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頂き物の小説
第1話「ミッドチルダに、俺達、参上!」



 すべての始まりは、僕らが大賀温泉郷から戻ってすぐのこと。



 本当になんてことのない一日の、どこにでもある一幕からだった。





















 ……交差点のカーブを、勢いよく曲がる。



 つか、むしろドリフト全開。そしてアクセルを思い切り踏み込み、加速する。



 速度と回転数はいつもよりも3割増。サイレンは最大音量。気分はまさに『逮捕し○ゃうぞ』状態。







〈そこの車、直ちに停止してくださいっ!〉



 助手席の近くで浮いていたリインが、トゥデイに備えつけてあるマイクを両手で持って、しゃべる。

 当然、声は外の外部スピーカーを通じて出るワケですよ。で、前を走る逃走車両にも届いているはず。



〈もう一度言います!
 というか……何度も言ってるんだから停まるですっ!〉

「リイン、言い方甘いんだよ!
 もっと厳しく厳しく、ガツンといっちゃえ!」

「そうですか?
 じゃあ……」







「停まらねぇとブッ殺すぞゴラぁっ! ですよっ!」







「それはちょっとやりすぎなんじゃない!?」

「お試しです。マイクは切ってるですよ」



 あ、そうなの。



「しかしさ……銀行強盗なんて、今時古典的だよねっ!」

「確かに、アナログではあるわよね!」



 助手席のティアナが同意する――最近のデジタルな犯罪と比べると、やっぱり古典的だ。

 だからと言って、まったくないワケじゃないんだけど……「このクラナガンで」って条件だと、こうしてアイツらが逃げていられるのは奇跡に近い確率を引き当てた結果であることは間違いない。



 だって……







 ここ10年、なぜか毎回ジュンイチさんが偶然巻き込まれて、その場で鎮圧せんめつしちゃってるらしいから。







「というか……」



 ともあれ、リインはまたまたマイクのスイッチを器用に押しつつ、



〈ホントのホントに……停まるですよーっ!〉







◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「マスターコンボイさん、急いで!」

「わかっている!
 旅行明け、コンビ復活でテンションが上がる気持ちはわからんでもないが、少しは落ちつけ、スバル」



 あたしの言葉に答えるのは、ビークルモードで街中を爆走中のマスターコンボイさん。そして――



「パラリラパラリラ〜♪
 いやー、やっぱ捕物はこうでなくっちゃな!」

「燃えてきたんだな!」



 ガスケットやアームバレットもいる。二人ともビークルモードで、マスターコンボイさんの後を元気についてくる。



 現在あたし達は恭文達の追いかけている車の逃げる先に回り込もうとしているところ……っと、マスターコンボイさん、この先の12号線に入れば近道だよ!



「いや――こっちだ!」



 けど、マスターコンボイさんは12号線よりも手前、すぐ目の前の交差点から14号線に入った。車の少ない二車線道路をアクセル全開で加速する。



「マスターコンボイさん!?」

「今の時間、12号線は渋滞で混雑している! 入っても動けなくなるだけだ!
 ヤツらもそれほどバカじゃない。入らず手前の道路からサードアベニュー方面に逃れるはず!
 その際連中が使うのは、おそらくすぐ手前の13号線――恭文達と一緒に追いかけてもらちがあかん! オレ達は別のルートから回り込みを狙う!」

《何言ってんのさ、ボス。
 バカだから銀行強盗なんてマネやらかすんじゃないか》



 ダッシュボードの専用ホルダに収められた待機状態のオメガにツッコまれたマスターコンボイさんがうめいて――あ、恭文からの全体通信。



〈こちら蒼凪! 現在地報告!
 やっこさん、13号線をサードアベニュー方面に逃走中!〉



 すごっ! マスターコンボイさん、ビンゴ!



「こちらスターズ03及びα!
 こっちもロードマスターズ02及び03と共に14号線をサードアベニュー方向へ追跡中!」

「こっちは追い抜いて先回りする! 見せ場を持っていかれたくなかったら、そこまでにケリをつけるんだな!」







◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



 …………と、ここまでの流れで、状況はだいたいわかってもらえたと思う。



 追いかけるのは……目の前の白い車。いわゆる銀行強盗の車。

 現在、僕達は逃走してる車両を追跡中です。もっと言えば、カーチェイスの真っ最中。

 まさか、この車でホントにこんなことやる日が来るとは思わなかったよ!



「そーね! ……って、撃つつもり!?」



 ティアナが同意したのとほとんど同じタイミングで、車の窓から犯人のひとりが身を乗り出してデバイスをかまえる。

 魔法能力者がいるのか……けどっ!



「ティアナ!」

「わかってるわよ!」



 こっちには優秀なガンナーが助手席在住。かまわず突撃する。







「狙いが」







 向こうが魔力弾をばらまいてくる……けど、ティアナもすでに助手席の窓からクロスミラージュをかまえている。







「甘いわよっ!」







 言うと同時にぶっ放す。トゥデイと向こうの車との間で魔力弾の群れが正面衝突。もちろんこちらの被弾はゼロだ。



 あー、しかし……どうしてこうなったのかなっ!?











『とある魔導師と古き鉄と時の電車の彼らの時間』・『とまコン』バージョン



とある魔導師と守護者と時の電車と仮面の戦士達



第1話「ミッドチルダに、俺達、参上!」






◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「……と、いうワケで、お昼〜♪」

《マスター、ご機嫌ですね》

「だって、今日のお昼は自信作だからね。
 あ、リインの大好きな特製ミートボールもあるからね」

「ありがとうですーっ!」



 愛車……トゥデイを運転しながらご機嫌でいると、本日の相方は非常に不満そうだった。



「……アンタ、ホントにお気楽ね」

「そー言うティアナは、どーして深刻そうなの?
 ちゃんとティアナの分も用意してあるのに」

「ホントに?」

「ホントに、だよ。昨日の内に今日はティアナとだって聞いてたからね。
 ジュンイチさんやはやてのには味で負けると思うけど、ティアナの好きなものばっかり入れてるから、期待していいよ〜」

「そっか。ありがと」



 ホントに期待してていいよ。余りをジュンイチさんにおすそ分けしたところ、評価は上々だったから。



「……てか、そういう話じゃないわよ。
 また厄介なことになるとか考えないワケ? どう考えてもキナ臭いじゃないのよ」

《確かにそうですが、今それを言っても始まりませんよ。
 厄介ごとというのは、どこにいたって起きるものなんですよ》



 休息のために行ったはずの温泉旅行先で神隠し事件が起きていたりとかね。



「そういうこと。
 明日の事件より、今日のご飯の方が大事だよ」







 ……現在、ミッドでは不可解な事件が起きている。

 魔法能力者でも、特殊能力者でもないごく普通の一般市民が、いきなり大暴れする、というものだ。それも、どっかのベルカ式の騎士とか魔導師ばりに。



 しかも、ここにある要員が加わることで、事件はさらにややこしいことになっている。



 それは、全員が全員、暴れている間“だけ”何らかの理由で心神喪失状態であったこと。つまり、その時のことを憶えていないというのだ。







 これだけ聞いて、みんながまず思い浮かべたのは、同一の第三者が、催眠術か何かで彼らを操った、という可能性……実際、六課のみんなは“JS事件”中そういう能力の相手に手を焼かされたらしい。







