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頂き物の小説
第40話「人間、誰だってその気になれば空なんて簡単に飛べる……と思いたい」



「おー、いたいた」



 その日、訓練もお仕事も無事終了。今日はなのは達隊長陣も交えての晩ご飯……というところで、突然ジュンイチさんがやってきた。



 で……一体誰をお探しですかな? 誰でもいいから、用があるなら適当に連れてってくださいな………………僕以外で。



「自分は含まないんだ……」

「だって、ジュンイチさんの持ってくる話なんてほぼ100%厄介ごとじゃないのさ。
 そんなの、いちいち相手してらんないよ。スバル達の経験値の肥やしにした方がまだ有意義でしょ」

「………………お前が日頃からオレのことをどう思ってるか、今ハッキリと確信したからな」



 メイルに答えた僕の言葉に、ジュンイチさんがジト目でそんなことを言ってくる……はっはっはっ、一体何を言っているのやら。



「僕がどうこう、じゃなくて、そんなの全世界の共通見解でしょうが。
 ね? なのは」

「ちょっ、そこで私に振るのっ!?」

「ほほぉ……そうかそうか。そんなに答えづらいか、なのは。
 ………………シャマルから模擬戦許可出たら覚えとけ」

「さりげに危険なフラグが立った!?」



 まぁ、それはともかくとして、マジメに話を戻しましょ。

 で? ジュンイチさんは誰に用だったのさ?



「あぁ。
 まずは……マスターコンボイ」

「ん? オレか?」

「そ。お前。
 ここ最近、いろんなことがあってバタバタしてたけど、それもようやく落ち着いてきたんでな……そろそろ、お前の飛行訓練とか始めようと思ってな」

「飛行訓練、だと……?」

「………………お前、自分が年明けにランク試験控えてるのを忘れてないか?」

「失礼な。ちゃんと覚えているぞ。
 AAAランクの試験だろう?」

「分類は?」

「………………あ」



 ジュンイチさんの指摘にマスターコンボイが止まる……で、僕らは納得した。







 そっか……マスターコンボイ、僕と同じく空戦でAAAランク試験受けるんだったね。



 でも……マスターコンボイの今のボディでは空は飛べない。飛行システムを積んでないから。



 だから、飛ぼうと思ったら飛行魔法で飛ぶ必要がある。



 そのための訓練をしなくちゃなー、って話があったんだったよね。すっかり忘れてたよ。







「はやてからも許可を取りつけた。明日からしばらくはその訓練に専念していいってさ」

「む。そうか」

「でも……マスターコンボイって飛行魔法の適性は大丈夫なの?
 飛べてた前のボディも、カイザーマスターコンボイに合体してる時も、機体の飛行システムで飛んでたのよね? それで飛べてたからって飛行魔法の適性がなくちゃ……」



 まぁ……ティアナの心配する気持ちはわからないでもないかな。飛行魔法ってその人の能力の中でも才能的な部分にかなり左右されるし。







 ………………けどね、ティアナ。考えが甘いよ。

 あのジュンイチさんが、そんな簡単なことを見落とすはずがない。適性があればよし。仮に適性がなくても、それをどうにかする手段を引っさげて、その上でこういう話を持ってきてるに決まってる。







「さすが。恭文はわかってらっしゃる♪
 つか、空戦で試験にエントリーしてるんだから、適性があろうがなかろうが、今となっては飛んでもらうしかないんだけどな」



 おーおー、言い切ったねぇ。まあ、その通りなんだけど。



「と、いうワケで、マスターコンボイには是が非でも飛んでもらう。
 異論は一切認めないのでそのつもりで」

「フンッ、望むところだ」

「マスターコンボイさんもやる気だね。
 これは私も教え甲斐がありそうだよ」



 ジュンイチさんとマスターコンボイの会話に乱入してくる横馬だけど――







「残念ながら、お前がマスターコンボイを教えることはないよ」







「え………………?」







 ジュンイチさんにあっさりダメ出しされて、横馬の動きが止まった。



 そのまま、ぎぎぎぃっ、とでも擬音がつきそうな感じでジュンイチさんへと視線を向ける……まぁ、ジュンイチさんがこうやってもったいつけて何かを言い出した時は、たいていロクでもないことだしね。



「えっと……ジュンイチさん。
 それは一体、どういう意味でしょうか……?」

「恭文に聞かれてマスターコンボイに声かけた時、『まずは』って言ったよな。
 オレが探してたのは、マスターコンボイだけじゃなかった……そういうことだよ。
 まぁ、つまり、どういうことかっつーと……」





















「お前らの、訓練による一時離脱許可も取り付けてきた。
 ちょうどいいから、お前らも修行だ」











 ………………ご愁傷様。











とある魔導師と機動六課の日常×魔法少女リリカルなのは〜Master strikerS〜



とある魔導師と守護者と機動六課の日常



第40話「人間、誰だってその気になれば空なんて簡単に飛べる……と思いたい」







◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



 ………………と、いうやり取りがあったのが昨夜のこと。



 「オラとっとと準備してこいやぁっ!」となのは達のケツを蹴っ飛ばし、一晩で準備させてやってきたのは……











「ここが……ジュンイチさん達の生まれた世界なんですか?」

「あぁ、そうだよ。
 まぁ、ここは地下だから、どんなところかってのはまだ実感してもらえないだろうけど……うっぷ」



 あー、気持ち悪……やっぱ転送は何度やっても慣れねぇな。どうしても転送酔いしちまうわ。



 で、なのはのセリフの通り、ここはオレ達の生まれた第108管理外世界。修行参加メンバーの内、こっちで修行するメンツだけを引き連れて、ここ、地下空洞内に設置してある転送ポートに降り立って……オレが転送酔いでひどい目にあってる、というのが現在の状況。



 ちなみにこっちで修行するのは、なのは、フェイト、シグナム、ヴィータ……スターズ、ライトニング両分隊の隊長格・人間組御一同。

 アリシアとあずさはこれからなのは達がすることになる修行をすでにクリアしてることもあって、スバル達の修行を見てもらうために六課に居残りだ。



「相変わらず、陰気臭いところにポート置いてるよなー、お前ら」

「ヴィータは来たことがあるの?」

「私達は“擬装の一族ディスガイザー事件”の時にこの世界に一時期滞在しているからな。
 その時の転送も、ここのポートを使ったんだ」



 とかヴィータやフェイト、シグナムが話してるけど……うん。ゴメン、いぢったりボケたりする余裕もない。



「だ、大丈夫ですか? ジュンイチさん。
 なんか、すごく苦しそうですけど……」

「気にするな。
 ただのひどい転送酔いだから……」

「『ひどい』がついてる時点で大丈夫じゃないんじゃ……」



 フェイト……最近ツッコミ的確だよな。ヤスフミやイクトとのコミュニケーションの成果か?



