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小説(魔法少女リリカルなのは:二次小説)
ミッション09 『終わる戦い 始まる日常』:2



『・・・まって』



そんな僕たちの会話に入ってきたのは、通信越しのフェイトだった。



「なに?」

『話がまだあるんだ。ヤスフミ、さっきシグナムと会った時・・・シグナム、ヤスフミに伝え忘れていたことがあるの』

「はい?」










そう言えば、なんかそんな話をしたような・・・。





瞬間、殺気を感じた。鋭く、突き刺すような殺気。

僕は右に飛ぶ。すると、今まで僕が居た場所を回転する刃が通り過ぎ、地面を斬る。

その刃がまるでブーメランのように戻り・・・ある人物の手に取られた。










「あー、フェイト。言いたい事・・・分かった」

『・・・遅かった?』

「かなりね」



そうして目の前に現れたのは、一人の女。ピンク色の髪、頭にヘッドギア、両手にブーメランみたいな刃。そして、身にまとうのはなんかここ一週間で色々見覚えが出来たスーツ。



というか・・・見たことがある人。





「・・・探しましたよ、蒼凪恭文。中央本部に移動したと思えば今度はここ。ずいぶんとご活躍のようで」

【あれは・・・戦闘機人っ!? 確か確か、この間フェイトさんと交戦したって言う・・・】

「ナンバーズの7番、セッテです。あなたを・・・ドクター・スカリエッティの命により、捕獲に来ました」










そう、僕達の目の前に現れたのは、ナンバーズの一人。セッテだった。




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



・・・もしもしフェイトさんや、参考にまでにお聞きしますけど・・・どういうことですか?





なんで全部終わってるこの状況で、あれが僕に喧嘩吹っかけてくるのっ!? どう考えたっておかしいでしょうがっ!!










『・・・スカリエッティの命令らしいの』

「だから・・・どういうことよ、それ」



ゆっくりとセッテと名乗った奴が僕に近づいてくる。当然、身構える。



『理由は、ヤスフミの捕獲。というより・・・悔しがってたらしいの。あの時、ヤスフミに負けたのを。あの子、感情を抑制する処置が施されていたらしくて、本来ならそんな感情は見せない。あの男はそう言ってた』

≪そこで、もう一度マスターにぶつけてみようと・・・≫

『うん、そう話してたよ。とても楽しそうに・・・ね』



・・・はい? えっと、つまり・・・あれですか?

この間のリターンマッチでここに来たとっ!? なんですかそれっ!!



「別に・・・悔しがってなどいません。あなたを捕まえるのは、単にドクターのご命令です」



そのまま、セッテが構える。両手に刃を持ち、やる気満々なのが伝わってくる・・・というか、僕は頭が痛いんですけど。



「そのスカリエッティは、もう捕まってるよ。そうだよね、フェイト」

『うん。それだけじゃなくて、ゆりかごも墜ちた。あなた達の姉妹も全員確保した。だから・・・あなたがスカリエッティの命令のために戦う必要は、もうないよ? お願いだから、投降して』

「それは出来かねます。私は・・・このためにここに来ました。理由がなんであれ、引くわけにはいきません」



あぁもう、なんでこれ? ラストバトル終わって強敵潰して、苦いものかみ締めつつエピローグでいいじゃん。なんでこうなるのさ。



≪・・・フェイトさんがヘタレなせいでしょ≫

『私のせいなのっ!?』

「あぁ、そりゃ納得だ。あんまりにアレだったもの」

『た、確かに・・・その、私がしっかりしてなかったせいでこの状況だし・・・』



とにかく・・・やるしかないよね。なんにしたって、敵は目の前。潰さないとどうにもならない。



「リイン、ユニゾン解除して」

【えぇっ!? ど、どうしてですかっ!!】

「いいから。・・・アレは僕をご指名だ。だったら、相手は僕とアルトがやんなきゃ、ダメでしょ」

≪リインさん、お願いします。色々とあるんですよ、男の子には意地やら勢いやらが色々とね≫



すると、リインはそのままユニゾンを解除した。だけど、ちょっと不満そう。



「・・・絶対、勝つですよ? そうじゃないと、ダメですから」

「了解。んじゃ、フェイト・・・行ってくるわ」

『うん、気をつけてね。あの、私もリインと同じ。ちゃんと見てるから・・・絶対、勝たなきゃだめだよ?』

「もちろん」










そのまま・・・前へ歩き出す。ユニゾンを解いてもボロボロなジャケットがなんだかおかしかったり。





そうして、左手の親指をアルトの鯉口にかける。



















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



・・・ヘリの中でザフィーラとシャマルと一緒に映像に目をやる。シャーリーから送られてきたライブ映像。





それを見て、後ろでぐーすか寝とるなのはちゃんとヴィータちゃんにヴィヴィオ、スバルとティアを除くうちらは頭を抱えていた。そやかて、ありえへんもん。





しかし、なんでアイツはこう運が無いんやっ!?










「・・・シャマル、蒼凪は・・・かなりまずいな」

「えぇ。リインちゃんとユニゾンしていたとは言え、スターライトを使った直後。体力を相当消耗していると見ていいわ。はやてちゃん、現場には・・・」

「今からじゃ間に合わんよ。それに、なのはちゃん達のこともある。あれは現場の恭文とナカジマ三佐達に任せるしかないわ」

『な、なんというか・・・なぎ君の運の悪さはいつもの事とは言え、今回は極めつけですよね』










そうやなぁ。だって、ラストバトル終わった後に空気読まずに乱入やで? 普通にムカつくって。




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「なぎ君っ!!」





声がかかる。そちらを見ると・・・ゲンヤさんに抱えられたギンガさんに、数人の武装局員。





「よし、お前は下がれ。その嬢ちゃんは俺達が止める」



武装局員の方々が構える。セッテがそれを見て警戒を強める。



「・・・邪魔、しないでもらえます?」



僕はそれだけ言って、また歩を進める。なんか武装局員の方々が面食らってるけど・・・気のせいだ。



「邪魔って・・・ダメだよっ! お願いだから私達に任せてっ!! なぎ君、さっきスターライト使ったばかりだよねっ!? そんな状態でユニゾンも無しで戦うなんて・・・無理だよっ!!」

「嫌だね。あと、無理でも通す。・・・この子は、僕に決闘申し込みに来たんだ。だから、僕が受ける。ゲンヤさん、一度しか言いませんから・・・ちゃんと聞いてくださいね。
邪魔するなら、誰であろうと全員潰します」



互いに射程距離な距離に入る。そこで、ようやく足を止める。



「・・・分かったっ! おい、お前ら潰されたくなかったら手出しするなよっ!? 全員その場で待機っ!!」

「父さんっ!!」

「すみません。まぁ・・・絶対勝ちますんで」





そうして・・・構える。低く、這うように。右手をアルトの柄にかけ、いつでも抜き打ち出来る体勢に持っていく。



なんだろう、結構身体限界なのに・・・まだ動かせる。楽しくなりそうで、ワクワクしてる。





「・・・なぜ、笑うのですか」

「笑うよ。だって・・・楽しいでしょ?」

「私には、理解しかねます」



そのまま、セッテも構える。そして、足に力を溜めてる。ここからでも見て取れるよ。

だから・・・飛び出す。



「IS発動・・・スローター・アームズ」





襲ってくるブーメランを僕は抜きで弾く。・・・悪いけど、正面突破。何個投げてこようと・・・全部つぶすっ!!



