボク達に、釣られてみる?〕」







「釣られるかぁっ!」







 わめていて、イマジンが突っ込んでくる――けどっ!







「まぁ、そりゃそうだよね!」







 イマジンが繰り出してくる爪をロッドモードのデンガッシャーで弾いて、逆に突きをお見舞いする。







「ネズミを捕まえるならっ!」







 イマジンがひるんだスキに距離を詰める。横薙ぎにデンガッシャーを振るうけど――かわされた。イマジンは身を沈めて回避。ボクらの一撃はイマジンの後ろの柱を叩き斬る。



 そう――“ボクらの作戦通りに”。







「今度はこっちの番だ!」







 言って、こっちに向けてイマジンが突っ込んでくる。併せてボクらもバックステップで後退して――











「ネズミ捕りじゃなきゃね♪」











 さっきのボクらの一撃で根元から断ち切られ、倒れてきたお店の看板が、ちょうど倒れる先まで前進してきたイマジンを下敷きにした。







「ぅをっ!? 何だこりゃっ!?」

「フフン、どう? 釣ったと思った相手に逆に釣られた感想は?」







 看板の下で驚き、もがくイマジンに言い放つ――フンッ、いい気味だね。







「くそっ……バカにしやがってぇっ!」







 そんなボクの態度が頭にきたらしい。イマジンは看板をはねのけて立ち上がり――







「良い子も悪い子も、マネすんな!」

「ふぎゃっ!?」







 ひきつぶされた。

 立ち上がったイマジンが、乱入してきたクレーン車に。



 ……って、“クレーン車”?







「はいはい、お待たせ!
 アイゼンアンカー、ただ今戦線復帰だよ!」







 やっぱりキミか。

 イマジンをブッ飛ばしたクレーン車の荷台にはアイゼンアンカーの姿があった。







「よくもエリオにボクを攻撃させてくれたね。
 めんどくさいけど、オシオキだ!」







 言って、クレーン車から飛び下りたアイゼンアンカーが立ち上がるイマジンに襲いかかった。自分のクレーンアームを切り離して、ロッドとして振るってイマジンを打ち据える。







〔ウラタロスさん、ボク達も!〕

「はいはい」







 エリオくんに促され、ボク達も突っ込む。アイゼンアンカーに打ちのめされてフラつくイマジンに向けてその背中に一撃!



 後は潮の流れに乗るだけだ。まるでテニスのラリーのように、アイゼンアンカーと二人でイマジンをブッ飛ばし合う。







「あ」

「がはぁ……っ!?」







 あ、アイゼンアンカーが空振りした。はさみ撃ちの状態からは逃れたものの、イマジンはたまらずその場に倒れ伏す。







「……ま、いっか。もういい加減終わらせちゃっていいと思うし。
 ささ、ウラタロス、トドメどうぞ♪」

「あぁ、ゆずってくれるんだ?」







 アイゼンアンカーに促されて、ボクはヨロヨロと立ち上がるイマジンの前に。

 さぁて、それじゃあ、リクエストしてもらったことだし……







「そろそろ、終わりにしようか?」











《Full Charge》











 パスをベルトにセタッチ。発生したエネルギーがデンガッシャーに流れ込んでいく。







「はぁっ!」







 そのデンガッシャーをイマジンに向けて投げつける――命中したデンガッシャーは六角形のエネルギー体、オーラスキンとなってイマジンを拘束する。











「〔たぁぁぁぁぁっ!〕」











 そしてボクらがトドメ。大きく跳んでイマジンに……飛び蹴りっ!







