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小説(魔法少女リリカルなのは:二次小説)
第26話 『クリスマスは25日が本番であり、24日は普通の日のはずなんだ。カップルがイチャつく必要はないんだ』



・・・僕、なんで飲み屋でイブ過ごしてんだろ。くそ、はやての飲酒を防げなかったのは、失敗だった。

つか、僕とリインが揃ってトイレ行ってる間に注文して飲んでたんだもん。どうしろっていうのさ。





ま、そこはともかく・・・だね。











「・・・ほら、はやて。隊舎付いたよ?」

「うにゅ・・・」



とりあえず、はやてを背中に背負う。というか、手伝ってもらう。・・・手配したタクシーの運転手さんに。



「・・・しかし、手のかかる彼女だねぇ。よっと」

「そうですね。ホントに・・・」



運転手さんの言葉には、軽く返しておく。居酒屋でサリさんを見送ってから、僕はタクシーで六課隊舎に来た。

まだ、誰も目を覚ましてないような時間だ。風紀的には問題は・・・ないはず。だって、見ようによっては朝帰りだし。



「えっと・・・料金は払いましたよね?」

「えぇ、いただきましたよ。後は大丈夫ですか?」

「大丈夫です。あの、ありがとうございました」



はやてを背負い、手荷物を持ちながら、タクシーを見送る。・・・さて、どうするこれ? いや、八神家メンバーに引き渡すしか無いんだけどさ。



≪しかし・・・どうしましょうか≫

「うーん・・・」



そのまま、隊員寮を目指して、歩きながら考える。これ、キツいよね・・・。はやては振り切ったみたいなこと言ってたけど、全くだよね?



≪全くですよ。ただ・・・マスターが下手な発言も出来ませんしね≫

「僕、我慢した人間だしね。最悪、嫌みか皮肉にしか取られないよ」

≪そうですね・・・。やはり、サリさんですか≫

「巻き込める人間、他に居ないしね・・・。あと、ヴェロッサさんにも話を聞かないと」





そう、この話を知らせていい人間は、かなり限られるのだ。

例えば八神家やカリムさんやシャッハさん。絶対に今の段階で教える訳にはいかない。そんなことしたら、血の雨が降る。

ヒロさんも同じくだな。・・・どうなるか分かったもんじゃない。昨日は早々にリインと帰ってもらったから、詳しいとこまで知らないのが救いだ。

リインも同じく、僕が耳を塞いだから、色々あったとしか認識出来てないはず。ここからバレる心配は・・・。



・・・あれ、おかしいな。どーして現状で敵しか居ないのっ!?





「・・・アルト」

≪はい?≫

「試験に・・・集中したいな」

≪それでいいですよ。どっちにしても、即座に解決は無理でしょう。というか・・・≫

≪「そんな暇、あるかどうかわかんないし」≫










・・・この決断が、非常に甘いものだと思い知らされることになるのは・・・お約束だよね?




















魔法少女リリカルなのはStrikerS  外伝


とある魔導師と機動六課の日常


第26話 『クリスマスは25日が本番であり、24日は普通の日のはずなんだ。カップルがイチャつく必要はないんだ』




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



・・・ちかれた。というか、眠い。





「恭文、大丈夫?」

「うん・・・。いや、何て言うか、密度の濃いクリスマスイブだった」





八神家にあの寝坊助タヌキを届けたあと、僕は・・・エリオ様のお部屋に転がり込んだ。で、さっきまで寝てた。二時間ほどの仮眠だけど。



時刻は朝の7時。既に陽が登りきってたりします。なお、今日は普通に仕事です。なお、制服姿です。ここに来る前に家に寄ってもらったから。

ま、回収するものも制服以外にあったしね。





「つかアンタ、本命ほったらかしてなにしてんのよ」

「そうだよっ! 地球だと、いい雰囲気の日なんでしょ?」



なお、ミッドではクリスマスの風習は、さほど一般的ではない。最近、市井の方々にも知られるようになった感じ。



「そんなせっかくのチャンスを、リイン曹長とのデートに使うなんてっ!!」

「言わないで・・・」



うぅ、フェイトとの素敵なイブが・・・。いや、特に約束してなかったけど。行けるかどうかも分かんなかったし。



「でもなぎさん、フェイトさんちょっと怒ってたよ?」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・エ?」

「うん、朝・・・というか、さっき通りすがりに挨拶したら、不機嫌だったね」

≪マスター、ちゃんと謝ってくださいよ?≫

「いや、なにに対してっ!?」



まてまて。約束すっぽかしたとかなら、わかる。でも、そうじゃないんだよ? ・・・どーいうことっ!?