そのまままた踏み込み、距離を縮め・・・アルトを打ち込む。セッテが両手の刃で受け止め・・・そのまませめぎあう。





「・・・理解出来ません」

「なにが?」

「なぜ、あなたのような人が・・・ドクターの興味を引いたのか。そして、あの男に勝つ事が出来たのか。まったく・・・理解出来ません」



後ろからなんか回転音・・・え?



≪弾いた刃・・・迫ってきてますよ?≫



えぇぇぇぇぇぇっ!? と、とにかく弾いて・・・あぁ、押し込まれて動けないー!!



「なにより理解できないのが、私がそんなあなたに負けた事です・・・!!」



・・・そのまま、僕は背中を回転するブーメランに斬られて・・・そんなわけあるかぁぁぁぁぁっ!!

腰から左手で鞘を抜く。そしてそれで・・・。



「無駄です。その鞘の硬度は覚えました。もう斬れます」



んな言葉には耳を貸さずに鞘に魔力をコーティング。そして・・・鞘で刃を受け止めた。ちょうど、両手で双方から来た攻撃を防ぐ感じになってる。



「それは・・・刃っ!?」



・・・魔力をコーティング。そして、そこから鞘を軸に魔力を圧縮、それを打ち上げ・・・青い刃と化す。鉄輝一閃でいつもやってること。これくらいは造作もない。

身体を回転させる。勢い良く、コマのように回転させて・・・刃とセッテを弾き飛ばす。そのまま、鞘を腰に収めて、アルトも鞘に収めて、かがむ。



「これで・・・」



体力も魔力も限界ギリギリ。だから、決着は一気につける。

僕は・・・飛び込む。体勢が崩れたセッテに飛び込む。



「終わりだぁぁぁぁぁっ!!」



セッテの手が動く。そして、ブーメランを投げてくる。それを・・・右手で小太刀を逆手に持って抜き・・・弾く。そのまま順手に持ち替えて、小太刀を投げる。

方向は後ろ、振り返りながら狙いを定め、後ろからさっき弾いたブーメランに向かって投げ・・・ぶつける。到着が一瞬遅れればそれでいい。その間に、勝負をつける。



「まだです」





後ろから影。僕は右手をアルトに伸ばす。そして、左手を小太刀に伸ばし・・・抜く。

そうして、小太刀と・・・ジガンで、打ち込まれた二つの刃を受け止める。てか、もう一本あったんかい。

左手に伝わるのは・・・衝撃。瞬間、足場が沈み、空気が震え・・・すごく痛い。でも、まだ止まらない。



アルトを抜く。すると・・・柄尻がセッテの足で押さえられた。そのまま右手の刃を引いて、僕に突き出し・・・遅いっ!!

その体勢から身体をひねるようにして・・・右足から蹴りをかます。当然、徹をかけた上で。それはセッテの左わき腹にモロに入り、体勢が少し崩れた。そして・・・アルトの柄尻にかかっていた足が外れた。



ふらつくように着地してから、そのまま・・・アルトを抜き放つ。低く、這うような体勢から、切り上げる。

セッテは左手の刃を上から打ち込む。青い刃と、銀色の刃が・・・交差した。





「・・・驚いたわ」





セッテが倒れる。そして、僕は息を荒くして・・・それを見る。セッテの左手の刃は、僕の斬撃によって真っ二つになっていた。

後ろになにかが落ちて、すべるような音がする。見ると・・・刃が二本。そして、左手から・・・小太刀が滑り落ちた。



腕・・・居たい・・・じゃなかった、痛い。もしかして、骨折れてる?





「徹、完全に無効化したよね? あれで潰せるはずだったのに、思いっきり止められた」

「ドクターの調整の・・・おかげです。ですが・・・意味は、ありませんでしたね」



頭から・・・血が流れる。あー、本当に浅くだけど斬られたみたい。てか、こっちも痛い・・・。



「そんなことないよ。結構・・・やばかった。いや、セッテ強いわ」



そのまま、その場にへたり込む。で、その時に左手を地面につくもんだから・・・痛い。すっごく・・・痛い。



「くぅ・・・!!」

≪・・・バカですか?≫

「うっさい・・・」

「・・・なぜ、でしょう」



セッテが、地面につっぷしながら、僕を見る。表情が険しい。



「私は、ドクターに調整された戦機のはず。なのに・・・今、とても胸がモヤモヤしています。これは・・・なんでしょう」

「悔しいんでしょ? 僕に・・・負けたの」

「・・・クアットロ姉様もそんなことを言ってました。私は、悔しがっていると。ですが、それは余計な感情とも言っていました。実際、その通りだと思います。私は」

「余計じゃないよ」



少しだけ、語気を強くして言う。セッテが、びっくりしたように僕を見る。



「・・・余計なものなんてね、なーんにもないよ? それ言ったら、僕なんて、余計な感情ばかりだもの。負けたら悔しいし、勝ったら嬉しい。美味しいものを食べると嬉しいし、フェイトにスルーされると悲しい。
でも、そういうのが全部力になるの。いいじゃん、悔しくたって。それは、また戦った時は必ず勝つーって気持ちになるんだからさ。セッテだって、だからここに来たんでしょ?」

「よく・・・わかりません」



・・・本当にそんな顔して言うのはやめて欲しい。僕、悪いことしたような気がするから。



「ですが・・・」

「なに?」

「今、あなたの言うことは、理解出来たような気がします。実際、私はこの状態でなお・・・あなたと、また戦って勝ちたいと、そう思っています」

「なら、またやろうよ。今度はこんな殺し合いじゃなくて、純粋に戦い。それで、お互いに体力も気力も十分な時に、ありったけぶつけるの。どうかな?」



セッテが、なぜか不思議そうな顔で僕を見る。僕、特におかしいことを言ったようには思わないんだけど・・・なんでだろ。



「いえ、なぜそんなに楽しそうに話すのかと・・・不思議だったもので」

「だって、セッテは強いもん。僕、戦えるなら今度は朝から晩までフルで戦いたいし」

「なるほど・・・。ただ、いつになるか、約束は出来ませんよ? ですが、守れるならば守りたいです。私も、あなたの言う『戦い』をして、あなたに勝ちたいと・・・思いますから」

「・・・うん、いいよ。いつでも来てもらっていいから。デートの予定でも入ってない限りは・・・必ず相手をするよ」

「ありがとうございます」










そんな言葉を素直に言ってきたのがなんだか嬉しくて、微笑む。それからまた、空を見上げる。今度こそ・・・終わったよね。





こうして、新暦75年の9月21日。大規模テロ事件・・・後にJS・・・ジェイル・スカリエッティ事件と呼ばれる事件は、終わりを告げた。





そして、僕とアルトのこの事件での戦いも・・・終わりを、告げた。





なお、このすぐ後・・・ぼろぼろに泣き出したギンガさんのフォローに、僕が四苦八苦することになるけど、そこは割愛させてもらいたい。思い出すと、頭が痛くなるから。










「あ」

≪どうしました?≫

「お腹・・・すごく空いてきた」

≪立ち読みの前に、ご飯ですかね。これは≫

「うん」










ー蒼凪恭文&古き鉄・アルトアイゼン ナンバーズ・セッテ・・・勝利ー





ー勝利要因・・・下ろさずに抱えていた余計な物達ー




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



・・・事件から二週間が経った。暦の上ではもう10月。少しずつ事件の中心地だったミッドチルダと時空管理局は、落ち着きを取り戻し始めている。

そして、私とサリは無事に職場復帰を果たした。この辺りは、カリムやクロノ提督の力添えが大きかったりもする。まぁ、私達が動いていた証拠を極力残さないようにしてたからなんだけど。