「や、ヤスフミやイクトさんは関係ないじゃないですかっ!
 二人は、その、えっと……」

「はいはい、ごちそうさま……うっぷ」



 あー、ヤバ。コンディション的に余裕ないのに余計なボケツッコミはやるもんじゃないね。



「でも……なんでこんな洞窟の中に転送ポートを?」

「やっぱり、魔法とかが秘密だからじゃないかな?」



 オレを支えてくれながら首をかしげるなのはにフェイトが答えてるけど……うん、それもあるけど一番の理由は違ったりする。



 と、いうワケで……



「二人とも……回れ右」

『はい……?』



 オレに言われて、二人はようやく気づいたみたいだ。自分達が今、地下空洞の“出口に向かって立っていることに”。



 なので、二人はそろって振り向いて……



『えぇっ!?』



 声をそろえておどろくワケですよ。



 だって……











 一面に広がる地下空洞のド真ん中に、ウルトラマンの特装チーム基地も真っ青な感じにメカニカルなSF系巨大建造物がデンと建っているんだから。











「驚いたか? 驚いたろ?
 この瞬間のためだけに、ポートの転送設定、ここの出口側を向いて転送されるように設定してんだから、驚いてくれなきゃむしろ仕込んだ甲斐がないんだよねー」

「大人げないよなー」

「見事に私情でポートを管理してるな」



 えぇいっ、ヴィータもシグナムも黙ってろ。だいたいお前らだって初めてきた時に驚いたクチじゃねぇかよ。



 ……とか言ってる間になのはが再起動したみたいだ。チッ、シグナム達が余計な茶々入れるからコイツらのバカ面堪能し損なったじゃねぇか。



「じ、ジュンイチさん、あの建造物は、一体……?」

「オレ達が10年前の“瘴魔大戦”で使ってた基地さ。
 名前はそのまんま“ブレイカーベース”」

「というか……」



 と、こっちはフェイトだ。ブレイカーベースを……というか、そのブレイカーベースすらすっぽりと収まるほどの大きさの地下空洞を見渡して、



「これだけの地下空洞があるのに、あんな中央にポツンと建てる理由はあったんですか?」

「おぅ。二つほどな。
 まず、当時は“Bネット”もなくて、オレ達ブレイカーズの初期メンバー5人だけがサポートできればよかった。だからこの空洞をフル活用するような大きさはいらなかった。
 そして二つ目は……アレだ」



 言って、オレは地下空洞の天井を指さした。つられてなのは達も見上げて……今度こそ正真正銘、そこに広がる光景に圧倒された。



 そこに見えるのはこの地下空洞を明るく照らす照明ではない……というか、そもそもそんなものは天井には設置していない。照明を設置してあるのは地上からブレイカーベースをライトアップしている分だけだ。



 地下空洞の天井全体を、ビッシリと巨大な木の根が走っているんだ。それが土を巻き込み、支える形で、この地下空洞の天井は固定されている。



 そして……その木の根、大きく走るメインの根が緑色に発光している。その光が、この地下空洞を照らす明かりの正体。



「な、何なんですか? アレ」

「あの木の根の主が宿す精霊力さ」



 そう……あの木の根を張り巡らせている木は、ただの木ではない。

 屋久島の縄文杉も真っ青と言われる樹齢を誇るバカでっかい御神木なのだ。

 “神籬ひもろぎ”、つまり神が宿る器とされているだけあって、その精霊力もハンパじゃない。

 なんでも、かの東京大空襲の時もその力場のおかげで爆撃をものともしなかったとか何とか……その真偽はともかく、少なくとも御神木の周りに逃げてきた人達が誰ひとり死なずに助かったのは確からしい。



 そんなすさまじい精霊力が根からこの地下空洞にもれ出していて……



「その精霊力を取り込んで、ブレイカーベースの動力にしてるってワケだ。
 そんな事情もあってね。空間一杯に基地作って御神木の根を工事に巻き込むワケにはいかなかったし、精霊力を過剰に取り過ぎないように、ベース周辺の空間を放出される精霊力を溜め込むエネルギープールとして利用してるんだ。
 ちなみに発光してるのは、10年前の“瘴魔大戦”でいろいろあった結果、御神木の精霊力がそれまでよりもさらに活性化した結果だ。最初は発光してなかったんだよね」



 オレがそうなのはとフェイトに説明した、ちょうどその時だった。







「ジュンイチぃーっ! みんなぁーっ!」







 声がした。振り向くと……見た目20代後半くらいの女の人がひとり、こっちに向けて駆けてくる。







 ……そう。『見た目』だ。実際はもっともっと年上のはずなのに、外見的にはそんな感じは一切感じない。



 ………………リンディさんといい桃子さんといいクイントさんといい、オレの周りって外見と実年齢が一致してない女の人だらけな気g











「だらっしゃぁぁぁぁぁっ!」



「どわぁっ!?」











 間合いに入ると同時に飛び蹴りをかましてきたのであわててかわす……いきなり何っ!?







「いや、なんか女性に対する永遠のタブー、年齢について考察してる気がしたから」



「なぜわかった!?
 つか、口に出してないんだからいいだろ!? 考えるだけでもダメなのかよっ!?」







『ダメ』







 なのは達も含めた女性陣全員にうなずかれた。くそっ、オレひとりだけ悪者かい。



 まぁ……最初からこの人に勝てるとは思ってないんだけど。伊達にオレ達の“母親”はやってないんだ、この人も。











 そう……母親。



 この人こそがオレの実の母親、柾木霞澄……なんだけど……











「つか、なんでブレイカーベースにいるのさ?
 それに、まるで狙いすましたみたいなタイミングで出てきたけど」

「だって、狙いすましてたから」







 ………………ナンデスト?







「だって、なのはちゃん達も連れてくるって言ってたじゃない。母親としてはぜひお出迎えに……ってね?」

「って、それこそ余計なお世話だろ。
 オレ達みんな、迎えとか必要な歳じゃないんだからさぁ」

「何を言ってるのっ!
 母親として……」











「息子が未来の嫁を連れて帰ってくるのを出迎えないワケにはいかないでしょうっ!」



「4人中二人はすでに人妻なんだけどねぇ!?」











 アホなことを言い出した我が母に、間髪入れずにツッコミを入れる。



「なんのっ! まだ二人残って――」

「フェイトは恭文とイクトが売約済みだろうが」

「ジュンイチさんっ! 『売約済み』って何ぃーっ!?」



 フェイトが顔を真っ赤にして反論してるけど……うん、とりあえずオレにとっては確定事項なので却下。



「で、なのははヴィヴィオの相手で手一杯。色恋なんぞやってる余裕なさそうだしなぁ。
 ほら、オレが手を出せる相手なんかいないだろ?」

「フッ、その心配はないわ」



 オレの言葉になのはがなぜか背後で崩れ落ちたみたいだけど……そんななのはをスッパリ無視して母さんは胸を張る。

 えっと……イヤな予感しかしないけど一応聞くぞ。



「それは何故に?」

「略奪愛上等バッチコイ」

「それやるのオレなんですけどねぇっ!?
 息子にインモラルな恋愛やらせようとすんじゃねぇよっ! 恭文や恭也さんに斬られるのヤだぜ、オレ!
 だいたいっ! 『バッチコイ』なんて言ったら自分も対象に入るんだけどっ!?」

「イヤン♪ いくら私が『現役美少女女子中学生だ』って言っても信じられそうなくらい若くて美人だからって、母親まで手篭めにしようなんて、ジュンイチのき・ち・く♪」

「ツッコみどころが多すぎてどこからツッコんだらいいかわかんねぇよっ!」

「あ、でもでも、私は別にかまわないわよ?
 龍牙さんと親子丼3Pっていうのも……うん、いいわね♪」

「ぅがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」



 だぁぁぁぁぁっ! ダメだこの人っ! 年がら年中365日24時間脳内ペガサス幻想ファンタジーなピンク脳に何言ってもまったくぜんぜん通じねぇぇぇぇぇっ!