「アンタ、本気で覚えないの? ・・・これだから男は」

「なぎさん、追い詰められる前に白状した方が、傷は浅いよ?」

「そうだよ。フェイトさんは執務官なんだし、簡単に王手だよ」

「恭文、正直になろうよ。大丈夫、誠心誠意謝れば、きっとフェイトさんだって分かってくれるよ」

「きゅくきゅくっ!!」

「はい、みんなで僕が悪いのは間違い無しって体で話進めるのはやめようねっ!? というかっ! 本気でなにもしてないからっ!!」



・・・ま、まさかすずかさんのことっ!? 僕が妙なフラグ踏んだのがバレたとかっ!!

いや、違うな。それがフェイトに伝わる理由が・・・。つか、怒る要素・・・アルカモ。



「・・・ヤスフミ」



凄いタイムリーな感じで聞こえて来たのは、僕のよく知る声。そちらを見ると・・・うん、怒ってる時の顔だ。



「ちょっと、話があるんだ。聞いてくれるかな」

「・・・拒否権って」

「無いよ」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・うん、そうだよね。分かってた」































◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「・・・つまり、昨日帰って来れなかったのは、あのおチビちゃんの恒例の不幸に巻き込まれたからだと」

「そ、そうです・・・。いや、やっさんもはた迷惑な」

「で、それに乗じて、私とは似てもにつかないあのミニマム体型な部隊長と楽しくお酒を飲んでたと」



・・・やっぱ怒ってるね。というか、そういう言い方をすると、俺がひどいやつみたいだけど、そうじゃないからね? 俺、被害者だから。



「恋人放り出して美女と飲むお酒は、さぞかし楽しかったし、美味しかったでしょうね」

「いや、楽しくは・・・」



無かったぞ? うん、むしろ大変だった。そして、美味しくもなかった。そんな余裕なかったし。



「楽しかったのよね? そして、美味しかった」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ハイ、タノシカッタデス。ソシテ、オイシカッタデス」



知ってる? 真実って、恐怖の前では容易くねじ曲がるんだ。もっと言うと、視線とか。



「じゃあ・・・これから、もっと楽しいこと、しましょうか」

「そう言って爪を出すはやめろ・・・いえ、やめてくださいっ! それは本気で危ないですからっ!!」

「さぁ、ショータイムね♪」

「へ、へるぷみー!!」










ちくしょー! なんで俺だけがこんな目にっ!? やっさんっ! 本気で恨むからなっ!!




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「誰が不幸を感じさせるほどに哀れなチビだってっ!?」

「誰もそんなこと言ってないよっ! というか、いきなりどうしたのっ!?」

「いや、今誰かが・・・」



うん、感じた。妙なプレッシャーを。



「・・・とにかく、昨日、なにしてたのかな」



・・・ごめん、恨まれても困る。僕も全く同じだから。現在、取調室で詰問を受けています。というか、受け始めました。



「えっと・・・リインとヒロさんから聞いてない?」

「途中で、どうしてもやることが出来たんだよね。だから、サリさんも呼んで、付き合ってもらった」

「うんうん。こう、僕達にしか出来ないことがね」

「・・・はやてと一晩明かすことが?」



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・え?



「私、今日たまたま早起きしてね。見たんだ。ヤスフミが、はやてをおぶってここに帰ってくるところ」



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・マジですか。気をつけてたのに。



「どうして、はぐらかそうとしたの? どうして・・・話してくれなかったのかな」



フェイトの表情に、悲しみの色が差す。なんでそこまでと言わんばかりに。



「・・・ごめん」

「謝る前に、話して欲しい。皆にも内緒にしてるよね。・・・そういうことなの?」



そういう・・・。えぇっ!?



「違うよっ! どうしてそうなるのっ!?」

「・・・イブの夜を、女の子と一晩過ごした。それだけで充分だよ」



あ、納得・・・って、んなわけあるかっ! つーかフェイトは大事なこと忘れてるしっ!!



「サリさんも一緒だったんだよっ!?」

「じゃあ、どうして二人だけで帰ってきたの? おかしいよね」



・・・その言葉で、僕は覚悟を決めた。フェイトは誤解しかけている。このままだと・・・なのだ。もう、隠しておけない。



「ヤスフミ、お願い。ちゃんと・・・話して?」

「・・・分かった。ちゃんと説明する」



全部は話せないけど・・・このまま誤解されるってのは、嫌だしね。



「えっと、はやてから、プライベートな相談事を受けたの。でも、それが相当重い話っぽくて・・・。リインに聞かせられるような話じゃなかったんだよ。
その上、はやてが酔っぱらちゃって・・・」