で、二人して包帯やらギブス付けた状態で職場に来るもんだから、局長に死ぬほど怒られたり・・・まぁ、無事に帰ってきてよかったと言葉をかけてくれたのは嬉しかった。





まず、事件の始末に関してだね。サリが掴んだ情報・・・というより、今回の事件の顛末は本局のみならず管理局全体、ひいては次元世界そのものを揺らがせた。

トップそのものが不正に手を染めていたこと。これはとても重い事実として、次元世界に携わるすべてのものに記憶されると思う。

まぁ、結果的に組織全体の編成の徹底的な見直しの動きが出来たのは、いいことかも知れないね。本局も、各世界の地上本部も、今回の事件を反省点として変わっていこうとしている。同じことがもう起きないのを、祈るばかりだよ。





で、次に今回の事件の主犯となったジェイル・スカリエッティとナンバーズだけど・・・スカリエッティとナンバーズの1番、ハラオウン執務官がやりあった3番とゆりかごでトラウマ作ったらしい4番、それに・・・やっさんがやりあった7番は、揃って別々の軌道拘置所に収監された。

理由はある。全員捜査協力などに一切応じないから。一応ナンバーズに関してはハラオウン執務官も説得したりしたんだけど・・・答えはノー。なお、7番の子の説得にはやっさんも加わったらしい。包帯とギブス姿で拘置所に行ったとか。

ただ、やっさんいわく、他の子はともかく3番の子と7番の子は『敗者には敗者の矜持がある』・・・と言うことらしい。つまり、負けた以上は責を負うのは当然って考え。





やっさん、この話をしてた時・・・少しだけさびしそうだった。なんでも、再戦の約束をしたらしい。でも・・・この調子じゃあねぇ。それ守るにしても、きっとこの調子じゃあ・・・。あ、大事なことだから二回言ってみた。





そして、残りのナンバーズなんだけど・・・消息完全不明な2番を除いた全員、そして、救出されたギンガちゃんは・・・。




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「・・・ギンガちゃん、マジごめん」



本局の医療施設。私は入院中のギンガちゃんに見舞いに来て・・・ベッドの横に座って、早速頭を下げてる。



「あ、あの・・・謝らないでください。父さんから大体の事情は・・・聞きましたから。ただ・・・どうして、私達を頼ってくれなかったんですか? 話してくれれば、私達は力になりました。なのに・・・」

「ぶっちゃけると、自分の手で・・・決着つけたくてね。どんな形であれ、真実ってやつをこの目で知りたかったのよ。
いや、やっさんやアンタを巻き込んでまでするべきじゃなかったんだろうけど、それでも・・・ね。アイツ、私にとっては数少ない女友達・・・だからさ」

「そう・・・だったんですか」



・・・そのおかげ・・・なのかな。一応大事な友達は守れたから・・・いいのかね。



「それで、あの・・・メガーヌさんは?」

「今、聖王教会の医療施設で眠ってる。ただね・・・あの変態ドクターがルーテシアに吹き込んでたように、レリックが無いと蘇生できないって事は無いんだって。ちゃんとした治療を受ければ、もしかしたらすぐにでも・・・目を覚ますってさ」

「そうですか・・・よかった」



あの後、無事にアジトで保管されていたメガーヌは保護された。それと中央本部襲撃の時に、六課のフォワードの子と交戦して大怪我したっていうナンバーズの5番も・・・だね。

一応だけど、ハッピーエンドな感じには締まった。一部を除いて・・・だけど。



「あの、それで・・・」

「悪い、やっさんはここには来れそうにないってさ。まぁ・・・今相当だから」

「そうですか。・・・なぎ君、大丈夫なんですか?」

「それはなんとかね。直後はハラオウン執務官の使い魔と相当やりあって大変だったって言ってたけど、今は問題ない」



やっさんはこの事件を超えて、重いものを色々と背負った。フォン・レイメイのことだけじゃない。・・・うん、それだけじゃないのよ。



「それで、なぎ君とメールでなんですけど・・・少し、話しました。互いに悪いところはあったから、反省していこうねと・・・。まぁ、多分になぎ君が悪いとも思っていますけど」

「・・・そっか」

「はい。本当はもっと言いたかったんですけど・・・その、さっきのハラオウン家の使い魔さんの話も父さん経由で聞いてたんで、あんまり言えませんでした」



そう、フォン・レイメイに対する対処の事でハラオウン家は相当荒れたとか。

まぁ・・・それでもフェイトちゃんは理解を示して、大丈夫だからと言ってくれて嬉しかったとか言ってたから、あんまり心配はしてなかったけど。



「・・・クロスフォードさん」

「うん?」

「なぎ君・・・本当に、殺すしかなかったんでしょうか」



ギンガちゃんが、すごく・・・真剣な目で聞いてきた。それに私は同じ目で返しながら、うなづいた。



「そう・・・なんでしょうか。でも、しっかりと捕まえて法の裁きに委ねればよかったんじゃ。・・・わかってるんです。わかってるんですけど・・・それでも、どうしてって、思うんです。
あの人の濁った・・・歪んだ瞳を見たのに、どうしても思ってしまうんです。殺すような真似、する必要なんてなかったんじゃないかって」

「それはダメだね。そんなことをすれば、今度はマジでやっさんの周りの人間が襲われるよ? 現に、ギンガちゃんは襲われたでしょうが。ゲンヤさんも、やっさんの到着がもうちょっと遅かったらアウトだった」

「・・・はい」

「・・・悲しいかな、アレは精神関係が完全にアウトだよ。イカれてるにも程がある。ホントに・・・なんなんだろうね」




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



・・・やっさんが来れない分、私がちょくちょくお見舞いしてたりする。まぁ、迷惑かけた分を取り返す意味も含めて・・・ね。





あ、そう言えば話し忘れてた。消息不明な2番以外のナンバーズとルーテシア・アルピーノ、そして融合騎のアギトは現在海上隔離施設に居る。そして・・・更正プログラムを受講しているらしい。

適切できちんとした道理関係を含めた教育受けられていないというのと、反省の意思を示しているのと、捜査協力に応じている所から、更正プログラムによる教育を受けて、再出発させていこうという方針らしい。

つまり、犯罪者ではあるけど同時に被害者でもあると認められたということ。この辺りは機動六課の面々やゲンヤさんの働きかけが大きい。現に、メガーヌの目が覚めるまでという約束で、ハラオウン執務官とリンディ総務統括官がルーテシアの保護責任者になってたりするし。





実際、私も何回かゲンヤさん経由で会わせてもらったけど・・・ルーテシアもそうだけど、ナンバーズの子達も中々面白い子達ばかりだよ。で、その年長者であるチンクからも話を聞かせてもらったんだけど・・・マジでスカリエッティはあの子達を手ごまのように使ってた。

まぁ、色々思う所が無いわけじゃないけど、自分のやった事を顧みて、色々考えていこうとしているのは事実だと思うし・・・いいことだと思うことにした。

ただ、セインとウェンディの私に対する『姐さん』呼ばわりは何とかしたい。いや、ここは絶対だよ。まったく、アメイジアが姉御呼ばわりしまくるから・・・。





なお、ギンガちゃんがこのプログラムに講師という形で参加しようと思っていると聞いた時には、さすがにびっくりした。だって・・・ねぇ? いや、色々わかるけどさ。

それと・・・シャナ。あの子は今・・・ナンバーズとは別の隔離施設に居る。あの子の場合、余罪がどっさり出てきたために、結構厳重なところで生活を送っている。ただ・・・フォン・レイメイというイカれた奴の所に居たのが、ポイントとなった。

