小説(魔法少女リリカルなのは:二次小説) Battle67 『Mな奴ら/月神獣対修羅』 ※TURN10→11 恭文 ライフ×4 リザーブ×0 トラッシュ(コア)×3 コア総数×12 バースト×1 手札×3 デッキ×28 スピリット:ワン・ケンゴー レベル3・BP6000(コア×1 効果によりレベル3扱い) サンク・シャイン レベル3・BP12000(コア×5 ベオ・ウルフとブレイヴ 疲労状態) ネクサス:英雄皇の神剣 レベル1(コア×0) 英雄皇の神剣 レベル1(コア×0) 不死山 レベル2(コア×3) ↓ ↓ TURN11メインステップ開始時 ライフ×4 リザーブ×4 トラッシュ(コア)×0 コア総数×13 バースト×1 手札×4 デッキ×27 スピリット:ワン・ケンゴー レベル3・BP6000(コア×1 効果によりレベル3扱い) サンク・シャイン レベル3・BP12000(コア×5 ベオ・ウルフとブレイヴ) ネクサス:英雄皇の神剣 レベル1(コア×0) 英雄皇の神剣 レベル1(コア×0) 不死山 レベル2(コア×3) 響(アイマス) ライフ×3 リザーブ×0 トラッシュ(コア)×11 コア総数×13 バースト×1 手札×2 デッキ×26 スピリット:カキューソ レベル1・BP2000(コア×1) ミオガルド・ランゲツ レベル1・BP7000(コア×1) ネクサス:英雄皇の神剣 レベル1(コア×0) ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 前回のあらすじ――ついにミオガルド・ランゲツが召喚された。しかし響は動かずターンエンド。 そうして恭文のターン。恭文はサンク・シャインとワン・ケンゴーにリザーブのコアを二個ずつ載せる。 ランゲツの効果にはコアシュートもあるため、そこを警戒したものと思われる。そうしてサンク・シャインでアタック。 響はカキューソでブロック。だがランゲツ召喚の隙を突かれる形となり、フラッシュタイミングでのコア外しは不可能。 そのままカキューソが破壊され、刃狼ベオ・ウルフの効果によりライフからコア二個がリザーブへ置かれる。 しかし響はバースト発動――セットしていた双光気弾により、二枚ドロー。その後フラッシュ効果を発動。 コスト2をリザーブから払い、合体中のブレイヴ――ベオ・ウルフを破壊する。ここでターンエンド。 恭文にしては甘めな攻め――宣言通りにランゲツの全力を受け止めるつもりだろう。 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ ベオ・ウルフが破壊されたか。だが響のライフは残り一個――つい手に汗握ってしまう。 とはいえそれだと汚いので、ポケットからハンカチを取り出す。汗はさっと拭っておく。 一応女性も多い職場だから、こういうところに気遣うのは習慣みたいなものだ。 「……やすみー、使わせたって感じかなー」 「使わせた? えっと、布仏さんだったな。それは一体」 「双光気弾って制限カードだから、あれがなくちゃっちゃうとブレイヴ外すの大変だしー」 なるほど。ベオ・ウルフで攻め立てて、双光気弾を使わせたと。だがドロー二枚は大きいと思うんだが。 いや、相手は運命力ブーストがデフォなんだ。それなら……そこで少し寒気を感じる。 八神君は場をコントロールする事で、相手の運命力そのものを弄りにきている。そういう感じがするんだ。 だからこその『使わせた』。というか、熊な地尾さんも言っていたじゃないか。 ミオガルド・ランゲツに備えて、慎重にキースピリットを排除していったと。 一種の詰め将棋に近い技だが……なるほど、運命に立ち向かうための戦略か。 神のカードによる低下補正を受けない八神君だからこそ、できる戦法なのかもしれない。 バトルの仕方がやはり変わっている。だが……それは決して怖いものじゃない。八神君はこの状況でも笑っている。 合宿の時と同じく、バトスピを楽しんでいるんだ。そこだけは絶対に変わらないし、変えていない。 だから布仏さんやネーモン達も、安心して見られるんだと思う。 「でもライフ残り一つ……響はどうやって守るつもりかしら」 「そこもひびきんが、双光気弾で増やした手札次第かなー。でもセイバーの兄ちゃん、楽しそうだなぁ」 「ほんとほんとー。全力で楽しみにいってるよー」 「順二朗とバトルしていた時も同じだったな。度胸があるというか、なんというか」 まぁそんな様子が響にはキツいんだろうが。とにかく次のターンだ。ランゲツ……どう動く。 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ ※TURN11→12 恭文 ライフ×4 リザーブ×0 トラッシュ(コア)×0 コア総数×13 バースト×1 手札×4 デッキ×27 スピリット:ワン・ケンゴー レベル3・BP6000(コア×3 効果によりレベル3扱い) サンク・シャイン レベル3・BP9000(コア×7 疲労状態) ネクサス:英雄皇の神剣 レベル1(コア×0) 英雄皇の神剣 レベル1(コア×0) 不死山 レベル2(コア×3) 響(アイマス) ライフ×1 リザーブ×1 トラッシュ(コア)×13 コア総数×15 手札×4 デッキ×24 スピリット:ミオガルド・ランゲツ レベル1・BP7000(コア×1) ネクサス:英雄皇の神剣 レベル1(コア×0) ↓ ↓ TURN12メインステップ開始時 ライフ×1 リザーブ×15 トラッシュ(コア)×0 コア総数×16 手札×5 デッキ×23 スピリット:ミオガルド・ランゲツ レベル1・BP7000(コア×1) ネクサス:英雄皇の神剣 レベル1(コア×0) バトルスピリッツ――通称バトスピ。それは世界中を熱狂させているカードホビー。 バトスピは今、新時代を迎えようとしていた。世界中のカードバトラーが目指すのは、最強の称号『覇王(ヒーロー)』。 その称号を夢見たカードバトラー達が、今日もまたバトルフィールドで激闘を繰り広げる。 聴こえてこないか? 君を呼ぶスピリット達の叫びが。見えてこないか? 君を待つ夢の輝きが。 これは世界の歪みを断ち切る、新しい伝説を記した一大叙事詩である。――今、夢のゲートを開く時! 『とまとシリーズ』×『バトルスピリッツ覇王』 クロス小説 とある魔導師と閃光の女神のえ〜すな日常/ひーろーずU Battle67 『Mな奴ら/月神獣対修羅』 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ メインステップに入る響はそれとして、さっきのターンで引いたカードをチェック。 ジャスティスがくれたデッキのサイドに入っていた、赤のブレイヴ。てーかあの時イビツが見せてくれたものだった。 効果的にサポも余りできないから、余った枠に入れる感じだったんだけど……使えって事か。 あとはタイミング次第かねぇ。さて、どうくる。 「メインステップ! ランゲツをレベル3・BP18000にアップ!」 そこで響はランゲツにコア五個を移動させ、宣言通りレベルアップ。 更に手札から、ずっと握っていたワン・ケンゴーを取り出す。いや、更に続けてきた。 「ワン・ケンゴーをコスト1・レベル1で召喚だぞ! 続けてブタ太郎をコスト1・レベル2で召喚するぞ!」 二体目のヒノシシが現れ、炎輪をくぐりながらも鈍く吠える。 「ブタ太郎の召喚時効果! 自分はトラッシュにある、バースト効果を持つスピリット――レオ三郎を手札へ戻すぞ!」 『説明しよう。響が回収したのは刀の覇王ムサシード・アシュライガーです』 分かりにくいかもしれないけど、みんなにはもう慣れてほしい。 響はトラッシュから出てきたアシュライガーをキャッチし、手札を四枚へ戻す。 「バーストセット!」 でもドヤ顔でカードはバーストセット。しかも持ったアシュライガーをそのまま……分かりやすすぎる。 「ここで英雄皇の神剣、レベル1・2効果発動! 自分がバーストをセットした時、一枚ドローだぞ!」 響の手札が減らない――手札四枚のまま、響は次の手を打ってくる。 