それで、ヒロさん達を呼んで、リインだけは返そうとしたけど、サリさんも嬉しいことに、それ付き合ってくれた。

それで、そのまま三人で居酒屋でそれ関連で一晩話をしていた。・・・と、話した。



「・・・サリさんは?」

「えっと、そのまま自宅。ほら、今日は一日休み取ってたでしょ?」

「あ、そうだよね。その、同棲されてる方と、クリスマスを過ごすって」



・・・なーんとなく思った。まさかとは思うけど。



「フェイト、サリさんの休みのこと・・・忘れてた?」

「・・・ごめん。朝のアレを見たら、こう、そうなって」





いや、その重要な案件を忘れないで? ・・・もちろん、あんなこと言って誤解させるようなことしてる僕が、一番悪いけど。

なおサリさんは、本当は深夜に戻るつもりだったらしい。でもそのまま・・・ですよ。うぅ、申し訳ないことしたなぁ。



一応帰ってもいいですよとは言った。だけど・・・である。我が兄弟子は、非常に出来た人だ。





「それで、多分今頃・・・潰れてる」

「潰れてる? ・・・あ」

「うん、カンカンらしい」



同棲相手とのイブ、潰したしね。しかも、綺麗だけど相当おっかないって言うし・・・。生きてこっちに戻ってこれるかな。



「あの、ごめん。ただ、黙っていたのは、別にやましいことがあるとかじゃなくて・・・」

「大丈夫だよ」



さっきまでの表情を変えて、フェイトは優しく微笑んでくれた。



「はやてからの相談事、知られるようなことになるの、嫌だったんだよね」

「・・・うん、結構内容が重くてね。はやてにも、内緒にしてて欲しいって頼まれたから」



だって、間違いなく魔女裁判が始まるし。そうなったら、誰にも止められない。



「あの、私のほうこそごめん。いきなり問い詰めるようなことして。それに・・・疑うようなことも」



・・・あ、うん。確かに・・・ごめんなさい。よし、次にすずかさんに会う時は、はっきり言おう。このままはダメだ。その、辛かった。



「ホントにごめん。・・・ビックリしたよね?」

「あの、少しだけ。でも、僕も大丈夫。というか、信じて・・・くれるの?」



僕、まだ嘘ついてるかもしれないのに。



「信じるよ」



だけど、フェイトは迷い無くそう言ってくれた。



「今のヤスフミは、隠し事はしてても、嘘を言ってるように感じなかったから。
ただ・・・ヤスフミやサリさんに、はやてだけで抱えきれないようなら、私のこと、頼って欲しい。それだけは、約束して」

「・・・うん、約束する。あと、フェイト」

「大丈夫、みんなには黙っておく。私も、相談されるまでは、知らなかったことにする。今されているのは、ヤスフミとサリさんだしね」

「そうしてくれると、助かる」



ヴェロッサさんがね。・・・よし。



「時にフェイト」

「うん?」

「さっきまでの話と全く変わるんだけど・・・」



ごめん、ちょっとズルい方法で相談させて。僕の許容量をオーバーしてるのよ。



「例えば・・・だよ? この間の僕達と全く同じシチュの男女が居たとするじゃない?」

「・・・うん」



顔を赤くするのは、きっといい傾向なのだと思うことにする。



「それで・・・だよ。もし、僕達と違って、そうなちゃったとしたら・・・どう思う?」



瞬間、フェイトからスチームが上がった。いや、僕もだけど。



「・・・そうなりたかったの?」

「違うっ! そういう話じゃないからっ!!
その、なんというか、フェイトはそういうのどう思うか、気になって・・・」

「・・・そっか。でも、それだけじゃ判断出来ないよ。その二人の気持ちもあるわけだし」



まぁ、そうだよね。まずはそこだよね。



「例えば、気持ちが通じあってそうなるなら、いいと思う」



通じあって・・・ないよなぁ。回線料金払ってないよあれ。それ以前に開通作業もしてないし。



「そういう遊びとしてそうなるのも、当人同士が納得の上なら、ありではあるよ」

「そうなの? ・・・ちょっと意外」

「あ、私はそういうのは嫌だよっ!? 絶対にっ!!」



え? なんで肩を掴むっ!?



「あくまでも、そういうのは個人の自由だし、私がどうこう言うのも、変かなっていう話なだけだよっ! お願いだから誤解しないでっ!?」



ブンブンブンブンっ!!