「ぐわぁぁぁぁぁっ!?」







 ボクのデンライダーキックをまともにくらい、イマジンは地面を転がり……爆発、四散した。







「……ま、ざっとこんなものかな?」

「はいっ!」



 言いながら変身を解き、エリオくんの中から出る……久しぶりに自由になったエリオくんがボクのつぶやきに元気に答える。



「……あの、ウラタロスさん」

「ん? 何?」

「えっと……ありがとうございました。
 イマジンに操られたボクらを、止めてくれて……」

「あぁ、そのこと?」



 お礼を言って頭を下げるエリオくんに軽く手を振って応える。



「別に気にしなくていいよ、
 キミを助けておけば、六課の女の子達の覚えもめでたくなるだろうからね。お礼なんて、それで十分さ」

「はい。そういうことにしておきます!」



 え? 何? この会話。

 まるで、このボクが全部見透かされてるような……











「ギャアァァァァァッ!」











『――――――っ!?』



 いきなり響いた、悲鳴じみた獣の咆哮にとっさに身がまえる――そんなボクらの振り向いた先で、倒したイマジンが暴走、ギガンデス化する。

 今度は空戦型のギガンデスヘブンか。



「エリオくん、マスターコンボイとゴッドオンして――できるんだよね?」

「ウラタロスさんは?」

「良太郎とデンライナーで出るよ。
 まぁ、それまでに片づいちゃうなら、その方が楽できていいけどね」

「わかりました!
 一緒にがんばりましょう!」



 いや、だから先に片づけちゃってもいいって……

 はぁ……まぁ、いいか。







◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



『ゴッド――オン!』



 その瞬間――ボクの身体が光に包まれた。その姿を確認できないほど強く輝くその光は、やがてボクの姿を形作り、そのままマスターコンボイと同等の大きさまで巨大化すると、その身体に重なり、溶け込んでいく。

 同時、マスターコンボイの意識が身体の奥底へともぐり込んだ。代わりに全身へ意思を伝えるのは、マスターコンボイの身体に溶け込み、一体化したボクの意識だ。



《Thunder form!》



 トランステクターのメインシステムが告げ、マスターメガトロンのボディカラーが変化する――グレーだった部分が、まるで染め上げられていくかのように金色に変化していく。

 そして――マスターコンボイの手の中で、オメガが握りを長く伸ばし、ランサーモードへとその形を変える。

 大剣から槍へと姿を変えたオメガをかまえ、ひとつとなったボクとマスターコンボイ、二人が高らかに名乗りを挙げる。



《双つの絆をひとつに重ね!》

「みんなを守って突き進む!」






「《マスターコンボイ――Stand by Ready!》」








◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「トランスフォーム!」



 ボク、アイゼンアンカーの言葉に従って、二台のクレーン型ビークル、ブルーアンカーとグリーンアンカーがトランスフォーム。車体内側を併せるように合体すると人型のボディと両足が完成。さらにそこから外側に運転席部が倒れ、内側から腕が展開される。

 そして――



「ヘッド、オン!」



 咆哮し、頭部ユニットへとトランスフォームしたボクが完成したボディに合体。力が全身にみなぎると分離したクレーンアームを両手に装備する。



「全システム、正常機動を確認!
 アイゼンアンカー、TRツインロッド!」







◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「さぁ、いくよ、アイゼンアンカー! マスターコンボイ!」

《おぅっ!》

「めんどくさいけど了解っ!」







 マスターコンボイやアイゼンアンカーと言葉を交わして、上空で羽ばたくギガンデス――ギガンデスヘブンっていうんだっけ。そいつをにらみつける。

 と――攻撃が来た。ギガンデスはまるでハチのような感じの尻尾から、針のような砲弾を次々に発射。ボクらの周りで爆発が巻き起こる。







「くっ、このっ!」







 その爆発をかいくぐって跳躍。イマジンに向けてストラーダの宿るランサーモードのオメガを振るうけど――さすがは空戦型。ヒラリとかわしてくる。







「――っ、とと……」







 前に教わった、気での飛行法ですぐに立て直す――けど、ボクの腕じゃそれが限界。浮遊感はすぐに消えて、ボクは地上に落下、着地する。

 やっぱり、飛ぶのって難しい……これで空戦型のギガンデスの相手って厳しいかも……って、また撃ってきた!



 けど……その攻撃がボクらに届くことはなかった。



 脇から放たれたビームが、ギガンデスの攻撃を薙ぎ払ったから。



 そしてやってくるのは一台の列車――けど、デンライナーじゃない。

 青色で、一両だけで……ひょっとして、前回の事件でリュウタロスさんが使ったような!?







「そう。ロッドフォームの専用車両だよ!」

「ウラタロスさん!」







 ボクに答えるのは、その列車の上に立っているロッドフォームの電王――良太郎さんについたウラタロスさん。

 そして、列車の上部が少し上に持ち上げられると左右に開いて、ウミガメのような形になるとウラタロスさんを乗せて飛び立った。

 なんだろう、あの光景にすごく見覚えが……







「……ガ○ラ?」







 それだっ!







「まぁ、悪い怪物を退治する……って意味じゃ、間違ってないよね!」







 ボクとアイゼンアンカーのやりとりにウラタロスさんが笑いながら答える――飛び立った部分の左右からビームが放たれて、イマジンを攻撃する。







《よし、エリオ・モンディアル、アイゼンアンカー! オレ達も負けていられないぞ!》

「はいっ!」

「やれやれ、めんどくさいことはさっさと終わらせるに限る……か」







 マスターコンボイの言葉にうなずく――さぁ、いくぞぉっ!







◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「《マスター、コンボイ!》」



 ボクとマスターコンボイの叫びが響き、大きく跳躍したその両足がビークルモードのそれに変形。そのまま背後に折りたたまれると、バックパックをカバーする形で固定される。



「アイゼン、アンカー!」



 次いでアイゼンアンカーが叫んで分離。運転席側をジョイントとして合体していた二台のビークルは今度は車体後尾をジョイントとして合体。小型クレーンにトランスフォームしたアイゼンアンカー自身は背面側に合体し、起き上がった運転席部分を爪先とした下半身へと変形する。

 そして、両者が交錯し――



『《ゴッド、リンク》!』



 三人の叫びと共に、折りたたまれたマスターコンボイの下半身に代わりアイゼンアンカーが合体する!

 右手にランサーモードのオメガを握りしめ、左手には二本のクレーンアームが連結されたアンカーロッドをかまえ、三人が高らかに名乗りを上げる。



『《アンカァァァァァッ、コンボイ!》』







◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「これで……どうだぁっ!」







 合体を完了して、ボクらはアンカーロッドを振るう――その勢いで飛んだクレーンのフックとワイヤーが、ギガンデスに絡みつく。







「マスターコンボイ、アイゼンアンカー! フルパワー!」

《言われなくても!》

「やればいいんでしょ、やればっ!」







 捕まえてしまえばこちらのものだ。アンカーコンボイのパワーで、一気に地上に引きずり下ろす!

 勢いよく引っぱられて、ギガンデスが地面に叩きつけられる――また飛び立たれる前に、距離を詰めてアンカーロッドで思い切り打ちすえる。







《エリオ・モンディアル、代われ!」

「は、はいっ!》







 マスターコンボイの言葉に身体の主導権を交代。コントロールを受け取ったマスターコンボイはアンカーロッドを放り出すと両手でイマジンに組みついて――







「オォォォォォッ!」







 ぅわ、力任せに翼を引きちぎった!?







「これでもう飛べないな!」







 そして、再びアンカーロッドを手にしてめった打ち。往復ビンタのように左右から何度も打ちすえると、仕上げとばかりに突きを打ち込む。

 吹っ飛ばされたギガンデスにウラタロスさんがビームを撃ち込む――そろそろ、フィニッシュに行っても大丈夫かな?







「あぁ、そうだな。
 後は任せる――決めろ、エリオ・モンディアル!》

《はいっ!」







◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



《フォースチップ、イグニッション!》』



 マスターコンボイとボク、そしてアイゼンアンカーの叫びが交錯し――セイバートロン星のフォースチップが飛来した。そのまま、マスターコンボイのバックパックのチップスロットに飛び込んでいく。

 それに伴い、マスターコンボイの両足と右肩、そして下半身となったアイゼンアンカーの装甲が継ぎ目にそって展開。内部から放熱システムが露出する。



《Full drive mode, set up!》



 そう告げるのはマスターコンボイのメイン制御OS――同時、イグニッションしたフォースチップのエネルギーが全身を駆け巡った。四肢に展開された放熱システムが勢いよく熱風を噴出する。



《Charge up!
 Final break Stand by Ready!》




 再び制御OSが告げる中、ボクはアンカーロッドをかまえ、



「いっけぇっ!」



 ギガンデスに向けて投げつけた。と、アンカーロッドは途中で二つに分割、ギガンデスの左右に突き刺さるとフォースチップによって強化された魔力を放ち、電撃のフィールドを展開してその動きを封じ込める。

 そして、ボクは両手でオメガを握りしめる。流し込んだ魔力によって刃が雷光を放ち始め、電気によって熱された刃が真紅に染まっていく。



「いっ、けぇっ!」



 気合と共に一気に跳躍。ボクは動きを封じられたギガンデスへと突っ込み――



「雷光――」

《溶断!》




「アンカー、サンダーフレア!」




 すれ違いざまに、横薙ぎに振るったオメガの刃をギガンデスに向けて叩きつけた――同時、刃を通じて叩き込まれた新たな魔力を起爆剤とし、拘束フィールド内でくすぶっていた魔力エネルギーが炸裂、強大な魔力の奔流となってフィールドの内部で荒れ狂い、爆裂する!