「マジック、爆烈十紋刃をコスト2で発動! 自分のトラッシュにある、バースト効果のあるカード一枚を手札へ戻す!」 そこで響が右手をかざし、炎で渦巻くトラッシュへ宣言。さぁなにがくる、キンタローグ……それとも。 「マジック、絶甲氷盾を手札へ戻すぞ!」 そこで場に置かれた爆烈十紋刃と入れ替わりに、絶甲氷盾がトラッシュから浮かび上がる。 響はそれをキャッチし、手札へと加える。手札交換と同じなので、手札が三枚なのは変わらず。 なるほど、スピリットじゃなくてマジックもOKだったね。それでなんとか凌ぐつもりか。 「更に砲凰竜フェニック・キャノン、コスト2で召喚――ランゲツへ直接ブレイヴだぞ!」 『説明しよう! ランゲツは全色のコアを一つずつ持っている! そのため赤以外も白の軽減を埋め、フェニック・キャノンはコスト2で召喚できるのだ!』 虹色のコア五個が収束し、赤コアへと変化。それが回転しながら弾け、フェニック・キャノンとなる。 カードが重ねられた瞬間、ランゲツを中心に赤の螺旋が迸る。 それによりフェニック・キャノンはコアへと戻り、ランゲツの胸元へと装着される。 合体というよりは吸収――ランゲツはこちらへにやりと笑い、逆袈裟に刃を振るう。 「フェニック・キャノンの召喚時効果! BP4000以下のスピリット一体とネクサス一つを破壊するぞ! スピリット破壊は空打ちだけど、その代わり英雄皇の神剣を一枚破壊!」 斬撃から赤い閃光が放たれ、それが僕の場へ直進。ボードを左へ動かし射線上から退避する。 スピリット達の脇を掠めながら、熱線のような斬撃が英雄皇の神剣一つを撃ち砕く。 発生する爆発と炎に目を細めていると、ボード上のカードもトラッシュへ送られた。……じゃあ。 「その召喚時効果、もらった!」 「なに!」 「バースト発動!」 響は召喚時効果持ちなスピリットやブレイヴを多く入れている。 それはこれまでのバトルで分かったので、セットしといて正解だった。 そしてこれを、ヒノシシの召喚時効果で発動させなかったのもだ。嫌な予感がしたんだよねぇ。 展開したバーストをキャッチしてかざすと、背後で炎の無限マークが描かれる。 「双翼乱舞! デッキから二枚ドローし」 バースト効果でドロー――これにより手札は七枚となる。でもまだまだいくよー。 「更にコスト2でフラッシュ効果発揮! コストはサンク・シャインから支払う!」 サンク・シャイン上のコア七個から、二個がトラッシュへ送られ効果発動。すかさず追加ドローし、手札は八枚となる。 「デッキから二枚ドロー!」 「く……! どうしてヒノシシの時に発揮しなかったんだ! 召喚時効果はあったぞ!」 「さぁねぇ、気まぐれと言うしかないわ」 「ターン、エンドだぞ! でもそんな口が叩けるのもここまでだ! 次の自分のターンで、自分達の恐怖をたたき込んでやる!」 響、悔しいでしょ。僕がそのタイミングで発揮してたら、バーストがなくなってワン・ケンゴーはレベルダウン。 結果フェニック・キャノンで破壊できるBPになっていたもの。結局はネクサス一枚を壊しただけで終わるんだから。 ……おのれがなんのためにヒノシシを召喚したか、それはもうお見通しよ。アシュライガーのためだけじゃないでしょ。 あれは召喚時効果のバーストがあるかどうか、確かめるためだよ。狙いにくい分、出たら即発動ってパターンが多いから。 まぁ実際危なかった。でも……慎重になれ。補正力がない分、詰め将棋の如く誘導していかなかったら意味がないんだから。 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 響はドヤ顔だが、そのプレイングにはみんな驚かされた。まさかそこでキンタローグじゃないとは。 「ねぇ、これはどう見てもミスよね。ほら、キンタローグがあったもの。あれを回収すれば」 「ううん、あれは正しいプレイングだよ」 「はぁ!? なんでよ!」 「律子……さんは絶甲氷盾の効果を忘れてるの。あれは次のターンを凌ぐためだよ。 最悪場が全滅させられても、アタックステップ終了で止められるから」 「……プロデューサー殿ー!」 「落ち着けって。それにほら、八神君も手札が十枚近くあるんだぞ」 画面を指差すと、律子が涙目で頷く。 「やっぱりアシュライガーやキンタローグがやられたみたいな、カウンターを警戒してるんだよ。 だからまず、反撃がきた時の備えを整えている。ランゲツの召喚と使用コア数――それで気持ちに余裕が出たみたいだな」 「ボクも同感だねぇ。でもそれって黒髪ポニテちゃんが、ランゲツに依存してるって証明でもあるんだけど」 地尾さんの言葉には根拠がある。ランゲツを見る響の目は、あの時の順二朗元社長にかぶってるんだ。 期待と安心――そんなものを一心にランゲツへ預けている。自分で守らなきゃいけないものも含めてだ。 「本来なら爆烈十紋刃で絶甲氷盾をセットし続け、凌ぐってのが正しいんでしょうけどね。 どちらもフルにセットして、一回のバトルで使い切るなら……響のライフは『十一個』あるのと同じだから。あとは」 「デコちゃん的に気になるところがあるの?」 「デコちゃん言うな。……増えた手札で更に場を整えるでしょうしね。それに響がどうアタックするか」 「うん、確かに気になるね」 アタックでブレイヴが外されるかもしれないし、響にはプレッシャーだろう。 だが八神君とのライフ差もあるし、そこを考えるとそろそろ削っておきたいところではある。 ……バトスピはアタックステップ後はそのままターンエンドだから、アタックに勇気がいるゲームだと思う。 どんなに順調でもアタックしたから負ける事もあるし、逆にアタックしなかったから返しで負ける事もある。 八神君は多数の手札とライフ差で、響に圧力をかけていた。ここまで慎重なプレイングを心がけていたのが効いている。 あとはランゲツの効果もある。ランゲツはスタートステップ時、選択した色に応じた効果を発揮する。 それは八神君の黄色デッキにあった、連鎖(ラッシュ)を使い分けられるというもの。 ……だがその効果はレベル2からだ。現在のランゲツがバトルしても、ただアタックしているにすぎない。 なので響はターンエンドを宣言した。次響のターンが回ったら、本当に本気が見られる。 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ ※TURN12→13 恭文 ライフ×4 リザーブ×0 トラッシュ(コア)×2 コア総数×13 手札×8 デッキ×23 スピリット:ワン・ケンゴー レベル2・BP4000(コア×3) サンク・シャイン レベル3・BP9000(コア×5 疲労状態) ネクサス:英雄皇の神剣 レベル1(コア×0) 不死山 レベル3(コア×3) ↓ ↓ TURN13メインステップ開始時 ライフ×4 リザーブ×3 トラッシュ(コア)×0 コア総数×14 手札×9 デッキ×22 スピリット:ワン・ケンゴー レベル2・BP4000(コア×3) サンク・シャイン レベル3・BP9000(コア×5) ネクサス:英雄皇の神剣 レベル1(コア×0) 不死山 レベル3(コア×3) 響(アイマス) ライフ×1 リザーブ×0 トラッシュ(コア)×6 コア総数×16 バースト×1 手札×3 デッキ×22 スピリット:ミオガルド・ランゲツ レベル3・BP28000(コア×6 フェニック・キャノンとブレイヴ) ワン・ケンゴー レベル3・BP6000(コア×1 効果によりレベル3扱い) ヒノシシ レベル2・BP3000(コア×3) ネクサス:英雄皇の神剣 レベル1(コア×0) ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 第十三ターン――スタートステップにランゲツ、レベル2〜4効果発動。 色を一つ選択する。このスピリットと選択した色の自軍スピリットは、色がないものとして扱う。 更にこのターン中、合計六つある『このスピリットのバトル時』効果のうち、いずれか一つを得られる。 