「あの、ゴメンっ! ちゃんと分かってるから・・・ブンブン振り回すのはやめてー!!」



そこまで言って数秒後。ようやくフェイトは止まってくれた。あー、酒がやっぱ残ってるのかな。先生やレティさんと飲む時と同じくらいに飲んだし。

頭が揺れて、なんかガンガンしだした。



「あの、ゴメン。大丈夫・・・?」

「うん、なんとか・・・。あとで味噌汁でも作ってもらって、飲む」



もう食堂スタッフとは、ツーカーな関係なのだ。というか、たまに手伝う。



「あ、それで話の続きだね。・・・そうじゃないのにそうなるのは、私は・・・ちょっと嫌かな。というより、男の人はどうかと思う」



ま、またキツいご意見を・・・。いや、僕もそう思うけど。



「女の子は、非力だよ? 押し倒されてどうこうというのもあるけど、どこか雰囲気的なものに酔いやすい部分もある。
そこは、男の人が気遣って、守るべきだと思う」



うん、キツいよね。でも、男は我慢して、耐える生き物よ? 女の子のためならね。



「あ、もちろん男の人だけの話じゃないよ? 女の子も、雰囲気に流されないで、しっかり自分を持つことが必要・・・だと、私は思う。
ようするに・・・結ばれるなら、雰囲気や状況に流されないで」

「ちゃんと自分達の気持ちを確かめた上で、二人で選ぶと・・・」

「私は、それが・・・正しい形だと思う。そう、母さんやエイミィから教えてもらったしね」



・・・二人とも、ちゃんと性教育してたんですね。ちょっとビックリですよ。フェイトの言動や行動を見てると、無自覚な時があるから、心配だったのに。



「もし、それを怠ったら・・・きっと、後悔するし、戸惑うと思うな。私どうこうじゃなくて、きっと・・・誰でも」



そうだね、後悔してる様子だよ。その前段階すっ飛ばしたから、どうしてこうなったのかすら、分かんないって感じだった。



「・・・自信、持って欲しいな」

「え?」

「みんなにあれこれ言われたから、そういうの気にするのかもしれないけど」



・・・そう解釈したのか。まぁ、話がおかしいし、仕方ないか。



「私はあの時、ヤスフミが怖い思いをさせないように・・・沢山気遣ってくれて、守ってくれて、嬉しかった。
あの、ちょっとだけ恥ずかしかったけど、私にとっては大事な思い出になってるし、それに・・・」

「それに?」

「男の子として、最後までそうしてくれたヤスフミだから・・・私、ちゃんと男の子として、異性として、見たい。そう思った」



・・・恥ずかしい。というか、その・・・嬉しい。そして、身体が熱い。

フェイトが、真剣な瞳でそう言うから・・・気持ちが、貫かれたような感覚を覚えた。



「あの・・・ありがと。うん、うれしい。というか、ごめん。いきなり変な話して」

「大丈夫だよ。だから・・・ね、チキンとかヘタレとか、意気地無しとか言われても、気にしないで?
私は、そんなこと思ってないから」

「・・・うん」





なら、いいのかな。うん、きっといいんだ。





「時にフェイトさんや」

「うん? ・・・あの、ヤスフミ。どうしてそんな・・・オーラを出してるの?」



ま、それはそれとしてなのですよ。



「まず誰がそんなことを言ったか、教えて欲しいな。想像つくけど、確認って大事でしょ?」

「あの、ダメだよっ! いきなり実力行使でどうこうなんてっ!!」

「大丈夫。『お話』するだけだから」

「それもダメっ!!」










・・・なんてやりつつも、思考は至って真剣モードである。





まずは、二人の気持ちの確認か。そこが分からないと、どうしようもない。ダメならダメってのは・・・認識必要だよね。

でも・・・だよなぁ。





ヴェロッサさんもそうだけど、はやても本心を吐き出してくれるかどうか。特にはやては、意地張ってる部分があるし。

それになによりですよ? こういうのは、第三者が横から口挟む問題じゃないし。うーん、やっぱりすぐにどうこうは無理かなぁ。





いっそ誰かに・・・でも、下手すればその時点でヴェロッサさんの身が危うくなる。

はやてはどうかって? ・・・こういう場合、責められるのは男って、相場が決まってんのよ。

悲しいことに、男の味方をするのは、男だけだよ。つまり、男比率の少ないこのコミュニティでは、ヴェロッサさんは四面楚歌も同然だ。





やばい。真面目にそんな中で相談出来る人間が思い付かないっ! せいぜいクロノさんと遠目な人でゲンヤさんくらいだよっ!?