 全身を焼かれ、ギガンデスはゆっくりとその場に崩れ落ち――



《撃破――》

『確認!』



 ボクとマスターコンボイ、そしてアイゼンアンカーの言葉と同時、絶叫と共に巻き起こる大爆発――周囲でくすぶっていた残留エネルギーが大爆発を起こし、ギガンデスは
爆散、消滅した。







◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「あー、終わった終わったぁっ!」

「何つーか……終わってみれば深刻度のカケラもない事件だったな……」



 ウラタロスさんとエリオのリベンジ戦、ということで今回観戦に回った僕ら。デンライナーの車窓からエリオ達がギガンデスを撃破したのを見て、大きく伸びをするモモタロスさんのとなりでジュンイチさんもため息まじりにつぶやく。



「後は、エリオ達を拾って帰るだけ、か……ん?」



 イクトさん……?

 何かに気づいたっぽいイクトさんの視線を追いかけてみると、そこには何か考え込んでいる様子の……



「フェイト、どうかした?
 あ、うん……ちょっと」



 尋ねる僕にそう答えると、フェイトはデカ長の前に進み出て、



「あの、デカ長さん」

「何でしょうか?」

「前に良太郎さんがしたみたいに、今回も契約者の人達のケンカ、収めちゃっても大丈夫でしょぅか……?」



 フェイト……?



「だって……かわいそうじゃないですか。あんなくだらない理由で、好き合っていた二人がわかれちゃうなんて……」

「まぁ……別れの動機としてはこの上なくアホらしかったのは確かだけどさ……
 ……そうだね。僕も賛成。どうなんですか? デカ長?」

「別にかまいませんよ、その程度でしたら。
 しかし、どうやって契約者と恋人のケンカを収めるつもりですか?」

「そ、それは……」



 デカ長の言葉に、フェイトが答えに困ってる……考えてなかったんかい。

 となると、こういう時に頼りになるのは……



「おいコラ、お前ら。
 どうしてそこでオレを見る?」

「いや、だって、ジュンイチさんだったら、策のひとつや二つ、ポンと思いつくんじゃないですか?」

「いや、まぁ、確かに思いついてるけどさ……」



 僕に答えて、ジュンイチさんはため息をついて、



「……しゃーない。
 今回はオレが道化になりますか」







◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「信じられない!
 タイ焼きは普通頭からでしょう!?」

「ンな様式なんかどうでもいいんだよ!
 頭と違って尻尾はアンコが行き渡りにくい! アンコの味わえる頭は後回しにして、先に衣だけの尻尾を食っちまうべきだっ!」



 再び、過去のクラナガンに降り立つ。

 すでに時間は修復されて、イマジンが破壊したもの、消してしまった人達はすっかり元通り。

 と、いうワケで……この日に彼女とケンカ別れすることになる今回の契約者のにーちゃんもご覧の通り。

 ……やれやれ、これを何とかしろと言いますか。相変わらず恭文の“お姫様”は要求のハードルが高いね。

 ま、なんとかできるならしてやりたいのはオレも同じ。と、いうワケで……なんとかしますか。

 いざ、柾木ジュンイチ、介入行動を開始する!



「あー、はいはい、ストップストップ!」



 いかにも「あわてて駆け寄ってきました」というふうを装って、ケンカしてるカップルの間に割って入る。



「ん? 何だ、お前」

「通りすがりの一般人……ってところかな?」

「通りすがりなら関係ないじゃない! 引っ込んでてよ!」

「いや、見ちゃった以上ほっとけないでしょ。目撃者だって立派な“関係者”だよ?
 で、何ケンカしてたのさ?」

「実は……」



 もう知ってるけど、通りすがりを演じている以上ここは必要。彼女の方から軽く話を聞きだす。

 ……うん。聞けば聞くほどアホな動機だ。



「それなのに、彼は尻尾から食べるべきだって譲らなくて!」

「頭からなんて邪道じゃないか!」



 あー、もう。また言い争い始めたし。

 しょうがない。こうなったらプラン通り……







「ファイっ」

《カーンッ》







 両手をクロスさせて宣告する。さらに蜃気楼がゴングまで……日頃出番確保しようとしないクセにそーゆートコはマメだよな、お前。



《恐縮です》

「って、いやいや、そういうことじゃないからっ!」

「何むしろけしかけてる!?
 お前、オレ達を止めに来たんじゃなかったのか!?」

「だって、お前ら二人ともやめる気ないんだろ?」



 あわてて待ったをかけてくるカップルにあっさりと返す。



「だったらもう、お互いスッキリするまでやらせた方がいいかなー、って。
 と、いうワケで、ファイっ」



《カーンッ》



「いやいやいやいやっ! そういう問題じゃないから!」

「そんなけしかけられて、『はい、わかりました!』ってケンカ再開できるワケないでしょ!?」



 まさにそれを狙ってますが何か?