その効果の全てが連鎖――そう、ランゲツの本気とは連鎖(ラッシュ)を自発的に発動する事だった。 なので響は赤を選択。それによりランゲツはバトル時、赤の連鎖効果を発動できるのだ。 赤の連鎖効果はランゲツのBP以下な相手スピリットを破壊するというもの。 色はないものとして扱うので、当然装甲・重装甲で防ぐ事はできない。 更にこの効果で相手スピリットを破壊した時、相手のブレイヴ・ネクサスのいずれかを破壊する。 こうして恭文のアタックを抑制し、次のターンの攻勢に備えるつもりなのだ。 メインステップ、恭文はバーストセット。英雄皇の神剣が効果を発動し、デッキから一枚ドロー。 更にリザーブのコア三個のうち、二個をサンク・シャインへ。残り一個をワン・ケンゴーへ載せてターンエンド。 スピリットの展開もせず、ただ受け止める姿勢……これは本当に赤デッキの戦い方なのか。 今日の恭文を見ていると、使う色を間違えているように思える。そんな違和感を誰もが抱いていた。 だが同時にこうも思っていた。……やはりこの男は馬鹿だと。ランゲツの全力を限界まで受け止め、跳ね返すつもりだ。 それも楽しみつつ。響が言うような恐怖など感じられない、不敵な笑みを恭文は浮かべ続けていた。 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ ※TURN13→14 恭文 ライフ×4 リザーブ×0 トラッシュ(コア)×0 コア総数×14 バースト×1 手札×9 デッキ×21 スピリット:ワン・ケンゴー レベル3・BP6000(コア×4 効果によりレベル3扱い) サンク・シャイン レベル3・BP9000(コア×7) ネクサス:英雄皇の神剣 レベル1(コア×0) 不死山 レベル3(コア×3) 響(アイマス) ライフ×1 リザーブ×0 トラッシュ(コア)×6 コア総数×16 バースト×1 手札×3 デッキ×22 スピリット:ミオガルド・ランゲツ レベル3・BP28000(コア×6 フェニック・キャノンとブレイヴ) ワン・ケンゴー レベル3・BP6000(コア×1 効果によりレベル3扱い) ヒノシシ レベル2・BP3000(コア×3) ネクサス:英雄皇の神剣 レベル1(コア×0) ↓ ↓ TURN14メインステップ開始時 ライフ×1 リザーブ×7 トラッシュ(コア)×0 コア総数×17 バースト×1 手札×4 デッキ×21 スピリット:ミオガルド・ランゲツ レベル3・BP28000(コア×6 フェニック・キャノンとブレイヴ) ワン・ケンゴー レベル3・BP6000(コア×1 効果によりレベル3扱い) ヒノシシ レベル2・BP3000(コア×3) ネクサス:英雄皇の神剣 レベル1(コア×0) ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 『第十四ターン――スタートステップにミオガルド・ランゲツの効果発動。 響は青を選択――青は連鎖を持つスピリットの合計分、デッキをオープン。 それがスピリットであれば、スピリット一体を破壊。ブレイヴなら相手のブレイヴを破壊。 マジックは相手の手札一枚を破棄し、ネクサスならばネクサスを破壊する。 かなりギャンブル性の効果だが、響はなんの躊躇いもなくそれを選択……なぜ赤ではないのか。 メインステップ、響はヒノシシのレベルを1へダウン。これにより響のリザーブにはコアが九個。更に』 「コア三個をランゲツへ載せ、ランゲツをレベル4にアップ!」 ランゲツはリザーブのコア三個を載せられ、目をカッと見開く。するとその体がぐれんの炎に包まれ、雄たけびを上げる。 アーマーが更に刺々しくなり、両腕がマ・グーの如く増加。片側に四本ずつという姿を取った。 ただそこにいるだけでフィールド全体の空気が震え、地面が触れる。 更にランゲツは炎を払いながら巨大化し、十メートルほどの巨獣となった。 ボードのバランスを立て直しながら、自然と笑っていた。そうだ……これが見たかった! 「これがランゲツの本気……! どうだ、怖いだろ! これが全部食いちぎって、みんなを守る力だ!」 そう叫ぶ響の体が黒の炎に包まれる。炎がアーマーを変化させ、黒いマントと薄手のドレスへ変化。 いや、ドレスっていうかレザースーツか。しかもへそや胸元がおもいっきり出てる。もはや水着の領域。 「だったらぐだぐだ言わずにこいよ」 「そのつもりだ! ガン・ホースをコスト5で召喚! ランゲツへブレイヴ!」 響が出したのは金色エネルギーなたてがみと尾を持つ、トリコロールカラーのロボット馬。 体長二メートルほどのそれは出現した途端、フェニック・キャノンと同じく宝玉として胸元に吸収される。 そう、これはダブルブレイヴ。現在サジット・アポロドラゴンにしか許されない特権……でも。 『ミオガルド・ランゲツ、レベル4効果――このスピリットはシンボルのないブレイヴと、ブレイヴ数を無視して合体できるのだ!』 「ガン・ホースの召喚時効果だ! ネクサス、不死山を手札へ戻してもらうぞ!」 そこでランゲツがゆっくりと左手をかざし、衝撃波発射。それが僕達の頭上を飛び越え、赤い風を巻き起こす。 それに煽られながらも必死に耐えていると、風に包まれて不死山が手札へ戻る。 不死山上のコア三個もリザーブへと置かれ、手札は望まぬ形で十枚となる。 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ ガン・ホース ブレイヴ 6(3)/白/機獣 <1>Lv1 3000 <0>合体+3000 Lv1『このブレイヴの召喚時』 相手のネクサス1つを手札に戻す。 合体条件:コスト6以上 【合体時】『相手のアタックステップ』 このスピリットは、【転召】を持たない相手のスピリットを疲労状態でブロックできる。 シンボル:なし イラスト:斉藤和衛 フレーバーテキスト: 鈍重という氷楯の欠点を、合体で補ってくるなんて。 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ ※TURN14・メインステップ途中 恭文 ライフ×4 リザーブ×3 トラッシュ(コア)×0 コア総数×14 バースト×1 手札×10 デッキ×21 スピリット:ワン・ケンゴー レベル3・BP6000(コア×4 効果によりレベル3扱い) サンク・シャイン レベル3・BP9000(コア×7) ネクサス:英雄皇の神剣 レベル1(コア×0) 響(アイマス) ライフ×1 リザーブ×1 トラッシュ(コア)×5 コア総数×17 バースト×1 手札×3 デッキ×21 スピリット:ミオガルド・ランゲツ レベル4・BP31000(コア×9 フェニック・キャノン&ガン・ホースとブレイヴ) ワン・ケンゴー レベル3・BP6000(コア×1 効果によりレベル3扱い) ヒノシシ レベル1・BP1000(コア×1) ネクサス:英雄皇の神剣 レベル1(コア×0) ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 「アタックステップ――邪魔な不死山はもうない! ランゲツ、食いちぎれぇ!」 ダブルブレイヴアタック――ランゲツが咆哮し、腕達を広げながらこちらへ滑空してくる。 「ランゲツのバトル時効果――青の連鎖発揮! お前のデッキを一枚オープンだ!」 デッキトップが蒼い輝きで満たされ、ゆっくり浮かび上がる。出てきたカードは……ワン・ケンゴーでした。 でもコイツ、なぜ赤じゃない。赤連鎖なら、上手くやれば場を全滅できるのに。……まさかコイツ。 「スピリットだったので、サンク・シャインを破壊だぁ!」 思っていたよりも厄介かなと感じている間に、ランゲツがサンク・シャインの懐へ入る。そうして右腕四本が振るわれる。 拳がサンク・シャインの胴体を穿ち、そのまま爆散させる。ち、強烈な一撃……胸の奥までビリビリしてくる。 「更にフェニック・キャノンのブレイヴ時効果により、激突だぁ!」 「……バースト発動!」 でもそこまでだ。浮かび上がった赤のバーストをキャッチし、響とランゲツへかざす。 