 けど……本当の問題はここから。

 全員が、口をそろえてこう証言したという。



 曰く、妙な化け物にこう言われた、と。

 『お前の望みを言え。どんな願いも叶えてやろう』……と。







 当然、管理局がこの事件を放置するはずがない。

 件数こそ少ないものの、事件はここ一週間でたて続けに起きている。







 で、先日無事執務官研修を終え、初任務を待つばかりだったフェイトも六課が動く事態になった場合に備えてあちこちで調整。ジュンイチさんもレジアス中将や“Bネット”との調整に動いてる。

 僕とティアナ、それからスバルもそのお手伝いだ。一応補佐官とその予備軍だし。

 で、スバルがマスターコンボイを巻き込んで、リインとバカ二人は……うん、ついて来た。

 今は、僕らの組とスバル達の組とに分かれてパトロール中、というが現在の状況。



「ま、それもそうね。
 仕事は仕事できっちりやってるし、そういうのは大事か」

「でしょ?」



 いや、さすがにこのおねーさんはわかってくれてるよ。







 しかし……だね。







 何つーか、アレですか?

 僕もアルトも、なーんか犯人に心あたりがあるんだけど。



 僕らだけじゃない。ジュンイチさんが動いているのだって、その“心あたり”がビンゴだった場合に備えて、という部分が強い。

 ビンゴだった時、予備知識のある僕らがいる六課に対応の権限を集中させるつもりなんだそうだ。場合によってはライカさん達も引っぱり出してくるつもりだとか。



 けど……いや、まさかね。さすがにそれは……







〈ヤスフミ、リイン、ティアナ、聞こえる?〉







 思考を中断したのは、突如つながったウィンドウ通信。相手は……フェイトだ。



「……何かあった?」

〈うん。あった。
 急いで、これから示すポイントに急行して。スバル達にも知らせたけど、3人が一番近いんだ〉



 そして、現場の映像が来て――僕らは目を丸くした。



「これは……銀行強盗ですか!?」







◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



 以上、回想終わり。

 ……でも、このままじゃらちがあかないな。

 スバル達との挟み撃ちが一番なんだろうけど、理想としてはその前に一撃、二撃くらいは入れておきたい。もちろん、その一撃で終わらせられるならそうしたいし。



「ティアナ」

「モトコンポ、借りるわよ」



 むむっ。同じこと考えてたか。



「で、決めはアンタに任せるから」

「りょーかいっ!」



 トゥデイを一旦停める。そして、ティアナが後部ドアから手際よくそれを取り出す。

 小型バイク……モトコンポを。



「ティア、気をつけるですよっ!」

「はいっ!」



 ティアナがそれに乗って追跡を再開。僕らもそれに続く。

 カーチェイスはすでに先ほど報告したサードアベニューを抜け、港湾区の工場地帯へと入っていく。



「リイン」



 運転しながら、リインに向けて左手を差し出す。手のひらを上に向けて。



「はいです」



 こっちの意図を正しく理解して、リインは両手で持っていたマイクを渡してくれる。それを持って、運転しながら告げる。



〈あー、そこの車、停まれ。
 停まらないなら……止めるよ?〉



 でも、それでも停まることも、攻撃をやめることもしない。



〈つーか停まれ。
 お前らがおとなしくしてくれれば、僕はこれ以上後部座席のランチボックスの中身の心配をしなくて済むんだよ〉

「そこなんですね」

《前日からがんばりましたから》



 なお、車からの反応はなし。逃走とティアナとの銃撃戦を継続中。



〈……よくわかった。
 んじゃ、ケガしても知らないから〉



 なので、僕はマイクを無線機のフックに引っかけて、



「リイン、僕につかまってて」

「はいです」



 リインが肩に乗って、僕の頬にしがみつくようにつかまる……こらそこ、リインのことを大作少年とか言うな。

 言うなら僕のことをジャイアントロボと言いなさい。



 それはともかく……こうする。







「ブースト」







 運転席の左、“N”と書かれた四角いカバーを左手でさっと開け、その中にある赤いボタンを……押す。







「オンっ!」







 瞬間、エンジン音が激しく、大きくなる。アクセルを踏み込むと……いつもより鋭い加速。

 それによってティアナを……逃走車両を一気に追い抜く。そのままぶっちぎって、ン百メートル単位で差をつけた上で、相手の進路に割り込むように急停車。

 当然、逃走車両はこっちに向けて突っ込んでくる――なので、さっさとトゥデイから降りて、ぶっ放す。







《Icicle Cannon》







 威力を調整した上で、車両の左前方に放たれた砲撃は狙い通りその手前に見事着弾。爆発に巻き込まれて、宙を舞った車は僕らの頭上を飛び越えて――

 ズガンッ!と音を立てて、上空から降ってきた炎の槍に貫かれたその勢いで地面に叩きこまれ、上下逆さまで串刺しになった状態で動きを止める。







 ……って、いたんですか。ジュンイチさん。







「グッドタイミングで今着いたところ♪」



 そう。最後の一撃の主はジュンイチさん。僕のとなりに舞い降り、肩をすくめてみせる。







「って、ジュンイチさん!?」







 聞こえた声の方を振り向けば、そこにいたのは追いついてきたティアナだ。モトコンポにまたがったまま、ジュンイチさんの突然の登場に目を丸くしている。







「パラリラパラリラ〜♪
 ……って、あれ? なんか終わっちゃってるっぽい?」

「みたいなんだな」

「やれやれ、出番はなしか」

「って、あーっ! お兄ちゃんがいる!?」



 そして、スバル組も続々到着。ガスケットとアームバレットがロボットモードにトランスフォーム。マスターコンボイもスバルを降ろすとヒューマンフォームへと変身する。

 それはともかく……あー、出番残しておかなくてごめんね、マスターコンボイ。



「それはいいが……またハデにやったな」

「いーのよ。停まったんだから。
 つか、僕は警告した。ジュンイチさんはしなかったけど」

「でも、それにしたってやりすぎじゃ……」







「そーでもねぇぞ」







 頬を引きつらせるスバルの言葉に対し、ジュンイチさんはあっさりと答えた。



「だってさ、オレや恭文の考えが“当たり”なら……」



 言って、ある方向を……炎の槍で串刺しにした車を見る。











「本番は、ここからだ」











 ジュンイチさんの言葉はまさに正解――車の中から、フラフラとした足取りで、男が3人降りて、イヤ、はい出てきた。

 そして気づく。僕だけじゃない。この場の全員が。







「……砂……ですよね、アレ」







 リインの言う通り、砂だ。男達の身体から、まるで吹き出すように飛び散ってる。

 男達がその場に倒れても、砂は勢いを止めない。やがて、砂はあるものを三つ、形作る。



《……マスター……》

「いや、まさか……」



 それは、人と似ている。でも、人じゃない。

 一体は、ピンク色のウサギ。もう一体は、赤いタコっぽいの。そして最後の一体は、黒と緑のまだらな虫っぽいの。



「……瘴魔獣……!?」



 ティアナの声が、少しかすれてる……まぁ、アイツらを連想する気持ちはわかるけど、たぶん違う。







「……まさか、イマジン!?」

《いや、そんな……》







「……ほぅ、オレ達の事を知っているのか」



 そうこちらに話しかけてきたのは、赤いタコ……しかも肯定された。

 え、まさか……本物!?