長年に渡る虐待と取られてもいいような行為の数々に、担当官が思わず目を伏せたとか。実際、私も話を聞いてそうとう腹が立った。なので、本人も更正の意思を少しずつではあるけど出してきてるし、状況が状況のため・・・そこまで重い罪にならない可能性も出てきた。





もちろん、償いはきちんとしなきゃいけない。ただ、本人はフォン・レイメイが居なくなった事で、どこか吹っ切れたのか相当前向きになってる。

どうやら、アイツの存在があの子の心の奥を縛り付けていたらしい。まぁ・・・アレだよアレ。私は一応名付け親みたいなもんだから、定期的に様子を見に行くことにする。いや、私はいいんだよ? ただ、アメイジアの奴が気にしまくっててさ〜。

ただ・・・そこを出たら何がしたいと聞いた時に『まず、アンタをぶっ飛ばす。それで、あのおチビちゃんを私の気が済むまで可愛がる』とか抜かしてるのを聞くと・・・その気が若干薄れてしまうのは、気のせいじゃない。





あぁ、それと余談だけど・・・サリに彼女が出来た。ここ一ヶ月行方不明だったのに、いきなり彼女が出来た。私がどうやって作ったのかと聞いたら・・・『2年前に一回会って、最近偶然にも再会した。それで燃え上がった』・・・ということらしい。

えっと、名前が・・・・ドゥーエさん・・・だっけ? 写真見せてもらったら、これがむちゃくちゃ美人なのよ。もう、なんであんな影の薄い男と付き合うのって言うくらい?

ただ、そうとうドSだとか。サリ曰く『やっさんとタメ張れる』らしい。・・・そりゃ相当だね。あの子も相当だから。





とにかく、今回の一件で戦闘機人事件やゼスト隊全滅の真実、管理局最大の汚職に至るまで、相当数の事実が明らかにされた。それでもなお・・・レジアス・ゲイズ中将の人気が下がらないってのは、ある意味すごいけどね。

六課隊舎や中央本部も、もうすぐ復旧完了するって言うし・・・本当に、終わったんだね。うん、終わったんだ・・・。










『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・残念ながら、こっちはまだなーんにも終わってませんけどね』





思考を中断させたのは、さっきから開いていた通信モニター。そこに映るのは・・・皆様お馴染み主人公。



そして、事件が終わったのにまだ何にも終わってないやつ。





「あぁ、ごめんごめん。で・・・相当なの?」

『相当ですよ。なんですかこの量? ありえないでしょ、過去最高ですよ』





そう、やっさんだ。なお、今は自宅で鉢巻巻きながらうんざりした顔で書類を書いている。今、こうしていてもだ。ここには、当然理由がある。

・・・さっきも言ったけど、私とサリはいわゆる無罪放免な感じになった。ただ・・・やっさんは違う。私とサリが動いていた事は、知ってる人間は一握り。こちらは問題なく処理出来た。うちの相棒は、そういうのが得意なので。

ただし・・・やっさんは違う。やっさんが今回の一件でかました機密情報漏洩やら武装の無断持ち込みやら地上本部への無断突入やらは、色々と問題である。ついでに、動いていた事はもみ消せない。



なので・・・現在、やっさんは大量の始末書やら反省書やら、事件の詳細な報告書の作成に追われている。これだけで済んだのは、現在局の体制が混乱していてやっさんにかまっていられないと言うのと、結果的にやっさんの行動が真相究明に結びついたというのが大きい。

あと、局でも重要指名手配犯になっていたフォン・レイメイを潰したり、途中から完全に行方が掴めなくなっていたナンバーズの一人を確保したり・・・だね。なんだかんだで功績は認められていると言うわけ。

というか・・・あの、マジで大丈夫? アンタ、身体が書類に埋もれてるし。





『大丈夫ですよ。とりあえず・・・期限は決められてませんし、のんびり片付けていきます。・・・ヒロさん』

「なに?」

『守りたいもの・・・守るって、難しいですよね』



やっさんが、書類を片付けながらそんなことを言ってきた。



『僕・・・レジアス中将に言ったんですよ。アンタは今、組織も世界も友達も、なんにも守れてないって・・・。偉そうに・・・主人公っぽく説教を』

「そりゃまた偉そうだ。つーか、アンタそんなキャラだったっけ?」

『いや、こう・・・その場のノリで。そういうことって、よくあるじゃないですか』

「あぁ、確かによくあるよね。ガンダムとかでもよくやってるし」

『でしょ? でも・・・僕もレジアス中将と同じなんですよね』



気のせいじゃないと思う。そう言った瞬間、僅かに表情が重くなったのは。



『リインが墜ちた時・・・守れませんでした。大事なパートナーなのに。フェイトがアジトでスカリエッティに壊されそうになった時・・・何にも出来ませんでした。大好きな女の子なのに。
・・・殺すことしか、出来ませんでした。同じ間違いを繰り返したくないと、思い続けていたのに。それで、周りの人達を傷つけました』