「BP12000以上の相手スピリットがアタックした時、そのスピリットを破壊する!」 ランゲツの足元から爆炎発生。瞬間的な炎の激突により、その巨体が浮かび上がる。 炎は一瞬で龍の姿となり、ミオガルド・ランゲツは貫かれ爆発。 「その効果発揮後、このスピリットを召喚する! ――燃えろ激突魂!」 カードに赤い炎が宿り、天に暗雲が立ち込める。僕は反時計回りに回転し、それを頭上へと掲げる。 「今、赤き伝説を超える時! 太陽よりも眩く、雷よりも鋭く」 カードの絵柄を改めて見せた途端、暗雲を斬り裂き雷光が迸る。 それがカードへと直撃し、炎と雷撃が交じり合い極光へと変化。僕はカードを左へと振りかぶり。 「天を切り裂く導となれ!」 プレイ板へと投げつける。カードがすっとプレイ板に置かれた瞬間、僕の背後から炎と雷が交じり合った爆発が起こる。 すると空へ登っていた炎の龍が旋回。それが一瞬でジーク・バシンドラゴンへ変化する。 「激突の覇王ジーク・バシンドラゴン、レベル3で焔来(えんらい)!」 その瞬間、僕のジャケットが炎に包まれ、馬神弾を模したものへ変化する。 ……ジーク・バシンドラゴン、きてくれてありがと。今日も一緒にがんばろうね。 「無駄だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ! ランゲツ、レベル3・4効果発動! このスピリットが破壊された時、相手のデッキ一枚をオープン!」 そうして出てきたカードは……二枚目のサンク・シャインか。このタイミングでこれとは。 「スピリットカードのため、ランゲツは回復状態でフィールドに戻る!」 爆発が収束し、逆回しの如く消失。そこからランゲツが平然と現れた。 「なおこれがブレイヴなら疲労状態で戻り、マジックなら手札! ネクサスならデッキの一番上だ! そのカードもトラッシュへ捨てろ!」 アタックは継続……これは対処するしかない。嫌な流れになってきてるのが辛い。 「ランゲツのアタックはワン・ケンゴーでブロック!」 ランゲツへワン・ケンゴーを走らせると、額の刀を振り上げながら突撃。 でもランゲツに蹴飛ばされ、そのまま粒子化してしまう。 「いぬ美、いけ!」 響のワン・ケンゴーが走る。でもランゲツじゃなく、ワン・ケンゴーか。さっきから不可解すぎるぞ。 なにが来るかと思っていると、響は手札からカードを取り出す。 「フラッシュタイミング――トライアングルトラップをコスト2で発動! ブタ太郎、トラッシュへ行くんだ!」 そこでリザーブからコア一個、更にヒノシシからコアが奪われ、マジック発動。 緑の旋風がジーク・バシンドラゴンを包み、その力を奪って跪かせる。 赤い粒子となってヒノシシが消える中、ワン・ケンゴーが僕の目の前にまで迫る。 「ジーク・バシンドラゴンを疲労! これでお前はノーガードだ!」 「……なるほど、読んでいたわけだ。ライフで受ける」 前進し、赤いライフコアを展開――ワン・ケンゴーは飛び込みながら前転し、兜割りの一撃。 それをライフで受け、砕かれながらも後退。全身に走る火花は気にせず、さっと右手をスナップ。 ライフは残り三つ……響が連鎖:青にしたのは、ちゃんと理由があった。バーストを考慮した上で選んだのよ。 サンク・シャインを破壊し、ジーク・バシンドラゴンの破壊時効果を使わせず、的確にライフを削る選択。 うん、未来予知でもできなきゃ無意味だよね。……もしそれが、少しだけでもできるとしたらどうだろう。 「ランゲツが見せてくれた。お前のバーストは怪しい……だから赤連鎖じゃ駄目だって」 「……まさか」 「マジかよ」 シオンとショウタロス達ですら驚くのが、今の発言だよ。いや、理屈は分かる。 運命力が都合のいい流れを作るものなら、それを認識できればちょっとした未来予測できるかもしれない。 特に今の響はブースト過剰で暴走しているし、余計に……でもそんな超能力バトル、アニメの中だけにしてほしいわ。 「恭文、分かっただろ……自分は恐怖なんてしていない! そんなものはランゲツと一緒に食い破る! そうだ、絶晶神も――日高舞も、社長達も全部だ! 自分がみんなを守る! 怖いものは食い散らかす!」 「余りに哀れ過ぎて、笑うしかないわ」 言葉通りに笑って、左手で『とっととこい』とサインを送る。 「自分の恐怖と戦う力も出せないくせに、人の代わりに……なんて、おかしすぎるわ」 「まだ……分からないのか! 自分はなにも怖くなんてない!」 「弱い犬ほどよく吠える。本当の事らしいね。お前じゃ未来が見えたとしても、超える事はできない」 「……だったら、もういい。ランゲツ、遠慮しなくていいぞ」 響は怒りに顔を赤く染め、右手でランゲツのカードを再び倒す。 「アイツの腕を、足を食いちぎれ……! そうして二度と動けないようにしてやる!」 そこでランゲツが吠え、もう一度こちらの場へ走ってくる。 「連鎖(ラッシュ)発動! お前のデッキから一枚破棄!」 まるでいたぶるようなデッキ破壊。そうして浮かび上がったカード……なんでじゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ! 「希望の星剣ミルキーウェイ……ブレイヴカード」 「お兄様」 二人とも、なにも言わないで。こうして新カードは出番もなく、トラッシュへ送られる。 でも残念ながら僕の場にブレイヴは存在しない。なので効果は空打ちとして処理される。 これもランゲツが見せた未来通りって感じかねぇ。これじゃあジーク・バシンドラゴンは破壊されない。 だから青連鎖――ギャンブルに近い効果を選んだ。でも未来が見えてるなら、ギャンブルじゃなくて選択式発動だわ。 「刻み込め――これが恐怖だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」 「フラッシュタイミング、デルタバリアをコスト4で発動!」 わけが分からないので、手札からマジック発動――ベルカ式魔法陣に似た白い障壁が、僕の前面に現れる。 回転しながら大型化するそれへランゲツが肉薄。次の瞬間、拳による連打が打ち込まれた。 一撃一撃で魂を削り取ろうと言わんばかりの連撃。踏ん張ってそれを受け止めるも、合計百発の拳により吹き飛んでしまう。 でも砕けたライフは二つだけ。障壁が消えたところでボードを反時計回りに一回転。 バランスを立て直し、墜落寸前でなんとか停止する。響は信じられない様子で、下がるランゲツと僕を見ていた。 「このターンの間、コスト4以上のスピリットによるアタック、及びマジック・スピリット効果で自分のライフは0にならない」 決まった……これめちゃくちゃやりたかったのよ! もう胸の中が感動でいっぱい! だって考えてみてよ! 馬神弾みたいじゃないのさ! てーかいっつもこういうのやられっぱなしだし!? 僕がやり返したっていいでしょ! うっし、これでもうちょっと戦える! まだやれるよ! それはそれとして……響はこの結果が信じられない様子。『あり得ない』って呟いてるもの。 「どうした」 なので怒気を込めて笑いかけてあげると、響が後ずさった。 「僕を食いちぎるんじゃなかったのか。だったら早くしろよ」 「タ……ターンエンドだぞ!」 今ので分かった事がある。どうやら見える未来には限りがあるらしい。あくまでも簡単なナビだけにすぎない。 そして僕は話通りなら悪い影響はシャットアウトできる。つまり……この調子でやり合えばいい。 