「えー? 我が息子ながらイイ男なんだから、プレイボーイ気取ったって悪くないと思うんだけどなー?
 ね? なのはちゃんやシグナムちゃんもそう思うでしょ?」

「え? えぇっ!?」

「わ、私達ですかっ!?」



 って、そこでなのははともかく前世の嫁さん・記憶付きシグナムにまで話振るかよっ!?



「わ、私は……今の私は知佳と共に恭也の妻である身。
 二人以外の者に身体を許すつもりはありません」



 ………………ホッ。シグナムが身持ちの硬いヤツで助かっt



「で……どうなの? ヴィータちゃん」

「あぁ、未だ未練タラタラですね。
 今でも何かの弾みでジュンイチにひっつかれると顔真っ赤にしてフリーズしますから。
 まぁ、恭也や知佳もあたしらのその辺の事情は理解して、受け入れた上で結婚してますし、『そんなシグナムだから可愛い』ってのろけてくれやがるんで、問題はないんですけど」

「ヴィータぁぁぁぁぁっ!?」



 ………………え? ヴィータ、それマヂ?



「そんなことはないっ!」

「……とシグナム本人は証言してっぞ。
 ダメだぞー、ヴィータ。母さんにそのテのウソついたら果てしなく暴走するんだから」



 力強く否定したシグナムの言葉を援護してやると、なぜか全員そろってため息をついてくれた。シグナムまで失礼な。







「………………って、母さんとンなバカ話するために帰ってきたんじゃないんだ。
 母さん、頼んでおいた手配、済ませておいてくれた?」

「んー、何分急な話だったからねー。
 とりあえず、他にも使う予定が入っちゃってるけど、共同利用って形で大丈夫?」

「大丈夫大丈夫。
 そんなに広いスペースは使わないから」



 オレの言葉に、あっさりエロマザーモードを解除して母さんが答える……うん、そこでポカンとしてるなのは達。この切り換えの速さについてこれないとこの人とはやっていけないぞー。

 “JS事件”中はこの人も六課にいたんだし、その辺はもう慣れたと思ってたけど……



「あの……ジュンイチさん。
 一体何の話ですか?」

「当然、修行の話だよ?」



 ようやく再起動したなのはに答える……そう。母さんには、今回の修行に使う修行場の確保をお願いしてたのだ。



「もう場所は開けてもらってるし、行けばすぐにでも始められるわよ」

「うい、りょーかい。
 んじゃ……さっそく行くかっ!」



 とまぁ……そんな感じのやり取りを経て、オレ達はようやく修行場への移動を始めるのだった……







◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「えー、それじゃ、なのは達が不在の間はあたしがみんなの訓練を総括します。
 事件があったらなのは達のいない分がんばらなきゃいけないから、そんなに体力的に厳しいメニューはやらないから、とりあえずは安心してね」



 一方、こちらはミッドチルダの機動六課。

 整列した僕やマスターコンボイ、スバル達……そしてなぜか参加してるこなた達やガイア・サイバトロン組を前にして、あずささんをとなりに控えさせたアリシアがそう切り出した。



「その前に……ひとついいか?」



 そんな中、手を挙げて口を開いたのはマスターコンボイ……うん。なんとなく、言いたいことはわかる。



「なぜオレは六課こっちなんだ?
 柾木ジュンイチはオレに飛行訓練を課すつもりだったんだろう?」

「あぁ、それは……」







「あたし達が教えるからよ」







 言って現れたのはライカさん。傍らにはジーナさんもいる。



「ライ姉が教えてくれるの?」

「まぁ……あたしも一応教官資格は持ってるからね……“Bネット”のだけど」



 スバルに答えたライカさんの言葉で思い出す……そっか。ライカさんって“Bネット”では教導隊の所属なんでしたっけ。組織こそ違うだけでなのはと同じ仕事してるんですよね。



「そういうこと。
 ったく、アイツ、あたし達にサリちゃんに関する調査が終わった後も六課に残らせてたのはこのためだったのね……」



 あー、確かにありそうだ。あの人、厄介ごとは絶対他の人には回さないけど、逆に他の人がやっても害はないようなことは遠慮も何もなく押し付けるからなー。



「恭文は言える立場じゃないと思うけど……まぁ、いいわ。
 とにかく、マスターコンボイの飛行訓練はあたしが見てあげる。これでも空戦タイプだからね」

「でもライカさん、わたし達の魔法わかるんですか?」



 なんか失礼なことを言ってるライカさんにキャロが尋ねる……まぁ、普通は気になるポイントだよね。だって、魔法についてはまるっきり門外漢のライカさんが魔導師トランスフォーマーなマスターコンボイに飛び方を教えようって言うんだから。

 ただ……うん、僕はなんとなくわかった。ジュンイチさんがどうしてライカさんにマスターコンボイの飛行訓練を任せたのか。



 つまり……



「マスターコンボイには、飛行魔法じゃなくて……自分達の飛び方を教えるつもりなんじゃないですか?」

『えぇっ!?』

「あー、さすがに恭文はわかっちゃったか」

「えぇ、まぁ」



 スバル達は驚いてるけど、ライカさんは僕が気づいても驚いてない感じ……僕なら気づくだろうって見透かされてるみたいでなんか悔しい。



「で、でも、マスターコンボイさんが使うのは魔法なのに……」

「何言ってるのさ、スバル。
 元々マスターコンボイがマスターメガトロンだった頃は魔法じゃなくて、飛行システムで飛んでたんでしょ?
 それに……」



 スバルに答えて、僕は人さし指をピッ、と立てて、一番重要な理由を口にした。



「これから先、AMFが効きまくった場所での戦闘が多くなっていくだろうって時に、飛行魔法にばっかり頼ってられないでしょうが」

『あ………………』

「まぁ……恭文が今言ったのが一番大きな理由ね。
 魔力の運用が阻害されるAMF環境下では、飛行魔法は著しく制限される……魔法がすべてじゃないっていうのは、スバル達もこの間の完全キャンセル訓練でよくわかったでしょう?」



 ライカさんの言葉に、スバル達がうなずく。まぁ……あの訓練はホントに悲喜こもごもだったからなぁ……



「もちろん、魔法至上主義の管理局に所属してる身でそーゆースキルを使うのは、いろいろとフェアじゃないんだけど……この先魔法だけじゃ絶対に立ち行かなくなるからね。戦闘技術でカバーって言っても限度があるんだし。
 なので……」





















「“みんなには”魔法以外の力で飛ぶ方法を覚えてもらおうかな、と」





















 ………………



 …………



 ……







『えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!?』







 ライカさんの言葉に、僕ら全員の声が見事にハモる……いきなり何言い出してるのこの人っ!?







◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



 さて、なのは達を引き連れて、“Bネット”の長距離チャーター便に乗り込んで、やってきました、ガンダムファンにとっての修行の聖地メッカギアナ高地。

 うっそうと生い茂るジャングルの中にある“Bネット”の訓練場……ようやく修行の現場に到着である。



「ここで……訓練ですか……?」

「ん。ここで修行」



 なのはに答えたオレの言葉に、フェイト達は不思議そうに周囲を見回す……まぁ、気持ちはわかる。



 オレ達が今いるのは、でっかい湖のド真ん中に浮かぶ小島……その端っこの浜辺。

 湖のほとりの“Bネット”所有の飛行場に降り立ち、ここまでボートで運んでもらって現在に至るんだけど……うん。みんな見事なくらいに状況を理解できてないね。



 模擬戦の痕跡も何もない、プライベートビーチと言われても納得できてしまいそうなその砂浜で、一体何の修行をするのかと、みんなあからさまに困惑してる……まぁ、修行内容を未だに教えてないオレが一番の原因なんだけど。







「こんなところで、一体何すんだよ?
 まさか遠泳訓練とか言うんじゃねぇだろうな? 水着なんか持って着てねぇぞ」

「まぁ……身体が資本な職業だし、それもいいかなと思うんだけどねー」



 ヴィータの言葉に苦笑して、オレが見るのはそれを実行した場合の“最大の懸念”――



「若干一名、天才的な運動音痴がいるからな。
 訓練の度にライフセーヴィングするのはお兄さんイヤです」

『あー……』

「なんでみんなそこで私を見るんですかーっ!?」



 言い切るオレ、納得するフェイト達になのはが抗議の声を上げる……けど、



「蜃気楼、説明してやr

「いや、やっぱりいいです!
 そういえばもう何年海とかプールとか行ってないだろうとか思ったけど、それが原因だなんてきっと気のせいですからっ!」

《しかし、なのは嬢の学校の水泳の授業記録では25m以上を泳いだ記録が存在いたしません》

「イヤァァァァァァァァァァッ!」



 止めるなのはの言葉に聞く耳もたず、あっさりバラしたのは久々の出番となる我がパートナーデバイス、蜃気楼。うん、アルトアイゼンや金剛達に負けず劣らずイイ性格してるよね、コイツも。







「まぁ、バカやるのはこのくらいにして……いよいよ修行を始めるぞ」







 気を取り直して告げたオレの言葉に、なのは達の表情が引き締まる……なんか気合入ってるねオイ。



 ……あ、そーいや、シグナム達も含めて、コイツらがオレから一方的に教わる立場になるのって何気に初めてなんじゃないか? そりゃ緊張もするか。







 ただ……そんなに気合を入れられても困るんだけどね、こっちとしては。







「お前らにやってもらうことはたったひとつ」



 誰かが……位置からしてたぶんなのはかヴィータのどっちかがゴクリとノドを鳴らしたのが聞こえた。



「それは……」





















「ここから飛んで帰ること」





















 ………………



 …………



 ……







『…………………………はい?』







 おーおー、イイ感じに固まったねー。



 でも、まぁ……ホントにそれだけのメニューなんだからしょうがない。







「あの……ジュンイチさん?」







 案の定、早速上がる疑問の声……ん。何かな? なのはくん。



「それだけ……ですか?」

「ん。それだけ」



 なのはに答えて、オレは湖面を隔てた向こう側、湖のほとりを指さした。



 そこには、来る時にも立ち寄った、この訓練場の管理センターがあって……



「あの管理センターまで、自力で飛んで帰ること。
 それが、今回のお前らの修行の課題だ」

「………………それだけ?」

「そ。それだけ」



 改めて確認してくるヴィータにもあっさりとうなずく。



「そんな程度じゃ、私達には訓練になんかならないんだけど……」



 首をかしげながらも、とりあえずはやってみることにしたらしい。なのはがレイジングハートを手にとって――







「ただし」







 オレが付け加えると同時、なのはの手のひらの上からレイジングハートが消えた。



 どこに消えたかっつーと……







「デバイスを使わずに……だ」







 そうなのはに宣告する、オレの手の上に。







「デバイスを使わず……つまり、飛行魔法を自分の制御だけでコントロールしろ……と?」

「そ。
 ほら、お前らもデバイス出せ。修行の間は預かっとく」



 フェイトに答えて、残りの面々のデバイスも回収……と思ったんだけど、



「………………シグナム」

「許せ。レヴァンティンは我が半身だぶっ!?」

「ンなカッコイイ発言は守りきってから言いやがれ」



 案の定渋ったのがシグナム……けど、オレの手から守ろうとわざわざ両手で握りしめたのは失敗だよ。守りを固めたつもりなんだろうけど、狙いどころバレバレな上に両手がふさがってるからスキだらけ。

 なので、迷わず脳天にゲンコツ一発。意識のそれた一瞬で彼女の手から待機状態のレヴァンティンを奪い取る。



「そんなことしなくても、インチキなんかしないのに……」

「お前らがしなくてもデバイスどもがやりかねないんだよ。
 そろいもそろってマスター至上主義だからな、コイツら」



 頭を抱えて痛がるシグナムに同情の視線を向けるフェイトに答えて、オレは手の中の待機状態のデバイス達に視線を落とす。

 デバイスのあり方としては正解なんだろうけど、今回はコイツらの手出しは明らかに修行のジャマにしかならない。とりあえずなくさないように、彼らを用意しておいた保管ケースにしまう。



「返してほしかったら、修行のクリアあるのみだ。
 ほれ、わかったらとっとと飛んだ飛んだ」

「よぅし、そういうことならっ!」



 オレの言葉にいの一番に前に出たのはやはりなのはだ。飛ぶこと自体が大好きみたいだし、ただ飛べばいいって言われて自信満々だ。



「見ててよ、この程度のハードルで、あたしが飛べなくなると思ったら大間違いだよ!」



 言って、なのはが魔法陣を展開して――



「まぁ……飛べはするだろうな。飛べは」

「え………………?」



 ポツリ、とつぶやいたオレの言葉になのはが反応した、次の瞬間、











「ぅひゃぁっ!?」



 マヌケな悲鳴と共になのはの姿が消えた。











「えぇっ!? なのは!?」

「ど、どこに!?」



 あわててなのはの姿を探すフェイトやヴィータのとなりで、シグナムだけは冷静に“上を見上げている”……さすが、日頃からフェイトとガチで模擬戦してるだけあって、“今の急加速も見えた”みたいだ。



 なので……オレはフェイトとヴィータの前で頭上を指さしてやる。つられて二人も空を見上げて――







『なのは!?』







 そう。そこになのはがいた。

 ただし――











 まったく姿勢を維持できず、メチャクチャに振り回される醜態をさらしながら。











 某超有名クイズ番組『タイムショック』の名物罰ゲーム“トルネードスピン”があるだろ? ちょうどあんな感じ。方向性もカケラもないメチャクチャな回転運動に振り回されながら、なのははオレ達の視線の先でどんどん高度を落としていき――