書類を書き続ける。まるで、そうしないと止まってしまいそうだと言わんばかりに・・・必死に。



『僕、あんな偉そうなこと、言える立場じゃないんです。僕は・・・今回、何も守れませんでしたから。何にも・・・守れてないんです』

「・・・その話を私にして、どういう反応を求めてるわけ?」

『・・・すみません。忘れてください』



こりゃ・・・相当かな。そうだよね、こいつ・・・人が目の前で死んだり、殺したり・・・そんなの見て、平気で居られるような奴じゃないもん。

ただ、見せないようにしてるだけで、ずっと抱えてる。分かるさ、私やサリだって、同じだ。



「・・・後悔したんなら、そこから考えて、進むしかないでしょうが」

『え?』

「アンタは、8年前にもそうした。だから・・・そこに居る。今回だって同じだよ。そして、アンタならそれが出来る。違う?」

『・・・そうですね、そうします。それで考えてみます。書類書きつつ、のんびりと』

「そうだね、そうしな。時間はたっぷりあるさ」





もう、全部片付いたんだしね。うん、時間なら・・・たっぷりとあるはずだ。





『んじゃ、書類頑張ります。あ、そうだ。さらば電王・・・サリさんと二人で見に行ってきていいですよ?』

「ばか、アンタの書類が片付くまで待ってるよ。だから、頑張るんだよ」

『・・・はい』










そこまで話して・・・通信を終えた。





座ってた椅子の背に体重を預けて・・・伸びを一回。それから時計を見る。あ、もう休憩時間終わりか。







≪・・・姉御≫

「ん?」

≪ボーイによ、誕生日プレゼントやろうぜ? それで、元気出せーってさ。てかよ、なんつうかこう・・・アレはらしくねぇって≫

「・・・そうだね、サリとちょっと相談してみようか」




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「・・・しかし、マジでうちに来るとは思わなかったぞ」

『ナイスでしょ?』



そう言って、ウィンクをするのは・・・同棲相手。

なお、人に会話を聞かれないように、こそこそしてたりする。



「いや、ナイスっつーかなんつうか・・・。でも、よくバレないよな」

『私の本当の顔は、一部の人間しか知らないもの。それに、言ったでしょ? 私のISならどんな物でもごまかせる・・・って。あなた以外は騙しきる自身、あるわよ?』

「そりゃすごいや。・・・で、いきなり通信をかけてきた用事はなに?」

『えっとね、今日は肉じゃがにするから、帰りに材料買ってきてちょうだい。材料の内訳は金剛に送ってるから』

≪届いていますよ。これはまた・・・美味しそうですね≫

『当然よ、これでも料理は得意なのよ?』










・・・どうやら、尻にしかれるのは決定らしい。さっそく主導権握られてるし。





ただ・・・なんだろうな。心地いいわ、こういうの。左手の骨、代価に差し出した価値は・・・あったかな。





未だに左手から外せないギブスを見つつ、俺はそう思った。




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



・・・そうして、とりあえず一日分のノルマは完了。書類の海をそろーりと抜け出して・・・布団に横になる。





そして、ため息ひとつ。ち、ちかれた。










≪お疲れ様です≫

「・・・そう思うなら手伝って」

≪手伝ってるじゃないですか。それも全力で≫

「そう・・・でした」



アルトが手伝ってくれても全然減らないって・・・どういう事だろ。



「僕達、どんだけむちゃくちゃしてたんだろうね」

≪相当・・・でしょうね≫



それだけやって・・・なーんにも守れてないって、どういうことだろ。

一応、分かってる。僕は選んだ。これは・・・その選んだ結果なんだって。だけと、やっぱり重いや。



「ま、いいか。じっくり考えていく」

≪そうですね。・・・偉そうな事言ったんですから、それを通せる道、探さなければいけませんよ≫

「うん」





起き上がって、パジャマに着替えようとした時・・・通信がつながった。





『はーい、元気〜』

「・・・元気が無いので通信切っていいですか?」

『つれないわね。せっかくあなたの保護責任者が通信をかけてきたのに』



見えるのは・・・翠色の髪に青い本局職員の制服。というか、提督服。

そう、通信モニターの中に居るのは・・・リンディさん。



『で、早速なんだけど・・・あなたに頼みがあるの』

「・・・あの、僕は今すさまじく忙しいんですけど。自業自得ではありますけど、忙しいんですよ。そういうわけなんで、無理です」

『そう言って通信を切ろうとするのはやめてっ!?
・・・大丈夫よ、引き受けるかどうかは、話を聞いてくれてから決めてもらっていいから』




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



・・・一応うなづいてはくれたけど・・・さて、どうなるかしら。





確かに話を聞くに相当な状態なのよね。というか・・・後ろに書類がどっさり見えたし。










『・・・失礼します。リンディさん、どないな感じでした?』



通信画面の中に映るのは、はやてさん。



「相当・・・ね。納得してくれるかどうかは、五分五分よ」

『まぁ、そうでしょうね。リインも心配しとりますから』



自業自得と言えば自業自得だけど、さすがにあの量は同情を禁じえないわ。私だって、あんな量は処理した事が無いもの。



「それで、はやてさん・・・そっちは?」

『こっちも相当・・・です。ライトニングの二人は問題ないんですけど、なのはちゃんとヴィータが・・・』



・・・ゆりかご内部での激戦のせいで、なのはさんとヴィータさんは重症。そして、その傷痕は深く、完治は当分先という状態。

それだけじゃなくて、部隊員の人達も・・・同じくね。まだ怪我の状態の人達も多い。そして、この状態でもし今回のような事件があった場合・・・六課が対処できるかどうか、非常に疑問。



『そういえば、恭文はどうなんですか? アイツもなんだかんだで怪我したでしょ』

「そっちの方は大丈夫。もう完治して、完全に動けるそうよ」

『ならよかった』



・・・なので、私とはやてさんが考えたのは・・・六課の人員を増やすという選択。今回の事件でダメージが少なく、現時点で動けてその上優秀な魔導師・・・恭文君を六課に出向させるという手。

あの子の能力の高さなら問題はないし、六課の主要メンバーと繋がりも深いから連携もばっちり。もう言うことが無いくらいにバッチリな人材。



『まぁ、問題は・・・アイツが引き受けてくれるかどうか・・・なんですよね。半年は居てもらうことになりますし、アイツの事やからなんか有って自分の動きやらなんやらとうちらの動きがそぐわない感じやったら・・・飛び出しますよ?』

「それなんだけど・・・はやてさん、ちょっと頼みがあるの」

『はい?』

「あの子が部隊に・・・局に入りたいと思うように、力を貸してくれないかしら。局員としての動き方に納得してもらえれば、そういう問題が起こる可能性も減ると思うの」



私がそう言うと、はやてさんが表情を苦くした。あの時のクロノと同じように。



『リンディさん、それは・・・無理ですよ。あんな事件起きた後に、局に入れって言うんは無茶ですって。うちが恭文の立場でも、絶対嫌言いますよ』

「・・・そうかも知れないわね。でもね、あの子・・・また同じことを繰り返すわ。このままだときっと・・・また。局を信じてもらう必要はないわ。ただ、私達は信じて欲しいの」

『・・・まぁ、理屈は分かりますし、一応話してはみますよ? ただ、期待はせんといてください』

「ううん、話してくれるだけでも充分よ。・・・ありがと」










・・・恭文君、あなた・・・もう変わっていいんじゃないのかしら。





きっと、今回の事件は、あなたにそれを教えるためのものだったのよ。





忘れても、下ろしても、あなたは・・・あなたが対峙したあの男のようにはならないわ。私達がさせない。





だから・・・変わりましょう? もう、あなたはあの人と同じ鉄でなくていいの。本当に幸せが欲しいなら、変わっていかなきゃ、ダメよ。




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



・・・えぇぇぇぇぇぇっ! ヤ、ヤスフミを六課にっ!?










「ま、またどうして・・・って、さっき言った通りなんだよね」

「そうや。リンディさんから話してもらう予定になっとる」



はやてに突然呼び出されて、なんだろうと思って話を聞いてみると・・・びっくりするようなものだった。

それは、今回の事件で本調子で動けない状態になった六課の戦力補強のために、ヤスフミを六課解散まで預かるというもの。



「ただ・・・なぁ」

「なにかあるの?」

「リンディさん、ヤスフミを局に入れる腹つもりらしいんよ。これで部隊の仕事も悪くない言う感じで思うように説得して欲しいって頼まれたわ」



・・・・・・どうして? いや、確かにヤスフミが局に入ってくれたら・・・すごく助かると思う。

能力は高いし、実際問題としてこれから変わっていく局にとっては必要な人材になる可能性もあるんだから。



「ほら、今回の事件でアイツ・・・フェイトちゃんも知っての通り相当無茶しとるやん」



機密情報漏洩に武装の無断持ち込み・・・あ、これは別にいいか。結果的に助けてもらったわけだし。

あと、地上本部に突撃して無断侵入・・・。正直、事件解決への貢献度が比較的高いと言うのと、始末書がとんでもない量と言う要素があるとは言え、それだけで済んだのは奇跡だと思う。



「アイツ、悪運だけはむちゃくちゃえぇからなぁ。で、やっぱり保護責任者としては色々思うたんちゃうかな? このままやと、今回と同じことを繰り返す。だから・・・局に入って、組織の人間として生きて欲しい。
もう過去の事は忘れて、下ろして・・・ヘイハチさんみたいな鉄であり続ける事を、やめて欲しい。そう言うてたわ」

「・・・そっか。なら、私から話してみるよ」

「なんや、フェイトちゃんもリンディさんと同意見か?」

「ちょっとだけ、違う」



・・・私、ヤスフミのお姉さんだから・・・分かってる。ヤスフミが忘れたり、下ろしたり・・・そういうのが嫌だって思う気持ち。家族になってから、ケンカしたり、話したりして教えてもらってるから。