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ ※TURN14→15 恭文 ライフ×1 リザーブ×8 トラッシュ(コア)×4 コア総数×17 手札×9 デッキ×18 スピリット:ジーク・バシンドラゴン レベル3・BP11000(コア×5 疲労状態) 英雄皇の神剣・レベル1(コア×0) ↓ ↓ TURN15メインステップ開始時 ライフ×1 リザーブ×13 トラッシュ(コア)×0 コア総数×18 手札×10 デッキ×17 スピリット:ジーク・バシンドラゴン レベル3・BP11000(コア×5) 英雄皇の神剣・レベル1(コア×0) 響(アイマス) ライフ×1 リザーブ×0 トラッシュ(コア)×7 コア総数×17 バースト×1 手札×2 デッキ×21 スピリット:ミオガルド・ランゲツ レベル4・BP31000(コア×9 フェニック・キャノン&ガン・ホースとブレイヴ 疲労中) ワン・ケンゴー レベル3・BP6000(コア×1 効果によりレベル3扱い 疲労中) ネクサス:英雄皇の神剣 レベル1(コア×0) ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ お互い後のない、第十五ターン――恭文はブレイドラを一体召喚。 更に前のターンで手札へと戻された、不死山をコスト3・レベル2で再配置。更にバーストをセット。 この時英雄皇の神剣、レベル1・2の効果発動。デッキから一枚ドローする。 リザーブに残ったコア六個をジーク・バシンドラゴンへ全て載せ、ターンエンド。 なお響は赤連鎖を選んだものの、恭文はガン・ホースの効果を知っていたらしく無意味だった。 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 「ちょ、恭文君なにやってるのよ! 響の場はがら空きじゃない! こう、ブレイドラでアタックすれば終わるじゃないのよ! もー!」 「もう黙っていた方がいいと思いますよ? 恥をかくだけですし」 「春香ー!? なに言ってるのよ、あれこそプレイミスじゃない! 今度こそ間違いないじゃない!」 「りっちゃん、それ違うよー。ガン・ホースのブレイヴ時効果があるからー」 「ガン・ホースと合体していると、転召っていう効果を持たないスピリットなら、疲労状態でブロックできるんだー」 律子は亜美と真美の言葉が信じられない様子で、改めて跪くランゲツをガン見。 「……我那覇君の場には、BP30000超えの疲労ブロッカーがいるのかね」 「そうなるの」 「なによそれ……破壊してもさっきみたいに復活するし、そんなのどうやって倒せばいいのよ! 無理じゃない!」 「黄色デッキならまだなんとかなったけど、今回は赤だしね。ベオ・ウルフの予備があれば」 「無理でも恭文くんはやるつもりよ」 だよ、なぁ。あずささんが言うように、八神君の目は諦めてなんてない。むしろ……めちゃくちゃ楽しそうなんだよ! おいおい、もう後がないんだぞ! しかも食いちぎるとか言ってるのに、そこで笑えるのか! 「ほんねー、やすふみ楽しそうだねー」 「だねー。やっぱり遊びだからかなー」 『遊びぃ!?』 その言葉が信じられなくて全員で声を上げると、布仏さんはなぜか笑顔で頷いてきた。もちろんネーモンも一緒だ。 「やすみー、言ってたの。バトスピは結局遊びで――でもだから楽しくて、本気になれる。 それでバトルした人と対話できるバトスピが、やすみーは大好きだーって」 「いや、私達は遊び半分でやられたら困るんだけど! 響の未来だってかかってるのに!」 「律子……さんは静かにした方がいいの。というか、そういう事言うなら自分でバトルすればいいの」 「できたらやってるわよ! でもルールだとかカードだとか……もうわけ分からないしー!」 「まぁまぁ、落ち着け律子。……それに見てみろ、あれが遊び半分の目か」 律子は不満そうに八神くんを見る。……そこでゾクッとしたらしく、身震いする。 遊びだから手を抜いているとかじゃないよ、あれは。遊びだから……全力で楽しみ、全力でバトルしているんだ。 じゃなきゃ、あんな燃え立つような目はしないだろ。殺気すら感じさせる強い瞳だ。 「八神くんは燃えているな。あれは恐怖すらも糧にし、食いつくす絶対的な歓喜だ。怯えて目を背ける我那覇くんとは違う」 「いやー、そこの眼鏡と違って、社長さんはよく分かっているー。……そう、今のバトスピは結局遊びだ。 神のカードだなんだと言ったところで、その原則は変わらない。ボク達が絶対に忘れちゃいけない事さ」 「それも可能性だろうか」 「もちろん。そして勝つために踏み込めない奴は、結局誰にも勝てないのさ」 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ ※TURN15→16 恭文 ライフ×1 リザーブ×0 トラッシュ(コア)×3 コア総数×18 手札×8 デッキ×16 スピリット:ジーク・バシンドラゴン レベル3・BP11000(コア×11) ブレイドラ レベル1・BP1000(コア×1) ネクサス:不死山・レベル2(コア×3) 英雄皇の神剣・レベル1(コア×0) 響(アイマス) ライフ×1 リザーブ×0 トラッシュ(コア)×7 コア総数×17 バースト×1 手札×2 デッキ×21 スピリット:ミオガルド・ランゲツ レベル4・BP31000(コア×9 フェニック・キャノン&ガン・ホースとブレイヴ 疲労中) ワン・ケンゴー レベル3・BP6000(コア×1 効果によりレベル3扱い 疲労中) ネクサス:英雄皇の神剣 レベル1(コア×0) ↓ ↓ TURN16メインステップ開始時 ライフ×1 リザーブ×8 トラッシュ(コア)×0 コア総数×18 バースト×1 手札×3 デッキ×20 スピリット:ミオガルド・ランゲツ レベル4・BP31000(コア×9 フェニック・キャノン&ガン・ホースとブレイヴ) ワン・ケンゴー レベル3・BP6000(コア×1 効果によりレベル3扱い) ネクサス:英雄皇の神剣 レベル1(コア×0) ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 『第十六ターン――響はスタートステップ時、緑の連鎖を選択。 緑の連鎖はこのスピリットをブロックした相手スピリットのコスト以下、又はコスト以上の相手スピリット全てを疲労させる。 この効果で疲労したスピリット一体につき、コア一個からボイドをリザーブ、又はスピリット一体の上へ置けるのだ』 「メインステップ――ネズ吉、コスト1・レベル2でこい!」 はい、カキューソです。でももうちょっと名づけ方が……まぁいいけど。これ、知り合いじゃないと混乱するんじゃ。 「更にヘビ彦、コスト3で召喚――ランゲツの力になれ!」 次は騎士王蛇ペンドラゴン――紫のコアから飛び出たそれは、揺らめきながらカードと同じ色の光を纏う。 でもすぐにコア化して、ランゲツの胸元へと吸い込まれてしまう。それでも召喚時効果は発揮される。 「召喚時効果! お前のブレイドラからコア一個を外す!」 ブレイドラからコアが外され、そのまま粒子化して消失。……まぁ、分かってたわ。ブレイドラ、ごめんねー。 ペンドラゴンの効果により僕のスピリット一体からコアが全て外されたので、更に効果発揮される。 「この効果でスピリット一体からコアがなくなったから、デッキから一枚ドローだぞ!」 響は一枚ドローし、手札を補充。今度は赤い毛並みのスピリットカードを取り、場へ素早く置く。 それは赤い毛並みのモモンガで、額に黒い一角を生やしていた。更に尻尾がなぜか火縄銃となっている。 「更にモモ次郎、飛べ!」 虹色のコア二個が結集し、赤いルビーコアへと変換。それが回転しながら砕け、クルリンパとモモジロウ――ノデッポが着地する。 「召喚時効果――バーストをセット時、BP3000以下の相手スピリットを破壊する。まぁ空打ちだけど」 僕の場にはBP3000以下のスピリット、いないしねぇ。さっきいたけど消えちゃったし。 さて、一気に場を展開してきたね。響の手札は既に割れてるし、あとは運勝負だ。 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ ノデッポ スピリット 2(1)/赤/皇獣 <1>Lv1 1000 <3>Lv2 3000 Lv1・Lv2『このスピリットの召喚時』 自分のバーストをセットしているとき、BP3000以下の相手のスピリット1体を破壊する。 シンボル:赤 コンセプト:丸山浩 イラスト:相沢美良 イラスト:SUNRIZED.I.D.(バトルスピリッツ覇王ウエハース〜激突!