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「うー、頭痛い」

「はやてちゃん、大丈夫ですか?」

「うん、なんとかな。あ、リインもそないに心配そうな顔せんでえぇよ? これくらいすぐよくなるから」

「はい・・・」





・・・今日は動くのは無理よね。というか、私は恭文くんから昨日飲んだ量を聞いて、ビックリしたわ。

いえ、恭文くんはそれ以上なんだけど・・・全く酔わないのよね。まぁ、あの子はそういう体質だから。

もちろん、肝臓に負担がかからないわけじゃないから、自重するようにとは言ってるけど。





「いくらなんでも飲み過ぎです。・・・なにかあったんですか?」

「・・・いやな、あの子と久々に話したら、ちょお感傷的になったんよ」

「・・・そうですか。とにかく、今日は一日休んでてくださいね? 仕事は大丈夫ですから」



私がそう言うと、ベッドの中のはやてちゃんは頷いた。その返事を確認してから、私はリインちゃんと寝室を出た。



「シャマル、主はどうだ?」

「ただの二日酔いだから、問題無いわ。・・・ちょっと重症だけどね」

「そうか」



部屋の外で待っていたザフィーラにそう返事をしつつも、私は歩を進める。というか、私も仕事しないと・・・。



「今日は一日、我が主に付く事にする。安心しろ」

「そうね、お願い出来る?」

「ザフィーラ、はやてちゃんのこと、お願いしますね」

「心得た」










・・・あとをザフィーラに任せて、私達はそれぞれの職場に戻る。また、お昼になったら様子を見に行かないと・・・。





でも・・・なのよねぇ。










「リインちゃん、本当に何を話していたのか、分からないのよね」

「はい・・・。リイン、恭文さんに耳塞がれてましたし」



つまり、『リインちゃんには聞かせられない話』・・・よね。あの子のことどうこうじゃないわね。



「まぁ、そこは良いわね。今日も頑張って、お仕事しましょうか」

「はいっ!!」










・・・恭文くんやサリエルさんに聞いても、きっと答えてくれないわね。





というより、必要があるなら、恭文くんがとっくに話してると思うわ。





恭文くんとなんやかんや・・・無いわね。フェイトちゃんと上手くいきかけているのに、そんなことするわけが無いわ。





はやてちゃんも、恭文くんは友達であって、そういうのじゃないと、公言しているし。うん、ノンセクシャルなのよ。





はやてちゃん、一体・・・何があったんですか?




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「・・・やっさん、次はこのレポート、分かりやすい形で整理お願い」