《……いろいろと、お聞きしたいんですけど。
 あなた方が、どうして実在してるんですか?》

「って、アンタ達、あの瘴魔獣モドキを知ってるの!?」

「そういうこと。
 僕もアルトもジュンイチさんも、そんでもってガスケット達も、アレが何なのか知ってる」

「スバルも知ってるはずだぜ――その様子だと、思い出せてないみたいだけど」

「えぇっ!?
 お兄ちゃん、それどういうこと!?」



 そんなの、僕らだって知りたいよ。

 だって……







《イマジンは、本来実在しているはずがないんです》







 イマジンは、僕らの好きな特撮番組の悪役。それ以上でも、それ以下でもない。



 こんなところで、テレビで見た通りに出てくるようなものじゃない……スバルが気づいてないのも、たぶんそこが原因。

 現実にはいないはずの連中なんだから、「違う」「イマジンじゃない」っていう意識が働いてるんじゃないかな?



 でも、見たところ着ぐるみという感じでもない。どーいうこと!?



「気にする必要はない。
 お前らは、どうせここで……死ぬんだからな!」



 そう赤タコが宣言すると、イマジン達はこちらへと突撃してきた。

 あー、もうっ! 考えるのは後だっ!



「恭文! オクトパスイマジンを頼む!
 オレはアントホッパーイマジンを叩く! 残りでラビットイマジンをフクロだ!
 フクロ組はガスケットの指揮下に入れ! スバルがそんなじゃ、そいつが一番コイツらに詳しい!」

「ジュンイチさん!?」

「オレが、ガスケットの指揮下に!?」



 いきなりのメンバー分けにティアナとマスターコンボイが声を上げるけど、説明しているヒマはない。

 とにかく、僕達はかまえた。イマジン三体を迎撃するために――





















「ずいぶんと楽しそうだな!」





















 …………え?











 突然の声は僕らの後ろから。振り向くと、一台のバイクがこちらに走ってきて……というか、突っ込んできた。

 そこに乗っているのは、ジージャンとジーンズに身を包み、白いヘルメットをかぶった男。

 男はそのまま僕達とイマジン達との間に割り込むと、どこからともなくショットガンを取り出し……







「オレ達も遊ばせてくれ」







 迷うことなくイマジン達を撃った。たまらずイマジン達は後ろに下がる。

 ……まって待って。この声にこのバイク……えぇっ!?

 だけど、乱入はまだまだ続く。今度は黒いワゴン車が走り込んできて、トゥデイのとなりに停車する。

 で、続々と出てきた。







「よっと」







 運転席から、青い甲羅っぽい装飾を着けたカメっぽい人。







「ふんっ!」







 後ろのドアから、右手でアゴを支え、首をゴキゴキ鳴らしているのは、金色でガタイのいいクマっぽい人。







「いぇいいぇいっ!」







 紫でロングコートを着たようにも見える、ヘッドホンを着けた竜っぽい人。なんか両手でピースしてる。







「……よしっ!」







 そして、10歳前後の、黒いスーツを着て、黒い髪を後ろで一まとめにした女の子。



「……アレも、アンタ達の知り合い?」

「い、いや、知り合いじゃないけど、知ってるけど……えぇっ!?」

《どうなってるんですか、コレ》

「あれ……? あの人達、どこかで見たことがあるような気が……」

「リイン曹長もですか? 実はあたしも……」



 ティアナの問いに僕とアルトはパニック。リインとスバルは首をかしげる。マジで何なの、この状況!?



 そして、バイクの男はヘルメットを脱ぐ――逆立った黒髪に赤いメッシュ。赤い瞳が見えた。



 ワゴン車から降りた面々は、まるで並ぶかのように男の周りへと集まる。男も、それが自然なことのように、バイクから降りて彼らの中心に立つ。

 そんな時、どこからともなく声が聞こえた。







(時の警察電車、デンライナー)



(時の犯罪者、イマジン達の起こす事件を、徹底的に、クライマックスで解決する刑事達)



(彼らに、警察手帳や捜査令状はいらない)



(彼ら自身が手帳であり、令状である)



(彼らに逮捕できないものは……ただひとつ)







(神のみ!)











(それが、チィィィィム、デンライナァァァァァァァァァッ!)












 な、何なのさ、このナレーションはっ!?

 ま、まさか……本当に!?







「……俺達っ!」







 中心に立った赤メッシュの男が、自分を右の親指で指す。



 そして、他のメンバーと一緒に、見得を切るようにポーズを決める。











『参上っ!』











 ……やっぱりなのかぁぁぁぁぁっ!?



「クライマックス刑事デカ仕様かよ!?」



 僕のとなりでジュンイチさんがツッコんだ、その時だった。







〔だぁぁぁかぁぁぁらぁぁぁっ!
 みんな何やってるのっ!?〕







 と、新たな声が乱入――それと同時に、男の身体から赤い……鬼が出てきた。まるで中から押し出されてきたみたいに。

 すると、男の外見が変わった。髪は垂れ、メッシュがなくなる。瞳も栗色に変わって、



「どうしてまたまたこれなのっ!?
 というか、またハナさんまで!」



 変わったのは見た目だけではない。声や物腰もだ。さっきまでの荒々しいものから、穏やかで優しいものに。



「あはは……ごめん、良太郎。やっぱり楽しくて」



 男の……いや、男の人の言葉に、女の子が答える。というか今、『ハナさん』『良太郎』って……



「まぁ、いいじゃねぇか。
 刑事って、やっぱ最高にカッコいいしよ!」

「というか、アイツら逮捕していいよね? 答えは聞いてない!」

「そういう問題じゃないからっ! というか、リュウタロスも落ち着いて!」



 赤鬼や紫竜が、どこか楽しそうに話す……というか赤鬼の声、さっきまでの男の声だ。



「まぁまぁ。
 先輩じゃないけど、せっかくおもしろそうなところに来てるんだしさ、少しくらい楽しもうよ」



 えっと……もう確定と思っていいのかな?







「あの……」







 とにかく確認だ。男の人に声をかける。



「野上、良太郎さん……ですか?」

「あ、はい」



 あっさりと肯定が返ってきた。

 じゃあ……



「そっちの人達は、モモタロスさんに、ウラタロスさん。キンタロスさんに、リュウタロスさんと……ハナさん」

「おぉ、そうやで。
 ……つか、坊主誰や」

「キンちゃん、忘れたの?
 ボク達がこれからお世話になる魔導師の部隊の子だよ」



 ……はいっ!?