超新星〜) フレーバーテキスト: 最後の虚神を倒して、どのくらいの月日がたったのだろう? 余りよくない噂を耳にしている。 侵略の辛さは最も知っているはずの炎楯の者たちが、 今度は他国に攻め入っているというのだ。 ケイは一体どうしているんだろう? 早く体を治さなくては。 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ ※TURN16・メインステップ途中 恭文 ライフ×1 リザーブ×1 トラッシュ(コア)×3 コア総数×18 手札×8 デッキ×16 スピリット:ジーク・バシンドラゴン レベル3・BP11000(コア×11) ネクサス:不死山・レベル2(コア×3) 英雄皇の神剣・レベル1(コア×0) 響(アイマス) ライフ×1 リザーブ×0 トラッシュ(コア)×5 コア総数×18 バースト×1 手札×1 デッキ×19 スピリット:ミオガルド・ランゲツ レベル4・BP35000(コア×9 フェニック・キャノン&ガン・ホース&ペンドラゴンとブレイヴ) ワン・ケンゴー レベル3・BP6000(コア×1 効果によりレベル3扱い) カキューソ レベル2・BP4000(コア×2) ノデッポ レベル1・BP1000(コア×1) ネクサス:英雄皇の神剣 レベル1(コア×0) ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 「アタックステップ……恭文、これでおしまいだ。お前は自分をここまで否定した。だから」 響は目を血走らせ、ランゲツのカードを倒す。 「お前も敵だ! お前は食いつくす――そうだろう、ランゲツ!」 勘違いしまくりな叫びをあげながら、ランゲツはまたこちらへ滑空してくる。それと同時に紫の波動が辺りにまき散らされた。 「ペンドラゴンのブレイヴ時効果! ジーク・バシンドラゴンのコア一個をリザーブへ!」 それを受け、ジーク・バシンドラゴン上からコアが移動する。けどうちの子はもうピンピンしっぱなし。 だってコア置きまくってるもの。これでリザーブのコアは二個となる。 「更に激突だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」 「――バースト発動」 浮かび上がった赤いバーストをキャッチし、響に見せつける。 ……それは今、響のバーストゾーンにセットされているのと同種だった。 しばらく出番がなかったけど、ここできてくれたよ。さぁ、デカブツ退治といきますか。 「BP5000以上のスピリットがアタックした時、このスピリットを召喚する」 一旦深呼吸――真耶さんが茶々入れてくれてから、ずっと考えていたパフォーマンス。 目を見開き、燃え上がるカードを頭上へ振り上げる。 「刃の修羅、焔の道を突き進む!」 それに伴い僕の体が炎に包まれ、衣装再変化――カードでバツの字を斬り、時計回りに回転しながらジャンプ。 「その疾走、覚醒への導となれ! レベル3・バースト召喚」 ボードから飛び上がりそのままカードを投てき。同時に炎を払い、蒼い着物姿を見せつける。 「刀の覇王! ムサシード――アシュライガァァァァァァァァァァァァァァァァァ!」 すると僕の場に炎輪が生まれ、それが激しく回転。そこからはい出てきたのは久々登場な猛る修羅。 ……なお僕のアシュライガーという意味なので、野暮なツッコミはしないように。 着地してから腕組みすると、着物から更に炎が走る。肩と胸元、腰にも赤い装甲が取り付けられ、髪も燃え上がる。 一瞬で赤いメッシュが入った長髪となり、体中から力が沸き上がってくる……って、これはなにー! 「ふ、不足コアはジーク・バシンドラゴンから確保! 力を借りるよ、ジーク・バシンドラゴン!」 「ヤスフミ、やってる場合かよ! なんだそりゃ! なんで目の片方が赤いんだよ!」 「え、マジ!?」 「こちらを」 リザーブから二個、ジーク・バシンドラゴン上からコア三個が移動――アシュライガー上へ載せられる。 そんな最中、シオンが差し出してきた翠色の手鏡を受け取り確認……ホントだ! 左目がなんか真っ赤になってる! え、なにこれ! 前に召喚した時はこんなのなかったのに! なんで、どうして! ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 『……えぇい、とりあえずいい! アシュライガーの効果! バースト召喚された時、このスピリットはBP+3000! よって刀の覇皇ムサシード・アシュライガーは、BP14000として扱う!』 「な……うげぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」 八神君が凄い格好になったところで、地尾さんが叫んで立ち上がる。思わずぎょっとしているが、みんなもおかしい。 衣装変化は覇皇Xレアだと割りと普通の事になったはずなんだが、みんなあり得ないって顔してるんだよ。確かに派手だが。 「あらあら、恭文くんだけカッコいい感じねー」 「むぅ、あれずるいのー! 美希もあれくらい派手にやりたいー!」 「いや、そうじゃないでしょ! 明らかに私達のと違うじゃない! クマ、どういう事よ!」 「分かんないよ! というかアレは、スピリットの力と一体化してる! なんで、どうして! あのアシュライガーは普通のカードだったはず! あれじゃあまるでツルギ・タテワキじゃないか!」 「クマさん、それってソードアイズ……でしたよね。ドイツから戻る飛行機の中でお聞きした、神を倒したソードアイズ」 「そうだよ! でもあんなの……あ、まさか」 そこで地尾さんはジーク・バシンドラゴンとやらをじっと見つめる。だがそれだけなんだ。 それ以上はみんながなにを言っても、なにも答えない。ただ『まさか』とぶつぶつ言い続けるだけ。 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 「アシュライガーだろうと、本気のランゲツには絶対勝てない! 絶対だ!」 ち……姿の事はとりあえずいいや。髪を振り乱しながら、迫るランゲツへカードをかざす。 「フラッシュタイミング――刃よ、白光とともに飛べ! クヴェルドウールヴをコスト4で発動! コストはジーク・バシンドラゴンから確保し、バシンドラゴンはレベル2へダウン!」 ジーク・バシンドラゴンからコアを使わせてもらったところで、カードと手札が白い光に包まれる。 カードには海賊旗のようなものが描かれ、機械の手の平から白い火花が走る。 それが宙に浮かぶスピリットを強化するように、荒ぶり輝いていた。……見せてあげるよ、僕の新しい戦術を。 「このカードは自分の手札にある、赤・緑・白のブレイヴカード一枚をノーコストで召喚する!」 「なんだ! そんなのバーニングサンの劣化じゃないか!」 「それは」 手札にある白のブレイヴカードを取り出し、ボードへ投てき。それはアシュライガーへピッタリと載せられる。 オオワシロボとも言えるそれは、月と闇が支配する空から飛しょう。翼を羽ばたかせながら、アシュライガーの背へと飛び乗る。 「ホーク・ブレイカー! もちろんアシュライガーへ直接ブレイヴ!」 カードに赤と白の二重螺旋が走り、ホーク・ブレイカーはバックパックへ変化。 アシュライガーはすだれのような翼を羽ばたかせ咆哮――それから炎を噴き出し、迫るランゲツへと駆け出す。 「羽ばたけ、ブレイヴスピリット! ブレイヴスピリットでブロック!」 すかさずカードを倒し、ランゲツをアシュライガーでブロック。さぁ、後は運試しだ。 「ランゲツの連鎖(ラッシュ)――緑発動! ブレイヴスピリットはコスト12だから、それ以下なジーク・バシンドラゴンは疲労!」 ジーク・バシンドラゴンが緑の火花に戒められ、なにもできずに膝をつく。いやもう、今日はほんとごめん。 「更に疲労したスピリット一体につき、ボイドからコア一個をリザーブへ!」 響のリザーブにコア一個が置かれる。その間に二体の戦闘は始まっていた。 アシュライガーはランゲツへ跳びかかりながら、二刀で唐竹一閃。 