もちろん、すごく心配。ヤスフミ、いつも無茶するし、飛び込むし。今回だって・・・本当に重い物をまた背負った。だから、心配。なんでだろう、感じてる不安・・・危機感、全然消えてくれないよ。



「だからね、あくまでも選択のひとつとして・・・どうかなって話してみる。これからきっと局は・・・組織はいい形に変わっていく。だから、そうしていこうとする人達を信じてみないかな・・・って感じで。
忘れるとか、下ろすとかは、また別問題だと思うから。というかね、実際に部隊で長期間仕事してみれば、色々考え変わるんじゃないかな。居場所を作って、それが大事になって・・・ヤスフミにとっては、いい機会になると思う」

「・・・それで、どうしても嫌や言うたら、どないする?」

「どうしようかな。・・・わからないよ。やっぱり、話してみてからだね。一緒の部隊に居れば、それも出来るだろうから」










ひとつの戦いは終わった。そうして・・・始まるものが目の前に現れた。





なんだろう、こう・・・それがすごく嬉しかったりする。




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



・・・そうして、やってきましたよ。本局。あぁ、ほぼ二週間ぶりの外だぁ。





うぅ、自宅警備員辛かったー! 外の空気が美味しいよー!!










「・・・アルト」

≪はい?≫

「僕、リンディさんの頼みを遠慮なくへし折ったらね、ヒロさんとサリさんとさらば電王見に行くんだ」

≪・・・本当に見たかったら、その死亡フラグっぽい発言はやめてください≫

「大丈夫だって。事件を超えた直後だよ? この程度は平気平気」





本局の通路を歩きながら、そんなバカな会話をする。そして、やってきました提督室の前。



なんのタメも感慨もなく、僕はすーっと入る。





「しつれーしまーす。リンディさん、話ってなんですか?」





そうして、踏み出した。





「あなた、タメも感慨もなくいきなりそれって・・・あぁ、まぁいいわ。それなら、早速説明するけど・・・・・・」










踏み出したのは、新しい時間。戦いは終わりを告げ・・・始まるのは日常。





そう、この瞬間、僕とアルトの新しい日常が、始まったのだ。




















(Mission Complete 『とある魔導師と機動六課の日常 第1話』へ続く)




















おまけ:ちょこっとだけのみっしょん・あふたー




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



・・・季節は飛んで12月。まぁ・・・あれだよ、恭文くんとフェイトちゃんがデートして、隊舎のヒロリスさん達と騎士甲冑を作る作らないって話をした後だと思って?





で、簡潔に現状を説明すると・・・恭文くんとフェイトちゃんとリインちゃんがすごく真剣な顔で、私とお母さんと対峙してます。










「・・・いきなりですけど、あの話・・・返事に来ました」



瞬間、恭文くんが頭を抱えた。そして、テーブルに突っ伏す。



「あれ、おかしいな。ここは僕の家なのに・・・あれ? なんでこんな余所行き表現? おかしい・・・絶対おかしいからこれっ!!」

「ヤスフミ・・・あの、落ち着いて? 大丈夫、すぐにクロノが来てくれるから。もう少しの辛抱だよ」

≪・・・さすがに来ますよね。実の家族に占領ですし≫



あ、あははは・・・なんか辛いなぁ。お願いだから、泣かないで欲しいなぁ・・・。



「あ、あの・・・なんというか、ごめんね。いや、まじめに私は悪いと思ってるよ? うんうん」

「恨むなら、クロノを恨んでね」

「うっさいわバカっ! つーか、占領してる張本人がなに言いますかっ!!」



そんな若干不機嫌になった恭文くんを、フェイトちゃんがなだめる。恭文くんの半泣き状態な顔に、チクンと胸が痛む。

いや、さすがに・・・ねぇ? 私にだって罪悪感ってあるわけですよ。



「と、とにかく・・・この間の答えですけど」

「・・・アルトアイゼンとリインちゃんと、相談したのよね」

「はい、相談されました」

≪それで、結論を出しました≫



その言葉に、私とお母さんは顔を見合わせる。そして・・・微笑む。・・・これで、大丈夫かな。フェイトちゃんも安心した表情浮かべてるし。

今まで、本当に頑張ってきたんだもん。もう・・・きっとこれくらいのことは、許されるよ。このまま幸せになれないなんて、家族としては嫌だしね。



「そう。・・・それで、これからどうするつもり?」

「うーん、局員になるかどうかは別として、やりたいことは探してる最中ですけど」

「私も相談に乗ってるんだ。・・・あとね、母さん、エイミィ」



・・・なに?



「あ、そこは僕が言うよ。・・・僕、忘れませんから」



瞬間、場が固まった。私もお母さんも、完全に固まる。



「・・・私達の話、通じてなかったのかしら」

「違います。・・・忘れず、下ろさず、その上で変わります。それが、僕の・・・いいえ、僕と、アルトと、リインの答えです」

「ちょ、ちょっとまったっ! なにそれっ!? あのね恭文くん、世の中ってそんな甘くないからっ!!
なんでそこまで忘れない方向で考えるのっ!? 辛くて、苦しくて、重いものだよねっ!!」

「・・・・・・もしも、この間の事を気にしてその選択を取るのだとしたら、それは認められないわ。ねぇ、どうしてそんな風に考えるの? まだ償いが必要だと言うなら、それは間違いよ。
あなたが忘れる選択を取っても、誰も責めない。人を殺した人間は狂うというけど・・・あなたは忘れても狂ったりはしないわ。もしそうなっても、私達が絶対に止める。お願いだから、私達の言う事を・・・信じてくれないかしら」

「あ、無理です」



即答っ!? あ、あの・・・それは家族としてはショックなんですけどっ!!



≪信じる信じないどうこうの問題じゃありませんよ。・・・リンディさん≫

「なにかしら」

≪あなた、ケンカ売ってるんですか?≫



いきなり飛び出してきたのは、そんな辛らつな言葉。普段とは全然違う、明らかな怒りのこもった言葉が、私達にぶつけられた。



≪狂うのは、忘れた人間です。例外など居ませんよ。重さを、事実を、下ろして、忘れて・・・そうした人間が、狂うんです。そして、あの男のようになります≫



誰のことを言ってるかわかった。恭文くんが事件中に戦って・・・殺したって言う犯罪者だ。そうとうアレだって言ってたし。



≪あなた・・・私のマスターをそんな人間にしたいんですか?≫

「そうならないために、私達がそばに居る。そばに居て・・・守ると言っているの。それの何がいけないのかしら」

≪いけませんね。というより、余計なことを言わないでください。この人馬鹿なんですから、無駄に迷ったじゃないですか。この人の答えは・・・もう8年前に出てます。そうですよね?≫

「うん。・・・すみませんけど、なんと言われようと忘れることも、下ろすことも出来ません。全部必要で、幸せですから」



恭文くんが、右手を胸元でギュっと握る。



「重いだけじゃない、辛いだけじゃないんです。あの時のこと、どれか一つでも忘れたら、意味が無いんです。アルトと会って、マスターとして認められた事。リインと会って、繋がった事。その大切な記憶まで、一緒に消えちゃうんです。そんなの、絶対に嫌なんです。
全部、あそこから始まってる。だから、忘れません。だけど、自分の先のこと、絶対に諦めません。変わらないけど、変わって行く。そんなわがままを通します」