 でも、そんな僕の驚きは気にせず、青亀……ウラタロスさんはティアナやリイン、スバルに話しかける。



「やぁ、初めまして、麗しいお嬢様方。
 いや、この世界に来て、さっそくキミ達みたいなカワイイ子に出会えるなんて、うれしいな」

「あ、初めましてです……」

「てか……アンタ達何者っ!?」

「うーん……どこかで見覚えがあるんだけど……」

「……って、いきなりナンパしてるんじゃないわよ、バカっ!」



 青い亀さんがナンパしてるけど、気にしない。ハナさんが止めてくれてるし。



「というか、ボク達いくつ?
 ぅわ、カワイイね〜」

「ちょっ、こらっ!? 貴様いったいっ!?」



 一方、僕らの方には竜の人……リュウタロスさんがやってきた。僕とマスターコンボイの頭をなで回す。



「……なでないでください。
 てか、僕はこれでも――」

「おい、オレ達のこと忘れてんじゃねぇ!
 つーかそんなクソチビどものことなんざ――」







《Stinger Ray》

「スナイプショット」

《Hound Shooter》







 青い光が空間を撃ち抜き、一直線に赤タコの頭に直撃。さらに紫色の光がみぞおちを捉え、そのまま地面に倒れた。とーぜん僕とマスターコンボイが撃った。

 ……あ、生きてやがる。なんか頭振りながら起き上がった。



「お、お前いきなり何しやが――」

「誰が豆粒だ」

「そして誰がアリンコだ」



 僕とマスターコンボイはイマジントリオに視線を向ける。



「つか、こっちは今大事なお話中だ。ガタガタぬかさずに待ってろ」

「それができないと言うのなら、今すぐミンチにしてやるぞ」







『……いいな?』







 僕らが言うと、なぜか震えながらコクコクとうなずいてくれた。

 うん、わかり合えるって素晴らしいね。







「……おい、今誰か豆粒とかアリンコとか言ったか?
 つーか怖いぞ、この坊主どもっ!」

「誰も……というか、ためらいなく撃ったわよね!?」

「話に聞く詠唱とか魔法陣もなかったよ!
 えっ、もしかしてこの子、最初の頃のリュウタ以上に危ないっ!?」

「ボクあんなことしてないよっ!?」

「……泣けるでっ!」







 ……なんか、僕を見る目が微妙だけど、気のせいだ。



「み、みんなダメだよ!
 というか……あの、キミは?」



 おぉ、そうだそうだ。大事なことがある。



「初めまして。蒼凪恭文といいます。
 で、こっちが」

《古き鉄、アルトアイゼンです。
 というか……》











「《お願いしますっ! みなさんのサインくださいっ! ファンなんですっ!》」











『…………えぇぇぇぇぇっ!?』



「あ、オレもオレもっ!
 オレ、ガスケット! オレもサインくださいっ!」

「オイラもなんだなっ!」



『えぇぇぇぇぇっ!?』



 なぜにそこまで驚きます?……あ、サインお願いされるの初めてだからかっ!



「いや、そういうことじゃなくて……予想よりかなり小s――」

「ダメだよハナさんっ!
 あの、お願いだから撃たないでっ! サインは後で必ず書くからっ!」



 ……僕に対してどういう認識を持っているのか、小一時間ほど問いただしてやりたい。

 お願いだから、人をそんな危険物みたいに言わないで。



《あなた、自業自得って知ってます?》

「知ってるけど知らない」



 ま、そこはいいか。サインはもらえるみたいだし。



「……いいんだ」



「いいんだよ、オレ達はね」



 良太郎さんにジュンイチさんが答える――腰に差した霊木刀“紅夜叉丸”を抜き放つその姿に、僕らの意識が切り替わる。



「じゃあ、良太郎さん。イマジン一体……ラビットイマジン、お願いできますか?
 僕は……」



 そして見る。あの失礼極まりないタコを。



「アイツをさばいて、酢ダコにしてやりますから。
 あ、少し離れて戦うようにしてくださいね……巻き込むかもしれないんで」

《なんというか、それだけはお願いします。
 みなさんにケガさせてしまっても、責任取れませんから》



 うん、つぶす。しっかりとつぶす。

 大賀温泉郷じゃ誰もツッコまずにいてくれたから、あまりキレずにいられただけで、気にしなくなったワケじゃないんだ。つーか誰がナノミクロンだっ!?



「いや、そんなこと……わ、わかりました。
 ……モモタロス」

「チッ、オレ達だけでもイケんのによ」

「いや、すみません。僕もみなさんのジャマはしないようにがんばりますんで。いつも通りにやってください。
 マスターコンボイはどうする?」

「オレはいい。さっきの一撃で気はすんだ」

「そっか。
 じゃ、残り一体はジュンイチさんにお任せで」

「おぅ」

「みんなはそこで見てていいよ。
 後は、僕と良太郎さんとモモタロスさんとジュンイチさんでやれるから」



 そして、良太郎さんやジュンイチさんと一緒に、イマジンへと向き直る。

 僕とジュンイチさんの間で、良太郎さんはどこからともなく左手であるものを取り出す。

 鈍く輝く、銀色のベルトを。

 僕も、待機状態のアルトを右手に持ち、ジュンイチさんも左手のブレイカーブレスをかまえる。



 さー、いくかっ!



「ち、ちょっと待つです!」

「アンタ達、こんな得体の知れない連中と組むつもり!?
 つーかコイツらもイマジンよね!?」

「あー、いいんだよ。
 お前らはとりあえず黙って見てろ」

「イマジンはイマジンでも、コイツらはいいイマジンなんだな」



 声を上げたティアナとリインを止めてくれたのはガスケットとアームバレットだ。



《お二人の言う通りですよ。
 この方達は“電王”ですから》

「そうそう。みんなの“時”を守ってくれたヒーローだよ?」

「そーゆーコトで、問題なしナシ、もーまんたい♪」



 どういうワケかは知らないけど……いいのよ、楽しくなりそうだしさっ!



「で、電王!?」

「スバル!?
 アンタ、何か気づいたの!?」

「あ、うん……
 あの人達って……」



「……思い出したですよ!
 あの人達、恭文さんのいつも見てるテレビに出てたです!」



「う、うん……そういうこと」

「『そういうこと』ってどういうことよ!?」

「落ちつけ、ティアナ・ランスター。
 どういうことかは見ていればわかる」



 騒いでいる外野はとりあえずほっといて、良太郎さんは例のベルトを腰に巻きつける。

 そして、バックルの赤いボタンを押してから……







「変身」







 右手に持ったパスをバックルにかざす。

 瞬間、音楽と共に、ベルトのシステムボイスが告げる。







《Sword Form》







 モモタロスさんが、光の玉になると良太郎さんの身体の中に飛び込んでいく。

 次いで、良太郎さんの身体を銀と黒、二色のスキンスーツが包む。その周囲を、赤いアーマーを乗せた虹色のレールのようなものが駆け巡る。

 虹色のレールに導かれ、アーマーがスーツに装着されていく。最後に、マスクの真ん中を縦に走るレールのような装飾の上を、後頭部から桃のようなプレートが顔の方まで回り込んでくる。

 それは顔の正面まで来ると、パカッと左右に割れ、仮面となってマスクに固定された。

 これにて変身完了。先ほどと同じように見得を切り、良太郎さん……いや、良太郎さんに憑依したモモタロスさんが叫ぶ!











「……俺、参上っ!」











 ……決定だ。もう決定だ。

 疑いようがない。本当に……電王なんだ……っ!



