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小説(魔法少女リリカルなのは:二次小説)
第35話 『NEXTの世界/守り抜く宿命 伝え行く運命』:あとがき



あとがき


恭文「というわけで、NEXT編終了。僕も原作カブトではでなかったハイパーダークカブトに変身し」

フェイト「それでショッカーと一大決戦だね。でもヤスフミ、あれ虎頭じゃないよね。ほら、シザーズジャガーだし」

恭文「だね。でも劇中で名乗ってないから、いわゆる通称で通してます」


(とまとのお決まりですね)


恭文「お相手は蒼凪恭文と」

フェイト「フェイト・T・蒼凪です。……基本は映画通りだったね」

恭文「ある程度削って、すっきりさせた感じだけどね。でもね、アクションシーン難しかった。特にシザーズ」

フェイト「最後の本郷さん達とのバトルとか、ほんとヒュンヒュン動いてたもんね」


(何度も見返しました)


恭文「特殊能力バシバシってのもいいけど、やっぱり肉弾戦はいいよねー。映えるよー」

フェイト「対してヤスフミは、ハイパークロックアップの大盤振る舞い。でも空間転移って」

恭文「もうなんでもありだから。ここにあれが来ると、もう毎回僕のターンしか訪れない罠」


(フリーズいこう、フリーズ)


恭文「……カッシスワームは許してください」

フェイト「三回は出てくるしね。でもヤスフミなら対策だってすぐ」

恭文「実は整えられたり」


(そういう意味でも蒼い古き鉄、『悪魔』扱いです。
本日のED:ISSA『CHOSEN SOLDIER』)


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


全部無事に終わったので、本郷さん達と別れ写真館へ。なお……約一名は引っ張ってきた。

提案者はギンガさん。僕もその方がいいと思ったので、ゲットしてきたよ。一文字さん。

本人はもやしが撮った写真を見ながら、めちゃくちゃ不満そうだけど。


……もやしはあの訳分からん状況でも、しっかり撮影していた。被写体は当然本郷さん達。

その後ろにあむや黒髪女性、あとは風見ちはるなどが映っていて、守りたいものを背負っているように見えた。

そうそう、それと天道だけど……もう帰ったらしい。なんかフェイトにもなにか荷物を渡したとか。


僕宛てらしいけど、それがなにか分からなくて首を傾げた。もしかして包丁とか?


「なぁおい、なんで俺はここにいるんだ」

「あなたはこのまま、私達の世界へ連れていきます」

「はぁ? なんでだ」

「私もあなたと、同じ身体なんです」


ギンガさんがいきなり告白してきたので、一文字さんが面食らう。それで僕の方を見てくるので、小さく頷いた。


「小さい頃に遺伝子から作られ、その調整段階から機械を埋め込んでも拒否反応が起こらないようにされてるんです。
だから私の骨は鉄よりも硬いし、身体を走る神経もケーブル――幸いな事に、人としての部分も多いですけど。
年相応の成長もできるし、好きな人の赤ちゃんだって産める。私の身体は、あなた達よりも高度な作りです」

「だからお前の世界なら、このめんどい身体も直せるってか」

「少なくとも対処法があるかもしれません。リジェクションが起きないようにする事も……だから」

「このまま死なせてはくれないってか」

「ならあなたは、死にたいんですか」


はっきりそう言われて一文字さんは、軽くお手上げポーズ。それで置きっぱになっている、血液交換装置を見た。


「……まぁ助けられた身だしな。駄目なの前提で、ちょっと遊んでみてもいいか」

「ありがとうございます」

「いいさ。それをこの場でストレートに言う、アンタの覚悟に乗っただけだ」


軽く色目で一文字さんが言うと、ギンガさんが慌てて僕の後ろへ隠れる。……いや、その反応はおかしいっ!

一文字さんも呆れた顔しないでー! ねぇ、これどうすればいいのっ!? 僕になにを求めてるのかなっ!