「了解です。 ・・・うわ、またこれは、たんまりありますね」



六課に来てから、そんなでもないのに。というか、サリさんがこういうのやってたんじゃ。



「いや、なのはちゃんの気合いに圧されちゃってね。つい頑張っちゃったのよ。つーか・・・追加分?」

「あ、あの・・・恐縮です」



・・・現在、なのはとヒロさんに頼まれて、教導資料やレポートの整理作業中である。

というか、僕は疑問がある。



「いいんですか? 僕だって教導受ける側なのに」

「アンタはいいのよ。つか、見ても感想持ったり、覚えないようにしてるでしょうが」



書類を整理しながら、ヒロさんがそう言ってきた。そう、僕は覚えないようにしてる。だって、覚えても得は無いから。



「もちろん、恭文君が見ても大丈夫なものばかり任せてるけどね」

≪それでこの量ですか・・・≫

「やっぱ多いの?」

≪かなり≫





バカをやりつつも、これだけのことをしてくれてるんだよね。・・・感謝しないと。



とにかく、必死に作業を手伝っていると、お昼になった。なので・・・。




















『いただきまーすっ!!』



そう、お昼です。メンバーは、僕となのはとヒロさん。それに・・・。



「ヴィヴィオ、ピーマン入ってるけど、頑張ろうね」

「うんっ!!」





フェイトとヴィヴィオです。あ、なんか久しぶりな感じ。



なお、メニューは・・・なのはとヴィヴィオがオムライス(サラダとスープ付き)。

ヒロさんが、洋食中心のおかず構成になっている、本日のお勧めランチ。フェイトが、白身魚のフライがメインのCランチ。

で、僕がまさに『トンカツ定食』な和風ランチです。





「そーいやさ、ママ達から聞いたけど、ヴィヴィオちゃん、ピーマンだめなんだって?」

「はい・・・。でも、克服出来るように頑張ってますっ!!」

≪そうか、いいことだ。・・・ボーイも見習わないとな≫



瞬間、皆の視線が集まるけど、気にせず真っ白なご飯を口にする。そして、トンカツをパクリ。

・・・だって、生のトマトはダメなんだもん。



「まぁ、誰だってダメなものはあるさ。かく言う私にもあったしね」

「そうなんですか?」

≪あぁ、言ってましたね。レタスがダメだったと≫



あ、それは初耳。というか・・・何でも食べられそうに見えるのに。



「どういう意味だよそれっ!?」

≪いや、確かにその通りだけどよ。雑食っぽく見えるよな≫

「あ?」

≪そんなことはありませんっ! マスターは繊細かつ、か弱いと思いますっ!!≫



両手のアメイジアに、本気の殺気をぶつけるのは、我が姉弟子。でも、こういうのはやめて欲しい。周りの人間がそれに圧されちゃってるから。



「でも・・・どうしてレタスがダメだったんですか?」

「ヒロさん、好き嫌いはしなさそうに見えますし・・・。あ、もちろん雑食とか繊細じゃないという意味じゃないですっ!!」

「・・・いや、そんなに念押ししなくていいから。まー、レタスっていうより、香りや癖の強いものがダメだったんだよ。
例えば・・・」



ヒロさんが、自分のお昼に入っていたポーチドエッグにフォークを刺す。そうしながらも、言葉を続ける。



「玉子もダメだった。口に入れた時に、独特の風味を感じちゃってね。でも・・・」

「でも?」



ヒロさんは、フォークを突き刺したポーチドエッグを、そのまま口に入れ、美味しそうに咀嚼する。

そして、それを飲み込むと、ヴィヴィオへと言葉を続けた。



「今のヴィヴィオちゃんみたいに頑張って、食べられるようになったの。で、そこからまた食べてるうちに、玉子もレタスも、好きになったんだ」

「ヴィヴィオも・・・そうなれますか?」

「なれるなれる。それだけ頑張ってれば、近いうちにね。・・・というわけで、やっさん」

「はい?」



次の瞬間、僕の皿の上に赤い魔王・・・生のトマトが出現した。

というか、ヒロさんやなのはにフェイトの皿から、移動してきた。うん、瞬間移動だね。



「さ、頑張ろうか」

「はいっ!?」

「こんな小さい子が頑張ってるんだ。アンタも頑張らなくてどうするのさ」

「そうだよ。いい機会だし、恭文君も頑張らないと。ここにいる間に、トマト嫌いは克服しちゃお?」



言ってる事は正論。しかし、納得は出来ない。だって、ホントにダメだから。



「ヤスフミ」



反論しようとした僕に、声がかかる。その声の方・・・フェイトの方を向く。というか、真っ直ぐに僕を見ていた。



「せっかくだから、もう一回頑張ってみようよ。生がダメなだけで、他は大丈夫なんだし」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ハイ」



僕には、こうとしか言えなかった。だって、ヴィヴィオの前だし。



「・・・いや、やっぱフェイトちゃんは強いね」

≪ボーイ、現時点で尻に敷かれてるな≫



なんか聞こえるけど、気にしない。



「さ、ヴィヴィオ。恭文君も一緒に頑張るから・・・」

「うんっ! ヴィヴィオも頑張るっ!!」

≪いつも通りですね、マスター≫

「うん、そうだね・・・」










・・・頑張ったけど、辛かったとだけ言っておきます。うぅ、やっぱり生のトマトはダメだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



・・・そんなお昼を終えた後は、みんなで・・・というか、三人でまた書類整理。ま、年末ですので。

協力しつつ、確認しつつ、テキパキとやっていく。










そして・・・。




















「・・・うん、これで終了ですっ!!」

『やったー!!』



夕方を通り過ぎて夜になった時刻、なのはの号令で、全ての作業が終了したことが告げられた。



「まぁ、明日からのみんなの試験の最終調整に入れば、また同じことに」

「言うなバカっ! そんなこと聞いたら、一気に疲れが増すじゃないのさっ!!」

「バカってひどいよっ!!」



なんか言ってるけど、気にしないでいく。・・・気にしないったら気にしないのっ!!



≪でもまぁ、ここまでのをちゃんと整理出来たことは、無意味じゃないだろ≫

「そうだよ、溜め込んでる方が、もっと大変になるしね」

「ま、それもそうですね」

「・・・つーわけだからやっさん、もういいよ?」



え?



「フェイトちゃん、待たせちゃいけないしね。ま、頑張んな?」

「うん、今日はクリスマスだしね。気合い入れないとダメだよ」

≪・・・ボーイ、俺は応援してるぜ。あ、シチュエーションと雰囲気だけは吟味しろよ? ブロンドガールはその辺りうるさそうだしよ≫

「よし、お前らなにを勘違いしてるっ!? つーかそういうことのためじゃないからっ!!」










・・・なんか、すごい応援されて、僕はその場を後にした。つーか本気で誤解してるよアレっ!!