「……ゴメン、僕……涙が」

《マスター、私……生きていてよかったです。もう……もう……っ!》

「オレ、今日という日を一生の記念にする。絶対する……っ!」

「オーッ! マジ電王だぁーっ!」

「感激なんだなぁーっ!」

「なんだ、お前ら、ホントにオレらのファンだったのか」



 大騒ぎの僕達にそう言いながら、モモタロスさんは腰のベルトにつけてあった四つのパーツ……デンガッシャーを組み合わせていく。



「《はいっ!》」

「おぅっ!」

「たりめーよっ!」

「だなぁっ!」

〔力強く言い切ったね……〕

「そうかそうか。
 なら……ここからどうするかは、わかってんだろうな?」



 デンガッシャーは、パーツの組み合わせで五つの形態へと変形する万能ツール。

 今の電王……ソードフォームでは、その名の通り剣の形態をとる。

 そして、四つのパーツが組み合わさり、ソードモードとなったデンガッシャーの先に赤く、白で縁取られたオーラソードが生まれた。



「もちろんです!」

《この状況で、そうなれない要素などありません》

「てってー的に、叩きつぶすっ!」



 良太郎さんとモモタロスさんは戦闘準備完了。と、ゆーワケで……







「アルト、ジュンイチさん、僕らもいくよっ!
 ……変身!」

《Riese form》



「ブレイク、アァップ!」







 僕らもスタンバイ。いつものように僕とアルトは白と青の騎士甲冑を、ジュンイチさんは青い“装重甲メタル・ブレスト”を身にまとう。



「よし、なら、せっかくだ。
 今日は特別にお前らも入れてやるよ」



 そう言って、モモタロスさんは組み上がったデンガッシャーの切っ先をイマジン達に向け、



「……いいか! オレ達に前フリはいらねぇっ!
 オレ達は……最初から最後まで、クライマックスだぜ!」

『《おぅっ!》』



 モモタロスさんの宣言を合図に、僕らは駆け出した。

 狙うは……赤タコっ!



「行くぜ行くぜ行くぜぇぇぇぇぇっ!」

「さぁ、ブッ飛ばしていくよっ!」

《はいっ!》

「誰にケンカを売ったか、教えてやるぜ!」



 一斉に突っ込む僕らに対して、イマジン側も応戦。一対一×3の戦いに突入する。



 悪いけど、負ける気はしない。

 ついこの間、もっと怖いヤツの体内くぐってきたばっかりなんだ!

 こんなヤツら、僕らはもちろん、いぶき達にだって勝てるもんか! 格の違いを見せてやるっ!







◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「――くしゅんっ!」

「風邪ですか? いっちゃん」

「んー、違うと思うけどなー。熱もないし」



 首をかしげる小夜さんにそう答える――ども。嵐山いぶきです。

 今、ウチには大賀温泉郷の外れ、街に続く山道にいる。

 こないなところで何してるかっちゅうと……



「ふむ〜」



 ぷかぷか浮かんだ小夜さんは、まるで見えない壁を押すように両手を突き出して前に進む。



「んん〜」



 なんや踏ん張っとるけど……あかん。押し戻されて、みっちゃんのところまで飛ばされてくる。



「やっぱりムリですね。
 これ以上先へは進めません」



 小夜さんの言葉に、みっちゃんと二人でため息……やっぱあかんかったか。



「さよかー。
 やっぱり霊脈の強いトコやないとあかんのかなぁ」

「今の姉様は基本的に、龍神様の存在に依存してるからね。
 今、現界できているのも、土地の効果と龍神様を奉ったからだし」







 そう。

 この大賀温泉郷で起きた龍神事件が終わって……やっちゃん達が帰った後、入れ違いでジンくん宛てに届いた荷物(未開封)。

 これを届けに行くんを口実に、まーくん達んトコに遊びに(ついでに“魔法の世界みっどちるだ”っちゅうトコを見物に)行こうと思ったんやけど……そこで問題が発生した。



 一緒にやっちゃんに会いに行こうとした小夜さんが、郷から出られへんことが判明したんよ。



 今の小夜さんの身体は、霊脈から霊力を取り込むことで維持されとるからなー。そのせいで、この郷みたいな霊脈の力の強いトコやないと活動できへん。

 実際、今外に出ようと試してみたけど、郷を包んどる霊力の膜のようなモノに押し返されてまった。

 まぁ、それだけやったら今回は小夜さんに居残ってもらうだけですむ話なんやけど……これがずっと続くとなると、問題になる。



「とはいえ、私がここに居つくのも、問題なんですよねー、しがらみ的に」



 この大賀温泉郷そのものには問題あれへん。

 小夜さんの存在も“そういうもの”として受け入れられとるからな。じゅんさんの相方のぶいくんもよくしてもらっとったしな。



 問題は……郷の外や。



「霞ノ杜神社がなぁー」

「そうなんですよねぇ……
 なっちゃんはうまくごまかしてくれたと思いますけど、あそこの人達のしつこい性格から考えて、絶対確かめに来ますからね」



 ウチのつぶやきを小夜さんが肯定する。



「姉様にそこまで言わせるんだ、霞ノ杜神社……」

「個人的事情とは別に、あそこはタカ派の中でも特に強烈ですからね。
 まぁ、それでも一応理性はありますけど……むむむ」



 …………?



「何かあったん?」

「いえ、古い知り合いを思い出しただけです。
 ……あの人は強烈でしたねぇ」



 ……強烈……



「……小夜さんが言うんやから、“そうとう”やな」

「うん。どんな怪人なんだろう」

「聞こえてますよー」



 しっかり小夜さんからツッコミが返ってきた。







「まぁ、霞ノ杜神社“でも”異質だったというか、あの神社で“やりすぎて破門になった”という時点で、察してください」







 うへぁ……



「通称“殲滅者ジェノサイダー”、鶴城朝香さん。
 妖怪なら有害無害おかまいなし。妖怪に与するものなら人間でも躊躇ちゅうちょなく。
 灘杜神社や龍杜神社ウチのような共存派なら、それだけで“敵”と認識する、最悪の絶滅主義者です。
 今もフリーで現役のはずですから、名前を聞いたら逃げることをオススメします」

「な、なんて物騒な二つ名……」



 みっちゃんの感想には同感。せやけど、今は考えんとく。

 だって、そないな暴風みたいな人が来たら、小夜さんのこと抜きでもやり合うことになるんは確実やし、そん時はそん時や。



「とにかく今は、霞ノ杜神社の調査をどうかわすかや」

「ぜ、絶対来るとは限らないんじゃ……」

「天気予報で言えば九割くらいの降水確率で来ますよ、みなせ」



 霞ノ杜神社の人達は疑い深いですからねー、とも小夜さんは付け加えた。



「まぁ、見えないように隠れているだけでもいいんですけどねー」



 小夜さんはそう言ってのん気にかまえとるけど……そうは言うても、小夜さんかてやっちゃんには会いたいやろうし……



「………………」



 …………みっちゃん。



「『また妙なこと考えてる』って思ったやろ」

「………………」



 あ、目ェそらした。

 失礼やな。ちゃんとしたアイデアやのに。



「あんな……土地の問題はほら、何とかなると思うんよ。
 だって、霊脈言うか龍脈は、この地球上全体に張り巡らされてるみたいなモンやん?」

「まぁ、霊脈の強さを無視すれば、そうだね」

「例えるならメロンの筋の如く」

「……メロンに例えられる意味がわからないよ、いぶき」

「えー? 間違ってへんやろ?」

「いや、間違ってないからこそ、中途半端にタチが悪いというか……」



 むー、みっちゃんワガママ……



「いっちゃんには、何か考えがあるようですね」

「うんっ!」



 小夜さんの言葉にうなずく。

 ふっ、このいっちゃんのナイスアイデア、見せたるわっ!







◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



 ……で。



「何で突然木彫り?」

「それは出来てのお楽しみ〜♪」



 拝殿に戻るなり、いぶきは材木と彫刻刀で木彫りを始めた。

 下に敷いた白い薄紙に、削り節のような木屑が少しずつ積もっていく。



 というか……



「そもそもそんな木材、どこから取ってきたのさ?」

「明さんトコでもらってきたんよ。あそこは材木有り余っとるからねぇ。
 うん、傑作になりそうや」



 満足げにうなずくいぶきの手元を、姉様は興味深げにのぞき込んでいる。



「いっちゃんは、氷細工とかでもイケそうですね」

「あー、それちょっと真知子さんに相談してみよかなぁ」



 答えて、いぶきは作業を続けて……数十分後。







「で」







 ボクは、自分の頬を冷や汗が流れるのを感じていた。



「これ、何?」



 いぶきが彫り上げたのは、手のひらの上に乗るサイズの、龍を模した木像だった。

 もう一度聞くけど……これ、何?



「見ての通り、龍神様や。
 名づけて“携帯龍神様”」

「ありがたやありがたや」



 姉様は本当にありがたそうに手を合わせてるけど……ちょっと待って!



「い、いやいや、いいのコレ? 龍神様、怒ったりしない?
 また大暴れ、とかイヤだよ、ボク!」

「なんで?
 龍神様、偶像崇拝反対派やっけ、小夜さん」

「そういう話は聞きませんねぇ」



 な、ならいいんだけど……というか、



「そもそも、これでいったい、何する気なのさ、いぶき?」

「んっふっふー。せやから、問題を解決させるんやん。
 ほら、小夜さん、ハウス」

「はいなー》



 答えて、姉様は“携帯龍神様”の中に、すぅっ、と溶け込んでいく……って、



「あの、いぶき? 人の姉を犬扱いしないでください」

《わう》

「姉様もノらないでよ!?
 それに龍神様の吼え声じゃないよね、それ!?」

《ぎゃお〜んっ♪》

「そういう問題じゃないって!」



 あぁ、姉様の精神年齢がどんどん退行している気がする……



《でも住み心地も悪くないですよ。
 これなら郷の外にも出られそうです」



 “携帯龍神様”の中から出てきて姉様が言うけど、いいのかなぁ、これ……







「ちなみに裏はスタンプになっとるんよ」

完璧ぱーふぇくとです、いっちゃん!」







「龍神様ーっ!?」



 お願いですから龍神様、これ見て怒らないでーっ!







◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



 ……踏み込む。赤タコは触手を何本も出して、僕を捕らえようとする……けど、無意味だ。

 僕はアルトを抜き放ち、そのすべてを一閃で切り落とすから。



「何っ!?」



 まさか、そうなるとは予想していなかったのか、赤タコが驚く。

 つーかさ……







「驚いてるヒマ、あるの?」







 その言葉に、赤タコがようやくこちらへと振り向く――けど、



「――――っ!?」



 もう、僕はそこにいない。







《Elment-Install.
 “REINFORCE”!》








 振り向いた赤タコの、そのまた後ろに再び回り込んでいるから――帰ってきてから新しくもらったエレメントカートリッジで、アルトに強度補助をかけながら。



 ちなみにコレ、名前つながりで予想つくだろうけどリインの作。僕らが大賀温泉郷に行ってる間に、あずささんに作り方教わったんだとか。







「そんな反応速度でっ!」







 ともあれ、元から頑丈だったのがさらに丈夫になったアルトで、背後から、思い切り袈裟斬りに斬りつける。







「僕にっ! ついてこれるワケっ! ないだろうがっ!」







 左から横薙ぎに一閃。刃を返して右斬り上げ。そのまま大上段にもっていって……唐竹っ!

 連撃を受けて、赤タコが転がる……硬いな。これだけやって斬れない。



「……さっきはよくもミジンコって言ってくれたね」

「そんなこと誰も言ってないだろうが!」

《Stinger Ray》



 再び射撃。今度はヤツの頬を浅く斬り裂いた。

 ふむ……これは通るか。だいたい加減がわかってきたかも。



「気にするな。僕は気にしない。
 ……大丈夫」



 ニッコリと微笑みを向ける……優しく笑ってあげたのに、なぜか怯えた表情を見せている。失礼な。



 ま、それはともかく……







「すぐに酢ダコにしてあげるから」







「ひ……ひぃぃぃぃぃっ!?」



 会話終了。戦闘再開……つぶす。徹底的にだっ!







◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



 放物線じゃない。一直線に空中を駆け、アントホッパーイマジンが吹っ飛んだ。

 積み上がったドラム缶の山を蹴散らしたことで失速して、地面を転がる。

 そこへ、吹っ飛ばした張本人、つまりオレが追撃。背中のゴッドウィングで飛翔。ダイビングボレーシュートばりに腹に蹴りを叩き込み、再びブッ飛ばす。







炎弾丸フレア・ブリッド!」







 さらに炎弾で追撃――けど、直接は当てない。炎弾はオレのコントロールでイマジンの吹っ飛ぶ先に回り込み、カウンターの要領で命中。着弾の衝撃と爆風で、イマジンはオレの目の前まで戻ってくる。



「おい、アホ」

「誰がアホだっ!?」

「お前」



 迷うことなく即答する。



「アントホッパーイマジン、なんて長くてかなわねぇや。
 “ア”ントと“ホ”ッパーでアホ。これでいいじゃねぇか」



 言って、オレはアントホッパーイマジン改めアホへと一歩を踏み出す。



「それより……少しばかり、手ごたえがなさすぎやしませんかね?
 もーちっとがんばらねぇと、あっという間に終わっちまうぞ?」

「くそっ……なめるなぁっ!」



 怒りの咆哮と共に殴りかかってくるけど……遅い。

 頭上に爆天剣を放り上げると左手であっさりと相手の右拳をさばき、炎をまとった右拳を相手の腹に、ショートアッパー気味に叩き込む。

 間髪入れずにバックステップで間合いを調節。思い切りアゴを蹴り上げる――けど、本気の一撃じゃない。吹っ飛ばすスピードはある程度加減している。

 追いついて、追撃するためだ。上空へ飛翔。落ちてきた爆天剣をキャッチしながら吹っ飛ぶアホを追い抜くと、その腹にカウンターの回し蹴り。動きを止めたアホを地面に向けて叩き落とす!



 さぁ……まだまだいくぜ!







◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「オラオラオラぁっ!」



 モモタロスが剣を振るう。いつも通りに、楽しげに、暴れるように。



 けど、あの子……

 オクトパスイマジンをいいように翻弄ほんろうしているあの男の子に意識を向ける。



 魔導師ってやっぱりすごいね。あんなに速く動けるんだ。

 ……というか、やっぱり怖いっ! あの子の殺気で、オクトパスイマジンが完全に怯えてるしっ!