「でも士くん、仮面ライダーってなんなんでしょうか」

「なんだ、いきなり」

「例えばあのトカゲの人や、本郷さん……私には全く同じに見えたんです。ほら、変身方法から」

「あー、確かにな」


特殊スーツを展開し、仮面を装着だからなぁ。外見だけなら、確かにリザードや虎頭も仮面ライダーだ。

ただあまりにそれが似ていて、夏みかん的にはどうしてかって疑問なんでしょ。

なんだかんだで今まではほら、怪人とライダーは区別つく外見してたから。それが本質となると……ってさ。


「仮面ライダーが正義の味方だとするなら、怪人もそうなれる可能性がある。私はそう感じたんです」

「おいおい、俺達は正義の味方なんかじゃねぇぞ。ただの人殺しだ」

「それでも今の位置に立つなら、なにかきっかけというか……そういうのがあるはずです。でも、よく分からなくて」

「本質はそうでも、大事なのは心――そういう事なんだろうね」


そこで栄次郎さんがお盆を持って登場。僕達の前に一つずつ、お椀を置いてく。

それは濃いめのつゆを張った、コロッケそば。しかも揚げたてらしく、じゅーっと音を立てている。


「わぁ、コロッケそばだっ!」

「いいだろう? 私も大好きなんだよ」

「ありがとうございますっ!」

「いやいや。……君も食べるよね」


そこで栄次郎さんが一文字さんを一瞥。一文字さんはそれを鼻で笑い、箸を手に取る。


「これでもコロッケそばにはこだわりがある。俺の舌を満足させるのは」


そう言いながら麺をすすると、慌てた様子でつゆを一口。それからザクザクなコロッケを箸で切り分け食べる。

僕もそれに続く形で……なんて美味しいっ! 麺はシコシコ、つゆは程よく濃く、コロッケはじゃがいもオンリー。

余計な雑味が入っていないせいか、じゃがいもの甘さとホクホク加減が素晴らしい。


それでこの、つゆを吸ってやや柔らかくなっているのがまた美味しい。いやぁ、コロッケそばは素晴らしい。

みんなと一緒にそばをたん能していると、一文字さんが箸を置いて深々とお辞儀。


「……感服しました」

『あっさり満足してるっ!?』

「ありがとう。……正義の味方ってのは、誰でも最初からなれるもんじゃないんだよ。
いや、どんなものでもそうだね。最初から『なりたい自分』になれる人なんて、誰もいないよ。
自分の矛盾や本質と向き合って、ヘコんで悩んで……それでも自分の道を決める。……でも逆を言えば」

「おじいちゃん、逆を言えば……なんですか?」

「本質から逃げ続ける人は、一生何者にもなれないんだろうねぇ。例えそれが、どんなに辛い事であっても」


そこで約二人に、ぐさぐさと突き刺さる。約一名のフォークも、反省気味にシュンと折れ曲がった。

でも僕は見えない。特にフォーク関係は絶対見えない。そうだ、僕はなにも知らない。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


本質……そういや恭文に相談する暇もなかったな。あの元首領って、そういう事だよな。

だったら士が悪魔とか謀殺されかかってたのも、全部納得できる。恭文は……いや、コイツは知ってそうだ。

……俺もそれでいいかな。それが士の本質だとしたら、その先を決めるのも士だ。


士が本質どうこうじゃなく、通りすがりの仮面ライダーをやっていくっていうなら、きっとそれだけでいい。

それよりも俺の方をなんとかしないと。恭文やみんなのフォローがあって、今のところはライジングってやつにもなってない。

だがこれから先、どうなるか分からない。下手をすれば一気に生体兵器化。


やっぱり凄まじき戦士をコントロールするしかない? だが気軽になったら、その時点でアウトだしなぁ。

なぁ、これはどうすればいいんだよ。てーかテレビの『ユウスケ』はどうやってコントロールしたんだ。


「でもこの世界、大丈夫なんでしょうか。本郷さんもそうですし、風見さんも。あとはあむちゃんも」

「大丈夫だろ。少なくともアイツらは、美しいものから――自分の本質から逃げていない」


いろいろ悩んでると、士はこっちの気も知らず……いや、当然だが。

とにかくコロッケそばをすすりながら、あの絵を見つめる。


「そういう戦う気持ちのある奴がいるなら、きっとな」

「……そうですね」

「逃げまくっているフェイトちゃんは、少し見習った方がいいわねぇ」

「むぅ」


フェイトちゃん、そう言いながらフォークを構えるのはやめてくれ。正直俺もだんだんと怖くなっている。

それはキバーラも同じく、慌てて退避。すると翼が絵近くの鎖にかかり、そのまま鎖を引く。

それにより上から別の絵が降りてきて……いつものパターンだよな―。うん、分かってたわ。


覆いかぶさるように出てきた絵には、無数の指名手配書が舞っていた。その一枚一枚に『WANTED』と英文字。
その上には……おいおい、どういう事だよ。この線でできた顔って、海東さんのディエンドに見えるんだが。


「蒼チビ」

「僕に聞く必要、ある? これはどう見ても」

「海東――ディエンドの世界か」


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


既に鎮火したステーキハウスを見つめながら、一人黄昏てしまっていた。いや、火事がトラウマだっていうのもある。

それ以前にその……なぁ。ほんとどういう事かと、頭を抱える。そうして俺は暗やみの中、人を待っていた。


「いつまでそうしているつもりだ」


やっと来たか……! 後ろからかかった声に慌てて立ち上がり、奴へ詰め寄る。


「天道」

「おばあちゃんは言っていた、本物を知る者は」

「それはいいっ! お前、いったいどこにやったっ!」


それで胸ぐらを掴もうとしたら、アイツはすっと避ける……避けるなよっ! お前自分がなにしたか分かってないだろっ!


「なにをだ」

「俺のブレイバックルだっ! お前勝手に持ちだしただろっ!」

「安心しろ」


そう言って天道は、俺に十三枚のカードを手渡してくる。


「カードは渡していない」

「なにをどう安心しろとっ!?」

「全く、小うるさい奴だ。そもそもお前がうじうじ迷って、放ったらかしにしていたのが悪いんだろうが」


さらっと言ってくれたよっ! なんだこれ、自由かっ! いや、俺の知っている自由じゃないけどっ!

あとな、放ったらかしって言うなっ! トイレに行っている少しの間だぞっ! 

それすら責められる……よなぁっ! うん、分かってたさっ!


「むしろ感謝しろ。これできっかけになるだろう」

「なんのだよっ!」

「次の世界、どうするつもりだ。お前の力が絶対に必要だぞ」


そう言われて、俺の勢いは完全に削がれてしまう。天道はもう用を済ませたと言わんばかりに、背を向け歩き出す。


「安心しろ、奴はお前とは違う。自ら不老不死の存在になったりなどはしない」

「どうして、そう言い切れる」

「お前より性格が悪く、諦めも悪い。それだけの事だ。疑問に思うなら、迷ってないで会いに行け」


そう言われると、もうどうしようもない。俺は天道の背中を見送る事しかできなかった。

手に握られたカードをどうするか、あとは……彼に会ってから考えろという事か。


(おしまい)







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