 ひぅぅぅぅぅ……ぽちゃんっ。











『なのはぁ――――――っ!?』



 水中に没した。







「待ってて、なのは! 今すぐ助けにいくから!」



 そんななのはの姿に真っ先に動いたのは、さすがというか親友たるフェイトだった。言って、飛行魔法を発動させながら地を蹴って――











「ひゃぅっ!?」



 今度はフェイトがアホな悲鳴と共に姿を消した。











「またっ!?」



 さっきにならってヴィータが頭上を見上げるけど……残念ながら今度はそっちじゃない。







「ぶぎゃっ!?」







 決して恭文やイクトには聞かせられないようなつぶれた悲鳴が響いた……あー、ありゃ水面に顔面ぶつけたな。

 さっきのなのはと同じくメチャクチャに回転しながら“真正面にブッ飛んだフェイトが”、そのスピードゆえに湖面を跳ねながら飛んでいき――あ、ようやく沈んだ。



「おーおー、見事な水切りだねー」

「って、何冷静にコメントしてやがるかっ!」



 つぶやいたオレの頭に、我に返ったヴィータが“ジャンピング”ハリセンアタック――恭文もだけど、身長低いのは大変だよな。



「やかましいっ! 背の話はするなっ! 馬鹿弟子ほどじゃねぇけどあたしも気にしてんだよっ!
 ……って、そうじゃなくて、何なんだよ、アレ!? なんで空戦のプロのあの二人があんな風にブッ飛んでんだよ!?」







「デバイスがないからか」







 そうつぶやいたのはオレじゃなくてシグナム――さすがに気づいたか。「おっぱい魔人(神)」だの「ニート侍」だの「劣化の将」だの言われてても、一応このメンツの中じゃ一番の実戦経験者としまだしな。



「今すぐそこに直れっ!
 レヴァンティンがなくとも、我が魂に賭けて貴様を斬るっ!」

「ほほぉ、デバイスなしの接敵距離でオレに勝てるとでも思ってんのかよ?」

「挑発に乗るなシグナム! 話が進まねぇ!」



 シグナムのせいで脱線しかけた話をヴィータが軌道修正……うんうん、持つべきものは愛すべきイノシシロリータだね。



「アイゼン! 今すぐ戻ってこいっ!
 このバカぜってーブッつぶすっ!」

「落ち着けヴィータ! 話が進まんっ!」



 ………………つくづく似た者親子(前世)だよな、お前ら。







「まぁ、いい加減マジメに話すと、だ……シグナムの指摘でだいたい正解だ」

「………………デバイスがないから……ってことか?」

「ん」



 深呼吸して落ち着いた上で尋ねるヴィータにうなずく。



「簡単に言うと、力加減が利いてないんだよ。
 お前ら、いつもは魔法の制御の大半をデバイスに依存してるだろ? そのためのデバイスなんだし、そのこと自体を悪いとは言わないけど……お前らの場合ちょっと頼りすぎ。
 そのせいで、細かい制御ができないんだよ。いつもデバイスに任せっきりでいたから」

「ンなことねぇだろ。
 なのはを見てみろよ。シュートコントロールとかすんげぇ細けぇんだぞ」

「そういうことではない。
 柾木が言っているのはもっと根本――魔法の術式そのものの制御の話だ」



 オレの説明にシグナムが助け舟を出してくれる。さすが、いの一番に気づいただけあって理解も早いな。



「車のオートドライブに例えるとわかりやすいか?
 お前らは言わば、目的地とルートを指定してるだけ。速度のコントロールとか発進、停車とかはシステムの仕事だ。なのはも、その指定をお前らより細かくできるっていうだけで、その基本ラインは変わらない。
 そんなシステムに慣れきったところで、いきなりオートドライブのついてないノーマルカーを運転しろ、なんて言われて……ちゃんと運転できると思うか?」

「あー……」



 ようやくヴィータも理解したみたいだ。ものすごく微妙な感じで顔が引きつっている。



「ま、そういうことだ。
 その上アイツら、いつもいつも手加減知らずの全力全開だからなー。いつもはレイジングハートやバルディッシュがその辺をフォローしてくれていたからよかったけど、その手助けがない状況で、いつもみたく思いっきり飛んだりしたもんだから……」

「あーなった、と……」

「言ってみれば、ジェットエンジン積んだ乗用車に乗った普通免許のドライバーが、いきなりアクセル全開で発進したようなもんだからなー」

「それはいいが……」



 ヴィータと話すオレ達に向けて、シグナムが口を開いた……どしたよ?



「テスタロッサ達を助けに行かなくていいのか?」

「そ、そうだっ! 早く引き上げてやらねぇとっ!」

「あー、いらねぇいらねぇ。
 ……あ、来た来た」



 尋ねるシグナムの言葉にヴィータがあわてるけど……うん、心配ない。

 なぜなら……ちょうど、目を回して水面をプカプカ漂っていたなのはがすぐ近くの浜辺に流れ着いたからだ。

 少しして、フェイトも同様に流れ着いてくる。



「ここの湖、鈴香さん以下“水”属性のブレイカーのみなさんが効果永続タイプの精霊術をかけてくれていてね、常に上向き、内向きに水流が発生してるんだ。
 そうすることで、あぁやって飛行中に水中に墜落した輩はこうして内側の浜辺にお持ち帰りしてもらえるんだよ。
 ちなみに、水難救助用の精霊術をベースにした術だからおぼれることに対するケアも万全。墜落した際に水がぶ飲みしたっておぼれたりはしないから安心しろ」



 オレがそう説明している間に、なのはが目を覚ました。何が起きたのかわかってないのか、キョロキョロと辺りを見回している。



「……で、今のでわかってもらえたと思うけど、お前らの今回の課題は飛行よりもお前ら自身の魔法の制御能力の向上だ。
 『魔導師は魔法なければただの人』とは言うけど、同じようにデバイスの有無も生命線の水準を大きく左右するからな。デバイスなしでも、ある程度は自分達の“力”をコントロールできるようになっておくのは必要なことだ」



 実際、コイツら“JS事件”の地上本部攻防戦で、セキュリティの都合上デバイスをスバル達に預けてあったおかげで二手三手と後手に回ってるからな……その反省も踏まえて、この修行をやっておく価値は絶対にある。



「と、ゆーワケで残り二人もさっさと飛んだ飛んだ。
 でもって落ちた落ちた」

「落ちるの前提かよ!?」

「トータルの戦闘スキルはどんぐりの背比べだけど、飛行技術だけにしぼって見ればお前らよりも今流れ着いた漂着物ふたりの方が上だからな。
 その漂着物ふたりでコレじゃ、お前らがどういう末路をたどるか、想像するまでもないだろ」

「うぅっ、なんだか失礼なルビの振り方されてる気がする……」



 ヴィータの言葉に、なのはが上着の裾を着たまま絞りながらうめく……チッ、なぜわかった。



「まぁ、時間はタップリある。
 後はアレコレ試行錯誤しながらやってみな」



 言って、オレはフワリと宙に浮き上がり、



「オレは、ゴール地点で待たせてもらうからさ♪」

「えっ!? ち、ちょっと、ジュンイチ!?」

「コツとか教えてくれないんですか!?」



 言って、飛び去ろうとしたオレに、ヴィータとフェイトが声を上げる――なので、オレも正直に答えてやる。



「………………ガンバ♪」

「『ガンバ♪』じゃねぇぇぇぇぇっ!」



 サムズアップして笑顔で告げるオレに、ヴィータが流れ着いていた流木の欠片を投げつけてくる――もちろんかわすけど。



「ま、意識のみでの“力”のコントロールなんて感覚的な問題だ。教えたからってできるもんじゃねぇよ。
 とにかくやってみて、自分達なりの感覚ってヤツをつかむんだな。じゃ♪」



 これ以上ここにいたらまた何か投げつけられそうだ。早々に退散することにして、オレはなのは達の元を離れて管理センターに向かう。







 まぁ……アイツらなら、さすがに今日中はムリでもそう時間はかからないだろ。せいぜい死に物狂いで学ぶことだね。











 ………………というか、学んでおかないと後で泣くのはお前らなんだけど。



 だって……











 “力”のコントロールの修行は、今ごろスバル達も始めてるはずだから。



 教え子の方が上手くなって、プライドへし折られても知らないよ?







◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「あ、あたし達もですか!?」

「そ。
 アンタ達にも、飛び方教えてやってくれって言われてんのよ、ジュンイチから」



 唐突に明かされた事実……自分達も飛び方を教わることになってると知って驚くティアナに対して、明かした張本人であるライカさんはごくあっさりとうなずいてみせた。



 まぁ……理由はなんとなくわかるけど。



「だってさ……元々飛行適性のある恭文とこなたはともかく、ティアナだってジェットガンナーとゴッドオンすれば飛べるでしょ?」

「え? あ、はい……」

「スバル、それからここにはいないけどギンガにはウィングロードがある」

「はい」

「エリオはストラーダを使えば空戦ができるし、キャロには言うまでもなくフリードがいる。
 かがみ達も、単独では飛べないけど、カイゼルライナーまで合体すれば空が飛べる」

『はい』

「つまり……六課フォワードにカイザーズ、全員が全員、空中で空間戦闘をする機会があるってこと。
 空で戦わなきゃならないんだもの。飛び方習って何が悪いってのよ?
 あ、今の方法がダメって言ってるワケじゃないわよ? ただ、相手の土俵に立ってみるのも、相手の手を読む上で貴重な情報になってくるって話」

「空を飛んでくる相手に対抗するために、相手がどういう飛び方をしているかを学ぶ……ということですか?」

「ん。
 さすが、みゆきちゃんは理解が早いわ」

「えっと……じゃあ、僕らは?」

「ついで」



 あ、「ついで」で片づけられたライオコンボイが凹んだ。







「………………と、まぁ、今言ったのはあたし個人の意見なんだけどね」







 ……って、え?

 今のがライカさんの私的な意見って……じゃあ、ジュンイチさんの意図は別にあるとか?



「そう。
 ジュンイチとしては、空を飛べるようになることよりも、その修行の過程でやる、自分達の“力”のコントロールの方をむしろ身につけてもらいたいらしいのよ。
 何しろ、あたし達の飛行スキルはデバイスのような補助ツールに頼ることなく、自分の制御だけでやるからね。極論になるけど、アンタ達魔導師の飛行魔法よりも技術としての難度は上なのよ」



 あー、それはなんとなくわかる。



 僕も、一度興味があってアルトの補助なしに飛行魔法を使ってみたことがあるんだけど……うん、すごく大変だったのを覚えてる。



《そうですよ。その大変な制御をいつも私はやってるんですよ。
 私のありがたみがよくわかるでしょう。さぁ敬いなさい》

「はいはい。感謝してます。
 アルト様、ありがとー」

《何か込められた感情が足りない気もしますけど……まぁいいでしょう。
 つまり……ライカさん。ジュンイチさんとしては、あなた達の飛行スキルを学ぶことで、自分達の“力”のより精密な運用を学んでほしいと考えている……と?》

「ま、そういうことね」



 なるほど。デバイスに頼らなくてもそこまでの制御ができるようになれば、デバイスへの負担がグッと減らせる。そしてその余裕の分だけ、さらにいろんなことができるようになるってことか……



「まぁ、そうやってできた余裕分で何をやるかもよく考える必要はあるんだけどね。
 それで使いもしないスキルをゲットしても意味がないワケで……って……」



 僕に答えたライカさんの言葉が止まる……僕らよりも後ろを見ているようなので振り向いてみると、







「聞いたぞ、お前ら。
 なんか、ジュンイチ達の飛び方を教わるんだって?」

「何アンタ達だけでおもしろそうなこと始めてるのよ?
 あたし達もまぜてくれてもいいじゃないの」







 あぁ、ヒロさん……と、サムダックさんちのサリが帰ってようやく呼び方の問題から解放されたサリさん。



「うっさいよ、お前っ!」

「えっと……それを聞いた上でお二人が来たってことは……」

「そういうことよ、ライカちゃん。
 あたし達もそっちのスキルには興味があったからねー。見に来ちゃった♪」



 いや、『見に来ちゃった♪』って……ヒロさん。



“ん?”

“そんなこと言って、頼んであるアレとかコレとか、ちゃんとやってくれてるんですか?”



 そう。

 イクトさんの発案で始まり、先日マスターコンボイも参加してきたアレコレには、ヒロさんサリさんも関わってる……具体的には、実物の製作とかその辺を中心に。



 で……どうなんですか?



“あぁ、問題なしなし。ちゃんとやってるわよー”

“というか……やっさん達に試作品を一度使ってみてほしいからさ、とりあえず作業は一時ストップだ。
 で、さっそくやっさん達を捕まえようと探してたら……”

“この話を聞いた、と”



 まぁ……やることやってくれているなら、僕も文句はありませんけどね。



「じゃあ……この件に関してはお二人も教わる側ってことでいいんですね?」

「あぁ。
 よろしく頼むな、ライカちゃん」

「あっと言う間に覚えて、格の違いってヤツを見せてあげるわよ!」



 ぅわー、なんか二人とも興味津々って感じだね。



 まぁ……僕もちょっとだけワクワクしてるけど。



 やっぱり、今まで知らなかった新しいことに触れるっていうのは、いろいろと楽しみなものがあるよね。



「じゃあ、さっそく始めましょうか。
 とは言え……精霊力をいきなり出せって言われてもムリがあるからね。みんなはそこまで求めません……というか、別に使う力は精霊力じゃなくても飛べるからね。
 みんなには精霊力を構成する魔力以外の二つの“力”――気と霊力の内、気の方を引き出して、制御することで飛んでもらうわね」

『はいっ!』







◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



 ………………ん?

 なんだ、もうこんな時間か。



 もうそろそろ夕暮れ時。空が夕焼けで赤く染まり、少しずつ暗くなってきたのに気づいて、オレは手を止めて顔を上げた。







 そろそろ、なのは達に今日の修行をやめさせないとな……ヘタにストップかけずにいたら、そのまま夜間飛行の修行に突入しそうだ。



「あーあー、たぶん未だに飛んで落ちてを繰り返してるはずの4人、応答しろーい」

“うっせぇなっ! 大きなお世話だっ!”