≪すみませんが、それが・・・私達の、古き鉄の答えです。わがままでも、私達が通したい、私達の答えです。忘れて、下ろした上で得られる幸せなんて、私達には必要ないんですよ≫

「今日までの記憶の全ては必要で、幸せで・・・いっぱい、いっぱい笑顔で居られる未来に繋がっている。それを証明する。一人じゃなくて・・・三人で戦って、その未来を掴む。そう決めました。8年前に、本当の意味で私達が繋がった時に、三人で決めたんです。
これが私達の変わらない、変えられない願いと答えです。だから、リンディさん達の言うようなことは、出来ません。私達が欲しいのは、忘れて得られる未来じゃなくて・・・忘れないで、そこから手を伸ばして掴める今です」



リインちゃんまで・・・。あぁもう、どうしてこうなるのかな? 私も母さんも分かってくれるもんだと思ってたのに・・・。



「・・・ねぇ、フェイト。あなたはどう思うの?」

「私?」

「私は・・・こんなわがまま、認めるわけにはいかないと思ってる。だって、あまりにも勝手過ぎるんですもの。あなたは・・・どう?」

「私は・・・」





まぁ、フェイトちゃんは・・・こっち側だよね。散々恭文くんを心配してたわけだし。





「ヤスフミとアルトアイゼンとリインの気持ち、尊重したいと思ってる」





その言葉に、私とお母さんは驚きを隠せなかった。





「わがままで、いいと思ってる。勝手でいいと思ってる。全部抱えて、そうして進んでるヤスフミの方が・・・私は好きだから」










だ、だって・・・あの・・・えぇっ!?




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「・・・という感じでぶった斬られてさ、もう私もお母さんも何にも言えなかったんだよ」





時間が飛ぶ。母さんとエイミィを迎えに行った時に。もっと言うと、24話で和解して焼きそばを作り始めた時に。

・・・あれ? なぜ僕はこんな説明セリフを。



とにかく、僕がここに来るまでの間に起こった変化を色々と聞いていたが・・・やはりそういう選択を取ったか。まぁ、予想はしていた。





「本当にあの子達は・・・。どうしてあぁ勝手というか、ワガママというか」

「母さん、仕方ありませんよ。忘れろと言うのは、酷です。母さんも魔導師なら、分かってるはずですよね」



キャベツを苛立ち混じりに刻む母さんにそんな話をする。なお、僕はにんじんの皮を剥いている。



「えぇ、分かってるわよ。でも、私やヘイハチさんの時とは違う。もう時代は変わってるし、十分すぎるくらいに時間も・・・経った。それでなぜその選択が取れないのかが、疑問なの」

「では聞きますが、恭文やアルトアイゼン、リインがその選択を取れると思ってたんですか?」

「・・・正直に言うと、思ってなかったわ。ただ、言わずにはいられなかったのよ。あの子があまりに強くて、そして・・・頑なでね。例え馬鹿な事だって分かってても、言わずにはいられなかったわ」



それから、母さんは黙った。ざくざくと、キャベツを刻む音だけが響く。あと、僕とエイミィが野菜を切り始めたから、その音か。



「・・・きっと、大丈夫でしょう」

「クロノ君、その自信有りげな発言の根拠はなに? 正直、恭文くんは私から見ても相当危ういと思うんだけど」

「一人ではないからだ。・・・アイツには、共に道を行くパートナーが二人も居る。本当の意味で心を一つにして、戦える相棒が二人も居るんだ。だからきっと・・・大丈夫だ」



















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



年が明けて、色んなことがあって・・・それをようやく超えた時のこと。





私は、はやてちゃんにある相談を持ち出す事にしました。仕事が終わって、隊員寮の自分の部屋で本を読んでいる所に突撃して、お話です。










「・・・はぁっ!? リイン、それマジで言ってるんかっ!!」

「マジ・・・です。リイン、六課が解散したら、恭文さんの所で暮らしたいです」



はやてちゃんが完全に呆気に取られたような表情で私を見ます。まぁ・・・予想はしてました。



「よし、理由を聞こうか。まずそこからや。そうやないと、うちは何の判断も出来ん」

「・・・恭文さんの傍に、居たいんです」

「いや、確かにアンタが恭文めっちゃ好きなのは知っとるよ? でもさすがに」

「傍に居て、手が届く距離に居て・・・守りたいんです」



そうして思い出します。あの時の事を。



「恭文さん、言ってました。JS事件の時、フェイトさんの傍に居て守れなかったのが悔しかったって。それが全部じゃないけど、傍に居て初めて出来る事や、守れることもあると、痛感したって言ってたんです。
リインも・・・同じなんです。あの時、リイン・・・本当は六課の仕事を放り出してでも、恭文さんの傍に行きたかったんです。心と体温が感じ取れる距離で、私の小さな腕でも、伸ばしたら触れられる位置に居たい。ずっとそう思ってました」



私は、古き鉄の・・・恭文さんの一部。だって、私の今は、私の笑顔は、全部あの時恭文さんが守ってくれたから、ここにある。・・・好き。どうしようもないくらい、自分でもおかしいんじゃないかって思うくらい、恭文さんが・・・好き。

それに、私はあの時言った。変わらないで、変わっていけばいいと。そんなわがままを通していく私の・・・私の大好きな人の支えに、なりたい。あの時、決まった。これから私は・・・どうすればいいのか。



「だから、そうしたいんです。傍に居るからこそ出来る事をしたいんです。傍に居るからこそ守れる物を守りたいんです」

「リイン・・・」










お話し合いは、きっと難航。嵐の予感がひしひしとします。





でも、私は・・・もう決めました。だから、迷いません。必ず通します。




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「・・・母さんとエイミィ、あの時すごい勢いであんぐりしてたね」

「予想外もいい所だったんでしょ。きっとアレだよ、アルトとリインが『・・・もういいんじゃないですか?』なんて答えると思ってたんでしょ」

「あ、なんだか分かる。でも、実際は違ったね」

「なんというか・・・これからも二人にはお世話になりまくるんだろうなぁ・・・」





時間は再び飛ぶ。今の時間は、新暦76年の2月の初め。もっと言うと・・・30話のおまけの時のフェイトとのお布団の中でのお話。



フェイトと・・・恋人同士でコミュニケーション中。そんな中、ある種の宣戦布告をした時の話になった。





「・・・でも、どうして迷っちゃったの?」

「へ?」

「実を言うとね、話を聞いた時から普段のヤスフミなら、一人でも一蹴しそうだなって思ってたんだ。だから、ちょっと不思議で・・・」



・・・理由は、色々ある。



「まず、レジアス中将やらゼストさんに・・・啖呵切ったわけですよ。どこぞのガンダムの主人公張りに。でも、僕・・・全然事件のとき、大事なもの守れてなくてさ。
それで改めて、僕が本当に守りたいもの・・・なんだろうなって考えた」

「私・・・だよね」

「うん」



僕がそう言うと、フェイトが顔を赤らめて、小さく『ありがと』とつぶやく。な、なんか・・・気恥ずかしい。



「あと・・・ね、アイツに・・・言われたんだ」

「アイツって・・・フォン・レイメイ?」

「うん」

「なんて・・・言われたの?」

「・・・僕は、自分と同じ・・・こちら側の人間だって」



別に、衝撃なんて受けてない。ただ・・・心に残った。



「例えば、僕がフェイトを好きだって言うのも錯覚で・・・フェイトが特殊な生まれをしてて、そのコンプレックスを埋めて、その代価に・・・フェイトを自分の物にしたいって考えてるとか」

「そんなこと・・・言われたんだ」

「うん。それで・・・フェイトとお泊りデートの時にあれこれ話して、必要なのかなって、変わること。その中で・・・もしかしたら下ろすこと、忘れること、必要・・・なのかなって、揺らいだの」



いや、実際に変わる事は必要・・・だったんだけどさ。ただ、それがどういう形にすればいいのか、アルトとリインに話すまで全然分からなくて、それで・・・アレですよ。



「今はもう、大丈夫?」

「うん、大丈夫。ちゃんとどうしたいのか見えてるから。忘れずに、下ろさずに、なりたい形見えてるから。・・・フェイトの騎士になって、フェイトの事、守るよ。それが僕のやりたいことだから」

「・・・うん、ありがと。あ、それと・・・あのね」



・・・なに?