「そーだなっ!
 でも……」



 斬りつけられながらも、ラビットイマジンは反撃を試みる。

 来るのは右の拳――けど、そんなものに当たるモモタロスじゃない。







「あのジジイはっ!」







 イマジンの拳をひょいっと避ける。そして、がら空きの右側面に、左からデンガッシャーを打ち込む。







「もっと速ぇしっ!」







 ひるんだイマジンに向けて、どんどん踏み込み、どんどん斬りつけていく。







「おっかねぇよっ!」







 右から左から、上から下から、そうかと思えば真っ正面――身体を貸してるボクも認識が追いつかない、ムチャクチャだけど勢いのいい、いつも通りのモモタロスの戦い方。

 これで終わりだと言わんばかりの、思い切った一撃。踏み込みと共に突き出した切っ先が、イマジンを吹っ飛ばす。



「つか良太郎。むしろ気をつけなきゃならねぇのはあっちだろ」



 言って、モモタロスが見るのは、炎を操ってアントホッパーイマジンを圧倒しているあの人。



 そうだね……気をつけないとね。



「だろ?
 アイツには借りがあるからな。迷惑になるようなことはやらねぇさ」



 うん、お願いね。



「まぁ、それはともかくだ!」



 言って、モモタロスは再び向かってきたイマジンを斬り飛ばし、







「おい、青坊主! ジュンイチ!」







 そう口にすると、モモタロスは剣をお手玉のように右手から左手に持ち替える。







「必殺技だ!
 バシッと決めるぞ!」







 そうして空いた右手には、いつの間にか黒いパスケース……ライダーパスが握られていた。







◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「はいっ!」

「ようやくかよっ!
 倒さず間を持たせるの、苦労したぜ!」

「はっ、ぬかせ!」



 僕と一緒に答えるジュンイチさんに答えて、モモタロスさんがパスをベルトのバックル部分にかざす。



「特別って言ったからな。知る人ぞ知る、幻の必殺技を見せてやるよ」



 僕もそれを見てアルトを正眼にかまえ、ジュンイチさんも爆天剣を、地面に対して垂直にかまえた状態で目の前に 突き出す。







《Full Charge》







 ベルトからの声。すると、ベルトから赤い電気のようなものがデンガッシャーに走っていく。

 そして……デンガッシャーのオーラソードが真っ赤な輝きに包まれる。







「爆天剣……チャージ!」







 ジュンイチさんがその後に続く。ジュンイチさんの精霊力が炎となって燃え上がり、爆天剣の刃を包み込んでいく。







《Elment-Install.
 “SLASH”!》








 アルトも同じだ。刀身を包むのは、青い魔力の刃。

 ……斬撃強化はぶっちゃけオーバーキルだけど、まぁ、せっかくだしね。憧れのヒーローにちょっとはイイトコ見せたいのよ、うん。



 そして――







「必殺っ! 俺の必殺技っ!」



「鉄輝……っ!」



「紅蓮、両断っ……!」







 そして、僕達はそれぞれの獲物に向けて踏み込む。

 そのまま……思い思いの軌道で一閃っ!











「パートTっ!」







「一閃っ!」







「カラミティ、プロミネンス!」











 赤が二条と青が一条。閃光が僕達の手で生み出され、イマジン達はそれをまともに喰らう。

 ……手応え、あり。

 そうして、僕達の後ろでイマジン達は倒れ、爆発する。うん、楽勝楽勝。



《まぁ……マスターをチビ呼ばわりしたのが、そもそもの間違いかと》



 まったくもってその通りだ。



「よぅ、やるじゃねぇか。
 なかなかだったぜ」

「ありがとうございますっ!」



 あー、ほめられたっ! うれしいよーっ!



〔……モモタロス、キャラ違くない? というか、ちょっと偉そう〕

「うっせぇっ!
 こう……ファンへの態度は、こういうもんだろう?」

〔いや、それも違うから〕



 なんて言いながらも、モモタロスさん……ソードフォームの電王はベルトを外す。すると、変身が解除され、モモタロスさんが良太郎さんの中から出てくる。

 というか……ホントに、テレビで見たそのままだ。エフェクトなんかも込みで。



 ……あ、憑依物とかトリップ物とかの主人公って、こんな気分なのかな?



「後は異世界来訪物とかもだろ……って、そっちはある意味オレがリアル経験者なワケだけど」

「何だよ、ソレ? 意味わかんねぇぞ」

「気にしないでください。
 というか……わからないのはこっちですよ」







 冗談とかファンとしての喜びとかはさておき、電王は創作物の中の存在。良太郎さんやモモタロスさん達も、それは同じ。現実に存在しているはずがない……はずだった。

 けど、良太郎さんもモモタロスさん達も、電王もいた。ついでにザコイマジンも。

 そして、ミッドでは現在、イマジンの仕業と思われる事件が起きている。







 待てマテ。本気でどういうことだよ、コレ!?



「とにかく、そのあたりの事はちゃんと説明します。
 ただ、ひとつ言えるのは……」



 良太郎さんが僕をまっすぐに見て……こう口にした。







「ボクも、モモタロス達も、イマジン達も、電王も……すべて、現実のものです」







◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



 えー、場面は移って機動六課。ここからはあたし、柾木あずさがお送りしまーす♪

 ちなみに現在地は本部隊舎のミーティングルーム。

 主に他所様からの捜査協力依頼があった時に使われる……“レリック事件”では現場に向かう道中でミーティングを済ませちゃうのが主である六課では、本業で使われることがほとんどない不遇の部屋だったりするけど、そこはいい。



 ただ……問題は、この場に呼び集められたメンバーだ。

 あたし達本家六課メンバーだけじゃない。なぜか別部隊所属のはずのヒロリスさんにサリエルさん、ジンくんやカオスプライムまでもがはやてちゃんによって呼び集められた。



 ……ジンくん目当てでレヴィアタンちゃんとかライラちゃんとかメイルちゃんとか、呼ばれていないのに来てるんだけど。クレアちゃんもハルピュイアちゃんも止めてよ。



 あ、恭文くんとティアちゃんとスバル、マスターコンボイにリインちゃん……あと暴走コンビ。このメンバーは別行動ね。

 外回りの最中に銀行強盗捕まえて、その後処理の真っ最中だから。



 ……なお、ウチのお兄ちゃんは数に入れません。基本的にどこにだって現れる人だから。



「それで……部隊長、話というのは?」



 職場モード発動。役職ではやてちゃんを呼ぶのは、さっき戻ってきたフェイトちゃん。

 そして、その言葉にはやてちゃんはこう返した。



「みんなも知っての通り、ここ最近ミッドで妙な事件が起きとる。
 で、その事件の詳細が判明した」



 その言葉に、場は騒然となった。

 だって、その話は一応知ってるけど……まったくの詳細不明。捜査は難航しそうだって話だったのに……



「六課後見人であるリンディ提督経由で回ってきた情報です。
 この事件の犯人に心あたりのある人達から情報提供を受けたとか」



 ……納得。







「それで、その人達が、これからここに来ます」







 …………ほぇ!?

 来るの!? ここに!? その人達が!?

 なんでわざわざ六課に……って、そこは考えるまでもないか。



「六課へ捜査協力……ですね?」

「エリオ、正解や。
 その人達は、今回の一件の専門家。何度も犯人の同類とやり合ってもいて、実力も確かやそうです。
 そういうワケで、みんな……」

「了解しました」

「その人達と協力して、事件を早期に解決します」



 なのはちゃんとアリシアちゃんがお仕事モードでそう返すと、はやてちゃんは満足そうにうなずいてみせる。







 ……あれ? 表情曇った?