 楽しくケンカしてるならともかく、このテのケンカって周りがはやし立てるほど冷めてくるもんだからね。これで終わってくれれば……



「――そうだ! 多数決で決めよう!
 アンタ、どっちがいいか決めてくれよ!」



 …………へ?



「そうね。それがいいわ。
 せっかくあなたが加わって三人になったんだものね」



 うーん、そう来たか。これは正直予想してなかった。

 けど、そういう思惑なら、オレを頼ってもムダってもんだ。

 オレが加わったところで、“二対一になどなり得ないのだから”。



 なぜなら……



「タイ焼きは頭からとか尻尾からとか……くだらん、実にくだらんっ!
 いいか、真に通なヤツのタイ焼きの食い方はなぁ……」











「腹からガブリといくもんだろうがっ!」

『それ、絶対に変っ!』



 ンだとコラぁっ!







◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



 危うく第三勢力として二人のケンカを武力鎮圧しかかったジュンイチさんを“はぐれた彼を探しに来た知人”を装って回収。

 まぁ、ジュンイチさんの横槍であの二人もすっかり頭に上った血が下がったみたい。これで別れずにすんでくれるといいけど。

 そんなこんなで、無事現代の六課に戻ってきた僕らだけど……



「…………何これ」

「メチャクチャです……」



 本部庁舎の中はものすごい散らかりよう。えっと……何があったの?



「あぁ、恭文か。おかえり。
 良太郎さん達もお疲れさまです」

「うん、ただいま。
 それで、はやて……これは?」

「あぁ、これか?
 実はな……ここにも出たんよ、ネズミの大群」



 えぇっ!?



「時間にして、恭文がイマジンを追って過去に行くって連絡入れてきた直後やったかな。
 通信と入れ違いになる形でドドッと」

「って、それ、イマジンが過去に跳んだ後じゃないのさ。
 そんなタイミングでも、チョコを集めてたっていうの?」

「いや……あのイマジンが『ハーメルンの笛吹き男』のイメージに忠実に生まれていたとしたら、ありえない話じゃない」



 イクトさん……?



「あの物語の設定が忠実に反映されているとしたら、ヤツが洗脳に使っていたのはおそらく“音”だ」

「あぁ、笛吹きの男の話ですしね」

「となると、あのネズミ達や操られていたエリオ達は随時コントロールされていたのではなく、ある種の催眠状態。命令されたコマンドを忠実に実行するだけの状態だった可能性がある。
 そう考えると、イマジンが契約完了した後もネズミがチョコレート集めを続行していたとしてもありえない話ではない」



 口をはさむフェイトに話しながらうなずいて、イクトさんがしめくくる……だとしても。



「それでどうして六課が襲われるのさ?
 ここにチョコなんて、売店BXくらいにしかないでしょ?」

「そうでもないよ、恭文」



 ウラタロスさん……?



「ほら、今回のイマジンの契約内容」



 え? そりゃ、バレンタインに……あぁっ!



「あー、そっか。
 六課、女性隊員多いもんなー。そりゃ食堂借りて手作りチョコ作ろうとするヤツが続出してもおかしくないわな」



 ポンッ、と手を叩いてジュンイチさんが納得する……なるほど、イマジンに襲われたネズミはそのテのチョコを狙ったのか……



「あぁ、そういえば、フェイト・T・高町も朝早くから作っていたな」

「ま、マスターコンボイ、言っちゃダメーっ!」



 え? 何? フェイトも手作りチョコ?

 それ、僕宛だって期待してもいいよね? まぁ、イクトさん宛のチョコもあるだろうけど……











 …………………………あれ?











「……あのさ、はやて」

「何や?」

「……被害、ここを散らかされただけ?」



 一応確認を取る――けど、はやては残念そうに首を左右に振った。

 それって、つまり……



「根こそぎやられたわ。
 私も、ロッサ宛の作っとったんに……」



 ……要するに、フェイトの作った(作ってた?)チョコもやられた、と……



「あのイマジン、オレ達の手で八つ裂きにしてやるべきだったか」

「奇遇ですね、イクトさん。
 僕も同じこと考えてましたよ」



 イクトさんと二人で、ちょっぴり怒りの炎を燃やす……ごめんなさい、ウソです。『ちょっぴり』どころじゃないレベルで怒ってます。



「だ、大丈夫だから、二人とも!
 また作り直せばいいだけだから!」



 フェイトはそう言ってくれるけど、これは、これだけは……っ!