ランゲツはそれを左に避け、すかさずアシュライガーの腹を蹴り飛ばす。 アシュライガーはフィールド左脇へ吹き飛ばされ、叩きつけられながらも飛しょう。 跳ね返るようにランゲツへと再度迫り、その胴体へ刃をバツの字に打ち込む。 ランゲツは斬撃を飛び越え、アシュライガーも地面を踏み締め滑りながらUターン。 二体は再び肉薄し、アシュライガーが右の刃で逆袈裟一閃。 ランゲツはそれを左手の平四つで受け止め、すかさず右拳四つでアシュライガーの頭頂部を叩く。 「ランゲツのBPは35000だ! そんなんで負けるか!」 「たったそれだけ?」 よろめくアシュライガーはゴーグル越しに瞳を輝かせ、踏ん張りながら左の刃で刺突。 ランゲツの腹を射抜き、その動きを止めた。ランゲツが目を見開いたところで、アシュライガーは刃を抜く。 その上で一旦後ろへ飛びのき、気合いを入れ直すように咆哮――その体をぐれんの炎に包む。 「こっちはBP――47000だ」 「あが! そんなわけあるか! ブレイヴも含めてBP17000だ!」 「ホーク・ブレイカーの合体・ブロック時効果」 どうやら響は算数が苦手らしい。大事な事を告げてあげると、顔を真っ青にした。 「バトルしている相手スピリットのシンボル一つにつき、このスピリットをBP+5000。 響、ランゲツのシンボルは六個だよねぇ。『5000×6』は一体幾つかなぁ」 「ぷ、+30000……!? そんな、嘘だ! ランゲツの本気が、こんなあっさり塗り替えられるなんて!」 「憶病者の本気なんざ、結局この程度だって事よ」 アシュライガーが地面を駆け出し、炎の砲弾となってランゲツへ再接近。 ランゲツも叫びでそれに応え、両拳を引く。そして二体は拳と刃で乱撃開始。 フィールドを、空間そのものを斬り裂く拳と刃の応酬――派手な衝突音が響き、そのたびに衝撃が突き抜ける。 絶え間なく襲う衝撃の波にボードを揺らされながらも、なんとか踏ん張り耐える。 そしてランゲツが右ストレートで最後の一撃。アシュライガーはそれを二刀で受け止め。 「アシュライガー、斬れ!」 気合いとともに、バツの字斬り――炎熱の剣閃がランゲツの拳を、鎧を、肉体を斬り裂く。 そうしてフィールドをえぐるような大爆発。左手で衝撃を払いながら、動揺する響へ笑ってやった。 「まだだぞ! ランゲツのレベル3・4、破壊時効果! このスピリットが破壊された時、相手のデッキを一枚オープン!」 動揺する響の宣言で、僕のデッキトップがオープンされる。……どうやらとことん、運が悪いらしい。 オープンしたカードを右手で取り、爆煙の向こうへ見せつける。炎混じりの煙は僅かな合間を作り、響の姿をそこに映す。 最初は勝ち誇っていた響の表情が、映るたびに曇っていく。嘘だと言わんばかりに首を振り始めた。 「嘘、だ……嘘だぁ」 「マジック、双光気弾――お前の相棒はこれで終わりだ」 「嘘だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」 そして更に爆発。爆発の中から吸収されていたブレイヴ達が、吐き出されるが如く射出。 三体が揃って地面を滑り、呻きながらも爆煙を見据える。若干怯えた様子なのは気のせいだろう。 双光気弾をトラッシュへ送っている間も、響は狂ったように叫び続けていた。 そんなのには構わず、右手で響のネクサスを指差し。……ターンプレイヤーの優先権があるから、ブレイヴは破壊できなかった。 だからせめて、ネクサスは破壊しておく。あれによるドローとシンボルは厄介だし。 「アシュライガーのレベル2・3効果発動! このスピリットが相手スピリットを破壊した時」 アシュライガーは僕の宣言でネクサスへ向き直り、右の刃で逆袈裟一閃。赤い斬撃波を放ち、ネクサスを一刀両断。 「相手スピリットと合体中のブレイヴ、又はネクサスを破壊する! 英雄皇の神剣、消えろ!」 刀身を中ほどから断ち切られた英雄皇の神剣は、ガラガラと音を立てて崩壊。これでネクサスもさようならっと。 「……許さない」 ようやくランゲツの残滓が消えると、響は憎しみの表情で僕を睨みつけていた。 「許さないぞ……! よくもランゲツをぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」 「逆恨みもほどほどにしてほしいね。これがバトルだろ」 「そうだ、これがバトルだ! だから」 響はワン・ケンゴーを手にかけ、涙を零しながらアタックさせる。でもその瞬間、響は確かに笑った。 「これでお前の負けだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」 駆け出したワン・ケンゴーにため息を吐きつつ、手札からもう一枚の切り札を取り出す。 確かに僕はノーガード。でも響はまだ現実が分かっていないらしい。つい笑ってしまった。 「フラッシュタイミング――二枚目のクヴェルドウールヴをコスト4で発動。 コストはアシュライガーから確保し、アシュライガーはレベル1へダウン」 「なにをしようと無駄だ! 自分のシンボル持ちスピリットは三体――ブレイヴ一つで防げるかぁ!」 「自分の手札にある赤・緑・白のブレイヴカード一枚を、コストを支払わず召喚する」 馬鹿のたわ言は気にせず、赤い光に包まれた剣のカードを取り出す。 それはあの時、イビツが見せてくれたソードブレイヴのレプリカそっくりだった。 これはジャスティスが黄色デッキのサイドにピン差しで入れていた、高コストのブレイヴ。 同時に響の目を覚ます希望そのもの。……お願い、力を貸して。 「光よ、剣となれ! 輝きの聖剣、シャイニング・ソード! 維持コアはジーク・バシンドラゴンより確保し、バシンドラゴンはレベル1にダウン!」 ジーク・バシンドラゴンのコア一個を拝借し、カードをスピリット状態で召喚。 すると再び闇を斬り裂き、空からあの剣が舞い降りた。光を模した鍔に、やや黄金がかった刀身。 おとぎ話に出てきそうなそれは……やたらと大きかった。全長十メートルくらいあるし。 巨大な両刃の切っ先が地面へ突き刺さり、ワン・ケンゴーの行く手を阻む。 ……ジャスティス、なぜおのれがこのカードをサイドデッキに入れたか、よく分かったよ。 まぁ公式大会ではまた別のブレイヴにする必要があるけど、一応感謝しておくわ。 「シャイニング・ソードの召喚時効果――BP3000以下の相手スピリット全てを破壊! 更にシャイニング・ソードの強化(チャージ)発動!」 シャイニング・ソードの鍔元に炎が集まり、それた刀身から発生した赤い光を受けて巨大化。 『説明しよう、強化(チャージ)とは過去のバトスピに存在した効果! 連鎖(ラッシュ)が闇の代名詞とするなら、強化(チャージ)は光の力! 効果持ちスピリットを揃える事で、色ごとに指定された効果をブーストする事ができるのだ!』 「自分のBP破壊効果上限を+1000! よってBP4000以下のスピリット全てを破壊する!」 『赤の場合は得意技であるBP破壊効果! 強化(チャージ)を持つシャイニング・ソード一体がいるので、1チャージされるぞ!』 そして炎は奔流となって広がり、響の場へ迫る。ワン・ケンゴーは僕から見て右に跳び、それをなんとか回避。 でもあとの奴らは無理。地面に伏せていたブレイヴ達と、アタックに備え地面を爪でかいていたスピリット達が飲み込まれる。 響も炎を受け、その中でもがき苦しむ。それで燃えたりはしていないけど。……そうして燃えるのはスピリット達だけ。 ワン・ケンゴー以外の低BPなスピリット・ブレイヴ達は炎に燃やし尽くされ、粒子化してこの場から消え去る。 維持コアも全てリザーブへ戻り、響とワン・ケンゴーは真っ青になりながら誰もいないフィールドを見やる。 「破壊したのはBP3000のガン・ホースとフェニック・キャノン、BP4000のペンドラゴン、カキューソ。 そしてBP1000のノデッポ――合計五体! 破壊効果発揮後、この効果で破壊したスピリットの数だけドローできる!」 よって五枚ドロー――これで手札を九枚に増やし、ついドヤ顔。