 うん。それはもう見事に。頭痛いんじゃないかっていうくらいに。不安になって、声をかける。



「……はやてちゃん、どうしたの?」

「ひょっとして具合悪い?
 シャマルさん」

「わかったわ、ジャックプライム。
 待っててね、はやてちゃん。すぐベッド用意するから」

「あー、大丈夫や。
 いや……その協力者の人達が、ちょう……な」



 えっと……マジで何事? なんでまた頭抱えるの?

 もしかして、協力者のみなさんに何か問題でも?



 いくら犯人の手口が“アイツら”のそれとそっくりだからって、まさか“あの人達”ってことはないはずだし……



「……ヒロリスさん、サリエルさん」

『ほい?』

「あと……なのはちゃんにヴィータとザフィーラ、アリシアちゃんにあずささん、ジャックプライム……で、ジンくん。知っとるかどうかわからんけど、一応カオスプライムにも聞こか。
 あんな……」



 そうして、はやてちゃんは口を開いた。

 そう。これがあたし達にとって……始まりだった。











「……デンライナー署の人達とうまく付き合う方法があったら、教えてくれへんかな?」











『………………はい?』

「いや、せやから、デンライナー署や」



 ……えっと、ひょっとして……“まさか”の予感が大当たり?



 そんな時、ミーティングルームのドアが開いた。

 そうして入ってきたのは――



「ほいほ〜い、失礼するよ」

《只今戻りました》

「協力者の皆様、お届けにあがりました〜♪」



 恭文くんとお兄ちゃん、後に続くのはマスターコンボイにスバル、暴走コンビ……で、やけに疲れてるティアちゃんとリインちゃん。







 そして……えぇっ!?







「おぅ、ジャマするぜーっ!」



 赤鬼に。



「どうも、初めまして」



 青い亀な人。



「今日から世話になるでーっ!」



 金色の熊な人。



「ぅわ、ちっちゃい子もいるんだね!
 ねね、ボク達、いくつ?」

「え、えっと……一応、11歳です」

「ボクもです……」



 近くにいたキャロちゃんやエリオくんに話しかけている、紫色の竜な人。



「えっと……どうも、失礼します……」

「同じく、失礼します」



 続けて入ってきたのは、どこか気弱そうな男の子と、エリオくんやキャロちゃんに近い年頃の女の子。







 って、あの……すっごく見覚えのある人達なんですけど……主にテレビの中で。







「……恭文」

「ん? 何? ジン」

「いや、『何?』じゃねーだろ。
 ……正直に言え。いくら使った?
 いくら好きだからって、これはねーだろ、これはよっ!」

「いや、師匠まで何をいきなり……
 ……あぁ、この人達ですか?」



 恭文くんの言葉に、さっきはやてちゃんに名指しされたメンバーのほぼ全員がうなずく……あ、カオスプライムもうなずいた。やっぱりジンくん経由で知ってたみたいだ。







 けど……







「……みんな」



 ただひとり、あたしだけは違った。ひとつの確信と共に、みんなに声をかける。



「この人達……本物だよ」

「いや、だから本物の着ぐ……」

「そうじゃないの、ヒロリスさん。
 少なくとも……」







「モモくん達、肉体がない」







 あたし達の生まれ育った第108管理外世界には魔法技術はない。

 けど、それは“管理世界の魔法技術がない”ってだけ。それに類する技術は独自の発達を見せているし、気や霊力を使った技術も、程度の差はあれ社会に広く浸透している。

 でも、デバイスみたいな便利なものはないから、制御とかは自分でやるしかなくて……それにはサーチ関係も含まれる。



 つまり、何が言いたいかって言うと……あたし達の世界の上位の術者、少なくともあたし達レベルくらいのレベルになれば、ドラゴンボールのZ戦士のみなさんみたく、相手の力を感じ取ることができるようになる。お兄ちゃん達が日頃からやっているみたいに。



 その感覚が言っている。

 この人達に肉体はない。実体化はしてるけど、それは生命体としての身体じゃない……と。



「恭文くん。
 “本物”……なんだよね?」

「はい。
 “本物”の電王なんですよ。野上良太郎さんにハナさん。
 モモタロスさんにウラタロスさん。キンタロスさんにリュウタロスさん。
 というか……」

《ついさっき、“本物”のイマジンと交戦してきました。
 良太郎さんも、電王に変身しました》



 恭文くんとアルトアイゼンがそう言った瞬間、空気が凍りついた。うん、ピシリといい感じに。

 まぁ、気持ちはわかるよ。あたしも、“実感”しちゃった分ワケがわからない。







 どうして、架空の存在である電王が実在してるの?

 そして……







 その実在してる電王が、どうして機動六課に現れちゃうのかなっ!?







(第2話に続く)





◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



次回、とコ電っ!



「そこまでよっ!」

「……よくもやってくれたな……」



「気づいてねぇのか、恭文?」

「だから何が?」



「僕のよく知っている人が、そう言ってました」



「僕達にはコミュニケーションが必要だと思うんですよ」





第2話「ミッド・デンライナー署、始動っ!」





「変身」

《Altair Form》





◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



あとがき



Mコンボイ「さて、『とまと』電王クロス編、その『とまコン』バージョンとなる新シリーズ、いよいよスタートだな」

オメガ《ですね。
 『とある魔導師と守護者と時の電車と仮面の戦士達』。略して『とコ電』です》



(『“と”ある魔導師と守護者(=“コ”ンボイ)と時の“電”車と仮面の戦士達』の略です)



Mコンボイ「今回はモリビト自ら略称を決めたんだな。
 『とま休』は読者の感想の中で略称が定着するのを待っていたというのに」

オメガ《その理由は次回予告にあり、ですね。
 昨今の平成ライダーの次回予告では最初に『次回、仮面ライダー○○!』とタイトルコールを入れるじゃないですか。
 それにちなんで、タイトルコールを入れるべく、さっさと略称を入れてしまった、と……》

Mコンボイ「なるほどな……
 だが……これはこれで語呂が悪いな」

オメガ《それ、本家『とまと』の方でもミスタ・コルタタ様やミスタ・恭文が悩んでましたね。
 とりあえずウチではこれでいく、ということで……正式タイトルをフルに読み上げるよりはマシだろう、ということで納得していただければ》

Mコンボイ「……今までどおりの予告で通す、という案はなかったのか?
 『MS』から通してきたショートコント予告までここに来て途切れてしまったじゃないか」

オメガ《そこはライダーへのリスペクトゆえと思っておきましょうか。
 ……さて、そんなこんなで、そろそろお開きの時間ですね。
 みなさん、今回も読んでくださって、本当にありがとうございました。
 新シリーズも、応援よろしくお願いします》

Mコンボイ「次回も必ず読むがいい」





(おしまい)







◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「あ、ところではやてちゃん」

「ん? あずささん、どないしたんですか?」

「さっきの質問だけど。
 『デンライナー署のみんなとの付き合い方』」

「何かあるんですか?」

「うん。
 ………………あきらめようか、いろいろと」

「何をですかっ!?」





(今度こそおしまい)





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