 念話で連絡を取ってみたら、いの一番にヴィータがかみついてきた。それだけ元気があればまだ大丈夫だね。



“大丈夫じゃないですよぉ……
 もう全身ずぶぬれなんですから”

「ぬれたくないなら落ちなきゃいい。簡単な話だ」



 すっかり元気のなくなっているなのはのグチを一蹴して、とりあえず本題に入る。



「で……そろそろやめにしとけ。
 これ以上の飛行修行はいくら安全対策してあるって言っても危険だからな。
 それに使った魔力も回復させなきゃならない。今日はもう終わりだ」

“うぅっ、やっと帰れる……”

“早く戻ってゆっくり風呂につかりたいものだ”



 オレの言葉にフェイトやシグナムが何か言ってるけど……うん。



「はぁ? 何言ってるの。
 オレは『こっちに帰ってきたら修行終わり』って言ったでしょうが。連れて帰ってきたりしたら終了条件満たしちゃうじゃないのさ」

““………………へ?””



 念話の向こうで、みんながイイ感じに思考停止したのがわかる。

 うーん、きっと今ごろ四人そろってマヌケ面さらしてんだろうなー。現場にいないのが悔やまれるよ。



“………………えっと、ジュンイチさん?
 それじゃあ、私達今夜は……”



 恐る恐るなのはが尋ねてくる……ので、笑顔で答える。







「お前らだって、サバイバル訓練受けてるだろ?」

“野宿確定ぃ――――っ!?”







 ヴィータが思いっきり絶叫してる……いや、確かにいきなりそんなこと言われても困るのはわかるんだけどさ。



「まぁ、その辺も修行の一環だ。
 装備がない分も、魔法でいろいろやってみて代用してみな。それもまた“力”のコントロールの修行ってことで。
 安心しろ。果物や食える草やらあるし、さんざん落ちて知ってるだろうけど水中には魚もいっぱいいる。食い物には不自由してないから、その島」

“うぅっ、がんばります……”



 なのはが力なく答えるのを聞いて、オレは念話を終え…………っと、大事なことを言うのを忘れてた。



 ブレイカーベースで母さんが言ってた。この訓練場、今“他にも使ってる連中がいる”って。

 そのことをなのはに伝えておかないと。



「あー、連絡事項がもうひとつ。
 今その島、夜は“Bネットウチ”の機動部隊の三番隊が夜戦演習で使ってるから。奥の方に入って殺されたり捕縛されたりしないように気をつけてなー」

““バカぁぁぁぁぁっ!””







◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「むぅ…………っ!」



 マスターコンボイさんみたいなうめき声がついついもれちゃうけど、正直気にしてる余裕はない。集中しなくちゃ……



 “力”の流れを思い描いて、それを自分に重ねるイメージ……



 そんなあたしの胸の前で軽く合わされた手の間に“力”が集中していく。少しして、それはあたしの手の中で光の玉になって現れる……けど、



「はいダメー。
 それ魔力ね」

「あぅ……」



 ライ姉の言葉に思わずがっくりきちゃう。

 ダメだなー。どうしてもいつもの要領で魔力を引っぱり出してきちゃう。



 ティアやこなた達も似たような感じ。うーん、なかなかうまくいかないなー。



 ヒロリスさんやサリエルさん達はどうだろ……



「………………ぅがぁーっ! どーして魔力が出てくんのよっ!」

「落ち着けヒロ! オレだって同じだっ!」

「アンタと一緒にすんじゃないわよっ!」

「それはそれで失礼だぞオイっ!」



 …………ダメみたい。



「お前らはまだいいじゃん。
 “気”でも魔力でもいいから引っ張り出すことができてるんだからさ」

「オレ達なんて、魔法すら使えないんだから……」

「つか、トランスフォーマーのオイラ達って、そもそもその“気”ってヤツを持ってるのかなぁ……?」

「はいはい。文句ばっかり言ってないで集中する」



 ガイア・サイバトロンのみんなも苦戦気味だ。うまくいかなくて文句を言ってるチータスやブレイク、ラットルがエアラザーに叱られてる。



 メイルとライラは……



「………………あー、もうっ! どーして魔力が出てきちゃうのっ!?」

「落ち着いてください、メイル」



 なんか、メイルがヒロリスさんみたいなキレ方してる……



「んー、みんな見事なまでに予想通りなところでつまずいてるわねー。
 魔力を使うことに慣れすぎちゃってて、ついついそっちを引っ張りだしちゃうのよね。あたし達も最初は精霊力しか出力できなかったからよくわかるわ、それ」



 ライ姉達もそうだったんだ……



「そーよ。
 特にあたし達ブレイカーやイクト達瘴魔神将は、転生によって精霊力を扱う感覚を刷り込まれてるからね。
 本能レベルでやってることだから、そこから感覚を修正していくのは並大抵のことじゃなかったわよ」

「で……ライカちゃん、何かコツみたいなものないのか?」



 苦笑するライ姉にサリエルさんがヒロリスさんをなだめながら尋ねるけど……



「んー、そうは言われても、あたしに言えることは最初に全部言っちゃいましたから……」

「えっと……自分の中に流れをイメージして、それを出力したいところに誘導していく感じ……だっけ?」

「えぇ。
 まぁ、あくまで『あたしはそうやってイメージしてる』ってだけの話だから、みんなもそれでできるかどうかは、ちょっと自信ないんですけど……」

「実際、あたしはやり方が違いますしね。
 あたしの場合は……ほら、手とかに意識を集中させると、なんかうっすらとしびれみたいなものを感じるじゃないですか。あれを手の平にどんどん重ねていくようなイメージでやるとうまくいくんですよ」



 サリエルさんに答えるライ姉に、あず姉が便乗して答えていて――







「恭文くんっ!?」

「なぎさんっ!?」







 え? つかさ、キャロ、恭文がどうしたって……











 …………まさかっ!?







◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



 うーん、どうしよう……







 なんか、できちゃったっぽい。







 今、僕の手の中では、いつも発揮してる青い魔力とは違う、金色に光る光球が輝いてる。



 ライカさんの言う通りなら、これが僕の“気”ってことになるんだろうけど……











「………………なんか、ドラゴンボールな気分かも」

《あなた、みんなに先駆けて成功しておいて出てくるセリフがそれですか?》



 いや、だって、ねぇ……







「恭文、できたのっ!?」

「ぅわぁっ!?」







 す、スバルっ!? いきなり顔出さないで……って!?







「あぁぁぁぁぁっ! 今ので消えたぁぁぁぁぁっ!?」

「えぇっ!?」

「ちょっ、スバル、何してんの!?
 私まだ見てなかったのにっ!」

「ご、ごめん、こなたーっ!」



 いや、こなたに謝る前に僕に謝れーっ! せっかくうまくいってたのにーっ!



「まぁ、これはこれでちょうどいいわ。やり直してもらえば最初から流れを再確認できるもの。
 恭文、ちょっともう一回やってみてくれる?」

「あ、はい……」



 ライカさんに言われて、僕は軽く息をつくと両手を胸の前に持っていく。







 身体から力を抜く――リラックスして、呼吸を整えて集中する。







 自分の中に存在する流れ……手に、足に、順に流れて循環しているそれを感じ取って、その流れが変化していく様子を頭の中に思い描く。



 例えるなら、波紋の広がりの逆再生と言えるかも。両腕を通じて手の先に周りから波が殺到していく感じで、自分の中の何かを集めていく――







 しばらくして、ポゥ……って音を立てて、僕の手の中にさっき作った光の弾が出来上がる。







 えっと……どうですか?