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



・・・そうして来たのは、いつもの談話室。ま、その・・・ね。





少し緊張しながら入ると、フェイトはもう居た。なので・・・。










「フェイト、ごめん。待たせた?」

「ううん、私もちょうど来たところだから。・・・なのはとヒロさん達の方は、大丈夫?」

「うん、なんとか終わった。フェイトは?」

「私も大丈夫。今日は書類関係だけだったしね」



なら、よかった。とりあえず、椅子に座る。・・・そだ、ちゃんと渡さないと。



「あのね、フェイト。・・・これ」



僕がフェイトに差し出したのは、青い包装紙に包まれた、40センチ程度の四角い箱。それを、フェイトが受けとる。



「・・・これは?」

「・・・クリスマスプレゼント」

「あの・・・ありがと。というか、大きいね」

「そういう箱だったから」

「あ、それじゃあ私も。・・・はい」



フェイトが渡してきたのは・・・赤と緑の縞模様のデザインになっている包装紙に、赤いリボンがラッピングされていた。15センチほどの長方形だね。

ただ、箱というより・・・そのまま包まれてる感じ。



「ありがと。というか・・・準備してくれてたんだ」

「・・・うん。その、いつももらってばかりだしね」



・・・フェイトにクリスマスプレゼントを送るのは、恒例になっている。といっても・・・そんなド直球なものじゃない。



「私、いつもお返ししなきゃと思って、最近は全然出来てなかった。というか、メッセージカードとかばかりで・・・ゴメン」

「気にしなくていいのに。僕の好きでやってるんだし」

「気にするよっ! ・・・うん、気にする。あ、開けてみていい?」



僕は、その言葉に頷く。というか、僕も開ける。・・・慎重に包装紙を開くと、中から出てきたのは・・・紺色の手袋だった。毛糸で、すごく暖かそう。

というか、これは・・・。



「・・・私達、同じこと考えてたのかな?」

「・・・そうかも」





そう口にするフェイトが手にしてるのは、明るいクリーム色のマフラー。なお、お店で買ったやつです。

・・・その、アレだよ。僕、男だしさ。もしフェイトにそういう相手が出来ても、使い続けられるものをと考えると・・・こうなるの。

狙い過ぎてタンスの肥やしになるとか、ちょっと嫌だし。それなら、実用品かなと。



ホントは、もうちょい頑張りたいんだけどね。





「・・・フカフカして柔らかい」

「僕も・・・。それにこれ」



ちゃっかり付けてたりします。僕もそうだし、フェイトも・・・首にマフラーを巻く



「すごく暖かい」

「・・・私も、暖かいよ」



手を包む毛糸の手袋の感触が、すごく心地よくて、暖かい。フカフカして・・・心までそれに包まれてる感覚がする。



「あの、フェイト・・・ありがと。これ、大事にするから」

「うん。・・・というか、それなら私もだよ。このマフラー、大事にする。ヤスフミ、ありがと」

「うん・・・」



・・・こんな時間が、ずっと続けばいい。フェイトと気持ちが繋がっている時間が。

それだけで、幸せで、暖かくて、せつなくて・・・。



「・・・ヤスフミ」

「うん?」

「せっかくだし、少しだけ・・・デートしちゃおうか」




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



・・・冬のミッドの道を、私達は歩く。大事なクリスマスプレゼントを身につけて。





デートと言っても、ご飯を食べて、帰ってくるだけなんだけど。明日も仕事や訓練があるし、本当に少しだけの、私達だけの時間。





・・・あの時のこと、思い出した。何て言うか、やっぱりそうだよね。





今までのこと、今までの言葉、この間・・・顔を赤くしながら、真っ直ぐに届けてくれた想い。打ち明けてくれた、これから居たい場所。





その全てが結び付く。そして示す。今日だって・・・そう。





ヤスフミ、私へのクリスマスプレゼントを欠かしたこと、一度もない。うん、ただの一度も。





嬉しくないわけない。私だって・・・女の子だから。だから、ちゃんと考えて、応えたいな・・・と。





というか、最近の私はちょっとおかしい。・・・うん、おかしい。ヤスフミが他の女の子と仲良くしてると、ちょっとイライラする。





あの、別にそういうものじゃない。ただ、この間の言葉は、嘘だったのかなと思う。そう考えると・・・少し、胸が苦しい。





まぁ、そこはいいよね。今は、この時間を楽しみたい。私達だけのクリスマスを。










「・・・フェイト、寒くない?」

「うん、大丈夫だよ。・・・暖かいから」



首に巻いたマフラーが、心まで暖かくさせてくれる。あと・・・。



「ヤスフミは大丈夫?」

「うん、大丈夫。その・・・同じくだから」



ヤスフミの手には、紺色の手袋。というか、二人で手を繋ぎながら、歩いている。

手を通じて、手袋越しでも何かが伝わってきて・・・私の心は、寒さを感じさせないほどに、温度を上げる。



「しかし、人多いね」

「もうすぐ、今年も終わりだから。うん、どこでも年末はこうなんだよ」



今年はあんな大事件もあったのに、この光景を見ると、それが嘘のように感じる。それほどに、今は平穏で・・・。

人々は忙しそうで、足早に歩く。だけど、そこから笑顔や幸せな表情を見つけることが多いのは、きっと気のせいじゃない。



「・・・こういうことなのかね」

「え?」



ヤスフミが納得したような顔で呟いた。その視線に映っているのは・・・きっと、私と同じ。