「だから怒らないでーっ!
 そ、そうだ! 今度は一緒に作ろう! ね、ね?」



 いや……フェイト、それもどうなのさ?



「フェイト……バレンタイン意味わかってる?」

「う……わかってるけど……どうせなら、二人の意見も聞いて、思いっきり二人好みのチョコにしたいな、って……ダメ?」



 う……それはそれですごい魅力が……

 フェイトが、僕らの好みドストライクのチョコを作ってくれる……うん。



「イクトさん、手伝おっか?」

「まぁ……それでテスタロッサが納得するならな」







「……お前ら、ホンっトにフェイトに弱いよな」







 うん、ジュンイチさん、うっさい。







◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



 とりあえず、あのトライアングルバカップルは見ててムカつくのでさっさと厨房に行かせて、オレ達は散らかったオフィスの掃除。

 ……だけど、うーん……



「お兄ちゃん……?」

「サボってないで手を動かせ、手を」



 スバルやマスターコンボイが声をかけてくるけど……うん、やっぱり気になる。



 ネズミは、決して知能は低くないけれど、悲しいかな所詮は獣。行動原理は単純だ。

 いくらイマジンに操られていてもそこは変わらない。催眠だって強力ではあっても単純なものだったらしいし……『チョコを持ってこい』って命令されていたんなら、チョコ目がけてまっしぐら、になるはず。



 それが、いくら六課に残ってた組が阻止しようとしたにしても……







 “わざわざ、オフィスまで回り込んでくるか”……?







◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「……フンッ、アイツ、最後にいい仕事をしたじゃないか」



 手に入れた映像は上出来。うまくいったな。

 ヤツが操ったネズミの何匹かにカメラを取りつけておいてあの部隊に送り込む……作戦としては上々だ。

 おかげで、電王が協力を求めたっていうあの部隊の施設の様子はだいたい把握できたし……



「タナボタで、こんな書類まで手に入ったんだからな……」



 こいつはせいぜい有効に使わせてもらうとしようか……



「“レリック”とやらが今どこの施設に貸し出されているか……それを記した、このリストはな……」







(第9話に続く)





◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



次回、とコ電っ!



「降、臨っ!」



「なんか、また濃いのが出てきたわねー」



「イマジンどもの目的が、ちっとも見えてこないだろ。
 ヤツらはいったい何をしたい?」



「下がっていろ、お前達。
 あの不敬の輩は、この私が相手をしよう」



第9話「再臨、満を持して……」



「我が華麗なる技の前にひれ伏せ!」





◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



あとがき



Mコンボイ「バレンタインデー編の後半戦。なんとも阿呆なオチがついた第8話だ」

オメガ《契約の内容は、まぁありがちなネタでしたけどね……そこに至る動機がひどいという》

Mコンボイ「作者としては、とりあえずオチは笑えるものにしたかったそうだからな」

オメガ《おかげでいろんなものが吹き飛びましたよ、えぇ》

Mコンボイ「まったくだ」

オメガ《とはいえ、ミスタ・ウラタロスとミスタ・エリオのコンビでは話のインパクトが薄いのもまた事実なんですよね。
 ミスタ・ウラタロスも“ナンパでウソツキ”というキャラ付けはありますが、他のイマジンメンバーに比べるとずいぶんと行動はおとなしめですし》

Mコンボイ「エリオ・モンディアルも、そこは同じだな……」

オメガ《いえ、ミスタ・エリオはさらにひどい状況かと。
 何しろ、彼はキャラが立ってる要素が生い立ちくらいしかないじゃないですか》

Mコンボイ「お前もお前でひどいな、おいっ!?」

オメガ《しょうがないじゃないですか。
 次回、さらに濃いのが出てくるじゃないですか》

Mコンボイ「あー……そんなに“すごい”のか? ヤツは」

オメガ《すごいですね……はい。
 次回予告でもいきなりツッコまれてるじゃないですか》

Mコンボイ「あー……」

オメガ《まぁ、いろいろと持っていかれないように私達もがんばりましょう。
 ……っと。さて、そんなこんなで、そろそろお開きの時間ですね。
 みなさん、今回も読んでくださって、本当にありがとうございました》

Mコンボイ「次回も必ず読むがいい」





(おしまい)




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