でもワン・ケンゴーのアタックは継続している。 シャイニング・ソードはブレイヴさせていないから、他の二体と違って回復状態。 このままブロックすれば完封できるんだけど、それじゃあまだ足りない。 「そ、そんな……! 自分の家族が!」 「更にフラッシュタイミング!」 トドメの一撃――カードをかざすと、空に暗雲が差し掛かる。 「サジッタフレイムをコスト3で発動! コストは不死山より確保し、不死山はレベル1にダウン! 合計BP5000まで、相手スピリットを好きなだけ破壊する!」 指定するとコストが不死山から送られ、暗雲の中に炎の矢が次々と生成される。 「だったら無駄だぁ! ワン・ケンゴーはバーストセットにより、BP6000――お前の負けだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」 「ここでシャイニング・ソードの強化(チャージ)――1チャージ追加!」 シャイニング・ソードの柄尻から赤いレーザーが走り、暗雲へ突き刺さる。それを受けた事で、暗雲が真っ赤に染まる。 それを合図に矢が降り注ぐ。ただしそれは通常のものより多く、同時に大きさも増していた。 こちらへ踏み込もうとしていたワン・ケンゴーは恐れをなして、僕に背を向け響の陣地へと戻る。 「BP6000まで破壊可能となる! ワン・ケンゴーは破壊だ!」 それを追いかけるように次々と矢が襲ってくる。外れた矢は地面へと突き刺さり爆散するものの、まだまだ矢は止まらない。 ワン・ケンゴーはジグザグに動いて矢を避けようとするものの、結果的に背を貫かれる。 更に他の矢も次々とワン・ケンゴーの体を射抜き、結果ワン・ケンゴーは大爆発。 響は完全にがら空きとなった場を見て、ボードの上で崩れ落ちた。その瞬間服が黒い炎と化し、元のアーマー姿となる。 「な……どうして、どうしてだぁ! そのブレイヴ、一体なんなんだぁ!」 「人からの借り物だ」 ボードを浮かび上がらせ、オブジェの如く鎮座するシャイニング・ソードを見上げる。 神を倒し、世界を賭けたバトルの決め手となったカード――のレプリカ。光の赤きソードブレイヴだ。 ……こうして見るとカッコいいね! どうしよう、これ入れっぱにしようかな! またデッキ調整しないと! というわけで、カメラを取り出し撮影……うーん、いいアングルだー。 「しかし安い女だねぇ。この程度しか踏み込めないとは」 「なにを! 次のターンで召喚すれば」 「もう本気は見せてもらった」 響を睨みつけると、奴は顔を青くする。そう、見せてもらった。つまり……もう響のターンは来ない。 「言った事は覚えてるよね、響」 「だ、駄目だ……! ランゲツは、自分の」 「撃っていいのは、撃たれる覚悟のある奴だけだ。……僕を食い殺したかったんだろうが」 右手を挙げ、笑いかけてあげる。そうして改めて宣言。 「ならガタガタ抜かさず、お前達の全てを差し出せ」 これは既に存在そのものを奪い合うバトル――響がそういう形を望み、そう宣言した。だから守らせると。 そうして逃げようのない恐怖を叩きつける。そうじゃなきゃこのバトル、する意味がない。 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ ※TURN16→17 恭文 ライフ×1 リザーブ×0 トラッシュ(コア)×14 コア総数×18 手札×8 デッキ×10 スピリット:ジーク・バシンドラゴン レベル1・BP6000(コア×2 疲労中) ムサシード・アシュライガー レベル1・BP8000(コア×1 ホーク・ブレイカーとブレイヴ 疲労中) 輝きの聖剣シャイニング・ソード(コア×1) ネクサス:不死山・レベル1(コア×0) 英雄皇の神剣・レベル1(コア×0) ↓ ↓ TURN18メインステップ開始時 ライフ×1 リザーブ×15 トラッシュ(コア)×0 コア総数×18 手札×9 デッキ×9 スピリット:ジーク・バシンドラゴン レベル1・BP6000(コア×2) ムサシード・アシュライガー レベル1・BP8000(コア×1 ホーク・ブレイカーとブレイヴ) 輝きの聖剣シャイニング・ソード(コア×1) ネクサス:不死山・レベル1(コア×0) 英雄皇の神剣・レベル1(コア×0) 響(アイマス) ライフ×1 リザーブ×14 トラッシュ(コア)×5 コア総数×19 バースト×1 手札×2 デッキ×19 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 今回の一枚――マジック、クヴェルドウールヴ。覇王編で登場した白のマジックだ。 軽減は白・緑が一つずつ。今回はバーニングサン的な使い方が中心だったが、これでもれっきとしたバーストカード。 相手による自分のスピリット破壊後、自分のトラッシュにあるブレイヴカード一枚を手札に戻せる。 基本はそうして戻したブレイヴを召喚し、活用する方向だろう。だがこのカードの可能性は計り知れない。 まずバーニングサンと違い名称指定はないものの、使えるブレイヴカードには制限がある。 とはいえ赤・緑・白は比較的よく使われるものなので、余り気にする必要がないかもしれないが。 そして召喚時効果に制限がかからないのも素晴らしい。例えば鈴も使っていたマネキキャット。 あれをクヴェルドウールヴで召喚し、そこからスザクロス・ソウソーを出す事もできる。 神速に似た召喚コンボを、最大軽減コスト2で行えるのは魅力的だろう。 このカードはこれから先、恭文のバトルを大きく変えていく事だろう。なおクヴェルドウールヴとはアイスランド語。 『夜のオオカミ』を意味しており、美髪のハーラルに暗殺された、ノルウェーの豪族でもある。 (Battle68へ続く) あとがき 春香「というわけで、ランゲツ戦の後半戦……でもこれは」 フェイト「えっと、最後の最後で分量オーバーに……まぁその分中身は濃い感じで」 (ランゲツの効果を赤以外も使いつつ、上手く話に絡めるのが) 春香「とにかくランゲツは手札へ。後一撃が決まるかどうか――それが終わったら貴音さん相手なひーろーずUです。お相手は天海春香と」 フェイト「フェイト・T・蒼凪です。とりあえずシャイニング・ソードは……サイドデッキ万能説」 (便利でした) フェイト「でも今回のバトル、ドロー枚数が凄い事に」 春香「ホントですよねー。あっちのプロデューサーさんは残り十枚切りましたし」 フェイト「あとはクヴェルドウールヴだね。覇王編で出たマジックです」 (実は知りませんでした、買ってたのに) フェイト「こう、馬神弾みたいなコンボをーと思って、Wikiで見つけたとか」 春香「作者ェ……跪きなさい!」 (ごめんなさい) 春香「それはそうとフェイトさん」 フェイト「うん、なにかな」 春香「……どうしたらプロデューサーさんは、私の閣下扱いをやめると思います?」 フェイト「え、えっと……やっぱり好き、なんだよね。あの、私は大丈夫だよ? ちゃんとヤスフミも交えてお話」 春香「違いますよ! だって閣下じゃないのに! 閣下らしいところなんてとまとに出て一つもないのに!」 フェイト「えぇ!」 春香「どうして驚いちゃうんですか! 私は閣下や魔王じゃないんです! なのはさんとは違うんです!」 (『あれ、またなのはが魔王って言われたー!』 本日のEDマキシマム・ザ・ホルモン:『アカギ』) 春香「……ニコ生、見たんですね」 恭文「うん。まぁそれはさておき、今日は三月十一日――はい、あの日です。 現在ヤフーでは『3.11』と検索すると、ヤフーが十円募金するというキャンペーンを行っています。 もしよければやってみてください。小さな事ですが、まずはコツコツと」 春香「ところでプロデューサーさん、ガンダムビルドファイターズは」 恭文「見たよ! というわけで……どっちも出してください、バンダイさん! アメイジングはRGで!」 春香「ですよねー! あのイマジンカラーいいですよね! 作ってみたいなー!」 恭文「春香、ゲロビームしたいの?」 春香「そこじゃないー!」 (おしまい) [*前へ][次へ#] [戻る] |