「いやさ、前にギンガさんが言ってたのよ。『局員として、市民の平和と安全を守ることは仕事であると同時に、幸せにもなりえる』・・・ってさ」

「・・・うん、そうだね。そういう考え方はあるよ」



世界の平和・・・というと大げさかもしれないけど、たくさんの人の普通の時間を守る手伝いが出来たなら・・・うん、私は嬉しい。



「・・・すこーしだけ、それがわかった気がした。本当に少しだけ」

「ヤスフミ・・・」

「でも、やっぱり・・・だね」

「そのためには戦えないし、頑張れない?」



ヤスフミは、少しだけ申し訳なさそうに頷くと、足を止めて、私を見上げて・・・こう口にした。



「それよりも守りたいものがあるから。世界とか、そういうの関係無しで自分が守りたいと思うものが」



・・・ダメ、なんだかドキドキしてくる。その、えっと・・・。



「世界が守れても、自分が決めたそれを守れなかったら・・・意味が無いんだ。ま、わがままだよね〜」

「そうかもしれないね。でも・・・それでいいよ」

「そうかな?」

「そうだよ、きっと」



少しだけ速まった心臓の鼓動を悟られないように、言葉を返していく。だって、その・・・その『守りたいもの』の中には・・・。



「でも・・・」

「いいよ」

「・・・なんで分かるのさ」

「分かるよ。ヤスフミは、それだけじゃなくて、今感じた事を理由に・・・戦っていい」



今までのヤスフミは、どこかでそういうのから背を向けていた。多分、許せなかった。

自分は奪った人間だから、そう考える資格が無い。そう、思ってたんだよね?



「・・・ま、たまのたまのたまの・・・たまーになら、やってもいいかな。優先順位は決まってるし」

「うん、それでいい。・・・そう思えるようになっただけでも、私はいいことだと思う」

「そういうもんかな?」

「そういうものだよ」










道も、志も、正解なんて無い。私やみんな、ヤスフミ・・・。それぞれのその形は、きっと違う。





だから、自分で決めていく。わがままでも、身勝手でも、くだらなくても、自分だけの理由を。





そして、それを強く信じ抜く。誰がなんと言おうと絶対に。そうすれば、きっとそれは折れない剣に・・・砕けない鉄になる。





・・・『強くなる』。これがその答えの一つなんだ。力じゃない。心を、強くする。





・・・ヘイハチさん、あなたのおっしゃっていたことが最近、少しずつだけど、分かるようになってきました。





私も、そうなっていきたいと思います。あの時のこと、折れない剣と言いながら、簡単に折れそうになったこと、悔しかったですから。





本当の意味での折れない剣になります。力じゃない。私の心の鉄で打ち上げた、折れず、砕けず、誰よりも速く、鋭く斬れる雷光の刃に。





私にも、ありますから。守りたい今と、記憶と時間が。それを守れるように・・・強くなって、いきます。





・・・・・・それから私達は、また歩を進め始めた。目指しているレストランは、まだ先だから。





静かに降り始めた雪の中を、二人で・・・手と、心を繋ぎながら。




















(第27話へ続く)




















おまけ:お食事中のこと。




















「・・・フェイト」

「うん?」

「口にソース付いてる」



そう言って、僕は紙ナプキンでフェイトの口元のタルタルソースを拭う。



「・・・うん、綺麗になった」

「あ、ありがと・・・」



なんか顔が赤くなってるけど、気にしないでいく。



「・・・そういえばさ、エリオとキャロとは・・・最近話せてる?」



正直、最近は僕ばかりに付き合わせてるようなもんだし、少し申し訳なく思う。



「うん、大丈夫。昨日もプレゼント交換したりしたしね。というか・・・」

「というか?」

「なんだか、応援されるの。ヤスフミともっと話した方がいい・・・って、すごく」



あのちびっ子は・・・。気遣い過ぎだよ。あ、それなら。



「フェイト、今度四人でご飯食べない?」

「・・・そうだね、いいかも」

「で、うちでなんてどうかな? 冬だし、お鍋っ!!」

「あ、それやりたい。せっかくだから、皆で料理して・・・」



それを皆で食べると・・・。うん、上手くいけば思い出作りになるかも。



「でも、いいの?」

「僕は大丈夫だよ。というか・・・ね」

「・・・母さん達が帰って、ちょっと寂しい?」



実を言うと・・・少し。なんというか、居場所・・・感じてるんだと思う。だから、うちに居ると、誰か遊びに呼ぼうかなとか、考えることが多い。



「ヤスフミ、それは前にも言ったけど」

「分かってる。・・・いいことなんだよね。きっと」



たとえ、もうすぐ終わるとしても・・・いいことなんだ。この感情は。



「最近、それがわかってきた。うん、少しだけではあるけど」

「・・・うん、ならいいんだ。そう思えるなら、私も嬉しい」










・・・ご飯を食べつつ、そんな話をした。嬉しい気持ちと、少しだけの寂しい気持ちを抱えながら。





ずっと一緒じゃない。だったら・・・大事にしなきゃね。





本当に大事な、今と言う時間を。過去になっても、その輝きが色褪せないように。




















(本当に続く)







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あきゅろす。
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