「ヤスフミの好きは・・・本物・・・だと思うよ。ヤスフミが言われたような、嘘な好きじゃない」

「・・・そう、思う?」

「うん。だって、そうじゃなかったら私・・・今、こうやってヤスフミと、その・・・手をつないで一緒に寝たりなんて・・・してないよ。好きって言ってくれる度に、泣きそうになるくらい嬉しくなったりなんて、絶対しない。
ヤスフミと・・・恋人同士になりたいなんて、絶対に思わない。好きになったりなんて、絶対にしないよ。だから・・・自信、持って? 私が、その言葉を・・・嘘にし続けるから」



僕は、その言葉にうなづく。だって、あの・・・すごく嬉しいから。



「あの・・・ありがと」

「うん。・・・じゃあ、暗い話はおしまいにして、別の話しようよ。あ、あの・・・本当に私が言ったのってアブノーマルなの?」

「まだそこいくのっ!?」










・・・僕は、変わる。だけど、変わらない。





もう答えは出ている。僕が何をして、どこに行きたいかという問いかけに対する、大切な・・・大事な答えが、ちゃんと胸の中にあるから、それに従って、前に進んでいく。





変わることはもう恐れない。だけど、変わらないものも大事にする。そうして、今よりももっと強くなる。





その強さで、目の前の大好きな人の今と笑顔を、絶対に・・・絶対に、守り抜く。それが、僕の答えだから。




















(本当に続く)




















あとがき



古鉄≪・・・さて、ついに完結したJS事件話、みなさんいかがだったでしょうか? さて、今回のあとがきは当然私、古き鉄・アルトアイゼンと≫

フェイト「え、えっと・・・結局レギュラー化しているフェイト・T・ハラオウンです。でも・・・ついに終わったね」

古鉄≪はい。なお・・・おまけは元々考えていたんですよ。今回はマスターだけではありますけど。あ、これでセカンドシーズンのおまけとかで、ヒロさんとナンバーズとの絡みを書いたりも出来ますね≫

フェイト「あと、ドゥーエさん・・・とかだね。こう考えると、このお話を完結させることで出来るようになったこと、結構多い?」





(そうして、流れるファンファーレ。どうやら、正解と言いたいらしい)





フェイト「でも、話の流れだと・・・ヤスフミがレジアス中将なり騎士ゼストとの絡みなり、フォンとの事で後悔を背負って・・・母さんが心配して・・・」

古鉄≪六課という部隊に常駐する形で局を見れば、少しは変わるかも知れない・・・という考えもあったわけです。まぁ、実際は別の項目で変わりましたけどね。そうそう、変わったと言えば・・・≫

フェイト「な、なに・・・?」





(青いウサギ、閃光の女神を見ながらにやにやする)





古鉄≪あなた、30話のおまけで・・・言っちゃいましたね。『やら(おでん、全部くださいっ!!)』って≫

フェイト「い、言ってないよそんなことっ!!」

古鉄≪なら、アレはどう解釈すればいいんですか? 『「これから朝まで・・・いっぱい、いっぱい、ヤスフミにえっちなこと・・・するんだから」』・・・というのは≫

フェイト「声真似しながら言うのはやめてくれないかなっ!? あ、あの・・・あれはその・・・恋人同士のコミュニケーションだからいいのっ! アルトアイゼンが言ってるのは、付き合う前からそういうことしちゃうってことだよねっ!!」





(詳しくは、前回のあとがきをごらんください)





古鉄≪いいじゃないですか。やっちゃうのは間違いないんですから≫

フェイト「そういう言い方しないでっ!!」

古鉄≪じゃあ、どういう言い方がいいんですか?≫

フェイト「え、えっと・・・コミュニケーションする・・・とか、仲良くする・・・とか、そういうのの方が・・・って、私は何言ってるのっ!?」





(それはそれで・・・エロい)





フェイト「エロくないですからっ! と、とにかく・・・これでJS事件話も終わりだよねっ!!」

古鉄≪そうですね、ギンガさんルートも書きあがりましたから・・・これからいよいよセカンドシーズンですよ≫





(なお、この話を書いている段階ではセカンドシーズンは始まっておりません)





古鉄≪この話があって、そこからファーストシーズンが始まって・・・そしてセカンドシーズンです。さて、フェイトさん意気込みはありますか?≫

フェイト「あの、ヤスフミと恋人同士になったから・・・いっぱい、がんばりたいなと」

古鉄≪エロですか?≫

フェイト「エロじゃないよっ! あの、普通のコミュニケーションをいっぱい・・・うん、頑張りたい。今までヤスフミに負担かけてた分を取り返せるように」





(閃光の女神、なんだか気合十分。セカンドシーズンは色々盛り上がる・・・かも)





古鉄≪さて、フェイトさんの気合も十分なところで、そろそろ締めたいと思います。みなさん、このお話に最後までお付き合いいただいてありがとうございます。
今度は本編でお会いしましょうっ! お相手はフェイトさんってやっぱりエロいと思う古き鉄・アルトアイゼンとっ!!≫

フェイト「だからエロくないよっ! いたってノーマルなフェイト・T・ハラオウンでしたっ!! うぅ、最後までこれなんておかしいからー!!」










(最後までこんな感じの二人を映しつつ、カメラ・フェードアウト。
本日のED:このお話のテーマソングっぽい曲で『abingdon boys school STRENGTH』)




















フェイト「エロく・・・ないのに」

恭文「ま、まぁまぁ・・・。あの、でも・・・さ。そういう大人なコミュニケーションしてるくらいは、エロくていいじゃん。フェイトだけじゃなくて、誰でもそうだって」

フェイト「・・・ヤスフミも?」

恭文「ま、まぁ・・・僕も経験無いから、よく分からないけど・・・多分。あと、その・・・僕だけにそういうの見せてくれるなら、フェイトがエロくても・・・いいよ?」

フェイト「そ、それは恥ずかしいよっ! あの、恋人同士ではあるけど、そういうのあの・・・恥ずかしいっ!!」

恭文「・・・なら、なぜ押し倒した? そして、あのアウトな行為は?」

フェイト「あれはそういうのとは違うからいいのっ!! ・・・でも、ありがと。みんな同じなんだよね。うん、そう考えたら・・・少し楽になった」

恭文「ならよかった」

古鉄≪・・・ミッション話の締めがこれっておかしくありません?≫

アメイジア≪そんなにいちゃいちゃしたいのかよ≫

金剛≪せめて我らがしっかりするぞ。・・・皆様、応援ありがとうございます。次は本編や番外編でお会いしましょう≫

古鉄・アメイジア・金剛≪いつかっ! 未来でっ!!≫










(いつか、未来で)







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