「うんうん。上出来。
 それが恭文の“気”よ。やるじゃないの」

「やっさん、こーゆーのはホント器用だよなー」

「ちょっと、どうやったのか教えなさいよ」







 感心するライカさんやサリさんよそに、かがみが詰め寄ってくる。えっと……







 どう説明したものかと考えていたら、終業のチャイム……あ、訓練時間終わりだ。



「残念。今日はもう終わりね。
 じゃ、続きはまた明日ってことで」

「ち、ちょっと待ってください、ライカさん!
 せめて、コイツからコツを聞くくらいは!」

「そのくらいなら晩ご飯の片手間にでもできるでしょ。
 はいはい、今はまず撤収撤収」



 ………………ライカさん、それは僕に晩ご飯はこっちで食べていけと?



「そうしなさい。
 というか……」



 ライカさんの言いたいことはなんとなくわかる。

 だって……



「コツを聞きたくてうずうずしてるその子達を突き放す根性があるなら、止めないけど」



 スバル達……逃がしてくれそうにないよね、うん。







◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆











「………………なのはー、歩けるか?」

「うん、大丈夫……」

「テスタロッサは……?」

「私は、十分休めましたから……」



 交わされる声はみんなテンションが低い……まぁ、みんなクタクタだもんね。



 ジュンイチさんに訓練場の小島に取り残されてから一晩が明けて……というか……はい。一気に時間は跳んで二日目の夕方。



 とりあえず、なんとかジュンイチさんから二日目終了を言い渡される前に全員クリア。

 まず、フェイトちゃんがなんとか岸まで飛んでいくのに成功して、つぎに私が……うん、とりあえず、外側の浜辺の足がつくくらいのところに着水できた。

 そして、シグナムさんがクリアして………………うん、ヴィータちゃん。



「あん?」

「最後顔面からヘッドスライディングしてゴールしたのは、ジュンイチさんには内緒にしといてあげるね」

「おー、頼む……」



 うん、なんかすっごくコメディちっくな光景だったから。ジュンイチさんが知ったらネタにすること間違いなしだよ。







 どちらにせよ……うん。あの小島で二泊、なんてことにならなくて本当によかったよ。



 昨夜はさんざんだったもんね。夜戦訓練してる人達がハデに立ち回ってたもんだから、流れ弾を気にして一晩中気を張り詰めっぱなしだったし。







 とにかく、ジュンイチさんを探して全員クリアしたって報告しないと……







「………………む。
 あそこだ」







 見つけたのはシグナムさんだった。指さした先――管理センターのロビーにジュンイチさんの姿があった。



 あの人にしては珍しく、私達に気づいてないみたいだ。うつむいて何かをしてるみたいだけど、アレって……







◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



 あー、ごめんなさい。また時間が跳んでさらに翌日。訓練三日目です。



「さて……恭文のアドバイスのおかげで、昨日のうちにみんな“気”を引き出せる段階まで行けたワケだけど、正直な話、ここからが本番よ」



 今日も元気に訓練開始。整列した僕らを前に、ライカさんがそう切り出した。



「じゃあ、いよいよその“気”をコントロールする段階。
 まずは簡単なところで、“気”を放出しての射撃、いってみようか」

「あぁ、ちょっと待って」



 そう言ったところで、僕がライカさんを止める……うん、だって、気づいたから。



 だから……振り向いて、声をかける。



「おかえり。
 もっとのんびり帰ってくると思ってたけど、早かったね……」











「フェイト、師匠、シグナムさん」











「うん、ただいま、ヤスフミ」

「今帰ったぞー」

「留守中、変わりはなかったか?」

「あの、恭文くん、私は……?」



 そう、フェイト達だ……昨日、「訓練をクリアした」って連絡があったから、今日中には戻ってくると思ってたけど……まさか朝一番で戻ってくるとは。



 スバル達もそんなフェイト達に気づいて、一気に表情を明るくして……すぐに“それ”に気づいてその笑顔が引きつった。







 まぁ、ムリもないよね。



 だって、師匠がズルズルと引きずって持ってきたのは……







「あのー……ヴィータ副隊長?」

「ん? 何だ、ティアナ?」

「なんで……ズタボロのジュンイチさんが簀巻きにされて引きずられてるんでしょうか……?」

「人が死に物狂いで飛んでる間、のん気にモンハンやってやがったバカへの仕置きだ」







 ………………何してんのさ、ジュンイチさん。







◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「久しいな、エイミィ・ハラオウン。
 “擬装の一族ディスガイザー事件”以来か?」

「んー、たぶん」



 驚いた。



 だって……六課で恭文くんやフェイトちゃんとドタバタしてるはずのイクトさんが、いきなり訪ねてきたんだから。



 でも……ジュンイチくんならいないよ? 今ごろ自分達の世界で……



「知っている。
 だからこそ、再三道に迷いながらも来たんだからな」



 え………………?



 つまり……ジュンイチくんが目的じゃないってこと……? じゃあ……何の用で?



「少し……話をさせてもらいたい」





















「万蟲姫と……な」





















(第41話へ続く)







◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



次回予告っ!

霞澄「あ、そういえば」

ジュンイチ「ん? どーした?」

霞澄「いや、その内マックスフリゲートにお邪魔しなくちゃ、って。
 “JS事件”が終わってからちっとも顔出してないし……メガーヌちゃんと久々にエロについて熱く語り合わなくっちゃ」

恭文「………………お願いですから、他のみんなのいる前で面会しないでくださいね……」

ジュンイチ「二人の会話、マヂで教育上よろしくないからさ……」





第41話「出番がないのが不幸な人がいる 出番がないのが(周りにとって)幸せな人もいる」





◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



あとがき



オメガ《……さて、今回は新章突入編なんですけど……とりあえずまだ一話目なせいか平和そのものな感じで修行話だった第40話です》

Mコンボイ「というか……オレのための飛行訓練の話だったはずが、オレがまったく目立てていないんだが」

オメガ《話の流れの中に見事なまでに埋没しましたからねー。
 ………………本当に主人公のひとりなんですか? ボス。
 最近ミスタ・恭文よりも目立ててないじゃないですか》

Mコンボイ「やかましいわっ!」

オメガ《もっと目立たせてやりたいと思っているのに、その性格のせいで積極的に話に絡んでこなくて困ってる、って作者もグチってましたよ。
 まったく、作者を困らせるなんてひどいキャラクターもいたものですね》

Mコンボイ「一番アイツを困らせているのは完全に制御不能な感じで突っ走っている柾木ジュンイチだと思うんだが……」

オメガ《まぁ、それは否定しませんけど。
 まぁ、だからと言って、ボスが主人公のクセにちっとも目立とうとしてくれないという点が変わることはないんですけど》

Mコンボイ「ぐっ…………」

オメガ《……さて、そんなこんなで、そろそろお開きの時間ですね。
 みなさん、今回も読んでくださって、本当にありがとうございました》

Mコンボイ「次回も必ず読むがいい」





(おしまい)






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